うんこうんこうんこうんこ、うんこうんこうんこうんこ、うんこうんこうんこ。
(以下省略)
 これはひたすら「うんこ」と並べることである種の……そんなものはあるのかどうか知らないか、ある種の効果を狙った、文学作品の冒頭である。
 それ以外の言葉は一切出てこないのだから徹底している。うんこという言葉のリズムがこの小説のキモだ。

 (以下批評全文省略)

 こんなものを批評する語彙は作者にはないので、一切を省略する。この作品がカクヨムで発表された時、ネットでは

「くだらねー」
「文学じゃねえだろこれ 草」
「俺でも書ける」
「ていうかこれ、何?」

 散々だった。いわゆる「コピペ」が作られ。
「うんこよりはマシ」というフレーズができた。まさしくその通りだ。何も言うことはない。
驚くべきことに、この言葉は今ではホモビデオからの引用の語彙よりも有名であり、頻繁に使われるのである。

 だが、この作品が芥川賞に選ばれた時……ネットでは嫉妬に狂った面々の怨嗟の声が……

 え? そんなわけがない? いくら小説だからって、やりすぎだ?

 んなこと知らねえよ。いやだって皆さん、よく仰言るでしょう?
 小説というのは、書いている当の本人が楽しむことが大事だって。
 読者を楽しませることより優先しろって、言うでしょ?

 本人が楽しんでいるんだからいいじゃない。
 うんこうんこって連発したら童心に帰れるし、誰しもそういう欲求は持っているでしょう?
 最も原初的で動物的な欲求であることはともかく。

 ならいいじゃない。本人が楽しんでいるんだから。何か問題ある? 否、何も問題はない。(反語表現)

 反響は凄まじかった。だが、結局世の中はこういうものを許さなかった。
 いや、どうなのか判らない。結局、車で轢かれて作者は死んでしまった。事故なのか、殺人なのか。警察でも両面から捜査されたが、結局判らずじまい、犯人も見つからずじまい。
 そして、作者の名前はさほど有名にもならず忘れられ、表現だけは残ったとさ。

 こんな作家にならないように、気をつけろ。ご用心ご用心。用心しないと、この通り。
 この小説は何かの……はっきり言っちゃうと「なろう作家」(ピー。音がズレている……。)のメタファー(隠喩)なんだけど、気をつけないと貴方も、あるいは貴女も、こうなってしまいますよ……ご用心ご用心。なんてね。

 売れればいいってのは、問題だなあ。