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新人職人がSSを書いてみる 32ページ目 [転載禁止]©2ch.net
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0001通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/06/10(水) 23:22:24.50ID:aZv8IpUP0
新人職人さん及び投下先に困っている職人さんがSS・ネタを投下するスレです。
好きな内容で、短編・長編問わず投下できます。

分割投下中の割込み、雑談は控えてください。
面白いものには素直にGJ! を。
投下作品には「つまらん」と言わず一行でも良いのでアドバイスや感想レスを付けて下さい。

現在当板の常駐荒らし「モリーゾ」の粘着被害に遭っております。
テンプレ無視や偽スレ立て、自演による自賛行為、職人さんのなりすまし、投下作を恣意的に改ざん、
外部作のコピペ、無関係なレスなど、更なる迷惑行為が続いております。

よって職人氏には荒らしのなりすまし回避のため、コテ及びトリップをつけることをお勧めします。
(成りすました場合 本物は コテ◆トリップ であるのが コテ◇トリップとなり一目瞭然です)

SS作者には敬意を忘れずに、煽り荒らしはスルー。
本編および外伝、SS作者の叩きは厳禁。
スレ違いの話はほどほどに。
容量が450KBを越えたのに気付いたら、告知の上スレ立てをお願いします。
本編と外伝、両方のファンが楽しめるより良い作品、スレ作りに取り組みましょう。

前スレ
新人職人がSSを書いてみる 31ページ目
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/shar/1429885679/

まとめサイト
ガンダムクロスオーバーSS倉庫 Wiki
http://arte.wikiwiki.jp/

新人スレアップローダー
http://ux.getuploader.com/shinjin/ 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:669e095291445c5e5f700f06dfd84fd2)
0002巻頭特集【テンプレート】
垢版 |
2015/06/10(水) 23:25:34.64ID:aZv8IpUP0
■Q1 新人ですが本当に投下して大丈夫ですか?
■A1 ようこそ、お待ちしていました。全く問題ありません。
但しアドバイス、批評、感想のレスが付いた場合、最初は辛目の評価が多いです。

■Q2 △△と種、種死のクロスなんだけど投下してもいい?
■A2 ノンジャンルスレなので大丈夫です。
ただしクロス元を知らない読者が居る事も理解してください。

■Q3 00(ダブルオー)のSSなんだけど投下してもいい?
■A3 新シャアである限りガンダム関連であれば基本的には大丈夫なはずです。
取り扱い作品は旧シャアで取り扱われている過去作および過去作の関連作を除いた
SEED・SEED DESTINY・OO・劇OO・AGE・GB・GBF・GBFT・Gレコとなります。(H27.3現在)    

■捕捉
エログロ系、801系などについては節度を持った創作をお願いします。
どうしても18禁になる場合はそれ系の板へどうぞ。新シャアではそもそも板違いです。

■Q4 ××スレがあるんだけれど、此処に移転して投下してもいい?
■A4 基本的に職人さんの自由ですが、移転元のスレに筋を通す事をお勧めしておきます。
理由無き移籍は此処に限らず荒れる元です。

■Q5 △△スレが出来たんで、其処に移転して投下してもいい?
■A5 基本的に職人さんの自由ですが、此処と移転先のスレへの挨拶は忘れずに。

■Q6 ○○さんの作品をまとめて読みたい
■A6 まとめサイトへどうぞ。気に入った作品にはレビューを付けると喜ばれます

■Q7 ○○さんのSSは、××スレの範囲なんじゃない?△△氏はどう見ても新人じゃねぇじゃん。
■A7 事情があって新人スレに投下している場合もあります。

■Q8 ○○さんの作品が気に入らない。
■A8 スルー汁。

■Q9 読者(作者)と雑談したい。意見を聞きたい。
■A9 現在模索中です。大変お待たせしておりますがもうしばらくお待ちください。
0003巻頭特集【テンプレート】
垢版 |
2015/06/10(水) 23:26:08.26ID:aZv8IpUP0
〜投稿の時に〜

■Q10 SS出来たんだけど、投下するのにどうしたら良い?
■A10 タイトルを書き、作者の名前と必要ならトリップ、長編であれば第何話であるのか、を書いた上で
投下してください。 分割して投稿する場合は名前欄か本文の最初に1/5、2/5、3/5……等と番号を振ると、
読者としては読みやすいです。

■補足 SS本文以外は必須ではありませんが、タイトル、作者名は位は入れた方が良いです。

■Q11 投稿制限を受けました(字数、改行)
■A11 新シャア板では四十八行、全角二千文字程度が限界です。
本文を圧縮、もしくは分割したうえで投稿して下さい。
またレスアンカー(>>1)個数にも制限がありますが、一般的には知らなくとも困らないでしょう。
さらに、一行目が空行で長いレスの場合、レスが消えてしまうことがあるので注意してください。

■Q12 投稿制限を受けました(連投)
■A12 新シャア板の場合連続投稿は十回が限度です。
時間の経過か誰かの支援(書き込み)を待ってください。

■Q13 投稿制限を受けました(時間)
■A13 今の新シャア板の場合、投稿の間隔は忍法帖のLVによって異なります。時間を空けて投稿してください。

■Q14
今回のSSにはこんな舞台設定(の予定)なので、先に設定資料を投下した方が良いよね?
今回のSSにはこんな人物が登場する(予定)なので、人物設定も投下した方が良いよね?
今回のSSはこんな作品とクロスしているのですが、知らない人多そうだし先に説明した方が良いよね?
■A14 設定資料、人物紹介、クロス元の作品紹介は出来うる限り作品中で描写した方が良いです。

■補足
話が長くなったので、登場人物を整理して紹介します。
あるいは此処の説明を入れると話のテンポが悪くなるのでしませんでしたが実は――。
という場合なら読者に受け入れられる場合もありますが、設定のみを強調するのは
読者から見ると好ましくない。 と言う事実は頭に入れておきましょう。
どうしてもという場合は、人物紹介や設定披露の短編を一つ書いてしまう手もあります。
"読み物"として面白ければ良い、と言う事ですね。
0004巻頭特集【テンプレート】
垢版 |
2015/06/10(水) 23:26:41.26ID:aZv8IpUP0
■Q15 改行で注意されたんだけど、どういう事?
■A15 大体四十文字強から五十文字弱が改行の目安だと言われる事が多いです。
一般的にその程度の文字数で単語が切れない様に改行すると読みやすいです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↑が全角四十文字、
↓が全角五十文字です。読者の閲覧環境にもよります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あくまで読者が読みやすい環境の為、ではあるのですが
閲覧環境が様々ですので作者の意図しない改行などを防ぐ意味合いもあります。

また基本横書きである為、適宜空白行を入れた方が読みやすくて良いとも言われます。

以上はインターネットブラウザ等で閲覧する事を考慮した話です。
改行、空白行等は文章の根幹でもあります。自らの表現を追求する事も勿論"アリ"でしょうが
『読者』はインターネットブラウザ等で見ている事実はお忘れ無く。読者あっての作者、です。

■Q16 長い沈黙は「…………………」で表せるよな?
「―――――――――!!!」とかでスピード感を出したい。
空白行を十行位入れて、言葉に出来ない感情を表現したい。
■A16 三点リーダー『…』とダッシュ『―』は、基本的に偶数個ずつ使います。
『……』、『――』という感じです。 感嘆符「!」と疑問符「?」の後は一文字空白を入れます。
こんな! 感じぃ!? になります。
そして 記 号 や………………!! 



“空 白 行”というものはっ――――――――!!!


まあ、思う程には強調効果が無いので使い方には注意しましょう。


■Q19 感想、批評を書きたいんだけどオレが/私が書いても良いの?
■A19 むしろ積極的に思った事を1行でも、「GJ」、「投下乙」の一言でも書いて下さい。
長い必要も、専門的である必要もないんです。 専門的に書きたいならそれも勿論OKです。
作者の仕込んだネタに気付いたよ、というサインを送っても良いと思われます。

■Q20 上手い文章を書くコツは? 教えて! エロイ人!!
■A20 上手い人かエロイ人に聞いてください。
0005巻頭特集【テンプレート】補則@
垢版 |
2015/06/10(水) 23:31:33.06ID:aZv8IpUP0
>>4
■Q18 第○話、ではなく凝った話数にしてみたい
A18 別に「PHASE-01」でも「第二地獄トロメア」でも「魔カルテ3」でも「同情できない四面楚歌」でも、
読者が分かれば問題ありません。でも逆に言うとどれだけ凝っても「第○話」としか認識されてません。
ただし長編では、読み手が混乱しない様に必要な情報でもあります。
サブタイトルも同様ですが作者によってはそれ自体が作品の一部でもあるでしょう。
いずれ表現は自由だと言うことではあります。
0007通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/06/11(木) 23:46:22.51ID:TSzIGB6L0
スレ建て乙です。

>>3
> ■Q12 投稿制限を受けました(連投)
> ■A12 新シャア板の場合連続投稿は十回が限度です。
連投規制、五回に変わってる?
職人も5レスまでしか連投できてないよね。
0008三流F職人
垢版 |
2015/06/16(火) 01:41:38.86ID:lxKyAeY90
投下します。

ガンダムビルドファイターズ side B
第14話:遊び人(プレイヤー)達

「「「はあぁぁぁぁーっ??」」」
第17回ガンプラバトル世界選手権、決勝トーナメント1回戦第3試合は
出場選手で前大会覇者のリカルド・フェリーニの、そして観客の
素っ頓狂な叫び声で幕を開けようとしていた。
対戦相手はグレコ・ローガン。昨年の決勝の対戦相手であり、
無骨で屈強なアメリカンヒーローを思わせるその大男が、筐体にセットしたガンプラが
あまりにも以外で、そして不釣合いだったからだ。
「・・・呂布トールギスだな。お前にSDは似合わなさすぎだぜ。」
まぁトールギスをチョイスするあたりはグレコらしいが、しかしどちらかというと
可愛い系のSDガンダムのガンプラを、この大木もなぎ倒しそうな大男が使うのは
あまりにもイメージに合わない。

「人のことよりお前はどうなんだ、トレミーラは直ったのか?」
「ああ、スペアパーツは一通り用意してたからな。オリジナルに匹敵する
 セッティングも出たぜ、お前さんにとっては残念ながら、な。」
粋なポーズを取って挑発するフェリーニ。もっともグレコも彼とは
10年以上のライバル、今更動揺する素振りも無いが。
「なら良かった、今年こそお前のトレミーラを撃破する、その秘密兵器が
 この呂布トールギス・スピリットだからな。」

 粒子が舞台を覆う、1回戦屈指の好カードが幕を開ける。
 ーSTAGE WILDEMESSー
「荒野ステージ!ミスターGのマックスターを思い出すなぁ・・・」
選手控え室で宇宙が呟く。東四国大会決勝の相手、ミスターGこと矢三附監督、
何故そのガンプラをチョイスするのか、バトルに大切なことは何か、そんなことに
こだわった愛すべき中年ガノタ。
「・・・そういや予選でグレコさんと戦ったけど、ミスターGとかぶったなぁ。
 パワフルで、真っ向勝負タイプで。」
「あの二人が戦うと、大抵は『力のグレコVS技のフェリーニ』の構図になるのさ。」
後ろでそう解説したのはライナー・チョマーだ、同じく世界大会の古参組。
「だがSDではどうかな・・・火器の装備が売りのトールギスだが、あれには見えないぜ。」
隣でルワン・ダラーラが呟く。呂布トールギスが持っているのは槍一本のみで
アメリカの映画マッスルスターを思わせる重火器はひとつも装備していない。
0009三流F職人
垢版 |
2015/06/16(火) 01:42:24.15ID:lxKyAeY90
 試合はチョマーの解説どおりの展開となった。スピードと多彩な攻撃でかく乱する
フェニーチェ・トレミーラに対し、直線的な動きで間合いを詰め、たまにすれ違う際の
一合で渾身の斬撃を喰らわす呂布トールギス。
「さて、呂布といえばそろそろ、かな。」
フェリーニが身構える、と同時にグレコが叫ぶ。
「旋風大烈斬!!」
呂布トールギスが巨大な竜巻をまとい、トレミーラに打ち込む。そして打ち終わった後
即、追撃の体制を取る呂布。フェリーニのかわす方向に追撃を仕掛ける気だ。

 しかし、トレミーラはその竜巻を避けようともせず、やがて飲み込まれる。
吹き飛ばされ、舞い上げられるトレミーラがやがて地上に叩きつけられ・・・なかった。
まるで空中遊泳のシメのように華麗に着地するトレミーラ。
「なん・・・だと!?」
「竜巻と同じ方向に、同じスピードで回転すりゃダメージにはならねぇよ。
 トレミーラの機動性と俺の操縦センスなら簡単なこった。」
言うは安し、というやつだな、とメイジンが呟く。一歩間違えば自爆に近い
終わり方になるというのに・・・
「俺はお前やメイジンと違って、機体をとっかえひっかえたりしねぇ、
 あくまでウイングガンダム1本で戦う、この機体が大好きだからな。
 そんな長年の付き合いだから、こいつの動きは指先一本までわかるんだよ!」
言って高速移動を開始するトレミーラ。呂布トールギスの回りをぐるぐる回りスキを伺う。
「そしてわかってるかい?呂布トールギス、いやSDガンプラの欠点を。」
「くっ!」

「欠点?」
選手控え室で頭をひねる宇宙。その質問に同じ日本人が答える。
「SDガンダムの必殺技は強力なものが多い、でもそれは裏を返せば粒子、つまり
 エネルギーチャージに時間がかかるのさ。」
サザキ・ススムの解説に、マツナガ・ケンショウが続く。
「より低年齢向けのアニメ、SDガンダムには子供ウケを取るために、現実にはありえない
 威力の技が多く存在している、その分チャージに時間がかかるようにして
 バランスを取っているんだ。」
「旋風大烈斬は呂布トールギスの技でも強力な部類だからな、しばらくは打てまい。」
マイケル・チョウの言葉どおり、次の技が出せないクレコ。遠巻きに回転するトレミーラを
睨みつづけるしかできない。
0010三流F職人
垢版 |
2015/06/16(火) 01:43:18.33ID:lxKyAeY90
「それじゃ、決めるぜ!」
フェリーニがそう呟き、呂布トールギスに突進する。槍を構えて迎撃体制の呂布。
トレミーラに一閃を振うも、その槍は空を切る。
「なっ!!」
次の瞬間、トレミーラは呂布の周囲で分身した。正確には残像を残すほどのスピードで
高速移動を繰り返しているのだが。
「バカな、これはF91の技・・・」
「質量をもった分身だろうが、トランザムの速さだろうが、このトレミーラで再現できねぇ
 動きは存在しねぇよ、終わりだグレコ!」
ビームサーベルを抜き、次々に呂布トールギスに剣撃を浴びせる。
右に左に、ピンボールのように弾かれ、次々に鎧を剥がされていく呂布トールギス、
ほどなく上半身の鎧は失われ、ホワイトボディをさらけ出す。

「鎧に頼り、SDに走ったお前の負けだよ、グレコ!」
とどめのビームサーベルを呂布に突き立てる、胸に深々とめり込んだサーベル。
しかしそのサーベルは背中からは出てこなかった。
「盾か、胸に仕込んでいたな!」
「霊亀甲盾ってんだ、覚えとけ!!」
トレミーラの腕を掴む呂布トールギス。後ろに飛んで振りほどこうとするフェリーニ。
「逃がすかあぁぁぁぁっ!」
トレミーラの腕をねじ上げ、背中のバーニアを全開にして突進、そのまま地面に激突し
体をこすりつけながら土煙を上げて疾走する2機。
「魂いいいいいいいっ!!」
呂布も、トレミーラも、地面を体でこすりながら次々に破損していく。
このままでは、どちらかの機体が完全に壊れるのは時間の問題、そしてそれは・・・
「正気か?鎧を失った分、お前のほうが早くスクラップになるぜ!」
呂布トールギスはすでに右腕が無い、左腕でトレミーラの右腕をねじふせ、半身になって進んでいる。
「いや、ヤツの狙いは・・・場外か!」
選手控え室でヤンが叫ぶ、2人のコックピットはリングアウト警報が鳴り響いている。
このまま疾走して、場外ギリギリでトレミーラだけを放り出す作戦のようだ。

「そうはいくかい!」
空いた左腕を使って地面を掴み、動きを止めようとするトレミーラ。
その腕がつっかい棒のように働いて、反転して逆立ちする2機。
その時、二人が見たのは、目の前に迫る竜巻だった。
「必殺技!いつのまに撃ちやがった!?」
「さっき『魂!』って叫んだときにさりげなく、な。」
2機が体を起こした時、すでに竜巻は目の前に迫っている。背後はもうリングギリギリだ。
「もいっぺんかいっ!」
そう叫んで竜巻に同調回転をするトレミーラ、呂布にはこの回避行動は出来まい、と。
「決定的なスキ、ついに見せたな、フェリーニ・・・」
背中の槍を抜くと、回転するトレミーラに深々と突き立てる呂布トールギス。
「なっ!」
「俺が場外に弾かれるのが先か、お前のトレミーラが壊れるのが先か、勝負!」
突き立てた槍を下に引き降ろす、タテ割りに両断されるトレミーラ。
その瞬間、自らの竜巻に飲まれた呂布は場外に飛ばされ、残ったトレミーラが爆発する。

 ーBATTLE ENDED−
0011三流F職人
垢版 |
2015/06/16(火) 01:43:54.99ID:lxKyAeY90
 水を打ったように静まる場内、そして機械的な音声が、勝者の名を告げる。

 ーWINNER・・・GRECO、LOGANー
 
 割れんばかりの大歓声が会場を包む。世界大会3連覇を目指したフェリーニの進撃は
ついにここでストップした。
「メイジンに続きフェリーニもかよ!」
「やったなグレコ、ついにお前の時代だ!」
「今年ほど予想できない大会って無いぜ・・・」
様々な感想が飛び交う中、空虚に壊れた愛機を見つめるフェリーニ。
「バカな・・・俺のトレミーラが、何故あんな急造ガンプラに・・・」
そのフェリーニの横を、一人の少女が駆け抜け、そのままグレコに抱きつく。
「やったねパーパ、フェリーニってヒトにやっと勝てたね。」
「うぇええっ!?パ、パパ・・・?」
驚いて顔を上げるフェリーニ。8歳くらいの金髪の少女は父親に抱かれて頬にキスをしている。
「お前・・・結婚してたのかよおぉぉっ!しかもそんな大きい娘まで・・・」
「ああ、言ってなかったな。お前らに羨ましがられるといかんと思ってな。」
実はグレコの家族はガンプラに随分理解ある家族らしい。選手によっては家族の反対で
しぶしぶガンプラを引退する人もいるというのに・・・
「ってことは、そのSDトールギス、まさか・・・」
「ああ、ヘレン・・・この娘のプレゼントなんだ。『これでお前に勝ってね』ってな。」

「・・・なるほど、俺を倒す秘密兵器、ね。」
納得した表情で親娘を見るフェリーニ。自分のWガンダムへの愛は誰にも負けるつもりはない、
しかし『愛する人に託されたガンプラ』の強さには及ばなかったってコトか。
両手を広げて首を振り、ため息ひとつ。そしてグレコに握手の手を差し出す。
力強く握り返すグレコ、そして拍手に包まれる会場。

「そろそろ俺も嫁さん探さんとなぁ、キララちゃんどうしてっかな・・・」
世界各地に愛人を持つ男が、修羅場を想像して身震いしながら、少し未来設計を考えた。


「さて、次は俺たちだな。前の試合に負けないように盛り上げようぜ。」
しかし、端正な顔立ちの黒人選手の反応は冷たかった。
「馴れ合うつもりは無い。」
それだけ言って、チョマーを一睨みして部屋を出て行くヨハン・シェクター。
「・・・ありゃダメだな、多分。」
アレクセイ・ジョンの言葉に、宇宙とマツナガが不思議そうな顔をする。
その二人の背中をポンと叩くサザキ。
「気合も過ぎれば毒になる、ってヤツさ。彼も初のベスト16だからムリも
 ないけどねぇ。」
0012通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/06/16(火) 02:21:02.80ID:pUC51PIX0
支援
0013三流F職人
垢版 |
2015/06/16(火) 07:08:15.26ID:/i9clmFcO
規制解除待ってたら寝落ちしてた。
残りは今夜に。
0014三流F職人
垢版 |
2015/06/16(火) 22:40:13.96ID:lxKyAeY90
というわけで残り投下します。

「それでは本日最終戦、ドイツ代表ライナー・チョマーVS南アフリカ代表
 ヨハン・シェクターの試合を行います!」

 −STAGE SEASIDE−
「ライナー・チョマー、ザクレロホイシュレッケ、行くぜ!」
「ヨハン・シェクター、ズサ・グッドホープ、出撃!」

 開始と同時に火器を全開にし、ミサイルを針ねずみのように発射する
白黒のツートンカラーのズサ。
「いきなりかよっ!」
Uターンし、逃げに入るザクレロ。しかしミサイルは正確にホーミングして
ザクレロに追いつき、周囲に火炎の花を咲かせる。
さらにミサイル、バルカン、そして手持ちのビームライフルで爆風の中心に
集中攻撃を仕掛けるズサ。

「どっち撃ってんだよ、こっちだ、こっち。」
なんといつの間にかズサの少し後ろに回りこんでいるザクレロ。
「なっ!」
驚きの声が、怒りの声に変わるのに時間は不用だった。
「背後にいながら攻撃もしてこないとは、舐めるなあぁぁぁっ!」
ビームサーベルを抜刀し、ザクレロに突っ込むズサ。
2度3度斬りかかるが、ザクレロはその機動性を利してすいすいとかわす。
「まーちょっと落ち着けよ、先制攻撃失敗したのにそんな焦んなよ。」
「黙れ、黙れえぇぇぇぇっ!」
逃げた方向に、再度ミサイルを放つズサ。再度爆風が上がり、土煙が視界を遮る。

「やっぱダメだな、動きも戦略もバラバラだ。」
「予選の時は、彼も冷静だったんだがな。」
ルワンとローガンが語る。ベテラン選手なら誰もが通ってきた『1回戦の壁』の厚さ。
この舞台で大観衆の前に立って、いきなり冷静でいられる選手はそう多くはない。
特にぽっと出の宇宙や、確固たる決意で出てきたリーナやヤンと違って
苦労を重ねてようやくここまで来たヨハンにとって、そのプレッシャーは
計り知れないものがある。
0015三流F職人
垢版 |
2015/06/16(火) 22:40:43.91ID:lxKyAeY90
 土煙の中、またもザクレロを見失うズサ。
「どこだ!また背後か?それとも空中・・・海に入ったか!?」
きょろきょろ四方八方を見回すズサ。しかしザクレロの姿はどこにも見えない。
右を見れば青い空とエメラルドの海、左を見れば砂浜と堤防の海岸に、ごろごろ転がる
ちょうどMSくらいのサイズの岩。
「くぅっ!」
海から離れるズサ。海中からの攻撃に怯えつつ、周囲を見回しザクレロを探す。
右を見ても岩、左を見ても岩、また右を見ても・・・
「・・・ん?」
左手にあった無数の岩、そのひとつに何か字が縦書きしてあるのが見えた。
後退を止め、その岩の前まで移動するズサ。
その岩には日本語でこう書かれていた。

『わたしは岩』

「どこのシロクマだキサマああああああああああああああっ!」
バランスの悪い足でケンカキックを岩にぶちかますズサ。その岩がまるで
ダンボールのように吹き飛び、中からザクレロが現れた。
「ナイスツッコミ!てか、知ってるのがスゲェな。」
ドヤ顔で親指を立てるチョマー。
「試合前、急に工作室に行って何を作ってたかと思えば・・・」
フェリーニとメイジンが居並んで呆れる。秘密兵器の一つでも作ったのかと思えばコレだ。

「いい加減にしろ!真面目にやる気が無いのか貴様!!」
激高するヨハン、もはや完全に『舐められてる』と見たのか、怒り心頭である。
「心外だなぁ、俺はマジメにやってるぜ。ガンプラバトルっていう『オモチャ遊び』をな。
 お前さん、戦争でもやってるつもりかい?」
「・・・っ!」
気勢を削がれるヨハン。言ってしまえばその通りである。
「これは、世界大会のトーナメントだぞ!負ければそれで終わりなんだぞ!!」
「来年また出りゃいーじゃねぇか。」
事もなげにさらっと返すチョマーに、さすがに言葉を失うヨハン。
「楽しけりゃいいのさこんなのは。今さっき工作室でこの岩作ってた時も、
 お前さんの反応を想像しながら作っててすげぇ楽しかったぜ。
 で、その青写真通りのリアクションが貰えて大満足さ。」
0016三流F職人
垢版 |
2015/06/16(火) 22:41:19.40ID:lxKyAeY90
 しばし硬直し、だはーっ!と特大の溜め息を吐き出すヨハン。
「もういい、怒る気も失せた。俺もスキにやらせてもらうよ。」
そう言って後退し、海に入るズサ。やがて完全に潜り見えなくなる。
「(ふん、冷静になりやがったな、そうこなくっちゃ)」
ザクレロも丘から海に飛ぶ。海中には入らず、海面ギリギリを飛行して出方を待つ。

 ざっばああんっ!
いきなり水中からアギトが飛び出してきた。通りかかったザクレロに噛み付いたそれは
ズサの足部分だった。ミサイルポッドとそのフタを反転させ、まるでサメの顎のように
噛み付ける仕様になっている。
「希望岬名物、ホオジロザメアタックってか!?どうりでカラーが白黒なわけだ。」
「理解が早くて助かるよ、解説の必要が無いな。」
薄く笑いながら、ザクレロを海中に引きずり込む。そう、この足を作る時、こんなシーンを
想像していたハズだ。

 ほぼ海底まで移動したところでザクレロを開放するズサ。
「この距離ならかわせまいっ!」
ミサイルポッドを開放するズサ、泡を巻いて無数のミサイルがザクレロを襲う。
「シィイヤァァアッ!」
操縦席のチョマーが吠える、両腕のカマを振り回して、自分に命中しそうなミサイルを
両断していく。
「なるほど、ホイシュレッケ(カマキリ)とはよく言ったものだ!」
「地上ならともかく、水中のミサイルならノロいぜ!発射順もさっき見せてもらったしな!」
・・・直後、かわしたミサイルと叩っ斬ったミサイルが背後で爆発する。
水圧に押し出され、ズサの方に飛ばされるザクレロ。
「のわあぁぁぁぁっ!」
「うん、水中だからな。」
再びザクレロを咥えるズサのジョーズ、しかも回転ながら飛ばされてきたザクレロの背中から
食いついているため、ザクレロは完全に無防備かつ攻撃手段が無い。
すかさずビームサーベルを抜き、ザクレロに決めの一刀を振り下ろす。
「終わりだっ!」
0017三流F職人
垢版 |
2015/06/16(火) 22:41:57.61ID:lxKyAeY90
 瞬間、ズサの機体は猛烈な勢いでスパークする。
「ぐあぁぁぁっ!な、なんだ!?」
ズサの機体には、ひも状のものが巻きついていた。それが発する電撃がズサの動きを止めている。
「ウ、ウミヘビか・・・」
「まぁ水中だからな、電撃は効く効く。」
言ってズサに向き直り、メガ粒子砲を向けるチョマー。
「ザクレロにもカマキリにも、ウミヘビはミスマッチ・・・だぜ・・・」
「ハリガネムシ、って知ってるかい?」
「それかあぁぁぁぁぁっ!」
ザクレロの口から発せられたメガ粒子砲は、ズサの体をミサイルごと消滅させる。
・・・ただ、無数のミサイルとズサの爆発の余波で、チョマーのザクレロは
地上に吹き上げられ、海岸をボロぞうきんのように転がるハメになるが・・・。

 −BATTLE ENDED−

 拍手よりむしろ笑いに包まれる場内、勝者がこれほど勝者らしくない試合は
チョマーならではだ。
ヨハンと握手をし、手を振って声援と冷やかしに答えるチョマー。

その姿を、その戦いを見て、感動に打ち震える観客席の里岡大地。
「あれだ、あくまでフェアに、あくまで最高の状態で、なにより最高に楽しく、
 俺は、あの姿に憧れてガンプラバトルをやってるんだ・・・。
 戦いたい、あの人と。頼むぞ宇宙!」

14話終了です。1話に2試合詰め込むのはしんどかったです。
支援感謝でした。
0019三流F職人
垢版 |
2015/06/17(水) 23:28:31.42ID:KRVctG9T0
休みだったので1話書きました、投下します。

ガンダムビルドファイターズ side B
第15話:すれ違う邂逅

 一夜明けて8月12日、決勝トーナメントBブロックの4試合が行われる日、
今日でいよいよ世界のベスト8が決定する。
・・・が、昨日勝ちあがった選手は、いずれもガンプラの補修に大忙しだ。
ただひとり、宇宙を除いては。

「修理は俺がやっといてやっから、お前は試合を見て来い。」
兄、大地にそう言われて今日も会場に足を運ぶ宇宙。確かに彼にとっては
大会の様々な戦法やガンプラの特徴を見て知っておいた方が、修理に付き合うより
明日に繋げられる。といってももう第一試合は始まっているが。
 選手室に到着、眼下で行われている試合はレイラVSマイケル。
「おはようございます。」
声をかけるが、返事は無かった。選手全員が食い入るように試合に見入っている、
そういえば会場全体が、なんだか異様な空気に包まれていた。
宇宙も窓に駆け寄り、試合場のモニターに目をやる。レイラのモック、マイケルの
マスターガンダムともに特に大きく壊れてはいない。

「もひとつ行くよー!モックパーンチッ!!」
助走をつけ、モックが超がつくテレフォンパンチを放つ。マスターガンダムは
これを易々とかわし、その腕をひねって地面に叩きつける、もんどりうって転がるモック。
起き上がるより先に接近し、背中のマントのような羽根で打ち据えるマスター、
まるで野球のボールのようにかっ飛ばされて、実物距離で200メートルほど転んで止まる。
「うああ・・・一方的だね。」
宇宙が嘆く、まるで大人と子供の試合だ。
実際レイラは見たところ12〜3歳、マイケルは43歳なのだからそのまんまなのだが。
「・・・そう、見えるかい?」
宇宙の右にいたサザキが嘆く、顔に冷や汗をかきながら。

「んじゃ、もっかいっ!」
モックが再びマスターに突進、信じられないことに無傷だ。
「えええーっ!?」
「さっきからずっとあの調子なのさ。マスターガンダムがいくら殴ろうが蹴ろうが
 まるで効かず平気で起き上がってくる、並みのガンプラなら、何度壊れているか・・・。」
そう言っている間にも、どハデに蹴りを喰らってすっ飛ぶモック、石柱に激突して止まり
石柱だった石の破片がモックに降り注いで完全に埋まる。
・・・ほどなくモックが瓦礫をどけつつ立ち上がる、まるでのれんをくぐるように軽々と
岩をどかしながら。
0020三流F職人
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2015/06/17(水) 23:29:22.34ID:KRVctG9T0
「・・・い、いいかげんにしろ!貴様の機体、本当にプラスチックかっ!!」
マイケルが吐き出すように言う、確かにプラどころか超合金並みの頑丈さだ。
レイラの後ろで涼しげに笑ってるビルダー、ププセ・マシタが笑って返す。
「プラでなければ、そもそも動かないでしょう。」
「んじゃ、次いくよー、次!」
腕をぐるぐる回して元気アピールするモック。助走をつけてドロップキックを仕掛ける。
それを半後転してよけつつ、逆立ち状態で蹴り上げるマスター。
「うおおおおおおおおおっ!」
落下してくるモックにマスターが下から突っ込む、体を回転させ、ドリルのような勢いで
モックのボディに突き刺さる。
「超級覇王電影弾!!」
そのままモックを持ち上げ、はるか上空にまで到達して折り返し、地上に落下していく。
「くたばれえぇぇぇぇぇっ!」
モックどころかマスター自身さえ破壊しそうな勢いで地面に激突する2機、爆音と振動が響き
土煙が視界を遮る。
 やがて視界が晴れた時、地面に巨大なクレーターが出来上がっていた。
中心部にはマスターが逆立ちの体制で刺さっており、その下にいるはずのモックが
無事だとは誰も思わなかった。
 すっ、とマスターの体が持ち上がる、逆立ちしたまま。
その下にいたモックが、マスターの頭をわし掴みにして起き上がってきたのだ。
完全に立ち上がったモックは、逆立ちのままのマスターの頭部をもぎ取った、
まるで果実でももぎ取るように。

 ーBATTLE ENDED−

 静まり返る会場。唯一レイナの「やったー!」の声が響くのみだ。
選手席で見ている宇宙も愕然として固まっていた。
マスターの超級覇王電影弾が、自分のスパイラルドライバーと被ったのだ。
むしろ威力はマスターのが強かったのに・・・
「どうしろっていうの、アレ・・・」
選手席の誰も返事を返さない。誰もが勝つイメージを想像できないから。
 観客横の通路を下がるレイラとププセ、その二人に観客席から出てきた二人が合流する。
「あれは・・・まさか。」
そう呟いたのはルーカス、突然駆け出し、あわただしく部屋を出て行った。
0021三流F職人
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2015/06/17(水) 23:30:17.98ID:KRVctG9T0
「お前なぁ、あれじゃ10回は負けてるじゃねーか。ププセに感謝しろよ!」
「いいじゃん、結局は勝ったんだしさ!」
赤髪の中年男性が通路裏でレイラにお説教を垂れている、その傍らにはププセともう一人
30半ばほどの、銀髪のマダムが笑って立っている。
その顔立ちからも、髪の色からも、レイラの母親であることは間違いなかった。
 そこにルーカスが息を切らせてやってきた。
「あ、イケメンのお兄ちゃんだ!」
レイラがマセた言葉で迎える。4人が一斉にルーカスに目をやる。
「貴方は・・・アイラ・ユルキアイネンさん、ですね。」
マダムに向かって問うルーカス。
「・・・お久しぶり、ルーカス・ネメシス君。立派になったわね。」
柔らかに笑って答えるアイラ。
「誰?こいつ・・・」
その場一番の年長者のレイジが、一番ガキっぽい発言をする。
がっくりとうなだれるアイラとププセ。
「これで次期王様なんですから・・・空気読んで下さいよ。」

 30分後、第2試合が始まる。今大会屈指のイケメン対決!

 ルーカス・ネメシスVSマツナガ・ケンショウ
かつて高校時代、グラナダ学園とガバイ学園でのチーム戦で対決した二人が
世界大会の舞台で再戦を果たす。
「ルーカス・ネメシス、クロスボーン・ウッコ、行きます!」
「マツナガ・ケンショウ、ザク・シンデレラ、行くぜ!」
その宣言に大勢が噴き出す。何故シンデレラ・・・

 今日のルーカスは浮かれていた、そしてそのせいで消極的だった。
いつか憧れていた人との再会、そして「次」にその娘さんとの対戦が待っている、
そんな喜びと、本来の彼とマツナガとの実力差の認識がルーカスを蝕んでいく、
超一流のガンプラファイターも、まだまだ20歳前の若者なのである。
決められるチャンスを逃し、受けなくてもいい反撃を受け、それでも勝てるという思いが
ピンチを自覚できないでいる。
0022三流F職人
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2015/06/17(水) 23:32:25.00ID:KRVctG9T0
コロニーの隙間にザクを誘い込むクロスボーン、迷わず突進するザク。
逃げ場の無い狭い空間でバックパックを変形させ、メガ・ビーム砲を作り上げるクロスボーン。
ザクもまた、従来より大型のシールドを変形、ビーム砲にかざす。
「そのシールド、アブソーブ・システムだね。」
ルーカスが問う。かつて第7回大会でイオリ・セイが作り上げたビーム吸収装置。
「でも、その小ささでこのメガ・ビーム砲を全部吸収できるつもりかい?」
「くっ!」
「もう遅い。」
メガビーム砲が発射され、シールドに直撃!ルーカスの読み通りそのビームは盾を貫通し、
いくつかの光の線がザクをかすめる。
「・・・え?」
貫通?吸収しきれずに爆発するならともかく、アブソーブにビームを打ち込んで何故貫通する?
事実、野太いメガ・ビームは盾に当たって吸収され、そのまま即、盾の後ろからいくつもに
分散して吐き出されている。まるで寒天の塊がトコロテン突きに押し出されるように・・・
「吸収じゃなく、受け流す盾・・・強力なビームを分散して散らすためのアブソーブか!」
時既に遅し、メガビームの反動でバランスを崩したクロスボーンに、ザクのヒートホークが
打ち下ろされる。肩から胴へ、クロスボーンの象徴ともいえるドクロが叩き割れる。
「『シンデレラ』は灰の意味、この機体のような真っ白な灰になるまで戦いつづけるって意味だ!
 お前へのリベンジを果たすためになぁっ!」
「そんな・・・」
初優勝、憧れの人に捧げたかった勝利、その娘さんとの対戦、栄光への道・・・
その全てを飲み込む爆発の花がフィールドに咲く。

 ーBATTLE ENDEDー

ルーカスに対するリベンジのみの執念で這い上がってきたマツナガ
対戦相手のマツナガがまるで見えてなかったルーカス
勝利の女神は、祝福するべき相手を間違わなかった。

 通路裏、立ち尽くすルーカスの前にアイラが現れる。お疲れ様、と残して
一瞥もせずに通り過ぎる、アイラなりの気の使い方で。
ぼろぼろ涙をこぼすルーカス。ほんの少しの油断をした自分を心底呪った・・・。

「それにしても、わっかんねぇなぁ・・・」
選手宿舎、大地がパソコンをいじりながら嘆く。
修理がひと段落ついたので、2回戦の相手、リーナ・レナートの1回戦の録画を
チェックしていた。
試合は常にメイジンのペースだった、最後のあの発光のシーンのみがあまりにも不自然だ、
何故メイジンは左にヤマを張った?何故リーナは全く同時に逆に飛んでメイジンの
背後を取れた?フェイントをかけてるわけでもなし・・・発光のシーンを何度コマ送りしても
その理由がわからない。
「とはいえ、あのメイジンが『偶然負けた』って結論にすんのもなぁ・・・」

第15話終了です、次回で1回戦終了の予定です。こんな長くなるとは思わなかったw
0023ガンダムEXSEED ◆7LE37x3lEk
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2015/06/22(月) 19:30:22.78ID:dDeAstpj0
とりあえず投下します。二部開始でスロースタートなりますが

ガンダムEXSEED エデンブレイカー
第14話
C.E.2XX――エルヴィオ・マルキー二は、執筆も一段落したので、休憩がてら、昼食にでもしようと思い、家を出るのだった。向かう店は家の近くのダイナーであり、エルヴィオの行きつけの店であった。
こじんまりとした落ち着いた店構えの店内に、エルヴィオは入ると勝手にカウンターのいつもの席に座る。
「オムレツにミニサラダとコーンスープ、ついでにコーヒーを」
エルヴィオは朝食のようなメニューを頼み、店主は何も言わず、コーヒーを出してから調理を始める。話さなくて済むのは面倒がなくていいと思い、エルヴィオはコーヒーを飲みながら、料理が出来るまでをノンビリと待つ。
とは言っても、ただ待っているということも出来ず、店内に備え付けられていたテレビをボンヤリと眺める。ちょうど番組は昼のワイドショーであった。
「――ついに、我が国もオーブの攻略に成功し、地球全土への攻略の足場を築き始めたわけですが、これからの展開については、どうなるんでしょうか?」
テレビの中では番組の司会がコメンテーターに今後の展開について質問していた。コメンテーターは軍事評論家という肩書きの人間であった。
「今後の展開ですが、もしかしたら、停戦もあり得るかもしれません。地球は現在、地球連合とクライン公国残党による共同戦線がはられているので、オーブだけを足場に突破は難しいでしょうから、ここは一旦引くこともありえますね」
ずいぶんと考えが甘いとエルヴィオは思うのだった。停戦などを考えるような連中は、軍にはいない。軍部のジュール家もエルスマン家も好戦的であるし、政治の方ではカナーバの家の人間は変わらずしたたかであり、なにより、今のクランマイヤーは果断で優秀な若者だ。
少しでも国家全体の利益になると踏めば、一気呵成に攻勢に出るよう命令を下すだろう。エルヴィオは間違いなく戦いは続くし、地球全土を支配下にするまで戦いは続くだろうと思うのだった。
ろくでもないことだとエルヴィオは思う。何十年も戦い続けてきて、未だに誰も飽きはしない。そんな国を作ったのはリヒトと自分であること理解しながらもエルヴィオには、後悔はなかった。
そもそも、どうしようもなかったのだ。あの当時は人々をまとめるために、外に敵を造り、人々を団結させ、そして人々を貧しさから救うために、豊かな者たちから奪うしかなかった。方針を変えるタイミングはいくつかあったが、結局はズルズルと戦い続けることとなった。
理由は……バカバカしくて思い出すのも嫌になる。エルヴィオはそこで思い出すのをやめ、ちょうどよく食事が、目の前に置かれたので、出てきた食事に手をつけることにした。
オムレツをナイフで切って口に運んでいる間も、テレビは変わらず地球への侵攻作戦の動向についてコメンテーターが適当に話している。
「――このように、ケビン・ジェイド元帥が健在である以上は、攻略は難しいでしょうね」
不意に、懐かしい名前が聞こえ、エルヴィオはテレビの方に目をやるが、ケビン・ジェイドの話しはそれで終わりだったようで、話題は別に移っていた。
ケビンはまだ現役か。アイツも年寄りのくせによくやる。
エルヴィオは、自分より一つか二つ年上だった男のことを思いだす。ケビン・ジェイド――若い頃は仲間だったが、結局は考え方の違いでリヒトや自分と決別したうちの一人だ。
もう80歳も近いだろうに、元帥などやっているというのは、地球側は相当に人材不足なのかもしれんな。そんなことを考えながら、エルヴィオは急に思いつく。アイツのことも一応、細かく書いておくかと。
決別はしたが、今でもケビンのことは友だとエルヴィオは思っている。向こうはどうだかしらないが、一応、友である以上は、何かしら奴の足跡を残してやってもいいだろうと思い、エルヴィオは、ケビン・ジェイドについても書くことに決めたのだった。
とは言っても、今すぐにではない。ケビンについて書く前に、昼食を済ませなければな。エルヴィオはそう思い、フォークでサラダを突っつくのだった。
0024ガンダムEXSEED ◆7LE37x3lEk
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2015/06/22(月) 19:31:01.82ID:dDeAstpj0
C.E.168――間違った。それも途轍もなく大きな間違いだ。ケビン・ジェイドは行軍中、そんな考えが頭をずっとめぐっていた。金髪碧眼で爽やかな顔立ちと言われる、その顔も不眠不休の行軍によって、げっそりとし全く生気を感じさせないものになっていた。
それでも、ケビンはリーダーという立場から、自分のことばかり気にしているわけにもいかず、後ろを何度も振り返り、全員が無事についてきているかの確認を怠らなかった。
後ろをついてくるのは皆、ケビンと同じ年頃の少年少女だった。それも当然である。なぜなら、ケビンも含め行軍中の全員がクライン公国士官学校の候補生だからだ。
そう、ケビン・ジェイドはれっきとしたクライン公国士官学校の士官候補生である。そんなケビンが何故、不眠不休の行軍をするはめになっているのかというと。その理由を説明するには、三ヵ月ほど時間をさかのぼることになる。

ケビン・ジェイドは期待に胸を高鳴らせながら、地球への大気圏突入のシャトルの中にいた。周りにいるのは皆、士官学校の同期の候補生達である。同期生たちも、皆それぞれに表し方は違っていたが、期待に満ちている。
「地球ってどんな所だろうな?」
「別にコロニーと変わりはしないだろ」
「特別訓練ってなにするのかな」
「わかんないけど、修学旅行みたいな感じだと思っていいんじゃないかな」
「重力に慣れる訓練程度だろ。志願してない候補生は普通に学校でいつも通りのことやるらしいし、俺達だけが、そんなに特別なことやるわけねーよ」
ケビンは周囲から聞こえてくる雑談を耳にしながら、ボンヤリとしていた。少し気になったことがあったからだ。
ケビンたちは、今回、士官学校の教官から案内された特別訓練に志願したわけだが、その定員は30名限定で志願制。と言っても志願したものの中から士官学校での成績の良い順に30人が選ばれるというものだった。
ケビンの士官学校での成績は3位であり、選ばれるのは分かりきっていたが、1位と2位の二人の姿が見えない上、他にも30番内に入っているのに姿が見えない。それも全員が貴族出身の候補生だ。
だが、気にすることはないかもしれないとケビンは考える。訓練の内容次第では貴族の生徒を出し抜ける。平民出身の自分には、願ってもないチャンスだとケビンは思うことにした。

