「ダメだぁ、煮詰まった!」
 万歳すると僕はパソコンをスリープ状態にしてふらりアパートの外に出た。
 こんな最悪な日は、コンビニに行ってJKをチラ見するに限る。あくまでチラ見だ。
別にお触りしたりスカートの下にスマホを忍び込ませたりするわけでは無いから合法だ。
チラ見を視姦と言い換えるだけで興奮度は増すけどな。
 
「いらっしゃせっー」「しゃっせー」
 この時間帯の店員は大学生らしきチャラ男二人組。
お前ら人生舐めてるだろきっと将来後悔するぞという感じのいい加減な挨拶に、
僕はいつもイライラさせられる。
 おっと、そんなことよりJKだJK。ファッション雑誌の棚にサーチアイを向けると、
運良く友達連れなのか三人組のJKがいた。しかも全員カワイイ黒髪だ。
 
 無言で近づく。
 
 ジャッ! 
 
 ――その一撃を躱せたのは本当に奇跡に近い。
間合い八十センチから繰り出された日本刀が僕の鼻先をかすめ、
切られた僕の前髪が宙を舞う様がスローモーションで見えていた。
「久しいのう、幸村」
 三人組JKの真ん中、その後頭部がぱっくりと割れたかと思うと、赤い牙を見せながらせせら笑った。
「信長……いや、第六天魔王! 生きていたのか!」
 総毛立つ恐怖。戦国時代に転移した僕がついに倒したはずの化け物がなぜこの現代に――。
 しかし、同時に僕は感じていた。生か死か。命をかけたバトルほど興奮するものが他にあるのか?
「出でよ、村雨!」
 僕は輝く妖刀を手にすると握手代わりに魔王に斬り込んだ。自分の顔が興奮と愉悦に歪んでいくのを感じながら。