【十年】 それでも なんとか 生きてきた 【一昔】 [無断転載禁止]©2ch.net

1キム・メイシンガー2016/05/04(水) 23:59:48.89ID:EDWUqhh0
2005/10/29(土) 00:03:30



たとえば一陣の風

私を取り巻くものは動いているのだという証拠

何も変わっているように思えなくとも
この身の心臓は身体中に血液を廻らせ
それは『私』を刻一刻と変えている

ゆるやかな時の流れ
息を吐き息を吸う私

時間と空間の閉鎖世界で
イキづく私



すべてはここから始まった。

2キム・メイシンガー2016/05/05(木) 00:10:57.03ID:9Dndes65
2005/11/18(金) 19:27:34



『おでん』

おでん三度目
中身たいらげては汁を足し
具材を入れて
おでんばっかり食べている
美味くて美味くて
ここ一週間
飽きもしないで
おでんばっかり食べている
広いテーブルの上にあるのは
ぐつぐつ煮えたおでん鍋と
皿と茶碗と箸と湯呑みがワンセット
それでもおでんを食べている
鍋料理
遠ざけてた月日の分だけ食べている

泣きもしないで食べている

空の椅子に座っていた人と一緒に
四年分食べている

3キム・メイシンガー2016/05/05(木) 00:27:58.92ID:9Dndes65
2005/11/17(木) 20:03:59



『みなし児気分の夜に』

今日の夜も一人

誰かにゆっくりゆっくり
何度も何度も頭を撫でられたい

電灯の下
閉じた瞼に
寄り添う人の影を
体温の揺らぎを感じたい

大丈夫 大丈夫
と私の頭を撫でて

大丈夫 大丈夫
と私の頭を撫でて

みなし児の私は
うつらうつら
家族が取り巻く夕餉のテーブルの夢へと向かっていくでしょう

4キム・メイシンガー2016/05/05(木) 01:14:25.84ID:9Dndes65
2005/12/04(日) 23:10:01



『芥子の実』


キサゴータミーよ
死した我が児を抱き
町を歩き続けた若き母よ

「芥子の実をください」

うだる熱気はいともたやすく
懐の柔肉を溶かしただろう
真白き布で被うとも
数限りなく蝿はまとわり
たちのぼる腐臭に犬どもが
空腹の呻きを発しただろう
ただれた我が児の再びの呼吸を
まことに望んでいたのか

「芥子の実をください」

家々に芥子の実はあれど
家々には幾代もの人影が遺っている

「芥子の実をください。死者を出していない家のお方」

知っていたはずだ
そんなものなど無いことは
歩きたかったから歩いたのだ
胸の中の愛しき者が
崩れ果て骨だけになろうとも
離したくなかったから離さなかったのだ

「芥子の実はありません」

釈迦の思惑にしたがうキサゴータミーよ
私には今も
不安と絶望と焦燥と憤怒とやるせなさに追い立てられ
涙に涙を流し
腫れた足に血を引きずりながら
家々の戸を叩く
腐れた我が児を抱えたおまえが見える