現在のクライン公国は貴族政となっている。
十数年前に国の体勢が変わったからだ。クライン公国がプラントと呼ばれていたころから、十数年前になるまで、議員やその他の国家の要職に就く家系に対して、公王の名のもとに貴族としての身分と爵位、そして有力な家系には領地として、コロニーを与えた。
しかし、貴族という身分が生まれても、公国が変わることはなかった。昔のクライン公国は公王による独裁と圧政が行われていたが、今は少数の貴族が、貴族ではない平民を虐げるような政治に変わっている。
結局のところは少数の人間が、良い思いするために作られたものだとケビンは理解していた。そのことに嫌悪を覚えるが、嫌っても自分はクライン公国の人間であり、その社会に適応して生きていくことしかできないという諦めに似た思いがあった。
だが、それでも少しでも良い生活や待遇を受けたいと気持ちはある。平民が貴族と同じような生活を手に入れる。そのためには、軍人となるのが一番楽だとケビンは思い、士官学校を受験し、合格、好成績を修め、この場にいる。
ケビンにとって士官学校は這いあがるための手段の一つに過ぎない。
士官学校での生活は、平民であるにもかかわらず貴族の候補生よりも良い成績を修めていることで、なにかと難癖をつけられるなどして良い思い出は全く無かったが、もうすぐ、それも終わる。
ケビンはこの特別訓練の成績も、全体の成績の内に入るだろうと思っていた。この特別訓練で良い成績をとって、主席と次席の二人を追い抜く。二人は貴族であり、ケビンに度々、嫌がらせをしてきた。
幸い奴らは、ここにはいない。出し抜くには最高のチャンスだ。そして自分が主席卒業の果たし、貴族の奴らを見返してやるのだ。そんな風に考えるとケビンは、訓練への期待が抑えることができず、口元に薄っすらと笑みを浮かべていた。そんな時である。
0025ガンダムEXSEED ◆7LE37x3lEk
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2015/06/22(月) 19:31:32.32ID:dDeAstpj0
「大丈夫ですか?」
ケビンは声をかけられハッとして普段の爽やかと言われる顔に戻り、隣の席に座り、自分に声をかけてきた、ジェシカ・エイプリルの方に顔を向けて、逆に尋ねる。
「何が?」
ジェシカはブロンドの髪を肩の下まで伸ばした、おっとりとした感じの少女だった。穏やかで誰に対しても優しい、士官学校が極めて不似合いな少女だった。
ジェシカは心配そうな顔でケビンを見ながら口を開く。
「何か思いつめてません?」
「別にそんなことはないよ。ただ、訓練が早く始まらないかと思って、落ち着かないだけだよ」
そう言うと、ジェシカは心配そうな顔のまま言う。
「なら、良いんです。ですけど、何かあったら言ってくださいね。出来る限り力になりますから」
ジェシカはそう言って、姿勢を戻して前を向く。いつも気にかけてくれて、ありがたいとケビンは思う。
そして、もしかしたらジェシカは自分のことが好きなのではないかと、ケビンは常々考えていた。いつか告白しよう。ケビンはそう思い、とりあえずシャトルが目的地に到着するまで身体を休めることにした。

ほどなくして、シャトルは着陸する。それは、北アフリカのクライン公国支配地域内にある軍事施設であり、正確にはプロメテウスPMCという民間軍事会社が管理している施設であった。ケビンら候補生にはそのくらいの情報しか与えられていなかった。
ケビンたち候補生がシャトルから降りると、シャトルは候補生を置き去りにするように動き出し、飛び立っていった。
まいったな、ここからどうするんだ?ケビンは基地のようにも見える軍事施設に置き去りにされ、どうしていいのか判断に困る。基地の外を見回しても荒野であり、周囲には人のいそうな気配はなかった。
そんな風にしてケビンら士官候補生達が、途方にくれていると、ゆっくりとした足取り、ケビンら士官候補生に近づく人影があった。
「やぁ、こんにちは」
声をかけられ、ケビンら士官候補生達は、その人物の方を向く。そこにはカーキ色の戦闘服を着た男性が立っていた。極めて整った容姿を持つ男性であり、二十代以上ではあるだろうが、年齢に関しては予測がつかなかった。
ケビンはその男性が、訓練教官だと理解し、男性の発言を待つ。すると男性はすぐに尋ねた。
「この中で学校の成績が一番良いのは?」
そう言われて、ケビンはすぐに手を上げ、発言する。
「自分です!」
そう言うと、男性はケビンに近づき、握手の手を差し出す。それに応じて、ケビンも手を出し、握手する。
「よろしく、ハルド・グレンだ。クライン公国軍から依頼されて、キミ達の訓練教官代表を務める。所属はプロメテウスPMCだ。今はお互い気楽にいこう」
「こちらこそ、よろしくお願いします。ケビン・ジェイドです」
互いに挨拶すると、グレンという名の教官は、握手の手を離し、候補生全員に対して言う。
「取り敢えず現状はジェイド候補生がキミ達のリーダーだ。彼を中心に上手くまとまってくれ。宿舎はそこの四角い建物だ。とりあえず、宿舎に入ったら訓練開始だ。健闘を祈る」
そう言って、グレン教官が去って行くと、候補生たちは一斉に話し始める。
「すっごいイケメン。どうしよう」
「あんなカッコいい人、見たことないよ。ちょっと話しかけてみない?」
これは女子の士官候補生の言葉である。
「そりゃ顔は良いけど、民間軍事会社だろ」
「つまりは傭兵でろくでなしだ。そんな奴が俺らに何を教えるんだ?こっちは士官学校できちんと訓練を積んでんだぞ」
これが男子の士官候補生の言葉である。
ケビンはとりあえず、この場で話していても仕方ないので、候補生に指示を出す。
「とりあえず、ここで話していても仕方ない。宿舎に入ろう」
そうケビンが提案すると。どこからか小さな声が聞こえる。
「成績いいだけで、いきなりリーダー気取りかよ」
ケビンは聞こえてきた言葉を無視して、候補生の全員に宿舎へ向かうように促した。
自分があまり好かれていないことをケビンは知っている。それが勉強などに手一杯で候補生との関係をつくることをしてこなかったせいだということも。実際、候補生の殆どがケビンを好きではないが嫌いでもないという微妙な感覚であった。
反感を買うのも当然かもしれないと理解しながら、ケビンはリーダーとして指名された以上、やるべきことはやる。その思いで、候補生の全員に急いで宿舎内に入ることをうながした。
0026ガンダムEXSEED ◆7LE37x3lEk
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2015/06/22(月) 19:32:10.69ID:dDeAstpj0
そうして、全員を宿舎内に入れ、最後にケビンが入ると。ケビンは宿舎内を見回して何とも言えない気持ちになった。なぜなら、宿舎と言ってもそこは倉庫に安物の二段ベッドを二列に並べただけのものであった。
ここで寝るのか?ケビンがそんなことを考えていると、候補生の女子が大声でケビンに対して呼びかける。
「女子と男子で部屋が分かれてないんだけど!」
「シャワーとトイレも男用しかないみたいだけど、女子は違う宿舎なのかな?」
ケビンは女子のその声を聞いて、どういうことだと確かめに行く前に、とりあえず荷物を置く。ベッドを迷うことが無かったのは、丁寧にベッドが成績順に並んでいるためであった。
「とりあえず、みんな、自分の士官学校の成績の順番のベッドに荷物を置こう。問題があったら、その時に変えよう。とにかく、自分の居場所を決めるのが重要だ」
ケビンがそう言った直後だった、突然、宿舎のドアが開き、銃を持った兵士たちが一斉に宿舎になだれ込んできた。
「おら!何やってんだ、グダグダとやってんじゃない!」
兵士たちの後からやって来たのは、グレン教官だった。グレン教官には最初に会った時の穏やかな様子は全くなかった。
「何を見ている。ジェイド候補生?」
グレン教官はケビンに尋ねる。
「どういうことですか!?」
ケビンはそれしか言えなかった。対してグレン教官は特に何も思わずに答えを返す。
「言っただろ。宿舎に入ったら訓練開始だと」
ケビンはその言葉に強く反応する。
「こんな訓練だとは聞いていません!」
そうケビンが言った瞬間、グレン教官はケビンの鳩尾に拳を叩き込む。ケビンはこれまでの人生で味わったことのない重い痛みに耐えられず、膝をつく。
「体罰は一回だけだ。もう二度としないから安心しろ」
そう言った後でグレン教官は言う。
「オマエが聞きたいことはいろいろあるんだろうが、それは無視する。聞いても仕方がないからだ。逆に俺の方が聞きたい。なぜ、この程度のことで慌てるのかと。
これはプロメテウスPMCが訓練に付き合うことになってから、毎回やっていることだ。情報を仕入れておけば、さして慌てることもないはずだ。だが、情報を仕入れていなかった。これは誰の怠慢だろうな?」
グレン教官がそう言った直後、候補生の一人が殴られ、倒れる。体罰は一回だけとさっき言ったはずなのに、とケビンはグレン教官を見る。
「俺は体罰をしないように努力するが、他の教官は俺ほど自制心はないかもしれんのでな。ああいうことにならないようにするのも、オマエの仕事だ。だがまぁ安心しろ、今後こちらが直接的な暴力を振るうことはないと思って良い。その辺りは常識をわきまえてるんでな」
どこが常識的なんだとケビンは思い、膝をついた姿勢で、グレン教官を睨みつける。
「お、どうした?睨むだけか、殴って来ないか?随分と臆病な奴だ。お前は軍人に向いてないな。良く分かる」
ケビンは挑発されているということが分かったが、挑発に乗ってもいけないことを理解していた。挑発に乗って教官を殴りでもしたら、自分の評価にも影響される。ケビンは好成績で訓練を通過すること目標としていたため、手を出すのはマズイと判断し耐えた。
「根性無しが。だが、まぁいい。お前のような根性無しのクソを、小便臭いガキ程度に鍛え上げるのが俺の仕事だ。覚悟しておけ、タマナシ野郎」
グレン教官はケビンにそう言ったあと、訓練生全員に呼びかける。
「とりあえず言っておく。俺はお前らを地獄に叩き落とすために仕事をしている。ここでは公国のぬるい士官学校のような考え方は通じないし、ルールも違う。ここでのルールはシンプルだ、俺の命令が絶対だということだけだ。それだけを頭にいれろ」
候補生は皆、怯えるような表情で、グレン教官を見ていた。それに対してグレン教官は言う。
「なぜ、こちらを見る?俺を見ていいなどとは一言も言ってない!全員、気をつけ!そこ、頭をこっちに向けるんじゃない、気をつけも満足にできないのか!能無しどもが!全員、その場で腕立て伏せ、俺がいいというまで、続けろ」
グレン教官がそう言うと、候補生全員が腕立て伏せを始める。
「もっと、キビキビ動け!全員、気をつけ!だらしない動きをするな、素早く動け!」
グレン教官は、腕立て伏せを始めようとした候補生全員を立たせる。
「腕立て伏せとはこうするんだ」
そう言って、グレン教官は気をつけの姿勢から素早く、腕立て伏せの体勢に移り、正しい姿勢で数回行うと、立ち上がり、候補生に指示を出す。
0027ガンダムEXSEED ◆7LE37x3lEk
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2015/06/22(月) 19:33:22.72ID:dDeAstpj0
「腕立て伏せ開始!」
そう言われて、候補生全員は、素早く腕立て伏せの姿勢に移り、腕立て伏せを始める。
「バラバラにやるんじゃない!全員、タイミングを合わせろ!タマナシ野郎、貴様が声を出して合わせろ!」
ケビンは自分のことかと理解し声を出し始める。その瞬間に、グレン教官の怒声が飛ぶ。
「なぜ、勝手に声を出し始める!?了解と言え!確認は何よりも重要なことだ!理解しろタマナシ野郎!」
ケビンはミスをしたと思い、慌てて返事をする。
「了解です!教官!」
「よし、タマナシ野郎、声出しはじめ!」
ケビンはそう言われて、声を出して腕立て伏せを始める。それに合わせて候補生全員が腕立て伏せを始める。
「よし、俺がいいと言うまで、続けろ」
そう言ってグレン教官は候補生の宿舎から退室したのだった。

グレン教官は候補生の宿舎を出ると、大きなため息をついて、ハルド・グレンに戻る。
「お疲れ様です。グレン教官」
同じく、宿舎から出てきた訓練教官の一人がハルドに対して労いの言葉をかける。2mの巨躯を持った、黒人男性であり、顔には大きな傷がある。男性の名はボブ・ヴィッチャーという。
「やめろ、ヴィッチ。教官と呼ぶのはガキどもの前だけにしろ」
ハルドはウンザリとした様子で、ヴィッチャーを連れて、教官の控室に戻る。教官の控室に入ると、待機していた教官がハルドを見て、お疲れ様ですと声をかける。
ハルドは自分のデスクに座ると、とりあえず候補生へのプログラムの予定を見る。既に何年か士官候補生の訓練プログラムをクライン公国軍から依頼されて行っているが、毎年、予定通りに行かないプログラムだ。実際、今年も予定を変えざるをえなくなった。
ハルドは教官全員に伝える。
「予定変更。とりあえず初週は徹底的に体力を消耗させる」
「理由はなんです?」
眼鏡をかけた理知的な顔立ちの若い男性教官トニー・ジョンがハルドに尋ねる。トニーはクライン公国出身であり、クライン公国軍の最精鋭MS部隊、ガルム機兵隊に所属していた経験があり、今回の訓練ではMS操縦の訓練担当である。
「例年のことだが、やっぱりぬるい。とりあえず甘い考えを無くさせるのと、ここのルールを体で覚えさせるためにだ」
分かりましたとトニーは言う。するとヴィッチャーが嘆かわしいような大袈裟な身振りで喋り出す。
「全く去年よりも酷い、あんなレベルで、どうなることやら」
ヴィッチャーは歩兵技術の訓練の担当であり、本人は地球連合軍の歩兵部隊に所属していた経験があり、歩兵一筋の男であった。年齢はハルドよりも上だが、プロメテウスPMCではハルドが上司にあたるため、ハルドには敬語で接していた。
「レベルは去年と変わらんよ。ぬるま湯で育ってきたってのも同じ。客観的に見りゃあ、毎年、候補生のレベルにそんなに変わりはない。酷く見えるのは錯覚だ」
ハルドは切って捨てるように言うと、トニーの方を見て、付け加える。
「ただまぁ、士官学校に入って相当経つのに、基本的な軍人らしさが身についてないのは問題あるがな」
自分もクライン公国の士官学校出身のトニーは肩を竦めて答える。
「公国がザフトだった時から緩いですから、もう慣習のようなものですよ。私の卒業時は敬語がキチンと身についていないのだって何人かはいましたからね。
まぁ、それでも何とかなってしまう。そんな土壌がクライン公国にあるのは事実で、なにせ旧ザフト時代には階級すらありませんでしたから」
「それでも、軍隊として機能していたんだから、凄い時代だったわね」
そう言ったのは、トニーの前に座る健康的に日焼けした肌の女性教官ヨアンナ・ブレシコフだった。ヨアンナは地球連合軍の特殊部隊であるMSデルタに所属していたという経歴を持ち、今回の訓練では歩兵技術とMS操縦の二つの訓練を担当する。
さらに女性であるので、女性の士官候補生の面倒を見るのも彼女の担当であった。
「とは言っても、結局、階級があった方が面倒がなくていいということで階級が出来て今に至るわけですが」
トニーはそう言って話しを締めくくった。
「だったら、学校でもう少し厳しく教えてやってほしいもんだ」
ヴィッチャーが愚痴るような調子でトニーに言うが、トニーは自分に言われてもと苦笑いを浮かべながら肩を竦める。
ハルドは適当に同僚の話しを聞きながら、今後の訓練のプログラムを頭の中で練っていた。クライン公国軍から要求されているのは、すぐに実戦に出しても大丈夫な程度に鍛えられた士官を要請することだ。
そんなのはそっちで勝手にやれ。とハルドは思うが、クライン公国には、トニーも言ったが、ザフトを元としているクライン公国軍は無意識に軍隊らしい縦社会を嫌うような風潮がどこかにある。
0029ガンダムEXSEED ◆7LE37x3lEk
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2015/06/22(月) 20:10:05.33ID:dDeAstpj0
実戦に出せるようなレベルの兵士をすぐに育成するには、どうしても厳しい方法を取らざるを得ず、そういうような土壌もクライン公国軍には基本的にはないし、現在のクライン公国の士官学校は貴族制度が出来たことにより仲良しグループのようにもなっている。
士官学校で厳しい訓練などをすると、候補生を子に持つ貴族のお偉方の反感を買うので、厳しくもできないというのが現状である。
それでも即戦力になる士官が欲しいので、クライン公国軍は士官学校とプロメテウスPMCに頭を下げて、特別訓練を実施させているのである。
基本的に貴族の候補生は来ない。士官学校の方で、そんな風に手を回している。ついでに、この時点で卒業までの成績は決まっているので、この特別訓練に参加したところで、成績は上がらないという。
成績を上げるために、この訓練に参加している奴にはご愁傷様としか言いようがないとハルドは思いながら、デスクを立つ。
「そろそろ良いだろう。ヴィッチャー教官、プレシコフ教官、行くぞ」
ハルドはそう言って、グレン教官になる準備をすると、再び役立たず共の寝床へと向かうのだった。

ケビンは延々と声を出しながら、腕立て伏せをしていた。既に周囲から声は聞こえなくなっている。おそらく腕立て伏せをやめている者も多いだろう。だが、ケビンはそれを確認しようとは思わない。
確認したら自分の気持ちも折れそうだったからだ。やめるのは仕方がない。コーディネーターとて筋力や持久力は鍛えなければ身につかない。肉体の基礎スペックはナチュラルより上だが、それでも鍛えなければ限界はある。
ケビン自身もそろそろ限界だった。声が出なくなり、身体を支える腕が震えだし始める。もう駄目だ。そうケビンが思った時である。
宿舎の入り口のドアが開き、グレン教官が二人の教官を伴い宿舎に入ってくるなり、言う。
「やめていいぞ」
その言葉を聞いた瞬間、ケビンは崩れ落ちるように宿舎の床に突っ伏した。
「全員、起立、気をつけ!」
グレン教官の言葉を聞き、ケビンはよろよろと立ちあがり、直立不動の姿勢を取る。グレン教官は候補生全員を見渡しながら、歩きはじめると、何も言わず一通り候補生を見ると、最初の位置に戻り、言うのだった。
「根性無しがどいつか、だいたい分かった。誰かは言わん。本人が一番分かっているだろうからな。だが、安心しろ、この訓練が終わるころには嫌でも根性が身についているだろう。お前たちに紹介する。ヴィッチャー教官とプレシコフ教官だ。
お前たちが根性のある兵隊になれるように手伝ってくれるありがたい教官殿だ。敬意を持て」
グレン教官はそう言って巨漢の男性教官と日焼けした女性教官を紹介した。そして二人の教官が挨拶をする。ケビンは正直、体力的に限界に近かったので、早く休ませて欲しいと思うだけだった。だが、グレン教官はそこまで優しくなかった。
「挨拶は済んだ。全員、着替えて宿舎の外に集合。五分以内だ。着替えはベッドの下にある」
ケビンはその言葉を聞いた瞬間に倒れそうになったが、別の方向からの声で意識を取り戻す。
「更衣室はどこにあるんですか?」
それは女子の士官候補生の言葉だった。その言葉に対して答えを返したのはプレシコフ教官だった。
「なぜ、更衣室が必要だ?ここで着替えろ」
「ですが、男性に見られてしまいます」
その言葉を聞くとプレシコフ教官は、発言した女子の候補生の前に行き、強い口調で言う。
「貴様は自分が女だから特別扱いしてもらえるとでも思っているのか?甘く見るなよ。ここでは全員が平等だ。男も女もない。戦場でもそうだ、女だからと言って、銃弾は貴様を避けてくれたりはしない。完全な男女平等な世界だ」
そう言うと、プレシコフ教官は、女子の候補生を突き飛ばす。
「手を出すのは無しだ。プレシコフ教官。だが、まぁプレシコフ教官の言ったことは事実だ。ここでは男女の区別はない。それで嫌な思いをすることがあるのなら、自分たちで工夫しろ。候補生同士のルールに関して、こちらは関与しない」
そう言った後で、グレン教官は時計を見て言う。
「あと三分だ。準備をしろ」
そう言ってグレン教官を含め教官全員が退出する。ケビンは疲労が抜けきらないまま、自分のベッドらしき場所に向かうと、その下を探る。
すると、金属製の大きなケースが見つかり、それを引きずり出し、ふたを開けると、カーキ色の戦闘服が入っていた。それも丁寧に名札付きである。
ケビンはその戦闘服を急いで着る。ケースの中には腕時計も入っており、それで時間を確認する。おそらく間に合っていない。だが、それでも急ぐ必要がある。そう思い、ケースの中身を確認せず。慌てて外に出る。
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2015/06/22(月) 20:10:43.52ID:dDeAstpj0
「姓名と階級を報告しろ」
ヴィッチャー教官がケビンと女子の士官候補生に尋ねる。
「ケビン・ジェイド候補生であります」
「ライア・キュールズ候補生であります」
二人がそう言うと、ヴィッチャー教官は頷き、手元のメモに名前を書くと、時計を見た後に言う。
「よし、いいぞ。では走れ。グレン教官の後を追え」
ケビンとライアの二人は訳が分からないと思いながらも、グレン教官が走り出すのを見て、それに続いて走り出す。
速い。ケビンはそう思いながら、グレン教官の後を追う。グレン教官は全力疾走ではない。あくまで、マラソンのような持久走の走り方だったが、ケビンもライアも追いつけない。遠い背中を追うような形で二人は走った。
グレン教官の走るコースは単純で、ひたすらに訓練施設を回るというものであった。だが、グレン教官に追うのに精一杯の二人はそういうことを考えるに至るのは、二週目を終えた時だった。そして、コースが決まっていることを二人は理解した。
かなりキツイがいける、ケビンは三週目の途中で全力を出して、グレン教官の隣に並ぶ。
「若いんだからそうでなくちゃな」
グレン教官はそう言うと、同じペースで走り続ける。キツイ。とにかくキツイ。ケビンは走りながら、グレン教官を見て、ありえないと思った。グレン教官は息を乱さず、散歩程度に走っている。自分は必死にペースを合わせているというのに。
限界だ。ケビンはそう感じると、段々とグレン教官から離されていく。事前の腕立て伏せで体力が削られているとしても、これほど差があるとはケビンは思えなかった。
ケビンは必死にグレン教官に追いつこうと思ったが、無理だった。どうしても遠い背中に追いつけなかった。ケビンは何とか追いつこうと、脚を速めるが、そうした瞬間に脚がもつれ転びそうになる。
マズイ。そう思った時、ケビンを支える手が伸びた。それはライア・キュールズのものであり、その手に支えられ、ケビンは体勢を整え、再び走り出す。
「追いつくのは無理だから、ゆっくりペースを上げていこう」
ライアの言葉に対してケビンは頷くと、ライアのペースに合わせて走る。そうして何週かしている内に、ケビンは後から遅れてきた集団を目にする。
「周回遅れだぞ!」
グレン教官が、そう言っても、周回遅れの集団は急ぐ様子もなかった。彼らはプレシコフ教官に引き連れられ、ひたすらに走っているだけであった。
周回遅れの集団にはジェシカもいたが、ケビンはそこに注意を向けている余裕はなかった。ケビンの意識は、グレン教官についていく。それだけに集中していたからである。
「限界の奴は俺の所に来い!」
ヴィッチャー教官の声が聞こえてくるが、ケビンはまだ余裕があった。問題なく、このまま走り続ける。隣を走るライアも問題はなさそうに見えた。
そうして、走り続けている内に、何人かが脱落してヴィッチャー教官の後ろに並んでいるのを見るようになってきた。ケビンはまだ頑張れるだろうと思ったが、諦めるのは自分の勝手だと無視をしてグレン教官のペースに合わせて走る。
何度か、プレシコフ教官が先導する集団を追い抜かし、二時間近く走っただろうか、気づくと夕方に近くなっていた。そこでグレン教官は足を止め、ケビンとライアに対して振り向き、言う。
「終了だ」
グレン教官は少し大きく息を吐くと、呼吸の乱れは無くなっていた。ケビンはそれを見て、人間離れしているとしか思えなかった。ケビンもライアも息切れと疲労で限界に近いというのに、グレン教官は問題がなさそうだった。
「お前ら二人は俺の後ろに並んで休んでいていいぞ」
そうグレン教官に言われて、ケビンとライアはグレン教官の後ろに並び、一休みする。
やがて、プレシコフ教官が先導していた集団も到着し、プレシコフ教官の後ろに並ぶ。
結果としてはヴィッチャー教官の後ろには、候補生の約半数。プレシコフ教官の後ろに10人程度、そしてグレン教官の後ろにはケビンとライアしか並んでいなかった。
そんな中、グレン教官は候補生を指さし、列を変わるように指示を出す。その結果、プレシコフ教官の列からグレン教官の列に並ぶものも何人かおり、逆にヴィッチャー教官の列に移動させられるものもいた。
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2015/06/22(月) 20:11:49.47ID:dDeAstpj0
「この列移動の意味が分かるか?分かる奴は、黙ってろ。分からない奴は考えろ。質問は受け付けない」
グレン教官はそう言った後で、さらに指示を出す。
「全員、その場でスクワット。俺の列は200回、プレシコフ教官の列は300、ヴィッチャー教官の列は500回だ。それで今日は終わりにしてやる。根性を見せろ」
ケビンはそう言われ、冗談じゃないと思ったが、教官の命令なので仕方ないと思い、声を出してスクワットを開始する。グレン教官の列はケビンを中心に全員が声を出してスクワットを始める。
ノロノロと始めるのはプレシコフ教官の列とヴィッチャー教官の列だった。ケビンは他の列が遅れていても気にすることは出来なかった。なぜなら、自分のことをするのに精一杯だったからである。
そんな中、ケビンは後ろの方で人が倒れるような音が聞こえた。気になったが、振り向くような余裕はなかった。
グレン教官が、ケビンの前から移動し、音のした方に向かう。無理矢理やらされるんだろうかとケビンは思った、だがグレン教官の態度は違った。
「よし、よく頑張った。少し休め」
グレン教官はそう言って、再びケビンの前に立つ。その時、別の列で倒れるような音がした。その瞬間であるグレン教官が怒鳴り声を上げる。
「なに休んでる!続けろ!」
先ほどとは全く違う対応にケビンは僅かに面食らったが、体力の限界のせいか感受性が鈍っており、深く考えることはできなかった。グレン教官は早歩きで、倒れた候補生の所へ向かうと、無理矢理立ちあがらせ、スクワットを再開させる。
そして、ケビンの前に戻ると、全員に向かって言う。
「俺が求めてるのは全力を尽くすことだけだ!結果はどうでも良い!とにかく全力を尽くせ!全力を尽くしてない奴は見れば分かる!自分を極限まで追い込めるか、俺たちはそれを見てる!」
グレン教官はそう大声で候補生に伝えると、腕を組んで、候補生の様子を見るの。そこからは、スクワットの回数を数える声だけが響くのだった。そうしている内にケビンは200を数え終える。
終わると同時にケビンはグレン教官に設定された回数をこなしたことを報告する。
「よし、休め」
そう言われてケビンら200回の列は全員が一休みをする。ケビンとしては正直限界であった。このまま休みたい。とにかく一刻も早く身体を休めたかった。もう食事も何もかもどうでもよく、とにかくベッドに横になりたかった。
ケビンらが休憩している中でも、別の列では延々とスクワットが続いている。
「やるべきことを全力でやらないとああなるってことだ。少しは勉強になるだろ?」
グレン教官は自分の列に並ぶ候補生に対して言う。
「お前らはやるべきことを全力で取り組んだ。まぁ完璧ではないが、許容できる範囲だ。そうして正しいことをしているから、こんな風にゆっくりしていられる。明日も今日と同じ調子で頑張れ。では、お前らは今日の訓練は終了。食事を摂り、自由時間にしろ」
ケビンはその言葉を聞いて、いいのかとグレン教官を見る。グレン教官は面倒くさそうに手を振り、さっさと行けと手で示す。
ケビンとその他のグレン教官の列にいた候補生はグレン教官の言葉に従い、その場を後に食堂へと向かうのだった。
ケビンらは限界に近い状態で、よろよろと食堂に辿り着くと、一人がバタリと倒れる。ケビンはそれを放っておくことも出来ず、肩を抱いて起こすが、自分も限界だったせいでケビンも倒れそうになる。だが、すぐにライアが手を貸し支える。
「無理しすぎだって」
ライアが言うのも無理はない。グレン教官の列にいる全員が限界であった。グレン教官の列にいたのは最終的に、5人だった。ケビンとライアそして倒れた男子の候補生。
「二人はそいつを座らせとけよ。俺とコイツでお前らの分まで、食事をとってくるから」
そう言ったのは、別の男子の士官候補生が二人であった。一人は坊主頭で、もう一人は褐色の男子である。二人は食事を取りに行く。その間に、ケビンとライアは、倒れた男子の士官候補生を椅子に座らせる。
「ありがとう、二人とも。僕はベルトリオだ」
男子の士官候補生は名乗り、ぐったりと椅子にもたれかかる。聞こえているかは怪しいが、ケビンとライアも名乗る。
「ケビンだ」
「ライアだ」
そう言うと、ベルトリオは薄っすらと笑みを浮かべながら言う。
「知ってるよ。二人とも有名人だし」
そう言われてもケビンとライアは訳が分からず顔を見合わせるしかできなかった。そこへトレーに食事の皿を乗せた、男子の士官候補生二人がやってきて、全員の前に食事を並べる。
0032ガンダムEXSEED ◆7LE37x3lEk
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2015/06/22(月) 20:12:16.52ID:dDeAstpj0
ケビンは食事を見て、何とも言えない気持ちになった。食事の皿には何肉かは分からないがシチューのような物と豆を煮た物、温野菜に、良く分からない粒上の物体に、赤みがかったソースのかかった料理があった。
「とりあえず、どれくらい食うかは分からなかったから、食堂の配膳の人に少し少なめに頼んだ。そんなに食えないだろ。みんな」
ケビンもライアも頷く。すると、坊主頭の士官候補生は、ケビンとライアに握手の手を伸ばす。
「リグだ。よろしく、ケビンにライア」
ケビンはそう言えば、こんな奴もいたなと思い、手を伸ばし握手する。続いて褐色の肌の候補生が握手を求める。
「俺は、シャルマだ。よろしく頼む」
ケビンは続けて握手をする。リグとシャルマの二人はライアにも握手を求め、ライアもそれに応じる。
そこで、ケビンはようやくおかしいことに気づいた。なぜ、この二人は自分の名前を知っているのかと。ケビンは不思議に思い尋ねる。
「聞きたいんだが、なんで俺の名前を知っているんだ?」
ケビンはこの二人に自己紹介をした覚えはなかった。それはライアも同じだったようで、ライアも尋ねる。
「悪いんだけど、私も二人に名乗った覚えはないんだ」
リグは別に気を悪くする様子もなく答える。
「そりゃ、二人が有名人だからだな。貴族と張り合って必死にトップを目指す二人。キミら二人は自分より成績の下の人間には興味ないかもしれないが、俺達、下の奴らは興味があった。それだけだよ。そんなことより、さっさと食おう」
リグが、そう言って五人は食事を始めるが、誰も話すことはなく黙々と料理を食べ、そして食べ終えると無言で宿舎に戻る。
五人は特に話すこともないので、宿舎に戻ってもわざわざ話すということはなかった。ただ、不思議なことにケビンは他の四人といて息苦しいということはなかった。ケビンは自分でも不思議に思っていたが、他の四人を仲間だと思っていた。
「シャワーを使う」
ライアが他に四人しかいない宿舎でそう言う。ケビンは、その頃には頭を働かせる余裕が生まれていたので、思い出す。そう言えば、男女のシャワーが一緒だということを。
「悪いが、俺も使いたい。早く寝たいんだ」
ケビンはそうライアに伝えると、ライアは特に気にすることもなく言うのだった。
「だったら使えば良いじゃないか」
ライアの方も気にしていないようなので、ケビンは着替えの下着を持ち、シャワー室へ向かう。シャワー自体はブースに分かれているので、やはり気にする必要も無いと思い、ブースに入りシャワーを浴びて体の汗を流す。
少しして、ベルトリオらもやって来たようで。シャワーを浴びる音がする。
「では先に」
ライアはそう言って、さっさとシャワー室から出ていく。
「ああ」
ケビンも特に気にしなかったが、ベルトリオは気になったようで、ケビンに話しかける。
「彼女は気にしてないのかな」
「何を気にするんだ?男女平等なんだし、気にする方がここでは変なんだろう?」
ケビンがそう言うと、男子の士官候補生三人は沈黙し、何ともいえない空気になるがケビンは気にせずにシャワーを終えたので、シャワー室から出る。
そして自分のベッドに向かうと、ベッドの中に潜り込んで眠ることにした。明日も訓練がある、今日の疲労を残しておくのは賢明ではないと判断したためだった。
ケビンは横になった瞬間に、一日の疲れが一気に襲い掛かり、泥のように眠るのだった。
0033ガンダムEXSEED ◆7LE37x3lEk
垢版 |
2015/06/22(月) 20:14:30.16ID:dDeAstpj0
14話終了です。支援どうもでした。
リヒト編はケビンの話しが終わってからになります。
0034三流F職人
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2015/06/23(火) 02:18:27.13ID:OWuKMCQH0
おお!投稿乙です。
おかげでモチベ上がりました、こっちも明日夜に投下します。
0035三流F職人
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2015/06/23(火) 22:48:18.08ID:OWuKMCQH0
それでは投下します。

ガンダムビルドファイターズ side B
第16話:ガンダムの落日

 Bブロック第3試合の開幕は、いきなり原作の逆オマージュから始まった。
アレクセイ・ジョンのガンダム・サイサリスが問答無用で打ち込んだ核弾頭を
サザキ・ススムのギャンがビームサーベルで叩き落したのだ。
「逆だろ、逆!」
観客が、選手が、主催者が一斉にツッコミを入れる。
「さすがだなサザキ、ちゃんと危険な信管部分を避けて落とすとは、律儀なことだ。」
「当然だよ、自らの毒で死ぬ毒蛇は存在しないさ。」
一応、原作で核兵器を打ち込んだマ・クベの愛機、ギャン使いの自覚はあるようだ。

 サイサリスの武装はまさに『兵器』そのものだった。原作付属の武器に加え、ビームやバルカン、
ミサイルにキャノン砲、果ては機雷にビットまで、あらゆる武器のオンパレードで
ステージの工業地帯を次々に灰燼と帰していった。
対してサザキは意外にもビームサーベルと盾のみの装備であった。が、その操縦の正確性と
剣さばきの見事さで、サイサリスの雨あられと飛来する火器を次々といなしていく。

 すでに15年、それはサザキ・ススムがこのギャンというガンプラに拘り続けた年月。
時には盾を2つにし、時には背中にバルカンを背負い、時には下半身をタンクにし、
またある年には頭から下をビグロにしたりもした。
そして今、まるで原点回帰のように剣と盾だけで戦っている。ただしその剣さばきは
単なるモビルスーツの動きを越え、まるでフェンシングの選手のように鋭く、速かった。
その手足、関節の動き、稼動範囲、塗装や仕上げのクオリティ、そして操縦するサザキの
剣技の冴えは、他の誰にも真似出来ないレベルに達していた、ことギャンに限っては。

「アロンジェブラ!」
サイサリスのミサイルポッドが叩き落される。
「リポスト!」
ビーム兵器を交差して突きを加える。
「サーブル!サーブル!サーブルっ!!」
ビットが次々と撫で斬られていく。
「プリーズドフェール!」
ビームサーベルを抜いたサイサリスの両腕を叩き落し。無力化するギャン。

サイサリスも別に無抵抗なわけではない、火器はもとより移動も常に行い
相手との距離を保ち、戦いに有利な状況を常に作ろうとしてはいるのだ。
しかし、全くギャンを振り切ることが出来ず、火器を当てることも出来ず、次々と
フェンシングの技で切り刻まれていく。
「フレッシュ!!」
ギャンの突きがサイサリスの頭を貫いた時、アレクセイのベスト8入りの夢は終わった。
0036三流F職人
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2015/06/23(火) 22:49:18.59ID:OWuKMCQH0
「勝者!サザキー・ススムーっ!」
司会のお姉さんがサザキを称える。アレクセイにフェンシング流の礼をしてから控え室に向かうサザキ。
その姿を選手控え室から見下ろしていたエマが一言嘆く。
「・・・見事なものね。」
12歳の時、フェンシングの国内代表の最終選考まで言った彼女をして、こう言わしめた。

 1回戦最終試合、優勝候補の一角、ルワン・ダラーラの対戦相手がそのエマである。
いや、一角という言い方は適切ではない。メイジンが敗れ、フェリーニが敗退した今
このルワンこそが優勝候補の筆頭と言ってよかった。

「ルワン・ダラーラ、∀ガンダムビートル、出撃!」
「エマ・レヴィントン、オッゴカスタム、行きます。」

 かつてはアビゴルをベースにした改良機を使っていたルワン。5年前に世界大会を制してからは
様々な機体に手を出すようになった。もっとも、その改造センスは相変わらずだ。
この∀ガンダムもビートルの名に恥じず、背中に甲羅のようなシールドと、両肩には
コーサカスカブトムシのような角を備えている。
予選ではアビゴルを使っていたあたり、今大会の本命はこっちなのだろう。
一方のエマは一見ごく普通のオッゴである。誰もが瞬殺を予想していた。

「まずはこのへんから行くか!」
背中の甲羅を開く∀ガンダム、その内側には多数のビーム発射口。
一斉に発射されるビームの雨がオッゴの周囲一帯を埋め尽くす。
「ディフェンスモード。」
オッゴは機体を横に向け、マニピュレーターを操作して機体横の盾を取り、構える。
ほとんどのビームはオッゴを通り過ぎ、残ったビームは盾に弾かれた。
しかし次の瞬間、オッゴは四方八方からのミサイルの雨に囲まれていた。
ビーム発射のスキに第二波攻撃をくり出していたのだ。
「オールレンジモード。」
そう呟いてコントローラーを操作するエマ、その瞬間、なんと円筒状のオッゴは
タテに割れた。そしてそのまま割れ口を90度回転させ、十字架のようなカタチに変形。
見えなかった切り口部分には無数のミサイルポッドが見える。
乱回転しながらミサイルを四方八方に撒き散らし、自分に向かっていたミサイルを
片っ端から相殺する。

「すごいな、エマさん。よくあれで酔わないなぁ・・・」
高速で乱回転するオッゴを見て感心する宇宙。元々トリックスターのジャイロの発想が
回転酔いを防止するものだっただけに、あの操縦席なら絶対に酔う自身がある。
「なるほど、遠距離戦はなかなかのものだな、お嬢ちゃん。」
そう言ってオッゴに突進する∀ガンダム。ツインビームソードを抜き、回転させながら
オッゴに斬りかかる。一刀のもとに、バームクーヘンのように輪切りになるオッゴ。
「なに!?」
手ごたえは無かった。オッゴは斬られてバラされたのではなく、自らの操縦で
バラバラになったのだ。
タテ割り2分割+輪切り3分割で合計6つの半切り輪っかになったオッゴ、そのパーツは
それぞれがワイヤーで繋がっており、まるでヌンチャク、いや多節混のようだ。
0037三流F職人
垢版 |
2015/06/23(火) 22:49:51.04ID:OWuKMCQH0
「スネークモード」
あまりの事態にしばし固まるルワン。その機体∀ガンダムに、分離してヘビのようになった
オッゴが巻きつく。切り口を内側、つまりミサイル発射口を内側にして。
「ファイア!」
そのままゼロ距離からミサイルを放つオッゴ。密着して動けない状態でミサイルの
密着弾を浴びつづける∀ガンダム。
「お。おい。ちょっと待て・・・」
呆然として呟くルワン、その間にも巻きついたオッゴからの超至近距離攻撃は続いている、
∀ガンダムはもちろん、密着しているオッゴも次々と壊れていく、しかしそれでもエマは
攻撃の手を休めない。
 ほどなくその空間に大爆発が起き、巻きついていたオッゴが吹き飛ばされる。
かろうじて原形をとどめてはいるが、その破損状況は悲惨の一言に尽きた。
もはや1/144ジオン兵が殴るだけで爆発しそうに見える。

 ーBATTLE ENDED−

「え・・・俺、もう終わり・・・?」
呆然とするルワン、そして観客。
メイジン、フェリーニと優勝候補の脱落の流れとはいえ、あまりに呆気ない決着だった。
水を打ったような静けさに包まれる試合場、ルワンに一礼して通路を引き上げるエマの
足音だけが響いていた。

「お、おい・・・これで今大会って。」
「ああ、よりによって、なぁ。」
観客の何人かが『ある事実』に気付いていた。それは・・・

○リーナ・レナート(リーオー)   − ×メイジン・カワグチ(ガンダムレッドウォーリア)
○里岡宇宙(ボール)        − ×ヤン・ウィン(ネーデルガンダム)
○グレコ・ローガン(呂布トールギス)− ×リカルド・フェリーニ(Wガンダム)
○ライナー・チョマー(ザクレロ)  − ×ヨハン・シェクター(ズサ)
○レイラ・ユルキアイネン(モック) − ×マイケル・チョウ(マスターガンダム)
○マツナガ・ケンショウ(ザク)   − ×ルーカス・ネメシス(クロスボーンガンダム)
○サザキ・ススム(ギャン)     − ×アレクセイ・ジョン(ガンダムサイサリス)
○エマ・レヴィントン(オッゴ)   − ×ルワン・ダラーラ(∀ガンダム)

 そう、ガンダムと名のつく機体の全滅である。
本来、主役機であるガンダムは、ガンプラバトルにおいても基本的には
有利に戦いを進められるハズの機体なのだ。
しかし1回戦でガンダムの名を冠する機体はなんと全て敗退してしまった・・・
 その夜、ネットではこの話題で持ちきりになった。
”ガンダム落日に消ゆ”、”脇役の反乱”、”メイジンの呪いか?”
そんなタイトルのニュース記事やスレッドが大いにカウンターを伸ばすこととなった。
0038三流F職人
垢版 |
2015/06/23(火) 22:51:11.44ID:OWuKMCQH0
「ただいまー。」
宿舎に戻った宇宙が大地に声をかける。が、返事がない。
見ると机の上で突っ伏して寝ている兄、その傍らには完全に修理されたトリックスターが
鎮座していた。
「ありがとう、兄さん、明日も頑張るよ。」
兄の背中に毛布をかけ、部屋の電気を消す。シャワーを浴び、食事を済ませ床に付いた。

 AM3:00、大地が目を覚ます。
「あ、ありゃー、寝ちまってたか・・・この毛布は宇宙か、あいつももう寝たんだな。」
節電モードになっているPCを消すべくマウスを動かし、画面を復活させる。
「あ、そうか・・・リーナ・レナートの戦法を調べてて、そのまま落ちたんだった。」
もっぺん見るか、と、巻き戻しボタンを押す。再生中だったので時間逆行のように
巻き戻されていく。
テキトーなところで再生ボタンをクリックし、画面が歪みながら止まり・・・
そして動き出すまでのその一瞬、大地が奇妙なものを見た。
「・・・なんだ?・・・今のは」
違和感を感じて再度巻き戻す。しかし今度はそれが見えなかった。
眠い頭を総動員して、今見た物の意味を考える。リーオーの『ある部分』に見えた『ある物』。
「・・・まさか!いや、それなら辻褄が合う。」
再度巻き戻して、今度はコマ送りでそのシーンを確認する。
しかし3度、4度と確認しても『それ』は見えなかった。
「そうだ、もし俺の推理が正しければ、そう簡単に『見えちゃ』いけないんだ。」
5度目のコマ送り再生をかける大地、ほんの1/10秒ずつコマ送り再生される画面。
そしてついに、その『物』を見つける大地。
「やっぱりか!これだ、これがメイジンすら負かせた、リーナ・レナートの『罠』・・・」
眠気は完全に吹き飛んだ。さらにコマ送り再生を続け、別のシーンでも『それ』を確認する。
「なんてコト考えやがる!だが、これで宇宙には通用しないぜ!このことを宇宙に伝えれば・・・」
そこまで考えて、はっとする大地。重要な問題が解決していないのに気付いたのだ。

