将棋版リレー小説

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 20:30:43.19

それは私に届いた１通のメールから始まった
差出人には「日本将棋連盟佐藤」とあった

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 20:42:18.03

空メールに対して私は返信メールを送信した。
『佐藤さんといってもたくさんいます。あなたはどの佐藤さん？』

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 20:44:18.72

「誰だと思う？」

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 20:51:38.03

「昭和４９年の名人戦第１局の屋外大盤解説で駒操作をしていた佐藤さんではないですよね？」

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 20:57:30.47

驚くほどの速度で返信が来る
「うーん、ヒントをあげちゃいます。私はメガネをかけてます」

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 21:10:58.61

「将棋　佐藤　メガネ」で検索して、返信を出した
『もしかしてあなたは1997年の竜王戦オーストラリア対局でメガネを海に流された
佐藤康光会長じゃありませんか？』

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 21:26:38.72

いや、新人時代に加藤一二三先生の特上うな重を間違えて食べてしまった佐藤先生かもしれない

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 21:27:36.69

返信は直ぐには来なかった。

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 21:32:22.06

326:名無し名人 (ﾜｯﾁｮｲ 876b-DI90 [153.192.172.123])
16/10/19 20:40:44.07 ICL92WuD0.net
明日もし将棋界が壊れても
Call my name 誰かが呼ぶ声
暗闇の深い悲しみ
グレー疑惑の指し手が僕のそこに光をさす
黒か白か分からないまま
性善説は時代遅れなのか
僕らは一日中結論が訪れるのを待つだけ
明日もし将棋界が壊れても
ここから逃げ出さない
疲れた体を癒す
技の巧みさよ
Lonely heart もて余す心ポッカリ穴が空いたようだ
自分を抑えきれず何かにイライラしてた
「▲4五桂を忘れられない」と感想戦で話してたね
本心を隠した表情まだ僕には救いがありそう?
明日もし将棋界が壊れても
さまよい続けるだろう
愛して初めて知った
失う怖さを
明日もし将棋界が壊れても
何も見えなくなっても
安らかな時の中で
僕らは歩き出す
△6七歩成のまぼろしよ
https://i.imgur.com/ND5HGML.png

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 21:33:01.35

あなたの残り香を探す

Twitterという世界にはたくさんの価値観を持った人々がひしめき合っている。
無数の人たちの言葉が行き交うタイムラインの中、数センチのズレを重ねて奇跡的な巡り合わせが起きることもある。

私の場合もそういったものだったのかもしれない。

あれはいつ頃だっただろうか。
チェスとコンピュータ将棋に興味を持っているという女性がフォロワーの中にいたことを知ったのは。

きっと私のツイートをみて興味を持ってフォローしてくれたのだと思う。

そしてあなたからリプライを送っていただけましたね。
嬉しかった。
こんな女性がいるなんて世の中は本当に広いなと思った。
いつからかあなたの知的なツイートを見るのが楽しみになっていく自分がいた。
難しい本の数々や外国語の勉強に励んでいるといった近況をみるにつれてその人となりに惹かれてった。

しかし、そんな至福の時もつかの間、シャボン玉が弾けたように終わりの時がきてしまった。

今ごろあなたは元気にしているだろうか。
そして将棋、コンピュータ将棋は今でも関心がありますか。
今でも私のツイートやブログをたまに見ていて下さっていると嬉しいのだけれど…。

そっと瞳を閉じて別れの季節を思う。
また春が訪れた
あれから一年が経ったのだな

ion1zationさんへ

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 23:12:03.16

>>8
受信箱を開く度に「日本将棋連盟佐藤」からのメールが来ていないかを確認するのが私の新しい習慣になった。

**名無し名人** · 2021/08/01(日) 23:42:56.77

そんなある夏の夜更けのこと……

　"ピンポーン"

ふいに、インターホンの音が私をつんざいた。

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 02:18:36.75

「山口さん、お届け物です」

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 04:53:54.05

誰からなのかと見てみると送り主は真剣師のオオタマナブであった

私の父親の古くからの友人であり、そして将棋に於いてはライバルであり、私にとっても振り飛車を仕込んでくれた師である男だ

三間飛車のショウと呼ばれるほどに私を育ててくれたこのオオタマナブという男から届いたもの…

一体何なのだろうと中身が気になり、父親が帰ってくるのも待たずに私は勝手に開封したのである

中から出てきたものは私を一瞬にして硬直させ、目が離せないほど魅了した

「こ、これはまさか！」

それは何と言えば良いのだろうか

私が生まれて初めて経験する衝撃が走ったのを今でも覚えている

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 08:14:23.69

それは真っ二つに割れた飛車の駒であった

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 08:55:58.91

割れたといっても縦や横に割れたのではなかった
表と裏のふたつに割れていたのだ
一枚は飛車、もう一枚は竜に

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 10:40:50.36

「ついに、奴が動き出したようだな」
山口ショウはつぶやいた。

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 11:03:57.35

翌日、将棋界いや日本全体が震撼した。記者会見の場で彼は言った。
「私、藤井聡太は将棋連盟を辞めます。そして、
　チェスの世界チャンピオンに、俺はなる！」

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 11:21:24.81

「飛車の呪いか…」

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 12:06:54.17

「ねえ、おかしくない？藤井さんはなぜルフィみたいな喋り方になったのかしら？」
記者会見の様子をテレビで見ていた竹部さゆりは隣にいた佐藤和俊に向かって言った

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 17:01:43.06

佐藤和俊は驚きつつもどこか嬉しそうに微笑んでいた
「彼は新たなスタートラインに立ちたいんだと思います。私も今朝100m×10本走ってきたところです。」
というと懐から真新しいスターティングブロックを取り出して竹部に見せた
「昨日これが【将棋連盟　佐藤】から送られて来たんですけど、風になれと言われているのかな？と思いまして」

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 19:04:09.97

ランニングと聞きつけて服部が現れた

**名無し名人** · 2021/08/02(月) 21:41:08.21

「てえへんだ！和俊のアニキ、さゆり姐さん！千駄ヶ谷上空に使徒の野郎が現れたんでさ」

息も絶え絶え、服部はまくし立てるようにそう言った。

**名無し名人** · 2021/08/03(火) 00:29:01.40

「ＡＴフィールド全開！」
東京・将棋会館　高雄の間では
豊島将之竜王の叫び声が響き渡った

**名無し名人** · 2021/08/03(火) 01:24:51.32

「ねえ、おかしくない？服部さんはなぜ岡っ引きみたいな喋り方になったのかしら？」
テレビで佐藤天彦のファッションチェックをしていた竹部さゆりは隣にいた佐藤秀司に向かって言った

**名無し名人** · 2021/08/03(火) 03:37:06.46

先祖影響じゃないですかひっとして・・・
ちな僕の祖父の従兄弟は佐藤栄作です

**名無し名人** · 2021/08/03(火) 07:43:11.50

聞き手として女流No. 1の誉れ高い竹部女史が合いの手を入れようとしたその時
ヘアースタイルに特徴のある男が口を挟んだ
「親戚が首相経験者って凄くないですか？」

**名無し名人** · 2021/08/03(火) 07:48:58.57

男の姿をまじまじと見つめた竹部さゆりは心の中で叫んだ。
（やだなにこの人、何もかもがしわしわじゃないの！）

**名無し名人** · 2021/08/03(火) 07:51:46.09

先手　9六歩

**名無し** · 2021/08/03(火) 08:04:22.00

解説　「ここは７七銀ではないでしょうか」
きき手「あ、違うみたいですね」
解説　「今度は４五飛と見ましたが」
きき手「また違うみたいですね」
　　シーンと静まり返り
きき手「ここで解説者が長考にはいりました」

**名無し名人** · 2021/08/03(火) 08:07:04.90

同玉

**名無し名人** · 2021/08/03(火) 08:49:28.51

「その玉はどこからきましたか」

**名無し名人** · 2021/08/03(火) 22:40:21.82

「ゆっくりでいいから。」

**名無し名人** · 2021/08/04(水) 00:49:53.79

時を同じくして、南千住の熟女バー『なまかく』に三名の兵（つわもの）が集結した。
松尾歩、山崎隆之、阿久津主税である。

「じゃあ、残念三銃士の門出を祝して、……乾杯」

音頭をとった山崎の横顔は、とても寂しそうであった。

**名無し名人** · 2021/08/04(水) 04:43:43.41

ついに聡太君はチェスのパラリンピックグランドマスターになったのだった…

**名無し名人** · 2021/08/04(水) 05:49:00.68

>>34
暫し沈黙の後、山崎が口を開いた
「さて今年の抱負を語りましょうか。私はA級残留です……」
一見殊勝なことを言っているようだがこれは他の2人へのマウントであった

**名無し名人** · 2021/08/04(水) 07:24:24.10

阿久津が続いた
「A級ってのは恐ろしいところです。私は残念ながら降級しちゃいました」
成績にはいっさい触れずさりげなくA級経験者であることをアピールしたのであった

**名無し名人** · 2021/08/04(水) 07:28:34.69

松尾は褌の話がしたくてうずうずしていたので適当に相槌を打ってハイボールをグッとあおった

**名無し名人** · 2021/08/04(水) 11:25:24.97

「最近Twitterでコクのある投稿をしましたらファンの方から褌を頂きましてね、不思議なシールとかも送られて来るんですよ」

**名無し名人** · 2021/08/04(水) 12:36:24.84

いつもアナグマに潜るけどパンツを脱ぐのが大好きです。
相手に玉をチラ見せするところがポイントです。

**名無し名人** · 2021/08/04(水) 13:57:36.88

鰹風味のふんどし

**名無し名人** · 2021/08/05(木) 02:11:08.09

「将棋連盟　佐藤」からまたメールが来た

**名無し名人** · 2021/08/05(木) 05:38:01.45

しかし、以前と違い今度はメールはボイスメッセージ付きであった。
私は再生ボタンをクリックした。

『…ｶﾞｶﾞｯ…るか？…私……声が……聞こえるか？………今………将…界に……ｶﾞｯ…重大な…危機が……つつある……米長…は……生きている』

**名無し名人** · 2021/08/05(木) 07:05:15.53

山崎「やはり、谷生も生きていますそれににこ神さんも・・・」
阿久津「なんだって!何が起ころうとしているんだ!」
松尾「聡太は大丈夫なのか!褌の大元だぞ」

**名無し名人** · 2021/08/05(木) 13:43:33.93

とりあえず松尾は専門店にふんどしを100枚ほど注文した。

**名無し名人** · 2021/08/05(木) 18:34:22.11

突如、上空に飛来してきた謎の円盤から我々人類に似て非なる生物が現れて奇妙な音波を発したが、それは耳にではなく直接に脳へと我々人類の言語で届いた
彼らの思ってること、伝えたいことがそれぞれの国の人間に同時に伝わっているのが分かった
つまり日本人には日本語、ドイツ人にはドイツ語で聞こえているようである
「我々ハ…遥カ遠クノ惑星カラヤッテ来タ。コノ青キ星ヲ植民地トスルタメニ。タダシ、オ前達ノ知能ガ我々ノ想定スル水準デ在ルナラバ対等ノ同盟星トシテ迎エル。ダガ、満タシテイナケレバ奴隷トスル。ソノ選別ノタメニ、コノ星デ一番ノ知的遊戯デアル将棋デ我々ト戦ッテモラオウ！」
こうして人類の未来をかけて宇宙からの侵略者、私達が誰ともなく呼び出した将棋星人とのアルマゲドンが勃発したのである。
日本将棋連盟からはカチカチ戦隊アナレンジャーとして５人の棋士が選出された。
リーダーは地球代表となるアナレッドにフカーラコゥイチが抜擢され、アナブルーにはフジソウタ、アナイエローにはハブヨッシャル、アナグリーンにはサイタロー、アナピンクにはサトミカナがそれぞれ選出された。
アマ連からもアナグマンや美濃ライダーが参戦。
果たして私達の地球の運命はどうなるのか？
ヒフミンがテレビ画面の向こう側で早口で解説していたコロナ禍真っ只中の令和三年の蒸し暑い夏。

**名無し名人** · 2021/08/05(木) 18:45:23.18

「わー怖いねー、ね、シロちゃん」
名人はテレビを見ながら蕎麦をズズッとすすった

**名無し名人** · 2021/08/05(木) 21:21:42.89

すると次の瞬間いきなり画面が真っ暗になった

数秒後、音もなく白い文字が画面に浮かび上がった

「米長は生きている」

**名無し名人** · 2021/08/05(木) 23:12:51.42

一方、九州の原っぱに二人の男がいた。

「師匠、頑張ってください」
佐々木大地は深浦にお弁当を手渡した。
それは、南国元気鶏のチキンカレー及び宮崎マンゴーのチャツネ（クソ程もったいない）であった。

師は弟子の心遣いに胸が熱くなった。
「我が大好きな弟子よ、ありがとう」

**名無し名人** · 2021/08/06(金) 06:01:53.69

師匠を見送った佐々木大地は不意に笑みを浮かべた。まるでこれから起きる激動の出来事を知っていたかの様に。夕暮に降っていた雨は夜更け過ぎに雪へと変わっていた。

**名無し名人** · 2021/08/06(金) 06:30:06.20

時を同じくして四国の山中に二人の男がいた。

「師匠、頑張ってください」
今泉は小林健二にお弁当を手渡した。
それは、今泉が握った塩むすびであった。

小林は今泉の心遣いに胸が熱くならなかった。
「これでいいのか？俺でいいのか？」

**名無し名人** · 2021/08/06(金) 07:33:46.08

すると前から一人の老人が歩いてきた
なんと森鶏二あった
森「大変な事になったなこれは戦じゃー小池重明を呼べ!」

**名無し名人** · 2021/08/06(金) 19:15:35.69

対局が始まった
一番手の深浦が緊張した面持ちで振りごまをおこなった
「地球側ノ先手ダナ、ワレワレノ負ケダ」
「はっ？」
深浦の表情を見て将棋星人たちは大爆笑した
「ヤハリ地球人ハ将棋ガ先手必勝デアルコトスラ証明デキテイナイノダナｗｗｗ」
「先手必勝トワカッテイルげーむヲシテイル謎ガ解ケタナｗｗｗ」
「コレナラ後手デモ勝テタナｗｗｗ」
将棋星人たちは、顔面蒼白になった棋士たちを嘲り笑い続けた
「サア第２局カラハ真面目ニヤレ」
将棋星人のリーダーとおぼしき者が冷たく言い放った

