夜の帳が下りた街をワンピース姿の女の子が歩いていた。迷子ではないのか。頬に涙痕は見られない。その代わりに丸い膨らみがあり、左右に転がすように動かしていた。
 腕を大きく振った女の子は光の届かない路地へと向かう。前方から何かが擦れるような音がした。痩身の男の横顔が闇に浮かび、すぐに沈んだ。後には赤い点が灯る。
 街灯の下、女の子は足を止めた。赤い点に向かって声を上げる。
「そこのおじさん、飴玉をあげる」
 赤い点がぶれて追い払うような動きを見せた。
「おじさん、おいしい飴玉だよ!」
 女の子は声を張り上げた。
 闇の中から溜息が聞こえてきた。目を怒らせた男が弱々しい街灯の光に照らし出された。右手には火の点いた煙草を挟んでいた。
「おじさんは仕事の途中だから」
「この飴玉、おいしいよ!」
 女の子はスカートのポケットから飴玉を取り出し、男に差し出した。同時に自分の頬の丸みを指で示す。
「だからおじさんは忙しい身で」
「おいしいよ!」
 笑顔で迫る。男は諦めて飴玉を受け取った。女の子は何かを期待した顔で立っていた。
 二度目の溜息の後、男は包装紙を開けて飴玉を口の中に放り込んだ。即座にがりがりと噛み砕く。
「美味しいよ」
「そうだよね! バイバーイ!」
 体がよろけるくらいに手を振ると女の子は走り出す。別の路地に入った瞬間、笑顔が消えた。不貞腐れたような顔で先程の街灯に目をやる。
 一人の男が俯せに倒れていた。視認を終えるとスマートフォンに手早く文字を入れる。
『殺し屋Lだ。ターゲットを始末した。半金を指定した口座に入金しろ』
 依頼主への送信を終えると、女の子は路地の奥へと歩き出す。途中で飴玉を吐き出した。
「甘過ぎる」
 女の子は深い闇の中に戻っていった。

最後にワイも殺し屋で書いてみた! 所要時間は三十分くらい!
評価文章や修正案は時間がある時に読む! 急がなければ!(`・ω・´)ノシ