■実は0系新幹線と同い年

 山陽と阪神、阪急電鉄、神戸電鉄といった神戸市に乗り入れる私鉄各社の路線を地下で結んでいるのが、1968年開業の神戸高速鉄道だ。山陽電車3000系はこの神戸高速鉄道と、阪神、阪急への乗り入れを控えて開発され、1964年に登場した。
 それまでの山陽電車は国鉄兵庫駅に隣接した電鉄兵庫駅が東側のターミナルで、西代―電鉄兵庫間には併用軌道(路面電車)の区間もあった。3000系も一時期、自動車と並んで走る姿が見られたという。神戸高速鉄道の開業によって、山陽の車両が阪神の大石駅と阪急の六甲駅まで、阪神と阪急の車両は、山陽の須磨浦公園駅まで乗り入れるようになった。

 初期の車両は当時画期的だったアルミニウム合金製。1965年には「鉄道友の会」が当時、前年に登場した通勤・近郊形車両を対象としていた「ローレル賞」に選ばれた。同年の「ブルーリボン賞」を受賞したのは、東海道新幹線の初代車両0系新幹線だった。
 外観デザインに注目すると、前面は「東海形電車」とも呼ばれた国鉄153系のような曲面ガラスが特徴で、高運転台で運転士の安全と広い視界を確保しようとした工夫がうかがえる。国鉄車両を思わせる輪郭だが、中央上部の2つの前照灯や、貫通扉の種別・方向幕に個性が出ている。側面は同社初採用となった両開きの3ドアと、その間に3つ連なった2段式の窓を配置。車内は通勤電車らしいロングシートが並ぶ。

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