**名無し名人** · 2021/08/06(金) 19:40:28.34

佐藤天彦「室田さん理想です」

**名無し名人** · 2021/08/06(金) 20:49:07.00

などという支離滅裂な夢から覚めた松尾のふんどしは汗で濡れていた

**名無し名人** · 2021/08/06(金) 23:49:29.51

佐藤天彦はセーラー服姿で佇んでいた
「室田さん理想です！ムーン・イオパワー　メイクオフ！」
セーラー服がスーツに変化した
「はー間に合った　若干一名チビったようだが…決戦にはまだ早い…時間を二週間もどした…あの方の助けが必要だ」
疲れきった顔をした佐藤天彦は自宅のバスルームに入った
「半身浴して顔パックしなきゃ」
ナイトルーティンに取りかかるのであった

**名無し名人** · 2021/08/07(土) 00:06:22.34

将棋連盟会長室では、モテ光会長と電○役員との話し合いの場が設けられていた。

人類存亡を賭けた一大イベントである。
代理店が動かぬ道理はない。

彼らの目的はイベントの運営、広告その他放送権等の委任交渉でだった。

彼らは様々なメリットを繰り返し述べた。
連盟に利益が出ること、将棋の普及に資すること、受領書が必要ない媒介手数料が入ること、等々。

「佐藤先生は、どんなアイドルがお好きですかね？　いえ、セクシー女優でもいいんですが」

かような言葉を聞くに至り、モテ光はすっと立ち上がった。

「お引き取りください。将棋とは、己の欲を満たすために存在しているのではありません」

**名無し名人** · 2021/08/07(土) 01:21:01.62

ふんどし星人VS松尾歩

**名無し名人** · 2021/08/07(土) 06:29:36.50

自分に出番があるかどうかわからない松尾は考えた準備だけは万全にしておこうそれには褌だ
松尾は京都に向かったある人に会う為に・・・

**名無し名人** · 2021/08/08(日) 04:03:18.64

松尾は新幹線に乗り東京駅で買っただるま弁当食べた。
「富士は今日もセクシーだ」

**名無し名人** · 2021/08/08(日) 07:50:51.26

弁当を食いながら松尾はスマホアプリでYouTubeのむろかんなチャンネルを視聴した
今日アップされた最新動画「ふんどし姿の似合いそうな男性棋士は？」が始まった

**名無し名人** · 2021/08/08(日) 08:26:47.09

5位　増田
4位　深浦
3位　都成
2位　郷田
そして、1位は…！

**名無し名人** · 2021/08/08(日) 09:31:59.05

１位　野田澤
上はTシャツだが下はキワキワまで攻めたレインボー褌　見事に尽きる
松尾は我慢出来なくなりトイレに勃った

**名無し名人** · 2021/08/08(日) 11:23:50.95

すでに松尾のモノは松尾流穴熊よりも固くなっていた

**名無し名人** · 2021/08/08(日) 12:45:14.30

一方、場面は将棋会館の特別対局室に移る。
ボサボサの髪に無精髭を生やした実力制名人である刈田升三が苦い表情で盤面と時計を交互に見ていた。
落ち着きがなくイライラしているように見える。
それもそのはずで、記録係に使いを頼んだのが１時間前である。
たかが煙草を買いに行くだけでどれだけ待たせるのか。
この遣いに出掛けたままの帽子を被った青年はタバコ買った帰り道で神社に寄り道していた。
「じっちゃん…もうすぐだぜ！この氷室将介とあの滝川の野郎との名人戦だ！」
現在、名人を保持しているのがこの滝川幸治という男であり、ただならぬ運命のライバルである。
滝川の師匠である大原巌と氷室の祖父である御神三吉の因縁を互いに背負った二人。
氷室は御神三吉の歩を継いだ。
初手端歩を継いだ。
名人に成るために。
そして師匠同士の代理戦争でもあり、最強を目指し、名人を目指す因縁と宿命のライバルである滝川幸治に勝つために。
思いに耽っている氷室将介を誰かが呼んだ。
「あっ！氷室くん？氷室くーん！」
慌てるように走ってくるこの男はプロになれず年齢制限で奨励会を去った今もアマの世界で将棋に打ち込んでいる。
「おっ！てめぇ！鈴本じゃねーか！どうしたんだ慌ててよぉ！」
特別に許可を得て刈田升三の対局の観戦に来ていた鈴本。
あまりにも氷室の帰りが遅いので探しにきていたのだった。
「は、はぃー！将介くん！タバコは買いましたか？買ったのなら直ぐに対局室に戻ってください、はいー！」
氷室は鈴本に押されるようにして将棋会館に走る。
その頃、対局室では目を血走りさせた刈田升三が吠えていた。
「えぇーい！ピースはまだかぁぁぁああぁぁっっ！」

**名無し名人** · 2021/08/08(日) 19:29:26.73

氷室は｢オッサン、買ってきてやったぜ｣と刈田にピースを投げてよこした

**名無し名人** · 2021/08/08(日) 22:47:45.75

嬉しそうにタバコをキャッチしたが、瞬時に刈田の表情が怪訝になり怒りの形相となった。真っ赤な顔で氷室から受け取ったタバコを睨み付けてから次に氷室を睨み付けた。このタバコ、よく見るとピースではなくホープだったのである。
だが、待ちに待った煙草だしベビースモーカーの刈田は渋々と火を点けて煙を吸い込む。
そして口と鼻の穴から白い煙を吐き出した。
それは刈田升三の真向かいに鎮座して盤上を一心に見ている対局相手の顔にこれでもかと吹きかかった。
突然の煙に咳き込む対局相手はロシア出身のＡ級棋士であるイワンだった。
祖国ではチェスのチャンピオンであり、この日本の将棋に於いてもチェス式の将棋を得意として持ち駒を一切使わずに戦うのである。
ちなみに盤上の駒は全て各升目に立たせるのが棋風とさえ言われて恐れられている。
あの大和天空さえも震え上がらせるイワンの将棋。
氷室にはイワンの駒が光って見えた。
禿げ頭も蛍光灯の光を浴びて光っていた。
氷室は思わず声に出していた。
「コイツ…光ってやがるぜ！」
この対局をテレビで観戦していた男がいる。
彼もまたプロを目指し年齢制限で奨励会を去った夢破れし男。
だが将棋だけはやめられない。
しがない真剣師として日銭を稼いで食いつないでいるのだった。
現在の局面を考察しながら真剣師となった菅田健太郎は８１マスに潜った。

「ダイブ！」

**名無し名人** · 2021/08/09(月) 07:29:30.59

菅田がダイブした先はナメック星であった。
そして一軒の将棋道場を見つけるとそこへ入った。

**名無し名人** · 2021/08/09(月) 07:31:55.95

松尾の乗ったのぞみ33号は京都駅のホームに静かに滑り込んだ
新幹線を降車しエスカレーターに乗ろうとする松尾に背後から声をかけてきた男がいた
安用寺孝功その人であった

**名無し名人** · 2021/08/09(月) 07:37:24.23

「ああ松尾さん、今日は。今日はこんなところでどうされたんですか？」

**名無し名人** · 2021/08/09(月) 07:51:29.21

振り駒が上手く出来るように修業に来ました

**名無し名人** · 2021/08/09(月) 08:23:51.80

安用寺「ここだけの話しですが振っても歩しか出ない駒があるらしいですよ、良かったら訪ねてみてください」
と名刺をくれた
松尾「褌問屋と成り　なるほどと金が成れば歩かとりあえず行ってみるか」

**名無し名人** · 2021/08/09(月) 11:48:42.97

「ここだけの話」がここだけにとどまらないのは世の常である。
松尾は早速親友の田村康介にLINEで知らせた。
しかし重大な変換ミスをしてしまった。
「褌丼屋都成」と。

**名無し名人** · 2021/08/09(月) 12:17:44.02

谷川激怒

**名無し名人** · 2021/08/10(火) 03:53:17.03

「はい、田村です」
田村はスマホに向かって言った。
彼はアプリの内容を把握していなかった。

松尾は気を取り直し、と成りへ向かった。
今、彼は京都の街道をゆく。

**名無し名人** · 2021/08/10(火) 07:56:28.91

ちょうど時を同じくして、とある場所からとあるプロ棋士がとある女流棋士に一本の電話を入れていたが、このプロ棋士にとって残念なことに留守番電話になっていた。
仕方なく思いを込めてたった一言だけ言い残した。
勇ましく気高く格調の高い声でたった一言だけ。
「突撃しまーす！」

**名無し名人** · 2021/08/11(水) 02:44:39.70

アナレッド（フカーラコゥイチ）は勝利した。しかし……

第２局　後手番アナイエロー（ハブヨッシャル）は将棋星人モリウッチに完敗
第３局　後手番アナピンク（サトミカナ）は将棋星人アゴリラに完敗

もはやアナブルー（フジソウタ）・アナグリーン（サイタロー）は戦意を喪失していた。
そこに現れたのは、
「やはり僕の出番ですね、アナブラックことダーティーアキラです。選手交代してもよろしいか？」
オーーーー、歓声が上がったがすぐに止んだ
（いくらダーティーアキラでも無理だろう……）誰もがそう思った。
「誰デモカマワン、オレハ将棋星人みゅーらー」
「ミューラー、あなたはカンニングをしています」
「八ァ？　ナニヲ言ウ？　証拠ハアルノカ？」
「僕はプロだからわかるんです、異議はありますか？　あれば３秒以内にどうぞ」
「……」（フリーズ中）
「１、２、３、ハイ終了、谷川審判長、地球側の勝利を宣言してください」
「あ、ああ、地球側の反則勝ち！！！」
地球人類は救われた。しかし、歓声は無い。皆、こう思っていた。
（またやりやがった）
将棋星人たちはまだフリーズしていた。

以下、ヒソヒソ話。
シショ―スギモト「なんであれで勝てるんだ」
フジソウタ「そうか！　将棋星人は極限まで論理的なので、非論理的なことを大真面目に言われると、
処理できずにフリーズしてしまうんですよ。これならシショ―スギモトでも勝てますよ」

**名無し名人** · 2021/08/11(水) 15:05:22.73

危機は去った
地球の危機に打ち勝った証として、銀ブラに出掛ける女流棋士がいた
香川愛生その人である

**名無し名人** · 2021/08/11(水) 17:42:22.78

出掛けた先は人混みで賑わっていた。
どうやらよく当たると評判で占いで有名なあの老人が来ていたのだ。
この婆さんを占いババと人は呼ぶ。
香川は厚かましく割り込み占ってもらおうとした。
周りの人々から罵声の嵐が巻き起こる。
しかし所詮は一般人。
香川が女流棋士だと分かるとひれ伏した。
この占いババに占ってもらうには１０００万円を支払うか、それとも将棋に勝つかの二択しかないのである。
占いババはお金と将棋だけが人生の楽しみなのだった。
勿論、香川にそんな大金なんて持ち合わせてる訳がない。
逆に生業としている将棋でタダで占ってもらえるなんて得意外の何でもない。
そして設置された席に着き、占いババの用意する５人の棋士との対局が始まった。

**名無し名人** · 2021/08/11(水) 17:43:46.90

１局目、現れたのは盤牌亜(バンパイア)と名乗るコウモリ男のようなオッサンだった。
香川は十字飛車で大優勢になり、これを見て相手は投了した。
２局目、透明人間に憧れる透けサンと名乗る包帯姿にサングラスの男。
女流棋士である香川を圧倒する攻撃的な棋風の攻め将棋だが、香川のトキンが大量に敵陣を真っ赤に染めて最早透けサンは投了やむ無し。
３局目、またまた包帯姿の男が現れた。大柄でプロレスラーほどの体躯の持ち主。
占いババは不適な笑みを浮かべながら、さも余裕とばかりの香川に言い放った。
「今まではほんの小手調べぢゃ！ここからが本番！さぁ、行け！闘う干物ミウラくんぢゃ！」
このミウラと呼ばれる男、見かけとは裏腹に繊細でスピーディーな指し回しである。
プロ棋士の三浦を彷彿させる将棋を指す。
しかし香川が強烈な速攻で勝利した。
二枚の銀を活用した中飛車、カニカニ銀の破壊力は抜群だったのだ。
４局目、登場したのは棋界の悪魔と言われるアックツン。オデコが広くツルリと光る。実はこのアックツンは地元の公民館で開催される町内会の将棋大会で二度も優勝したほどの実力者であり、普段は５人目を務める棋士だ。それがもう４番目に登場した。つまり、アックツンより強い５人目が控えてるということでもある。それよりもこの４局目の対局も香川は勝つことが出来るのであろうか？
セフレの精子が口内に残っていたが、固唾をのみこんだ。
アックツンのチカラがその雰囲気からビンビン伝わるのである。
アックツンの目ヂカラ。それは羽生睨みを彷彿させるほどである。

**名無し名人** · 2021/08/11(水) 17:51:55.26

戦う干物ミウラくんワロスw w w

**名無し名人** · 2021/08/11(水) 22:18:07.31

香川のスレいくつあるんだよ

**名無し名人** · 2021/08/12(木) 04:29:23.92

４戦目は流石に追い込まれて何か良い手は無いかと考えた末にとっておきの技を繰り出した。

ミニスカの裾に乗せていたハンカチ。

このハンカチをずらしつつ少し股を開く。

さもマンコを見せつけるかのようにご開帳。

以前テレビ対局で日曜の朝っぱらから某熊坂棋士に仕掛けた技であった。

なんとなく発酵したチーズのニオイが漂ってくるような、実際にニオイがしているような、そんな昼下がりの曇り空の下での出来事を遠くから眺める一人の真剣師がいた。

ナベヤと言う名で、世話になってる民宿の主人の息子に将棋を教えにいく途中である。

ナベヤについては「或る真剣師の告白」という小説を読んでいただければお分かりになる。

昔、５ちゃんねるが２ちゃんねるだった頃に将棋板で毎日少しずつ綴られた将棋である。

**名無し名人** · 2021/08/12(木) 05:45:32.59

Amazonで検索しちゃったじゃねーかボケ

**名無し名人** · 2021/08/12(木) 15:23:54.87

どこかのメクラな無能馬鹿がよく読まず、昔５ちゃんねるが２ちゃんねるだった頃と明確にハッキリと記載されてるにも関わらずAmazonで小説を検索して見つからずに青スジ立ててキレていた。

