山下美月のソロデビュー [無断転載禁止]©2ch.net
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Beautiful Moon Under Mountain __ _,, _
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. ○っぱいも禁止! ,.彡 、 .、 、 .ヽ
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( `、 ハ 从-`ミミ-┘ ‐彡=ミ-、.{━ ヘ、
.ヘ .ヘ' ∨〉 l.,ィ'.ひハ ∪:::) .'.| .ヘ ヘミヽ
(⌒ヽ ヘ .ヘ .ノ 、 ヘ.弋:::::j. , `‐‐' .ィ 、ヘ ヘ '/
ヽ .\ .ヘ Y ..::.:} ヘ  ̄ __ .人 `ヽ、 { ,
.ヽ ` 、 ヘ .ヘ:/: >.ヽ .r´ .l ノ´ ,⊃:.....:) .`=イ
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..r' ` ` ‐- - ィ' ` マ__.{´:`<` ‐ ´.|..、::::`ヽ、\::::::}ノ, ィ
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ノ l -ァ、__,,.彡.ヘ'三ミ}:::::`ァ:7、::ノ'.ヘ:`´ノ
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. | / .j:::::::::l .| /、〈 \ 宅うちの前のだらだら坂を下りると、一間ばかりの小川に渡した橋があって、その橋向うのすぐ左側に、小さな床屋が見える。私はたった一度そ
こで髪を刈かって貰った事がある。
平生は白い金巾かなきんの幕で、硝子戸ガラスどの奥が、往来から見えないようにしてあるので、私はその床屋の土間に立って、鏡の前に座を占
めるまで、亭主の顔をまるで知らずにいた。
亭主は私の入ってくるのを見ると、手に持った新聞紙を放ほうり出だしてすぐ挨拶あいさつをした。その時私はどうもどこかで会った事のある男
に違ないという気がしてならなかった。それで彼が私の後うしろへ廻って、鋏はさみをちょきちょき鳴らし出した頃を見計らって、こっちから話を
持ちかけて見た。すると私の推察通り、彼は昔むかし寺町の郵便局の傍そばに店を持って、今と同じように、散髪を渡世とせいとしていた事が解っ
た。
「高田の旦那だんななどにもだいぶ御世話になりました」
その高田というのは私の従兄いとこなのだから、私も驚いた。
「へえ高田を知ってるのかい」
「知ってるどころじゃございません。始終しじゅう徳とく、徳とく、って贔屓ひいきにして下すったもんです」
彼の言葉遣づかいはこういう職人にしてはむしろ丁寧ていねいな方であった。
「高田も死んだよ」と私がいうと、彼は吃驚びっくりした調子で「へッ」と声を揚あげた。
「いい旦那でしたがね、惜しい事に。いつ頃ごろ御亡おなくなりになりました」
「なに、つい此間こないださ。今日で二週間になるか、ならないぐらいのものだろう」
彼はそれからこの死んだ従兄いとこについて、いろいろ覚えている事を私に語った末、「考えると早いもんですね旦那、つい昨日きのうの事とし
っきゃ思われないのに、もう三十年近くにもなるんですから」と云った。
「あのそら求友亭きゅうゆうていの横町にいらしってね、……」と亭主はまた言葉を継つぎ足した。
「うん、あの二階のある家うちだろう」
「ええ御二階がありましたっけ。あすこへ御移りになった時なんか、方々様ほうぼうさまから御祝い物なんかあって、大変御盛ごさかんでしたがね。
それから後あとでしたっけか、行願寺ぎょうがんじの寺内じないへ御引越なすったのは」
この質問は私にも答えられなかった。実はあまり古い事なので、私もつい忘れてしまったのである。
「あの寺内も今じゃ大変変ったようだね。用がないので、それからつい入って見た事もないが」
「変ったの変らないのってあなた、今じゃまるで待合ばかりでさあ」
私は肴町さかなまちを通るたびに、その寺内へ入る足袋屋たびやの角の細い小路こうじの入口に、ごたごた掲かかげられた四角な軒灯の多いのを
知っていた。しかしその数を勘定かんじょうして見るほどの道楽気も起らなかったので、つい亭主のいう事には気がつかずにいた。
「なるほどそう云えば誰たが袖そでなんて看板が通りから見えるようだね」
「ええたくさんできましたよ。もっとも変るはずですね、考えて見ると。もうやがて三十年にもなろうと云うんですから。旦那も御承知の通り、あ
の時分は芸者屋ったら、寺内にたった一軒しきゃ無かったもんでさあ。東家あずまやってね。ちょうどそら高田の旦那の真向まんむこうでしたろう、
東家の御神灯ごじんとうのぶら下がっていたのは」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています