極彩色の。

君の瞳にゃ何が映る。

燈蛾にランタン、ガラスのこいし。
揺らぐ炎に宿るは祈り、漏れ出すひかりはあまいみつ。
我が我がと群がる燈蛾に 許しの哀歌をくちずさむ。
水面をたたえたガラスのこいし。
耳、目、口から零れゆく。
金、銀、赤へと色を変えつつ
声高らかに零れゆく。

君の瞳にゃ何が映る。
ふじつぼ、猫の目、女の手足。
おいでおいでと手招くその手、裏へ返せば嗤うは蜘蛛。
ひもじさ堪える女郎の肌に 嘆きの蜘蛛よ巣糸を紡げ。
ひぃ、ふぅ、みぃ、と数え歌。
餓鬼が稚拙なこえあげて
拾うは猫の落し物。
大事な大事なたからもの。

私の瞳にゃ何が映る。
混ぜたぺんき。たったのひとつ。
流れる涙はどろどろとけて 黒くて大きな影になる。
影は私を飲み込んで
私は影を飲み込んで
喉を抉って、鼓膜を裂いて、私の蔵を押し潰す。
だれかおみずを 朽ちた喉では あやしの歌も唄えまい。
ひつじがいっぴき まうと鳴く
おいぬがいっぴき ばうと鳴く。
それでも私にゃ届かない。
りんごが落ちてもみもしまい。

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