「伝えても・・・意味がないじゃないか、これは。」
愕然とする大地、明日の試合まであと6時間ー

第16話終了です。次回はVSリーナをお楽しみに・・・読んでる人がいたらですがw
0040通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/06/23(火) 23:43:00.41ID:D381MRqE0
お疲れ様です、ずっと楽しく読ませて貰ってます
良い意味で期待を裏切る展開、次も楽しみに待ってますよ
0041三流F職人
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2015/06/25(木) 02:04:04.62ID:LWQ0/gKX0
うあああモチベーションの上がるお言葉に感激に打ち震えております。
というわけで17話、明日夜投下予定です。
この話でちょっとした転換期になります、ちょいシリアス度アップで。
0042三流F職人
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2015/06/25(木) 23:32:38.70ID:LWQ0/gKX0
それでは第17話、投下します。

ガンダムビルドファイターズ side B
第17話:激闘の先に

「それでは皆様、お待たせしました。これよりガンプラ世界選手権
 準々決勝を行います!」
司会のお姉さんが威勢のいい声で叫ぶ。ついに出揃ったベスト8。
ベテランありニュージェネレーションありとバラエティに富んだ8人のファイター。
その8人が壇上に上がり、パイプ椅子に腰掛けている。
一人一人、緒戦の内容を織り交ぜて紹介されていく。

「あのメイジン・カワグチをギリギリで撃破、ポニテが似合う16歳!
 アルゼンチン代表、リーナ・レナートぉーっ!」
「粒子が無ければ作ればいいさ!驚異のソウルドライブメカニズム!
 日本代表、サトオカ・ソーラぁーっ!」
「長年の宿敵をついに打倒!フェリーニの3連覇を止めたのはこの人!
 アメリカ代表、グレコ・ローガンーっ!」
「ガンプラびっくり箱は健在、ガンプラバトルのエンターテイナー
 ドイツ代表、ライナー・ちょまぁーーっ!」
「今大会最年少の13歳、いいかげんバレバレの正体を明かして欲しいぞ(笑)
 日本代表、不死身のモック使い、レイラ・ユルキアイネンーっ!」
「九州の若き白狼、ストイックな求道者精神で天才ルーカスに雪辱!
 日本代表、マツナガ・ケンショウーっ!」
「騎士道精神に目覚めたか!?見事な剣裁きがギャンに似合いすぎるぞ!
 日本代表、サザキ・ススムーっ!」
「まるでキャストパズルのような変形オッゴ、独自のセンスでかつての世界王者を撃破!
 スイス代表、エマ・レヴィントンーっ!」

 こうして見ると戦術もガンプラの改造方法も、似たようなタイプがほとんどいない、
マツナガとサザキくらいか。
それだけに誰が勝ちあがり誰が敗退するのか、まったく予想できないメンツである。

「以上8人による準々決勝、まずは第一試合、リーナ・レナート選手VS
 サトオカ・ソラ選手、用意して下さいっ!」
他の選手が退場し、中央のバトルシステム筐体の左右に分かれるリーナと宇宙。
ステージが粒子に覆われ、両者がガンプラをセット、共に修理は完璧に出来ている。
そんな中、宇宙は試合前に兄、大地から受けたアドバイスを思い出していた。
0043三流F職人
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2015/06/25(木) 23:33:11.69ID:LWQ0/gKX0
「いいか宇宙、相手があの発光装置を使ったら、お前はまず『耳抜き』をするんだ。」
「え?耳抜きって、あの気圧差ができた時にする・・・アレ?」
「そうだ、耳に力を入れて鼓膜の内圧を調整するアレさ、お前は得意だろ?」
「そりゃまぁ、宇宙飛行士を目指すなら絶対必要だしね、でもどうして?」
「いいから、それを絶対に忘れるんじゃないぞ!」

 −STAGE SPACE−

「リーナ・レナート、リーディングリーオー、行きます!」
「サトオカ・ソラ、トリックスター、テイクオフします!」
両者のバトルが始まる。共に1回戦では謎の残る性能を見せた機体だけに
世界中のガンプラビルダー達の注目が集まる。
「先手必勝!」
トリックスターにチャージの暇を与えずに開幕マシンガンを放つリーオー、
両腕に抱えたその銃による乱射のせいで、トリックスターは防御に回るハメになる。
そのまま攻撃の手を休めずに、トリックスターの周囲を回るリーオー。
1回戦同様に中間距離を維持したまま・・・

「そうだリーナ、それでいい。ヤツをあまり飛び回らせるなよ!」
観客席からフリオが呟く。愛娘の戦術の良さに感心しながら。
「(さて・・・果たしてどこまであの戦法がバレずに使えるものか・・・)」
隣でマリオが顎に手を当て、神妙な顔付きで考える。メイジンを仕留めた『あの戦法』は
あまり多用して暴かれると問題になる。かといって今回の相手は粒子を生産するという
離れ業を持つ相手、できれば時間をかけずに倒したい。となれば『あの戦法』を
使わざるを得ない。

「宇宙、忘れるなよ、俺が言ったことを・・・」
反対側の観客席から大地が呟く。リーナの戦法は分かっている、しかし彼女の戦法は
『分かっていても防げない』ところに恐ろしさがある。そのまま宇宙に伝えても
結局意味が無い。そこであえて宇宙の得意な『耳抜き』を指示したのだが・・・
0044三流F職人
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2015/06/25(木) 23:33:43.75ID:LWQ0/gKX0
 主砲で反撃するトリックスター、もともと盾が大きいトリックスターに
中間距離でのマシンガンはそれほど驚異ではない。開き直って動き出せば
ペースを掴めると考えたのだ。
リーオーが主砲を避けたその一瞬を利用してバーニアを吹かし加速、操縦桿をデタラメに
動かし、乱軌道移動に持ち込む。
「(彼のソウルドライブは、水平姿勢維持装置(ジャイロ)の役割も果たす。それはつまり
 あれだけ動いていても、こちらが見えているということ・・・好都合だわ。)」
相変わらず中間距離を維持したまま、今度はバスーカを手にするリーオー。
狙いをつけず、ボールの行動範囲に数発を打ち込む。
と、その弾がトリックスターの周辺で次々と爆発する、ただの弾ではない、炸裂弾だ。
「うわぁっ!」
爆風を受け、弾かれるトリックスター。彼の乱軌道移動はこのテの『置いておく』武器に弱い、
下手をすると自分から突っ込んで自滅のケースすらある。
「くっ!」
乱飛行を止め、弧を描いてリーオーに突進するトリックスター。しかしリーオーは相変わらず
近づけば離れ、離れれば距離を詰めてくる。攻防をしながらではあるが、どこか時間稼ぎの
ような気配すらある。

「相変わらず、か。」
選手席からメイジンが呟く。彼ですら未だリーナの戦法を理解してはいなかった。
もっとも実戦向きの性格なので、いざリベンジして見破りたい、と思う分が強いのだが。
「今更だがよーメイジン、あのときお前さん、なんで左に斬りつけたんだ?」
チョマーが質問する、壇上に上がっていた選手もすでにこちらに移動していた。
「・・・勘さ、それだけだ。」
そう答えるメイジン。嘘ではない、あの時メイジンの勘はニュータイプのごとく冴えていた、
だからこそ、その勘が外れたことが不思議でならなかった。
その会話を聞いて、ややいぶかしい顔をした選手が一人、グレコ・ローガンである。
0045三流F職人
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2015/06/25(木) 23:34:24.28ID:LWQ0/gKX0
 リーオーがバスーカのマガジンを入れ替える。次に放ったのはワイヤーミサイルだった。
ワイヤーを引いたミサイルを連射し、トリックスターを追いかける。
獲物を絡め取るクモの糸のように。
「そんなの県大会で経験済みだよっ!」
機体を回転させ、あえてワイヤーを巻きつけるトリックスター、県大会の準々決勝で
アシュラジオング相手にやったように、ワイヤーを巻き込んで相手との距離を詰める。
慌ててバスーカを離すリーオー、ヒートシミターを抜き、迎撃体制を取る。
突進するトリックスターに交差斬りを繰り出すリーオー、皮肉にもその一太刀は
トリックスターに巻きついたワイヤーを切断してしまった。
至近距離で同時に振り返る両者。

「この距離なら!!」
シールド先のビームダガーを点火し、リーオーに突撃しようとしたその刹那、
リーオーの腰にある発光装置が景色を白一色に染めた。
「っ!・・・上かぁっ!!」
宇宙の意識が上に向く。と、その時、彼の脳裏に思い当たる言葉があった。

 ーいいか宇宙、相手があの発光装置を使ったら、お前はまず『耳抜き』をするんだー

「耳抜き・・・んっっ!」
いくら宇宙ステージとはいえ、リアルに耳抜きの必要は無い。それでも律儀に兄の
指示に従う宇宙。
その瞬間、コックピットの警報装置が鳴り響いた。下方向の敵の姿を表示して。
「下っ!?うああ・・・」
嘆きながらも反射的に操縦桿を動かしたおかげで、リーオーのヒートシミターは
カスるだけで済んだ。
「よけた!?っていうか上に動かなかった・・・どうして?」
リーナも目を丸くして驚いている。

「よっしゃ!よく避けた宇宙!」
「バ、バカな!効いてないだとっ!!」
観客席の左右で逆の感想を叫ぶ大地とフリオ、叫んだせいでお互いの目が合う。
焦りの表情で大地を見るフリオ、ドヤ顔で返す大地。
0047三流F職人
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2015/06/25(木) 23:43:30.11ID:LWQ0/gKX0
「・・・やっぱりかっ!」
選手室でそう叫んだのはグレコだった。他の選手が一斉に彼を見る。
「みんな、気付いたか?今リーオーが発光した瞬間、上を見たんだ。
 ・・・お前ら全員が、そして観客全員がなぁっ!」
「「「な・・・!?」」」
思わぬ言葉に驚愕する選手たち。
「あれは・・・間違いない、サブリミナル効果だっ!!」

「なんて・・・コトだ。」
主催席で青くなっているのはニルス・ヤジマだ。隣のキャロラインが心配そうに視線を向ける。
「・・・確かに、ガンプラバトルのルールでは禁止の明記は無かった、だけど、まさか・・・
 サブリミナル効果を使ってくるなんて!」

  ーサブリミナル効果ー
 見る人の視覚にそれと気付かせないように見せ、意識下に擦り込ませる技法。
一例として、アメリカのある映画ではフィルムの中に数分に1コマだけ、コーラとポップコーンの
画像を挿入しておいた。映画を見た人はそのシーンを認識してはいなかったが、
映画の後、売店にはコーラとポップコーンを求める人の列が出来た。
このように、映像による洗脳効果のあるこの技法は、現在の映像作品では規制、自粛されている。
ただし、ガンプラバトルのルールブックには、この明記は無い。

 サブリミナル効果発祥の地、アメリカ人だからこそ、グレコとニルスはその謎に気付いたのだ。
そして抜群の反応速度を誇るメイジンだからこそ、この仕掛けにハマってしまった。
だが、宇宙は大地のアドバイスにより、発光直後に耳抜きをし、ワンクッション置くことで
反射的に誘誘導されるのを防いだのだ。

「だがよ、どうやって?どこで見せているんだ?」
「決まっているだろう、リーオーのカタチをよく見りゃ、自然にある部分に目が行くだろ?
 お前さん家にテレビは無いのか?」
「あっ!・・・頭のモニターか!!」
「・・・考えたな、リーオーのデザインを逆手にとって、無意識に注目する頭部カメラに仕込むとは。」
選手たちが次々に謎を解いていく。その声を聞きながら、メイジンがサングラスを取り、呟く。
「罠を張っていたのは・・・わたしの意識化に、だったのか、見事だ。」
その呟きを効いて、グレコが呆れて返す。
「おいおい、あんなやり方で負かされて、クレームの一つもないのか?」
「ガンプラは自由だからな。」
さらりと返すメイジン、ぶれないなぁ、と呆れる周囲。
0048三流F職人
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2015/06/25(木) 23:46:00.18ID:LWQ0/gKX0
「見抜かれた以上、この戦法に拘ってても仕方ないわ。」
ヒートシミターをもう一本抜き、二刀流で構えるリーオー。突撃してくるトリックスターに
剣を合わせようと構える。
トリックスターは高速でリーオーの回りを回っている。相手のスキを伺って突撃技を狙う宇宙。
やがてトリックスターから粒子が溢れ出し、緑色の尾を引く彗星となる。
同じ軌道をまわっているせいで、まるで土星のリングのような輪が出来上がる。
「・・・待てよ、粒子が多いほど出力が上がる、でもそれだけじゃなくて粒子が演出する
 効果も上がるってことか、それなら!」
何かに気付いた宇宙、リーオーの周りをさらに回転、しかも座標をずらして、円から球の軌跡を
描くように飛び回る。結果、リーオーの周囲に出来た輪は、球状にリーオーを取り囲む。
「な、なに?何をする気?」

「いかん、リーナ、そこから脱出しろっ!」
マリオが叫ぶが、それより先に宇宙が行動に出る。
砲塔のマガジンを外し、それをリーオーに投げつける、粒子の球に差し掛かったところで
バルカンでマガジンを破壊する。
その瞬間、リーオーを囲んでいた『球』が、派手に誘爆を起こす。
「きゃあっ!・・・あれ?」
一瞬ひるむリーオーだが、別に爆発の威力が上がってるわけではない。視覚的にハデになった
だけではあるが・・・一瞬のスキを生むには十分だった。
「スパイラル・ドライバーっ!!」
リーオーの側面から突撃するトリックスター、相手のお株を奪う目くらまし攻撃から
一番の必殺技がリーオーのわき腹に突き刺さる。
「決まれえぇぇぇぇっ!!」
リーオーの機体にビームダガーが食い込む、そしてそのまま機体を両断し、突き抜けるトリックスター。
ちょうど上半身のリーオー部分と下半身のドム部分を綺麗に切り分ける形となった。
そしてそれが同時に爆発、四散する。

 −BATTLE ENDED−
0049三流F職人
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2015/06/25(木) 23:46:46.88ID:LWQ0/gKX0
 湧き上がる歓声、ガッツポーズを取る宇宙に、観客席から大地が飛んでくる。
リーナは下を向き、少し目を閉じていたが、やがて顔を上げ、宇宙に近づいてくる。
「完敗よ、よく見破ったわね、わたしの戦法。」
「・・・戦法?」
ハテナ顔で握手に答える宇宙。大地が横で、いーんだよ、と嗜める。
リーナがきびすを返すと、そこには父と叔父の姿があった。
「残念、負けちゃったわ、父さん、叔父さん。」
リーオーの頭部モニターに仕込んだ”↑”のシールをはがし、舌を出してウインクするリーナ。
頭内部に発光ダイオードを仕込み、それをごく一瞬光らせて、↑矢印を一瞬だけ見せていたのだ。
「素直に俺たちの作品を使っときゃいいものを・・・」
「いらないわよ、あんなテム・レイ回路。」
「誰がテム・レイだ、誰が。」
笑いながら通路を引き上げるレナート親娘。

「これでいよいよベスト4だ、スゲーじゃねぇか、宇宙。」
「兄さんの治してくれたコレのおかげだよ、ホントに凄いよこの機体。」
兄弟で通路を引き上げる。周囲の歓声に答えながら。

と、もうすぐで通路出口というところで、二人の足元にジュースの空き缶が転がってくる。
「なんだぁ?マナーの悪いやつがいるもんだ。」
「誰かが落っことしたんじゃないの?」
宇宙が少しかがんで、空いた右手でその空き缶を拾おうとした、その時ー

 スバァァァンブッシャアアァァァァァーー!!
いきなりその缶が爆発し、白い煙が猛烈に噴出する。瞬時に煙に飲み込まれる2人。
「な、なんだぁー!?」
「きゃあぁぁぁーーっ!」
「うわっ!やべぇぞアレ!!」
騒然となる会場、警備員が笛を吹き鳴らし飛んでくる。毒ガスかとパニックを起こす客もいる。
選手一同も、主催のキャロライン、ニルスも現場に向かう。
まさか、テロ行為?こんな場所で??

 現場にニルス達が到着した時、既に煙は収まっていた。
爆発地点から少し離れたところで、少年が左手首を抑えてうずくまっている。
その少年に心配そうに声をかける青年。
「大丈夫か、しっかりしろ宇宙!!」
「痛っ・・・た、大変だよ、兄さん。」
宇宙が搾り出した次の言葉が、周囲の人間を凍りつかせた。

「トリックスターが・・・盗まれた・・・」

第17話でした。支援感謝です、さすがにサブリミナルはバレバレでしたかねぇw
0050三流F職人
垢版 |
2015/06/27(土) 23:09:15.13ID:LBIbOZYL0
ガンダムビルドファイターズ side B
第18話:宇宙と大地

「会場出口に手荷物検査体制、幹線道路に検問の手配、急げぇっ!」
ガンプラバトル世界選手権、主催席は蜂の巣をつついたような大騒ぎだ。
本戦の真っ最中に騒乱、盗難、傷害事件。世界大会始まって以来の不祥事に、
主催のヤジマ商事関係者は顔面蒼白になりながら事態の収拾に当たっていた。
「(うかつだった・・・あのトリックスターの粒子増幅は、他社にとっては
 喉から手が出るほど欲しい物、こうなる可能性はあったハズなのに・・・)」
ニルスが痛恨の表情で指揮をとる。

「世界中のガンプラGメンに連絡、特別待機と情報収集を依頼しろ!
 あとガンプラマフィアの動きにも探りを入れろ!!」
「(もし、あの機体の効果を確認したいなら、必ずバトルフィールドで起動する、
 そうなったらエマージェンシーシステムが発動して、どこでやっているのか
 ラボに情報が入る、そこを押さえれば・・・)」
皮肉にも、粒子の秘密を守るためのエマージェンシーシステムが操作の鍵となる、
社外秘のシステムゆえ、犯人たちは無警戒にトリックスターを起動させるだろう、
いや、起動させてほしい。世界大会の成功のため、純粋に戦うファイター達のため。
「(皮肉なもんだ・・・予選まではサトオカ選手の退場を願ってたのに、今は彼のために
 ヤジマ商事の総力をあげて動くコトになるなんてね。)」

 医務室から大地が出てくる、中では宇宙が手首の治療中だ。
「どうだった、弟クンは?」
廊下に集まっていた選手たちが心配そうに大地に問う。
「軽いネンザですんでる、シップで3〜4日で直るそうだ。」
骨に異常が無いことにほっとする面々、しかし幸い、という状況でもない。
「準決勝は3日後だろ、ケガしてちゃあ影響出るだろうな・・・」
ヤンが暗い表情で呟く、1回戦以来すっかり宇宙の支持者になっている。
「主催に掛け合って、日程を延ばすコトはできませんの?」
いかにもお嬢様なエマの問いにリーナが答える。
「できるわけないじゃない、世界中から観客が集まってるのよ、
 タイムテーブルの変更なんて今日ので精一杯よ、きっと・・・」
本日予定されていた第2試合、グレコVSチョマーは、安全上の理由から明日に延期になった。
観客にも、選手にも、それぞれの生活がある。規模が大きくなったガンプラバトルは
タイムテーブルの変更が極めて難しくなっていた。
「・・・にしても胸糞悪い話だ、一体どこのどいつだ!」
グレコがそう吐き出す、争いはバトルフィールドの中でやれよ、と付け足して。
0051三流F職人
垢版 |
2015/06/27(土) 23:10:06.22ID:LBIbOZYL0
 ほどなく宇宙が出てくる。選手たちが居てくれているのを見て、一礼する。
「あ、どうもご心配をおかけしました。」
「とにかく、トリックスタ−が無いことには話にならない・・・俺達はガンプラを探して
 作り直すことにするよ。」
大地が宇宙を連れて病院を後にする、他の選手もその場で解散した。

「くそっ!ここもかよ!!」
吐き捨てるように嘆く大地。トリックスターのベース機である
『ベストメカコレクション・ボール』がどこにも売っていない、既に6店は回っているのに。
不人気機体、販売魅力の無い低価格商品、しかも世界大会開催でかき入れ時のショップにとって
売れるアテの無い商品は軒並み撤去されていた。
 結局、夕方まで10件以上を回ってもベース機は見つからなかった、
ネット通販なら何とかなるだろうが、届く頃には大会は終わっているだろう。
2人の表情はいよいよ沈みがちだ。

「・・・帰ろう、兄さん。」
宿舎に引き返す、という意味なのだが、大地の耳には、もうガンプラバトルなんか止めて
徳島に帰ろう、と言ってるようにすら聞こえた。
初めてガンプラバトルを経験した時、惨敗した上に邪魔者扱いされた時と同じ表情だったから・・・
無理も無い。15歳の少年が、遊びのはずのガンプラバトルでテロまがいの
目にあってるんだから。
・・・こうなったら盗まれたトリックスターが無事に帰ってくることを期待するしかない。

 食事を済ませ、風呂に入っていた大地が上がってきた時、宇宙は大会ルールブックを熱読していた。
大地に気付いた宇宙が顔を上げこう言った、すっかり晴れやかな顔で。
「ねぇ、兄さん!準決勝、頼んでいいかな?」
「・・・は?」
ルールブックを反転させて大地に見せる宇宙。
「ほら、大会のルールで選手変更のトコ、3親等までなら認められるって書いてある。
 過去にも一例、10年前に準決勝で選手交代した事例もあるし。」
「・・・それはつまり、俺に出ろ、ってコトか?準決勝に。」
「うん!どのみちこのケガじゃ、トリックスターが帰ってきても勝てそうに無いし、
 それにもしかしたら、準決勝の相手、チョマーさんになるかも知れないよ!」
0052三流F職人
垢版 |
2015/06/27(土) 23:10:31.47ID:LBIbOZYL0
「・・・っ!」
思わぬ宇宙の提案に固まる大地。
「・・・それで、いいのか?」
半分は宇宙に、もう半分は自分に言い聞かせるように問う大地。
「うん!その代わり絶対勝ってよ、決勝はまた僕が行くつもりだから。」
満面の笑みで頷く宇宙。
「(ああそうだ、コイツはこういうヤツだった。初めてのバトルの時もあっさり立ち直って
 それがトリックスターの原案を生み出すキッカケになったんだ。)」
やれやれ、と肩を落として笑う大地、そして心のスイッチを入れる。
「よし!任せとけ、チョマーだろうがグレコだろうが蹴散らしてやるよ、
 まずはヅダを徹底改造するぜ、手伝え宇宙!」
「うん!でも・・・その前に、パンツくらい履こうよ。」

 大会主催者ルーム改めガンプラ盗難事件対策本部、24時間体制での調査は続いていた。
メイジンやイオリ・タケシ、ラルさんと呼ばれる中年ファイターも詰め掛け、対策を協議している。
コトは今回だけではない、これからのガンプラバトルの運営にすら関わる事態なのだから。
「観客の手荷物検査までしたが、盗まれた機体は出てこなかった。
 すでに会場外に持ち出されていたのか・・・」
「検問にも引っかかりませんでした。大会の最中に会場から離れる車はそう多くないから
 漏れてるとも思えませんが・・・」
会議の最中、外から入ってきた役員がニルスに耳打ちする。
「(未だエマージェンシーコールは入ってきていません、残念ですが。)」
「(そうか、引き続き監視を頼む、絶対見落とさないように。)」
進展の無いまま、時間だけが過ぎていく。明日は準々決勝残りの3試合、明後日は休養日、
それまでに何としても取り戻さなければ・・・

「(頼む、起動してくれ、お前たちの欲しいのは情報だろう!好きにデータを回収していい
 その後、機体を無傷で返してくれればそれでいいから!)」
研究者の目でもなく、企業の重役としてでもなく、純粋にガンプラバトルを愛する者の目で
ニルス・ヤジマは祈っていた。準決勝第一試合まであと60時間ー



第18話でした。今回はガンプラバトルなしですw
0053三流F職人
垢版 |
2015/06/29(月) 22:52:03.42ID:gXKSxmiN0
人いませんね・・・私だけが進めちゃっていいんでしょうか。
進めるけどw

ガンダムビルドファイターズ side B
第19話:4強決定!

「皆様大変お待たせしました!それではこれよりガンプラバトル世界選手権
 決勝トーナメント準々決勝第2試合、アメリカ代表グレコ・ローガン対
 ドイツ代表ライナー・チョマーの一戦、開始ですっ!」
明けて8/14、準々決勝の残り3試合が行われる、その会場には各所に警備員が
配置されていた。どこか張り詰めた会場はそれでも満員だ。
・・・もっとも警備員は単なるポーズだ。主催者側からすれば、あんなガンプラの
盗み方をするのは企業としての利権の絡む作りのトリックスターくらいで
他のガンプラが盗まれる心配はそうはない。

「グレコ・ローガン、呂布トールギス、出るっ!」
「ライナー・チョマー、ウォドム・ストレッチ、行くぜ!」
両者がフィールドに踊り出る、かたやSDガンダム系、かたや露骨な兵器系、
見た目に全く対照的な機体の戦いとなった、開幕の挨拶代わりとミサイルを
複数発射するヴォドム。
「でやあぁぁぁっ!」
槍を薙ぎまくってミサイルを全て両断するトールギス。そのままの勢いで
ヴォドムに突進し、槍の一刀を浴びせる。
「あらよっと!」
何と、まるで跳び箱のようにトールギスを飛び越すヴォドム、これはかなり気色悪い。
「ス、ストレッチ・・・か、なるほど、よく動くな。」
グレコが顔を引きつらせて返す。巨大な足のヴォドムがスムーズに屈伸運動をする様は
かなりシュールな動きに見える。
「コイツも、もうずっと作りこんでるからな、付き合い長い機体なんでね。」
そう言うと、猛然とトールギスに突進、その巨大な足でケンカキックをかます。
直撃し吹っ飛ばされながらも、バック転から鮮やかに着地するトールギス。
「SDに格闘戦を挑むとは、いい度胸だなチョマー!」

「通算成績5勝5敗、それがあの二人の世界大会での戦績だよ。」
ルワン・ダラーラが選手席で宇宙にそう解説する。
「・・・そんなに戦ってるんですか?あの二人。」
「ま、予選も込みでだがね。クジ運の絡みもあってよく当たるのさ。」
フェリーニがそう付け加える。二人とも第4回大会からの縁だそうだ。
「大抵の試合で、ペースを掴むのはチョマーのほうさ、それをグレコが真っ向から
 突き崩せるかが毎回勝敗の鍵となる。」
メイジンがそう語る。そして今回もその言葉通りになりつつあった。
0054三流F職人
垢版 |
2015/06/29(月) 22:52:29.79ID:gXKSxmiN0
「魂いいいっ!」
槍を右に左に振り回し、ヴォドムに斬りつけるトールギス。しかしヴォドムは
その巨体をひょいひょいクネクネ動かして、そのヤリをかわし続ける。
まるで体操選手のようなその動きは、シュールを通り越してもはや不気味の一言だ。
そしてスキを見てはパンチやキックを繰り出し、呂布トールギスを吹き飛ばす。
ただ、体系的に塊に近いSDガンダムには、その大味な攻撃はあまり効いてはいないようだ。
「(わざわざヴォドムを持ってきた以上、何か打つ手を隠していやがるはずだ。)」
距離を取り、チャージの完了した必殺技の構えを取る。
「こいつで見極めてやる!くらえ、旋風大烈斬!!」
トールギスの放った巨大な竜巻がヴォドムに向かう。
「さすがに、コイツを喰らうワケにゃいかんぜ。」
側転で竜巻の軌道から外れるヴォドム。しかしそこにはそれを予測したトールギスが
先回りして待ち構えていた。
「もらった!」
槍の一撃がヴォドムの頭に命中する。が、命中したのみで、それ以上
めり込むことは無かった。
ヴォドムの右手の甲から剣が伸び、鍔迫り合いの形で槍を防いでいたのだ。
そこからヒザ蹴りを放つヴォドム、喰らった呂布トールギスは上空に舞い上げられる。
剣を伸ばし、まるで野球の打者のように落ちてくるトールギスに狙いをつけるヴォドム、
トールギスもまた、上空から落下しつつ一撃を加えようと槍を構える。
「その剣ごと叩き折ってくれるわ!うおおおおらあぁぁっ!」
グレコが吠える、チョマーも狙いをつけ、一本足打法でフルスイングを狙う。
「せーのっ!ふんっ!!」

ヴォドムが豪快に空振りした。ずっこけるルワン他野球経験者。
当然その剣に槍を合わせようとした呂布トールギスの槍も空を切り、受身を取り損ねて
地面に激突する。
次の瞬間、呂布トールギスはヴォドムの巨大な足に踏み潰されていた・・・。

「なーんか精彩に欠けてたよな、今日のお前。」
選手席に帰ったグレコにチョマーが声をかける。
「やかましい!来年は借りを返すからな!!」
一括するグレコ。見守る宇宙たち新参組にフェリーニが耳打ちする。
「あいつ、ああ見えて意外にデリケートなんだよ、根が正直だからな。」
「・・・なんかあったんですか?」
フェリーニが宇宙の左手の包帯を指して返す。
「昨日のコレだよ、あいつずっと犯人にカンカンだったからなぁ・・・」
0055三流F職人
垢版 |
2015/06/29(月) 22:53:07.73ID:gXKSxmiN0
「続きまして第3試合、レイラ・ユルキアイネン対マツナガ・ケンショウ
 バトルスタートっ!」

 山岳地帯のステージ、マツナガのザクは背中に巨大なヒートホークを担いでいる。
某ガンダム雑誌の某隊長が愛用しているのと同じサイズだ。
対するレイラは今回も丸腰である。緩斜面でヒートホークを抜いて待ち構えるザク。
「おー!でっかいオノだねー。んじゃ、いっくよーっ!」
相手の武器もお構いなしに突撃してパンチを打つモック。それにカウンターを合わせるように
モックの正中線にヒートホークを叩き込む。
直撃したモックは、そのまま斜面下まで転がり落ちた。そして『元気に』立ち上がる。
「うっそおおおおおお!」
観客席のあちこちから驚嘆の声が上がる。1回戦を見ていない人にとっては尚更だ。
まさに不死身のモック、同じ機体でもCPUプレイヤーのモックとはえらい違いだ。
「やはり普通に戦ってもダメか・・・」
マツナガは特に慌てない。前の試合のマスターガンダム戦を見てもこのくらいは覚悟の上らしい。
「もっぺん、とっつげきぃーっ!」
助走をつけ、見え見えのパンチを放つモック。ザクはそれをかわすと、反対側の手を掴み
モックの動きを止める。
「なら関節部はどうかなっ!」
掴んだ手のヒジ関節にヒートホークを叩き込む。さすがに脆い関節部にコレを喰らえば・・・
「ふーんっ!」
そのオノを喰らった左手で平然とザクを振り回すモック。観客から悲鳴に似た声がいくつも上がる。
豪快に振り回され、投げ飛ばされるザク。

「ねぇレイジ、あれって一体どういう作りなの?」
観客席の隅でイオリ・セイがレイジに問い掛ける。超一流のビルダーのセイをしても
あのモックの強さの秘密が全く見えない。
「さぁな、作ったのはププセだ。ただ、作る時にちょいとアリスタを使ってたな。」
レイジがそう言って返す、娘の戦いを不満そうに眺めながら。
そう言っている間にも、再度ヒートホークに叩き飛ばされるモック。
「あーもうヘタクソ!それでも俺の娘か、つか俺に代わ・・・いててててっ!」
隣のアイラに耳を引っ張られ悶絶するレイジ。
「代われるなら、私が行くわよ・・・」
「そっち!?」
セイがツッコミを入れる。相変わらずの似たもの夫婦だ。

 35分後、ついにザクはその活動を停止した。攻撃をクリーンヒットさせた回数は
相手の20倍にも達するのに・・・
「しょ、勝者、レイラ・ユルキアイネーンっ!」
右手を上げられ、満面の笑みのレイラ。周囲は完全に凍りついている。
選手席でも全員が唖然とした顔だ。

 主催席改め対策本部、ニルスに一枚のレポートが届く。
ーレイラ・ユルキアイネン使用のモックに対する報告ー
目を通したニルスが、あーあ、という顔をする。そのまま隣のキャロラインに回す。
「・・・こんなことが、可能ですの?」
「来年はかなりルールを変更しなきゃならないね、これは・・・」
0056三流F職人
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2015/06/29(月) 22:54:56.54ID:gXKSxmiN0
「そ、それでは準々決勝最終戦、サザキ・ススム対エマ・レヴィントン、始めてください!」

ーSTAGE SPACE−

「宇宙ステージとは残念、是非僕の剣技を見てもらいたかったけどね、エマお嬢ちゃん。」
サザキが剣を突きつけてそう挑発する、どうやらエマが元フェンシングの選手なのは
承知の上のようだ。
「それなら、そこのコロニーに入りません?その中なら重力もありますわよ。」
「遠慮しておくよ、オッゴ相手にそりゃいくらなんでも張り合いが無い。」
サーベルを仕舞い、代わりにビーム・スプレーガンを抜く。
「ショット!」
まるで拳銃のようにスプレーガンを連射するギャン、オッゴは大きく動いてかわすと
マニピュレーターでザクマシンガンを構え、掃射する。
互いに激しく動き、余った手で盾を操作して相手の銃撃を防ぐ。小手調べは互角と
言った所か。
「さて、そろそろ行くか。」
そう言って盾を前方に構えるギャン。ミサイルか?それとも機雷か・・・
オッゴも機体を横に向け、砲撃防御体制を取る。
「ウェイブッ!!」
サザキがそう叫んだ瞬間、盾からまるで波のような衝撃波が放たれる。
薄く広がったそれは広範囲に四散し、オッゴにも一部が命中する。
しかし攻撃密度が薄いため、それほどのダメージにはならない。

「ほう・・・ビームを極限まで細く薄くして、広範囲に放っているのか、面白いな。」
選手席からメイジンが感心する。
「けどよ、あれじゃたいしたダメージにゃならんぜ、意味あんのか?」
グレコがそう返す。確かにアレではせいぜい嫌がらせくらいのレベルだ。
「単発では無意味だ。単発では・・・な。」
そのメイジンの洞察を証明するように、高速移動を始めたギャンは盾からウェイブを連発する。
右から左から上から下から、次々と衝撃波がオッゴに飛来する。直撃しても
深刻なダメージは無いが、代わりに広範囲のこの攻撃は避けようがない。
ガンゴンガンゴンと細かい衝撃が絶えずオッゴの機体を叩く。
「なんて鬱陶しい攻撃なの!」
完全に機先を制されたエマが吐き捨てる、四方八方に飛び交い周囲全体から衝撃波が飛んでくる
下手に動けばカウンターになりダメージが倍加するし、動かなければ狙い撃ちされ続けるだけだ。
「オールレンジモード!」
しびれを切らせたエマは、オッゴを縦割りにし、十字に変形させて全包囲にミサイルを放つ。
0057通常の名無しさんの3倍
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2015/06/29(月) 22:57:48.14ID:Ml8PRW/r0
つ@@@@
0058三流F職人
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2015/06/29(月) 23:00:39.40ID:gXKSxmiN0
「・・・かかったね。」
ギャンが回転を始めたオッゴに突撃する、いつのまにか再びサーベルを抜いて。
全包囲に放たれたミサイルのうち、ギャンに向かったそれは全て盾に阻まれる。
「動きを止めるのを待っていたんだよ!サーブルっ!!」
ギャンの剣が振り下ろされる。しかしオッゴは前の試合同様、自らをバラバラにして
その剣をかわす。
「おっと!」
咄嗟にバーニアを吹かし距離を取るギャン、ルワンの二の舞は御免だ、といいたげに。
再び合体し、元の姿に戻ったオッゴ。ギャンが再度ウェイブを放とうとする。が、
オッゴはギャンに背中を向けて一目散にコロニー方面に逃走していく。
「(あのウェイブを宇宙空間で相手にしては不利ね、狭いコロニーの中なら・・・)」
コロニー内部に進入するオッゴ、追ってギャンも入っていく。

「結局、こうなりましたね。」
オッゴがヒートホークを、ギャンがビームサーベルを構えて対峙する。
「しょうがないね。それじゃあ行くよ、スイスの剣姫!」
ギャンが盾を捨て突撃、剣を次々と繰り出す。オッゴもマニュピレーターを器用に動かし
ヒートホークで応戦する。剣と斧が交錯し、ぶつかり、こすれて火花を釣らす。
しかしMSの腕とモビルポッドのマニュピレーター、剣と斧では動きの差は明白だ、
何度か打ち合った後、オッゴの斧は剣に絡め飛ばされる、回転しながら上空に舞い上がる斧。
「もらった!」
ギャンが放った突きがオッゴの本体左の隅をえぐる、返す刀で本体を袈裟に斬ろうとする。
が、オッゴは急発進し距離を取りにかかる。即座に追撃するギャン。
「逃がさないよ!」
「逃げるつもりはありません!」
急停止したオッゴが、マニピュレーターを上に掲げる。フライを捕球する外野手のように。
それを見たサザキがギャンにブレーキをかける。
「ま、まさか、さっきの斧の着地点に!?」
さっき弾いた斧に目をやるギャン、しかしそれはギャンの後方、あらぬ方向に落下する。。
「さすがにそれは無理です。」
サザキが一瞬、視線を切ったスキに、オッゴが変形を完了させつつあった。
「変形モードY!」
横向きから機体を3分割し、小型の加速式砲塔 ”ヨルムンガンド”の形に姿を変える。
0059三流F職人
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2015/06/29(月) 23:02:00.74ID:gXKSxmiN0
「ファイア!」
大蛇の咆哮がコロニー内にこだまする。ギャンはかろうじてかわしたが、代わりに
コロニー自体がえらいことになっている。
どうやら心臓部に直撃したらしく、コロニーの爆発も時間の問題だ。
「とんでもないね・・・」
即座にコロニーを脱出するギャン、そしてビームスプレーガンを抜き、オプションパーツを
合体させてビームライフルに変形させる。
「出てきたところを仕留める!」
火を噴き、崩壊していくコロニーに狙いを定めるサザキ。
しかし、一向にオッゴは脱出してこない。このままでは爆発に巻かれるしかない。
やがてコロニーの心臓部が大爆発を起こし、コロニー全体に爆発が広がっていく。

ズドドドドドドォォォーーーン

豪快に爆発するコロニー、あれでは中にいたオッゴはひとたまりも・・・
サザキがそう思った瞬間、爆発の中から一本の光が飛んでくる。あまりに意外なその光線は
内部から放たれたヨルムンガンドの咆哮であった。胴体を丸ごともっていかれるギャン。
 
 ーBATTLE ENDED−

「な、なぜ・・・どうしてあの爆発の中で。」
嘆くサザキ。やがて粒子が回収され、両者のガンプラが舞台に残る。それを見たとき
彼の疑問は解けた。
オッゴのマニピュレーターは、ギャンの盾を握っていたのだ。
「そうか!それを持ってオールレンジモードで、四方八方にウェイブを飛ばして
 周囲の爆風を防いでたのか・・・。」
「ええ、脱出したら狙い撃ちに遭うと思って、周囲を見回してみたらちょうど落ちてたから
 使わせていただきました。」
「・・・お見事。」
そう言ってギャンを回収し、舞台を降りるサザキ。観客に手を振りながら通路を歩いていく。


「さぁ、いよいよベスト4が出揃いました!泣いても笑っても後3試合!
 そのバトルを飾るのはこの4組ですっ!なおサトオカ・ソラ選手は負傷のため
 次戦は兄のサトオカ・ダイチ選手の出場となります。」
ベスト4が壇上に上がる。宇宙+大地、チョマー、レイラ、エマ。
誰が優勝しても初優勝、そしてチョマー以外の3人は初出場での初優勝がかかる。
決勝戦まであと4日、運命の日が近づいて来ていた。

19話でした、支援感謝です、っていうか早いっすね・・・自動?
0060三流F職人
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2015/07/04(土) 02:00:37.79ID:2uDPcEB50
スレの保守もかねてw20話いきまーす。

ガンダムビルドファイターズ side B
第20話:夢見た試合

「ステージの通達?」
 準々決勝終了の夜、宿舎の宇宙たちの部屋に来ていた大会主催者の使いが答える。
「はい、準決勝からは選手にのみ、先にバトルステージが伝えられることになっております。」
「ふーん、で、どんなステージだ?」
大地がガンプラを直しながら聞く。確かにステージが分かれば武器や装備のチョイスが
よりやりやすくなる。
「準決勝第一試合、あなた方とライナー・チョマー様の試合のステージは
 『大気圏突入』でございます。」
「・・・は?」
「今回より初導入される特別ステージです。最初は宇宙空間から、徐々に地球に向かって
スクロールするステージになります。」

 ライナー・チョマーの部屋でも同様に、本部役員からの説明が行われている。
「なるほどねぇ、つまり宇宙から始まって、空気摩擦に焼かれる大気圏突入時、それを抜けてから
着地までの空中戦、最後に着地してからの地上戦と、4タイプのフィールドで戦闘するわけか。」
「理解が早くて助かります。どのエリアでのバトルに重点を置くかがこの戦いの
 ポイントになるかと思われます。」
「ふぅん・・・面白いな。」
アゴに手を当て、目を閉じて一考する、戦略をイメージしているのか。
「分かった、ご苦労さん。楽しい試合を約束するよ。」
役員を追い返してから、机の上の無数のガンプラに目をやる。
ザクレロ、ウォドム、ロト、アッザム、ジュアック、ズックまである。
「ま、あの兄ちゃんのほうが相手なら、使うガンプラは決まってるけどな。」

 翌朝、朝食を済ませた宇宙達の部屋を意外な客が訪れた。
「あんたら、この後ヒマあるかい?」
マツナガ・ケンショウだった。昨日の準々決勝でレイラ・ユルキアイネンに惜敗した彼が
わざわざ宇宙たちを訪問する理由が分からない。
「まぁ少しなら大丈夫だけど・・・何の用なんですか?」
「いーから、いーから。そんなに時間はかからねぇって。」
二人を連れ外に出る。明日の試合用のガンプラはほぼ出来上がっているし、特に問題も無いが。

 やって来たのは大会用のバスターミナルだった。しかし切符を買うでもなく、ただ
立って待っているだけだ。
やがて1台の大型観光バスがターミナルに入ってくる。
「お!あれだな。来たぜお二人さん。」
目の前にやってくるバス、そのフロントガラスにはこんな文字の紙が貼り付けてあった。

 ーサトオカ兄弟応援団一同ー
0061三流F職人
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2015/07/04(土) 02:01:10.20ID:2uDPcEB50
「やっほー!宇宙君ひさしぶり〜」
窓ガラスから一人の少女が顔を出し手を振る。
「あ、ドラッツェの人、たしか滝川さん!」
「俺らもいるぜ〜すだちくん!改め緑の彗星、とでも呼ぼうか。」
「ベスト4進出おめでとう!世界の強豪相手によくぞここまで来たな。」
「岬さんに島村さん!わざわざ応援にきてくれたんですか?」
停止したバスから次々に見知った顔が降りてくる。大阪でロワイヤルを戦った第1ブロックの
ライバル達に加え、東四国予選で相対した3人組や河野選手、矢三布監督までいる。
「ガンプラを盗まれて、ケガまでしたって?大変だったな。」
「あの初心者が、あれよあれよと世界ベスト4だもんな、羨ましいぜまったく。」
「やはり私の目に狂いは無かった、ぜひ卒業後はグラナダ学園に・・・」
旧交を温める宇宙たち。その向こうではマツナガがやはり大勢に囲まれていた。

「あとひとつだったのに、何やってんだよマツナガ!」
「まったく、お前が負けたんでツアー名が変わっちまったじゃねーか。」
手荒にマツナガを迎えたのは、かつてのガバイ学園でのチームメイトだ。
「ま、でもルーカスに雪辱したのは誉めてやるよ。」
「仮にも俺たちのブロック代表だからな、ベスト8くらいは行ってもらわないと。」
どうもバスの乗客の半分以上は、『あっち側』の応援のようだ。
西四国、西中国、全九州エリアの日本第2ブロックエリアのツワモノ達。
 どうやら元々は、ガバイ学園がマツナガの応援にと組んだツアーらしい。
しかし肝心のマツナガが負けてしまったため、急遽同じ西日本の宇宙の応援ツアーに変更、
ネットで同乗者(ワリカン担当)を募ったところ、宇宙のライバル達が集まって
こうなったようだ。

