事故の原因について、当初は1993(平成5)年に大阪市で起きたニュートラム暴走事故の「指令系統の導通不良」、2017(平成29)年に発生した湘南モノレール衝突事故の「VVVFインバータノイズによる誤作動」などが取り沙汰された。

横浜シーサイドラインが6月6日に公表した事故原因は「電気系統の断線」だった。司令所から車両に対して「方向転換」の信号を送ったところ、車両側は正常受信の信号を返した。ところが、車両側の内部で、方向転換の指示が伝達されなかった。司令所側はその状況を把握していないため、「発車」を指示。列車が逆走したという。

しかし、現場の車両は前照灯・尾灯が正しい向きで表示され、方向転換の指示によって正しい灯火が設定されていた。灯火類と動力部で指示の系統が違うかもしれない。このあたりは詳しい調査結果を待つ必要がある。しばらく時間がかかるだろう。

ネット上では、「なぜ列車の後方に約25mも線路があったのか」という疑問が見られた。たしかに、列車と車止めが接近していれば、逆走してもすぐに停止でき、速度も抑えられたはずで、重傷者が出る事態には至らなかったかもしれない。ただし、この約25mの線路は到着時の非常ブレーキのために作られている。

ホームの列車停止位置のそばに車止めを置いた場合、通常ブレーキが故障していると停止できず、即時衝突となってしまう。それを回避するため、ホームにさしかかる手前で人間が歩くほどの低速度まで減速しておく必要がある。しかし、これだとホームへの進入速度が極端に遅くなるため、乗客はイライラするだろうし、なにより運行間隔が広がり、
運行回数が少なくなってしまう。同様の理由で、東京駅の中央快速線ホームにある車止めは離れた位置にある。