5キム・メイシンガー2016/05/05(木) 01:24:23.76ID:9Dndes65
2005/11/24(木) 15:18:11



『タロよ』

タロよ
私が死んだら
私をお食べ
わしわしがぅがぅぐぬぐぬと
私をお食べ
おまえの好きなこの指の
ほんとの味をあじわいなさい

私の亡き骸は
使い用ない抜け骸だから
おまえの腹を満たしたい
焼いて捨てるなんて勿体ない
バチあたります

タロよ
神の子にあらず
仏にもならぬ私を
食べてくれるのはおまえだけ

私をつくった人はもういないから
おまえがお食べ
とりあえず
生きてることに感謝して
ばぎぼぎべりばりずずずりと
骨の髄まで食べなさい

6キム・メイシンガー2016/05/05(木) 01:34:09.59ID:9Dndes65
2005/12/10(土) 12:51:33



『寝所にて』


死ぬも生きるも身ひとつのことなれば、不測の事態いつ起こるやもしれず、何があろうと悠然泰然、慌てふためき見苦しき様の無きよう、日々是れマメにつましく過ごさんと願えども、いかんせん暢気、もしくは怠惰、あるいは悄然、まさかの豪胆、//
年新たなる時節においてなぜにこのザマ、家人幾たり、玄関に打ち捨てられたる履物しめて九足、うち真夏のサンダルしめて四足、台風のさい骨折れし傘だらんと立ちて、折り目正しき新聞紙、チラシくわえたるまま積み重なる廊下は真白、//
控え座敷に置きし衣裳吊るせし衣裳の半袖目に痛く、羽根うっすらと埃まといし扇風機さらに痛く、寝所の畳、コミック雑誌書籍書類郵便物にて、坐して半畳寝て一畳を残すのみ、知識情報の混沌混濁目に痛く、はなはだ痛く、//
焦燥ひたひた湧きあがり、未開封郵便物のその一通、ゆるゆると口切ればまろびでる督促の文字、我が身ひとつのことなれど、金のことやら、金のことやら、金のことやら、すなわち金のことで、こころ落ちつけるはずもなく、//
封書一通かたづきしのみで、あとはただ金金金、金のことを考えて、ぼぉと座れば、悠然泰然、ただひたすら、こころ落ちつける場所ほしく、こころ凭れる人ほしく、赤児のごとく無心に涙す。

7キム・メイシンガー2016/05/05(木) 01:44:43.96ID:9Dndes65
2006/01/18(水) 22:10:22



『波打ち際』

私は今も波打ち際にいます
テレビを観ていた居間から
突然ひきずりこまれた大海原
そのしぶきの中で
夕焼けを見ています

白く薬品くさい流木に乗って
二人助けを求めた日々
あの人のお腹の鉛は重量を増し
散弾銃のように砕け散り
漂流一年目のきさらぎの朝
別れの言葉もなく
あの人を水底へ沈めました

そのあと起こった嵐に
記憶はうすぼんやりと途切れがちで
たしかなことは
私は一人浜辺に打ち上げられたということ

たまに通りすがりの人達が声をかけてくれます
二人連れのくせに

波しぶきは私を海へ誘う時もあり
追い立てる時もあり
どちらの時も私はじっとして
砕ける波の音に耳を澄まし
口もと流れこむ潮をあじわっています

あの人に言いたかったのは
ありがとう
それが言えず今日もずぶ濡れで
浜辺にすわっているのです

あなた
夕焼けがきれいです

8キム・メイシンガー2016/05/05(木) 02:01:28.51ID:9Dndes65
2006/



『鉛』


いつまでも波打ち際にいたら、体乾くはずないとわかってるけど、足立たなくて、動けなくて。嘘。
家で二人でテレビ観てたら、あの人、おなかが痛いと言って。鉛ができたと言って。そしたら急に雨雲おりて、雷おちて、まばたきごとに景色変わって、高波があたし達を一面の海へひきずりこんだ。
あたし達は手をつないで立ち泳ぎして、つかまる物さがして。泡たつ波の中、なにやら白くて薬品くさい大きな板流れてて、それに乗っかって、とりあえず沈むことはないと。
なんでこんなことになったのかと、言ってはみたけど、なってしまったものは仕方がない。二人、がんばろうねと励ましあって、陸探して、でも一面海。見上げても雨雲ばかりで、鳥も飛んでない。寒くて背中痛くて泣きたくて、だけど泣くわけにはいかなくて。
ほら、どう見ても、あの人の座ってる方が沈んでる!おなかの鉛が大きくなってる!あたしは、大丈夫としか言えなくて、あの人はうなづくだけで。こんな板、こんな板、船じゃないと駄目。舵と海図と磁石ついてないと駄目。
あの雲の上には青空が広がってるはず。この水の果てには陸地があるはず。そこへ行きたい。帰りたい。テレビの続きが観たい。あの人は板の上、おなかに手をあて、海面じっと見てるだけだった。
二人言葉もなく、そんな時、雨雲に縄梯子見えた。助けだよ、助けだよ、助かるんだよ。あたしの声にあの人顔あげて、そしてその眼は輝いた。人間の眼ってね、ほんとの絶望のなかにいるときに救いがみえたら、ぱっと変わるんだよ。
あたしそれ見て、あの人の絶望の深さ知って、でも縄梯子、流木が絡まったもので、波に放りあげられたもので、ひとときそう見せただけで、また海に落ちていった。
薬品くさい板の上、あの人かなしく笑って、ずるずるすべって、あたし、あの人の腕つかんで、落ちないで、落ちないでと。でもあの人、おなかに手あてたまま海じっと見て、海の底じっと見て、・・・とぽん、沈んだ。
あたし、あの人の腕つかんだままだったのかな。よく覚えてないんだ。風吹いて波うねって、もう白い板はなくて、頭ぼぅとして、ぼぅとしたまま、気がつくとずぶ濡れで浜辺にいた。

