車止めには油圧式ダンパーなど緩衝装置が組み込まれている。シーサイドラインの新杉田駅にも装備されていた。ところが、緩衝装置の性能は非常ブレーキによって速度低下した列車を前提としていた。今後はダンパーを調整または交換し、想定衝突速度を上げる必要もあるだろう。それでも今回はダンパーが良い働きをした。ダンパーがなければ、
車両が車止めを破壊して突破したかもしれない。

2005(平成17)年、四国の土佐くろしお鉄道宿毛駅で発生した事故では、時速115kmで駅に進入した列車を止められず、車止めに衝突。先頭車はさらに駅舎を破壊して壁を突き破った。シーサイドラインは低速度と車止めのダンパーの働きにより、最悪の事態を回避できたともいえる。

シーサイドラインは6月4日以降、手動運転で運行再開している。また、完全自動運転の車両が事故を起こしたことを受け、同様の運行形態を採用した全国の新交通システムで車両や指令設備の点検を実施、終端駅で有人監視を行うなど対応に追われた。

JR東日本は将来、山手線で自動運転を実施する方針としており、2027年度までに実用化をめざしている。シーサイドラインの事故発生後に行われたJR東日本の社長会見で、この方針に変わりはなく、事故原因と対策について参考にしたいとのコメントもあった。