「今日から決勝までこっちにいる予定なんだ、応援するから頑張れよ!」
「ねぇねぇ、メイジン・カワグチのサインって貰えないかなぁ。」
「うな重の美味しい店知ってる?」
・・・まぁ、目的はかなりバラバラであるようだが、それでも見知った顔が大勢いると
連帯感からか、気持ちがリラックスしていくのが分かる。

 ひとしきり会話を楽しんでから、宿舎に帰る宇宙と大地。
「あれだけのビルダーが集うと壮観だねー。」
「ああ、あれがこの3ヶ月、お前が通ってきたガンプラ道で触れてきた仲間たちってワケだ。」
「そんな大層なもんでもないと思うけど・・・なんか嬉しいね。」
「明日戦うライナー・チョマー氏なんかは、世界中にガンプラ仲間がいるらしいからな、
 ああいう友人なら多分、万人単位でいるんじゃねぇか?」
「・・・兄さんもそのうちの一人なんだよね。」
「まーな、顔も覚えてないだろうけど、明日は嫌でも覚えてもらうさ。」
「うん!頼んだよ兄ちゃん、頑張って。」
0062三流F職人
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2015/07/04(土) 02:02:03.16ID:2uDPcEB50
「それではこれより、ガンプラバトル世界選手権、準決勝第1試合を開始します!
 サトオカ・ダイチ選手、ライナー・チョマー選手、配置についてください!!」
大地と、その後ろに宇宙、反対側からチョマーが壇上に上がる。
チョマーの前まで進み、右手を出す大地。
「よろしくお願いします、負けませんよ!」
真っ直ぐに相手を見据えて言う。握手に応じたチョマーはおどけた表情でこう返した。
「こっちこそ、10年前の借りは消させてもらうぜ、ダイチ君。」
「・・・っ!」
大地の表情が固まる。
「まさか・・・俺のこと、覚えてくれてたんスか!?」
「俺は一度戦った相手は絶対忘れねぇよ、ましてや不覚を取った相手ならなおさらだ。」
「よく言いますよ、一発の攻撃もしなかったじゃないですか。」
大地の目に光が増す。憧れの人が自分を覚えていてくれた、これ以上モチベーションの上がる
サプライズは無かった。
「この日を、ずっと待ってました。全力で行かせて頂きます!」

「里岡大地、ヅダ・セイバー、出るっ!」
「ライナー・チョマー、ザクレロホイシュレッケ、出撃いっ!」
2機が宇宙空間に飛び出したと同時に、聞き覚えのあるタイトル音と共に音声が流れる。

ちゃちゃちゃ〜、ちゃらら〜ん!
 −大気圏突入ー

 大いに沸く会場、世界中のガンプラファイターの中で、このステージで戦うのは
この両名が初めてだ。
「ヅダとザクレロか、どっちも宇宙がメインの機体だな。」
「短期決戦になるかな?大気圏突入までに勝負を決めるつもりか・・・」
会場の一角で、ツアー組が試合内容を推理する。特にザクレロはMA、地上まで到達してしまうと
不利になるのは明白だ。
「エンジン全開ぃっ!」
ヅダはザクレロの下、というか地球側を飛び回りつつ、背中のコンテナの中の機雷を撒いていく。
東四国予選で宇宙に対して取った戦法の再現だ。
「ほう、思い切ったな、背水の陣かい?」
「ええ、貴方にも水際まで来て頂きますがね。」
フィールドが地球に向かって動いている以上、嫌でもこの機雷地帯に差し掛かるコトになる。
右手でザクマシンガンを抜き、左手の盾のピックを立てるヅダ。そしてその身を背後の
機雷の海にダイブさせる。
0063三流F職人
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2015/07/04(土) 02:02:42.10ID:2uDPcEB50
「おおおっ!すげぇな兄貴のほうも・・・」
観客がヅダの見事な動きに沸く。ダッシュ&ブレーキ&アンバックで見事に機雷をかわしながら
縫うように高速移動し、ザクレロにマシンガンを放つ。
それを左右に動いてかわすザクレロ、だが徐々に機雷地帯が近づいてくる。下がればやがて
リングアウトするだけに、いつかはこの機雷地帯を突破しなければならない。
「んじゃ、行くぜ。」
そう言うとザクレロは機雷地帯に向き直る、と同時にスラスターを全開にし、フルスピードで
機雷源に突撃する。
「何っ!」
驚く大地、あのスピードで突っ込んでかわせる機雷密度ではない。しかも体よくすり抜けたとしても
止まりきれなければ地球の重力圏に捕まり、身防備に落下をはじめるハメになる。
「ここっ!」
ザクレロはただ一度、右手の鎌を振り機雷を払いのける。無論爆発するが、高速で通り抜けた
ザクレロはその爆風をかわし、機雷源を抜けきる。
「ひとつも喰らわずに抜けられないなら、ひとつだけ何とかすりゃ抜けられるワケだよ!」
振り向きざまに口の中のメガ粒子砲を発射する、1点を狙うのではなく、機雷源を薙ぐように。
熱エネルギーに当てられた機雷は次々に優爆し、一帯が爆発の絨毯と化す。
そこから一機の機体が弾かれるように飛び出してきた、無論ヅダである。
待ち構えていたザクレロが、その両の鎌をヅダに向ける。ヅダもまたピックをザクレロに構え、
速度を落とすことなくザクレロに突っ込む。
それを見ていた宇宙が勝利を確信する。
「(いける!ここで兄ちゃんの新兵器を使えば勝てる!!)」
「スタン・ピックっ!」
「サンダー・ズィッヒェルっ!」
大地とチョマーが同時に叫ぶ、と、同時に両者が接触。その瞬間二人の間にイナズマが炸裂し
激しく弾かれ吹き飛ぶ両機。
「なっ!」
「考えることは同じかよ。」
大地が驚き、チョマーが分析する。
0064三流F職人
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2015/07/04(土) 02:19:02.56ID:2uDPcEB50
「あいつら、電池を内臓してやがる・・・」
選手席から見下ろしていたヤンがそう語る。ネーデルの最後もそうだったが、電気の類を粒子に
通すとそれに反応して放電する、大地はピックに、チョマーは鎌に、それを仕込んでいたのだ。
「だが、これでヅダが有利に立ったぞ!」
ルワンの指摘どおり、宇宙側に弾かれたヅダより、地球側に弾かれたザクレロのほうが
大気圏突入までの時間が無い、ヅダにしてみればザクレロが摩擦熱で焼かれだしてから
悠々と上から狙えばいい。
「ちいっ!」
やむなく大気圏突入のため、地球側を向くザクレロ。この機体の装甲ならマシンガン程度は弾ける
そう考えて宇宙での戦闘を終了した。多少のダメージは覚悟の上で・・・
「ヅダの突入まで耐えりゃ、摩擦圏を抜けるのはこっちが先だ!そしたら下から狙い打ってやる・・・!」
だが、その思惑は外れた。ザクレロに全力で突っ込んできたヅダは、なんとそのままザクレロの後方に
取り付いてマシンガンを押し当てた、勝利を確信して宇宙が叫ぶ。
「勝った!」
ザクレロが摩擦で火の玉となり、その後ろでヅダがマシンガンを押し当てる。
だがマシンガンは発射されなかった。
「(兄さん・・・どうして?)」
その疑問はすぐに氷解した、いつのまにかヅダの腰にハリガネムシ、いやウミヘビが
巻きついていたからだ。
「おーあっぶね、なんとか対処できたか。で、どーするねダイチ君。」
「今マシンガンを撃ってもすぐには破壊できないでしょう、お互いに、ね。」
マシンガンがザクレロの心臓部を貫くのが早いか、ウミヘビの電撃によってヅダが破壊されるのが早いか
しかも大気圏突入の真っ最中、勝負に出るにはリスクが高すぎる。
「・・・んじゃ、摩擦で燃えてる間は休戦といくか。」
「ええ、大気圏突入をシュミレートできるなんて、滅多にありませんから。」
手を止め、仲良く火の玉になり燃え上がる両者、それを見て宇宙飛行士志望の宇宙が一言。
「・・・いいなー。」
0066三流F職人
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2015/07/04(土) 07:13:56.92ID:2uDPcEB50
 やがて2機を包んでいた火の玉も消え、背景の色が紺から青に変わる高度8000メートル。
ここからは空中戦の開始である。
「それじゃ、いきます!」
ヅダがザクレロから離れる、ザクレロは左右の巨大なスラスターを切り離し、ヅダに向き直る。
「悪いなダイチ、俺の勝負エリアはこの空中戦なんだよ!」
スラスターのなくなった部分から翼を生やすザクレロ、その羽根で風を受け落下速度を落とし
ヅダの上方に位置取る。
「空中戦ってのは、上を取った方が有利なのは知ってるかい?」
真上から急降下してヅダに襲い掛かるザクレロ、ヅダもマシンガンで応戦するが
おかまいなしに高速でヅダの脇をかすめ、すれ違いざまにヅダの右腕を
マシンガンごと鎌で切断する。
「くぅっ!」
腕を落とされながらも、下方に行ったザクレロに向き直る。が、ザクレロは翼とバーニアを使い
下降から反転、急上昇し、あっという間に再度ヅダの真上に位置取る。
「な・・・」
「地上に降りるまでにカタをつけてやるぜ!覚悟しな!」
再度急降下するザクレロ、今度はミサイルを放ち、自身はヅダの足元方向から突進、
ミサイルこそかわしきったものの、足元に突っ込んできたザクレロに今度は左足を
持っていかれる。
「ヅダの特性である機敏な動きは、手足についているバーニアの補助も大きい、
 片手片足じゃあもう俺の動きについてこれまい!」
それでも残りのバーニアを使って、ザクレロを常に正面に捕えるヅダ。
そしてまたザクレロは急上昇し、3たびヅダの直上を取る。

「あのヅダ・・・何か変だわ。」
選手席でリーナ・レナートが呟く、戦いに違和感を感じるのだ。
「どうした?」
付き添いの父フリオが問う、他の選手も耳を傾けている。
「動きは単調だけど、常に相手の正面を向いている、私と同じように。」
確かに、移動はほぼせず自然落下のままだが、常にザクレロに体の正面を向けている。
「確かにな・・・状況によっては斜に構えたり、背中を向けて誘うのもアリだが。」
「正面を向き続けてる、というよりは・・・背中を隠してる!?」
そのリーナの言葉を聞いた選手全員が、再度試合会場を見下ろし、そして悟った。
「あ・・・」
0067三流F職人
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2015/07/04(土) 07:14:27.58ID:2uDPcEB50
 3度目の急降下攻撃、拡散ビームを盾で防ぐのが精一杯のヅダ、その右足を
ザクレロの鎌がもぎ取っていく。
その『気付き』が無い者にとっては、もはや勝敗は明白に見えた。
フルバーニアで急上昇、4度目の直上を取るザクレロ。
「残り高度1000メートル、このまま自然落下しても壊れるだろうが、そいつはしのびない。
 きっちりトドメを刺してやるぜ!サトオカ・ダイチ!!」
「望むところです!これが最後の勝負ですよ、ライナー・チョマーさん!!」
残った左腕の盾からシュツルムファウスト(ミサイルランチャー風の武器)をザクレロに向けるヅダ。
ザクレロが降下を始めるその瞬間に引き金が引かれる。
「当たれえぇぇぇっ!」
火を噴くシュツルムファウスト、が、ザクレロは急降下しながら、そのスレスレ脇をすり抜けた。
「終わりだあぁぁぁぁっ!」
今までに無いほどの高速でヅダに突撃するザクレロ、その鎌を振り上げ、そして振り下ろす・・・
その前にザクレロはヅダを通り過ぎていた。
「んなっ!?」
振り返り、後部モニターを見るチョマー。今通過したヅダの背中には、あるべきモノが無かった。
「ヅダの土星エンジン・・・バックパックが無い!どこだ!?」
聞くだけ野暮だった。自機ザクレロのこの異常な加速と照らし合わせれば答えは明白だ。
案の定、土星エンジンはザクレロの背中に、『第二のエンジン』として張り付いていた。
大地の遠隔操作によってレッドゾーンぶっちぎりにまで加速している。
「さっき、大気圏突入の時、取り付けてやがったのかあぁぁぁ!」
「エンジンカットは出来ませんよ、念のため。」
翼を使い、方向転換を試みるザクレロだが、重力+ザクレロの加速+土製エンジンの加速が生み出す
空気抵抗に耐えられず、無残にへし折れる両翼。
そのまま一筋の火の玉となったザクレロ、チョマーはコロニー落としに続いて、2度目の
コードレスバンジーを仮想体験する羽目になった。

 −BATTLE ENDED−

「やられたよ、若いのに落ち着いてるなと思ったら、えらいもん仕掛けてくれたな。」
チョマーが両手を広げて賞賛する。
「チョマーさん言ってたでしょ、青写真通りの結果になるのが一番楽しい、みたいなコトを。」
「ヅダといえば土星エンジンの暴走による自爆か、まさかそれを押し付けられるとは・・・」
がっちりと握手を交わす両選手、すぐ後ろで宇宙が全力の拍手を送っている。
いつも兄の部屋にあった色紙、その名前の選手と名勝負を演じ、ついに勝利を収めた兄に。
0068三流F職人
垢版 |
2015/07/04(土) 07:14:48.84ID:2uDPcEB50
「ガンプラバトル世界選手権、決勝進出の最初の一組は、ガンプラの本場、日本代表、
 サトオカ・ダイチ、ソラ組に決定しましたーーっ!!」
万雷の拍手が会場に鳴り響く。観客席の一角で固まっていた応援ツアー組も大歓喜状態だ。
退場する途中、観客の一部に小突き回されるチョマー、どうやら彼の応援団も大挙して
この会場に来ていたようだ、誰もがバカ笑いしながら手荒にチョマーの健闘を称える。

「さて、次は私たちですわね。」
選手席でエマ・レヴィントンがレイラ・ユルキアイネンに向き直る。
両脇にレイジとアイラを従えて、レイラが返す。
「おねーちゃんのガンプラじゃ、わたしのモックには勝てないよ!」
不敵に笑うレイラ。脇でププセが呆れて言う。
「せめて、私たちのガンプラと言って下さいよ、姫・・・」

20話終了です。つかこんな駄文がもう20話とわw
支援感謝っす。
0069通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/05(日) 00:05:16.51ID:mpz//OFo0
お〜更新されてる♪
本編以上に遊び心>バトルが描かれてニンマリしてしまいますね
あとモデラーでもある作者さんの発想とかその才能が羨ましいです(笑)
0070通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/05(日) 00:08:24.28ID:mpz//OFo0
途中送信…最後に「ガンプラバトルもSSも自由だ!」
偉そうに失礼しましたm(__)m
0071三流F職人
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2015/07/06(月) 02:02:05.29ID:edv6Smq10
>>69-70
嬉しい感想ありがとうございます〜
元々BFはパロディが多いですから、本作でもネタ的な部分は
重視したいです。
あ、モデラーじゃないですよ、たまに作る程度ですw

モチベ上がったので1話書きました、明日夜うpします。
0072三流F職人
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2015/07/06(月) 23:55:12.42ID:edv6Smq10
それでは21話、今回はゲスト多めです。

ガンダムビルドファイターズ side B
第21話:お嬢様とお姫様

「おーい、こっちこっち。席番号このへんだ。」
準決勝、第二試合まで1時間、里岡兄弟応援団のすぐ横に、
金髪をオールバックにした男が10人ほどの若者を連れてやって来た。
第一試合でのチョマーの応援を終えたドイツ人が帰った席に次々座る、
と、そのうちの一人がこちらを見て声をかけてくる。
「あ、あんたら確か、ガバン学園とかいう所の・・・」
「ガバイ学園だ!ってお前、カミキ・セカイか!?」
里岡応援団、つまり西日本のガンプラ強者達が一斉に注目する。そこに着席した面々は
彼らに劣らぬガンプラの名手たちだ。
「スガ・アキラにアドウ・サガ!キジマ兄妹にコウサカ・ユウマ・・・」
「引率してんのはガンプラ学園の監督、アラン氏じゃねぇか。」
『関東の若きエース達』と称される面々、特にカミキ・セカイは、ガンプラと自分を
シンクロさせる技『アシムレイト』の使い手として一躍有名になった。
「きゃー、フミナちゃんひっさしぶりーっ!」
「千尋ちゃんに可憐ちゃん、あんたたちも来てたのね!」
強豪同士、当然知り合いもいるようだ。その代表格が顔を合わせる。
国内の2強学校と言われるガンプラ学園、グラナダ学園の両監督。
「お久しぶりです、矢三布監督。昨年の学生選手権以来ですね。」
「ああアラン監督、君が観客席とは珍しいな。君ならメイジンのツテで
 どこからでも観戦できるだろうに。」
「・・・この試合、というか『彼女』の試合だけは、彼らに見せたくてね。」

 1ヶ月前、日本第4ブロック(関東地区)の決勝ロワイヤル、予選を勝ち抜いた32人の
強豪たちが一同に会し、代表の一名を決定する戦い。
それは、あまりに異彩を放つガンプラの、文字通り無双劇で決着を見た。
ーレイラ・ユルキアイネン、モックー
何度も斬撃を喰らい、何度もビームで焼かれ、弾丸を雨あられと浴び、爆弾の業火に焼かれ、
それでも次の瞬間には、まるでなかったかのように平然と襲い掛かるその機体。
その恐るべきガンプラの前に、関東の若武者達は次々に粉砕されていった。
最後に残ったのはカミキ・セカイのカミキバーニングSP、何度も何度も鉄拳を見舞い、
蹴りを打ち込み、肘を突き立て吹き飛ばした。
都合一時間は続いただろうその攻撃は、やがてセカイのギブアップによって終了となった。
格闘家の彼が、完全に心を折られたのだ・・・

もっとも彼自身は、一晩寝てメシ食ったらすっかり立ち直っていたそうだが。
0073三流F職人
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2015/07/06(月) 23:55:36.59ID:edv6Smq10
「あの光景は忘れられないよ、私の若き弟子たちやライバル達が、それこそカスリ傷一つ
 与えられずに、次々に粉砕されていった・・・」
遠い目をして語るアラン、長年ガンプラに携わってきた彼が、ビルダーとしての自信を
まるごと喪失するような試合だった、あのモックの『作り』がまるで見えてこない。
「彼女は確かファイターで、ビルダーは別にいるんだったな、確かププセとか。」
「ええ・・・私自身、あのモックの謎を解かない限り、熟睡できる夜は来そうにありません。」


「大変長らくおまたせいたしました!ただ今より、ガンプラバトル世界選手権、
 準決勝第二試合、レイラ・ユルキアイネン選手対、エマ・レヴィントン選手の試合を行います!」
壇上に上がるエマ、一方のレイラはププセを伴い、さらに父と母も壇上に上がる、大所帯だ。
その姿に観客がざわつき始める。
「なぁ・・・あれ、10年前に行方不明になった選手に似てないか?」
「ホントだ、確かイオリ・セイのパートナーのレイジ、それにネメシスのアイラ・ユルキアイネン・・・」
「間違いない、多少老け込んでるけど、間違いなくあの二人だよ!」

「今『老けてる』とか言ったヤツ、前に出てこぉーいっ!」
「ちょ、ちょっと王子!こんな場所でキレないで下さいよ!」
突然キレるレイジ、ププセが必至にはがい締めで押さえる。ジト目で見やるアイラが一言
「・・・バカ王子(中年)。」
「う、うるせーこのババア!」
「ぬわんですってぇええええ!!誰がババアよ誰がっ!」
「この場でお前意外に該当者はいねーだろー?」
「あ・ん・た・こ・そ!そのまま老人になっても『王子』って呼ばれつづければいいわ!」
「な、なんだとおぉぉぉーっ!」

選手席でルワン、フェリーニ、チョマー、そしてメイジンが腹を抱えて笑い転げている。
「じゅ、10年前に痴話喧嘩した二人が、今度は夫婦漫才やってるわ・・・」
「あの試合も・・・確か・・・準決勝だった・・・よな、ひーっひひひ・・・」
30分経過、ようやく両者のガンプラが筐体にセットされる。奥のパイプ椅子には
大会役員のイオリ・セイにこんこんと説教されたレイジとアイラが反省のポーズで座る。
0074三流F職人
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2015/07/06(月) 23:56:14.86ID:edv6Smq10
「レイラ・ユルキアイネン、モック!いっきまーっす!」
「エマ・レヴィントン、オッゴカスタム、行きます!」

 ーSTAGE MAGMAー

「あのステージは!」
「ああ、幻のステージと言われたマグマ地帯!ついに実用化されたのか!!」
10年前、PPSE社最後の大会となった第7回大会において、決勝のPVとして
採用されていたステージ。決勝までの期間『ガンプラ・イブ』にあちこちで放映されていた
決勝のイメージPVの舞台。
しかし実際には決勝の舞台は宇宙ステージに差し替えられていた。その後も実用化はされたが
採用はずっと見送られてきた、まさに幻のステージだ。
その理由は難度の高さにあった、誤ってマグマの中に落ちればそれだけでアウトなのだから。

 モックは冷えた岩の上に立ち、オッゴはホバーで浮いて対峙している。
「オッゴは足が無い、飛び続けて20分が限界か、それまでに決めたい所だが・・・」
「あの不死身のモックを、果たして短時間で倒せるかな?」
観客が、選手が、それぞれに試合展開を予想する。特に注目を浴びているのはやはり
驚異的なタフネスを誇るモックの方だ。

「先手必勝!いくわよ、モックパーンチっ!」
ジャンプしてオッゴに踊りかかるモック、浮いたまま後退して間を取るオッゴ。
溶岩の合間にある岩に着地し、再度追撃をかけようとするモックだが・・・
「逃がさな、って、わわわわっ!!」
着地した岩は、実は溶岩の上に浮いてるだけだった、バランスを崩し、そのまま溶岩に腹ダイブする。
ーどっぱあぁぁぁんー
豪快に溶岩が飛び散り、そのまま沈むモック。5秒・・・10秒・・・一向に出てこない。
「・・・え?まさか、これで準決勝終わり!?」
「ちょ、いくらなんでもそれは・・・世界大会準決勝なんだし。」
観客のざわめきが広がっていく。30秒ほど経った時、溶岩の中から手が伸び地上の岩をつかむ。
そのまま、まるでプールから上がるように、溶岩の中から登場するモック、
あろうことか無傷、しかも焦げ目さえもついていない。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「どんだけぇぇぇぇぇぇぇ!」
もはや観客もリアクションに困る有様だ。いくらなんでも溶岩の海にダイブして、塗装色すら
影響ナシとかありえなさすぎる。
0075三流F職人
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2015/07/06(月) 23:56:46.84ID:edv6Smq10
「えへへ、ドジっちゃった。でも!この通りあたしのモックは無敵だよっ!」
ピースサインを取るモックとレイラ。それを見たエマは、深く溜め息をついて一言。
「なってないわ、全然ダメね。」
その言葉はレイラのみならず、観客全体を驚かせた。目の前でモックのタフさを
見せ付けられて、動揺どころかダメ出しを・・・
「なっ!何よぉ、確かにドジは踏んだけど、それでもこっちは無傷なんだから!」
顔を赤くして反論するレイラに、強い口調でエマが返す。
「だから!そういう時には言うべき言葉があるでしょう!
『さすがモックだ、なんともないぜ!』って。」
選手全員と観客の8割がずっこける、宇宙も思わず苦笑い。
「エマさんって・・・黙ってればお嬢様なのに・・・」

 お嬢様VSお姫様の試合は続く。レイラは積極果敢に攻撃するが、オッゴは機動性を生かして
クリーンヒットを許さない。
しかし基本、宇宙用機体であるオッゴは、地上で無制限に飛びつづけることはできない。
このまま時間が経てば、やがてエネルギー切れを起こし、飛べなくなって粉砕されるだろう。
「(あの不死身の謎を解かなければ、私に勝ち目は無さそうですね・・・しかし一体?)」
モックのジャンピングキックをかわすオッゴ、そのすれ違いざまに、足の裏に印字された
ある文字を見つける。
「(PPSE!?あのガンプラ、バン○イ製でも、ヤジマ製でもなく、あのPPSE社の?)」
「どうしたのー?逃げてばっかじゃ勝てないよーっ!」
レイラの挑発を無視し、考えをまとめるエマ。
「(PPSE社は確か、ガンプラを市販はしなかったハズ・・・ごく一部のバトルシステムにのみ
 モックがプログラム内部に組み込まれていて、それを元に他社がいわゆる『量産機』として
 モデル化した・・・)」
すでに10分が経過している。オッゴの残りエネルギーはもう半分も残っていない。
「(もし、未だヤジマ側が解明していない粒子の謎を、彼らが知っていて、使えるとしたら・・・
 あっちの陣営の誰かがPPSE社の関係者?)」
ショルダータックルをいなし、軽くバルカンを当てながら後退するオッゴ。
「(相手のビルダー・・・ププセ・マシタ。ププセ・・・PPSE?)」
 
 ー繋がった!ー
エマが確信する。モックが傷つかないのはガンプラの素材などではない。初期設定による
粒子操作、違法スレスレのゲーム内部仕様!
0077三流F職人
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2015/07/07(火) 00:19:13.79ID:6hTw91TX0
 オッゴがフルスピードで戦線を離脱、あっという間にモックとの距離を取ると、
リングアウトギリギリのエリアまで進み、オッゴを着地させる。
そしてなんと、操縦席を離れフィールドの外側を歩き始めるエマ。
「おいおい、試合中に操縦席を離れるなんて・・・試合放棄か?」
観客の野次を無視し、今オッゴがいる位置と、筐体の外部スイッチの位置を確認する。
駆け足でコックピットに戻った時、ちょうどオッゴを追ってきたモックが到着した所だった。
「へっへーん!リングアウト狙い?その手にはのらないよーっだ!」
無邪気に笑うレイラに対し、エマが質問する。
「ねぇレイラさん、そしてププセさん、ひとつ聞きたいんだけど・・・」
「何よ?」
「どうして『モック』なの?貴方たちのガンプラ。」
「それはもちろんモックだからですよ、それが何か?」
ププセが答える、当たり前といえば当たり前だが、確かに違和感はある。
「私が聞きたいのは、どうして名前がそのまま『モック』なのかということ。別にスーパーモックでも
 モックスペシャルでもいいじゃない、なんで『素の名前』なの?」
「・・・っ!」
顔を引きつらせるププセ、レイラのほうはというと頭にハテナを浮かべている。
「登録のGPベースに入ってる名前が、そのまんま『モック』じゃないと困るから、ではなくて?」
青ざめるププセ、状況を飲み込めないレイラ。
「つまり、こういうコトなのでしょう!」
機体を変形させ、ヨルムンガンド形態をとる。そしてマニピュレーターでヒートホークを掴み
なんと発射口に差し込んだ。しかもモックを狙わず、場外方向に狙いを定める。
「この位置でいいはず・・・ファイア!!」
大砲が発射され、差し込まれたヒートホークが吹き飛ぶ。場外に発射されたそれはフィールドを突き抜け
舞台の壁に当たって再び筐体の方に飛んでいく。
そのヒートホークが、筐体横にある『あるスイッチ』に当たる。

ーVS CPU MODE LEVEL SSSー

 筐体がその音声を告げた途端、四方八方からガンプラの射出口が現れる、そこから
次々に飛び出してくるガンプラ、驚くレイラ。
「ええっ!?モ、モック?」
CPUモード、レベルSSS。対CPU戦で敵モック100体と戦うモード、
プライヤーの人数はいくらでも可能という設定だ。
そして、次々に出てくるモックに混じって、黒コゲの機体や手足だけバラバラと落下する機体
バルカンで蜂の巣になった状態で登場し、その瞬間に爆発する機体もある。
0078三流F職人
垢版 |
2015/07/07(火) 00:19:45.93ID:6hTw91TX0
「あれは・・・まさか!?先の戦闘や、その前の溶岩に突っ込んだ時のダメージ・・・?」」
観客席でコウサカ・ユウマが呟く。キジマ・シアが続きを搾り出す。
「あのモック、まさか・・・自分のダメージを、CPUのモックに転送していた?」
「バカな、そんなコトができるわけないだろ!」
反論したのはガンプラ心形流の松岡だ、師匠の家にバトルシステムがある彼にとって
ガンプラバトルで出来る事と、出来ないことの見分けくらいはつく。
「まんざら不可能じゃない、最初からそういう設定があれば・・・」
アランが語る。元PPSEの開発主任である彼には心当たりがあった。
モックは元々ガンダムに興味が無かったマシタ会長お気に入りのガンプラだったのだ、
もしもPPSE社がモックを設定するさい、そんな機能をあらかじめ付けていれば・・・

「ダメージをCPUの同名機体に押し付ける、それがそのモックの不死身の秘密。でもCPUに
 設定されているモックは最高100機、それらを全て壊せばもうダメージを転送する術は無い
 そうですね、ププセさん。いえ、PPSE社会長マシタ氏のご令息!」
「・・・正解です。でも別にPPSE社の仕込みじゃないですよ、この機能は。」
「そうなの?」
「これはアリスタを使って・・・って、このへんは喋るわけにはいきませんが、
 あくまで後付けの機能なんです。」

「ねーってば!さっきから一体どーゆーことなの!説明してよププセ!」
「早い話が、このモックの無敵っぷりは少々反則気味、というわけですよ。
 溶岩に浸かってみればわかります。」
言われるままに溶岩に入るモック。と同時に大量にいるCPUモックが1体、また1体と
次々にドロドロ解けていく。
「あ・・・あああっ!」
状況を理解するレイラ。そして会場の全ての人間も。

 場外から少しづつブーイングが大きくなっていき、やがては会場全体を支配する。
レイラはというと、下を向いてうつむいたまま顔を上げない。
ププセが、こここまでですね、とレイラに歩み寄ろうとしたその時、

「ガンプラは自由だ!」
0079三流F職人
垢版 |
2015/07/07(火) 00:20:36.62ID:6hTw91TX0
聞きなれた声がスピーカーから会場内に響く、メイジン・カワグチだ。

「不満もあるだろう、理不尽に思うこともあるだろう、しかしそれでも全て受け入れ
 戦っていくのがガンプラバトルというものだ。」
メイジンの力説に、ブーイングをしていた者も押し黙る。
「考えてみたまえ、諸君にとって『モック』とは何だ?ただのやられ役か?
 彼の機体はアニメ化されていない、つまり『物語』が無い、
 ゆえに純粋なガンプラバトル専用の機体でしかないと、私も思っていた。」
「だが違ったのだ、彼らには『ダメージを転送する』という機能が、そういうドラマッチックな
 能力があった!彼らにとって原作はあくまで『ガンプラバトル・システム』なのだから。
 それを使うのが卑怯というのは、∀ガンダムが月光蝶を使うのが卑怯という事となんら変わりない。」

 正論中の正論である。モックが『そういう機体』ならその機能を使う事に何の問題も無い。
「だから戦え、レイラ・ユルキアイネン!君には一点の否定される理由も無い。」
選手席のメイジンを見上げていたレイラ、その後ろにいつのまにかレイジが立っていた、
肩に手をおき、愛娘に伝える。
「だってよ、見せてやれよ、お前の力を!」
「・・・うん!」

 レイラのモックがバーニアを全開し突進する。『CPUのモック』に。
数体に体当たりをかまし、溶岩の海に叩き込む。すれ違いざまにキックで胴体を上下に分断し、
パンチで数体を串刺しにする。
不死身さばかりが目立っていたモックだが、こうして見ると一撃の破壊力は恐ろしいレベルだ。
3分もしないうちに、CPUモックは全て残骸に成り果てていた、
自らの手で、『ダメージ肩代わり役』を掃除したのだ。

「さぁ、お姉ちゃん、勝負よ!」
「潔いわね、メイジンも『使っていい』って言ってたのに。」
対峙して微笑みあう二人。お嬢様と、少し大人になったお姫様が、最後の激突をする。


「ガンプラバトル世界選手権、決勝進出は、スイス代表、エマ、レヴィントン選手ーっ!」
温かい拍手に包まれる会場内、選手同士が抱擁を交わす。見守る父と母も穏やかに笑う。

おそらく彼女達は来年はもう居ないだろう、ただし本人にも、観客たちにも、その姿は
長く記憶に留まるだろう。ガンプラバトル・システムに、モックという愛すべき機体が
ある限り・・・。


第21話でした、あれ・・・ギャグに走る予定の話だったのに、どうしてこうなったw
支援感謝です。
0080通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/07(火) 00:30:07.91ID:PgyAU0bD0
キャラが自分で動き出した証拠だと思いますよ〜
自分で生み出した設定がキャラクターになってくると段々自分で思うように動かせなくなってくる事がある
でもそれは設定が自分の手を離れてキャラが立ったということだと思いますわ
そうなると状況を作ってしまえばキャラが勝手に動いてくれるからまとめるのも楽になってくるw

しかしマグマステージ落ちたらアウトとか嫌過ぎるwww
0081通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/07(火) 10:35:19.07ID:DbLaas5L0
いや〜相変わらずの爽快感、ヤラレ役として生まれたモックに存在する意味Wo持たせるとは相変わらず愛に溢れてますな
シカシBFTの連中は毎回同じ予選ブロックで戦ってると思うと…

次も楽しみに待っております
0082三流F職人
垢版 |
2015/07/07(火) 23:52:55.33ID:6hTw91TX0
感想が2レスも!うおおモチベ上がりますm(__)m

>>80
今の所一番勝手に動くのはチョマーですね、ついでメイジンかな。
マグマステージは1期の後半OPのアレです、見たかったなぁあのステージw

>>81
主人公機がボール、決勝戦の相手がオッゴ、メイジンを倒したのがリーオーな世界ですからw
モック普通にカッコイイと思いますよ。

残り数話、がんばって書きます!
0083通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/08(水) 23:30:06.06ID:YEpVRs6Q0
>>81が何かインチキ外人みたいなレスになってますな(汗)
マグマステージ、プラレス3四郎のシンナーの池を思い出しました…古いな〜

決勝の前にトリックスター取り戻さないと
0084三流F職人
垢版 |
2015/07/10(金) 01:30:31.74ID:G+lBnsja0
2話、HAHAHA今回はガンプラバトル無しデスヨ。

ガンダムビルドファイターズ side B
第22話:エマ・レヴィントン

 ヤジマスタジアムの会議室、ここに決勝トーナメントに残った16人の
ファイターが集結していた。
「それでは、決勝戦のセレモニーは以上のようになります、何か質問は?」
挙手する者はいない、ほぼ全員がニヤケ顔だ。
「いやー、ヤジマさんも案外演出家だねぇ。」
チョマーが感想を漏らす、セレモニーにしては大掛かりな仕掛けに、敗退した
ファイター達も高揚気味だ。
「で、サトオカ君たちは、どちらが出場するんだ?」
ヨハン・シェクターの問いに目を伏せる大地、代わりに宇宙が答える。
「とりあえず、決勝までにトリックスターが戻ってきたら僕が、
 戻ってこなければ兄さんが出るつもりです。」

 兄と話し合った結論だった。今から慌ててトリックスターを作ろうとしても
ベース機探しすら難航する上、決勝までに間に合うかと言えばまず無理だろう、
元々が2週間以上かけて作った機体、2機目でも3日足らずで以前と同等の
性能を持たせるのはまず無理だ。
「主催者の捜査本部はどうなってる、手がかりくらいは掴めたのか?」
ヤンがキツ目に問い詰める、会議長の役員は申し訳無さそうに顔を伏せ、答える。
「今現在もニルス様はじめ、スタッフが全力をあげて捜査中です、決勝までに
 何とかしたいとは思っておりますが・・・」
「思ってる、だと!」
激高しかけたヤンをグレコが押さえる、彼自身も眉間にシワを寄せながら、ではあるが。
「仕方あるまい、まさかあのような事態、誰も予想できんよ。」

「それでは皆様、3日後の決勝までに、先ほどの規定に沿う改造をお願いします。」
「5分もあればじゅうぶんですよ、そんなの。」
ルーカスが答え、他の者もうんうんと頷く。解散し、退室するファイター達。
宇宙と大地も席を立つ、それをずっと座ったまま見送る選手が一人。
「・・・何か裏がありそうですわね。」
エマ・レヴィントンである。最後に退室した彼女は、なぜか出口ではなく
大会主催者席兼、盗難対策本部へと足を運んだ。
0085三流F職人
垢版 |
2015/07/10(金) 01:31:36.25ID:G+lBnsja0
「さーて、フリーチケットも貰ったし、明日から2日間みっちり遊ぶぞー!」
宇宙が歩きながら、プラチナチケットを嬉しそうに掲げる。
「しかし、本当に良かったのか?今からでもトリックスターを作り直してみても・・・」
「それは言いっこなし、せっかくのイベントなんだし楽しまなきゃ勿体無いよ、
 せっかく阿波踊りまでパスして来てるんだし。」
8/15〜16、大会決勝前の2日間は恒例の『ガンプラ・イブ』というイベントの日
以前は1週間ほどやっていたが、さすがに遠方の観客にとって、準決勝からそこまで
日があくのは滞在的に無理がある、で今年は2日間開催。
ちょうど彼らの地元、徳島の阿波踊りと重なってしまったのだ。
「兄さんがガンプラをはじめたキッカケのイベントでしょ?10年ぶりなんだし楽しもうよ。」
「そっか・・・そうだな。」

 明けてガンプラ・イブ初日、さっそく全開で祭りを満喫している面々がいる。
屋台エリアの一角、その近辺の出店を経営危機に陥れる一団があった。
「やっぱ、こっちの食いモンはうめぇなぁ!」
「ちょっとレイジ、そのヤキソバ私のよ!」
「ねーねーお母さん、これ何て食べ物?フワフワしてておいし〜」
・・・アリアンご一行様だ。親子3人でテーブルに山と積まれた食物が次々に消えていく。
「ねぇねぇルーカス、コレもおいしいわよ・・・って、もうダウン?若いのに小食ねぇ。」
一家に付き合ったルーカスは早々に撃沈したようだ。
「あ、あの細い体のどこに・・・入るんですか・・・うぷ。」
青い顔で苦しむルーカスをププセが介抱している。
「あの人達に付き合うのは無理ですよ。」
ちなみにルーカスもレイラも気付いていないが、貰ったフリーチケットを
宿舎に忘れてきていたりする、支払いの段になったらどうなるかはまた別の話だ。

 南側、フリーバトルエリアでは、大勢のファイター達が野試合に興じている。
「喰らえ、カミキバーニング、ナックルーっ!」
「受けてみよ、マックスター・マグナムパンチっ!」
漢のどつきあいを演じているカミキ・セカイと矢三布監督。
「出でよ、スナイバルドラゴギラ!」
「噛み潰せ!レビルガンダムうっ!」
その隣では新潟のシキ三兄弟が、ガンプラ心形流の松岡と首長竜対決の真っ最中だ。
「うわぁ・・・何アレ。」
通りがかった宇宙が漏らす、本当にアレはガンプラバトルだろうか・・・。

 中央ブースでは、メイジン・カワグチとイオリ・セイによるガンプラ製作講座が行われ
イベントスペースでは、今大会の地方予選の司会を務めた面々がカラオケ合戦の真っ最中、
その他、各ブースでもイベントが盛り沢山で、回っているだけで一日はあっという間に過ぎた。
0086三流F職人
垢版 |
2015/07/10(金) 01:32:08.64ID:G+lBnsja0
「ん〜、遊んだ遊んだ。」
「明日はどうする?兄ちゃん。」
風呂上りに牛乳を飲みながら大地に問う。
「ああ、俺は明日は、ちょいヅダをいじろうと思う、チョマーさんに会って面白い改造を
 聞いたんで、試そうと思ってな。」
「じゃあ僕も手伝うよ。」
「いや、そんな手間はかからないから、お前は明日も遊んで来いよ。」
「・・・分かった、じゃあ頑張って。」
布団に入って泥のように眠りに落ちる宇宙。それを確認した大地がやれやれ顔で漏らす。
「まさかチョマーさんに『一緒にナンパしようぜ!』って誘われてるとか言えんしなぁ・・・」

 2日目、兄を置いて出発する宇宙。宿舎を出た門の所に顔見知りが立っていた、
薄い赤色に、白いフリルの服を身を纏ったお嬢様だ。
「あ、エマさん、おはようございます、明日はよろしくお願いします。」
挨拶する宇宙に、にこやかに笑って返すエマ。
「そうね、明日は敵同士、いい試合をしたいわね。」
普段よりややオシャレの入ってる金髪の美少女の笑顔に、思わずどきっとなる。
それだけに次の言葉の破壊力は宇宙の想像を越えていた。
「だからソラ君、今日はわたしとデートしましょう!」

「ちょ、おい、なんだあのカップル」
「つり合ってねー。兄弟でもないだろーし、何なんだアレ。」
完全に公開処刑である、腕を組んで歩く男女はいいのだが、一方はいかにも田舎者の少年、
相方は頭半分は背の高い金髪のお嬢様なのだから。
顔を真っ赤にして視線に耐える宇宙、エマはエマで平然と宇宙に腕を絡めて歩いている。
「あ、あのー・・・これからドコへ?」
「ちょっと行きたい所があるの、付き合ってね。」
南エリアに歩いていく二人、そこにはヤジマ社特性のプールと、その併用ショップがあった。

「お待たせ。」
目に毒だ、目に毒すぎる。女の子と付き合った経験すらない宇宙にとって、
金髪碧眼、スタイル抜群の水着美少女など目に毒以外の何者でもない。
競泳水着なのがせめてもの救いだろう、これでビキニとかなら鼻血出してぶっ倒れるのが関の山だ。
「ふーん、もっと華奢かと思ってたけど、意外に筋肉あるのねソラ君。」
宇宙の腕を掴んでまじまじと見るエマ、指先の感覚と至近距離の女体にパニック寸前の宇宙。
「は、畑仕事とか、新聞配達とかやってますから・・・」
「ふーん、運動もできるんだ。ならいけるかもね。」
0087三流F職人
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2015/07/10(金) 01:32:44.00ID:G+lBnsja0
 紺色の競泳水着が宙を舞い、鮮やかに回転しながら水面に吸い込まれていく。
高さの割に控えめな水しぶきを上げ着水するエマ。
周囲の人間から一斉に喝采が上がる。
「すげえええええっ!なにあの女、プロ?」
「かっこいいいいっ!」
「素敵〜」
かつてスイス国内で飛び込み競技のトップを張った実力は微塵も衰えていないようだ。
水から上がるエマにタオルを渡し、拍手する宇宙。
「すごい!すごいですよエマさん、あんなのはじめて見ました!」
「前にちょっとやってただけよ、全盛期ならもっとすごいの見せられたんだけど。」
着水までに何回転したのか、あの回転感覚があればこそのガンプラバトル、オッゴの
オールレンジ攻撃を実現させているのだろうか。
「どう、ソラ君も飛んでみる?」
「え?」
問答無用で5メートルの高さの飛び込み台に連行される宇宙、別に高所恐怖症ではないが
ここから飛び降りるとなると話は別だ。
「ちょ、ちょっと無理ですよエマさん、さすがに未経験者がここから飛び込んだら・・・」
尻込みする宇宙、その背中にぴとっと張り付き、肩に手を置くエマ。
宇宙は今、自分の顔色が真っ赤なのか真っ青なのか知りたかった。
「大丈夫、ちゃんと『少し未来の自分』をイメージして。自分がこれからどういう姿勢で
 どういう角度で飛び込むか想像して、その通りに体を動かせばいいの。」
「・・・少し先の、自分、」
イメージしてみる、軽く踏み切り台を蹴って、体をさかさまにする、後はそのまま真下に
落下して、指先で水面を突く感じ・・・
「なんとなく、分かる気がする・・・」
これでも好奇心旺盛な男子である、未体験の飛び込みに少し興味を引かれる。
「私が先に行くわ、見ててね。」
飛び込み台で宇宙と入れ替わり、オーソドックスな方法で飛び、水面に吸い込まれるエマ。
その姿を、先ほど自分が想像した飛び込みと重ね、修正する。
水から上がり、宇宙に手を振るエマ。踏み切り台の際に経つ宇宙。
「ソラ君、GO!」
その合図と共に台を蹴り、姿勢を作って、あっという間に水面に突き刺さる宇宙。
0088三流F職人
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2015/07/10(金) 01:33:15.17ID:G+lBnsja0
ざばがぼぉぉぉぉぉっ!!!
「!!!」
着水の衝撃は予想以上だった、全身に痛みが走り、上下がどちらか分からなくなる。
必死に水面を目指しもがく宇宙、泡の上がる方向に気付いてそちらに向かい
ようやく水面まで到達し、大きく息を吸い込んだ。
「ぷっはぁっ!」
なんとかプールサイドまでたどりつき、よたよたと上がる宇宙、エマが拍手で迎える。
「上手だったわ、やっぱり運動神経いいじゃない。」
「なんか、怖かったし痛かったけど、すっごく面白かったです!」
「うんうん、さすが男の子!」
タオルを頭にかけてもらう、この時点でようやく周囲からの拍手に気付く宇宙。
「よっ!ボクちゃん男だねぇ!」
「カッコ良かったぜぃ」
「がんばったねぇ少年・・・あ、あれ?」
冷やかす面々の中に、何かに気付いた女性が一人。
「ちょ、ちょっと!あの二人・・・もしかして!」
「え?ええ!おいおいファイナリストの二人じゃねぇのか!?」
「ホントだ!エマ・レヴィントンとサトオカの弟!!」
「明日の決勝を前に、こんなところでデートかよ!写真写真、ってここプール!スマホ取って来る!」
「サインもらわなきゃ、色紙ってドコで売ってる?」
正体がバレたとたんに慌しくなる周囲。やばっ、という表情の宇宙に対し、エマは得意顔で・・・
「逃げるわよっ!ソラ君。服だけ回収して外へ!」
ソラの腕をひっつかんで更衣室に突撃する。男女に分かれてロッカーに飛び込み、服と荷物を抱えて
プール外に飛び出す二人。そのまま合流して道路でタクシーに飛び込む。