9キム・メイシンガー2016/05/05(木) 02:05:34.83ID:9Dndes65
2006/



(続き)


体乾かないよ。だって波打ち際だもの。え、どうしたのかって?座ってるのよ。それだけよ。二人連れのくせに話しかけないでよ。夕焼けだ。晩ごはんの時間。ほしくないや。テレビもいらない。波しぶき浴びてたいの。ずぶ濡れでいたいの。
あの人と鉛、どこまで沈んだんだろう。あたし、手、離したのかな。

10キム・メイシンガー2016/05/05(木) 02:20:23.59ID:9Dndes65
懐かしい。
懐かしい。

みんなに会いたい。

11キム・メイシンガー2016/05/05(木) 22:35:26.47ID:9Dndes65
2005/12/17(土) 04:15:22



もう駄目かもしれないと思う夜
眠るという、ただそれだけのことが困難で
子供の頃はどうやって眠っていたのか
どうやって、などと考えもせず
枕に頭をのせれば
レールをすべる列車のように
スコンと眠りにおちていた

もう駄目かもしれないと思う夜
誰かにきいてほしくて
もう駄目かもしれないと

12キム・メイシンガー2016/05/05(木) 22:41:35.05ID:9Dndes65
2006/02/15(水) 22:13:22


『枕をひとつ』


語るほどの人生でもなし
去りがたきほどの舞台でもなし

遊び足らぬおさな児の
ぐずり泣き程度にはかなんで
キャラメルみたいなあの墓に
俺も静かにはいってゆこう

枕をひとつ抱えてさ

13キム・メイシンガー2016/05/05(木) 22:44:42.47ID:9Dndes65
2006/04/07(金) 04:01:55



『飯と布団と』

寂しいんですか
寂しいんですか

それでも生きているじゃありませんか

飯はうまいじゃないですか
布団はあたたかいじゃないですか

寂しさも
うまくてあたたかいものかもしれませんよ

いただきます
おやすみなさい
寂しさくんもまた明日

14キム・メイシンガー2016/05/05(木) 22:47:26.07ID:9Dndes65
2006/05/18(木) 13:23:35



『蟹』

三日続けて蟹の夢をみました
まだら赤いとげとげした蟹が寝ている私の口元に寄ってきてキスをしようとするのです
生臭い息を吐きねばい泡を盛り上げ鋏を鉄槌のようにかざし迫ってくるのです
一日目二日目はなんとかかわせましたが
三日目とうとう蟹の泡が唇にふれそれと同時に蟹の芥子粒ほどの目が飛び出し一瞬光り固く閉じていたはずの私の唇から泡はするすると喉元おちてゆきました
それ以来蟹の夢はみません
いつものように暗闇だけが残る夢にもどりましたが胸やけがするようになりました
いよいよ私の体内にも蟹の卵が着床したのでしょうか
父と母と祖父を喰らった蟹
今また私を喰らおうと細胞の奥深くもぐりこみわらわらと肉を穿つ爪蠢かすその時を待っているのでしょうか
カーテンを開けると大学病院が今日も病める人を飲み込み吐きだし増殖しています
やすらぎの園
という病棟ができたそうです
私は映画館で死にたいのに

15キム・メイシンガー2016/05/05(木) 22:50:59.51ID:9Dndes65
2006/06/11(日) 23:01:36


『思い出』

思い出は
砂時計のなかにある
さらさらと
くりかえしくりかえし
流れる

16キム・メイシンガー2016/05/05(木) 22:53:43.35ID:9Dndes65
2006/06/14(水) 21:34:09



もろくも過ぎゆく日々の荒野に
砂時計がひとつ
おだやかな光をたたえて
思い出の時をくりかえす
さらさらと
私の涙を呼びさまして

17キム・メイシンガー2016/05/05(木) 22:56:16.71ID:9Dndes65
2006/06/27(火) 14:38:39



『希望』

梅雨の晴れ間に陽ざしはあふれ
公園のベンチの背もたれがやけに心地よく
希望
とはこんなものなのかもしれないと
しろ、あか、あお、
おもたげに咲きほこる紫陽花のあざやかさに
笑みもこぼれる
明日ふたたび雨が降ろうとも
晴れ間にはベンチの背もたれ
身をあずけ
わたる風にこうべを上げて
光のしるべをとらえられますように

