>>770
日本が国際連携主導を
 では、これからの国際秩序はどうなりそうか。米中「新冷戦」が始まるのか。多極化が進展し、各地で新興国が勢力圏構築争いを始めるのか。

 おそらく、そのいずれでもないだろう。

 日本、豪州、欧州諸国など先進国の大半は米国の同盟国だ。同盟の重要性もよくわかっている。米国がリーダーシップを取ることができにくい状況下、同盟国が米国に代わって世界秩序の維持と、その進化のためにできることをしなければならない。そういう意識も生まれつつある。

 これまでの世界秩序を支えた「米国による平和」と自由主義的経済秩序の揺らぎは今後も続く。未来の見通しはこれからも当分、良くない。

 どうすればよいのか。少しでも不確実性を下げることである。日本としては、これまで通り、国際的ルールと規範を守り、秩序の維持と進化のために心ある国々と協働することである。

 防衛力拡充と科学技術振興による日米同盟の強化に加え、豪州やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と安全保障と経済の両面で連携し、自由主義的経済秩序のための国際連携のイニシアチブを取ること――。これが菅首相に期待される。