困ったのは刑事だ。豊田章夫は石田ゆり子に聞いた。
「きみは本当に神を信じているのかい」
 石田ゆり子は答えた。
「はい。わたし、会いましたから」
「そうかい」
 そして、探偵が訪れた。探偵は名を鈴木一郎といった。
「わたしが事件を解決してあげましょう」
 鈴木一郎はいった。
 鈴木一郎の推理はこうだった。
 御神体が怪しい。御神体が木像ではなく、人であった可能性がある。教祖安倍晋三も、
二十六人の信者も(石田ゆり子含む)御神体を神だと信じていて、それで御神体がみんなを自殺させ、
石田ゆり子だけ生かして逃走した。
「なるほど」
「少なくとも、これが仮説として成り立つ以上、神の奇跡だと信じることはできないわけです。やはり、これは奇跡ではない」

おわり。