そんな馬鹿な。それこそ聞いていない。説明には無かった。
ボタンを押す、人が死ぬ、1億円もらえる、ただそれだけだったはずだ。
俺の命を賭けるなんて話いったいどこから…。

T「もう1つ出してもらおうか」

黒服はポケットから何かを取り出した。目の前にあるボタンとそっくりな”もう1つのボタン”が机に置かれる。

佐藤「こ、これはどういう…」
T「次のプレイヤーのボタンさ。押されれば君は死ぬはずだった」
佐藤「はぁはぁ…じゃ、じゃあこの俺のボタンは前に押した奴と繋がっているのか…」

T「やっと理解したね。そう、これは紛れもないデスゲームさ。
  選ぶのは自分たち。他人の人生を身勝手な理由で奪う、欲に目がくらんだ【極悪人】をおそらく拷問して遊ぶ」

T「この男が資金源か知らないが、その金持ちにも最低限の良心はあるのだろう。やろうと思えば出来るが、無実である人間を痛めつけないほどの、ね。
 佐藤くんが助かるにはこれから先、ボタンを渡される人物のモラルに賭けるしかない。自分がやったように。だからこそ遊びだ」

めまいが襲い、意識が遠くなるのが分かる。
あと一歩でとんでもないことになっていた。こんなヤバい物を平気でプレゼントする奴が善良なわけがなかった。

続く