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夏曲って正直つまらないからもう出さなくていいよね [無断転載禁止]©2ch.net
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0001君の名は(庭)
垢版 |
2017/07/12(水) 18:24:51.22ID:gwRj6X2Z0
量産型メロディーはお腹いっぱい
秋元康、夏だからって夏の歌作る安易な流れはもうヤメロ
0002君の名は(玉音放送)
垢版 |
2017/07/12(水) 18:25:23.77ID:JfILIaeL0
「あの声がほととぎすか」と羽団扇を棄すててこれも椽側えんがわへ這はい出す。見上げる軒端のきばを斜めに黒い雨が顔にあたる。脚気を気にす
る男は、指を立てて坤ひつじさるの方かたをさして「あちらだ」と云う。鉄牛寺てつぎゅうじの本堂の上あたりでククー、ククー。
「一声ひとこえでほととぎすだと覚さとる。二声で好い声だと思うた」と再び床柱に倚よりながら嬉しそうに云う。この髯男は杜鵑ほととぎすを生
れて初めて聞いたと見える。「ひと目見てすぐ惚ほれるのも、そんな事でしょか」と女が問をかける。別に恥はずかしと云う気色けしきも見えぬ。
五分刈ごぶがりは向き直って「あの声は胸がすくよだが、惚れたら胸は痞つかえるだろ。惚れぬ事。惚れぬ事……。どうも脚気らしい」と拇指おや
ゆびで向脛むこうずねへ力穴ちからあなをあけて見る。「九仞きゅうじんの上に一簣いっきを加える。加えぬと足らぬ、加えると危あやうい。思う
人には逢あわぬがましだろ」と羽団扇はうちわがまた動く。「しかし鉄片が磁石に逢おうたら?」「はじめて逢うても会釈えしゃくはなかろ」と拇
指の穴を逆さかに撫なでて澄ましている。
「見た事も聞いた事もないに、これだなと認識するのが不思議だ」と仔細しさいらしく髯を撚ひねる。「わしは歌麻呂うたまろのかいた美人を認識
したが、なんと画えを活いかす工夫はなかろか」とまた女の方を向く。「私わたしには――認識した御本人でなくては」と団扇のふさを繊ほそい指
に巻きつける。「夢にすれば、すぐに活いきる」と例の髯が無造作むぞうさに答える。「どうして?」「わしのはこうじゃ」と語り出そうとする時、
蚊遣火かやりびが消えて、暗きに潜ひそめるがつと出でて頸筋くびすじにあたりをちくと刺す。
「灰が湿しめっているのか知らん」と女が蚊遣筒を引き寄せて蓋ふたをとると、赤い絹糸で括くくりつけた蚊遣灰が燻いぶりながらふらふらと揺れ
る。東隣で琴ことと尺八を合せる音が紫陽花あじさいの茂みを洩もれて手にとるように聞え出す。すかして見ると明け放ちたる座敷の灯ひさえちら
ちら見える。「どうかな」と一人が云うと「人並じゃ」と一人が答える。女ばかりは黙っている。
「わしのはこうじゃ」と話しがまた元へ返る。火をつけ直した蚊遣の煙が、筒に穿うがてる三つの穴を洩れて三つの煙となる。「今度はつきまし
た」と女が云う。三つの煙りが蓋ふたの上に塊かたまって茶色の球たまが出来ると思うと、雨を帯びた風が颯さっと来て吹き散らす。塊まらぬ間う
ちに吹かるるときには三つの煙りが三つの輪を描えがいて、黒塗に蒔絵まきえを散らした筒の周囲まわりを遶めぐる。あるものは緩ゆるく、あるも
のは疾とく遶る。またある時は輪さえ描く隙ひまなきに乱れてしまう。「荼毘だびだ、荼毘だ」と丸顔の男は急に焼場の光景を思い出す。「蚊かの
世界も楽じゃなかろ」と女は人間を蚊に比較する。元へ戻りかけた話しも蚊遣火と共に吹き散らされてしもうた。話しかけた男は別に語りつづけよ
うともせぬ。世の中はすべてこれだと疾とうから知っている。
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