顔を真っ赤にして涙目になりながら鼻の穴をこれでもかとおっぴろげて鼻息荒くレスをしていた頃…

棋界のレジェンドでフリークラス落ちした永世名人の森内が自身のYouTubeの森内チャンネルをアップしていた。

いつも一緒に撮影していた鈴木カンナはおらず、森内がたった一人で画面の真ん中に陣取り、恥ずかしそうに、それでいて申し訳無さに両手を広げて「もりうちちゃんねるぅー」とオープニングを務めた。

この動画で森内は将棋ウォーズに初参戦。指導棋士として登場した。こんな低料金の指導券で永世名人から指導対局を受けてもらえるなんて、なんという時代になったことだろうか。

指導対局では棋神は使用できない仕様である。

対局前、将棋ウォーズを初めてプレイすることから森内は自らを初心者と言ったのが謙虚さなのか何なのか。

永世名人が将棋をやるにあたり初心者とな？初心者とは一体？

この棋界で最強の一角をも担った森内永世名人は６枚落ちで２級の挑戦者を見事に制圧し、時間切れ負けに追い込み勝利した。

持ち時間１０分が切れてなくてもあとは詰ますだけだったが、２級のお相手にはマナーをまもって投了をしてほしかったものである。
放置逃げ、切断逃げ、投了しない輩には将棋を指す資格も権利すらもない。

金輪際、二度と将棋に関わらないで貰いたいと筆者は常々思う。

誰かに無理矢理、嫌々やらされているのではない。

自分から好きでやっているのに、好きな事でさえもマトモに出来ないとか…

まず、人間としていかがなものか。

学校では勉強が出来ず、会社では仕事が出来ず、社会に於いても人並みのことすら出来ない典型的なグズなのがよくわかる。

まるで林葉直子のヌード写真集にケチをつけながらもしっかりと目に焼き付けながらオナニーをする某Ｉ泉健司のようである。

**名無し名人** · 2021/08/12(木) 16:39:45.17

街道を行く松尾の前からいかにも触るな危険を絵に書いたような男が現れた
スッと左後方に避ける
松尾「銀は引く手に好手あり」
続いて右前方にアメ玉を投げた
松尾「金はナナメに誘え」
いつものようにスマート＆セクシーである

**名無し名人** · 2021/08/12(木) 19:25:33.89

男はアメ玉に向かってバットを振り抜いた。
刹那、それはパウダースノーのように粉砕された。

「俺を、……弟子にしてくれ」

男ーー中田翔は松尾に対し、静かにそう言った。

**名無し名人** · 2021/08/13(金) 14:16:02.83

大切な飴玉を破壊された飴太郎は高さ３メートル、幅が１メートル、重さが５００キロはあろうかという巨大な駒を呼び寄せて道路を滑走させた。あたかも将棋盤の上で駒を滑らせるかのように。飛車と書かれた巨大駒は標的に向かって一直線に突き進む。
飴太郎は叫んだ「ちね！お前なんかッ！飛車にッ！轢かれてッ！ちね！ちんでちまえッ！」

**名無し名人** · 2021/08/16(月) 08:16:44.12

何事もなかったかのように松尾は街道を進んだ
喉の渇きを覚えて一軒のカフェに立ち寄った
店内に客は誰もいなかった
席に着いた松尾は店員のお姉さんに注文した

**名無し名人** · 2021/08/16(月) 09:21:34.34

「えっとですね、まぁ、歩の手裏剣カプチーノと、香車の田楽刺しサンドイッチ、桂馬のフンドシパフェに、銀のパッチティラミスといったところでしょうか。それとですね、帰りの際の瞬間このタイミングでお姉さんの土踏まずのニオイを嗅がせてください。」

**名無し名人** · 2021/08/16(月) 11:17:46.98

お客様もなかなかの変態ですねコチラが土踏まず用のメニューです
ニオイ　　1000円
鼻擦り付け2000円
舐め倒し　3000円
各3分のお値段です

**名無し名人** · 2021/08/16(月) 21:14:22.12

「paypayは使えますかね？あ、それと罵声も浴びたいんですが……」

**名無し名人** · 2021/08/16(月) 21:53:00.44

罵声コースですね

天使のささやき　1000円
S嬢チックに　　　2000円
オッサンのごとく　3000円
3分毎の料金です
paypay対応です

**名無し名人** · 2021/08/17(火) 10:06:38.61

心ゆくまで土踏まずと罵声を堪能した松尾は、カフェを出て透き通る古都の青空を仰いだ。
吸い込まれそうな、ターコイズブルー。
「ありがとう、paypay」
そう囁き、彼は再び、京都の街道をゆく。

**名無し名人** · 2021/08/17(火) 10:36:15.96

そんな中｢発達、発達、さわやか～｣と口ずさむ大男とすれ違った

**名無し名人** · 2021/08/17(火) 19:06:26.56

だがしかし、そんな大男なんかには目もくれず華麗にスルーをしながら先程の三分間の出来事を思い出しつつ脳内で棋譜を再現するかの如く土踏まずプレイを再生して妄想に耽った
三分といえば棋士にとっては弾丸ともいうべき速き時間である
まぁ、密かに早指しもこなすだけあって早出しにも定評がある
早出流三分飛射という戦法の開祖だったりもする
ふと視界に公衆トイレか飛び込んだ
よし、あのトイレで出してやるか！と考えるやいなや、一目散に早歩きした
その姿にはトキンの遅早を連想せずには要られない
そんな彼の行く手を咎めるように誰かが立ち塞がった
何やら訳のわからない言葉を連発している
「詰めろの親戚です！いただきマンモス！右側は広くて太平洋！同飛車大学ぅ！この手も有吉！銀のわりうち名人！両取りへっぷばぁーん！」

**名無し名人** · 2021/08/18(水) 04:11:41.45

さっきの大男であった。

**名無し名人** · 2021/08/18(水) 05:36:04.12

※通りすがりのキャラである大男が何度も登場するのに疑問の読者も多いだろう。この男こそ羽生善治の隠れ弟子でもあり藤井聡太の兄でもある。
詳しくは後述する。

**名無し名人** · 2021/08/18(水) 16:25:09.04

松尾は激怒した。
必ずや、あのカッコいい褌を、手中に収めねばならぬ。
最早、一刻の猶予もない。

**名無し名人** · 2021/08/18(水) 16:58:05.16

そのフンドシはただのフンドシではない

前には黄バミがあり後ろには茶バミがある

純白に黄色と茶色のコラボレーションが織り成す色彩が何やら危険なかほり＆悪魔のにほひを漂わせて凶悪なハーモニーを実現していた

実際に嫌な気分にさせる悪臭が致命的な悪手となっていたが…

彼はどうしても欲しくて欲しくて欲しいのだ

他人の褌で相撲をとるより重要と考えるのである

香車のように追跡して飛車のように撲滅するほどにスピード感は増していく

追跡！撲滅！いーつーでーもー！マッハ！

俺、参上！言っておくが俺は最初からクライマックスだぜ！

千の偽り万の嘘。言葉の裏には針千本。君、僕に釣られてみる？

俺の強さにお前が泣いた！涙はこれで拭いとき！

今からお前を倒すけどいいよね？答えは聞いてない！

褌を手に入れるために気合いを入れて闘志を燃やす

おばあちゃんが言っていた…二兎追う者は二兎とも取れ！その意味は、決して妥協するなということだ！

松尾は桂馬が跳ねるようにポンポンと軽快に進んでいくのである

**名無し名人** · 2021/08/18(水) 23:24:10.05

松尾はここで一句詠んだ

川風や褌着たる夕涼み

**名無し名人** · 2021/08/19(木) 01:38:06.59

これを聞いていた老人がいつのまにか傍に立っていたのだが今一良くわからないといった表情をしていた
過去に野良猫に餌をやっていたのが原因で猫裁判をして敗訴した老人は大好きな板チョコを何枚も持ち次々と頬張っている
ゴクリとチョコレートを飲み込むとおもむろにに一句を読み上げた
「棒銀や　盤に飛び込む　駒の音」
どうだと言わんばかりのドヤ顔で満足そうに微笑んだが、用件を思い出した老人は松尾に尋ねた
どうやら腕時計を忘れたらしく時間を知りたかったようだ
「えっとですね、私、いつもは忘れずに着けている時計をですね、ええ、まぁ、珍しく忘れてしまいましてございましてね、私といたしましては、まぁ、約束の時間に余裕があるなら歩いて行きましてですね、えー、はい、んまぁ、時間がなければですね、タクシーを使うといった事を考えております、はい。それでですね、１５時までにはですね、あと何分かを知りたい訳です」
早口で長々と余計なことを言っているが、要は時間を知りたい訳だ。
松尾は自分の腕時計を見ようとしたが、それよりも速く老人はせかすように言った。
「あと何分？」
松尾は時計を見た。
さらに老人は聞く。
「あと何分？」
時間を見た松尾が老人に答えようとした瞬間、せっかちな老人は更に聞いた。
「あと何分？」
松尾の時計はちょうど１５時になろうとしていたので、この老人のほうを向きながら答えてやった。
「もう、ありません」
そして腕時計を見せてやった瞬間、老人は驚きの形相で大声を放った。
「ひゃー！ひぇー！ひゃー！」
まるで、若き時代の羽生に第４回NHK杯トーナメントで５二銀を指されたときのように固まった。

**名無し名人** · 2021/08/19(木) 01:45:24.74

松尾芭蕉ならぬ松尾どうしようだな、と誰かが言った

**名無し名人** · 2021/08/19(木) 08:22:07.13

賢明な読者諸君はお気づきであろう
川風やの句は芭蕉作なのである
そう、松尾こそ他人の褌で一句を詠んでいたのだ

**名無し名人** · 2021/08/19(木) 16:08:29.75

剽窃ではありましたが、優雅に一句詠み終えた松尾は確信歩きで褌問屋へ向かうのでした。

**名無し名人** · 2021/08/20(金) 07:30:00.22

松尾Ｂ「クックック…褌だとよ…」
松尾Ｃ「奴は松尾の中でも一番の褌…」
松尾Ｄ「所詮は褌野郎だな…フフフ…」

**名無し名人** · 2021/08/20(金) 17:39:50.96

な　なんと　松尾たちが…！
松尾たちが　どんどん　がったいしていく！
なんと　キング松尾に　なってしまった！

**名無し名人** · 2021/08/21(土) 08:51:20.83

「んー、そう、ですね。初めてですけど美味しくいただきました」
涼やかに登場した一人の若者がキング松尾を手に取ると、ぱくりと一口噛みついた。
「先生、これはマツオッツォという最近人気の菓子なんですよ」
同行者の説明を聞き、若者が手の中のマツオッツォをまじまじと見つめていると、横から口を出してくる者がいる。
「なるほどー。噂の菓子とはこれですか！川崎家の煮卵とどっちがうまいかな？ハハハハハハハハ！」

**名無し名人** · 2021/08/21(土) 13:36:11.54

そんな彼らを尻目に一人の熟女が旦那をお迎えにスキップスキップランランランしていた
「ハブニチュード♪ハブニチュード♪ニンニンニン、ニンニンニン、ニンニンニンったらニンニンニン♪ハブニチュード♪ハブニチュード♪」
その歌声は歌手レベルである
一時期は全てのタイトルを独占して七冠王にまで成った某九段の嫁であり妻であるその熟女は特別ゲストとして旦那と一緒に東急将棋祭りに呼ばれ参加することが決まりハイテンションになっていたのだった
そんなゴキゲン中飛車な熟女から一定の距離を保ちながら同じくスキップであとをつけている者がいた
そう、この男こそ…

**名無し名人** · 2021/08/21(土) 16:07:00.69

島朗九段である。
再婚間もない彼は幸せで一杯であった。
この幸せを誰かにお裾分けしなければ、そう思っていた矢先におあつらえ向きの熟女を発見した次第であった。

しかし、好時魔多しである。
彼は、さらに後ろから忍び寄る影に未だ気づけずにいたのだ。
なんたるちあ、サンタルチア…。
その影なる正体とは…

**名無し名人** · 2021/08/21(土) 16:20:36.48

巨人に移籍したばかりの中田翔であった!!