「ふぅ、なんとか振り切れましたけど・・・」
「ええ、あのまま囲まれてたらせっかくのデートが台無しですものね。」
決勝前に密会、不正を疑われるという心配はエマには無いようだ。
そのままホテルに向かい、服を着替えてレストランで昼食を取る。
一体いくらするのだろうか、名前も聞いたことの無い食材に冷や汗をかきながら喉に押し込む。
幸いここでもチケットが有効だったのが救いだったが。
0090三流F職人
垢版 |
2015/07/10(金) 02:00:27.90ID:G+lBnsja0
「そういやソラ君、君はどうしてボールを使うの?」
食後にエマが聞いてきた、色んな人に何度も聞かれた質問。
「僕、宇宙飛行士になるのが夢なんです。」
「へぇ、素敵じゃない。」
「だからボールが好きなんです、ガンダムとかは僕の生きてる間に実用化はされそうにないけど
 ボールなら今すぐにでもありそうだし、『目指す機械』に思えるんです。」
「・・・いいわね、夢があって。」
少し憂鬱な表情でエマが返す、それから彼女は自分のことを宇宙に語り始めた。

名門レヴィントン家の一女として家を継ぐ立場にあること、異常集中力の持ち主で
様々なジャンルを短期間で極めてきたこと、物事にのめり込んだらとことんハマること、
まだガンダム/ガンプラを始めて3ヶ月しか経ってない事、果たせなかったメイジンとの約束・・・

「じゃあ、エマさんもまだガンプラ歴3ヶ月なんですか?」
「エマさん『も』ってことは、ソラ君、あなたも・・・?」
「はい、兄ちゃんにボールのガンプラを貰ったことがキッカケで・・・。」
「そうなんだ、ほんと奇遇ね。私たち似たもの同士なのかも。」
「セリフまで完全暗記してるエマさんにはかなう気がしないけど・・・。」

「ねぇ、映画を見に行きましょう!」
エマの提案で映画館に足を運ぶ二人。ガンプラ1色の街では、映画館も様々なガンダム映画が
上映されていた。チョイスしたのは ”機動戦士ガンダム MS IGLOO”。
宇宙もビデオで一度見ていたが、やはり映画館で見るのは迫力がある。
エマのオッゴが変形したヨルムンガンドの話、兄の使うヅダの話、二人に共通点の多い映画だ。
「(そういえば、エマさんはどうしてオッゴを使うんだろう・・・)」
後で聞いてみようと思ったが、その必要は無かった。
第5話、オッゴのパイロットであるエルヴィン・キャデラック少年兵を見るエマの目が
完全にハートマークになっていたから。
「(もしかしてこの人、年下好み・・・?)」
微妙に身の危険を感じ、隣の席のエマから少し体を離す宇宙。
0091三流F職人
垢版 |
2015/07/10(金) 02:00:55.71ID:G+lBnsja0
 すっかり夜もふけ、帰路につく宇宙とエマ。同じ宿舎なので文字通り『帰るまでがデート』だ。
すっかり打ち解け、自然に腕を組んで歩く二人。
「明日が楽しみね、ボールVSオッゴ、いよいよ激突よ。」
「あ、でもトリックスターが戻ってこないと・・・」
「大丈夫、きっと戻ってくるわ、私が保証してあげる。」
門をくぐり、宿舎の中に入る、エマの部屋まで送る宇宙。
「それじゃ、おやすみなさい。」
「あら、忘れ物よ。」
言って頬を向けるエマ、指をほっぺたにちょんちょん、と当てる。
頬にキスしろ、ということは理解できた。
少しためらった後、意を決して顔をその白い頬に近づける・・・
 接触寸前、いきなり正面に向き直るエマ、そのまま至近距離から唇を重ねる。
「!!!!!」
少しの密着の後、すっと離れて笑い、扉を開けるエマ。
「遭遇戦では先手を取った方が有利なのよ!じゃあ、おやすみ。」
部屋に入って扉が閉まる、その後約5分間、宇宙はゆでダコのような表情でフリーズしていた。

 ようやく部屋に戻ると、大地とチョマーが向かい合って酒を飲んでいた。
「くっそおぉぉぉ、リカルド・フェリーニぃぃっ!せっかくあの娘といいフンイキだったのにいっ!」
「一体何回俺らのジャマすりゃ気が済むんだっ!フェリーニ許すまじっ!」
・・・どうやら大地も、『フェリーニ被害者の会』に名を連ねることになりそうだ。

22話でした、こーゆー話は難しい・・・いや楽しんで書きましたけどね。
支援感謝でした。
0092通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/10(金) 14:42:41.10ID:VAdp/O5A0
OH!更新ガ!
宇宙君見事にお嬢様に転がされてますな…いやお姉さんに上手に転がされる才能か(笑)
大会終了後の里岡家が…いや止めておきましょう(笑)

決勝戦も楽しみに待ってマース(笑)
0093三流F職人
垢版 |
2015/07/12(日) 12:26:39.06ID:Z91j4mkV0
ちょいと気分転換、宇宙君とエマさんです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org412208.jpg
文章力のみならず画力もこの有様ですw
決勝前にオリキャラのイメージを掴んでいただければ幸いかと・・・
0094三流F職人
垢版 |
2015/07/12(日) 23:44:52.89ID:Z91j4mkV0
23話、いきまーす。

ガンダムビルドファイターズ side B
第23話:悪夢のセレモニー

 ー大会本部・盗難事件対策本部ー
「まだか、まだエマージェンシーは来ないのか!」
ニルス・ヤジマが吐き捨てる。大会決勝まであと30分、決勝前のセレモニーの
開始時間が来てしまった。
「・・・残念ながら、ニールセン・ラボからの連絡はありません、時間です。」
空港に輸送ジェット機も手配した、空港からのヘリ輸送も、全国のシステム付近に
ガンプラGメンも多数配置していた。
もしトリックスターを奪った犯人が起動すれば、即エマージェンシーを感知、
すぐにでも現場を押さえて奪還、大至急この会場に空輸する手配が出来ている。
 しかし、肝心の犯人がトリックスターをバトルシステムで起動させない限り
その居場所は特定することが出来ない・・・万事休すだった。

「決勝セレモニーを・・・始めてくれ。」
苦渋の決断をするニルス、キャロラインも神妙な面持ちでそれを見守る。
大会真っ最中のガンプラ強奪という大不祥事は、ついにフォローすることが
叶わなかった・・・。

 フッ・・・

 会場の照明が一斉に落とされ、会場内が闇に包まれる。ざわめく観客たち。

 ーBegining plavsky particle dispersalー
突如、ガンプラのシステムが起動し、フィールドが形成される。
20人用の大型筐体から吹き上げられた粒子が、金色の球体をでかでかと映し出す。

 ーSTAGE GRANADAー

 月、真ん丸の満月、その衛星軌道上、画面の8割がその天体で埋め尽くされている。
「月面基地グラナダ、ここが決勝の舞台か!」
「無重力の宇宙と、月面の弱重力圏内での争いか、面白いな。」
暗闇の中、観客の声をすり抜けて10数人が筐体に駆け寄り、そしてガンプラをセット。
音声も、光も点けずにひっそりとゲームに進入する。
0095三流F職人
垢版 |
2015/07/12(日) 23:45:25.16ID:Z91j4mkV0
 ー第17回世界大会、ヤジマ商事主催10周年、そのメモリアル大会ー
アナウンスが語り始める。観客が無駄口をつぐみ聞き入る。

 ー全参加ファイター32581名、総試合数9521試合、総仕様ガンプラ232機種、40000体以上ー
 ー参加国95、最大試合日程295日、数多くの名勝負、名場面を築き上げてきた今大会ー
 ーその過酷な戦いを、実力と強運で乗り越えて来たファイター達ー
 ーいよいよ今日、その頂点を決定する戦いが行われます!ー

 ー皆様、画面西側、コンペイトウ方面をご覧下さい。ー

言われて観客が西側に目をやる。十字型の要塞基地、ソロモンが遠方に見える、
そしてそこからこちらにやってくる戦艦が一隻、誰もが知る白い機体ホワイトベース。
「お、おい!あのホワイトベースに、なんかいっぱい取り付いてるぞ!」
「ホントだ!MSがいくつかくっついてる、あれってまさか・・・」

 ー無念にもファイナリストに届かなかった勇者達、その7名が今、最終決戦の場に登場ですー
 ー殿堂入りの座を捨て。現役に戻ってきたメイジン・カワグチ!ー
後部艦橋に立っているレッドウォーリアが、観客に向けて敬礼する。
 ー3連覇の夢は潰えたが、それは来年以降も現役続行の証、リカルドフェリーニ!ー
後部に取り付いているWガンダム・トレミーラが手を振る。
 ー文字通り大会に『旋風』を巻き起こした男、ヤン・ウィン!ー
主翼の上で風車を回すネーデル・エンド・オブ・ザ・ワールド。
 ー南アフリカの地から、ついにベスト16入りの大殊勲、ヨハン・シェクター!ー
艦橋下部にさかさまに立っているズサ・グッドホープ。
 ーあのメイジンを破る大金星!リーオーの価値を変えた少女、リーナ・レナート!ー
戦艦のナナメ下にいるリーディングリーオー、顔のモニターに『祝』の文字。
 ー星条旗のキラ星、その猛威はどこまで続く、グレコ・ローガン!ー
艦橋後部にてガッツポーズを取る呂布トールギス。
 ー最後に、この人がいればこそ大会は面白い、ガンプラびっくり箱、ライナー・チョマー!ー
艦橋の中心に、文字通り『木馬にまたがって』いるヴォドム・ストレッチ。

「いつのまにか!筐体にいるよ、暗くて見えなかったけど・・・」
「おいおい、ベスト16、Aブロックの選手じゃねぇか、まさか戦うのか?」
「・・・いや、全員武器は持っていない、あくまでゲストだろう。」
「よく見ろ、バルカンの発射口までパテ埋めされている、決勝には絶対に干渉しない証だ。」
0096三流F職人
垢版 |
2015/07/12(日) 23:45:55.29ID:Z91j4mkV0
 ー続きまして、画面東側、ア・バオア・クー方面をご覧下さい。ー

 やはり1隻の戦艦が向かってくる。真紅の流線型の機体、グレート・デギン。
やはり同様に複数のMSが取り付いている。

 ー香港ではなくネオホンコン国籍と言ってはばかりません、マイケル・チョウ!ー
尾翼頂上で腕組みした状態で親指を立てるマスターガンダム。
 ー女性ファンの心も勝利もその一手に、ガンプラ貴公子ルーカス・ネメシス!ー
左舷甲板の上でクロスボーンが手を上げる。
 ー軍人出身は伊達じゃない、ガンプラ殺人兵器、アレクセイ・ジョン!ー
右腕を横に突き出し、引き戻して胸にかざすガンダム・サイサリス。
 ー往年の実力衰えず、2度目の優勝は持ち越したか、ルワン・ダラーダ!ー
背中の甲羅を開き、威嚇のポーズを取る∀ガンダム。
 ー若き白狼、ついにベスト8の扉をこじ開けた、マツナガ・ケンショウ!ー
機首部分で右手を高々と上げるザク・シンデレラ。
 ー拘り、というのがどういうものか、体現し続けて15年、サザキ・ススム!ー
艦橋横で指先でフェンシングの切っ先を真似るギャン。
 ー最後に、やはり『あの』レイジとアイラのご息女でした、
  レイラ・ユルキアイネーン!ー
こちらも艦橋部分にまたがってガッツポーズを取るモック。

やがてホワイトベースとグレートデギンは、月を背景に対峙して停止する。

 ーそれでは、この14人のツワモノを打ち倒してファイナリストとなった、
  両選手の入場ですっ!ー

 西の通路に青いレーザー光線が走る、その光に照らされて現れた2名、宇宙と大地。
パイロットスーツに身を包んだ2人が筐体にゆっくりと歩み寄る。
 ー最弱機体と言われたボールをここまで昇華、アクシデントにより途中からはヅダに
  スイッチするも、その強さに陰り無し、ガンプラの本場、日本代表、
  サトオカ・ソラ、ダイチ組ーっ!ー
「頑張れーっ!二人ともーっ!」
「あとひとつで優勝だぁーっ!負けるなーっ!」
応援団から、地元日本の観客から、大歓声と応援が乱れ飛ぶ。
コックピットの前に立つのは大地のほうだ。周囲が、観客が、一斉に理解する。
もうトリックスターの勇姿を見ることは無い、と。
0097三流F職人
垢版 |
2015/07/12(日) 23:46:29.59ID:Z91j4mkV0
 東の通路に走る赤いレーザー光線に照らされた女性、エマ・レヴィントン。
こちらもジオンのパイロットスーツに身を包み、愛機オッゴを手に歩みを進める。
 ー大会メインスポンサーのご息女にして、ガンプラを始めてまだ3ヶ月!
  チェス、フェンシング、競泳飛び込みと数々のジャンルを極めてきた彼女
  その戦歴にガンプラバトルを加えるか?スイス代表
  エマー・レヴィントンーっ!ー
「お姉さまーっ!頑張って、日本代表なんか蹴散らしてーっ!」
「そうだそうだ、本場者だからって遠慮するな、やっちまえーっ!」
「GO!GO!エーマッ!GO!GO!エーマッ!!」
日本以外の国からの判官贔屓な声援を背中に受けるエマ。対戦相手の大地を見据え
反対側の筐体に立つ。

 ーそれでは両者、ガンプラをセットしてくださいっ!ー
 大地がヅダを、エマがオッゴをセット、気体が粒子に包まれる。
その瞬間、ホワイトベースとグレートデギンのハッチが開き始めた。
完全に開き、カメラがその正面画像を捕える。今セットしたヅダが
ホワイトベースの発射口に、オッゴがグレートデギンの発射口に現れる。

「日本第1ブロック代表、里岡大地、ヅダ・セイバー、出るっ!」
「スイス代表、エマ・レヴィントン、オッゴカスタム、行きます!」
両者のガンプラが戦艦のハッチから弾き飛んでくる。そしてそれを合図に、
戦闘開始を告げるように、月面から2本の特大のビームが発射される。

それは、ホワイトベースと、グレートデギンを飲み込み、爆発すら残さず消滅させた・・・。

「なっ・・・!」
「あたしのモックがぁ〜〜っ!」
悲鳴を上げたのはチョマーとレイラだ。艦橋に座り込んでいた彼らの機体はビームを
回避することが出来ずに、戦艦もろとも蒸発してしまったのだ。
「おい!聞いてないぞ、どういうことだ!!」
「ダメージレベルAだぞ!人のガンプラを何だと思ってるんだ!主催は!!」
あわやビームを回避した12人が口々に憤る。
「サプライズというには無法すぎるな、これは本当に主催の仕業か?」
メイジンが推理し、月面に目をやる。その月から6体のSDガンダムが上がってくる。
「今のはコイツらの仕業かっ!」
ミサイルを向けるズサ・グッドホープ。しかし大会前のセレモニー規定により
発射口はすべてパテで埋められている。
「ならば喰らえっ!シャーク・アタック!」
足のアギトを開き、SDナイトガンダムに食いつこうとするズサ。
次の瞬間、ナイトガンダムは閃光斬の一撃により、ズサを跡形もなく消滅させる。
0099三流F職人
垢版 |
2015/07/13(月) 00:41:17.87ID:1na2X2420
「キャロライン!これは一体・・・」
事態が飲み込めず、キャロラインに問うニルス。
しかしキャロラインは顔を真っ青にして両手を頬に当て、振えながら首を振る。
「そんな・・・私のナイト達が、なぜ・・・あんなところに!?」
涙声で答えると同時に、大会役員の一人が部屋に飛び込んでくる。
「ニルス様、キャロライン様、賊です!応接室のガラスが破られ、キャロライン様の
 ガンプラが残らず盗まれておりますっ!」
「なんだって!?」
再び舞台に目を写すニルス、そこにはSD軍団VS、武装を持たないガンプラ達の
絶望的な戦いが展開されていた。

「エマ君、ダイチ君、君たちは下がっていろ!」
「決勝戦を戦う大事な機体、壊すんじゃないぜ!」
二人の前に庇い立ったギャンとサイサリスは頑駄無大光帝のグレートバスターキャノンを浴び
煙すら残さず消え去った。
「こいつらっ!シャレにならんぜ!!」
猛スピードで飛び回りながらフェリーニが叫ぶ、先ほどからSD軍団はその強力無双の武器を
好き勝手に乱射している。
「粒子のチャージが、なぜ追いつく!?」
「こっちは丸腰だってのに、ああも無茶兵器を連発されちゃあ・・・」
動きを止めず逃げ回る各選手、敵の射線に入るだけでほぼ死亡する状況。
「見ろ!サテライトシステムの受信機だ、やつら全員付けてやがる!」
「そうか、ここは月の至近距離、いや、それにしてもこうも連発できるはずがない!」
武者ウイングゼロカスタムがツインバスターライフルをまるでビームライフルのように
連射している。サテライトシステムを持っているにしても、この粒子量は異常だ。
0100三流F職人
垢版 |
2015/07/13(月) 00:43:40.18ID:1na2X2420
 ほどなく月面から再度、巨大なビームが上がってくる。マツナガのザクが半身をもぎ取られ
吹き飛んで爆発する。
「みんな、月を背にして戦え!月からエネルギーを貰ってるならば、その月に向けては攻撃できまい!」
メイジンの指示により、一斉に月面に向かうファイター達。
間を置かず、3度上がってくる巨大ビーム。マスターガンダムがフィールドから退場するハメになる。
「どんだけ連射できるんだよっ!一体何なんだあのビームはっ!」
「下に行くのも危険ですよ、どうすれば・・・」
「ルーカス!後ろだあぁぁぁっ!」
クロスボーンを突き飛ばした∀ガンダムはファイナルフォーミュラーのサザンクロス・ソールを
受けて消滅、その余波ではるか向こうのソロモンが半分無くなった。
「虎穴に入らずんば、だな!」
先頭を切って月面に突進する呂布トールギス、4度目のビームを先読みしてかわし、その発射源の
ドーム状の建物に取り付く。
「出てこいやあぁっ!」
ドームをぶん殴って穴をあける・・・つもりだったが、まるでその一撃で穴のあいた風船が
スローモーションで爆発するかのようにドームごと四散する。
緑色の光に押し出されるようにして。

「あ、あれは・・・」
「まさか、そんな!」
「そういう、カラクリかっ!!」
そのドームの中にある物を見て、全員が悟った。

「どけえぇぇぇぇぇぇっ!!!」
宇宙空間にいたヅダが猛スピードで月面に突進する。
「いかん!ダイチ君、君は下がっているんだ。」
「やめろっ!その機体が壊れたら・・・決勝はどうなるっ。」
「うるせぇっ!邪魔をするなぁぁぁぁぁっ!」
流れ星となって月面基地に特攻する大地、バスターライフルが足先をかすめ、左足を
持っていってもお構いナシだ。

 主催席、一人の男がけたたましくドアを開け、飛び込んでくる。
役員の一人であるその男は、大声でニルスに向けてがなり立てる。
「ニルス様!来ました、エマージェンシーです!エマージェンシーコール、タイプZTですっ!」
状況が飲み込めないニルスにとって、パニックに追い討ちをかける報告だった、
しかし、その役員の男が告げる次の一言が、全ての線を一本に繋げる。
「発生源は・・・ここ!この会場の、あのバトルシステムですっ!!」
男がバトルシステムを指差す、その先のカメラは、月面基地のドームがあった場所を
アップで映し出していた。

そこにあったのは、台座に据えられ、超高速回転で粒子の増幅を強いられている1台のガンプラ。

 ートリック・スター


23話でした。本当は1話にしたかったけど長くなったので2話に分割です。
0102三流F職人
垢版 |
2015/07/16(木) 01:18:22.50ID:KfB38atD0
>>101 乙ありです。そして忘れてましたが>>98 支援乙です。

では、24話、いきまーす。

ガンダムビルドファイターズ side B
第24話:止まれ!

「検問にも、税関にも引っかからないはずだ!犯人はあれからずっと
 この会場内に潜伏していたんだ!」
ニルスが吐き捨てる。まさかの犯人の居場所、完全にウラをかかれた。
「この会場のどこかにいるはずだ!必ず探し出して、トリックスターを取り返せ!」
命令一下、慌しく動こうとした役員を別の声が止める。
「待ちたまえ!今動くのは得策ではない!」
声の主は出入り口に立っていた、タキシードに身を包んだ初老の紳士。
「あ、あなたは・・・サー・レヴィントン!」
ガンプラバトルのメインスポンサーの一人にして、スイス大企業の会長、
ファイナリスト、エマの父親でもある。
「見たまえ、観客はまだこの現状がセレモニーの一環であると思い込んでいる、
 ここで君たちが物々しく動くと、またテロを悟った観客がパニックを起こすぞ。」
「で、ですが・・・」
「大丈夫だ、僭越ながら手は打ってある。今は待つのだ、ニルス君。」

 月面基地に特攻していく大地のヅダ。グレコの呂布トールギス以外の全員を追い越し
台座のトリックスターに迫る。
「バカ野郎!『コイツ』が見えてないのかっ!」
グレコが声を張り上げる。見上げるほどの巨体が、トリックスターと一緒に
ドームの中に収まっていた、ジェネラル・ジオング。
3つのモノアイがヅダを捕え、その口に周囲の粒子がかき集められる。
「なっ・・・!」
世界の全てを破滅させる主砲・デスレイン。わずか0.01%のエネルギーをチャージするのに
膨大な時間を要する主砲が、4度放たれようとしていた。
「さっきまでのビームの正体はアレかっ!」
「デスレインを・・・ビームライフル並に連発するんじゃねぇっ!」
そのエネルギーとなるのは無論、ジェネラル・ジオングの脇で高速回転し、粒子を増幅し続ける
トリックスターに他ならない、そしてサテライト送信を通じて、他のSD軍団にも
粒子を送り込んでいたのだ。
「させるかあぁぁっ!」
発射寸前、ジェネラルの首に渾身の体当たりを食らわす呂布トールギス。
首がずれ、同時に放たれたデスレインはヅダの脇をかすめ、その先の宇宙を駆け抜ける。
交錯したヅダはよろけながらも着地、トリックスターに駆け寄り、手を伸ばす。
が、ヅダの手は、そして体は、高速回転するトリックスターを通り抜けた。
「なっ!・・・なんだと!?」
まるで立体映像のように、ヅダに重なって存在するトリックスター、
確かにそこにあるのに、触れることができない。
粒子はどんどん製造され、SD軍団に送り込まれているというのに・・・
0103三流F職人
垢版 |
2015/07/16(木) 01:19:07.52ID:KfB38atD0
「ハッキングによる遠隔操作か!」
観客席でアランが叫ぶ。ガンプラ・マフィアのよく使う手。光通信などを使い
バトルシステムに不正に乱入、フィールド外のガンプラを参加させる方法だ。
「しかし、相手に触る事が出来ないのはおかしい!遠隔でも機体に攻撃はできるはず・・・」
矢三布監督が返す、その疑問にアランが答える。
「ハッキング側がダメージレベルCなら可能です!」
「あ・・・」
機体をトレースし、立体映像に転送することで、仮想戦闘を可能にしガンプラを壊さない
ダメージレベルC。
実際に粒子でガンプラを動かし、機体にそのままダメージを転移するダメージレベルA、
本来、この2つの形式を混在してのバトルは出来ない。しかしハッキングによる参戦なら
こんな不具合を併用しての実現もありえなくはない。
「なんというコトだ・・・目の前にいるのに触れることもできんとは。」

「うわぁぁっ!」
ジェネラルの張り手で吹き飛ぶヅダ、リーオーが体ごとキャッチするが、そのまま飛ばされ
月面を転がる。
 オッゴ以外の全てのガンプラが月面に到着、それを追ってSDの6体も降りてくる。
SD軍団はトリックスターとジェネラルジオングを守るように取り囲み、なおかつ至近距離から
トリックスターの生み出す粒子を次々に吸い込んでいく。
「いかん!射線から離れろっ!!」
メイジンが叫ぶと同時に、閃光斬が、グレートバスターキャノンが、サザンクロス・ソールが、
炎凰獄焔燐が、アルティメットメガバスターが、鳳凰無限界が、そしてデスレインが、
放射状に発射される。

 月に巨大なえぐれが生み出され、余波を受けたア・バオア・クーは完全に消滅、
エネルギー嵐が荒れ狂い、直撃を避けたガンプラ達はその余波だけで月から吹き飛ばされる。
「みんな、無事?」
宇宙空間にいたエマが問う。最初に答えたのは大地。
「グレコさんが・・・やられた。至近距離で殴りかかって、鳳凰無限界に飲み込まれるのを、見た。」
リーオーにかつがれたまま、ボロボロのヅダがそう告げる。
「・・・来るぞ。」
メイジンが高揚のない言葉で呟く。月面ではもう『次の一撃』の発射準備が完了している。
愕然とする暇さえ与えられず、反射的に動いて逃げる機体たち。
 再度、破壊光線が四方に乱れ飛ぶ。光の嵐に包まれた宇宙空間で、ファイター達が運に任せて
生き残ろうとする。
その努力が無駄になった機体、ネーデル・エンド・オブ・ザ・ワールド。その羽根だけが
宇宙空間を漂っていた。
0104三流F職人
垢版 |
2015/07/16(木) 01:19:56.97ID:KfB38atD0
「もう、やめろーっ!!」
絶叫したのは宇宙だ。その悲鳴に似た声に、観客が息を飲む。
「こんなコトのために、僕は・・・僕達は、トリックスターを作ったんじゃあない!」
視線の先には、先ほどよりさらに高速で回転しているトリックスター。
その回りのSD達は、すでにその粒子をたっぷりと吸い込んで、3発目の努級攻撃を
放とうとしていた。
世界が3度目の悪夢の光に包まれる。それが晴れた時、ルーカスのコックピットは機能を終えた。
残っているのはエマのオッゴ、メイジンのレッドウォーリア、フェリーニのトレミーラ、
リーナのリーオー、大地のヅダの5体。
その全員の、そして観客全員の目にはもう、絶望の色しか写らなかった。
SD達は早速、高速回転するトリックスターの粒子を存分に吸い込んでいる。
「止まれ!トリックスター、止まるんだっ!」
回っている、いや、エネルギーを絞るためにだけ『回されて』いる、
まるで遠心分離機のように。
「そうだ、止まれっ!こんなチートあるかよっ!」
「止まれ!お前の主人の命令だぞっ!」
観客からも、宇宙に答えて次々に声が上がる。
「お前は『緑の彗星』だろうが、停止して回転だけしてどうするっ!」
「止まれってんだ、このスダチ玉っ!」
里岡応援席から、隣の九州、関東応援席から、スイス応援団から、フェリーニ被害者の会から
次々に『止まれ』コールが上がる。
その声も空しく、4発目の業火がフィールドを包む。光が晴れた時、リーオーが頭だけになって
漂っていた。顔に『祝』のシールを貼り付けたまま。

「止まれっ!止まれっ!止まれっ!止まれっ!」
宇宙が必死に声を絞り出す、答えて観客も一斉に『止まれ!』コールだ。
しかし無常にもトリックスターは回転を続け、粒子を生産する。
その時、一人の少女が宇宙の横に駆け寄って、彼の手を取った。
「君は・・・レイラさん?」
「これ!願いの叶う石、これを持って!」
小さなペンダント状の石を手渡される、青緑に輝く自然石にみえるそれは、
どこか見覚えのある色だった。
「それを握って祈って!きっと願いが叶うから!」
「わかった。やってみる。」
石を握り締め、画面のトリックスターを見据えて叫ぶ宇宙。
0106三流F職人
垢版 |
2015/07/16(木) 01:20:34.61ID:KfB38atD0
「止まれっ!トリックスター、もうやめるんだっ!」
−とーまーれっ!とーまーれっ!とーまーれっ!−
「僕と一緒に決勝を戦うんだ!そんな酷いことをやってる場合じゃないだろ、止まれ!」
−とーまーれっ!とーまーれっ!とーまーれっ!−
「エマさんとの約束を忘れたのか!ネーデルの風車を乗せた時はどうだったんだ!」
−とーまーれっ!とーまーれっ!とーまーれっ!−
「そんな使われ方をして気分がいいのか!止まれっ!そして戻って来いっ!」
−とーまーれっ!とーまーれっ!とーまーれっ!−
「とまるんだあぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 粒子が発生していた。それも膨大な量で。トリックスターからではない、宇宙の手の中から。
「うわっ!?」
手の隙間から吹き上げるように飛び出した粒子は、そのままバトルフィールドに吸い込まれていく。
それと同時に、SD達の5発目の攻撃が、残ったガンプラを飲み込もうとしていた。
フィールドが光に覆われ・・・そして、晴れる。

 ヅダも、レッドウォーリアも、トレミーラも、オッゴも・・・無事だった。
球状のバリアが彼らの機体を包み、破壊光線から防いでいたのだ。
そして、同じようにバリアに包まれている機体が1機、月面のトリックスター。
そのバリアに圧迫されるように、その回転が徐々にゆっくりになっていく・・・。
「そうだ、止まれっ!」
仁王立ちでトリックスターを見つめる宇宙、周囲も観客も息を呑んで見守る。
やがて、縦と横の回転運動を終了し、宇宙の正面を見据えて停止する。

「あれは、アリスタかっ!」
イオリ・セイが叫ぶ。宇宙の手に握られた石、それは『こちらの化学』ではまだ解明されない
異世界の産物、奇跡を起こす宝石。
「止まった!」
「やった、止まったぞっ!」
観客から声が次々と上がる。拍手と口笛と歓声で充満する会場。

「ならもう、チートビームは撃てないってこったな。」
「借りを返させてもらうぞ、SD軍団!」
いつの間にかトレミーラとレッドウォーリアがSDの輪の中に紛れている。
「早っ!」
宇宙と大地とエマの声がハモる。ワープでもできるのかあの2機は・・・

 SDの剣を奪った2機は、そのままジェネラルジオングに斬りつける、
バツ字斬りにより4つに分断されたジオングは、頭だけ残して爆発する。
脱出した頭部分が上から2機を睨む、見上げるメイジンとフェリーニは薄く笑う。
「ま、年貢の納め時だろう。」
フェリーニがそう呟き、レッドウォーリアは親指を立て、下に突き下げる。
ジェネラルが最後のレスレインを発射しかけたその時、上空から全力で突撃してきたヅダが
火の玉となってジオングの頭部をブチ抜いた。
 木っ端微塵に砕けたジオングヘッド、それと同時に6体のSDも動きを止める。
「どうやらメインに操縦していたのはジオングのみのようだな。」
0107三流F職人
垢版 |
2015/07/16(木) 01:25:50.03ID:KfB38atD0
 主催席、レヴィントン卿の秘書が使っていた電話を切った。
「会長、判明しました。賊はあのバトルシステムの真下、舞台の空洞部分です。」
「だそうだよニルス君、ちょうど戦闘も終わったし、整然と取り押さえてくれたまえ。」
「わ、分かりました、僕も行きます!」
ニルスが10数名の警備を引き連れて舞台に向かう、目指すは犯人とトリックスターの確保。
「にしてもサー・レヴィントン、一体どうして分かるんですの?」
キャロラインが不振そうに呟く。
「私が、あの粒子の秘密を買ったからだよ、裏ルートを使って、ガンプラマフィアと取引きをしてね。」
「え!?」
「娘に頼まれてね、あの粒子発生装置のガンプラのデータを法外な値段で買ったのだよ、
 今日の決勝戦が始まるまでに、とう条件付でね。」
「えええええっ!」
「彼らも焦っただろう、多分大会終了まで会場に隠れてるつもりだったんだろうが
 この条件でそうもいかなくなった。それでこの決勝直前のセレモニーで
 あのガンプラを起動させて、この騒動を起こしたのさ。」
もはや言葉も出ないキャロライン。
「このセレモニーであのガンプラを動かしながら、私の会社に光通信でそのデータを
 せっせと転送してきたよ、発信源がここだと知ったので逆探知をかけて
 賊の居場所まで割り出せたがね。」
「なんとまぁ・・・しかし、どうしてこの会場だと?」
「ニールセン・ラボに私の部下を張り付かせておいたのさ、エマージェンシー、だったかな?
 あのガンプラが起動するとラボに連絡が行くんだろう?」
「なぜそれを!」
「娘が3日前、ここの屋根裏で盗み聞きをしたそうだよ。・・・くっくっくっ。」
「あ・・・あ・・・あの娘が・・・」
「まったく、とんだお転婆娘じゃわい、貴方を見習わせたいものじゃ。」
今ここにニルスがいたら豪快な苦笑いが見えたに違いない、キャロラインにも
10年前にそんな武勇伝があったから。
0108三流F職人
垢版 |
2015/07/16(木) 01:27:17.07ID:KfB38atD0
警備員が舞台の袖に到着した。観客を囲むように配置し、ニルスが警告を
発しようとしたその時、
−ドカン!ドン!ドンッ!−
舞台の下、側面の板が激しい打撃音を立てて揺れる、内側から蹴り壊そうとしているようだ。
−バカァン!!−
側板が消し飛び、ラメ入りの黒靴とともに足が出る。そしてその空いた隙間から
一人の男がのっそりと出てくる、左手にノートPC形のハッキングシステム、右手に
トリックスターを持って。
その風貌、貫禄、体格。どこから見ても堅気ではない。
「ヤツは・・・10年前の!」
主催席、つまり対策本部からラルさんが呟く、見知った顔のガンプラマフィア。
正面に立つニルス、いやアーリー・ジーニアスがサムライの目をして見据える、
「大人しく・・・しろ・・・?」
男はニルスを完全に無視して、舞台横から階段を上がっていく、その先にいるのは、宇宙。
「くっ!」
大地が前に立ちはだかる、その周囲を14人のファイター達が囲む、グレコなどは今にも
鉄拳を見舞いそうな形相と姿勢で。
「大丈夫だよ、兄ちゃん。」
宇宙が大地の肩に手をおき、そのまま大地を押しのけて男の前に立つ。
宇宙の右手には、レイラから預かった『願いが叶う石』
その石にこう祈った、「止まれ、そして戻って来い」と。

男がトリックスターを宇宙に差し出す、穏やかな顔で。
「子供の頃に見た『ガンダム・フォース』大好きだったよ。君はいわばシュウト君だな。」
トリックスターを受け取る宇宙、ついに、ついに戻ってきた愛機。
「いい機体だ。決勝戦、頑張ってくれたまえ。」
宇宙の肩をぽんぽんと叩いて階段を下り、ニルスの前に歩みより、両手を差し出す。
傍らにいたガンプラGメンが懐から手錠を出し、その両手にはめる。
「ひとつ、頼みがある。」
「頼み事ができる立場だと思うか?」
睨み返すニルス、すぐにでも豚箱に、いや裁判にすらかけたいくらいの心境だ。
「この決勝戦だけ見ていきたい、それだけだ。」
「・・・」
ニルスの頭に困惑が生じる、もし即警察に引き渡せば、現場検証やら事情徴収やらで
しばらくこの舞台はつかえなくなる、しかしもしそれを後回しにして脱走でもされたら・・・
「いいですよ、見て行ってください。」
壇上から宇宙が答える、右手にアリスタ、左手にトリックスターを持って。
隣でエマが柔らかく微笑む。ホント、甘い子ね、と呟きつつ。
0109三流F職人
垢版 |
2015/07/16(木) 01:29:01.77ID:KfB38atD0
 −決勝戦は、システム再構築のため、今から1時間後に開始いたします−
ニルスが携帯でそうアナウンスさせる。通路を引き上げながら、セレモニー失敗の愚痴をこぼす
「せっかく用意したホワイトベースとグレートデギンは全壊、折角の決勝なのに
 普通に試合開始せざるをえないとは・・・」
その愚痴を観客席で耳ざとく聞きつけた丸坊主の少年、ガンプラ心形流の松岡が声をかける。
「俺に作らせてください、一時間もあればなんとかなりますって、それ!」
「おいおい、『俺たち』だろ、そこは!」
「ボールなんだからホワベよりサラミスがいいんじゃないか?」
「相手はオッゴだから、ヨーツンヘイムで決まりだよな。」
周囲のビルダー達が次々に名乗りを上げる。そう、今ここは世界のどこよりも
その手の達人が集結しているのだ。
「スイスのエマ応援団もいるはずだ!彼らにも声をかけろ。」
「まかせろ、俺なら彼らの母国語も全部喋れる!」
キジマ・ウィルフリッドが席を立ち、反対側のスタンドに走る。

波紋のように広がるこの流れは、やがて特別作業室に集結し、2機の母艦を生み出すことになる。
そして、プラフスキー粒子の隠された機能が、まもなく発動するー


24話でした。いよいよあと2話、よくまぁここまで書いたもんですw
支援どもですー
0111通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/17(金) 13:42:58.92ID:zRB0RAQ00
乙デース!

