恋の情報商材屋さん
私が後生大事にしてた、くっだらない、「痛ましい境遇」
それを捨てろと言うのなら、お前も捨てるべきなんだろう
私がどれほど苦しんでも、絶対にそうするべきだって全自分が叫んでいても
絶対に宮本と別れられなかったのは、彼を「痛ましい境遇」に放り込む事が出来なかったから
今はそれができる、自分の命がくぐった試練を、もう一つの命にも与えるべき時なのだと思ってる
泣いてもわめいても、あなたは、自分の足で動けないのなら、奴隷
それとも、もう電車賃も稼げ無くなったのかい? 今の彼は、最低よ
自分の痛ましい境遇だけを後生大事に抱えて、
どうやって自分を騙せたのかは知らないけど、私の痛ましい境遇は見て見ぬふり
私が悲しいのは、彼が自分を騙してるって事に気付いてない事よ
あなたに新しい声を与えた、もうひとつの命を苛めないといけないほど
あなたを生きにくくさせたものの正体は何なの?
戦うよりも自分を騙すと言うのなら、私にもそうさせてよ
ずっとこのまま、どれだけ嬉しく心が通じ合っても、通じ合ってない振りをさせて
そうすれば、私から宮本に謝れるから あー、私の中の人懐っこさがみやもちに対して一個も発動千羽
あんなに障害者死ねとか殺すとか連呼してたくせに
ふとした拍子にどして笑っちゃうんだろ、嬉しくなっちゃうんだろって
そんな風に戸惑うくらい繋がってた気持ちが、今どうしても思い出せんわ
何が不思議かって、全然顔濃いとも思わなくなった
顔が濃いとか薄いとかジャッジしたいと思うほどその顔に興味が無い
おもちさんの一喜一憂にどうして私まで厚かましく心動かされていたのだろう
あー、にんげんがわらってる、にんげんがないている
どれだけ頑張って感動しようとしてもこれまでになっちゃった 酔いたいが為に飲むのでしょう?
だけど私ソムリエは私を転がして色味をチェックして香りを嗅いで
最適なマリアージュを一匙添える事を忘れない
グラスに注がれた赤色はどちらから産まれたもの?
それに至るまでの過程を人はどうしてこんなに複雑化するのでしょうね
酔いが回るよりも先に昇天しようなどと不埒な事を考えて あなたは何の根拠と自信があって、私を連れ戻すのだろうと考える
少し卑屈な責めの言葉と裏腹に、私の快楽の源を知り尽くした男の余裕の声音が核心に触れる
抗っている事を知っているくせに、すぐに堕ちる事も知っている
そんな時のあなたこそ、私を啜りつくす快楽に溺れきっただらしない顔をしていて
私は、男に啜られるほどに満ちてくる、女と言う不思議をぼんやり自分の中に見るのです