**名無し名人** · 2021/08/21(土) 18:47:34.49

そして偶然にもこの中田を見つけた中田。
中田は中田を中田功ＥＸを駆使して誰にも知られることなく始末した。
野球で鍛えられた肉体も将棋で鍛えられた頭脳には敵わなかったのである。
中田を倒した中田は中田の自宅へと駒を…いや、歩を進めた。
今夜の晩御飯は中田の将棋飯であり勝負飯だ。
ここ一番の対局では必ず食すというほど拘りの逸品なのである。
すでに中田はヨダレを垂れていた。
垂れ歩、まさに垂れ歩。
歩を垂らすかの如くである。
それはつまり、垂れ歩ということか。
垂れ歩は大きく分けて一つ。
垂れ歩であり、垂れ歩なのだということ。
そして、垂れ歩ならではの垂れ歩なればこその垂れ歩だったりする。
しかも！まさに垂れ歩なのだ！

**名無し名人** · 2021/08/22(日) 14:17:35.54

「御免下さい！コーヤン！」

そこに現れたのは愛弟子・アマ彦であった。
彼は師に対してお中元を届けに来たのであった。

「コーヤン、ご査収あらんことを」

アマ彦はそう述べると、吉牛の特盛弁当、アポロ、そして幾ばくかの小石を中田に手渡した。

**名無し名人** · 2021/08/22(日) 20:30:29.08

しかし良く見ると牛丼は吉野家ではなく松屋。
アポロは抹茶ではなく苺。
小石に至っては平べったい物ではなく厚みのある形の小石。
全てに於いてコーヤンの嫌な物だった。
特に小石については近所の川で水面を跳ねさせるにあたり平べったさは重要である。
怒りを越え、最早呆れるしかなかったコーヤン。
「お前は何年、私の弟子をやってきたんだ？」
すると、間髪入れずこの問いにアマピコは答えを返した。
「じゃあ、お前は今までに喰った米粒の数を覚えているのかい？」
生意気な笑みで質問に質問で返されて言葉が出ないコーヤンは「グ、グムゥ…」と唸る。
そんな師であるコーヤンを見ながらアマピコは嬉しそうに、同時に勝ち誇ったように見下しながら爪の伸びた指先をコーヤンの首筋に突き刺した。
「貧弱ッ！貧弱ゥ！貧弱ゥ！ウリィィィイイィィィッッッ！」
なんと！奇声をッ！上げながらッ！頸動脈からッ！血を吸っているのであるッ！
とても奇妙な光景だったッ！
何の副作用やねん！と、ツッコミをいれずには要られない髪型に変形していくではないかッ！
「俺は普通の髪型をやめるぞッ！シィショーッ！」
なんともオモロイ不思議で独特なヘアースタイルとなったアマピコの頭髪。
「師をッ！越えるのがッ！弟子の最大の恩返しッ！！」
干からびたコーヤンを見下ろしながらアマピコは静かにその場を去った。
彼は一体何処へ行くのだろうか？
行き先はただ一つ…

**名無し名人** · 2021/08/23(月) 04:40:40.88

尼崎の本サロに到着した
１万円で３０分ゴム有りで本番を楽しめるのがウリだが薄暗い部屋で体位を変えるときにコッソリとゴムを取り外して無許可で勝手に生挿入するのがマイブームとなっている
おかしなヘアースタイルなだけあってプレイスタイルも常人には理解できないがこれが名人位を獲得する男の感覚なのだろう

**名無し名人** · 2021/08/23(月) 14:55:51.32

その後アマヒコはイタリア・ヴェネチアへと向かった。

「マンマ・マーヤ」

洗練された街並みに思わずアマヒコもそう口ずさむ。
しかし、とにかく、エイジャの赤石を手にいれなければ…

**名無し名人** · 2021/08/23(月) 15:40:17.05

「あれっ、アマヒコさんじゃないですか？マンマ・ミーア！」
振り向くと弟弟子の古賀四段が立っていた。

**名無し名人** · 2021/08/23(月) 19:54:05.52

同時刻、日本の関東地方のとある場所で二人の棋士が盤を挟んで相対していた
上座に座っている先手の棋士は色黒で坊主頭に脂ぎった中年とおぼしき人物だが若い頃は早熟で軽快な将棋を指すことから「忍者流」「忍者屋敷」などと誰からともなく呼ばれていた
一方、後手はまだあどけなさも残る青年棋士である
棋界でも将棋ファンからもその棋風や名前から「忍者ハットリくん」と自他共に押し付けがましく公認化させている急成長株である
どちらが忍者に相応しいか名誉と誇りと生活と棋士生命を賭けて一戦交えていた

**名無し名人** · 2021/08/23(月) 19:57:45.75

盤上では駒達さえも忍者のように空中戦で飛び交っている
「俺のターン！セメタリー(駒台)から歩を召喚！そして敵銀の頭に歩を叩くぜ！」
色黒の中年棋士から歩の手裏剣が放たれた
これは将棋でいう毒入り饅頭でもある
迂闊に喰ってしまうと罠に陥る
だが青年棋士は肉を切らせて骨を断つかの如くカウンターで切り返す
「ここで俺のターン！この瞬間に自陣から飛車を発動！天王山に進めて待機させて機動力アップ！」
必殺の十字飛車で反撃を試みた
２５の桂馬と７５の角を５５の飛車が睨む
また、５１の金をも照準に入れていた
３３にある自分の角と天王山の飛車で金を狙い、角金交換しながら飛車を竜にパワーアップさせようというのだ
だが中年棋士は動じなかった
それも読み筋と言わんばかりに毒饅頭である歩の手裏剣を活用する
「かかったな！俺のターン！ここでトラップ発動！十字飛車で有利に見せかけて銀を奪い歩をトキンに昇格！」
老獪な一手であった
トキンが出来ただけではなく、銀を手に入れたことにより詰めろとなったのだ
受けなければ銀打ちから１３手の即詰みである
しかし青年棋士はこれも想定内というような表情で次の一手を放った
「俺のターン！この局面でこの角を切るぜ！」
切った角は直接王手となった
同桂と取るしかない中年棋士に対して…
「さらに俺のターン！桂馬を出陣！桂頭の桂だ！」
またまた王手がかかる
逃げ方を間違えたら詰んでしまう
右に逃げるか左に逃げるか二者択一である
まさに、カレー味のウンコかウンコ味のカレーか究極の選択を強いられた中年棋士だった
青年棋士の玉には詰めろがかかっている
正しく逃げきれば勝ちが確定する
１０秒将棋という短い時間内で答えを導き出せるかどうかの瀬戸際だった
残り１秒で意を決して指した中年棋士、それは…

**名無し名人** · 2021/08/24(火) 00:54:51.61

北海道の雄・屋敷伸之九段によく似たカンボジア人男性であった。
彼の名はグァン・パン、48歳のシャイな奴である。

**名無し名人** · 2021/08/24(火) 05:47:40.38

某県某市の外れにある山奥にはギギギの森というものがある
この森には棋棋棋の棋太郎とその父の児玉のオヤジが住んでいた
「おい、棋太郎！今日はワシが考案したカニカニ銀を教えてやるぞい！」
「はい、父さん！」
今日も今日とて親子二人で朝から将棋だ
近所に住む駒娘、駒棋爺、駒掛け婆も来ていたのだが朝食をとりながら観戦していた
彼等はまだ知らない…
これから起きる災難を。
事件は既に発生していたが、最初に被害にあったのは雁木小僧だった
命からがら棋太郎に救いを求めて棋棋棋の森を目指していた
その手には赤い文字で鬼と書かれた一字駒が握られていた
一体、何を意味するのだろうか？

**名無し名人** · 2021/08/24(火) 18:38:33.73

「き、君、大丈夫かい？」
通りかかった野月８段が声をかけた。彼はコンサドーレ札幌のゲームを観た帰りだった。
「これを…棋太郎に……ぐ、ぐわーっ！」
野月に「鬼」の駒を手渡すと、雁木小僧は血反吐をぶちまけ、あの世に旅立った。

**名無し名人** · 2021/08/24(火) 21:21:12.07

そんな雁木小僧の亡骸をを見つめる野月が何かの気配を感じた瞬間、どこからともなくおぞましい声が聞こえた
「鬼が来たりて駒が舞う」
雁木小僧にトドメを刺すため追ってきていたのは重厚な鎧を身に纏った悪魔のような男だった
その姿たるやドラクエのモンスターさえも野月八段に連想させた
「我が組織の鬼駒は死の宣告。赤き鬼の一文字を見たものには死あるのみ！」
雁木小僧の死を確認した追っ手は次に野月八段を標的と定め、じっと見据えた
「お前から大きな棋力を感じる。まさかプロ棋士か？」
野月八段は震えながらも答えた
「そ、そうだ！日本将棋連盟所属の棋士だ！」
少し股間が膨らんでいるが武者震いではなくモホ震いである
たくましい男を見るとムクムクと膨らんでしまう
「そうか、プロ棋士か。ならば貴様の棋力と俺様の鬼力、どちらが上か勝負といこうか！目隠し将棋でな！先手はくれてやる。かかってきな！」

悪魔の棋士があらわれた！
コマンド？

たたかう(指す)
にげる (投了)
ぼうぎょ(受ける)
どうぐ(オヤツ)

**名無し名人** · 2021/08/24(火) 21:44:19.30

その時、離れた場所にいた棋太郎の妖棋アンテナがたった。
「父さん！邪悪な強い棋を感じます！」　
「おい！棋太郎！急ぐんじゃ！」

この棋を感じた者が他にも何人かいた。
棋ッコロ「な、なんだこの棋は！？」
棋飯「でっかい棋が！まさかお父さん？」　
棋リリン「いや、邪悪な棋だぞ！棋空ぅーっ！早く来てくれぇーっ！」

**名無し名人** · 2021/08/25(水) 00:54:09.45

野月は逃げようとしたが回り込まれてしまった

もはや戦うしかない

腹を決めて勇敢に戦ったが悲しいかな…

野月８段は負けてしまった…

「おお！野月よ！死んでまうとは何事じゃ！」

所持金を半分奪われた野月は連盟の会長に説教をされてから改めて旅立った

棋力と体力を回復するため宿屋に泊まり朝を迎えた

「お客様、ゆうべはお楽しみでしたね」

ニヤニヤと笑みを浮かべる宿屋の主人を野月８段は無視して出発した

途中で武器屋に寄って『飛車のつるぎ』を買い、防具屋で『金将のかぶと』『銀将のよろい』『角行のたて』を買ったついでに道具屋では『桂馬のブレスレット』を買った

野月８段の旅は果てしない冒険である

**名無し名人** · 2021/08/25(水) 19:25:12.76

野月８段はレーベへと向かう途中小さな洞窟があることに気づいた。
もしかしたら、ハッテン場かもしれない。
そして、足取り軽くその内部へと向かうのだった。

**名無し名人** · 2021/08/25(水) 20:03:36.08

中にいたのは大男であった!

**名無し名人** · 2021/08/26(木) 01:49:11.18

大男はその名を神田多と言った
子分を数人従えている
この場所を拠点として何かの活動をしているようだ
だが野月８段は全く無関心である
ハッテン場でないのなら野月にとって何の意味も価値もないのである
時間とともに火照る肉体を野月は何とか咎めながら道なき道を進みゆく
やがて小さな村が視界に入った
この村はある宗教団体が根城にしている地図にもない村である
ここでは王無真理教の信者達が白い修行衣を纏って日夜怪しげな活動をしているのだった
「修業するぞ！修業するぞ！修業するぞ！」
「王手するぞ！王手するぞ！王手するぞ！」
「御布施するぞ！御布施するぞ！御布施するぞ！」
よく見ると王将の無い状態で将棋を指しているではないか！
王将が無ければ詰まれることがない
絶対に負けない将棋、これが真理だと言わんばかりである
その中に一風変わった身なりの、ボサボサの髪にモサモサの髭を生やした小汚ない中年男性が現れた
鋭い眼光で立ちすくむ野月を睨み付けたかと思うと突然ニヤリと笑い…
「ボアするぞ！ボアするぞ！ボアするぞ！」
と、喚きだしたではないか！
これを聞いた大勢の信者達が一斉に野月に向かって走り出した
そしてリーダーと思しき中年男性が歌い出す
「ひーとつ、ふーたつ、みっつ、よっつ、いつつー。わーたーしーはー知っているぅー、かーくーせーなーいー！」
そして信者達も歌いだした
「しょしょしょしょしょしょ、しょーぎー！しょしょしょしょしょしょ、しょーぎー！あっさっかっらっ、しょーぎー！」
迫り来る信者達に対して野月８段がとっさに取った行動は…

**名無し名人** · 2021/08/26(木) 16:10:38.51

変身！
であった。

「ムーンプリズムパワー！メークアップ！」

たちまち野月８段はミニスカートのセーラー服姿になった。

「将棋界の平穏を乱すカルト教団は、公益社団法人・日本将棋連盟に代わってお仕置きよ！」

なんと野月８段はセーラー・野ムーンだったのだ。

**名無し名人** · 2021/08/26(木) 16:19:32.45

｢野月さんがアレした理由はソレだったんですか!!｣
　
その声の主は……

**名無し名人** · 2021/08/26(木) 18:56:53.57

「砂糖のように甘い言葉で深夜に君を眠らせない」

この一文をキャッチフレーズにしている砂糖深夜、いや、佐藤紳哉その人であった。

野ムーン？ホモいよね。変身、セーラー、ミニスカ、好きが無いと思うよ。でも、俺ぁハゲないよ！ヅラだっ、ヅラ達が躍動する俺のカツラを魅せたいね。

そんな佐藤が阿鼻叫喚で野ムーンのアレにソレを感じずにはいられなかった。

ミニスカから伸びる両足の特に膝から下のスネ毛には吐き気さえ覚えさせる。

いつの間にか佐藤紳哉は蛇に睨まれた蛙のように固まっていた。

せっかく石田流三間飛車に組んだのに石田崩しで対応され動くに動けない、そんな気分に陥ったのだ。

これはもう桂(カツラ)を差し出すしかないとさえ思ったのである。

**名無し名人** · 2021/08/27(金) 03:39:55.03

この様子をとあるYouTuberが撮影していた
番組名を【むろかんなチャンネル】といい女流棋士２人が将棋に関する企画を進行する
近年、YouTubeを使って将棋の番組を出す棋士がプロアマ問わず増加の傾向にある
ちなみに余談ではあるが筆者も藤田葵とアズちゃん、更には山口恵梨子のチャンネルは登録していて将棋の腕前もウォーズとクエストの双方とも三段にまで到達したが、藤井くんブームで将棋を始めて約５年となる。
最初はどの駒がどう動けるのかすら知らなかった完全なる初心者だった。
ちょうど４５歳から始めて今では５０歳である。
居角党だが、振り角も愛用し、他にも振り飛車外熊、桂無双、先手番一手得飛車換わり腰掛け玉、袖角、端飛車中角、ゴキゲン中角、右四間角、遅石田流三間飛車、香多伝、飛車交換型向かい角、右四間飛車右美濃などなど多彩に採用して指しこなす。
普通の人とは少し異なる感性と大局感を持ち合わせる異能感覚を生まれつき備えていたようだ。
もし幼い頃から将棋に出会い指していたなら今頃はとんでもない事になっていたであろうと推測する。
もうひとつ付け加えるなら筆者はまだプロ棋士にも女流棋士にも負けたことがない。
生きてるうちに一度は彼等と対局してみたいものである。
指導ではなくガチでだ。
プロはプロが相手の時しか本気を出さないと、誰かが言ってたが眉唾物だと思っているが、読者諸君はいかが思うだろうか。

