ゆうちょ銀行 貯金限度額2倍増もぎとるも「集票力」のジレンマ=坂田拓也
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 それ以上に、ゆうちょ銀行の資金運用問題がある。
「ゆうちょ銀行が保有日本国債の残高を減らす一方で、外貨建て債券を増やした結果、通貨のミスマッチに伴う
ALM(資産と負債の総合管理)上のリスクは高まっている。限度額を従来の2倍に引き上げて貯金が増えても、
運用に困るだけだろう。外貨建て資産を増やせば、ALM上のリスクがさらに高まる」(S&Pグローバル・
レーティング・ジャパンの吉沢亮二シニアディレクター)
 実際、日本郵政グループが07年に発足した後、ゆうちょ銀行は外貨建て投資を増やし、13年以降は実に年間
10兆円を超えるペースで拡大、昨年9月末で保有額は60兆円に達した。為替ヘッジ比率にもよるが、一定の
円高リスクを抱えていることは確かだろう。
 一方、157兆円保有していた日本国債の残高は、昨年9月末で61兆円まで減少。異次元緩和にまい進する
日銀の国債爆買いを側面支援した格好にもみえる。
「ゆうちょ銀行は投資先の詳細は公表していないが、直接にしろ間接にしろ、米国債へ投じている可能性が高い。
日本の公的機関は、米国債を一度買えば売ることが政治的に難しく、米国を支えているだけになっている。
ゆうちょマネーをリスクの高い外債へ投資するより、たとえマイナス金利でプレミアムを払ってでも日本国債に
投じるなど国内のマネー循環に寄与すべき」(経済学者の菊池英博氏)