18キム・メイシンガー2016/05/05(木) 22:58:54.28ID:9Dndes65
2006/08/14(月) 21:43:59



『靄』

忸怩たる思いにとらわれて
煙草をくわえ寝転ぶ
そよとも動かぬ空気の中を
靄のような煙が昇っては消えてゆく
鈍重な眠気が眉間に槌を打ち込んでいる
安眠の気配はない

失くしたものを振り返り振り返り
答えのでない問いかけを繰り返し繰り返し

もうあの人の時間は終わったというのに

連綿と悄然と
記憶の靄は日々をつらぬくばかりだ

19キム・メイシンガー2016/05/05(木) 23:01:03.76ID:9Dndes65
2006/08/14(月) 21:46:06



『お茶碗』

最後の日には
お茶碗を投げるのです
帰ってきても
もうご飯は食べられませんよと
お茶碗を投げるのです

灰と煙になるために
旅立つ人の棺に向けて

現実ですか
まやかしですか
浮き足立った嵐の中を
別れのセレモニーは進んでゆく

心ならずも
帰ってきてはいけませんよと
空に放ったお茶碗は
さよならなのか
いましめなのか
地に落ち
つんざく悲鳴をあげて
あっけなくも割れました

“帰ってくると思ってはいけません”と

20キム・メイシンガー2016/05/05(木) 23:04:04.73ID:9Dndes65
2006/10/22(日) 18:34:30



『郷愁』


虚空にぽかり浮かんだ月は

こころぼそげに地球をてらす

 るりりるる りり るるりる りるり り

 りる るりりるり りりりりる るり り

かえりたいよと泣くのだ 月は

声もたてずにぽかりと 月は

21キム・メイシンガー2016/05/05(木) 23:13:55.39ID:9Dndes65
2007/04/09(月) 23:11:12



『棺おけ荒野に引きずって』

棺おけガタガタ引きずって
やたらと空のひろがる荒野

まだ埋められんがな

ときどき蓋がひらいて父が言うんよ
「あんたおおきに」
泣きたあなるわ

母が顔みせたら棺おけすかさず岩にぶつけるんじゃ
あいつには出てきてほしないけん

みぃはいまでも「ちくわくれ」と鳴きよるね
あんたはもう食べれんのんよ

わたしの家族の二人と一匹
居間のつまった棺おけ引きずり

まだ埋められんがな

頬のえくぼは父ゆずり
いっつも笑とったらええ皺になるんじゃろか

きつい瞳は母ゆずり
般若の顔真似できてもうれしないけん
菩薩顔をめざしとるけん

猫バカ一代みぃのせい
ほやけど
わたしにとっての猫はみぃだけじゃけん
ほかの猫にそそぐ愛情はないんよね はは

棺おけガタガタ
荒野にガタガタ

空よ
もうとじてくれてもええんじゃけど
なんてな

父が好きだったけん
春の日だまりみたいで好きだったけん
「あんたおおきに」が聞きとおて
まだ埋められんでよわっとるんよ

22キム・メイシンガー2016/05/05(木) 23:25:11.09ID:9Dndes65
2007/04/09(月) 17:44:34



『寂漠ランチ』


あたたかいというただそれだけで
ひとは幸せな気分になれるのだ

春がきた
ひかりをのせて春がきた
歩きはじめたみいちゃんが
おんもで空を見あげてる

わたしもおんもへ
桜ならぶ河川敷の公園で
寂漠のランチを口にはこぶ
からっぽなわたしのからっぽに
さらさらと砂が満たされてゆく

ああ
桜は夢のように咲くのだなあ

なんのことはなく
すべてはあるがまま
歩きはじめたみいちゃんは
こけて泣いては立ちあがり
そのうち上手にスキップで
遠くの空を追いかけるだろう

風に桜の花びらながれ
寂漠の砂にひらひらと舞いおちる
大河にくだかれ打ちよせられた砂つぶが
ひかりにつつまれてゆく

ああ
なにもかもが赦されるみたいだ

もういちど何かを追いかけたい
いずれ朽ちゆくとしても
世界にひろがりたい

寂漠のランチはにがくて癖になるけれど
桜は夢のように咲いていて
わたしはさらさらと鳴るからっぽに
おおきく春を吸いこんでみた

23キム・メイシンガー2016/05/05(木) 23:31:36.81ID:9Dndes65
2008/04/20(日) 23:58:39



