0001君の名は(地震なし) (8段)
2018/02/26(月) 19:25:45.740部屋中に散りばめられた山下美月の入輪は、外からの冷たい空気に刺激され、鋭く尖り、針のようになっていた。
それから暗い天井には、一つのオレンジ色の電球が輝いていたが、その光が無数の入輪の頭を照らして、
こまやかな細い影を、外側に向けて放射状に広げていた。
未央奈は眠っているようである。布団を身体に巻き付け寒さをしのんでいるようであったが、寝返りを打った拍子に布団がはぐれたのか、後ろ髪とお尻だけはあらわになっていた。
準備が整ったようである。
僕は机の上にのぼり、バランスをとりながら立ち上がり、そっと天井を見上げた。
見上げる一面には、満天の星空のごとく細やかな入輪の世界が広がっていた。
入輪全体が照らされている光源のあたりはそうでもないが、一定の距離を離れたある場所からは入輪の先の部分だけが照らされて、
星のような一点の輝きとなり、入輪はまた濃淡をつくりながら配置されているので、星雲や天の川があるように見えた。
“このなかにひとつだけ、母乳がでてくる入輪があるらしい。”…
そう書いてあった5chの書き込みを信じて、僕はここまでやって来たのだ。
数ヶ月のあいだ夢みてきたことが、いま目の前の一歩手前に迫っていることに大いなる喜びを感じて、僕は心のなかで有頂天になった。
ただ母乳が出てくると言っても、母乳が出てこない入輪とは外形がそう変わらない。
どちらの入輪も、同じ薄ピンクの綺麗な見た目をしているのだ。
VIPQ2_EXTDAT: none:default:1000:512:----: EXT was configured