静岡県が県内工区の着工を認めないリニア中央新幹線を巡り、JR東海が主要論点となっている大井川の流量維持策として有力な上流ダムの取水抑制案の実現に向け、流域市町などと調整に入ったことについて、同県は9日、市町などと個別に接触しないよう苦言を呈する回答をした。その上で流域市町などでつくる大井川利水関係協議会の場で改めて説明するよう要請した。

水資源問題解決に向けた早期の取り組みを求める声が相次ぐ中での県の対応に、関係者は「引き延ばしとしか思えない」と話す。

取水抑制案を巡っては、工事中に湧き出た水の「全量」を大井川に戻すよう県側が要求。JR東海は代替策として、上流部の田代ダムの取水抑制をして川に水を還元することを提案。水利権を持つ東京電力側からは協議に入る条件として、県や流域市町など関係者の了解を取るよう求められたため、JR東海はそのための動きを開始していた。

県による回答文書では、県が事務局を務める同協議会の規約で、JR東海に市町などとの個別交渉を「遠慮するよう」求め、窓口の県を通すよう要請していることを確認。協議に入ることへの是非については触れなかった。