『打ち上げ花火』


ぴこぴこひょろろんちんじゃらりん
1/305のぱちんこが当たらない
もう1200回まわしているのに当たらない
確率は平均値で可能性で

―いつかいつか―

今と思う今の先はなんにも定まっておらず
昨日わたしは幸せでしたか
明日わたしは幸せですか


地球がぐるりとまわって
4500回まわる前
死んでゆくと決まった人の
痰のからんだ寝息をそのままにして
真夜中の病室を出ました
死までの道行に思いをはしらす
その人の恐怖とわたしの恐怖を
まだなんにも定まらない
火薬庫のような空っぽにあずけて
ちらと射した影を見留めながら
真夜中の病室のドアを閉めました
定まらない明日でも
朝はくるはずでした



ぴこぴこひょろろんちんじゃらりん
1/305のぱちんこはまだ当たらない
1500回まわしているのにまだ当たらない

―いつかいつか―

明日わたしは幸せですか
みんなどこかで幸せですか

24キム・メイシンガー2016/05/05(木) 23:45:13.82ID:9Dndes65
2009/02/14(土) 13:14:53



『睡蓮』


思いだすのカンガルー
テレビでみたのカンガルー
学習不足のカンガルー
危険察知ができなくて
おとなになれずに死んじゃった

余生のつもりなんだけど
まっさらな国からさしこむような朝日だとか
心拍数ひきあげるメタメタギンギンなROCKだとか
おまえ今まで痛い目にあったことねーだろてくらいに尻尾ふりふり擦りよってくる野良犬だとか
白衣にうんこ付いたから明日はパチで一日勝負勝ったらコーヒーおごってやるよとほざく石川君だとか
鈴木さんのうんこは臭くないから運のうちには入んないよせめて渡辺さんくらいじゃないとねって間があきながらもそこそこ返せた時だとか
陸軍で中支にいって二等兵の負け大将で笑うと仏様みたいな顔になって朝から晩まで腹へったばっか言ってて死にそうで死なない水島さんだとか
栄養剤注入している野口さんの枕元で時間たたずませるようにそぉとほっぺた撫でてる小ぶとりで白髪まじりでまだ嫁もらっていない息子さんだとか
ああ後は家に帰るだけ空は広くて深くてスーパーの駐車場には車たくさん停まっててそこから見上げる空の遠さをしめすだけのおぼろな星と落ちそうで落ちないポカンと浮かんでるだけの半月だとか
そんなものが
こころぼそくて不安なやすらぎ
ちいさな錨

世の中の仕組みがわからなくて
(その実は毒だよ)
ひとの心もわからなくて
(その生き物は凶暴だよ)
暮らしの手はずも成り行きまかせ
(その林には罠があるよ)

カンガルー噛み裂かれたね
カンガルー突然だったね
カンガルー丸くて黒い瞳のまんま
ディンゴに襲われおとなになれずに死んじゃった

あたしがもしも男だったら
賢い女だまくらかしてばっくれて
とにもかくにもタネ遺すって手もあるけれど
生まれて気づいてもう余生
環境連鎖ぶったぎり
遺伝子の運び屋稼業はおりましたBye

25キム・メイシンガー2016/05/05(木) 23:52:00.64ID:9Dndes65
2009/02/14(土) 13:14:53

(続き)


とはいうものの

稼業廃業=遠からずの死のはずもなく
この星は人間にだけはやさしくて
どうにかこうにか生かしてくれる
カンガルーおまえは殺されちゃったけど
(わたしはきっと何かになる長い長い時をかけてわたしがわたしでなくなるとしても)

そうかなほんとにカンガルー
そうだねきっとカンガルー
朝日はまっさらな国からさしこむんだから
日の出を描いたモネは酷評されて
それでも自分にはこう見えるって印象派やりとげちゃって
晩年は睡蓮ばっか描いてて
その睡蓮は夢のように綺麗なんだよ
宇宙がみている夢のように

自主淘汰
やっちまうであろうあたしの船は
ただあたしだけを乗せていて
どこにいくんだろうこの船は
どこへいきたいんだろうこの船は
さっぱり見当つかないけれど
透きとおったものになれたらいいな
光にいちばんちかい結晶体

それまでは
揺られるままに錨をチャポン
命綱チャポン

「腹へった〜」「腹がへるのは元気な証拠」
「飯まだかいな〜」「今つくってるから待っててね」
「腹へった〜」「あたしだって腹へった〜」
「わしのほうがもっと腹へった〜」

