一方、南武線とクロスする東京横浜電鉄(現・東急東横線)は1926(大正15)年に路線が開業していた。ところが武蔵小杉駅付近には駅が造られなかった。東横線の駅が出来たのは路線が開業してほぼ20年たった1945(昭和20)年のことだった。

できたものの仮駅で、通勤客のみが利用可能、一般客は利用できない特殊な駅だった。その後の1947(昭和22)年に一般旅客の利用が可能になった。この時点ではじめて乗換駅として機能し始めた。古い歴史を持つ駅かと思っていたのだが、駅の歴史は意外に新しく、乗換駅として活かされたのは戦後からだったわけである。

さらに横須賀線はまだ走っていなかった。線路は付近を通っていたが、品鶴線(ひんかくせん)と呼ばれる東海道本線の貨物用の路線だった。1980(昭和55)年に横須賀・総武快速線が同線を走り始める。走り始めたものの駅は長い間、造られずで、ようやく横須賀線の武蔵小杉駅が造られたのは2010(平成22)年のことだった。

現在は、東急目黒線も乗り入れ、さらに2年後には相模鉄道の電車も同線に乗り入れる予定で、ますます武蔵小杉は発展していきそうだ。

このように駅が生まれ、また乗換駅として機能することで、街は大きく発展していく。鉄道の駅の誕生が何と大きな実をもたらすのか、目を見張る思いだ。
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最終更新:10/11(金) 6:10
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