**名無し名人** · 2021/08/27(金) 13:55:02.33

何とも聞き慣れない戦法の数々に彼はパラレルワールドから迷いこんだ人間だと察知したのは大阪は西成区に在住の派遣社員だった
この男もまたアマ強豪の一人である
奨励会に入っていればプロとして活躍してたであろう逸材だが、家の事情で奨励会に入会を出来なかったという気の毒な経歴をもつ
それでも将棋が大好きで暇さえあれば三桂クラブという道場に足を運びひたすら将棋を指した
しかし大会などには出場することはなく、名誉や名声には興味を示さなかった
奨励会に入れなかった時点で全てを断念したからだ
だが将棋だけはやめられなかった
睡眠時間以外の全ての時間を将棋に費やしてまで将棋を極めようと、まるで将棋中毒に侵されたように将棋三昧で禄に仕事もしなかったし学校にさえマトモに通わなかった程だ
将棋バカを絵に描いたような、そんなアマチュア棋士がこの男である
今日も今日とて派遣の仕事を仮病でキャンセルして将棋道場に向かっていたが突然の目眩にクラクラしながら倒れた
薄れゆく意識の中、体が海の底へでも沈みゆく感覚を感じながら気を失った
どれくらい時間が経ったであろうか派遣社員の男は目を覚ました
辺りを見渡すと見知らぬ風景が目に飛び込む
全く覚えのない場所でここはどこだろうと思いながらもとりあえず歩き出した
古臭い木造の家、着物姿の人々、まるで京都の太秦映画村みたいな場所に戸惑う
よく見ると電柱ひとつない
おもむろにスマホをポケットから出そうとしたが失くなっていた
それに人々の服装や髪型、どう見てもオカシイし言葉も少々変だ
ここでやっと異変に合点がいった
タイムトラベル、自分は何故だが昔の日本にいる
のだと悟ったのだ
たまたま作務衣を着ていたし髪型は坊主頭、下駄を履いてたので外見で怪しまれはしなかったが
ある問題に気付く

**名無し名人** · 2021/08/27(金) 13:57:11.72

慌て財布を取り出すがやはり見慣れたお札と小銭だ
った
この時代のお金が無いと飯も食えないし宿もとれない
スマホは失ったが駒袋として愛用している小さな巾着袋はポケットに入っていた
布で作られた将棋盤も折り畳んで巾着袋に駒と一緒に入っているので賭け将棋で稼ごうと考えた
それで気が楽になった派遣社員は人通りの多い場所を探して歩き出したがすぐに見つかった
縁日で賑わう場所で老若男女たくさんの人が行き交う
今は何時代なのか、通貨は何なのかを知るために見て回る
街ゆく人々の会話を盗み聞き、買い物をしてる人々の支払いを盗み見て、どうやら江戸時代であること、通貨は両や文といった単位らしいと分かった
そして良い物も見つけた
現代でいうところのベンチだ
ここで縁台将棋をしよう
賭け将棋で稼げるだけ稼ごうと意気揚々と布の将棋盤を敷き、駒袋から駒を出した
この時代にはないプラスチックの駒、プラ駒だがまぁ大丈夫だろう
逆にこの珍しさを利用して自分に勝てばこの駒を差し出す、代わりに自分が勝ったら３文貰う
お金がある程度貯まるまでこれで行こうと決めた
客はすぐに現れた
そして勝ちまくったのである
不思議な駒でやたら強い奴がいるとスグに噂となり、見たこともない戦法や囲いで戦うものだから江戸時代の人々にあっという間に知られてしまう
次から次へと挑戦者が集まり大繁盛した
やがて一人のツワモノと出会う
その者の名は天野宗歩という
派遣社員は初めて出会うこの天野宗歩に緊張した
本で読んで名前を知っているし棋譜だって並べたことがある
江戸時代で最強とも言われたあの天野宗歩が目の前にいる
今まさにあの天野宗歩と一戦交えようとしている
派遣社員は緊張と不安、興奮と嬉しさの入り混じった妙な気分になったが、よし進化した現代将棋の凄さを見せてやるぞと気持ちを乗せて大橋流で駒を並べた
KKＳでいくか、ミレニアムでいくか、中座飛車でいこうか、松尾流穴熊でいこうか、右玉でやるかなど様々な考えが頭をよぎった
果たしてどんな１局となるやら派遣社員はワクワクドキドキである
振り駒の結果、先手は天野宗歩となった
さて初手は？

**名無し名人** · 2021/08/27(金) 16:51:43.29

▲１六歩
であった。

着手を終えた天野は静かに言った。

「ずいぶんと、遠いところから来られたようですね。元号は、なるほど、令和と言うのですか」

派遣社員はゾッとした。
（心が読めるのか？）

**名無し名人** · 2021/08/27(金) 18:29:04.04

派遣社員がゾッとした理由は心を読まれたかも知れない疑問よりも…
初手の端歩突きのほうが正しかった
昭和の時代でさえこの一手がプロの公式戦で指された時にはどよめきと批判の嵐だったのは読者の皆様も周知の事実だろう
それを江戸時代に江戸の天才棋士が採用したのだから観戦している野次馬達も口々にこの端歩に様々な意見を交わし「宗歩は一体どういうつもりなんだ？」とどよめいたが、一番驚きを隠せないのは当の対局者である後手番の派遣社員だ
振り飛車か？そしてこの端歩の持つ意味を既に知っているというのか？まさかこの江戸時代で既に気づいて答えに辿りついているとでも言うのか？
それともこの時代では誰も知らない戦法を使う自分に対して異端の将棋を指して対抗しようとしているのか？
いずれにしても天野宗歩という江戸の天才棋士が指したのだから絶対に何かあるのは否めない
しかし自分だって現代ではプロ棋士相手に指導対局で勝ち越す腕前だ
道場でも奨励会員達にも大差で勝ち越している棋力を身に付けている
初手端歩突きの▲１六歩そのものは恐くない
気になるのは天野が発した言葉「元号、令和」といったこと
江戸時代に元号という言葉はまだ存在せず、令和などそれこそ４００年後の現代でもまだ生まれたての言葉だ
何故この天野宗歩という男は知っているのだろうか
もし本当に心が読めるなら自分の考えなんか全てお見通しである
完全に咎められてまず勝てはしない
こうなれば勝つ方法はただひとつ、詰みまで定跡化されていて後手番が勝ちとなるアレを採用するしかない…
以前、鈴木という棋士が終わったとされる早石田を復活させたことがあり、それはたった７手でどうやってもその局面からは先手が勝つ、一つの将棋を終わらせたことがある
その名を新早石田流三間飛車
だが、あくまでも先手番の必勝作だ
今回は派遣社員は後手番なので使えない
だから詰みまで研究され尽くし定跡整備されたものを採用しようというものである
天野宗歩にはこの将棋で倒してやるぞと気を引き締めた
「全集中！深の呼吸、腹式呼吸法！」
そう唸るとスーハー、スーハーと深呼吸をした
さぁ、どんな将棋になるのか我々読者を沸かせてくれ！

**名無し名人** · 2021/08/27(金) 18:58:55.05

すると、私は△2四歩と指した。

**名無し名人** · 2021/08/28(土) 02:10:26.28

この私の一手を見た天野宗歩はそっと目を閉じる。
なかなか次の一手を指さないので野次馬達が囃し立て始めるが、ルールやマナーには少々五月蝿い私は野次馬達を一喝してやった。
数分が過ぎた時に宗歩が呟いた。
「どうやっても８２手目の貴方の放つ▲７二香で私は詰まされますね、参りました」
なんと、宗歩がいきなり投了したのである。
懐から一文銭を三枚、ゆるやかな手つきで出して盤の真ん中にそっと置く。
野次馬達は言葉を失い静寂となる
「遠いところから此処に来られた貴方に是非とも話したいことがあります。それも二人きりでです。今晩、子の刻にこの先にある寺にお越し願いたい。いかがですかな？」
この宗歩の申し出に派遣社員は即答で言葉を返す
「天野さん、あなたほどのお方に誘われては断る理由もございません。間違いなく参上いたします」
子の刻がいつなのか派遣社員はわからなかったが、とりあえず今から飯を食ってすぐに寺で寝て待てば良いかと思った。
夕暮れ時で辺りはオレンジ色、いや、ピンク色になっていた。
一旦お開きとして駒を片付けてから蕎麦屋で腹ごしらえをし、団子屋でみたらし団子を手土産に寺へと足を運ぶ。
やがて日も落ちて暗闇が辺りを包み出す。
この時代に外柱電灯など有りはしない。
現代では街中にいると絶対に体験することのない暗闇。
夜の闇はこんなにも真っ暗なのかと驚く派遣社員。
時刻は逢魔が刻。
この薄気味悪さといったら派遣社員には例えようがなかった。
本能で感じる、人間が持つ恐怖感。
さっさと寺で眠ろうと香車で突撃するかのようにダッシュで向かった。
たまたま寺の住職が門前にいて、理由を話すとしばらく休ませて貰えることになり、親切に布団を用意してくれたので客間で眠りに就いた。
棋士は尋常ならざる脳の使い方をするが故に、脳を休ませるためか１分と経たぬ内に深い睡眠状態に入る。
ちょっとやそっとじゃ起きない。
現代とは環境ががらりと変わり、不便や不満だらけのこの時代。
疲れかたも将棋だけが理由ではない。
慣れない環境での生活に四苦八苦な毎日。
こと死んでいるかのようにグッスリと眠るのである。

**名無し名人** · 2021/08/28(土) 02:21:08.70

ふと目が覚めた私は庭に出て、月明かりの下でタバコを吸う。
月の光は意外と明るく辺りをぼんやりと照らしている。
ちょうどタバコを吸い終わった時にあの男が現れた。
天野宗歩である。
ということは偶然にも今が子の刻とやらか。
私はペコリと会釈をする。
本当に天野宗歩がやってきた。
そして挨拶を済ませると宗歩は真面目な顔で本題に入ろうとした。
「実は貴方に私の秘密を知ってもらいたいのです。何故ならば貴方自身にも関係がある事だからです。それは…」
まだ少し寝起きで寝ぼけていた派遣社員だったが、宗歩の口からとんでもない事実を聞いて一気に目が覚めた。
「といった訳で、実は私も昭和のバブル全盛期の時代から大正や明治を越えてこの江戸時代にタイムスリップしてきて今に至るのです」
派遣社員と同じく無名のアマ強豪。
それが江戸時代にやってきて天才棋士として名を馳せていたのだった。
この驚くべき事実、信じられないが自分自身が令和からタイムトラベルしてしまった立場なので信じない訳にもいかない。
しかし一つの疑問が生じた。
この天野宗歩は一体何故、私が令和からやってきたのだと解ったのか？
昭和のバブル期にこの時代に来たのなら、令和どころか平成という年号、元号すら知らないはずである。
詰め将棋と同じく、この謎も解いてスッキリしないと気持ちが悪い派遣社員。
その真実に今まさにせまろうとした。

**名無し名人** · 2021/08/28(土) 04:27:52.16

「これは落とし物ですよ」
天野は派遣社員にスマホを手渡した。

「このスマホの形状を根拠に、まあ、令和だろうと当たりをつけた次第です」

「…しかし、それでは」

「ええ、その通り。私はタイムスリップを繰り返しています。平成、令和にも行きました」

天橋は月を見上げた。
そこはかとなく悲しい表情であった。

**名無し名人** · 2021/08/28(土) 04:43:12.83

そんな月明かりを見ているとふと　ある棋士のことが思い浮かぶ。
そうそれは桂ポン棋士　桂馬が飛ぶたびに桂を飛ばす彼のことである
解説に来ると毎回彼の滑り方を見て私を心を痛めるのだ
「せめて・・。」「せめて・・・。」
「せめてウケて欲しい！」

**名無し名人** · 2021/08/28(土) 04:45:13.73

おちんんちん、おちんんちん伸びろ！

**名無し名人** · 2021/08/28(土) 04:51:44.62

桑原桑原
東京リベンジャーズの
プロットパクリだべww

**名無し名人** · 2021/08/28(土) 18:12:40.03

「はっ！」

突然一つの影が二人を襲った。
とっさに派遣社員は天野を守った。

「何者だ！　貴様！」

それは女忍者・くの一であった。
くの一の忍び服は丈が短いため若干のマンチラが確認できた。

「あなたに名乗る名はないわ！」

くの一は叫んだ。

**名無し名人** · 2021/08/29(日) 05:52:06.16

くの一は続けた
「東京リベンジャーズのパクりというならば！東京リベンジャーズもまた群青戦記や仁(JIN)のパクりということ！それらさえもドラえもんのタイムマシーンのネタのパクり！タイムリープが題材なら全て東京リベンジャーズのパクりと申すか！」
ごもっともである
対戦格闘ゲームは全てイー・アル・カンフーのパクりとなるし…
全てのＲＰＧはドラクエのパクりとなってしまう
総てが世に一番最初に出たもの以外はパクりとなってしまう
こんな馬鹿が蔓延している現代社会からタイムリープしてしまったことは派遣社員や天野宗歩にとっては逆に良かったのかも知れない
だがしかし、命あっての事だ
理由もわからず突然襲われた天野ととっさに助けた派遣社員はくの一を見据えるのだった
天野宗歩(何故、私は命を狙われているんだ？)
派遣社員(まだこの天野宗歩から聞かねばならない事が山ほどある！死なす訳にはいかないぞ！)
そんな二人をくの一は冷酷な目で睨み付けるが、それは羽生睨みに勝るとも劣らない鋭き眼光だった
また、くの一の局部からは仄かにチーズ臭い匂いが漂う
危険なにほひ、悪魔のかほり。
まるで某女流がNHK杯将棋トーナメントで某熊坂棋士に喰らわせようとした物に類似していた
天使のように繊細に、悪魔のように大胆にそれを放っているのである
月明かりに照らされる一筋のクッキリ縦線はモッコリ土手マンに相応しいマンスジとさえ言えた