かつて戦った強敵、同じ志を持った仲間が手を貸してくれる展開王道ですが燃えますね〜
そしていよいよ決勝戦!完全燃焼期待してます!
0112三流F職人
垢版 |
2015/07/18(土) 02:26:59.88ID:jKPOQiXD0
>>110-111
感想&乙どもです。
25話を書いている間、ずっとエンドレスでコレ見てました。
ttps://www.youtube.com/watch?v=yyOhSHgl7dQ
よかったら予習もかねて見てくださいw

25話、明日投下です。
0113三流F職人
垢版 |
2015/07/19(日) 00:24:59.38ID:Fj532rbN0
では、25話。そろそろ名残惜しくなってきたw

ガンダムビルドファイターズ side B
第25話:夢轍

 月軌道の地平線に、お互いの艦が光点を捉える。
「敵艦発見!サラミスタイプです。」
「敵艦接近!・・・あれは、輸送艦の改造戦?」
エマと宇宙が開始のセリフを吐く、と同時に会場内では一斉に携帯やスマホの
発信ボタンが押される。
『決勝兵器・・・コレが?』
『この時を・・・この時をずっと待っていたぁ!』
『待たせたな、ヒヨッコ共!』
『この気持ち・・・まさしく愛だ!』
『モビルポッド乗りは大好きです』
『奇跡を見てやろうじゃないか』
『死んだばあさんに見せたかった・・・』

 両艦のアナウンスから様々な人の、好き勝手なセリフが飛び出す。
決勝やり直しのの突貫サービス、宇宙の乗るサラミスとエマの乗るヨーツンヘイムが
登場から交錯するまでの3分間、用意した10の電話回線に繋がった人に
3秒間だけセリフを喋れるという、まるでラジオ番組のような企画。
案の定、回線はパンク状態だ。
『ヒャハハハハ!囲え、叩け、ぶっ壊せ!』
『さぁて、今回神はどちらを選ぶ?』
『まずい、興奮がダンチだ!』
『悲しいけど、これで今大会終了なのよね。』
『今日はガンダムさんはお休みのようですね。』
 主催席でニルスが頭を抱える。もう少し緊張感のある展開になると期待したが
好き勝手なセリフの嵐に完全にカオス状態だ。
0114三流F職人
垢版 |
2015/07/19(日) 00:25:27.76ID:Fj532rbN0
「出撃許可を!この接近戦では先手を打ったほうが!」
「無茶だ!パイロットのほとんどは昨日着任したばかりだぞ!」
エマと宇宙が『残り1分』をつげるアナウンス?をする。
サラミスとヨーツンヘイムの距離が詰まっていく・・・

『体で覚えるんだよぉーっ!』
『人類の存亡をかけた、対話の始まり!』
『頑張れよ、ポンコツ』
『出ろぉぉぉぉぉ ボォォオーールッ!』
『もはや語るまい。』
『あえて言おう、カスであると!』
『僕らが求めた決勝だ。』
『我が世の春が来たぁー!』

「両艦交錯まで、残り10秒!」
宇宙が、エマが、コックピットのコントローラーを握り、相手の艦を見据える。

『あたしのドキドキを感じてほしいから』
『ハッハーン、目移りしちまうぜ』
『ふはははは怖かろう!』
『守ったら負ける!攻めろ!!』
『私は世直しなど考えていない!』
『事は全てエレガントに運べ』
「残り3秒・・・、にい、いちっ!」
『良い決勝を!!』

「日本第1ブロック代表、サトオカ・ソラ!トリックスター、テイクオフします!
 行くぞぉーっ!ドラム缶の化け物ぉーっ!」
「スイス代表、エマ・レヴィントン、オッゴカスタム、行きます!覚悟なさい、
 アジアのスイカぁーっ!」
両艦が交錯し、その瞬間にボールが、オッゴが艦から弾き出される。
すれ違い、退場する戦艦。残された2機のモビルポッドが白金の月を背景に対峙する。
会場からは割れんばかりの大歓声。喋れた人も喋れなかった人も皆、携帯を握り締めて
大はしゃぎだ。

と、その歓声を一瞬で黙らせる『歌』が、会場に鳴り響く・・・
0115三流F職人
垢版 |
2015/07/19(日) 00:26:14.15ID:Fj532rbN0
 −夢放つ遠き空に 君の春は散った−

「・・・っ?」

 −最果てのこの地に 響き渡った−

「・・・夢轍(ゆめわだち)!!」

 スピーカーからではない、筐体からでもない、まるで粒子が歌っているかのように
会場全体を包む歌。

 −宙仰ぐその目に 写る輪廻たち 行方知れぬ明日を どこへ運ぶのか−
 −銀色に 光る海を渡って 吹く風に 揺れる小船たちよ−

「(特別BGM!この2機にもあったのか・・・)」
 通常、バトルシステムでは状況に合わせてBGMが奏でられる。その中でも
素組みのRX-78ガンダムとMSN-02ジオングがア・バオア・クーで対戦する時のみ
特別に『めぐりあい宇宙』がBGMとして流れることが知られていた。
他のケースは一切発見されていないこの『隠し歌』に、観客も選手も主催者も
宇宙も、エマも思わず聞き入る。

 −果て無き夢轍 照らすわが運命 燃え尽きることを知らず どこへ向かうのか−
 −あてどなく彷徨える愛しさよ この胸を射抜く光となれ−

 まるで月明かりのような、優しく、壮大な歌。
その声が、歌詞が、二人に様々な思いを去来させる。
「(夢轍、つまり夢の足跡・・・僕の夢、宇宙飛行士の足跡に、今日のこの舞台は
 残るのだろうか・・・)」
「(私の夢、家を継ぐしかない私の未来は、もう決まっていた。チェス、
 フェンシング、飛び込み・・・みんな私の夢の轍になった、今日この日も・・・?」

 −哀しみの地図なら 幾多風に散って 故無き日々の傷も 瞬く彼方よ−
 −終わらぬ夢轍に 君の影揺れた−

「(君の影・・・)」
エマが、宇宙が、相手の機体を見て微笑む。生い立ちも人生もまるで違う二人、
いわば違う夢轍を刻んできた人が、今、縁あって目の前にいる。
その縁は・・・ガンプラバトル!
0116三流F職人
垢版 |
2015/07/19(日) 00:26:45.21ID:Fj532rbN0
「行きますっ!」
トリックスターがきりもみ回転をしながらオッゴに突撃する、余裕で上にかわすオッゴ。
そのまま無軌道のランダム移動で駆け回り、粒子をチャージする。
粒子が溢れ、緑色の尾を引く彗星となるトリックスター。
「603試験飛行隊用観測ポッド、射出っ!」
オッゴから6機のメカが発射される。それはオッゴを軸に、X、-X、Y、-Y、Z、-Zの方向に位置取った。
「何だ?ビットでもファンネルでもない、あれは・・・?」
観客がいぶかしがる、モノアイのみを備えたその機械は、二人のエリアを囲んでいるにすぎない。
「配置完了、いくわよソラ君、トリックスター!」
無軌道飛行を続けるトリックスターを追撃するオッゴカスタム、それは幾多の対戦者が
その激しい飛行に操縦士が付いて行けず、疲弊して破れた愚策。
「何を考えている、エマ・レヴィントン・・・」
メイジンが呟く。ジャイロ搭載のトリックスターに付き合えば、やがて三半規管に悪影響を及ぼし、
いわば乗り物酔いのような状態になる。
ソウルドライブ全開のトリックスターが動くごとに出力を上げているのに、追いまわす側は
当然エネルギー消費による機体の出力低下は免れない。
それでもトリックスターを追撃するオッゴカスタム。

 −ガキィンッ!−
「なっ!」
宇宙が叫ぶ、オッゴのマニュピレーターが振ったヒートホークが、トリックスターの盾に
正確に傷を入れる。
「当てやがった!」
大地が叫ぶ、そしてそれがまぐれではないコトを証明するかのように、マシンガンの弾が
次々にトリックスターを追いかけ、喰らいつく。
「くっ、ええいっ!」
必死でオッゴの追撃から逃げるトリックスター、しかしオッゴは常にトリックスターを捕え
接近すればオノの一撃、離脱すればマシンガンやバスーカで次々にダメージを与えていく。

「まさか・・・バードアイ!?」
主催席でニルスがこぼす、エマの操縦席には6方向からの映像を合成した、いわゆる
トップビュー・フロントビュー・サイドビュー視点の画面が表示されていた。
「バードアイ?何ですのそれは。」
「自分を、第三者からの視点で見ることさ。自身の狭い視野を広げ、周囲の状況をより
 正確に把握する技術だよ。」
キャロラインに説明するニルス。優れた格闘家や競技者には、ごいくまれに
こいうった感覚を持つ天才もいるという。
彼女はそれを人為的に作り出し、エリア内での2機の動きを完全に把握していたのだ。
0117三流F職人
垢版 |
2015/07/19(日) 00:31:49.54ID:Fj532rbN0
「それにしても、なんて大会ですの・・・」
キャロラインが呟く。思えばトリックスターの粒子増幅、ネーデルの粒子移動、
リーオーのサブリミナル、チョマーのコロニー落とし、オッゴのダメージ転送
そしてこのバードアイ・・・ここ何年も無かった新しい発想の数々。
昨年まではネコも杓子もトランザムで、機体の速さのみが追求されてきたというのに・・・

「オールレンジモード!」
変形したオッゴが回転しながら四方八方にミサイルを撒き散らす、普通に追撃するのに
疲れが見え、楽な方法を取ったかに見えた。
「ここだ、勝機っ!!」
トリックスターがオッゴに向き直る。動きが止まっている今ならと、ビームダガーを灯し
ドリル回転でオッゴに突撃する。
「スパイラル・ドライバーっ!」
「だめだ!やめろ宇宙ーっ!」
大地の絶叫も空しく、時既に遅かった。あれだけ激しく回転していたオッゴはもう停止し
主砲、ヨルムンガンドへと変形を完成していた。突っ込んでくるトリックスターに正確に
砲を向けて。
「なぁっ!!」
大蛇の咆哮が火を放つ、かろうじて機体を逸らしたトリックスターであったが、盾を片方
えぐり取られてしまう。反動で回転しながら横に飛ばされる機体、その先にはもう
別の形に変形したオッゴが待ち構えていた。
「読まれてる・・・弾かれる方向まで!」
スネークモードに変形したオッゴが飛んできたトリックスターに巻きつく、
まるで抱きしめるように。
「昨日言ったでしょ、少し先の自分をイメージ、って。」
0119三流F職人
垢版 |
2015/07/19(日) 00:39:53.50ID:Fj532rbN0
瞳に悦の色を浮かべながらエマが言う。
「あれは!俺の∀ガンダムを破った技・・・」
ルワン・ダラーダが叫ぶ、密着状態での全包囲ミサイル攻撃。
まして今のトリックスターは片方の盾が無い状態、万事休すだ。
「(さようなら宇宙君。君といた時間、楽しかった。)」
引き金を引くエマ、密着した2機が爆風に包まれる。外側のオッゴが吹き飛ぶように
爆風から離れ、トリックスターの盾だけが飛んでくる。
「終わった・・・のか?」
「さすがにあれじゃあ・・・」
選手たちが舞台を見下ろす、逃れる術は無かったかに見えた。

「いや、まだだ!」
そう言ったのはヤンだった。自分との対戦時に見せたアレを覚えている。
ジャイロの役目をする内部のボール、それが脱出できていれば・・・しかし爆風が晴れても
その姿は見えなかった。
だが、バトル終了を告げる音声は鳴らなかった。
エマのコックピットに敵を告げるアラートが鳴り、そちらの方向に向き直る。
先ほどの盾が飛んでいった方向。
そこには、横倒しになった盾の上に乗っかっているミニボールの姿。
「ま、まだですよ・・・エマさん。」
ミニボールの腕を盾に差し込んでオッゴに向き直る。盾というよりはサーフボードに
乗っかるビーチボールのようだ。
「対応が早かったわね、吹き飛ぶ盾に捕まって脱出してたのね。」
「一度見た技ですからね、こうするしかなかったですよ。」
とはいえもう粒子のチャージはおろか、身を守る盾すら無い、その小さなボールの砲塔で
とてもオッゴに対抗できるとは思えない。
「それじゃ、いくわよ!って、ええっ!?」
突撃したのはオッゴではなくボールだった、盾のバーニアを捜査し、まるでエンジン付きの
船で突進するようにオッゴに体当たりを食らわす。
0120三流F職人
垢版 |
2015/07/19(日) 00:40:33.52ID:Fj532rbN0
「きゃっ!」
スネークモードのワイヤーに盾が絡みつき、そのまま2機もろともバーニアに任せて
突き進む。向かう先は月面、つまり猛スピードによる落下。
「このっ!離しなさいっ!」
マニュピレーターで殴りかかるオッゴ、しかし本体のミニボールは盾の裏側、
空しく盾を殴るオッゴ。
「離しませんよ、ここで離れたらもう完全に負けです!」
「・・・っ」
落下しながらミニボールの小さい砲塔がオッゴを狙い打つ。致命傷にはならないが
確実にダメージが積み重なっていく。

 やがて月面がいよいよ迫ってくる、図らずも両者の脳裏に相手の言葉が浮かぶ。

−少し先の自分をイメージするの−
まもなく月面落下、その着陸姿勢をイメージし、生存の可能性を図る宇宙。
「(生き残ってみせる!)」

−離しませんよー
4つ年下の少年の言葉に、柔らかい温もりに浸るエマ。
「(いいわ、このまま落ちましょう、耐久力ならこちらが上のはず!)」

 そして、月面に2機のモビルポッドが激突する。



25話でした。夢轍の部分は実際に曲を流しながらお楽しみくださいw
次回、ついに感動の最終回!たぶん。
支援感謝です。
0121通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/21(火) 22:13:11.76ID:twU5jMgl0
乙デース
ボール、オッゴ、夢轍…

上手く言えないですが職人さんの想いが伝わって来ますね
思えばこのSSも職人さんの夢の轍ですよね

祭が終わるのは寂しいですが最終回楽しみに待ってます!
0122通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/22(水) 11:36:45.38ID:ogg6DDkBO
ボール対オッゴとかアニメでは絶対見られないよな…
ガンプラが売れんからw
0123三流F職人
垢版 |
2015/07/23(木) 01:04:10.23ID:vDAHQthL0
>>121-122
感想どもです、最終回はもうちょっと待ってください。
構想は出来てるんですが、ここ数日仕事が忙しくて帰宅>バタンQな状態なので。
決勝がボールVSオッゴになるのは最初から決めてました。
0125三流F職人
垢版 |
2015/07/24(金) 02:15:33.51ID:qkbuoaY80
最終回完成しました、明日投下します。

>>124
そですねー、無理はよくないけど、鉄は熱いうちに打たないと・・・
多分半年後に読み返したら、恥ずかしくて死にたくなるかもしれんwww
0126三流F職人
垢版 |
2015/07/24(金) 23:28:06.98ID:qkbuoaY80
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
最終回です。

ガンダムビルドファイターズ side B
最終話:夢の先

 月面にひとつの塊が落下し、落下物の破片と地表の岩砂が巻き上げられる、
重力の弱いその地では、まるで火山の噴火のように高々と、そしてゆっくりと。
それらは落下点を煙となって覆い、今しがたまで戦っていた2機の姿を覆い隠す。

「ど、どうなった・・・?」
「両機は無事か!?」
静寂の月面空間、バトルエンデッドの音声も無い。少なくとも両機体とも
終わってはいないようだ。
やがて砂塵が晴れ、景色が鮮明になっていく・・・。

「オッゴ!無事だ、とは言えない・・・か。」
落下点のすぐそばで、相当に破損した状態で、それでもかろうじて機体の形を
維持しているオッゴ。
「ボールは・・・?」
「いた、あそこだ!」
少し離れた場所にミニボールもいた。腕は取れ、機体もかなりのダメージ。
しかし砲塔はかろうじて致命傷を逃れたように見える。
「戦えるのか?あれで。」
チョマーが言う。オッゴもボールも、もう自力で移動することすら厳しいほどの
ダメージが見て取れる。
となれば、勝敗を分けるのはお互いの武器、発射できる飛び道具があれば
先にそれを当てた方が勝ちなのは明らかだ。
「残ってるのは・・・シュツルムファウスト(ミサイルランチャー風の武器)だけね。」
エマが操縦席で呟く、マシンガンもヒートホークもバスーカも今の落下で失ってしまった。
唯一残った武器を左肩に装填し、モニターのボールを見据える。
0127三流F職人
垢版 |
2015/07/24(金) 23:28:38.35ID:qkbuoaY80
「ここが・・・月面。」
宇宙が周囲を見渡してそうこぼす、闘争心の無い、感慨深い声で。
武器の確認もせず、オッゴを見ようともせず、荒涼たる月面と、地平線の彼方の
青い地球に次々目をやる。
「あれはケプラーとコペルニクス・・・すごいな、富士山も真っ青の雄大さだよ。
 ってことは、ここは・・・雨の海あたりか。」
粒子によって忠実に再現された月面を堪能する宇宙。
「むこうが虹の入り江で、あっちがアルキメデス。その遥か向こうが静かの海・・・」
「・・・ソラ君?」
エマが声をかける、落下の衝撃で呆けているのかと、多少心配なニュアンスを込めて。
「ああ、エマさん。すいません、つい見入ってしまいました。」
その返答に口をぽかんと開けてしばし硬直するエマ。
「こっちはもう動けません、砲塔は生きてるけど、残弾数1です。」
言ってオッゴに砲を向けるミニボール。
ふぅ、と息をついて操縦桿を握り直すエマ。
「こちらもシュツルムファウストの1発だけよ、これが最後の勝負になるわね。」
「勝負・・・そうですね。」
言葉とは裏腹に、再び周囲の景色に見入る宇宙。
ガンプラバトルにまるで身が入ってないその態度に、エマが口調を強める。
「まだ呆けているの!?っていうかちゃんとこっちを見なさい!」
こんな時でもお約束のセリフを交えて説教するエマ。
それに答えてモニター越しにエマに向き直る宇宙、真っ直ぐに彼女の目を見つめる。

「じゃあ、行きます。」
言って砲塔を上へ上へと向けるミニボール、とうとうほぼ直上を向いてしまう。
オッゴは正面、水平方向にいると言うのに・・・
「え・・・?」
「お、おいおい」
「どっちに向けてるんだ!?」
エマが、選手たちが、観客が、その行為をいぶかしがる。その行為の真意を掴む前に・・・
0128三流F職人
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2015/07/24(金) 23:29:08.09ID:qkbuoaY80
 ズドォォーーン!

「えええーーーーっ!!」
「ちょ、ドコ撃ってるんだよ!」
「メカの暴走?最後の1発だろーっ!」
観客の悲鳴とは裏腹に、満足げに目を伏せる宇宙。ひとしきり黙祷した後
顔を上げ、再度エマに向き直る。
「ソラ君、一体・・・」
心配と不満の入り混じった表情でエマが問いただす。
「エマさん、昨日話しましたよね、僕の夢のこと。」
「え、ええ。宇宙飛行士になりたいって言ってたわよね・・・」
「はい。」
一度言葉を区切って、話す内容を頭の中でまとめ、再度語りだす宇宙。
「宇宙を目指す者にとって、この『月』は特別な場所なんです。」

エマが、大地が、選手が、主催者たちが、観客が、皆宇宙の話に聞き入る。
「地球の影響を離れ、宇宙の空間を乗り越え、最初に到達する別の天体、
 あらゆる宇宙開発者の目標であり、憧れであり、そして出発点でもある
 ここはそんな所なんです、僕らみたいな人にとっては。」
無論ここは本当の月面ではない、プラフスキー粒子によって生み出された仮想空間、
ガンプラバトルのステージに過ぎないのだが。
「そんな場所で『破壊活動』や『戦闘』をすることが、僕にはどうしてもできません。
 それをやっちゃうと、自分自身の夢を裏切るような気がして・・・
 もう二度と、『ここ』には来られなくなるように感じるんです。」
なるほどねぇ、と頭をかく大地。そういや実家の宇宙の本棚は月の図鑑がぎっしりだった。
「これが世界大会の決勝だという自覚はあります、今まで倒してきた方々に
 申し訳ない気もあります・・・ガンプラファイター失格ですね、僕は。」
薄い笑顔を見せる宇宙、それを見てエマも笑顔を返す。
「ほんっと、呆れるくらい純粋ねぇ。ロワイヤルの時から思ってたけど。」

 しかし観客からは徐々に不満の声が上がり、やがて会場を揺るがすブーイングとなる。
「ふざけんな、軟弱者!」
「浸ってんじゃねぇよ、戦え!男だろっ!」
「ヤル気が無いなら、はなっから出てくるんじゃねぇよ!!」
0129三流F職人
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2015/07/24(金) 23:29:41.05ID:qkbuoaY80
−彼の行動に、思うところがある−
場内アナウンスから声がする、ニルス・ヤジマの声だ。

−機動戦士ガンダムの世界、それは戦争の世界。争いがテクノロジーを生み
 それが新たな争いの火種になる世界でもある−
−だけど、ガンプラバトルは違う。例え戦っても、それは平和な遊び、
 それに世界中からあらゆる人種が参加し、競う、そんな遊びだ−
−そんな僕らだが、もし将来、モビルスーツのような武器を携え、あの月面に到達した時
 僕らは彼のように、争うことを拒否できるだろうか−
世界のあらゆる国籍、人種の違う人々が集うこの会場に、問うように話すニルス。

−争いが間違いとは言わない、時にはそれも必要だろう。主義、正義、利権を守るために。
 だけど、満足に到達することもできない未開の地でまで争うのは、いささか
 醜くないだろうか−
−彼は自分のポリシーで、ここでは戦いたくないと言っている。世界大会の決勝であっても、だ。
 見ている者には不満もあるだろうが、少なくとも私は、彼のポリシーを支持する−

 選手席でメイジンがサングラスを直し、場内放送用のマイクを掴んで言う。
「その通りだな、そもそも彼の行為が不満なら、ここまでに彼を倒せば良かったのだ。
 地区予選、世界大会予選、決勝トーナメント、機会は幾らでもあった。
そこに届かなかった者に、届いた者の行為を否定する権利は無い。」

 ブーイングは止んでいた。ここにいる人々は全て機動戦士ガンダムを心から愛する人々、
しかし、それらの兵器が他人の意思を無視して争うことを押し付けるのを是とはしない。
アニメを見ているノリで、戦闘行為を期待しヤジを飛ばす自分達を恥ずかしく思った。

「だけど、ギブアップは許さないわよ。ここまで上がってきた者として『責任ある最後』を!」
オッゴが砲を向ける。唯一、今の宇宙の行為を否定する権利を有する、決勝戦の対戦相手、
エマ・レヴィントン。
ええ、分かってますと言いかけて、慌てて言葉を引っ込める宇宙。代わりの言葉を繋ぐ。
「分かった・・・抵抗・・・しない。」
「良く出来ました。」
満面の笑みで返すエマ。ようやく宇宙の『お約束のセリフ』を聞けたことに満足し、
コントローラーの引き金に手をかける。
その指に力を込める直前、彼女は一言、こう発した。
0131三流F職人
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2015/07/24(金) 23:49:25.57ID:qkbuoaY80
「優勝おめでとう、ソラ君。」

 シュツルムファウストが点火した瞬間、オッゴは肩口から崩壊、砲の反動だけで千切れ飛ぶ、
支えを失ったロケット砲は的を失い、あさっての方向に火を噴いて飛んでいく。
「エマさん!!」
千切れたオッゴの船体が次々爆発、四散する。既にオッゴは『死に体』だったのだ、
たった1発のロケット弾の発射の反動にも耐えられないほどに。

 −BATTLE ENDED−

会場にいる全員が、その衝撃的な結末に息を飲んだ。
アナウンスすら勝者を告げることを忘れて−

 エマが壊れたオッゴを回収し、宇宙の方に歩いてくる。
「エマさん・・・」
「あなたの優勝はもう決まっていたのよ、あの月に激突した時から、ね。」
宇宙の横に立ち、オッゴカスタムをトリックスターの横に置く。
「見事にボロボロですね、どっちも。」
「ねぇソラ君、ガンプラ交換しない?」
「あ・・・いいですよ。っていうか是非お願いします!すごく嬉しいですよ。」
「ふふ、ありがと。」
言って右手で宇宙の左手を掴むエマ、そして大きく息を吸って・・・宇宙の手を上に掲げ、叫ぶ。
「第17回ガンプラバトル世界選手権!優勝!日本第1ブロック代表っ!
 サトオカー・ソラァーーッ!!!」
お嬢様らしいソプラノで、そして会場中に響き渡る大声で叫ぶエマ。
それに答えて、会場が大歓声に包まれる。
ようやくの勝ち名乗り、大地が舞台に向けて駆け出す、選手たちも続き、
顔見知りの観客たちも、舞台に殺到せんと席を立つ。
0132三流F職人
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2015/07/24(金) 23:50:19.47ID:qkbuoaY80
 そして彼らが舞台の袖にまで到達した時、エマが宇宙の左手を上げたまま
残った左手で宇宙を抱きかかえる。
「・・・え?」
 そのまま、宇宙にキスをするエマ、かなり密接に、濃厚に。
「うわあ・・・」
「ちょ、おいいいいっ!」
至近距離でえらいもん見せられた大地以下、言葉にならない悲鳴を上げる。
観客も一瞬にして沈黙。
 数瞬の後、唇を離し、真っ赤になった宇宙の背後に回り、両脇を抱き上げて宇宙を持ち上げ
肩車に持っていく。
いきなり抱え上げられた宇宙は完全にパニックだ。
「ダイチさん、オッゴカスタムとトリックスター、回収してくださる?」
そう言って宇宙を肩車したまま通路を退場し始めるエマ、観客は口笛と冷やかしの嵐だ。
「よっ!この色男!!」
「リア充爆発しろーっ!」
「青少年保護条例違反だぞー!」
「優勝おめでとーっ!」
「ここに教会を建てようぜ!」
「あああ尻が痒いぃぃぃいっ」
祝福と、冷やかしと、紙ふぶきが舞う通路を、手を振りながらゆっくりと退場する二人。
それを見送った大地が、オッゴとトリックスターを回収しながら呟く。
「やれやれ、宇宙をかつぎ上げるのは俺の役目だろーに・・・」

 主催席、手錠をかけられたガンプラマフィアが感慨深く呟く。
「いい決勝だったよ、いいツル(入獄土産)話になりそうだ。」
その隣ではレヴィントン卿が頭を抱えている。無論、娘のはしたない行為に対して。
脇で秘書がさらに物騒な一言。
「早い所あの少年を引き離したほうが良いですね、エマ様の異常集中力が
 あの少年への恋愛感情に傾いたら・・・少年が悲惨です。」

顔面蒼白になりながら命令一下、レヴィントン卿の部下がエマを取り押さえたのは
宇宙をお姫様抱っこしたまま行き先不明のタクシーに駆け込む3歩前だったとか・・・


−こうして、宇宙達の夏は終わりを告げた−
0133三流F職人
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2015/07/24(金) 23:52:06.58ID:qkbuoaY80
 −4年後。
 徳島の片田舎、あの夏を思わせる盛夏、日照り対策に田んぼに水を張る大地。
「大地さん、そろそろじゃない?宇宙君。」
傍らにいる女性が声をかける、細い腕時計をほらほら、と見せながら。
「ああ、そうだな。」
大地は去年結婚していた。米どころである秋田の農家の三女、
表向きは農協のツテで知り合った、という事になってる。米作本場の秋田美人に、
両親は諸手を上げて賛成した。
・・・が、実のところは彼女もガノタで、全国交流戦で3年前に知り合ったのだが。
 軽トラックのダッシュボードの上に鎮座するガンプラ、ヅダを手にとり
寄り添って青い空を、その先にある宇宙を見上げる。

 成層圏のさらに上、地上から35000kmの衛星軌道地点、一機のスペースシップから
地上に向けて通信が始まる。
「プラフスキー粒子安定、気密確認、作動問題なし、オーバー」
少年を思わせる若い男の声、その中には宇宙で始めて使われる単語が混じっている、
シャトルの最後尾、格納スペースから球状の機械が出発を待つ。
「OK!射出準備確認、行ってこいよボーイ」
スタッフから激励が飛ぶ。レールが船外に延び、球状の機械が宇宙空間に姿を表す。

その瞬間、世界中のあちこちで歓声と歓喜の声が沸きあがる。
球状の機械、その名は『ボール』。そう、今あの『機動戦士ガンダム』のメカが
初めて宇宙でその勇姿を晒したのだ。
「目標の人工衛星、レヴィントン社製の気象衛星確認。発進まであと15秒」
カウントダウンが始まる。宇宙服を着込んだスタッフがボールから離れ、母船に取り付く。
「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・イグニッション!プラフスキー・ボール、
 パイロット、ソラ・サトオカ、テイクオフします。」

 里岡宇宙18歳、私立グラナダ学園3年、宇宙飛行士志望の少年。
彼に幸運が舞い降りたのは4年前、プラモデルを使ったシミュレーション
「ガンプラバトル」で知り合った様々な人たち、そして彼が成した世界大会優勝の快挙だった。
 あれ以来、プラフスキー粒子は特別な存在ではなくなった。が、それは単なる粒子として、
もしくはガンプラバトルの動力として、としか使えなかった。
元々は『奇跡を起こす石』アリスタによってその性質を設定しない限り役には立たない。
昔、ミス・ベイカーがその粒子をガンダム世界の通りにガンプラを動かすように祈った以後は
誰も粒子に思い通りの性質を持たせることは出来なかった。

「それなら、実用できるガンプラを作ればいいのでは?」
そう提案したのは、プラフスキー粒子の特許を購入したレヴィントン家の一女、エマだった。
機械を全てプラスチックで作り、なおかつ機動戦士ガンダムに登場するメカを作れば
例え実用機械であってもプラフスキー粒子で動かせる、という目論見は正解だった。
機械内部の先端まで空洞を作り、そこに粒子を血液のように流し込めば、内部から
そのプラスチック製のいわば『巨大ガンプラ』を動かすことが出来た。
同時期に運行が始まった宇宙空間到達スペースシップ5で今、その成果が発表されようとしている。
そのパイロットとして白羽の矢が立ったのが、かつてガンプラバトルで世界を制し
レヴィントン家やヤジマ商事にゆかりのある宇宙飛行士志望の少年、宇宙だった。
0134三流F職人
垢版 |
2015/07/24(金) 23:52:41.48ID:qkbuoaY80
「距離、詰まります。20・・・10・・・タッチダウン!」
人工衛星に到達するボール、スタッフから歓声が上がる。
今回は特に作業をするというわけではない、あくまで今回はイベントであり、
宇宙も単なるゲストに過ぎない。が、彼にはやる事があった。
通信を開き、小さなモニターに写る地上管制室に目をやる。
「ねぇ・・・ホントにやるんですか?エマさん」
モニターの上にはオッゴのガンプラ、そしてその中には何故か白いドレスを纏った
金髪の女性が写っていた。レヴィントンファミリー、宇宙開発部門主任、エマ・レヴィントン。
手にボールのガンプラ、トリックスターを持って。
「それが条件だったじゃない、念願の宇宙飛行が実現したんだから、安いもんでしょ?」
意地悪くウインクして返すエマ。
「はぁ・・・これ油性だから、後で消したくても消えませんよ。」
「いーからさっさと書く!できる限り大きくね。」
ボールのアームには大きな油性のマジックが握られている。あーあ、と嘆いてアームを動かし
人工衛星にでかでかと二等辺三角形を書くボール、そしてその頂点から下に線を引く。
その様は全世界に配信されているのだ・・・。
「はい、そこから?」
エマが恋する乙女の表情で宇宙を急かす、逃げられない公開処刑を受けざるを得ない宇宙は
顔を赤らめながら、縦線の右側と左側にマジックを走らせる。
”EMA・REVINTON”
”SORA・SATOOKA”

 巨大な、そして多分ずっと消えない相合傘の完成だ。
それと同時に世界中から祝福のメッセージが送信される。
「こんな結婚式ってアリなのかなぁ・・・」
「あら、夫の願いを叶えるいい妻じゃない。それとも初夜が待ち遠しい?」
投げキッスを放ってからかうエマ、宇宙服の外からでも分かるくらい赤面する宇宙。
「はいはい、家に帰るまでが宇宙旅行なんですからね。新婚早々未亡人にしないでよ!」
ぱんぱんと手を叩くエマ、周囲が笑いと祝福の拍手に包まれる。
宇宙はモニターの上のオッゴをそっと手に取り、一言。

「うん、じゃあ、帰るよ。」



 
これにて完結です、ずっと読んでくれた方、応援してくれた皆様に感謝。
そしてずっと支援を頂きこちらも感謝です。
0135通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/25(土) 20:12:08.92ID:wduLolMj0
お疲れ様でした、最後はガンプラとプラプスキー粒子の無限の可能性まで見せて頂き最後まで楽しませて頂きました
月面の下りは職人さんの月への想いが静かに力強く伝わって来ました

良いモノを見せて頂き本当に有り難う御座いました。次も期待しつつROM専に戻りますm(__)m

行き先不明のタクシーに乗ってそのまま行方不明も…アリでした(笑)
0136三流F職人
垢版 |
2015/07/25(土) 22:22:44.38ID:N/GItDbE0
>>135さん
感想有難うございます。こんな駄文垂れ流しを完走できたのも
ひとえに皆様の感想のおかげです、いやマジで。
タクシーで行方不明になるとその先は薄い本の領域にw

月面ネタはあさりよしとお先生の「まんがサイエンスW」が参考元になってます。
他にも結構色んなところから元ネタや参考、パロディを引っ張ってきてます。
グラナダ学園監督の名前を逆さから読むと徳島では超有名な故野球監督に・・・

伏線として気に入ってるのは、
メイジン敗北>ヤン激怒>ネーデル非情戦法>トリックスター粒子増幅発覚>
トリックスター盗難>大地ピンチヒッター>憧れのチョマーとの対戦、の流れ。
そう、メイジンは犠牲になったのだ(酷ェ)

さて、EXSEED氏やユーラシア氏、他優秀なSS書きさん、後はお願いします。
>>135氏も一筆いかがですか?
0137通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/25(土) 23:57:10.35ID:Q50+T79pO
乙でしたー。
SSと言うよりは、一話ずつのアニメ話って感じでしたね。
ビルドファイターズネタはそのへんやりやすそう。

完結記念age
0138通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/07/26(日) 23:15:58.21ID:N2MXAA6K0
完結乙です、ボールを主役に持っていくような暴挙
・・・アニメじゃ絶対にできねぇ、スポンサーの怒りが天元突破してしまうし
0139三流F職人
垢版 |
2015/07/27(月) 22:02:15.04ID:gpL4aKPb0
>>137-138
こちらも乙ありですー。
そそ、アニメみたいに1話完結だと話が切りやすいし
構成をまとめやすいんですよね。区切りなしの長編書ける人は凄いと思う。
いつかボールがガンダムを無双するアニメが出たらDVDとガンプラ全部買いますw
0140MB(無職ぼっち)
垢版 |
2015/08/02(日) 16:00:32.29ID:xhL43UdU0
CE85年

ザフトの議長ラクス・クラインは機動兵器ガンダムの玩具「ガンプラ」を発売。
「ガンプラ」はまたたくまに大流行した。
そしてガンプラを使ったガンプラバトルを開発。
これにより国家間の問題や争いにはガンプラバトルを使用することとなり、戦争による犠牲が出ない平和な時代となった。
「あークソ、最悪だ。」
夜の街を走る俺はオーブに住む普通の高校生。
趣味はガンプラバトル!腕には多少自信がある。
今何故俺が急いでるのかというと、駅で電車を待ってる最中に眠ってしまって
そのまま夢の中を彷徨い終電を逃してしまったわけだ。
スマホの電源を入れて時間を確認するとママからの不在着信を示すマークが画面左上に表示される。
なんて言い訳しよう……。
「よぉ、てめぇコーディネイターか?」
路地からいかにもな不良青年が三人現れる。
「え?あっはいい」
どうしようやばいって……、この人達ナチュラルだ。
遺伝子操作を施されて生まれたコーディネイターと遺伝子操作されてない人類のナチュラル
この2つの人種は十数年前、大きな戦争で争い互いに殺し合った。
しかし聖母ラクス・クラインとその剣聖キラ・ヤマト、それから忠義の騎士アスラン・ザラにより撲滅された。
以後ナチュラルは過酷な強制労働を強いられ、ミュル街という街に隔離されている。
もっともミュル街は厚く堅い壁で囲まれており、厳重に警戒、監視されており
このようにコーディネイターの街に出てくるはずはないのだが…。
「おいおい、俺達以外にナチュラルが居るってのか?」
「それもそうだな」
二人が視線を合わせ微笑みながら語るが、ゆっくりとその場を立ち去ろうとした俺に気付き鋭い視線を向ける。
「あ……あの……何か用でしょうか?わ、私はそろそろ家帰らなくてはならないのですが……」
「俺達を見た以上、生かしてはおけねぇ」
「おっと、声を上げたり逃げたりすんじゃねぇぞ?」
男達の内一人が拳銃を手に取り構える
「ひっ……」
「大人しくついてきな」
0141MB(無職ぼっち)
垢版 |
2015/08/02(日) 16:09:41.03ID:xhL43UdU0
「はあああああああああああ」
突如男の激昂のような声を耳にする。
次の刹那、男達の内銃を持った一人が吹き飛ばされた。
「野郎」
残りの二人がナイフを取り出し辺りを見渡す。
何が……起きた……?
「へああああああああああああああああ」
路地のバルコニーから飛び降りた男のかかと落としが炸裂し男二人が同時に倒れる。
「怪我はないか?」
「は、はい! 貴方は……。」
「失礼した、オーブガンプラ自警団の団長アレックスだ。」
オーブガンプラ自警団、聞いたことがある。
ガンプラで犯罪を取り締まる凄腕ファイターの集まり。
その存在は謎で、ただの都市伝説とも言われてる人達だ。
「ぐっ……てめぇ……」
かかと落としで倒れたリーダー格と思われる男が立ち上がる。
「まだ動けるか」
「てめぇこのままですむと思うなよ!ガンプラバトルだ!」
「え?ええ?!」
こうして二人によるガンプラバトルが始まった
0142MB(無職ぼっち)
垢版 |
2015/08/02(日) 16:18:10.98ID:xhL43UdU0
「俺の機体はこいつだ! ダブルオークアンタ! 」
ダブルオークアンタのプラモを片手で握りしめつつ見せびらかす不良青年。
「うっわ〜何あのガンダムだっさ……対してアレックスさんは?」
「俺はこいつだ」
あっ!あの機体はインフィニットジャスティスガンダム!
十数年前の戦いでは大活躍したという伝説のガンダムだ!
けど確かあの機体は発売されてないのに何で?
「イ…インフィニットジャスティスガンダムだとぉ?!なんでそんなプラモを持っていやがる?!」
「ごちゃごちゃうるさいはじめるぞ」
「アレックス、インフィニットジャスティスガンダム発進する!」
「青年A、ダブルオークアンタ行くぜ!」
二人の機体が出撃しフィールドが表示される。
フィールドは、ヤキン・ドゥーエ……。
「こいつをくらえや! ソードビット! 」
緑に輝くソードビットが縦横無尽に動きジャスティスに襲いかかる。
「武装は強力だな、だがしかし」
インフィニットジャスティスガンダムが四方八方からくるソードビットをかわす。
「はあああああああああああ」
インフィニットジャスティスガンダムのサーベルがクアンタを両断
「ばかなあああああああ」

THE END
0143通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/02(日) 16:22:07.00ID:MHPtYqw5O
評価に値しないレベルですね
小学校からやり直すことをお勧めします
0145通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/03(月) 06:40:19.60ID:+TTP0BMH0
>>142
凄く面白かった
プロの小説家目指すとかしたほうがいいかも
0147通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/03(月) 13:44:00.59ID:mf/K/94CO
>>142
ひとつアドバイス。
主人公がかっこよくて敵役がダサい作品は面白く
なりませんよ。

シャアもランバラルもギレンも皆、敵方だったでしょ?
0148通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/03(月) 18:15:21.19ID:l65mA+un0
皆さん荒らしには構わないように
「荒らしに構うものもまた荒らし」ですよ
0149通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/03(月) 20:33:45.49ID:+TTP0BMH0
アニメポケモンのロケット団とか不人気でかっこ悪いだろ
0151ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/08/07(金) 00:09:36.02ID:9PX6lOSX0
投下開始

都市の郊外に点在する森・・・正確には、再構築戦争後の戦後復興、自然保護政策によって作られた自然公園、その森の2か所で爆発が巻き起こった。

次の瞬間、爆音とともにくすんだ鉛色の雲が占領する空に向かって無数の鉄の矢が放たれた。
爆発が起こった場所には、黒い鉄の箱が煙を上げて燻っていた。
その箱は、MLRSと呼ばれていた。
MLRS………元は、西暦末期の超大国 アメリカ合衆国とその同盟国で採用された多連装ロケットシステムの名称で、
CE70年現在では、このタイプの多連装ロケットシステムの総称となっていた。

この兵器は、本来迫りくる敵地上軍にロケット弾の豪雨を浴びせることで制圧するための兵装であり、
上空を飛ぶ飛行兵器に対して使用するような兵器ではない・・・・だが、
地面を進軍する地上部隊と余り変わらない高度で匍匐飛行する
ザフト軍飛行部隊には十分に効果が期待できた。

これまで地球軍が、ザフト軍による地上攻撃部隊による漸減戦術に手を焼かされてきたことを認識していたハンスは
対策の一つとしてMLRSをこれまでのザフト軍地上攻撃部隊の侵攻パターンを
参考にして予想した進路上に向けて隠蔽配置していた。


固体燃料の白煙を引いて高空へと打ち上げられたロケットは、
匍匐飛行で都市に迫っていたエレノア襲撃中隊へと墜ちていった。
0152ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/08/07(金) 00:11:26.76ID:9PX6lOSX0
「罠か!」
もう遅い、そう言うかの様に空中でロケット弾頭が一斉に破裂し、
内部に封入されていた子弾を撒き散らした。

それは、まるで植物の果実が中の種を放出する光景と酷似していた。
だが、その性質は真逆だ。

後者は、植物の次代に己の因子を繋ぐ為の行為だが、
前者は、万物の霊長と奢る人類が敵と規定した同族とそれが操る人工物を
破壊する為の行為なのである。

「総員散開!」
彼女は、咄嗟に部下に命令を下した。

だが、先程まで濃密な編隊を組んでいた彼女の部下達が一斉にそれを開始したことが悲劇を生んだ。

「わぁ!」
「く、くるなぁ」
「こんなところで!」
パニックを起こしたディンの腰部に直進を続けたアジャイルが衝突する。
中には、地面に突っ込んで大破する機体もあった。
混乱の中、無数の子弾が驟雨の如く彼らの進路上に容赦なく降り注いだ。

「!!」
先頭のディンに乗るエレノアは、己が判断ミスと、
それによって失われる部下の命を、思い、唇を噛んだ。


直後、視界が紅に染まり、今まで感じたことのない強力な衝撃が、彼女を襲った。
着弾点の大地が耕され、醜い土砂色の花が咲き乱れた。
0153ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/08/07(金) 00:13:53.40ID:9PX6lOSX0
赤外線望遠鏡でその光景を目撃していたゲーレン中尉は、喜色満面に叫んだ。


「やったぞ!」

ほぼ同時に部下の兵士達の歓声が陣地を満たした。

天高く立ち上る爆炎は、市内にいるハンス大尉率いる本隊からも確認できた。

「やってくれたか!」

高層ビルの一室に設置した監視カメラの映像を、
ゴライアスの正面モニターを介してハンスは確認していた。

彼が敵を巻き込んだと判断したのは、地面に着弾しただけでは、
あそこまでの爆発にはならないからである。

そしてそのことは鮮やかな炎の中に揺らめく、舞い上げられた残骸の黒い影が、証明していた。

「総員!!撤収、急げ!」

MLRSの内の一つの設置地点では、先程までそれらの操作に関わっていた兵員達が撤収作業を開始していた。
彼らも指揮官のハンスもこの一撃で空を飛ぶ敵部隊を全て破壊できた等とは判断していなかった。
ゲリラ戦術は敵にその姿を晒さないことが肝心であることは、常識である。

もし圧倒的戦力差がある敵にその姿を見られた場合、ゲリラ戦術を行う側に訪れるのは、死のみであった。
0154ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/08/07(金) 00:14:50.89ID:9PX6lOSX0
本日は此処までです。
感想、アドバイスお願いします。
0155通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/07(金) 06:16:38.20ID:ZBKLjzOk0
投下乙です!
敵のエレノア襲撃中隊は、戦力でも指揮官と部下の信頼関係も前の話の
バルク小隊よりも上だっただけにこの手の奇策で文字通り一網打尽にされたのは
哀れです
0156通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/07(金) 17:22:21.45ID:BdbwmAbe0
久々の投下、乙でした
本来対地兵器であるMLRSを対空兵器に転用するという行為、連合側の思考の柔軟さと同時に
台所事情の苦しさも伺わせる良い描写でした
一方待ちぶせで一網打尽にされたエレノア隊、敵が近いのに密集して行動するなどあまりにも杜撰なふるまいですが
これも『新兵器で武装したアマチュア』とも言えるザフトの姿をうまく描いていたと思います
0157通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/08(土) 00:06:41.83ID:rNhtH38X0
>>154
レベル低いぞラテ
>>142の人を見習えks
0158通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/08(土) 00:20:19.49ID:KQOnNZdv0
142を見習えってのは、あの程度の小学生以下の駄文を読んで反面教師とせよってことでしょう。

文章書くときの基本

起承転結をしっかりする

風景描写や台詞は判りやすく区切る。

登場人物はモブでも略さ無い
0159通常の名無しさんの3倍
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2015/08/08(土) 12:59:01.88ID:z2Xe70CnO
>>157
…言ってて悲しくならないか?

>>ユーラシア氏
投稿乙です。
悲劇と歓喜、両陣営の対照的な反応が
戦争の悲惨さを表せてる気がします。
個人的には視点が中間寄りなので
やや客観的なのが惜しい気がします。
偏ってもいいから、シーンごとに「今回の主役」を決めて
その視点で物語を進めていくと、書き手、読み手共に
感情移入がしやすいかと。

あくまで個人的な感想ですが。
0161通常の名無しさんの3倍
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2015/08/09(日) 05:22:03.42ID:doYFqjom0
ユーラシアのSSのどこがいいんだよwwks
地上を攻撃する武器で空中を飛んでる敵なんて撃破できるわけないんだが
ユーラシアのアホはそれを理解してるのか?
0163通常の名無しさんの3倍
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2015/08/09(日) 14:44:17.46ID:GgyyczFd0
皆様、どうか荒らしには一切構わないようにお願いします
荒らしに構うことは結果としてこのスレを荒らすことになりますので
0164通常の名無しさんの3倍
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2015/08/09(日) 19:55:43.70ID:ttcWwm0F0
投下乙です、して感想を
>>次の瞬間、爆音とともにくすんだ鉛色の雲が占領する空に向かって無数の鉄の矢が放たれた。
この文章が「どのような兵装が使われたか」良くわかりませんでした
鉄の矢という比喩と空へ向かってという内容から高射砲の類なのか
それともガチのニードル兵器なのか(ブリッツガンダムが使ってましたね)
この兵器の描写もまた細かに描く事で深みが出ると思いました
0165ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/08/18(火) 09:35:18.89ID:0BJZuGWM0
SSを投下します
0166ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/08/18(火) 09:43:26.17ID:0BJZuGWM0
黒煙に覆われた高熱で燻る大気を引き裂き、有翼の機械人形が2体黒煙の中から飛び出す。

小隊にまでその数を減らされながらもエレノア襲撃中隊は、侵攻を続けていた。
ディンは半数以下の2機に撃ち減らされ、攻撃ヘリのアジャイルは1機残らず全滅していた。

ロケット弾とその破片の直撃を受けたディンは、薄い装甲が災いし、文字通り粉々に破壊された。
部隊指揮官のエレノアの機体もその中には含まれていた。

「なんなの!あの攻撃は、敵の新兵器?!」

乗機の破損個所を確認しつつ、ターニャは敵の姿を求めた。
彼女のディンは、頭部カバーを喪失し、左肩部と右脚部が破損していたが、
幸いなことに飛行能力を維持していた。

また武装も主兵装の対空散弾銃が使用可能だった。

「ターニャ無事か?」その時通信が入った。

「畜生!エレノア隊長も、シャノンも、ピーターソンも、ウィルも、ヘリ部隊の奴らも皆やられちまった!」

通信の相手は、3番機のパイロットのエルマー・アダムスだった。

「そんな!エレノア隊長が!…やられるなんて」
中隊指揮官を務めていたエレノア・チェンバースは、部隊内外からみても優れた指揮官だった。
モビルスーツの操縦技量、部下への接し方、魅力的な容姿…そのどれもがターニャの憧れであった。

そんな人物が卑劣なトラップで撃墜された等、彼女にとっては信じがたいことだった。


…だが、現実は彼女の思いとは真逆であった。
これまでの戦いで常に隣にいた指揮官機の頼もしい機影はそこにはなかった。

「…」
彼女は遠ざかりつつある、後方を映すモニターを拡大した。
背部センサーから取り込まれた映像であるそれは、
中隊の機体の残骸が焼け火箸の様に黒煙を吹き上げて激しく炎上している様が映されていた。

そして高温に曝される残骸の中には、指揮官機の装備していたアークェバスの残骸も転がっていた。
黒く焦げたそれは、火葬場から出されたばかりの遺骨を想起させた。

「………よくも隊長と皆を!許さない!」
白い頬を一筋の涙が流れた。
0167ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/08/18(火) 09:49:59.20ID:0BJZuGWM0
「ターニャ!敵だ!俺達の右側にいる!」
エルマーが、そういうと同時に彼女のディンの正面モニターに画像が表示された。
NJの影響で画質の荒い画像、そこには市街地へと逃亡する車両の姿が映し出されていた。
ターニャのディンは、それを見逃さなかった。

「あいつか!」
「俺は攻撃してきた敵の兵器を探る!」
この時点で彼らは、戦友たちを一撃のもとに屠った兵器の正体に全く気付いて無かった。
その為、それがまた使用される可能性を彼らは考慮していたのであった。
「わかったわ」
ターニャもそれに応える。

傷ついた天翔ける機械人形は、二手に別れ、行動を開始した。
それぞれの任務を果たすべく…
0168ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/08/18(火) 09:58:21.21ID:0BJZuGWM0
「上空に敵機!こちらに食いついてくれました!」

接近してくる機影を双眼鏡越しに確認した連合兵はジープの荷台で叫んだ。
「よし!作戦通りだ」
口元に笑みを浮かべ、ドライバーの連合士官が言う。
その連合士官は、浅黒い肌とドレッドヘアが特徴的で、もし連合士官の衣服を着用していなければ、
大西洋連邦のストリートで楽器を振り回して奇声じみた声を上げているロックミュージシャンと間違えそうだった。
直後、彼らを乗せたジープの真横で着弾の土煙が幾つも上がった。

それは、ディンの主兵装である対空散弾銃から放たれた散弾によるものであった。
土埃を舞い上げてジープは荒野の如くささくれだった道路を疾駆した。
その背後をターニャのディンは影の様に張り付いた。

「糞!烏野郎!」
後部座席に座る連合兵は、自動小銃を乱射したが、
モビルスーツの装甲の前では無意味の等しい行為だった。

対するターニャのディンも中々攻撃を仕掛けることが出来なかった。
万全の状態ならば、鷹が兎を仕留めるかの如く容易く撃破できる標的・・・だが、損傷を受けた現状の機体では、限界があった。
一歩間違えば地面と衝突する。
ディンの主兵装である対空散弾銃は、腕で保持する必要があり、その為に姿勢を空中で変える必要があったためである。
これは、飛行MS ディンの欠点の1つとも言えた。
距離を取って撃とうにも照準センサーが先程の攻撃で損傷しており、更に一定以上に高度を上げることも不可能であった。

また操縦者であるターニャは、撃墜スコアの上では十分エースと呼んで差支えなかったが、射撃の技量は平均レベルだった。
またジープの様な小目標に戦車や装甲車に対してやるようなバースト射撃を行うのは、
弾薬の浪費であるとターニャは、認識していたのである。

やがて市内に林立する高層建築へとジープは逃げ込んだ。
ターニャのディンもそれを追う。ジープは右折した。

「次で仕留める」
獲物をしとめるべく、ターニャはディンを右折させる。彼女は勝利を確信していた。
広い平野と違い、障害物がある市内ではこちらもそうだが、ジープも速度を緩めざるを得ない、
そこを仕留めることは簡単であると判断していたのだ。
0169ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/08/18(火) 10:07:13.42ID:0BJZuGWM0
今日は此処までです。皆さん今回の投下分の中でぞんざいに扱われている戦友がいます
分かる人いますかね
今までの投下分でヒントが出ています。

>>164
その点に関しては後の部分でロケット兵器だということが説明されているので、そういう説明になりました
分かりにくければすみません
>>159
客観的、を心掛けたのは、自分の癖もありますが、最近見たイーストウッド監督の映画 アメリカンスナイパーの
影響もあります。この作品はイラクゲリラ側のスナイパーにも家族がいることが
描写されていたりします。今後は崩す可能性もありますが

では皆さん今回の投下分への感想、アドバイスをお願いします
0170通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/18(火) 20:53:47.21ID:zm+g08Qm0
投下乙でした
動けるのが損傷したディン2機じゃもう部隊として戦える状態じゃないですね
上層部に報告を行って撤退の許可を求めるような状況だ
だがターニャは感情に任せて罠へ突っ込んでゆく…これは死亡フラグ?

