>>236,247の続き
降って湧いた幸運、僥倖。
なんなら限度まで。10人死ぬことになるが、それと引き換えに俺は10億円を手に入れる。

押す瞬間、腕を掴まれる。

「寺生まれのTさん!どうしてここに!?」
T「ギリギリ間に合ったようだね。それを押してはいけないよ」

寺生まれのTさんは世界で一番信用の置ける人物だ。間違いない。

「お前!俺を騙していたのか?」
T「いいや、騙してなどいない。その男は真実しか口にしてない」

どういうことだ?
バレたりして逮捕されない、1万円札は全部本物。
タダで大金持ちになれるチャンスでしかない。
もはや、これから死ぬであろう人物のことなど佐藤の頭にはなかった。

T「それが間違いなんだ。ボタン1つで人が死ぬ。大金に目がくらみ事の大きさを君は忘れてしまっている」

綺麗事だ。
いや、違う。寺生まれのTさんは清濁併せ持つ傑物。この人に間違いはない。

一瞬、男のサングラスの奥の目。Tさんに向けられた視線に恐怖を感じるのであった。続く