**名無し名人** · 2021/08/29(日) 15:48:12.68

桂ぽん棋士「そう私が変なおじさんです」
解説に来るたびに飛ばしているのにもかかわらず桂馬が動かないもどかしさ、
そしてある棋士がぽんきしという食事をしたことが彼を変貌させたのである。

**名無し名人** · 2021/08/29(日) 19:02:06.77

さて、ここで場面を一旦戻す。
飛車のつるぎなどの装備を一式整えた野月は体力温存のため徒歩から乗り物に代えた。
颯爽と列車に乗り込み景色を眺めていたが、いつの間にやら眠ってしまっいた。
終着駅のアナウンスで目覚めた野月はウトウトしながら下車。
見知らぬ駅。
如月駅。
「えっ？はぁ？きさらぎ駅だって！？」
野月は一気に目が覚める。
今自分が居る駅はあの都市伝説で有名なきさらぎ駅なのだからそりゃビックリたまげるのも仕方ない。
未だかつてこのきさらぎ駅に迷い込んで帰って来た者はいない。
いや、正確には若干いるが全員が気が狂ったりなど廃人または死亡していた。
この駅からは戻れない。
野月はしぶしぶと見慣れぬ田舎町を歩き始めた。
やがてトンネルが出てきて抜けると妙に古臭い感じの村に出た。
構わず進んでいくうちに現代日本ではないことに気付く。
これは一体？しかし既にきさらぎ駅に来てしまうという不思議現象を体験しているのでトンネルというワープ空間を抜けて過去の日本に迷い込んでしまったことはすぐに察知した。
さすがはプロ棋士である。
飲み込みが早い。
遠くに寺らしきものが見えたのでとりあえずそちらに向かった。

寺に着くと何か争っている光景が視界に入り、怒声が耳に聞こえる。
何事かと飛車のつるぎを構えながら進むと二人の村人が女忍者に襲われているではないか！
野月は走り出した。

**名無し名人** · 2021/08/29(日) 19:04:03.78

一方、派遣社員は天野宗歩を守りながらどうやってこの場を切り抜けるか、そればかりを考えていたがある事に気付いてくの一に問いかけた。
「何故お前は東京リベンジャーズとか知っているんだ？まさかお前もタイムリープしてきた別の時代の人間か？」
くの一はニヤリと不適な笑みを浮かべて喋りだす。
「よくぞ見抜いたな！私はタイムパトロールの裏部隊に所属する暗殺者！歴史の改変に繋がる者たちを始末して歴史を修正するのが任務！貴様らはこの時代に居てはいけない存在なり。憐れな迷い人よ、我が使命により始末する！」
細長い忍者刀を振り上げて、くの一は問答無用とばかりにきりかかった！
派遣社員がもう駄目だと目を瞑った刹那、かきーん！と金属音がした。
目をあけると何者かがくの一の攻撃を受け止めていた。
野月８段だった。
角行の盾で忍者刀を受け止めていたのだ。
そして飛車のつるぎで忍者刀を弾き返す。
くの一の手から吹き飛ぶ忍者刀。
「おのれ！何奴！」
くの一は野月を睨みつける。
野月は言った。
「何だか知らないが丸腰の者を相手に刃物で襲うとはこの野月は見過ごせない！」
野月の風貌を見てくの一は瞬時に悟る。
「貴様もこの時代に迷い込みし者だな！近いうちに始末してやる！それまで駒でも洗って待っておくがいい！キャハハハッ！」
そう言うや否や、煙玉で煙幕を出してその姿を闇に消した。
もう気配すら感じない。
野月は飛車のつるぎを鞘におさめた。

**名無し名人** · 2021/08/29(日) 22:26:36.30

野月が派遣社員と天野宗歩の無事を確認しようと歩み寄ったその刹那、
「すべて見せてもらったぞ！」
と突如大きな声が周囲に響きわたった。
驚いた野月達がその声の方を振り向くと、何とそこに居たのは

**名無し名人** · 2021/08/29(日) 22:39:00.25

遠山の金さんであった！
そして金さんは、なんとディープインパクトに跨っていた。
この馬もタイムスリップしてきたようである。

「神妙にいたせ！　このクソどもが！」

金さんがそう叫ぶと、ディープインパクトも一緒にいななくのであった。

**名無し名人** · 2021/08/30(月) 00:08:02.51

あまりに突然の遠山の金さんの登場に驚いて言葉を失う野月と派遣社員だったが、天野宗歩は金さんと同時代の人間なのか一切動じる気配を見せず
「遠山殿、我々がクソであるなら貴殿は一体何であるか！」と空かさずやり返した。
馬上の金さんは
「それに集るハエよ」と答えると、ディープインパクトも一緒にいなないた

**名無し名人** · 2021/08/30(月) 01:39:30.38

これが後の世に語り継がれる「クソバエ問答」であったことは今はまだこの場にいる誰にも知るよしはなかった
そんな彼らを明るい光が照らす
夜が明けて朝日が昇り始めていた
明るくなるにつれて全員の顔や姿がはっきりとしてくる
暗がかりでよく見えていなかった皆の顔
派遣社員は野月を見てビックリした
「あなたはプロ棋士の野月８段じゃないですか！」
しかしその野月も遠山の金さんを見て驚いた
「あなたは私と同じくプロ棋士の遠山雄亮六段！」
そう、遠山の金さんと呼ばれた男は棋士会副会長を務めるアラフォー棋士の遠山六段だったのである
遠山もまたこの時代に迷いこんだ一人だった
この江戸時代に一番早く来てしまい将棋で生計を立てていた
この時代の将棋仲間からは遠山の金さんと恐れられていて、金を使った受けと攻めに定評があるのだ
将棋指しである天野宗歩は勿論、この遠山の金さんを知っていた
まさかプロ棋士でタイムリープしてきたとまでは知らなかったが
遠山は趣味の時代劇を本場である江戸時代に来たことにより、遠山の金さんのコスプレを毎夜ひとりで楽しんでいた
この度たまたまこの場に居合わせた
これも神のイタズラか運命か
派遣社員、天野宗歩、野月８段、遠山６段の奇妙な出会い
共通点は二つ、ひとつは将棋が強いこと、もうひとつはタイムリープしてこの江戸時代に居ること
もし神というものが居るならば、神の与えた試練なのだろうか？

**名無し名人** · 2021/08/30(月) 02:25:51.77

読者諸君は夢てまは何か考えたことがあるだろうか？
眠っている時に見るのも夢。
理想や願望や目標もまた夢。
叶う、叶えるのが夢という人もいれば…
叶わないからこそ夢なのだという人もいる。

ジリリリリリリリリッ！

けたたましいこの音は目覚まし時計のアラーム音。
対局時計を叩くように目覚まし時計のボタンを叩くこの男は…

プロ棋士として活躍し、絶大な人気を誇っていたが家庭内の問題で数年後に引退することとなる橋本た崇載。
ハッシーの愛称で親しまれている。

「なんだ、変な夢を見たなぁ。野月先生や遠山先生が出てくるとかwww」

今日はNHK杯テレビトーナメントの収録日である。
起きたハッシーはインタビューのネタのチェックと練習を始めた。

「羽生さん？強いよね。序盤、中盤、終盤、隙きがないと思うよ。だけどオイラは負けないよ？駒だっ、駒達が躍動するオイラの将棋を皆さんに見せたいね」

ユラユラ、ユラユラ。

うむ、バッチリである。

ハッシーはシャワーを浴び、スーツに見を包んで収録場所へと向かった。
対局相手はあの羽生ヨッシャルだ。
なんとしてでも勝ってカメラ目線でドヤ顔をしたい。
そしてインタビューではお茶の間の将棋ファンを沸かせたいと思いながら歩を進めた。

**名無し名人** · 2021/08/30(月) 16:34:59.56

毎回お茶の間を失笑させている桂ぽん棋士は最近ふと考えるのである。
「ハッシー戻ってこい」H棋士への観察眼の良さと自分に対してのツッコミをしてくれる人がいるのとではやはり違うのである。
あのH棋士がぽんきしを食べているから強いもしくは結果を出しているのだから私も食べるべきなのか
無駄な悩みがまた渦巻くのである。

**名無し名人** · 2021/08/30(月) 20:54:35.66

連敗の長いトンネルを抜けると、そこは一面雪景色であった
連敗中、彼は周りが全く見えず、自分を完全に見失っていたのである
もがき苦しみ必死の思いで久方ぶりの勝利をあげると、
対局相手に一礼し感想戦もせず、一目散に駅に向かい電車に飛び乗ったのである
電車の座席に座ると、安堵感と対局の疲労で直ぐ深い眠りに落ちた
何時間たったのだろうか、電車のブレーキ音で目が覚めた
窓から刺す朝日が眩しい、、頭はボーっとしていたが、どこかで見た景色だと直ぐに感じた
そう、彼は生まれ故郷の北海道に帰ってきたのである

**名無し名人** · 2021/08/30(月) 21:38:54.44

「はぁるばる来たぜ函館～♪」
広瀬はマスク越しにそう口ずさむとリュックサックから駅弁を取り出した。
東京駅で買っておいただるま弁当である。

**名無し名人** · 2021/08/31(火) 10:07:14.99

誰かが言った

緻密で独特の思考と発想でプロのトップ棋士達をも薙ぎ倒し記録を次々と塗り替える若き最強の棋士「藤井聡太」がいると…

プロ棋士よりも強くなり更なる進化をし続けながら新たな一手や正確な評価値を弾き出す「ＡＩ」があると…

世は将棋時代、未知なる一手を探究する時代。

将棋のメッカ、将棋の町(ショーギシティー)と呼ばれるエリアが山形県にある天童市。

この町に一人の棋士が人知れずお忍びで訪問していた。

ほとんどの電柱やマンホールに書き込まれた詰め将棋を片っ端から楽しみながらこのショーギ・シティーをのんびりと巡りつつ、目的地に向かう。

将棋の棋士のことを「将棋指し」「将棋屋」などとも言うが、彼こそ将棋屋四天王と呼ばれるうちの一人である。

実は他の四天王の三人と落ち合うことになっていて隠密行動で足を運んでいた。

挑戦状

日本将棋連盟にとある悪の組織から挑戦状が届いたのだが…

決着をつけるべく四天王が秘密裏に駆り出されたのだった。

その悪の組織とは棋食会という。

**名無し名人** · 2021/08/31(火) 10:10:25.30

将棋で食べてる人間がプロ棋士であり、または賭け将棋を生業としている真剣師だが…

棋食会は令和に誕生した第三の将棋で食う集団である。

独自のＡＩ将棋を違法販売したり、YouTubeを利用して無許可配信したり、ネット将棋でソフト指しなどは当たり前。

町道場でプロを目指す奨励会員を負かして自信喪失に追い込んだり…

イベントに来たプロ棋士を指導対局や多面指しに参加して負かしてプロの評判を下げたり…

プロ棋士や奨励会員や普及指導員は出入り禁止の将棋居酒屋、将棋バー、将棋カフェなどを展開して顧客を奪うなどの悪の限りを尽くしている集団、それが棋食会という悪の組織。

そんな悪の集団がいよいよプロ棋士に総攻撃を仕掛けてきたのである。

将棋連盟に成り代わって将棋界を支配しようと目論んでいるのだ。

既にショーギシティーは支配下にある。

アマ連の強豪達が奮闘してはいたが結局は取り込まれてしまった。

そして魔の手はプロ棋界にまで伸びたのだ。

まだ世間は知らない。

将棋を嗜む者だけが知り得る状況。

世間を騒がす前に将棋連盟は四天王に咎める使命を与えた。

今まさに将棋戦後時代が幕を開けようとしていた。

**名無し名人** · 2021/08/31(火) 10:46:14.85

将棋戦国時代を早急に終わらせるために選ばれし四天王。

彼等の名は…

花村、瀬川、今泉、折田。

別名・編入組四天王とも呼ばれる者達だ。

果たして将棋屋四天王はプロの名と誇りにかけて咎めることが出来るのか。

プロとして恥ずかしくない結果を出せるのか。

プロの意地、プロの強さを見せつけ証明できるだろうか？

強いといっても相手は所詮はアマチュア。

全勝して当たり前ではある。

プロならではの成果を見せつけて欲しいものであるし、読者諸君も裏切るなよと思いを寄せていることだろう。

実力で規定内にて抜け出せず奨励会退会となっても将棋にしがみつき、わざわざ編入試験を受けてまでプロとなり、プロになってからは何の活躍もなく燻ってははいるが、それでもプロである。

**名無し名人** · 2021/08/31(火) 11:02:50.51

相手のドンが現れた!