あとアドバイス的なものを幾つか
>>166の最初の所で『ロケット弾とその破片の直撃を〜』とありますが、>>152
『空中でロケット弾頭が一斉に破裂し、内部に封入されていた子弾を撒き散らした。』
という一文がありますので、ここは『撒き散らされた子弾と破片の直撃を〜』としたほうが
良いと思います
それと>>166の後半で『焼け火箸の様に黒煙を吹き上げて激しく炎上している〜』という部分がありますが
火箸は基本的に鉄などの金属で作られるものですので、ここはなにか他の燃えやすいもので例えたほうが
良かったと思います

>ぞんざいに扱われている戦友
うーん、誰だろう……?
0171三流(略
垢版 |
2015/08/18(火) 22:07:09.72ID:earnOZFfO
投下乙です。
いろいろ感想はありますが、先の展開との兼ね合いもありますので
ここでの意見は控えておきます。
続き楽しみにしてますよ。





いいなぁ、感想多くてw
0172通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/19(水) 15:22:48.54ID:NjOMVpim0
ユーラシア氏投下乙です
大損害受けて戦闘続けようとするザフトは勇敢なのか無謀なのか・・・・

>>170
戦友っていうのは戦死したザフトの部隊のメンバーだろうか?
でもぞんざいに扱われてるってのが気になる
0173通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/19(水) 16:22:36.70ID:mtZCaqeL0
>エレノア隊長も、シャノンも、ピーターソンも、ウィルも

エレノア 女性名
シャノン 姓・男女名
ピーターソン 姓
ウィル 男性名短縮型

確実に姓呼びのピーターソンだろうか?
とここまで考えて単純に一緒くたにされたヘリ部隊の奴らのことかも知れないと思いだす
0174通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/20(木) 19:01:01.78ID:GKLfOSbz0
>>173
ヘリ部隊の連中と予想、確かユーラシア氏の最初の方でザフトではモビルスーツ以外の兵科
の人間が見下されてる的な描写がされてた様な気が
0176ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/08/22(土) 11:32:11.45ID:GDzdxUIQ0
SSを投下します
0177ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/08/22(土) 11:57:54.82ID:GDzdxUIQ0
右折と同時に、ターニャの視界に飛び込んできた光景は、停車したジープの姿だった。
その荷台には、対空ミサイルランチャーを抱えた兵士が立っていた。
次の瞬間ランチャーが火を噴く。
ディンに向けて高性能爆薬が詰込まれたロケット推進の槍が突進した。


「当ると思って・・・・・ぐっ!!」ディンは、空中で機体を少し傾け、攻撃を回避する。
ミサイルは、ディンを掠めてビルの一つに着弾した。

次の瞬間、ターニャを衝撃が襲った。彼女は、周囲を見渡す。
ディンの左隣には、4門の対空機銃を載せた車両が猛火を彼女の乗機に浴びせていた。

スカイデストロイヤー 対空自走砲………この車両は、元々大西洋連邦軍欧州派遣軍第34歩兵師団所属のもので
故障によって爆破放棄される予定だったものを編入したものだった。

故障の為移動不能だったが、載せられた対空火器は、弾薬の続く限り使用可能で、砲台として運用可能であった。
周囲を高層建築が聳え立つこの場所では、遮蔽物のない空間では高機動を誇るディンは、籠の中の鳥と大差なかった。

高速で豪雨の如く放たれる対空機銃弾が、ディンを撃ち据える。
飛行能力を高めるため、軽量化が施された装甲は、それらの攻撃に無力すぎた。

「こんな・・・ところでっ!」
ターニャは、自身が罠に誘い出されたこと、そして自身がまもなく火箭の暴雨の中で散った戦友の後を追うことになることを
理解して悔しさの余り歯噛みした。
直後、対空機銃弾が胸部装甲を貫き、コックピットブロックを吹き飛ばした。
搭乗者を失ったディンは、胴体部から炎と黒煙を吹き上げながらコンクリートの地面に墜落して砕け散った。

「やったぜ!」
黒人系の連合士官、第22機甲兵中隊所属のドミンゴ・ルシエンテスは、白い歯をむき出しにして笑った。
0178ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/08/22(土) 12:11:10.28ID:GDzdxUIQ0
同じ頃、エルマーのディンは、MLRSの設置地点の一つに到着していた。

ディンの目の前には、火山の噴煙の様に白煙を上げる四角形の物体とその周囲には、発射時に爆風で跳ね飛ばされたと思しき、
隠蔽用の特殊迷彩塗料を塗布した黒いシートが散乱していた。

「対地ロケットだと……馬鹿な!」

ろくな誘導装置すら付いていない地上攻撃用の兵器に航空部隊である自分達が攻撃され、
多大な犠牲を払ったという事実を彼は受け入れることが出来ずにいた。

追い打ちをかけるかの様に彼に更なる凶報が齎された。

直後、モニターに映っていた僚機を示す光点が消えた。
それは市内に突入したターニャのディンのものであった。

「そんな、エレノア隊長の次はターニャがやられるなんて…」

エルマーは、最初それが、IFF(敵味方識別装置)の故障だと思った。
だが、市内から立ち上る煙は、それがIFFの故障等ではなく事実であるということを雄弁に物語っていた。
「…」

エルマーはディンを反転させた。
もはやエレノア襲撃中隊は、壊滅した。

戦力的にも生き残ったディン1機でバルク偵察小隊を全滅させたと思われる
市内の地球連合軍部隊を撃破することは不可能である……
バルク偵察小隊に続いて壊滅したエレノア襲撃中隊、最後の生き残りであるエルマー自身がそれを何よりも認識していた。

現在の彼に出来ることは、後方より進軍して来るウーアマン中隊を初めとするザフト軍本隊と合流し、
市内に潜伏している地球連合部隊の戦力が油断できないものであると報告すること………ただそれだけである。

だが、その現状認識が正しいということと彼自身の人間としての感情は異なっていた。
0179ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/08/22(土) 12:28:46.26ID:GDzdxUIQ0
「くそおおおおおおおおおおおお」
エルマーは、ディンのコックピットの中で吼えた。

エレノア隊長を!皆を殺されて一人だけ逃げるのか…俺はそこまで弱虫の屑なのかよ…

戦友の仇を討つことが出来ない無力さとそれを認識し、それを肯定するかのような行動を選択した
自分への嫌悪感の余り、今すぐ死を選びたい心境だった。

もし彼がプラントの都市管理機構の下水処理局員としての3年の労働の経験、
ザフト入隊時の訓練、そして先程まで彼の上官として存在していた指揮官 エレノアの存在によって
自制心を学んでいなければ、
彼は、乗機のディンを下界の雑草が繁茂した草色と土色の大地にぶつけていただろう。

「エレノア隊長…皆、俺は悔しいが、お前らの仇を討てない、
だが、後ろにいるザフトの仲間がきっと仇を討ってくれる。」
両頬を涙で濡らしつつ、かすれた声で言葉を紡ぐ、彼は懺悔しているかのようだった。

背を向けて単機で去っていく、敵機に対して市内の敵は、銃弾一つ撃つこと無く沈黙していた。

恐らくNJ下で誘導兵器の信頼性が低下している今、市内から攻撃する手段がないのだろう。
とエルマーは推測した。

「見ていろナチュラル共、お前らは必ず我々ザフトが殲滅するぞ…」
彼は、憎しみに燃える目で後方を一瞥した。
次にふと彼が考えたことは、ターニャにとうとう最後まで自分の気持ちを
伝えることが出来なかったということだった。


都市を背にし、去っていく黒い影、それを地上から覗く者達がいた…彼らは、
市内にいる戦友達へと自らの得た情報を伝えた。

「偵察兵より連絡!最後のディンの後退を確認、敵襲撃機部隊は、1機を残して撃破されたようです。」
「了解した。偵察活動を続けてくれと伝えてくれ」

有線通信による偵察部隊からの報告を受け取ったパドリオから報告を受けたハンスは、
そういうと通信を切った。
NJ下において有線通信の信頼性は無線通信が使用不能となった今では、距離がある程高まっていた。
0180ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/08/22(土) 12:35:39.95ID:GDzdxUIQ0
今日は此処までです。
ぞんざいに扱われている戦友ですが、>>173 >>174氏の予想通りヘリ部隊の隊員です。
ちなみにエレノア、シャノン、ターニャの3人は最近視聴したアニメのモブから拝借した名前です

では、みなさん感想、アドバイスの方お願いします。
0181通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/22(土) 19:39:32.47ID:oU2e02NH0
投下乙
ターニャに気持ちを伝えてたら自分にも死亡フラグが立っていたと考えるんだエルマー君
0182通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/23(日) 12:22:02.85ID:ZyJnPyZaO
投下乙。
兵器の解説に尺を取りすぎて、テンポが均一なのが気になります。
途中の流れはもっとテンポよく進めて
見せるべきシーン(ターニャの最後とか)に
もっと凝ってみるといいかと。

あと、ここで書かれたツッコミのフォローを
後の話でする必要はないですよ。
0183通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/23(日) 23:00:43.21ID:YygTFoBh0
必要最低限のアッサリ描写に拘る書き手もおられるでしょう
それが無情に命が失われる戦場を舞台としているなら尚更かも
即死ではなくのたうち回って死ぬ結末なら描く必要もあるとは思いますが
0184通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/08/27(木) 16:50:04.55ID:78g1zx0s0
投下乙
敵も人間だってことが分かる描写があるといいですね
次の敵はどう来るのか・・・
0185新人スレ住人 ◆tOSpv3Q.fqF6
垢版 |
2015/08/31(月) 21:21:55.25ID:Sp+sFmEy0
どうもご無沙汰しておりました。
また、職人諸氏投下乙であります。

長らくお待たせして申し訳ありません。
読者さん及び職人さん方の交流掲示板を設置しました。

ここでは書きにくいようなSSに関する雑談や、
職人さん方の創作に関する相談などにご利用ください。

また、荒らしやなりすまし対策のため、リモートホストの一部を公開する設定になっております。
ご了解の上お楽しみいただければ幸いです。
次スレよりテンプレ>>1に追加します。

ttp://shinjin-ss.bbs.fc2.com/

また、投下作のwikiへの掲載につきましても、現在遅れております。
申し訳ありませんがぼちぼちやっていく予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。
0187通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/09/23(水) 20:04:03.13ID:GCnO8IpS0
>>179
プラントの都市管理機構の下水処理局員としての3年の労働の経験<この1文を見て
ふと思ったが、エルマーって部隊内ではかなりの年長なんだろうか?
0188ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/10/02(金) 13:45:22.16ID:zR/mxm9Z0
投下開始
0189ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/10/02(金) 13:47:44.00ID:zR/mxm9Z0
「エレノア隊が全滅しただと・・・?!あの都市の地球連合はどれだけ戦力を有しているんだ?」
市内に突入する予定だったウーアマン中隊指揮官 ケヴィン・ウーアマン中隊長は、狭い車内に大きく響く声で言った。
彼の遺伝子操作の産物であるエメラルドの様な緑色の目は大きく見開いていた。

その発言は、報告者であり、唯一の生存者が目の前に立っているということを考えると余りにも
無思慮であった。
だが、戦場でその様なコミュニケーション上の配慮を求めるのは、酷であった。


彼の視線の正面には、先程帰還してきた唯一の生存者…エレノア襲撃中隊のMSパイロット エルマー・アダムスが反対の座席に腰掛けていた。
その顔は青ざめ、鳶色の双眸は、目つきが刃物の様に鋭くなり、白皙の肌からは艶が失われ、車内の赤い照明と相まって
墓場に埋葬される直前の死体の様に見えた。

それは、まるでB級ホラー映画で使い古された人を生ける屍に変容させる架空の疫病の初期症状を患っているか
のような錯覚を見る者に与えるものであった。

精神面での影響が肉体に及ぼす悪影響は、これ程のものなのか、とケヴィンは、唇を歪めて思った。
0190ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/10/02(金) 13:54:05.21ID:zR/mxm9Z0
第1次世界大戦以来、科学技術の所産が戦場に投入され、それに伴う戦闘期間が長期化した近代戦によって蒙る兵士の精神面の
ダメージとそれが齎す影響についてはその重大性は、十分軍部にも政治家にも認識されていた。
再構築戦争とその前後の紛争で多くの戦争後遺症患者が生みだすこととなった地球の国家の軍隊は、
対策として専門の心理カウンセラーを置いており、また同様にザフトも心理カウンセラーを置いていた。
精神疾患の発症率では肉体的にナチュラルよりも優れているコーディネイターも変わらなかったからである。

尤も心理カウンセラーのカウンセリングをエルマーが受ける為にはディンを操縦して
後方に展開する陸上戦艦を有する部隊と合流する必要があった。


戦闘中であることを考慮すると精々、医務室で精神安定剤を服用させられるのが関の山だろうが・・・彼自身、
同僚であり、友人でもあったエレノア・チェンバースが部下と共に戦死したことについてはショックを受けていた。

本来なら彼の部下で、同じく戦死が確実視されたバルク小隊が偵察&掃討任務を終えていた筈だった。

彼にとっても現在のザフトの優位を確立した最新兵器のモビルスーツがこうも容易に
失われたということに驚いていた。
直後彼は、エルマーが自分に許しを求めるかのような視線を向けていることに気付いた。
慌ててケヴィンは、質問を続けた。

「それで敵部隊の戦力は?エレノア隊を全滅させたのはどんな兵器だ?」
そしてエルマーは口を開いた。
0192ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/10/02(金) 14:00:22.91ID:zR/mxm9Z0
「敵は、私の部隊の進路を信号弾でトレースし、予想進路上に多連装…MERSを発射することで全滅させたんです!その後ターニャが市内に突入を図り…戦死しました。
私は敵の兵器の確認しに向かったので、敵は見ていません。」
「対地兵器を転用したトラップか・・・」
「それとターニャを撃墜したのは、恐らく対空戦車によるものだと思われます。」
エルマーは、報告を終えると何度も荒い息を吐いた。
まるで激しい運動を終えた後の様に過呼吸気味になってしまっていた。

「ありがとうエルマー、君が生還してくれたことで我々は貴重な情報を得ることが出来た。
中隊員全員を代表して感謝する。少し休むといい」
前線で休めるとは思えないが。脳裏でそう毒づくとケヴィンは、
いたわる様にエルマーの肩に手を置くと、指揮車の外に出た。

指揮車の周囲には、索敵車、ミサイル車や兵員輸送車等の戦闘車両の姿があった。
それら車両部隊を護衛する様にジンやザウートが展開していた。
なお先程帰還したエルマーのディンは、最後尾の輸送トラック改造の整備車の後部トレーラーで整備兵による応急修理を受けていた。
0193ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/10/02(金) 14:12:10.26ID:zR/mxm9Z0
少し遅れてエルマーが指揮車から出た。

「君は後方の<リヴィングストン>に帰還後、医務室で心理カウンセラーの所に行くように」
ケヴィンは、エルマーに指示を伝えると、彼を見送るべく、後に付いていった。
整備車両の上には、エルマーの乗機であるディンが立っていた。
破損個所がいくつか整備されており、煤塗れで帰還してきた時の姿より綺麗に見えた。

エルマーは、整備車両に座っていたディンのコックピットに向かった。
そしてコックピットハッチの上に立ったエルマーは、最後にケヴィンの方向に振り向く。

「ケヴィン中隊長、必ずエレノア隊長と仲間の仇を討ってください!」

力強い声でエルマーは言った。
その表情は先程と比べるといくらかマシに見えた。

「ああ、必ず撃破してみせるよ」
直後、胸部コックピットハッチが閉じられ、ディンは空へと飛翔していった。

ケヴィンは、背後にある現実へと振り向いた。彼の視線の向こうには、
ザフトのモビルスーツ部隊を2つ屠った地球連合軍部隊が潜んでいるであろう放棄された都市が、
コンピュータゲームに出てくる魔王の棲む城塞の如く聳え立っていた。
0194ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/10/02(金) 14:16:22.83ID:zR/mxm9Z0
今日は此処までです
感想の方お願いします
0195ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/10/02(金) 14:19:36.05ID:zR/mxm9Z0
書き忘れ
>>187
プラントの成人年齢は15歳ですよ〜
エレノアよりは年下とイメージしてください
0197通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/10/03(土) 10:51:03.35ID:o2unCIcM0
ユーラシア氏乙
次の敵は油断できなさそうですね
流石にザフトも2部隊も潰されたら油断しないでしょうけど

つプラントの成人年齢
そういえば、15で成人設定でしたね、種の時点でクルーゼ隊の4人は成人なわけか
尤もプラントは民主主義国家ではないですがw
楽しみにしてます
0198ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/10/06(火) 15:39:39.20ID:r3U869ih0
投下開始

ウーアマン中隊は、10機のジンと25両の装甲車両で編成され、支援を担当するカッセル軽砲小隊と偵察を担当する
バルク偵察小隊を指揮下に置いていた。
現在、バルク偵察小隊は未帰還であり、指揮官であるケヴィンの指揮下にあるのは
ウーアマン中隊とカッセル小隊のみであった。

「バルクとエレノア達の為にも何としても敵を撃破せねばな」
ケヴィンは、乗機のジンに乗り込んでいた。
彼のジンは、頭部のブレードアンテナが大型化され、地球連合軍の戦車の残骸から回収した爆発反応装甲
を胴体部に張り付け、防御力が強化されていた。

「さて、敵の兵力はどれ位だ?」
指揮下の通信車両から無人偵察機が収集した市内の画像が転送される。
それらの画像には荒廃した都市とそこに横たわるモビルスーツ ジンの残骸の姿を映したものもあった。

「バルク…間に合わなかったか」
エレノア隊からバルク機から支援を要請する緊急通信を受けた段階で、
バルク隊が全滅の可能性は考慮していた。そして、エレノア隊の全滅が判明した時、それは確信となっていた。
しかし、いくら覚悟していても、数日前、数時間前に言葉を交わした同僚がこの世の住人ではなくなるということは、
ザフトの前身である黄道同盟時代の武装闘争にも参加していたケヴィンにとっても慣れることでは無かった。

「バルク小隊を撃破したことを考えると戦車1個中隊、支援の歩兵が500〜2000以上居ると考えられます。」
部下の一人が通信で応える。作戦会議は、指揮車ではなく通信を通して行われた。
近距離なら電波障害の影響も少なく、通信車両のサポートもある為問題は無い。
本来なら指揮車で顔を突き合わせて行いたかったが、いつ敵の航空攻撃や少数のゲリラ部隊による逆襲が無いとも考えられない以上
ケヴィンは、安全の方を優先した。
0199ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/10/06(火) 15:42:59.60ID:r3U869ih0
「歩兵部隊の数が多いな、少なく見積もってもこちらの数倍とは覚悟していたが厳しいな」
モビルスーツは、宇宙、地上、水中、空中で縦横無尽に活動し、現在、最強の兵器と言って差し支えない兵器であり、
ザフト軍の快進撃はそれを証明していた。

しかし、どれだけ技術が発達しても最後に勝利した後にその地域を制圧占領するのは、歩兵なのである。

これは、数千年前にシュメール人がチグリス・ユーフラテス川の近辺に最初の都市文明を煉瓦と青銅と犂鍬で築き上げた頃から変わらない原理であった。
その代替として再構築戦争以降、各国が軍事用ロボットの開発を進めているが、コンピュータウィルスや今次大戦のNJによる電波障害等の影響で
歩兵に代わる存在には至っていなかった。コロニーを国土とする国家故、人口で地球連合側に遥かに劣るザフト軍は歩兵の数で常に劣勢であり、
アフリカ戦線では北アフリカ共同体の兵員で補填していた。

特に都市制圧戦では、モビルスーツや戦車、戦闘機等よりも歩兵の存在が重要になる場合が多く、
稀に市内に立て篭もった敵部隊の連携攻撃にモビルスーツが不覚を取ることもあった。
0201ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/10/06(火) 15:48:34.44ID:r3U869ih0
「理想としては包囲してゆっくり叩き潰したいが、今の状況では無理か」
「やはり市街地に対して砲撃を行い、敵戦力を減らしてから突入するべきだな」
「市内全域をまんべんなく砲撃するには、弾薬もザウートや車両の数も足りませんよ、
市内の敵を叩き潰したいのでしたら艦砲射撃でもないと無理です」
そう言ったのは、ザウート部隊を率いる褐色の肌と燃える様なオレンジの髪を持つ巨漢 ウィレム・カッセルであった。

「艦砲射撃か・・・」
「やはり、<リヴィングストン>に支援砲撃を要請するべきか。通信兵、支援要請を」
「了解」

後方の陸上艦 改レセップス級 リヴィングストンは40cm砲を搭載しており、
この改レセップス級は、欧州のザフトには、4隻が配備されていた。

「<リヴィングストン>より通信、艦砲射撃の必要性を認めず、また友軍を巻き込む危険性がある。とのことです。」
「拒否されたか…」
「ちっ、前に自分が味方撃ちしやがったからってあの野郎…」カッセルは、乗機のザウートのコックピットで毒づいた。
彼率いるカッセル軽砲小隊は、砲戦MS ザウート4機と支援用の車両10両で編成されていた。

戦車の車体の上にモビルスーツの上半身と大砲を載せた様な形状のザウートは、
モビルスーツ中心の軍隊であるザフトにおいて砲兵、対空戦力を兼ねていた。


ザウートの背部が爆発し、白煙と共に弾着観測ドローンが次々射出され、都市の方へと飛んで行った。
単座式のコックピットの正面モニターにドローンからの画像や気温、風向、風速といった砲撃に必要なデータが映し出された。

「砲撃開始」
カッセルは、指揮下の砲兵部隊に観測データを送信すると、命令を下した。
その直後、ザウートの肩部にマウントされた2連式キャノンが一斉に発射された。

数秒後、その周囲に展開していた鹵獲リニア自走榴弾砲やら多連装ロケット車両が火を噴いた。
市街地に炎の雨が降り注ぐ。
傷口に塩を塗り込むかの如く、砲弾が半壊のビルに次々と撃ち込まれ、ビルを崩落させた。
ロケット弾が撃破されたジンの横たわる道路に叩き込まれ、爆発の毒々しい閃光の華が咲き乱れる。
公園の頭上で炸裂した砲弾の破片と爆風が、金属製の遊具も、木製のベンチも石造りの噴水も全て等しく吹き飛ばしていった。
0202ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/10/06(火) 15:54:35.67ID:r3U869ih0
砲撃が行われる中、ジンに護衛された索敵車両が都市の付近にまで接近し、地中に音響センサーを撃ち込み、砲撃の戦果確認と索敵活動を行っていた。

兵士の絶叫や兵器が破壊される音、着弾したミサイルや砲弾の爆音、
落雷の様な建造物の崩れ落ちる轟音等の音が混然一体となった戦場音楽は、
一見情報とは無縁に思える。

地中に撃ち込まれた音響センサーから取り込まれた音は、
コンピュータによって解析され、幾つものパターンに分割され、敵に関係する音が選別される。また敵とは関係ないと判断された音…
支援砲撃の着弾音や廃墟の崩れる音等は雑音として排除される。

これらの原型となったのは、将来木星圏開拓の際に木星、木星の衛星の中で液体の海や大気の存在が確認されている衛星の地表で
探査活動を行う際に用いられる予定だった探査装置である。
地球外生命体の存在を探索する為の装置が、地球内の生命体の存在を探索しているというのは皮肉であった。
だがこの様な高性能な機器が存在しても、最後には、人間の判断力が結果を左右するのである。


「・・・・」ヘッドギアを被った金髪黒目の少女 メイ・リョングは、ソナーが感知し、コンピュータが選別した音の正体を突き止めるべく、耳を澄ましていた。
東アジア共和国出身の母を持つ第2世代コーディネイターである彼女は、その独特の名前からハイスクールの頃には、
男子に恐竜の様な名前だ、と馬鹿にされたこともあった。
メイは、音楽家になるのが夢で、ソナーマンに選ばれたのも彼女の優れた耳によるものであった。

コーディネイターで、優れた楽器の使い方や歌声を持った者は大勢いたが、音楽家や作曲家として世界的に大成した者は未だに1人もいなかった。
それでも、それを知っているからこそ彼女は夢を諦めない。
音楽が、人の心に与える影響というものを彼女は身を持って理解していたからこそである。
この戦争が終われば、その夢を叶えるつもりでいた。
夢を叶えるためにも、メイは次々と音響センサーとコンピュータから送られる音と聴覚と訓練で植え付けられた
情報を照合し、選別を行った。

「先程消失した音紋は、地球連合軍のリニアガンタンクと思われます。」
彼女は、耳が聞き取り、選別した友軍の戦果を弾んだ声で報告した。
彼女は、ソナーマンとしては優秀だった。それらの音紋パターンは殆ど地球連合軍の車両とほぼ同一であった。
それ故、地球連合が仕掛けたダミーに見事に嵌ってしまっていた。
0203ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/10/06(火) 16:00:46.66ID:r3U869ih0
今日は此処までです
今投下分には登場人物の名前に関するネタが含まれていますが、分かりますかね
感想、アドバイスの方お願いします。
0204通常の名無しさんの3倍
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2015/10/07(水) 23:47:52.34ID:ok6BXPnn0
強い敵と戦う時どうするか、ベテラン戦士は若い戦士に問う
若い戦士は筋トレが重要だと答えた、地力を上げて強敵との戦いに備えるのは堅実で正しい戦略であると
しかしベテラン戦士はそれも重要だと肯定した上で「狡猾であれ」と若い戦士に説いた

ダミーに見事嵌ったザフト軍の運命やいかに!?まだまだ地球連合軍のターンは終わりそうにないぜーーーー!
0205通常の名無しさんの3倍
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2015/10/08(木) 07:19:21.67ID:zaz1v3Pt0
投下乙
今回は敵であるザフトパートの様ですね
敵の描写が分かるのは物語に深みが出てよいと思います
登場人物の名前に関するネタが含まれています<・・・ん〜なんだろう?
0206通常の名無しさんの3倍
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2015/10/10(土) 14:08:14.19ID:RflXFKGq0
ユーラシア氏のSSで大気、液体の海のある惑星での探査に使う音響探知機
みたいなのが出てるけど、現実の宇宙開発でも似た様なのあるの?
宇宙=真空ってイメージがあるんで気になる
0207通常の名無しさんの3倍
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2015/10/10(土) 14:12:26.24ID:Vcwy3Ulo0
一応火星探査にはそういうの使っているんじゃないかな
宇宙=真空は単なるイメージ、一応何らかの物質はかなり希薄だが存在するらしい
エーテル等の星間物質は現在は存在しないと言う事になっていたはず
0208通常の名無しさんの3倍
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2015/10/10(土) 17:19:31.79ID:RflXFKGq0
>>207
乙、宇宙でも大気がある惑星とかでは音波探査してるのか
一応ガンダムでも種のジェネシスや1stのソーラレイのレーザーは星間ガスで色ついてる
って設定だったな
ユーラシア氏のSSは今回の投下分もそうだが、軍事兵器の設定で民間製のがある
とか再構築戦争期は〜ってのが多いな
まあザフトのジェネシスも宇宙船用の推進装置魔改造した奴だっけ
0209通常の名無しさんの3倍
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2015/10/10(土) 17:24:17.02ID:Vcwy3Ulo0
>>208
ジェネシスについてはそうだね、本来の使い方をしたのは外伝で1回のみ
0083でも同じ感じのシステムが出ていたはず(照射したのは通常のレーザーらしい)
0210通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2015/10/10(土) 17:54:33.67ID:RflXFKGq0
>>209
ロウが火星に行った時の奴か
後戦闘中だけどアッシュグレイのリジェネレイトもやってた
しかしユーラシア氏の今回の投下分にあるネタってなんだ?
0211ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/10/12(月) 23:38:17.68ID:vgpDRfM50
投下開始

ザフト側の鹵獲リニア自走榴弾砲が発射した砲弾の一つが廃墟に着弾し、
その中に存在したものを薙ぎ倒し、破片で引き裂いた。
廃墟に置かれていた黒い物体はなすすべなく、鉄屑へと変換された。

黒い物体・・・その正体は、併設された小型バッテリーにより稼働するエレカ用モーターであった。

ザフト側の偵察車両が捉えた音源は、殆どが、これら都市内部に設置されたエレカのモーターだったのである。
これらのモーター類は元々、地球連合軍が、民間より接収した自動車用モーター類であった。
本来は、補給車両の予備部品として使用される予定のもので、地球連合の予想を超えるザフト軍の快進撃により、
特に活用する機会もないまま爆破処分されるはずだった。

ハンスは、これらのモーターの内、長期間の使用に耐えないと判断したものを分解し、
地上の廃墟や地下の駐車場に設置した。
流石に常時作動させるのはエネルギーの浪費でしかないので、
必要な時に連合兵たちによって有線操作によって起動させられた。
モーターの動力源となる小型バッテリーは、長くても20分程しかモーターを動かせなかったが、
熱紋、音紋センサーを駆使して見えざる敵を求めるザフト軍部隊には十分すぎた。

また戦闘車両に比べて音が小さく、整備の問題で音紋パターンが不揃いなゴライアスのモーター音は
雑音と判断される可能性が高かった。

「支援砲撃にしては余り勢いがないな…」
既に第22機甲歩兵中隊を含む地球連合部隊は、シェルターや
地下の安全なエリアに退避を済ませていた。

「今頃敵の奴ら、俺達を全滅させたと思い込んでるでしょうね」
部下の一人は、楽しげに笑みを浮かべる。
不意にハンスは、ザフト側の推定している戦果≠ェどんなものか知ってみたくなった。
だが、自分がそれを知ることは無いだろうと思い、その考えを振り払った。

「ルシエンテス少尉より連絡、砲撃によりスカイデストロイヤーが損傷を受けたみたいです。
射撃は可能とのことです。」
「自動モードでその場に放置する様にと伝えろ」
「では、我々も赴くとするか」
0212ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/10/12(月) 23:43:19.13ID:vgpDRfM50
同じ頃ザフト軍は、市街地に潜伏する架空の機甲部隊を全滅ないし、
大損害を与えたと判断していた。

「ケヴィン中隊長、索敵斑とドローンの情報を照合した結果が出ました。敵の装甲車両を10両以上撃破確実、不確実6とのことです。」
指揮車両のオペレーターが興奮気味に報告した。
「連中の半分は仕留めたかな」ケヴィンは、ここ最近剃らずにしていた為、
山羊の様に伸びた顎鬚を右手で扱きながら言った。

「しかし、その程度の兵力でモビルスーツ3機を有するバルク隊が全滅するとは。」
「連中は偵察装備で軽装でしたからね。それに奴のアカデミーでのモビルスーツ操縦の成績は酷いもんだった。
良くモビルスーツに乗れたと思ったものですよ」
そう言ったカッセルは、アカデミーでの成績がバルクよりも高かったにもかかわらず、
バルクがジンのパイロットになったのに対し、自分が、戦車モドキのザウートの
パイロットとなったことに不満を持っていた。

「突入開始、カッセル隊は最後に市内に突入せよ、チャールズとユースフはカッセル隊の護衛に付け」
ケヴィンのジンが突入開始の信号弾を打ち上げる。鉛色の空に打ち上げられた赤い星は、鮮血の滴の様だった。

直後、指揮官機である彼のジンを先頭にジン部隊が、分散して装甲車両を従えてそれぞれ市内へと突入を開始した。
ケヴィンとしては兵力分散の愚を犯さない様に1つに部隊を纏めて突入したかったが、
その場合、攻撃を回避することが困難な上、纏めて撃破される危険性があった。

常識的に考えて市内に立て篭もる敵にモビルスーツを複数破壊できる威力を持つ兵器があるとは思えない。

だが、彼は、敵を軽視して全滅したエレノア隊の二の舞にはなりたくなかった。
2機のジンがザウートとその周辺に展開する車両の護衛としてその場に待機した。

「敵部隊進軍を開始!モビルスーツ10、車両12以上」
都市郊外近くの建物に隠れていた熟練の偵察兵は、興奮と修飾語を極力抑え、有線式通信機で報告した。
市内に工兵隊が徹夜で張り巡らせた有線通信網を通じて、それは各部隊に伝達された。
0213ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/10/12(月) 23:48:10.63ID:vgpDRfM50
「急いで!」
即席の退避壕から飛び出し、廃墟の屋上の射点に付いたアンジェリカは、
対物ライフルを2人の部下と組み立てていた。
ライフルを組み立て終わったアンジェリカは、集中力を高めるべく、
ポケットから小瓶を取り出した。

瓶の中には、干した唐辛子が入っていた。アンジェリカはそれを口に含んだ。口一杯に舌を焼く様な辛さが広がる。
その横では体力を回復する為に部下の1人が栄養ドリンクを飲み干していた。

「いよいよ来たかぁ」
「ザフトはセオリー通りに来る!そこが狙い目だ!」
かつて大西洋連邦資本のピザ屋の食糧貯蔵庫だった地下の一室で、ガラント少尉はミサイルランチャーを肩にかけて部下達を鼓舞した。

「お前ら、逃げ場は確保されてる!だからビビるな!ケツをまくるのはまだ早いからな!」
別の地下壕でゲーレン中尉は、居並ぶ部下達に大声で叫ぶ、背水の陣の格言の様にわざと退路を断って
兵員の戦闘意欲を高める方法もある。
だが、この戦いは、友軍の撤退支援の戦いである。市内に立て篭もり、遥かに戦力が上の敵に囲まれているという状況で
は、退路が存在しているという希望を与えた方が、戦闘意欲を引き出せるとハンスは考えていた。
彼は、無理に戦場に踏み止まり、戦死するよりも次の戦いの勝利に向けて生き延びることが大切だと考えていたのである。

地球連合軍部隊は、ハンスと各部隊指揮官が組み立てた作戦計画の通りに行動を開始した。
市内に立て篭もる地球連合軍の中で砲撃の犠牲になった者は殆どいない、これは、彼らが都市内の地下空間に退避していたことが大きかった。

西暦期に勃発した第二次世界大戦の島嶼戦闘における最大の激戦である硫黄島の戦いでは、アメリカ軍は、3日間に渡り、
爆撃機の大編隊や旧式戦艦を含めた水上部隊によって島全体に準備砲撃を加えた。
にも拘わらず、地下洞窟陣地に立て篭もっていた日本軍はまとまった戦力を保持し続けていたのである。
更にウーアマン中隊は、砲撃兵力が市内の広さに比べてあまりにも少なすぎた。
その為、支援砲撃の結果が単に市街地をさらに破壊したというだけの結果に終わったのは当然と言えた。

こうしてこの住民が消え去った都市での地球連合軍とザフトの戦いは、約束されたのである。

連合兵戦記 第3章廃都炎上 終
0214ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/10/12(月) 23:54:34.61ID:vgpDRfM50
今日は此処までです
皆さん感想乙です。後前回投下の名前ネタですが、ザフト兵のメイが、恐竜の様な名前と
揶揄されたこともあった、というのがそれです。
中国産出の小型肉食恐竜にメイ・ロンというのが居てそこから彼女の名前は考えました。
某ネットの挿絵が可愛かったもんで、女性キャラの名前に使えるかな?とw
後中国系のザフト兵って本編だとミネルバクルー位しかいませんでしたから、個人的に
現実にコーディネイター技術が出来たらあの辺の新興富裕層がやりそうだと思ってるんで

では皆さん今回の投下分の感想やアドバイスの方お願いします。
0215通常の名無しさんの3倍
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2015/11/11(水) 16:22:14.23ID:GKKm1eVK0
「ある整備士の独白」

1.
本当だよ?俺だってジムを4機撃墜した事が有るんだよ。あ?整備士だよ?でも
戦場じゃ、いろいろあるんだよ。

ザンジバルとか、ムサイとかさ…そんなんじゃないんだ、単なる輸送船だよ、ハ
プア級。それしか無かったからな、その工場に居た連中、そこに詰められるだけ
詰め込んでさ。せめて旧ザクでもあれば良かったが、幸いみんなぶっ壊れてて、
動けるのは、あの「スナイプ・スコープ」しか無かったんだ。

・・・なんだそりゃって?そりゃそうだな、俺が創ったんだ。連邦の…ボール、
だったか。捕縛してた”あれ”があってね。乗ってたパイロット?知らんよ、俺
は整備班だったからな。あの頃はジオンもまだ、押せ押せでな…、自分の所も結
構余裕が有った、連邦のMSを捕まえて、研究出来たんだが。意外とアレ、砲台
としては優秀でね。姿勢制御も良い感じで、そこは感心したもんだ。まだ大型だ
ったが試作のビームライフルって言うか・・・大きさから言えばバズーカだな、
アレがあって、試験運用とか改良とかをウチの工場でも委託されてた。当時のま
まじゃ、ドム位のジェネレーターが使えなきゃまともに運用出来なかったからな。
だから、そのままじゃジェネレーターの出力がちょっと足りなかったが、あれ足
も何も無いだろ、エネルギーの消費量も少ないしザクのを追加で載せればまあ、
アレを運用する事が出来たんだよね。結構ビックリしたよ、ミノフスキー粒子で
レーダーは効かないが、デカい目してるだろ?光学ズームの能力が高くてな。後
はバズーカとの照準を調整してやればなかなか良い感じには成ったんだ。もちろ
ん、上司に進言したら遊ぶなって怒られたがな。

…解らんもんだよ、アレが有ったから今、俺はまだ生きてる。

戦局が悪化して…隠れた開発工場だったウチの拠点も、逃げ出す事が決まってね。
ただもう、残党狩りって感じになってた、本国まで逃げる事が出来るかどうかも
難しくて。使える船はハプア級一隻のみ、護衛のザクさえ用意出来ない状況で、
思い出したんだ、倉庫の奥に、「スナイプ・スコープ」が残ってたってな。

?もちろん俺が乗ったよ、俺が創ったんだし、他に動かせる奴もいなかったから
な。出港したハプアに付いていくだけで精いっぱいだったが、まあ無いよりマシ
だと思ってさ、自分から進言して。安全圏まで行ければ乗り捨てるつもりだった
…燃料も無かったしな。んで、運が良いと言うか悪いと言うか、その行路中に遭
遇した訳だ、連邦の探索部隊に。

 その後?まあ・・・だからまあ、敵を全部片づけて、何とか俺も逃げ伸びたん
だが。
0216通常の名無しさんの3倍
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2015/11/11(水) 16:23:03.92ID:GKKm1eVK0
「ある整備士の独白」

2.
 嘘じゃないんだ。船を逃がす為に、陽動しろって命じられた。文句は言いたか
ったが他に方法も無かったしな…乗っちまった不運を呪ったが、まあしょうがな
い。船から結構離れた、もう帰れないかもとは覚悟したよ、なんせあの時、配置
してスコープ覗いたら、ジムが4機も居やがったからな…。幸いと言うか、まだ
距離はあったし、スナイプの姿勢制御はまだ十分生きててね。良く動いてはくれ
たよ…その時は、俺は凄いと笑ってたな。

幸い、最初の一撃で一機仕留める事は出来たんだ。相手も全く警戒してなかった
しな、動きもちんたらしてた。命中した後、連中も直ぐには動かなかったから、
二発、三発と打てた、・・・信じられないよな、全部当たったんだ。最後の一機
は・・・流石に外した。敵に気づかれて、急接近してきた。連射されるビームは
でも、幸い当たらなかった。まあ・・・敵も新兵かなんかだったのかな。ビーム
の発射地点に敵がいつまでも居る様なバカだと思ったのか、ともかく俺には当た
らなかった。冷静に狙えたよ、上手く当たった。

 ああいうのはまあ・・・、気合いなのかな。ともかくまあ、撃墜スコア4なん
て成績をだした整備士は…ジオンでも俺くらいだろうね。直ぐに全速力で船へ帰
投したが、追い付いた所で燃料が切れてね。乗り捨てた、だからあいつが今どう
なってるか、それは俺も知らない。その後は幸い、船は何とか本国まで帰投出来
てな、まあこうして俺も、ここで飲んでる訳だ。

・・・二度とないだろうな、あんな事は。俺も本当に、なんで生き延びる事が出
来たのか、未だに解らん。日頃の行いが良かったんだろうな、…そういうもんだ、
うん、そう言うもんだよ。

ああ、悪いね。まあ、乾杯。


「ある整備士の独白 了
0219通常の名無しさんの3倍
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2015/12/12(土) 17:33:02.76ID:ymL6Y64M0
とりあえず投稿に対して感想をなるべく書いていくべきだと思う
いつかのEX氏とかこのスレのユーラシア氏とか感想0の投稿分もあったし
0220通常の名無しさんの3倍
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2015/12/16(水) 22:23:46.54ID:r6qqOe1k0
投下開始

主戦場である放棄された都市から離れた森に改レセップス級陸上戦艦<リヴィングストン>は待機していた。

金属でできた小山の様なその巨体は、周囲のザフトの対空戦車や装甲車両、補給車両とは比べ物にならず、
隣にある崩れかけた木造の民家が子供のドールハウスに見えるほどであった。

上空に向けられた主砲は、古代の竜脚類の首の様に長く、艦体を覆う様に
無数の対空火器を搭載したその姿は、針鼠さながらだった。

レセップス級陸上戦艦は、NJ下でも円滑に通信・指揮を行うための指揮車両として当初、設計された。
ベースとなったのは、火星開拓時に地表に設営されるであろう基地間の移動用として
設計されていたランドクルーザーである。

そこに地上でのMSの突入支援用として、西暦時代の戦艦の主砲に匹敵する主砲の追加が設計案に加えられた。
これは、誘導兵器の信頼性が大幅に低下しているNJ下の戦場では、艦砲の重要性は更に高まると推測されていた為である。
さらに大部隊に指示を下す為の通信設備の増設も必要となった。