先に逝くんだろう水島さんに食べられる存在になったとしても
それはそれで宇宙の夢

26キム・メイシンガー2016/05/06(金) 22:44:32.45ID:mR1w5f2U
2005/11/05(土) 17:37:00



「痴呆病棟」


彼の肉体は健やかで
病といえば萎縮する脳のみ

穏やかな笑みで廊下を歩き
疲れれば食堂のソファーに腰を下ろし
日々を静かに過ごしていた

ときおり見られる
女性患者への色情行為の為
個室隔離が決定される

ブラインドの下りた
ベッドのみの部屋で過ごす日々


個室隔離を解かれた彼は
今食堂に戻っている

眉ひとつ動かさず
指ひとつ動かさず

人形のように虚ろな眼で
終日移動ベッドに横たわっている

27キム・メイシンガー2016/05/06(金) 22:54:28.83ID:mR1w5f2U
2005/11/06(日) 22:24:40



「クワモト先生の道しるべ」


誰もがあなたをクワモトさんと呼ぶ
私もそう呼ぶ

「クワモトさん、おはようございます」
あなたは昔と変わらない少し眦の上がった黒目がちの眼を凜と向け
「おはようございます」
と深く穏やかに返事をする

三月前ここであなたに会うとは思わなかった
お洒落で綺麗で優しくて
大人の女のお手本みたいで
クラスのみんなあなたの事が大好きだった

あなたは今
日がな一日嘆訴の声を響かせながら
この白い廊下を回遊する

「助けてくださいませ 助けてくださいませ」と
マジックの名前入りのセーターで
白い羽毛のような髪をなびかせて
頬が赤らむほどに車椅子を動かして

「助けてあげますよ」
私の声にあなたはしばし立ち止まり
深い礼を残し再び嘆訴の途へと車輪を回す

雨風にさらされ銃火に焼かれた城壁の如きあなたの脳は
培った人格の力で今も城壁であることを保っているのだ

誰もがあなたをクワモトさんと呼ぶ
私は心でクワモト先生と呼ぶ

人生の先達
肉体の機能を凌駕する
人間の精神の揺るぎない強さを指し示してくれた
クワモト先生と

28キム・メイシンガー2016/05/06(金) 23:03:25.90ID:mR1w5f2U
「クワモト先生の道しるべ」


ゼッケンさんの評


肝心な部分が描かれてないので説得力がないです。
三連目、「お洒落で云々」と表面的に褒めてますが、
これ、なんの描写にもなっていません。
「助けてあげますよ」という一言もえらそう過ぎます。
とても尊敬の念を持って接しているとは思えません。
最終連、単語の意味だけで言いたいことを説明してます。
ここにはなんの物語もありません。
あまりに表面的な描写ばかりではないかと思います。
困ります。

29キム・メイシンガー2016/05/06(金) 23:14:50.14ID:mR1w5f2U
「クワモト先生の道しるべ」


にいちぇさんの評


はい、きた、これ。まずタイトルがいいよね。「クワモト先生」という架空の名前の付け方が絶品。(爆)
一連。いい出だしです。一行目が普通の文でミステリアス。先を読みたくなる。
二連。物語が静かに始まっていく。上手い。さらにミステリアスなムードを維持するタメの技術。だからといって決して難解な文章でないところも好感が持てるし何よりも読みやすく描写も充分かつ簡潔。
クワモトさんの顔立ちから性格まですべてを読み手に伝わるように書いている。もちろん想像する余地も残して。匙加減絶妙。
三連。徐々に明かされる状況設定。クラスのひと言でクワモトさんが先生であることを無駄なく示唆。
四連。おっといきなりの転調。悪くない。いや、それどころか引きつけて引きつけてパッと手を離されたゴムでパチンと顔を殴られたような「ゆーとぴあ」的ショックを受ける。期待が高まる。
五連。前連の「白い廊下」はやはり病院であった。「白い羽毛」と「車椅子」と痛切なセリフ部分で年老いた認知症のクワモト先生の姿が目に浮かぶ。
「マジックの名前入りのセーター」はもう少し親切に書いても良かった気はする。たぶんマジックペンで名前を書かされたのか自分で書いてしまったのか。
どちらにせよかなり重症の「患者」ということだと思う。あと白い廊下と白い羽毛を呼応させているのか関係ないのか不明。
前者ならもっと段落に気を遣うべきだし後者なら色が被るのを回避して「銀色の羽毛」などに変える方が良いと思う。
六連。状況が少しずつ霧が晴れるように見えてくる。しつこいけどこういうとこ上手い。「私」と「先生」の現在の関係性がはっきりする。
七連。いきなりの重たい文章だが、これは必要なので問題なし。しかしこのようなキーとなる連をもっと浮かび上がらせるような段落分けが必要であったかとも思う。
八連。二連との対比で効果を上げている。しつこいけどこの作者、上手い。
九連。結論である。しかしこのような説明は七連だけで充分かもしれない。もしくは読みやすい文章で同じ内容を書けばスッキリしたと思う。
つまり読みやすい描写と重々しい説明のバランスの問題だ。七と九の配置の問題かもしれない。俺ならば最後は(続く)