なんとモリケンtvある候補手に無い手を指すとドーンとカミナリを落としてくる恐怖の大王である
ただし将棋は強くないただの観る将である

**名無し名人** · 2021/09/01(水) 03:34:56.34

「ここはオレに任せてください」
最年少、アゲアゲこと折田がズイと前に出た。
坊主頭のこの男、なかなかの迫力である。

**名無し名人** · 2021/09/01(水) 08:27:23.07

一番手は折田。
定跡通りに進行する矢倉戦も序盤から中盤に突入して駒が初めてぶつかった。
その時である。
対局相手は昔懐かしいウォークマンを取り出してイヤホンを耳に装着した。
大音量なため漏れた音が皆の耳にも入る。
その曲は棋士で一番歌が上手く、歌手では一番将棋が強いと言われて久しい内藤国雄の代表曲「おゆき」であった。
「キクーッ！来たぜ来たぜ来たぜ！ノってキタぜー！」
大人しそうな雰囲気だった男は突然にロックンローラーみたいな激しい態度となり攻撃的になった。
「ヤツの常套手段が出たか！狂人化したヤツにはプロさえも簡単には勝てまい！こうなれば藤井聡太でさえもな…ククク…」
そして難解な局面を制して相手玉を詰まし、討ち取ったのは棋食会の刺客だった。
花村「ほう、折田が負けたか…」
瀬川「しかし折田は我々四天王の中でも一番の新人若手棋士…」
今泉「四天王の本当の実力はここからよフヒヒ！」
次々と対局が行われたが四天王は全敗を喫した。
折田「そ、そんな馬鹿な！我々プロ棋士が！将棋屋四天王がたった一人の観る将に全敗させられただと！？」
当然である。
敵はソフト指しをしていたのだ。
ウォークマンのイヤホンの片側からは大音量の音楽を発していたが、それはカムフラージュ。
もう片側のイヤホンから仲間がソフトの導き出した手を知らせていたのである。
狂人化で態度を変えていたのもこのイカサマを成立させるための巧妙な手口に過ぎなかったのだ。
「さて、我々に敗北した憐れなプロ棋士の皆さん、こちらの勝利の証として利き手の人差し指を戦利品として貰いましょうかねぃ！」
そう言って刃物を取り出して見せつける。
四天王、最大のピンチである。
今泉に至っては泣き顔で土下座をしようとしていたほどだった。
この局面を四天王は無事に切り抜け生還できるのであろうか？

**名無し名人** · 2021/09/01(水) 08:54:03.40

山形県の天童市、将棋の町であるこのショーギシティーの別の場所では非常に不思議な体験をしている男がいた。
彼はコロナによる蔓延防止等緊急措置のため休業で時間と暇を持て余し、祖父の住むこのショーギシティーに来ていた。
祖父の家には代々伝わる将棋盤が受け継がれていた。
祖父は若い頃、この将棋盤でプロ棋士の升田幸三と対局したことがある。
記念に直筆のサインを将棋盤の裏側に書いてもらっていた。
そのサインになんとなく触れてみると男は何故か意識が遠のき気絶した。
夢の中で見覚えのあるオッサンが語りかける。
「将棋が指したい、ワシはもっと将棋が指したい。新手一生、まだまだ指し足りぬ。お前さんの体を貸してはくれぬか？将棋を指す時だけで構わん。ワシに将棋を指させてくれないか？」
男はこのオッサンが升田幸三だとすぐに気づき快く快諾した。
升田の霊が男に憑依した。
そして男は目を覚ました。
あらゆる感覚が研ぎ澄まされている、そんな不思議な感じの中、何かに導かれるように祖父の家から飛び出していった。
しばらくすると縁台将棋をする数人の人達が視界に入り、近くから眺めていた。
見覚えのある顔がチラホラいる。
四天王だ！
プロ棋士が誰かと対局しているのだ。
丁度プロ棋士が投了するところだった。
「負けました」
そして、勝った相手が四天王に指を差し出せと迫っているではないか！
男は考えるより先に走り出して仲裁に入ろうと歩み寄った。

**名無し名人** · 2021/09/01(水) 09:21:29.71

錯覚よくないよく見るよろし
そうつぶやくと盤面を指差したなんと金が5枚あるではないか!

**名無し名人** · 2021/09/01(水) 13:30:46.06

確かに５枚の金があったが対局中に指摘すれば反則を認められるが既に投了により勝敗は着いているし、そもそも気付かなかった事自体が有り得ない。
プロならば尚更だ。
今さら指摘しても後の祭りであった。
だが、仲裁に入った男はそれならばと急遽勝負を挑んだ。
四天王は止めさせようとした。
プロ棋士である自分達でさえ負けたのだ。
この勇敢な男がとても勝てるとは思わなかった。
しかし男は番の前にどっしりと座り臨戦状態になる
この時、四天王で一番年上の花村だけはこの男に不思議な魅力を感じていた。
同時に何故だかその姿に懐かしい感覚をも覚えた。
おもむろにタバコに火をつけて煙をふかす男。
すでに憑依した升田幸三がこの男を通してヤル気満々といったところだ。
「こやつらの指を持って行きたくばワシに勝ってみせよ！その時はワシの指もくれてやる！」
升田は憑依させてくれている男に断りもなく勝手に指まで賭けた。
これには棋食会の連中も笑いながら受けて立つ。
ソフト指しなのだから相手がどこの誰であれ問題なかったし、ましてや升田幸三だと知るよしもない。
こうして第五戦目が始まった。
採用した戦法は升田式石田流。
果たして勝負の程は如何に？

**名無し名人** · 2021/09/02(木) 02:20:22.78

序盤から中盤にかけては互角だったがジワジワとポイントを稼がれて升田は劣勢に傾いた
だが将棋の神の粋な計らいかどうかは分からないが敵はミスを犯す
仲間がソフトの示した一手をウォークマンのイヤホンを通して連絡したのだが升目を一路間違えて持ち駒を打ってしまったのだ
人間なら誰しもミスをするが観る将なら尚更だ
符号を間違えるなんて普通に起こる
４６角としたつもりが一路ずれて５６角と大悪手を放ってしまった
升田の霊はこのチャンスを見逃さなかった
痛烈な技をかけて大逆転に導く
相手は投了するしかなかった
「お前さんが負けた理由が分かるか？」
升田の霊は問いかけたが敵は無言のままだ
升田は続けた
「お主の敗因はな、ワシと戦ったことじゃ！」
そう言い残して四天王達のほうを見ながらウィンクした
そして升田の霊が憑依した男は立ち去った
新たなる敵、新たなる将棋、新たなる一手を求めて…

さぁ、升田の本当の戦いはこれからだ！

第一部　ｰ完ｰ

ご愛読ありがとうございました！
スレ主の次回作にご期待ください！

**名無し名人** · 2021/09/02(木) 02:26:48.17

序盤はほぼ互角、中盤にやや棋食会の男が優勢にたち、戦いは終盤を迎えつつあった。
その事実は文字通り升田式石田流の優秀性、ひいては升田本人の天才を証明していた。
本来ならば、勝負になる筈がないのだ。

（な、なんちゅー強さじゃ…）

升田は舌を巻き、劣勢を悟った。
その時だった…

**名無し名人** · 2021/09/02(木) 02:27:50.73

あ、書いてるうちに先をこされたわw

**名無し名人** · 2021/09/02(木) 03:03:11.30

僕は本をそっと閉じた。
「今週で終わったか」
某週刊将棋雑誌の将棋小説コーナーを読むのが僕の一番の楽しみだったが第一部が完結してしまい何だか寂しい気持ちになる
「第二部はあるのだろうか？再開するならいつから？早く升田の霊の今後の活躍を読みたーい！」
実は僕は升田幸三の大ファンで3間飛車を愛用し、升田式石田流は得意戦法だ
「よし、今日も寝るまで将棋だ！」
スマホを取り出して将棋ウォーズの本日分の無料３局を消化してから次に将棋クエストをプレイした
ちなみにレートは1705で三連勝している
次も勝って四連勝すれば念願の初段に昇段する
緊張しながらマッチングを待つ
「頼むから二段やら三段なんかとマッチングしないでくれよ？」
画面が変わって対戦相手が表示された
「うおぉぉぉっっ！」
僕は思わず叫んでしまった！
マッチングした今回の対戦相手、それはなんと！

**名無し名人** · 2021/09/02(木) 06:36:19.96

あなたのアカウントはＢＡＮされました

**名無し名人** · 2021/09/02(木) 09:22:53.45

などとなるわけもなく表示されたお相手は３０級。

これはお相手がアカウントを作って初対戦に僕が選ばれた訳だ。

初心者なのか、そこそこ指せる級位者なのか、かなり指せる有段者なのか、アマ強豪かも知れないし奨励会員かも知れないしプロの可能性も決して０ではないのだ。

昇級昇段のかかってる一戦でまさかの３０級。

どうか、どうか、勝てる範囲内の強さの人であってくれと願った。

対局が始まり僕が後手番となった。

なかなかお相手が指さない。

１分が経過した頃、やっと動きがあった。

画面に表示されたのは…

『対局者の接続が切れました』

さらに待つこと数十秒。

僕の勝ちが確定してあっけなく初段になってしまったw

運も実力のうち。

この対局で初段になる運命だったのだろう。

全裸であぐらをかいてた僕は肛門が括約筋でキュッと締まると同時に尻の筋肉でケツジャンプで飛び跳ねていた。

初段！初段になったのだ！

**名無し名人** · 2021/09/02(木) 12:18:58.97

やった！初段だ！とうとう俺は段位者になったんだ！！！

そう、思い起こせば本当に長い戦いだった。
今までどれだけの対局を勝ち、そして負けたきたのか分からない。

しかし初段になったこれからはもっと厳しい対局が増えるだろう。それでもきっと俺は指し続けるだろう……

そう、本当の戦いはこれからだ！

第ニ部　ｰ完ｰ

ご愛読ありがとうございました！
スレ主の次回作にご期待ください！

**名無し名人** · 2021/09/02(木) 20:07:49.91

第三部　

新世紀将棋伝説編

ｰ序章ｰ

時はまさに新世紀…
元号も平成から令和となった２０２１年現在。
将棋界では新たな伝説が始まっていた。
時代についていけないアナログな棋士は淘汰され消え行き…
最新のＡＩを活用して新境地に踏みいることの出来た棋士だけが生き残りを賭けて真の将棋戦国時代を群雄割拠していた。
そして蔓延するコロナ禍で病魔とも戦いながら棋士生命を賭けて…
将棋の対策と感染の対策に奮闘する辛辣な新時代の到来は…
まだまだ有能な棋士までをも淘汰していくだろう。
まさに、将棋の神に愛されし者だけが凌ぎを削るという事態が将棋界を新境地に向かわせていた。
その中でも数々の新記録を打ち立て、名声を欲しいままにしている棋士がいた。
その棋士の名を…

藤井聡太>>1へ進む
豊川孝弘>>22へ進む
杉本昌隆>>138へ進む
福崎文吾>>222へ進む

**名無し名人** · 2021/09/05(日) 13:35:04.89

とある山岳地帯に奇妙な物体がある
それはどう見ても現在の科学では実現不能なメカニズムで形成されていた
その物体からこれまた奇妙な生物が現れた
昆虫のような生物だが１メートルはあるだろうか
幼虫らしき姿のそれは地中に身を潜め、やがて蛹となり地上に這い出てくると脱皮をした
中からは人間と同じような姿の生物が出てきたではないか
しかしよく見れば皮膚は人間のソレではなく昆虫特有のもの
背中には羽根も生えていた
一体何の昆虫だろうか
一番しっくりくるのは蝉だろう
つまり、蝉人間である
蝉人間は自分の体を確かめるように見て動かしニヤリと笑う
「フハハハッ！長い眠りから目覚め成体となったぞぉ！あとは完全体となるため１７世名人と１８世名人を吸収するのみだ！まってろよぉう！ブルァアァァァッ！」
蝉人間は脱け殻を踏み潰してから飛び立った
実はこの蝉人間は人造棋士である
プロになれなかった者が数十年かけて作り上げた
そしてこの時代に送り込んだのだ
自分が奨励会を退会となった時間軸
この時代の全てのプロ棋士と奨励会員を倒し、自分だけが唯一のプロ、最強の将棋指しとなるために
蝉人間の人造棋士は製造者以外のプロやプロの卵、アマ強豪を根絶やしにするつもりだ
そうすればこの時代で自分が最強の棋士となる
もちろん人造棋士はこの時代の自分には勝てないようにプログラムされている
自分にだけは悪手しか指せないのだ
人造棋士が完全体になれば人間が勝つのは不可能である
現時点でも既に藤井聡太や七冠時代の羽生より強いのだが…

**名無し名人** · 2021/09/06(月) 07:16:05.20

「むっ！？」

谷川浩司はただならぬ気配を感じ、漕いでいたエアロバイクを止めた。

「谷川先生、どうかなされましたか？」

声をかけたのは先程までVSをしていた菅井八段だった。

「いえ、はは、まあちょっと、肉うどん膳が食べたいなと、そう思った次第でして…」
谷川は後輩に余計な心配をかけることを好まない。
ーその時だった…

**名無し名人** · 2021/09/06(月) 14:13:34.47

「ブルァアァァァッ！見つけたぞぉ！永世１７世名人！」

谷川の目の前に人造棋士が立ち塞がる

菅井八段は驚いて尻餅をついた

谷川は冷静に菅井を背にして落ち着いた口調で

「菅井君、早く逃げなさい」

そう言うと人造棋士に対して水魚のポーズをとりながら臨戦モードとなるが…

「ちょっと待った！」

颯爽と一人の男が谷川と人造棋士の間に走り込んできた

それは永世１６世名人の中原だった

「谷川九段、ここは私に任せて逃げたまえ！コイツは私が倒す！」

中原はまるで今にも突撃しまーす！とばかりに身構えていた

永世１６世名人ならではの迫力だった

「君と森内君がヤツに吸収されれば将棋界は終わる！まもなく永世１９世名人の羽生君も駆けつける！早く逃げたまえ！」

必死になる永世１６世名人の中原を見て愉快そうにしている人造棋士は数手先を読んでいる

(ほほう、１９世名人と１６世名人を吸収してパワーアップしてから１７世名人と１８世名人を戴くのも悪くないな！ブルァアァァァッ！)

