ノワールのおすすめは?02 [転載禁止]©2ch.net
なかなかスレがたたなかったので、僭越ながらたててみました。
パトリック・マンシェット、ジム・トンプスンが好きです。
最近ではウェストレイクの「悪党パーカー/人狩り」が面白かった。
みなさんのお薦めを教えてください。 ・『愛犬家連続殺人』志摩永幸(角川文庫)
後年、校正を担当していた蓮見圭一が自身の名義で『悪魔を憐れむ歌』(幻冬舎)と改題して出版したが
当事者本人名義の角川文庫版『愛犬家連続殺人』と新潮社版『共犯者』(山崎永幸名義)が存在する
内容はたぶん同一なので興味があれば、既刊三冊の内に手に入りやすいものを選ぶと良いらしい
実際に起きてしまった連続殺人の共犯者視点で描いたノンフィクションノベルとなっていて凄惨の一言に尽きる描写が続く
主犯の男がとにかく強烈で「俺は殺しの金メダル」「俺が今日死ぬといえば、そいつは今日死ぬ」などの
凄まじいセリフを軽口を扱うかのように描写されて、単純に読み物として惹きつけられる異質な存在感を放つ
・『掏摸』中村文則(河出文庫)
大江健三郎賞受賞のスリ師の青年が主人公の物語
正確には純文学なのだろうが、他人事のように淡々と語られるスリの描写はあきらかに犯罪小説であり
決して逃れることのできないうねりに飲み込まれていく様は国内でも充分にノワールが出来ることを証明してくれている
馳星周の暴力を主題のノワールとは違い、貧困やネグレクトなどの現実的なテーマが盛り込まれていて
「海外モノなら虚構として読めるけど日本が舞台だと重い」と感じる人もいるかもしれないので好みが分かれそう
2012年の「ウォール・ストリート・ジャーナル」でベスト10にも選出されたUSA!に認められた日本の犯罪小説
まあ実体は「このミス」程度だとしても読んでみるきっかけの一つぐらいにはなると思う
・『暗黒街の女』ミーガン・アボット(ハヤカワ・ミステリ)
貧しいが向上心が強い女のまえにギャングの女幹部が現れるという駄目な『プラダを着た悪魔』のような物語
女ボスに気に入られ仕事の手伝いをするようになるにつれ、主人公も裏社会で顔を知られるようになるまでに成長していく
英語ならではの言葉遊びは気障な印象も受けるが、女ボスへの愛憎や羨望などの心の機微はわりと丁寧に描かれている >>4
『悪魔を憐れむ歌』(幻冬舎)図書館で借りて読んだ
内容は面白かったが小説としては酷い
一番酷かったのは犯人関根元の要望を「泉野しげるに似た」と描写した点
まあ内容は面白かった
印象に残ったのは関根元が死体解体の一仕事終えて、若干ハイになりがら
唐突に「関根元、風の如し、風林火山」と呟くシーン
思わずふきだすと同時に、自分自身に幼稚に酔っ払いきって極悪の限りをつくす人格にゾッともさせられた
これがフィクションの描写だったら凄いけど、実話ならではのリアリティだよね 犯罪実録ものもっと教えて
新潮の北九州と凶悪は読んだ 初期の藤沢周平。「暗殺の年輪」「又蔵の火」「闇の歯車」辺り。
他にも「驟り雨」収録の「人殺し」とか。
一般的に人情物の人と思われがちだけど、実はジャパニーズノワールの大家だと思っている。
単なる血と暴力の見本市みたいなのとは、ひと味もふた味も違います。 >>6
コリン ウィルソンの「現代殺人百科」
興味惹かれた事件あればその事件扱った本を探す。
「殺人百科」に載ってたか忘れたけど
個人的にはフレデリック ウェストを扱った「恐怖の館」が印象に残ってる、つうか怖かった。 2000年ごろのこのスレの過去ログが出てくるので、その年近辺の
作品ばかり読んでる。
んで、ウェストレイク「斧」を読み終わったんだけど、面白かった。
再就職のため、ライバルを次々と殺害していく話。リストラも他人事
じゃないからやたら入り込んじゃって疲れた… 2000年ごろのこのスレの過去ログが出てくるので
↓
ググると2000年ごろのこのスレの過去ログが出てくるので
失礼しました。 学生時代まったく良さが分からなかったジム・トンプソンを
最近になって読み崩している
面白く読めるのはおれが落伍者のアル中になったからかもしれない サヴェッジ・ナイトを読んだ。三川訳ではないほうのやつ。
これはもうすげえな。トンプスンも好き勝手に書いてるが、
編集もよくこれを出版したな。当時の三流パルプはわりと
内容に関してゆるく、おおらかだったのかな?
でもこれをミステリが読みたいと思って買った読者は、
すげえ怒っただろうな。ミステリでもないし、ハードボイルドでもない。
犯罪小説とも少し違うし、どちらかというと風刺小説とかブラックユーモアに近い。
ラストの数章はひどく不気味。
主人公の見ている風景をなんとかこちらに伝えようとしているんだけど、
読んでいてよく分からない。ただ相当恐ろしい状況とずたずたに寸断された
内面のみが伝わってきて、この世の地獄に主人公がいることだけが分かる。
本を読んでて怖いなと思ったのはひさしぶりだった。 あと、言っとくけど、面白そうだな思ってもこれを買うのは少し考えた方がいいぞ。
ネットではトンプスンはなぜかプレミアがついて三川訳の「残酷な夜」なんて
嘘みたいな値段がついてるからな。図書館で読むか、千円以下で販売されていた場合に
金を捨てるつもりで買うのがいいぞ。どう考えても誰もが読んで面白いものじゃないからな。
おれも面白いかと訊かれるとよく分からない。
ただミステリのジャンルの中で突出して変な作家だと思う。もしかしたらトンプスン自身、
あまりミステリを読んでなかったじゃないだろうか。 どうも酒を飲んで文章を書くと変になるな。上のレスを読み直すと誤解を生みそうで、どうも気になる。
当時の三流パルプがゆるくおおらかだったのだろうか?と書いていると作中で
凄い残酷描写があるようにきこえるけど、逆なんだよな。ほとんどない。なさすぎる。
ふつうのミステリ作家だったら、どうしても色気がでて、読者に媚そうなんだけど、
トンプスンに関しては薬にしたくもない。とくにこのサヴェッジ・ナイトはなんつーか変なんだよな。
作品自体がなんだかアルコール中毒者の被害妄想みたいで、話の筋運びも渋滞したいきなり飛んだり。
たどたどしく進んでいってラストは捩じりきった切れっぱしみたいに無造作に終わる。
まあトンプスンの小説はラストはだいたいそういう風だけど、これはとくに奇妙な感じがする。