30キム・メイシンガー2016/05/06(金) 23:17:38.80ID:mR1w5f2U
(続き)最初の方の軽い文体で締めたいところだ。内容はいいのに構成で失敗しているように思える。
最終行の「クワモト先生と」という終わり方もこの重々しいラストでは活きない。もったいないなあ、というのが全体を通じた感想。
もう一度読み直すと、三連の書き方も再考の余地ありかもしれない。というのは、「三月前」という「時」と四連の「今」の関係が少し読みづらいからだ。
四連の転調部分は繰り返しになるが素晴らしい。だからこそ三連に戻って確認するような引っ掛かりは必要ないのだ。スーッと読ませて突然ビックリさせてしかも続けてスラスラと読ませる方が転調としては効果的だろう。
さて、構成や細かいところにもったいなさは感じたが、物語性やメッセージ性などは読者を唸らせる力があると信ずる。
脳もただの肉体だ、と言い切っているところは俺の思想に近くて喝采を上げたくなった。精神と脳は別物である、との主張。まったくその通りだと思う。
唯脳論など糞食らえ、だ。頭がボケてたってそれは足腰が弱るのと同じこと。
そんなことよりも、精神とは、心とは、もっと形而上の神聖なものだとの作者のメッセージは絶対多くの人の心を打つ。
いや、心を打つということはそれが真実だからだ。深く穏やかに返事をする、深い礼をする、嘆訴の言葉も「くださいませ」ときれいな敬語。
家族は大変なのはわかる。俺にも死んだ祖母の経験がある。ヘルパーも大変だろう。しかし作者のような人ならば大変ではあっても憎しみは生み出さないはずだ。
その意味で、これはこの作品の決定的な弱点の指摘になってしまうが、主人公と患者が知り合いではない方がよりメッセージ性は際立ったはずなのだ。
伝聞で彼女が立派な先生であったことを知っているだけにとどめるべきであった。
しかしそれらはすべてテクニカルな問題。内容重視で言えば物語の中に思想を詰め込むことに成功した傑作と言えよう。

評価=ブックエンドのテーマ/サイモン&ガーファンクル

31キム・メイシンガー2016/05/06(金) 23:23:55.12ID:mR1w5f2U
書き直そう。

お勉強してるみたいでなんか楽しい。

うまく書けたらほめてほしいよ。

32キム・メイシンガー2016/05/06(金) 23:26:48.61ID:mR1w5f2U
2006/09/12(火) 00:20:21



『獄卒』


ここがどこかわからないあなた達は今日も私に尋ねます
「出口は何処ですか」
食事の支度をしたいのだと取引先の銀行に行きたいのだと今日も私に訴えます
「帰らせてください」

ここは地獄で私はただの鬼なのでそうする訳にもいかないのです
問答無用で朝は布団を引き剥がしホールに追い立て昼は口に飯を押し込み夜はベッドに投げ倒します
鬼ですからあなた達に咎があるのかないのか知る由もなく獄の掟に従うのみです

失禁はしない方がいいですよ
怒られますから
弄便もほどほどに
鍵付きの服を着せられますから
歩く時はしっかりと
車椅子に繋がれますよ
お仲間との喧嘩もよくないですね
個室隔離で病気になります

「トイレに行きたいんです」
忙しいので後にしてください漏らさないでくださいよ着替えが大変なんです
「しんどいので部屋の鍵を開けてください」
昼間は寝てはいけません少々の熱くらい我慢してください夜歩かれると転倒骨折の危険性が増すんです
「帰らせてください」
無理です私達はもう人間ではないのです