**名無し名人** · 2021/09/06(月) 18:17:42.12

一方谷川は菅井とともに四国の饂飩で肉うどんを食っていた

**名無し名人** · 2021/09/07(火) 02:11:10.08

二人を安全な場所へ逃がした中原だったが、自身は人造棋士を前に、絶体絶命の窮地に立たされていた。
圧倒的なパワー、そしてスピード。

「おどろいたね…」

十六世はそっとささやき両目を閉じた。

（できることはやったのだ。将棋の神様もきっと褒めてくれるに違いない）

彼は覚悟を決めると、最後の時を待った。
その時だった…

**名無し名人** · 2021/09/07(火) 03:44:44.07

１６世名人である中原はプロ棋士ゆえのプライドでこの勝負にケリをつけた
この局面からはまず助からない
ダメだと思った時こそ本当にダメで素人から見てもダメなものはダメなのだ
閉じた両の眼を見開いてお茶を一口飲み…
「これで最後だ人造棋士よ！これが私の秘技！詰めろ逃れの…投了！負ぁけむぁしぃたぁーっ！」
右手を駒台に添えて軽く頭を下げて投了宣言をしたのである
ガックリと肩を落とす中原に対して人造棋士は無慈悲にこの偉大なる永世１６世名人を吸収しその頭脳に取り込もうとしたが…
ようやく到着した男が将棋の駒を投げつけて阻止した
駒箱ごと投げたのと、箱の角が人造棋士のチンコに直撃したことにより中原を手放して悶える
「ブルァアァァァッ！誰だ！」
この男こそレジェンドオブレジェンド、永世１９世名人の羽生ヨッシャル！羽生睨みで見据えている
人造棋士は羽生睨みから視線を外さずにチンコを擦りながら言った
「やっとお出ましか？待っていたぞぉ！カワイコちゃーん！詰んでやるぅ！お前の玉も詰んでやるぞぉ！ブルァアァァァッ！」
羽生は戦慄したが気を解放…いや、棋を解放した
「えぇ、まぁ、そぉですねぇー」
このとてつもない棋力はまさにマグニチュード…いやさ、ハブニチュード７を記録しようとしていた
いまだかつてない戦いが始まろうとしているのである

**名無し名人** · 2021/09/07(火) 11:14:55.30

この時の羽生は少し様子がおかしかった
いつもの彼ではなかったのだ
そう、広島カープの赤いキャップを被っていたのである
初心に帰るという意思表示であった

**名無し名人** · 2021/09/07(火) 11:29:47.86

いや、よく見るとカープの帽子だけではなかった。下はジーンズというおよそ棋士らしくない少年のような格好をしている。

怪訝な表情を浮かべている人造棋士に対して真っ直ぐ目線を投げかける羽生永世名人

そしてヨッシャルの唇が微かに動いた

羽生「……キハナツ」

人造棋士「えっ？」

羽生「ワカサトキハナツ！！！」

**名無し名人** · 2021/09/08(水) 00:51:09.00

賢明な読者諸君は既にご存知だろうが…

これこそが少年時代に全国の少年達、あのライバルの森内少年さえも震え上がらせた通称・恐怖の赤ヘルと呼ばれた姿である

香と歩という安い駒を巧みに使い、自在に相手玉を詰ますことから香歩＝恐怖と言われるのが所以だ

嫁のマンスジに手を添えて責めの手筋を連発し最後にはプルプル震える手を容赦なくポイントに「これで終わりです」と一撃を喰らわせる様はまさに永世名人に成るべくして成った恐怖の赤ヘルそのものである

メガネを拭きながら何かをじっと我慢している様子が伺える

いや、我慢しているのではない

溜めに溜めているのだった

そして初手を指す寸前にそれを解放した

「全集中！居飛車の呼吸！持久戦の型！初手２六歩の一手！」

さぁ、恐怖の赤ヘルが始動した

ゆけ！羽生ヨッシャル！

戦え！羽生ヨッシャル！

将棋界の未来はお前にかかっている！

次レスへ続く。

**名無し名人** · 2021/09/08(水) 03:04:10.47

勝負は１時間もかからなかった。

羽生少年は駒台から銀を取ると、頭上高くかかげ、しかるべき場所へと撃ち込んだ。

そう、5二の位置へ！

その瞬間、人造棋士はバラバラにブッ飛び、脳漿を撒き散らし、肉片と化したのだった。
まるで隅田川の花火のように……

「やったー！うれしい！」

返り血を浴びた中原が声を上げる。
それは人類の勝利宣言であった。

**名無し名人** · 2021/09/08(水) 06:18:42.30

という妄想が脳内をよぎったが現実は甘くない
羽生少年の服装で奮闘する永世１９世名人だったが恐怖の赤ヘル状態でもジワジワと差をつけられていき形勢は劣勢と追い込まれつつあった
現時点でも既にＡＩのほうが強いという現実
ましてや人造棋士は更に進化した数十年先の未来からやってきたのだ
百局指して１局勝てれば良いほうだろう
そして羽生が負けて吸収されれば文字通り「羽生の頭脳」をも人造棋士は身につけてしまう
どれくらい時間が経過したのか日が沈み月がやさしい光で照らしていた
棋士には月の光がよく似合う
月の下で羽生と人造棋士の二人の棋士は中盤戦から終盤戦へと駒を進めていた
この対局をこっそり観戦していた男がいたがタバコを切らし、ラインで仲間にタバコを買ってくるように連絡していたが未だに来ないのでイライラしている
つい思っていることを声に出してしまった
「えぇーい！ピースはまだかぁーっ！」
と、同時に羽生が大きな駒音を出して飛車を盤に叩きつけた
男の声すらもかき消すほどの力強き駒音はその大きさに恥じない格調高い一手だった
そして飛車は真っ二つに割れた
これには羽生自身も驚くが人造棋士は余裕たっぷりで新たな飛車を口の中から吐き出した
割れた駒をペロリと食べてしまい機嫌良さげに歌い出す
「おーおー！ヒィーシャ！待ってるかい？オーオーオーヒィーシャ！待っててねぃ！今置くよぅ！待っててねぃ！オーオーヒィーシャ！へヘヘッ！もーいーかい？フンッ！俺がぁ！置きに行くぅ！待ってろよぉ〜♪」
歌い終えると新しい新品の飛車を盤に置いた人造棋士に羽生は怯えている
まるで声優の岩本則夫に岩本節で煽られているかのようだった

**名無し名人** · 2021/09/08(水) 06:46:20.02

そんな折、関西将棋会館で対局予定だった男は福島駅で下車した、
が、何か様子が違う。
　
｢東北本線の福島駅じゃないか!!…｣
　
男は愕然とした、だが、対局は明日。
今日中に東京に引き返せばまだ明日の始発で間に合う。しかもまだお昼過ぎ。
｢これも何かの縁だ、福島の街を散策するのも悪くない｣と向かった場所は…

**名無し名人** · 2021/09/08(水) 11:28:00.47

駅のほど近くにある福島競馬場であった
「折角だから一勝負といきますかね。」

**名無し名人** · 2021/09/09(木) 03:01:51.86

男は売店で赤ペン及びエイト、並びにワンカップ大関を購入し、足取り軽くパドックへ向かった。

「さて、初手はどうしますかね…　えっ？　バカなっ！」
驚天動地、なんと馬の中に人間が一人混じっているではないか！
その男とは…

**名無し名人** · 2021/09/09(木) 06:57:26.89

名前を確認すると『シケンアナグマ』と名付けられていたこの男こそ…

**名無し名人** · 2021/09/09(木) 10:22:57.80

アナグマ王子こと

**名無し名人** · 2021/09/09(木) 11:52:55.34

又の名を馬○
そして実態は・・・

**名無し名人** · 2021/09/09(木) 12:32:43.07

ここで私はひとまずカバンから飴を出して口に入れてから一息ついた
とても美味いヴェルタースオリジナルに懐かしい記憶が甦る
お爺さんにとめての将棋を教わったあの頃を思い出す

私のお爺さんが初めて囲った囲い。
それは振り飛車穴熊で私は４才でした。
その囲いは堅くて遠くて、こんな素晴らしい囲いを教えてもらえる私はきっと特別な存在なのだと感じました。
今では私がお爺さん。
孫に教えるのはもちろん振り飛車穴熊。
なぜなら彼もまた特別な存在だからです。

懐かしさに感極まり私はいつしかうっすらと涙を滲ませながらあの馬面の男に視線を送っていたのだった

口の中の飴が溶け終わるまでいつまでもその男を眺めていたのだ

だって馬面だもの

みつを。

**名無し名人** · 2021/09/09(木) 18:25:57.46

まさかそんなはずはない。パドックの中に人間がいるなんて。
男は自分の目を疑いなら、一歩、また一歩と歩を進める。
パドックに近づいていくにつれて、その人間は胸と背中にゼッケンをしていることに気がついた。「センテスプリング」と書かれている。どうやら馬名らしい。
さらに近づいて馬面の人間をよくよく観察すると。。。

なんとそれは馬のマスクをした人間だったのだ！！！

そして男は、馬のマスクを付けた人間の周りにそれを撮影する新聞記者がいることにも気がついた。
これは一体どういうことなんだ？？？
首を傾げる男だったが、新聞記者が言った次のセリフで全てを理解することができた。
「渡辺王将！防衛おめでとうございます！満面の笑顔でこちらに目線をお願いします」
そうか！これは王将戦名物のコスプレ罰ゲームだったのか！

**名無し名人** · 2021/09/10(金) 05:30:02.17

「いよっ！王将っ！」

男もワンカップを掲げて囃し立てた。
渡辺は笑顔を浮かべ、頭をポリポリとかくのであった。

「まあ、藤井さん強いんですけど、私としては、できることをやっていきたいです」

王将の抱負の言葉で、会見は終了した。
その後、渡辺はパドックから出走ゲートへと赴き、ファンファーレをじっと待った。
どうやら走るつもりらしい。

**名無し名人** · 2021/09/10(金) 06:00:13.71

「シケンアナグマ」「センテスプリング」という名前のうちセンテスプリングは渡辺だと解ったが、ではシケンアナグマは一体誰なんだろうか

やはりあの男か？

その時、私のスーツの上着にある左内ポケットに入れていたスマホがブルブルと振動した
バイブレーション機能で何かの着信を知らせてくれている
メールかラインか電話かと取り出すとライン通知だった
少し前に私が送ったメッセージに対して返事が来たようだ
どれどれと開いて読んでみた

「ごめん。研究会には行けません。今、新賀ボウルに居ます。この建物を南北に横断するレーンを私は作っています。本当はあの頃が恋しいけれど…でも今はもう少しだけ知らないフリをします。私の作るこのレーンもきっといつか誰かのボールを転がせるから」

どうやらダブルワークでアルバイト先のレーン作りのほうが優先らしい
ふむ、彼らしいなと私は思いながらそっとアプリを閉じスマホをスーツの内ポケットに戻した
ふと空を見上げながら私は思った
どこにでも日本語が不自由で理解力の無い人はいるもんなんだなぁと
少なくとも前後の文脈くらい把握しろよと
統合性や整合性がなければ会話にすらならない
ましてや小説など書けやしない

さて、馬の中にいる男はシケンアナグマと名付けられていたが
それとはまた別にセンテスプリングというのもいた
それは渡辺だと判明した訳だが、ならばシケンアナグマのほうは誰なんだろうか
想像力が豊かな読者諸君にズバリ当ててもらいたい
賢明なあなたにはもう答えが出ていることだろう
私は期待に胸を踊らせながら次のレスを待つことにした

**名無し名人** · 2021/09/10(金) 06:43:04.51

毎回軌道修正ありがとうございます
いつも助かります
時々、前レス読んでいないのかリレーになってない事や辻褄の合ってないおかしな文章が発生してますが、その度に軌道修正して一本道に戻してくださってモヤモヤを解消しながら自分も読まさせてもらってます
どんな展開になるのか自分も期待していますwww

**名無し名人** · 2021/09/10(金) 11:36:26.46

という内容のメールが連盟に届いたことがある
つまり、これこそが>>1のメールであったのだ
なので当然ながら差出人は佐藤である
将棋連盟に所属する佐藤という苗字は複数いるが一体どの佐藤なのか？
パドックの中にいる男ではないのは確かであろう
そんなことを考えながら私は競馬場を後にした
次に向かったのはゲーム喫茶で私は冷コーを注文してタバコに火をつけた
今ではなかなかお目にかかれないゲーム喫茶だがこの店ではレートが１点につき１円、１０円、２０円の３種類の賭博ゲームが堪能できる
ポーカー、麻雀、エイトラインと何でもござれだ
そんな中、珍しい筐体をみつけた
これは賭博用ではないらしく店主が自分趣味で取り寄せたらしい
なんとオンライン将棋である
天下一将棋会と書かれたこのゲームに私はいささか興味が湧き、プレイ料金を店主に渡すとクレジットを鍵でカチャカチャと入れてくれた
少し料金投入口を改造しているようだ
店自体が違法賭博の喫茶店なため手を加えているのだろう
対戦相手が決まり対局が開始された
私はプロ棋士として負ける訳にはいかない
画面に向かって「お願いします」と一礼してから先手の私は▲７四歩と指してみた

**名無し名人** · 2021/09/10(金) 11:49:15.83

書き間違えました
７四歩じゃなく７六歩

**名無し名人** · 2021/09/11(土) 14:35:48.87

戦型はバイアグラ…じゃなくて相矢倉となった
横歩取りが将棋の哲学なら矢倉は将棋の純文学と言われ、矢倉を制す者は将棋を制すと言われた時代もあったとか無かったとか
私自身が最も得意とするのもまた矢倉だ
そんな私をあっという間に追い詰めた対戦相手にわはやむなく無念の投了をした
世の中にはとんでもないアマも居るんだなと思いながら気にしなかった対戦相手の名前を今更ながら見ると「デクシ」と表示されていた
私の脳裏にあのdcsyhiが浮かび上がる
将棋倶楽部24に突如彗星の如く現れて最強の名を欲しいままにしたあのデクシだ
まさか本人が復活したのか？
私はこの一件を「復活のＤ」と名付けて独自に調査することにした
未だに誰も知らないその正体、一体誰なのか？
私はゲーム喫茶を出てある場所へと向かった

**名無し名人** · 2021/09/11(土) 19:36:33.75

｢ソープランド、ソープランド、ヤッホー、ヤッホー!｣

いかがわしいネオンに誘われるまま意気揚々とソープに入ろうとして気が付いた。
ソープランドではなくソータランドだった事に。

｢いらっしゃいませ｣
出迎えたボーイ風の男の正体は…

**名無し名人** · 2021/09/11(土) 22:05:27.61

その男は褌姿であった
賢明な読者諸君はもうお気づきであろう
>>59で登場していた松尾歩であった

将棋版 リレー小説

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