始まりは砂利鉄道だった!今や活況路線「南武線」10の意外すぎる歴史と謎に迫る


住みたい街ランキング(関東版)で常に上位にランクインする武蔵小杉。実は駅が誕生したのは昭和に入ってから。さらに乗換駅となったのは太平洋戦争後のことだった


【南武線の意外(6)】武蔵小杉駅は戦後まで乗換駅でなかった

ここからは南武線の沿線模様を、起点となる川崎駅から見ていこう。

南武線は全線が複線区間で、川崎駅発を例にとると朝夕は3〜6分間隔、日中は10分前後で列車が発車する。10時〜19時台には一部の駅が通過となる立川行の快速電車も運行されている。

川崎駅の5・6番線が南武線専用のホーム。列車はそれぞれの番線からほぼ交互に折り返して走る。川崎駅を走り出した南武線の電車は、しばらく東海道本線に沿って走る。まもなく右にカーブして、高架路線へ。左から近づいてきた浜川崎支線と合流する。合流地点の下を通るのが国道1号線(第二京浜国道)だ。そして浜川崎支線の始発駅、尻手駅に到着する。

尻手駅を発車してまもなく平行して走っていた線路が一本、住宅街の中へ消えていく。こちらが新鶴見信号場へ向かう尻手短絡線だ。

次は矢向駅。この駅からはかつて川崎河岸まで1.7kmの貨物線が設けられていた(1972年に廃止)。廃線跡の一部は緑道として残っている。鹿島田駅、平間駅を停まり向河原駅(むかいがわらえき)へ。駅を過ぎれば、左へ大きくカーブする。そして横須賀線と東海道新幹線の線路とクロスする。

到着した武蔵小杉駅は2社5路線が走る乗換駅。この武蔵小杉駅のように南武線の魅力はやはり、他線と接続する駅が多く、また乗換しやすいことだろう。

この武蔵小杉駅、南武線で最も変貌した駅でもある。まず初代の武蔵小杉駅は今と異なり、現在の府中街道(国道409号)付近に造られた。同駅の東隣にはグラウンド前停留場という名の駅が生まれた。こちらの駅の位置が現在の武蔵小杉駅にあたる。グラウンド前停留場は1944年に武蔵小杉駅と名称変更、旧武蔵小杉駅は廃止された。