AI政治がやって来る
論説フェロー 芹川 洋一
改革の手段となるか
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO41080150Y9A200C1TCR000

好むと好まざるとにかかわらず人工知能(AI)の時代がやって来る。
いちばん縁遠いと思われている政治の世界も決して例外ではない。
政治(ポリティクス)にもAIなどの科学技術(テクノロジー)を活用する「ポリテック」。
政策立案から立法、選挙まで、すでにさまざまな動きが出始めている。

ことしは4月の統一地方選、7月の参院選と政界に新しい人材が入ってくる年。AIを理解し使える政治家が出てくれば、
政策の決め方がかわり政治の見える化がすすんで「AI政治改革」につながる可能性をひめている。

もちろんそこには考えなければならない点がいくつもある。
たとえばAIによって導き出された政策をだれがどうチェックするのかといった技術論や運用論から、
みんなで議論しながら合意をつくっていく民主主義のそもそも論にいたるまで、けっこうむずかしい問題をはらんでいる。

こんどの統一地方選で地域政党「AI党」が旗あげする。代表をつとめるのは東京都多摩市に住む松田道人氏(45)。
大手のIT企業や外資系企業につとめ、20年間IT業界にかかわってきた。

多摩市、八王子市、港区などの市区議選でAI党の候補者が出馬する予定だ。

AIを駆使することで「しがらみのない公正な政治」「未来に向けた施策をスピードをもって実行」
「情報を蓄積しノウハウを貯め、次世代につなげる」が党のかかげるスローガンだ。

松田氏は2018年4月の多摩市長選に出馬、「人工知能が多摩市を変える」とAI市長実現を訴えたが、あえなく落選した。
市議会の議事録をAIに読みこませて、議会でよく使われる言葉を可視化して政策立案に役立てようなどと主張した。

「AIと政治は相性が良い」というのが持論だ。「予算の配分にしても行政の業務にしても人間が絡むからゆがんでくる。
AIをつかえばデータが残り、政策決定は検証可能になる。有権者の意見も政治家を中抜きで行政に届く」とAI政治の効用を説く。