鬼ですからあなた達の懇願など針の山に突き刺します
鬼ですからあなた達の無念など血の池に沈めます

蜘蛛の糸など持たない鬼ですから
獄中の鬼ですから
あなた達の悲嘆など平気です

33キム・メイシンガー2016/05/08(日) 23:19:23.73ID:8MAmNbL1
 〜 海の若者 〜

            佐藤春夫


若者は海で生まれた。

風を孕んだ帆の乳房で育った。

すばらしく巨きくなった。

或る日 海へ出て

彼は もう 帰らない。

もしかするとあのどっしりした足どりで

海へ大股に歩み込んだのだ。

とり残された者どもは

泣いて小さな墓をたてた。



   この詩が好きだ。
   たぶんいちばん。
   なんでらろーね。
   間違いなく私は
   とり残された者ども。

34キム・メイシンガー2016/06/04(土) 00:34:56.61ID:U7rgwUKa
わかった。
私はたぶんこの詩に英雄譚を感じているんじゃないか。
海の若者は大きな世界へ踏み出し一編の物語になるんだ。
残された者たちは潮の香りをかぎながらそれを聞く。
自分たちでは到底紡ぎだせない壮大な物語を。

35名前はいらない2016/06/11(土) 23:00:03.44ID:jmw9Y8ae
‐冷たい夜空‐

今夜も僕はちいさな窓から見上げている
月も星も無い暗い夜空は
ただ深く闇としじまがどこまでも広がるだけ

今きみはどうしているの?
僕よりも孤独にうちひしがれているんだね
きみの不安を案じる僕がいるように
ひとりぼっちのきみもきっと僕のことを思っているのだろう
心細さに泣いているきみが見えているよ
それはきっとまぼろしじゃないはず

鉄格子の中で眠る僕
闇に包まれて孤独に背中を丸めている
壁の冷たさも毛布の固さも気にならないけれど
いつ会えるともしれない今はきみのことだけを夢に見て
きみもきっと同じだろう
呼べるのなら呼びたいけれど
会えるのなら会いたいけれど

それは望むことのできないかなわない希望

36名前はいらない2016/06/23(木) 00:57:55.76ID:jDHXo99O
誘う鳥が一つの形
よそう夜に一つの国、
http://taropunko.blog.fc2.com

37名前はいらない2016/09/01(木) 18:35:07.45ID:XfcoAHUw
☆ みな様、衆議院と参議院のそれぞれで、改憲議員が3分の2を超えました。☆
総務省の、『憲法改正国民投票法』、でググって見てください。日本国憲法改正の
国民投票実施のためにまず、『国会の発議』、を速やかに行いましょう。お願い致します。☆

38詩帝・二階堂 ◆3H/4wGejElAB 2017/12/21(木) 03:43:26.69ID:Agm96J36
「童貞または自我分裂症的な躁鬱」


俺の垂れ流した赤目のドクロは
ドロドロと地の汁を吸い上げ
やがて一人の裸の女となる。

それを聞いた
女の恥部に宿る蒸れた熱を

それを捧げた
肉にいだかれた盲目なる刻印を

豪雨の如く浴びた情熱は
地獄の薔薇のように暴れたかと思うと
白鳩の羽となり一斉に飛び散った

39詩帝・二階堂 ◆3H/4wGejElAB 2017/12/21(木) 04:01:22.11ID:Agm96J36
「童貞または自我分裂症的な躁鬱」


俺の垂れ流した赤目のドクロは
ドロドロと地の汁を吸い上げ
やがて一人の裸の女となる。

それを聞いた
女の恥部に宿る蒸れた熱を

それを捧げた
肉にいだかれた盲目なる刻印を

豪雨の如く浴びた情熱は
地獄の薔薇のように暴れたかと思うと
白鳩の羽となり一斉に飛び散った

40名前はいらない2018/02/12(月) 16:26:42.80ID:zYRw8/V7
すごくおもしろい副業情報ドットコム
暇な人は見てみるといいかもしれません
グーグル検索⇒『金持ちになりたい 鎌野介メソッド』

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41名前はいらない2018/10/05(金) 06:57:27.94ID:cleNjp7z
ふふふ

42名前はいらない2018/10/05(金) 06:59:06.26ID:cleNjp7z
ふふふ

43名前はいらない2018/10/17(水) 20:46:09.61ID:oSd+ZfLP
友達から教えてもらった嘘みたいに金の生る木を作れる方法
参考までに書いておきます
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

N0R

44名前はいらない2018/10/29(月) 06:46:36.87ID:PajSMDcT
xyb

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