更に地上におけるモビルスーツの整備・補給基地としての機能も付与すべきという意見が加わった。

こうしてヘリウムを吸った風船のように大型化を余儀なくされ、当初は大型トレーラー程度だった車体は、
旧約聖書の巨獣ベヒモスやギリシャ神話の巨人族を想起させる巨体となったのである。

この改レセップス級は、砂漠地帯以外での活動用に作られた派生型で、レセップス級とは異なり、
スケイルモーターではなく、大型ホバークラフトを移動手段にしているのが特徴であった。
0221ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/12/16(水) 22:40:46.59ID:r6qqOe1k0
「アイアンズ襲撃中隊、対空戦車部隊と交戦中!」
「ロジャース戦闘小隊補給完了!」
「ケイト中隊より通信、敵戦車部隊を撃破」
宇宙艦艇のものと同じ防弾強化ガラスで守られたブリッジ…そこでは指揮下の部隊との交信が絶え間なく行われていた。
中央の司令席には指揮官が腰掛け、その周囲の計器類にはオペレーター等の艦の運営に関わる人員が数十人近く着席していた。

現在、改レセップス級<リヴィングストン>司令席に座るのは、ウーアマン中隊を指揮下に置く
ファーデン戦闘大隊指揮官 エリク・ファーデン大隊長であった。

彼は、艦長や基地司令官、副官級等の人員が着用する黒い軍服を着用していた。

その傍らには、赤い軍服に身を包んだ少女が立っていた。
赤い軍服、通称ザフトレッドと呼ばれているそれは、ザフトの士官学校に相当する機関 アカデミーで、
卒業席次10位までの成績優秀者に与えられるものであった。

特別に戦功を立てた人間にも着用を許すという改革案が一部で挙がっているが未だにそれは実現することなく、
人類初のコーディネイターの軍隊であるザフトにおけるエリートの証であった。

その少女は、職人が技巧の限りを尽くして彫り上げた精巧な象牙細工を思わせる白い肌と肩まで伸びる金糸を思わせる美しい髪が特徴的であった。
赤い軍服の少女 ノーマ・アプフェルバウムは、ザフトのMSパイロットである。

アプフェルバウム小隊を率いる彼女が、この<リヴィングストン>に乗艦したのは、つい1時間前だった。
遭遇したユーラシア連邦軍の戦闘機部隊との戦闘で弾薬と燃料を予想外に消費したことで、
付近にいた補給可能な部隊であるこの艦を有するファーデン戦闘大隊と合流したのである。

彼女の部下達は、<リヴィングストン>の正規パイロットが一人もいない待機室にいた。

「よろしかったのですか?」この艦と隊の最高権力者の座る椅子に対して放たれた少女の声には、小鳥のさえずりの様な繊細さと、薔薇の棘があった。

「ん?」この時エリクは、煙草を口に含んでいた。紫煙が空調の風を受けて揺らめく。

空気が有限で、コストと資源と多少の手間をかけて製造されるものである宇宙の生活では、空気を汚染する行為である喫煙は、
一部の富裕層のみに限られた贅沢であった。
だが、空気が宇宙のコロニーやステーションから見ると無限に等しいほど自然に存在する地球上では、
基本的に禁煙エリアや潔癖症の政府が統治している地域を除けば、誰でも喫えたのである。
そしてこの地上の特権をエリクはフル活用していた。

無論地上でも任務中の喫煙は規則違反であるのだが、部下達も軽くたしなめる程度であった。
0222ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2015/12/16(水) 22:47:00.73ID:r6qqOe1k0
「何のことかね?アプフェルバウム小隊長」大隊指揮官としての威厳を持ってエリクは隣に立つ若き小隊長に質問を返す。

「前線からの支援要請を断ったことですよ」
「仕方あるまい、この<リヴィングストン>の主砲では、友軍を巻き込みかねない」
エリクは教科書的模範解答で言い返した。旧時代の戦艦に匹敵する主砲の威力は友軍をも
巻き込みかねない危険性があった。そしてエリクはそのことを誰よりも認識していた。

「前線部隊は、郊外に展開していました。敵部隊は市内に潜伏しており、
郊外には存在が確認できず、誤射の危険は皆無に等しかったと考えますが?」
年齢でも階級でも上位者の模範解答ともいえる論に対して、物怖じする素振りすら見せず、金髪の少女…ノーマは、自信に満ちた声で持論を述べる。

「…」
「アプフェルバウム小隊長、君は何故そこまで艦砲射撃に拘るんだね?」

「市内の地球軍を完全に叩き潰す為です。地球軍は、我々のモビルスーツ部隊に対抗するために、
市内の地下空間や廃墟に潜伏し、我々が市内に突入するのを待ち伏せています。」
遺伝子操作によるものであろう端整な容貌を、無表情にして語る少女の口調には自信が満ちていた。
対する座席の男は、渋面で応える。
エリクが、艦砲射撃を忌避するのは、ある事件が原因であった。
それは、約20日前 イベリア半島制圧戦の過程で起きた。

工業都市 ビトリアを巡る戦闘の時、エリクと<リヴィングストン>は後方にてモビルスーツ部隊の補給拠点、部隊指揮所として待機していた。
市内の地球連合軍は撤退するか全滅し、戦闘が間もなく終結するか、と誰もが想像していたその時、
都市外周で索敵行動を取っていたサンドラ偵察小隊から緊急通信が入った。

地球軍の地上部隊が市内への突入を図っていると。
0224ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/12/16(水) 22:58:15.87ID:r6qqOe1k0
この時、敵部隊の進路上には、基地設営隊の車両や補給車両が多数展開しており、側面から蹂躙されかねない状況であった。

飛行襲撃部隊は補給中であることと、エリクは、制圧力と射程を考慮し、
<リヴィングストン>の主砲による艦砲射撃を行った。

エリクは既にサンドラ偵察小隊が後方に退避、車両部隊と合流したと判断していた。

しかしサンドラ偵察小隊は、艦砲射撃の着弾点である敵の予想侵攻ポイントで、
踏み止まって戦闘を継続していたのである。
前線部隊の一つから誤射を知らせる通信が届いた時には遅すぎた。

砲弾を自爆させようにも、自爆信号は通信障害で届かず、空しく砲弾は予定通り全弾が
予定の着弾点に大穴を穿った。

着弾した40cm砲弾は、機甲歩兵、歩兵部隊を塵も残さず消滅させ、
バイソンの群れの如く進撃していた戦車や装甲車の車列を瞬時にスクラップに変換した。
更に匍匐飛行し、ザフト軍部隊に雀蜂の如く執拗に攻撃を加えていた攻撃ヘリコブター部隊も衝撃波で、
紙細工の様に弾き飛ばされた。

そして友軍であり、前線で踏み止まっていたサンドラ偵察小隊もその例外ではなかった。

戦車部隊の主砲による集中射撃を封じるべく、地球軍部隊に突撃していた彼らは、砲弾の着弾点近くにいたため、
全ての機体が大破した。

指揮官機は文字通り粉々に破壊され、唯一原型を留めていた3番機も胴体が衝撃によって内部機関を破壊され、
パイロットは首の骨を折って死亡していた。

結果のみを見れば、それは、NJによる通信障害が招いた数限りない戦場の喜悲劇の一つでしかない。

だが、同時にエリクの経歴に拭うことの出来ない汚点を残したのであった。

「それは、貴官の推測にすぎん、それにもうウーアマン中隊は市内への突入を開始している。今更遅いのだよ」
エリクは、精一杯の指揮官の威厳を持って彼の傍らに立つ少女に自らへの追及を止める様に婉曲的に言った。

対するノーマもそれ以上は追及すべきでないと考えたのか、沈黙した。

エリクは、正面を見据えた…<リヴィングストン>のブリッジの防弾強化ガラスを隔てた外界…鉛色の雲が立ち込めた空、
草色の丘陵の連なり、ひび割れた道路…その遥か向こうにある打ち捨てられた都市、そこでは彼らの同胞が、
廃墟に潜む敵と、戦端を開いている筈だった。

そして彼の傍らに立つ少女の翠玉の双眸も同じ方向を見つめていた…しかし、それはエリクよりも遥かに先を
見つめているようであった。
0225ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2015/12/16(水) 23:03:57.24ID:r6qqOe1k0
今日はここまでです。
レセップスの艦砲って劇中ではAAに弾かれたり、アグニで纏めて撃墜されてますけど
威力的に馬鹿にならないと思うんですよね
バリアントとかいう列車砲級の化物は論外ですが

感想、アドバイスの方お願いします
0226通常の名無しさんの3倍
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2015/12/17(木) 02:08:10.11ID:G5OYlLJX0
ユーラシア氏乙
続きに期待

後砲弾って自爆可能なのか?
ミサイルは出来ると聞いてるが
0228通常の名無しさんの3倍
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2016/01/03(日) 17:49:46.61ID:awjFo5E80
「モリーゾ」注意

http://peace.2ch.net/test/read.cgi/shar/1449846255/539
539 :通常の名無しさんの3倍[sage]:2016/01/03(日) 07:42:54.67 ID:huWLtO2x0
真田信繁って誰だよ信之と間違えてんじゃねぇの?
架空の武将作ってホルホルすんのやめろや

http://peace.2ch.net/test/read.cgi/shar/1450424730/862
862 :通常の名無しさんの3倍[sage]:2016/01/03(日) 12:55:36.61 ID:huWLtO2x0
やっと明日から仕事といって親戚一家が帰ってくれた
これで心置きなく部屋から出ていけるしお祖母様に年玉ねだれる!
0229ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/01/22(金) 04:33:59.31ID:awh46hNo0
投下開始

連合兵戦記 4章廃墟の宴


怖い、怖いよ…助けて父さん………

砲弾が落下する遠雷の様な音と、大地を揺るがす怪物の足音の如き振動が廃墟を包む中、地下通路の中で、
ユーラシア連邦陸軍第89歩兵大隊所属の女性兵士、ニサ・アブドゥラニエヴァ一等兵は、両腕で自動小銃を胸に抱えて
身体から湧き出る震えを抑えようとしていた。

生まれ故郷でもある、ユーラシア中央部に位置する中央アジア ウズベキスタン州、州都タシュケントで
数ヵ月前まで花屋の仕事に就いていた彼女は、開戦後に他の多くのユーラシア連邦の人間と共に徴兵され、
西ヨーロッパ方面軍の兵士として送り込まれていた。

彼女を含むガラント少尉指揮下の部隊は、先程までいた地下のピザ屋の食糧庫から出ていき、
敵の侵攻予想ルートの付近で待機していた。

彼女以外の兵士も半分近くは、同様に開戦後に兵士になった者達で、不安げな表情をしていた。戦闘は、数度既に経験している。

しかし、ザフトの本格的な大部隊との戦闘は初めてのことだった。


ニサが最初に兵士として従事した任務は、NJ災害の影響で西ヨーロッパの諸都市に近隣地域…遠くは北アフリカから流入した避難民の救援・誘導の任務であった。
ザフト軍の攻撃は、前線や都市だけでなく、道を埋め尽くす避難民にも及んだ。

ニサは、有翼の悪霊を思わせるザフトのモビルスーツ ディンが放った攻撃で、避難民を満載したトラックが破壊され、
周囲にいた人々が巻き込まれるのを目の当たりにしていた。
トラックは焼け焦げ、屑鉄と化して肉とゴムと金属の焼ける臭いが混合した異臭を放ち、
その周囲には、黒焦げになった人体がバラバラになって転がっていた。

更にその外側には巻き込まれた不幸な人々が、炎に巻き込まれ、手足を失ってのた打ち回り、
動かなくなった家族の身体に縋り付いていた…………

その光景は、今もニサの脳裏に焼き付けられ、今ザフトの襲来を待つ彼女は、
3年前に病死した、町の警察官だった父親に助けを求めたくなる心境だった。
0230ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/01/22(金) 04:53:37.56ID:awh46hNo0
「お前ら、怖いか?」不意に先頭に立っていたガラントが言った。

「安心しろ、俺だって怖い!あんな鉄の化け物が隊列組んで突っ込んでくるんだからなぁ……だがな…」
ガラントはここで言葉を切った。
そして振り返り、背後の部下の兵士を見た。

「俺達は、軍人だ。俺は、単に就職の時に有利になる技能や資格が手に入るって
宣伝に乗って入って今ここにいるだけだ。お前たちの中にも似た様な理由や義務を果たせ!とか言われて連れてこられただけの奴が大半だろう。
それでも軍人になったからには、俺達は命令に従わなくちゃならない。そして今の俺達の後ろには、守るべき市民……ひいては、
両親、兄弟、子供、恋人、友人がいるんだ。
おい、三等兵」ガラントは、後ろの方で、震えていたニサを指差した。

「なんでしょう、少尉」怯えていることを咎められるのではないか…そう彼女は覚悟した。だが、その予想は裏切られた。

「お前には、家族はいるか?」

「……家に母と妹がいます。」深呼吸をしてから彼女は答えた。

「なら、怖くなった時そいつらの顔を思い出せ。
お前らも大切な人のことを思い出せ。
ザフトの奴らにお前らの好きにさせはしない!ってことを教えてやれ!!」

「「「「「はい!」」」」」」兵士達は、目の前の上官に敬礼した。


そして彼らは、各々決められた廃墟の中の場所にうずくまり、静かに待った。
敵が自らの持ち場に来るのを…

其処が彼らの狩場となるか、墓場となるかは、彼らの技量………そして神ならざる身には、
把握しえない運の問題であった。
0231ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/01/22(金) 05:09:04.59ID:awh46hNo0
カッセル軽砲小隊によって砲弾が撃ち込まれた市内は、凄惨な状態に陥っていた。
放棄され、荒れ果てていた建築物は、砲弾の直撃を受けて瓦礫の山に変貌するか、
奇怪な邪神像の様な姿に強制的に変換された。

道路には、瓦礫や隕石が激突したクレーターの様な大穴や散弾の炸裂で生じた無数の小穴が穿たれた。
これは、通常車両の通行がもはや不可能なレベルであったが、
モビルスーツとそれなりに不整地での走破性を有する装甲兵員輸送車で
構成されるウーアマン中隊には、余り問題ではなかった。

ジンのパイロットの1人が突入して最初に目撃したのは、
蜂の巣のように穴だらけとなった道路とその周辺に散らばる車の残骸だった。
「・・・」彼の視線の先には、鮮やかな水色に塗られた物体があった。
それは、かつては彼の憧れの一つだったが、今は何の価値もないガラクタであった。

水色の物体…流線型の強化積層プラスチック製の外装がセールスポイントの、
ブルースターと呼ばれていた高級車であったその物体は、緑色のゴミ箱に激突して停止していた。

それは、最新式の対ウィルスプログラムと衛星対応自動運転システムを
インストールした車載コンピュータもあらゆる外部からの通信が大幅に制限される
通信障害の前では無力ということを教えていた。


先程の支援砲撃による建物の崩落による瓦礫で通行不能になっている場所もあった。

「敵は何処にいるかわからん!警戒を怠るなよ!」ジンに乗るパイロットは、
そう言って部下に警戒を促した。

市街地戦では日常生活が営まれていたあらゆる場所が
敵味方の隠れ場所となるのだということを知っていたからである。

突如廃墟の一角で爆炎が起り、装甲車の側面車体に大穴が開いた。
内部に搭載されていた弾薬が誘爆し、装甲車が爆散する。
0232ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/01/22(金) 05:17:09.23ID:awh46hNo0
「敵がいるぞ!7時方向」
ザフト兵の一人が叫ぶ、数名のザフト兵がミサイルの白煙のする方に銃撃を浴びせた。
ザフト兵の反撃の銃火を受け、退避し損ねた連合兵が射殺される。
「ナチュラルの猿が!」手ごたえありと見たザフト兵の一人が、中指を立てて叫ぶ。
直後、迫撃砲弾が着弾し、付近にいた数名のザフト兵の命を刈り取った。

ジンの左肩に砲弾が、着弾する。戦闘車両用と思しきその砲弾は、空しく弾き返された。

ジンが重突撃機銃を廃墟に叩き込み、其処に隠れていた連合兵が吹き飛ばされる。
ビルの屋上から発射されたミサイルが次々とジンに着弾し、内1発が左肩装甲を破損させた。

既にそこかしこで、廃墟内に侵入したザフト兵と地球連合兵が銃撃戦を開始していた。
「死神にお辞儀させてやれ!」ガラント少尉が自動小銃を
通路から突入して来るザフト兵達に向けて乱射した。

部下の兵士もそれに続く、被弾したザフト兵が次々と悲鳴を上げて崩れ落ち、地面を鮮やかな赤に染める。
対するザフト兵も反撃し、銃撃を浴びた連合兵が斃れた。

ザフト兵の一人が、ナイフを右腕に握り、ガラント少尉に飛び掛かった。
「何!」
「隊長!」副官のヒュセイン曹長が拳銃でザフト兵の側頭部を撃ち抜いた。
次の瞬間そのザフト兵の頭部が吹き飛ぶ。
「助かったぞ!」
0233ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/01/22(金) 05:24:51.52ID:awh46hNo0
奇襲を受けたザフト兵の反撃も次第に組織だったものとなって行き、連合兵が先程とは逆に圧倒され始めた。
身体能力では、コーディネイター主体のザフト側の方が優勢であった為、これは当然と言えた。
「ぐぁっ」
「ヤーコフっ!」ニサの隣にいた同僚が頭部を撃ち抜かれて倒れる。
こちらに迫ってくるザフト歩兵の姿を認め、ニサは、
仲間の仇とばかりに自動小銃で弾幕を張る。

「隊長!」部下の一人が指差す。その方向…砲撃によって壁が吹き飛ばされ、外が丸見えになっている辺りには、
ザフト兵と、その後ろの車道い鎮座する装甲車の姿が見えた…グリーン系の色に塗装されたその車両は、
別の友軍部隊に向けて機銃を乱射していた。
撤退しなければ、アレにやられるのは間違いなかった。
「全員撤収!無駄死にするな!」ガラント達が撤収しようとしたその時、
装甲車にミサイルが命中し、オレンジ色の爆発が膨れ上がった。
その装甲車は、操縦席を破壊されて擱座した。

住民の絶えた市街地に憎き敵の骸を積み上げんと、双方が文字通り死力を尽くす。
0234ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/01/22(金) 05:31:21.89ID:awh46hNo0
今日は此処までです。
後まとめWIKIの方には申し訳ないのですが、今回の投下分のタイトル第4章 廃墟の宴は
本来なら前回の投下分でタイトルとして書かれる予定でしたが、ミスで
前回投下する時に書くのを忘れてしまいました。
ですからまとめWIKIに保存される際は、前回の投下分を 第4章 廃墟の宴1としてください
お手数をかけることとなって申し訳ありません
では、感想、アドバイスの方お願いします
0235通常の名無しさんの3倍
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2016/01/22(金) 09:37:29.58ID:yWmkVche0
自動操縦システム搭載の乗用車、夢のテクノロジーがニュートロンジャマーによって失われた例がここにもまた一つ・・・
俺もインターネットがなくなったらと思うと恨み骨髄だし親兄弟を失ったという理由の他にもザフトに憎む例は山ほどありそうなコズミックイラ
0237通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/01/22(金) 22:15:52.41ID:ZRRIXJLA0
視点が敵と味方に移動しすぎて少々分かり辛い嫌いはあるな、
お互いの個性をもう少し出して、赤と白をはっきり分けると
より読みやすくなるかも。
片方に関西弁を使わせるとか(無茶言うなw)

しかし戦争の臨場感、悲惨さや兵士の心理描写はさすがの一言
次回も期待してます。
0238ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2016/02/08(月) 04:05:09.47ID:ZBry4SQQ0
投下開始

「敵は何処にいる…」
ジン1機と兵員輸送車3両で編成されていたある部隊は、突如、横合いから対空機銃弾の豪雨を浴びた。
20mm対空機銃弾は、戦車の放つリニアガンすら弾き返すジンの装甲に火花を散らせただけで終った。

だが、ジンに随伴していた兵員輸送車3両はそうはいかなかった。
兵員輸送車の薄い装甲は、段ボールの様に穴だらけにされた。

操縦席の強化ガラスが砕け散り、運転手の肉体が粉々になる。
バッテリーが撃ち抜かれ、車内に残っていた兵員は、
逃げる暇すら与えられることなく爆発に呑み込まれた。

尤も攻撃を受けた時点で車内にいた兵員は全員機銃弾で引き裂かれていた為、
火葬された様なものであった。

周囲に展開していたザフトの機械化歩兵は、全員が防弾性能の高いボディアーマーを着用していた。
だが、航空機の装甲を貫き、爆発する様に出来ている機銃弾の前では無力だった。

「ぐぁ」
「ぎゃあ」
「足がっ!」
「痛いっ、畜生!」
それは、手足に掠っただけでも致命的な結果を齎した。
人体の破片が飛び散り、むせる様な血と硝煙、鉄の臭いが辺りを支配する。
胴体に被弾した兵士は風船の様に破裂し、肉片と鮮血を撒き散らす。

「俺の腕がぁ!」右腕を失ったあるザフト兵は、地面に落ちたその名残を拾おうとした、
次の瞬間彼は、上半身を吹き飛ばされた。
0239ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/02/08(月) 04:09:43.86ID:ZBry4SQQ0
歩兵部隊を紙屑さながらに引き裂いた機銃弾はジンにも浴びせられる。
だが、リニアガンタンクの主砲すら弾き返すジンの装甲の前では火花を散らせることしかできなかった。

「よくも仲間を!」
眼下で繰り広げられる殺戮劇を見せつけられたジンのパイロットは、
重突撃機銃を銃弾の雨が吐き出される場所に叩き込む。

76mm弾数発を受け、そこに放置されていたスカイデストロイヤー対空自走砲は大破した。

「対空戦車か?!」
スカイデストロイヤーは、穴だらけにされ、黒焦げの残骸になっていたが、
ぼろ屑のようになった防盾で、辛うじて判別できた。

彼は、市内で最初に敵を撃破するという武勲を立てた。
そして同時に彼を援護する筈だった歩兵部隊を喪失していた。少し前に突入し、壊滅したバルク小隊の様に…

「無事か!?」指揮官からの通信が入った。

「中隊長、生き残っているのは私だけであります!」そう返答したジンのパイロットの声は半ば涙声であった。

「ヨセフ後退しろ!近くのカーンの斑と合流するんだ」
次の瞬間、ジンのメインカメラが砕け、正面モニターは、白黒の砂嵐に覆われた。
0240ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2016/02/08(月) 04:15:57.07ID:ZBry4SQQ0
「何!」
直後、周辺の廃墟から地球連合兵が携帯型対戦車ミサイル等の火器で一斉に攻撃を仕掛けた。
流石にNJによる電波障害の下であった為、外れ弾も多く、
命中してもリニアガンをも弾くジンの分厚い装甲に弾き返されるか、
あるいは表面で爆発してダメージを与える程度でジンを撃破するには至らない。

対するジンはメインカメラを破壊されるという、人間でいえば半ば視覚を失った様な状態であったが、
戦車を撃破可能な火力は健在だった。
重突撃機銃を受けた不運な陣地の一つが砕けた。

爆炎が生まれ、同時に人体の部品と瞬間硬化剤で固められていたコンクリート片が盛大に飛び散る。
ジンは、損傷で戦闘能力を半減させられながらも後退を開始した。

いつもならば、機体各部のサブカメラに切り替えて戦闘を継続していたが、
バルク小隊の末路を知っていたこともあり、渋々ながら、上官の命令に従った。

「ちっ、仕留め損ねたか」
狙撃用のポイントの1つであるビルで対物ライフルを構えるアンジェリカは舌打ちした。
先程のジンのメインカメラを破壊した一撃は、彼女によるものであった。

「ん?」その時、ジンの左脚部にミサイルが着弾した。
関節部を狙ったその一撃は、ジンの左脚部を見事に機能不全に追い込んでいた。

片足を鉄屑に変えられたジンは、バランスを崩して隣接する住居を巻き込み、土煙を巻き上げて倒れ込んだ。
0241ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/02/08(月) 04:25:59.14ID:ZBry4SQQ0
その攻撃は、ジンの周囲の廃墟に隠れていたハンスのゴライアスが放った対戦車ミサイルであった。
彼のゴライアスの周囲には、数機部下のゴライアスの姿もあった。

「敵の攻撃!どこからだっ」ジンのパイロットは、予想外の事態に慌てる。
間髪入れず、ゴライアスの放ったミサイルが、ジンの重突撃機銃を破壊した。

しかし彼は、パニックを起こしてコックピットから敵が待ち受ける外界に出るという愚を起すことなく、
上官に連絡を入れた。

「ケヴィン中隊長!こちら5番機行動不能!支援を!敵に包囲されています。」
「くっ!こちら1番機支援要請には、応えられない!上空に信号弾を撃て!
カッセル隊が砲撃支援してくれる!」
同じ頃、別の地区で地球連合軍部隊と交戦していたケヴィンの班は、
支援を送れるような状態ではなかった。

「…畜生が!」ジンのパイロットは、悪態を付きつつ、自機の信号弾発射装置のボタンを押した。
信号弾がジンの胴体から放たれ、空中に黄色い煙が上がる。

「総員!ジンから離れろ!砲撃が来るぞ!」一方、敵の意図を察したハンスがそう叫ぶや否や、
ゴライアスも、歩兵部隊も、廃墟や、地下への入り口に向けて雪崩を打って後退する。

その最中、連絡を受けたカッセル軽砲小隊指揮下のリニア自走榴弾砲とザウートからの砲撃が降り注いだ。

撃ち込まれた砲弾は、徹甲弾ではなく、榴弾、それも空中で炸裂するタイプのもので、
目標近くにいるジンとパイロットにダメージをなるべく与えないようにするための配慮であった。
0242ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2016/02/08(月) 04:30:54.06ID:ZBry4SQQ0
空中で次々と爆発が起こり、降り注いだ破片と爆炎が、下の地面に存在するものを薙ぎ払い、焼き尽くした。
高温の炎が、逃げ遅れた連合兵と、地面にこびり付いたザフト兵の残骸を焼きつくし、爆風が瓦礫を吹き飛ばした。

「ナチュラル共め…これで…」爆風が晴れ、周囲の惨状を眺めていたジンのパイロットの顔には、
凶悪な笑みが浮かんでいた。
自分の命を脅かしていた敵は既に跡形もなく消し飛び、自分は生き残ることができた…彼の心を満足と安堵が包み込もうとした
その直後、その映像を黒い影が遮った。

そこには、倒れ込んだジンの胸部に乗る大西洋連邦製のパワードスーツ ゴライアスの姿が映し出されていた。

「ば、ばけも…」
「止めだ…」
次の瞬間、ハンスのゴライアスは、左手に握りしめた対戦車地雷を、ジンの胸部に置くと、
即座にロケットブースターを併用した跳躍後退を行い、ジンから距離を取る。

ゴライアスがヒビ割れたコンクリートの上に着地すると同時に、対戦車地雷は爆発し、
ジンのコックピットハッチを吹き飛ばした。

続いて、別のゴライアスが、グレネード弾をむき出しの操縦席に叩き込んだ。
少し遅れて、ジンの胴体に穿たれた裂け目からオレンジ色の火柱が上がった。
0243ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2016/02/08(月) 04:45:32.22ID:ZBry4SQQ0
今日はここまでです。
感想、アドバイス等お願いします。

>>235
実は、後の方で説明すると思いますが、種世界では開戦前から自動運転システム使わず
運転手や自分で運転してる人もそれなりにいるって設定です

>>237
敵味方の視点移動については改良していこうと思います
0244通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/02/08(月) 13:04:13.40ID:URF7QZWC0
>>243
投下乙です
自動運転に頼らず有人タクシーが存在する利点はとして
1に「雇用確保」2に「細かい住所設定への対処」3に「緊急時の対処」などがあげられる
1は語る必要はなく
2は機械に頼り切りで疑問を持たずにその場所に行った結果似た名前の高確率犯罪発生地域に行ってしまいご臨終、とか
3は警備会社勤務の人はカーナビに頼らず運転し目的にたどり着けるようにならなければいざ仕事の際に役に立たない
どんなにテクノロジーが進んでも最後に判断するのは人間でなければいけない
自分で運転してる人もそれなりにいるのはリアリティがあると思います

尚、コズミックイラにおいてニュートロンジャマーを撃ち込んだのもまた人の判断の模様
え?コーディネーターは人じゃない?ブルーコスモスの皆さま失礼いたしました
0245ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2016/02/26(金) 19:48:27.70ID:IF+ZaSlo0
「畜生!また装甲車がやられたぞ」
「ラバロ!、ラバロが撃たれた!」
「こちらアンリエッタ歩兵中隊、支援を要請します!」
市内で行動中のザフト歩兵部隊は、地球連合軍の歩兵部隊にモビルスーツと
車両の支援がありながらも苦戦を余儀なくされていた。

いかに訓練を受け、遺伝子操作により、優れた身体能力を持つコーディネイターで構成されているとはいえ、
市内の構造に詳しく、市内に潜伏している地球連合軍の兵士を全滅させるのは容易ではなかった。
地球連合軍がザフトの歩兵を優先して攻撃していることもその一因にあった。

指揮官であるハンスは、ザフトがモビルスーツ偏重の編成であることから、まず歩兵、戦闘車両を優先して攻撃することで、
対モビルスーツ攻撃の成功率を挙げようとしていたのである。
かつて、西暦の頃、戦車が陸戦兵器の王であった頃、歩兵による対戦車戦闘において戦車を援護する
敵歩兵の排除がまず行われたことから、それを対モビルスーツ戦にも応用したのである。

中隊長であるケヴィンの率いる班は、指揮官であるケヴィンのジンと
部下のジンの2機、ザフト軍兵員輸送車3両と歩兵部隊で構成されていた。

廃墟の合間から、対戦車ミサイルが発射され、ケヴィンのジンの胸部にミサイルが着弾する。
装甲車両の装甲を貫く威力を持つその一撃は、ジンの胸部に追加装備された爆発反応装甲が防いだ。

「隊長、敵は、右の廃ビルの3階に!」
「そこか!」友軍の兵員輸送車からの報告を受け、ケヴィンは即座に報復の一撃を放った。

コックピットの彼が、スイッチを押すと同時にジンの右腕に装備された重突撃機銃が発射され、
76o弾が廃ビルに次々と叩きつけられた。
0246ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2016/02/26(金) 19:51:46.63ID:IF+ZaSlo0
轟音を立てて廃ビルは崩壊し、其処に潜伏していた連合兵達を押しつぶした。

兵員輸送車から降りたザフト歩兵が周囲に潜伏する敵を掃討するべく、廃墟に突進する。
窓際や砲撃によって開けられた穴から連合兵が彼らを銃撃する。

ザフト兵達は、即座に走り、廃墟の中や壁へと逃れようとするが、一部が被弾し、絶叫を上げて倒れる。
あるザフト兵は、膝を撃ち抜かれた同僚を助けようと足を止めた。
その直後、重機関銃の銃弾の嵐を浴びて彼は、戦友の隣に崩れ落ちた。

兵員輸送車が車体上部に搭載された20o銃座が即席の火点に銃撃を浴びせた。
次々と火点が制圧され、その隙にザフト兵が、連合兵の立て篭もる廃墟に迫る。


彼らの活躍≠ヘ、敵手たる地球連合軍部隊にも脅威を感じさせた。
「ハンス大尉、14地区の部隊から応援要請、押されてるみたいです。」
「パドリオ!どんな機体か情報は?」
「敵の戦力はジン2機、兵員輸送車3両、歩兵50とのことです。
またジンの1機は、頭頂部アンテナが大型化されているカスタム型です。」

「角のでかいジン…偵察隊が言ってた最初に市内に入ってきた機体か。」
恐らくそいつが指揮官機…ハンスは、敵の機体が通信能力を強化されているという点、
部隊の先頭に立って向かってきたという情報から、その機体が市内のザフト部隊の指揮官機であると推測した。

「わかった。恐らく指揮官が率いている部隊だ。俺の隊が攻撃する。」
「隊長、どうするんで?流石に敵も、馬鹿じゃない。
生半可な待ち伏せや作戦じゃ返り討ちに遭いかねませんよ」
「安心しろ、策はある。各員作戦は、チェーンスモーカー≠ナいく」
「「「「了解」」」」指揮官たるハンスのゴライアスを先頭にゴライアス部隊は、進軍した。
周囲にいた歩兵部隊も、それぞれの戦場に向かうべく、地下への入り口へと向かう。
0247ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2016/02/26(金) 19:56:57.53ID:IF+ZaSlo0
穴だらけの道路…それも無数の瓦礫や車の残骸、オレンジ色の炎を上げる可燃物といった障害物が転がる中、
機械仕掛けの甲冑たちは、人間を遥かに超える速度で進む。

ゴライアスには、別のタイプの地球連合の使用する軍用パワードスーツ グティ 雷電
と同様にローラーダッシュ装置が装備されている。
しかし、この時、障害物と、穴だらけの道路の状態から、ハンス以下ゴライアスの着用者達は、
人工筋肉による通常走行で、移動していたのである。
「もうすぐ、14区だ!作戦通りにいくぞ!」
「「「「了解!」」」」
ゴライアス部隊は、一斉に駆けだした。
人工筋肉の独特の駆動音が着用者の耳に響いた。
まるで人間の心臓の鼓動の様だ…ふとハンスはそんなことを思った。

すぐにその考えを振り捨て、目の前の敵と任務に集中する。
0248ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2016/02/26(金) 20:00:12.21ID:IF+ZaSlo0
「これで最後か?他の味方と合流…」
「ケヴィン中隊長!敵が出てきました!」僚機のジンのパイロットが叫ぶ。
同時に正面モニターに、地球連合側のパワードスーツ ゴライアス数機が映し出される。

その先頭を行くのは、指揮官であるハンスのゴライアスである。
ハンスのゴライアスは、右腕の20mmチェーンガンを連射した。

操縦席を撃ち抜かれ、車内の弾薬に銃撃を浴びた兵員輸送車が爆散した。
「敵の増援か、次から次へと!」
ケヴィンは、ジンの重突撃機銃でゴライアス部隊を迎撃する。
彼の僚機もそれに続く。
即座にゴライアス部隊は、散開し、林立する廃墟の谷間に隠れる。

同時にハンスのゴライアスは信号弾を撃ち上げた。

撃ち上げられた信号弾は上空で爆発する。
「信号弾だと?何のつもりだ?」ケヴィンは怪訝な顔をした。
次の瞬間、無数の砲弾が彼らの元に降り注いだ。
「なに?!」
0249ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/02/26(金) 20:06:06.73ID:IF+ZaSlo0
今日は此処までです。感想、アドバイスの方お願いします。

今月19日、ガンダムSEEDシリーズTV2作品の脚本家であった脚本家の両澤千晶氏が、
病気で亡くなられましたね。
自分は、ガンダムINFO閲覧時にそれを知りました。
此処や色んなガンダム関係のサイトでも色々言われていますが、自分はとりあえず
現在執筆している作品の原作のスタッフであり、自身をガノタへと引き込んだ作品でもあるSEED
の脚本家であった氏に対して、ご冥福をお祈りします。
では
0250通常の名無しさんの3倍
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2016/02/26(金) 20:41:49.08ID:IcAhbmn50
投下乙でした
信号弾に呼応して行われた砲撃…これがハンス隊長が言ってた"チェーンスモーカー"なる策の第一手かな?
続き、楽しみに待ってます

それと>>246の7行目文頭
『兵員輸送車が車体上部に――』とありますが、ここは『が』ではなく『の』ではないでしょうか
0251ガンヲタ☆2次元
垢版 |
2016/02/26(金) 22:55:07.39ID:+E1a5bS+0
249»そうなんですか!?自称ガンヲタの俺がそんなことも知らんとは…!一生の不覚だ…
0252ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/03/10(木) 16:49:45.39ID:bng3wEyi0
投下開始

「ハンス隊長から支援要請です!」
「了解!弾は…白だな」
都市内のゴミ捨て場と化した公園に配置されていた155mm榴弾砲 ロングノーズボブの砲手 
ダン・マクガイヤー少尉は、部下の報告により、上空に撃ち上げられた信号弾を確認していた。

周囲に先程展開していたゴライアス部隊は、都市内に侵入したザフト軍を迎撃する為に出払っていた。

「ファイア!」155mm榴弾砲が火を噴き、砲口から噴出した衝撃波と爆炎が、
周囲のゴミを瞬間的に吹き飛ばし、燃焼させた。
同時にハンスらの付近に展開していた迫撃砲部隊も支援砲撃を開始していた。
彼らは、ハンスの部隊が出撃すると同時に地下通路を利用して、ザフト部隊がいる地点の近くのビルに到着していたのである。
一部は、地下通路に侵入していたザフト軍と交戦し、全滅、後退を余儀なくされた者達もいたが、
多くは、無事に予定の場所に展開していた。

「味方ごと砲撃する気か…?」一瞬ケヴィンと部下達は、地球連合軍が味方の弾着観測班ごと
自分達を集中砲撃で撃滅することを図ったのだと考えた。

だが、その予想とは裏腹に無数の砲弾は、彼らに命中する前に上空で一斉に破裂し、煙幕を噴き出した。

瞬間的にハンスのゴライアス部隊とケヴィンの率いる部隊は、白い煙幕に包まれた。
0253通常の名無しさんの3倍
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2016/03/10(木) 16:52:43.98ID:bng3wEyi0
「糞!なんだこの煙は!?センサーがっ」
ケヴィンは、モニターに映し出される映像だけでなく、レーダーすら使い物にならないことに苛立った。
彼と彼の部下、そして敵部隊を包み込むように展開する牛乳を溶かした様な白い煙、その中に銀色の粉末が煌いていた。

煙幕には、チャフと同じ効果を発揮する微粒子が含まれていたのである。
この視界ゼロの中、ハンスらは、ゴライアスの肩に装備されたライトによる発光信号で連絡を取り合うことで白煙の中でも連携可能であった。
これは、NJ災害以前のレーダー等の電子兵器に頼った戦争が主流とされていた地球軍では、
誰にでも簡単に行えるものではなく、ハンスと部下達の訓練の賜物であったと言える。

「そこだ!」白煙の向こうにいるザフト歩兵目がけ、ゴライアス部隊は攻撃を開始した。
ゴライアスの14.5mm重機関銃が歩兵を薙ぎ払い、グレネード弾が、ジンの脚部に着弾した。

重機関銃弾を浴びたザフト兵の肉体はズタズタに引き裂かれ、飛び散った鮮血が白煙を束の間、
鮮やかな朱に染めた。
「くっ、どこにいる」ケヴィンは、レーダーも目視が信頼できない為、索敵手段を熱センサーに切り替えていたが足元で、
小虫の如く動き回るゴライアス数機の動きを捉えるのは容易ではなかった。
バースト射撃で撃破しようにも、味方の歩兵の生き残りが足元にいる以上それは不可能であった。

ケヴィンの僚機を務める部下のジンの背後に攻撃が命中する。
0254通常の名無しさんの3倍
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2016/03/10(木) 16:56:43.72ID:bng3wEyi0
「後ろにもいるのか!?」包囲されたと考えたケヴィンは、一瞬正面の敵への警戒を薄くしていた。
その隙を突きハンスのゴライアスを敵指揮官のジンの真下まで接近した。

ハンスのゴライアスは、グレネードランチャーをケヴィンのジンの頭部に向けて発射した。
白煙の中で輝くジンのモノアイは、まるで人魂の様に不気味だった。

「アンテナが!やってくれるっ」グレネードを受け、ケヴィンのジンの頭部の大型ブレードアンテナが砕け散った。
それは、指揮官であるケヴィンと離れて突入し、市内で地球連合軍部隊と交戦していた部下達との通信が
困難になることを意味していた。
尤もはるか前に中継役の通信車両の大半が撃破されていたが。

「こいつ!」ケヴィンのジンが重突撃機銃を放つ。
ハンスは、即座にゴライアスを横に跳躍させて回避する。
ハンスの後ろにいたゴライアスが被弾し、爆散する。
「バークっ」煙幕が晴れ、ハンスが、廃墟の影に身を隠したのと同時に、
鉛色の雲が立ち込める上空に赤い星が生まれた。

「信号弾、ザフトのものか?」「信号弾!今度は何処だ?」その信号弾は、彼らと同じく都市内で戦闘しているMS部隊からでなく、
安全なはずの後方に展開していた車両部隊から発射されたものであった。

「中隊長!敵の攻撃です!」生き残っていた装甲車のクルーの報告がコックピットに響いた。

「何!一体何処から!?」ケヴィンは、予期せぬ敵の出現に絶句した。
「やってくれたか!ディエゴ曹長!」対するハンスは笑みを浮かべた。

「敵は姿を消す魔法でも使ったとでもいうのか?」
0255通常の名無しさんの3倍
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2016/03/10(木) 16:58:23.12ID:bng3wEyi0
今日は此処までです。
感想、アドバイスの方お願いします。
0256弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/15(火) 20:42:35.07ID:iM5+Ycsp0
水平線の彼方

プロローグ =待つ女=

 村の外れから歩くこと数分。島の端、岬の突端に立つその彼女は無造作に編んだ髪と
花柄をあしらった薄い生地のスカートを風になぶられるに任せ、ただ海を見つめていた。
「…………はぁ。――何であたいに遠慮する必要があるのさ? 用事、あるんでしょ?」
 不意に彼女が振り返ると、同年配の女性と目が合う。
「此処にいる時くらいあんたの好きにさせてやろうって。……みんなで、決めたんだけど」
 目があったことを後悔する様にその女性は彼女から目をそらす。

 ――ヤレヤレ、あたい抜きであたいの事を決めてもらっちゃ困るじゃないかぃ。
そう言う彼女には、しかし怒りの色など微塵も見られない。
「急ぎの用事って事かい? なら尚のこと話、聞かなきゃいけないやね。……な−に?」
 ぶっきらぼうな喋り方とは対照的に澄んだ涼しげな瞳、やや面長でそれで居て
自然にふくらんだ頬のラインはあくまで彼女が健康体であることを見た者に主張する。
「ザフトの連中が、明後日、この辺の代表会議をやるって……。だから」
「いいよ。そう言う事ならあたいが行くサ。明日、用意があるから気が利く娘(コ)を
見繕ってて。あと、書類仕事が出来んのも一人欲しいね。晴れ着もたまには着なくちゃね」
 ――ロゥカットはあたいが呼ばなくたって来るだろ? 首だけ回して海を振り返る。
べた凪の海は何処までも青く、空との境界である水平線が丸みを帯びているのさえ分かる。

「みんなが心配するなら、ここに来るのは今日を限りだ。どうせ此処にいたってろくな事
考えてやしないしね。あたいも今や代表様だ。うだうだしてたら村ごと路頭に迷っちまう」
「けど……。あんたは」
「――そんで良いのサ」
 区切りなど、この先何年たとうがありはしない。ならばこのメランコリックな風習、
いや、悪癖を断ち切るには良い機会かも知れない。と彼女は思う。
「今日を最後にするサ。だから今だけ、今日だけは放っておいて欲しいんだ。あたいも
ほら、一応女だから……。ねぇ」

 もちろん彼女の目に涙などはない。但しその台詞を絞り出すのにいかばかりの労力が
必要であったのか。彼女の今まで経緯は村中みなの知るところだ。メッセンジャーとして
選ばれた女はその台詞を聞くのが自分で無ければ良かったのに。と本気で思った。
 彼女の心中を思うと涙が浮かんでしまうのを押さえきれない。

「あんたが泣くこたぁないじゃないかぃ。――優しいんだからホントに。……ありがと」
 自分の為に泣いてくれる者が居る一方、本人はとうの昔に涙の流し方なぞ忘れた……。
そう思うと空虚な感じに包まれる。何故女として生まれ、何故に今もって生き続けるのか。
「過去は過去。振り返るのも悪かぁないけど、そんじゃあ、おまんまの食い上げなのサ」
0257弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/15(火) 20:43:37.46ID:iM5+Ycsp0
予告
 宇宙(そら)から戦力補強のため地上へと降ろされたドノヴァンさん。
 でも、辺境の島へ配属された彼は、早々にもめ事に巻き込まれてしまうんです。
 果たしてドノヴァンさんはどうやって切り抜けるのか!

次回、「水平線の彼方」第1話、【着任挨拶】 
あたしのために怪我をするなんて、そんな事しないで下さい!
0258弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/15(火) 20:47:49.97ID:iM5+Ycsp0
今回分以上です、ではまた。


と、言うわけでお久しぶりです。
こんな感じで始めましたが、主人公は今までとは
趣向をがらっと変えてケツあごのゴツいおっさんです。

やったこと無いものでお話しが上手く転がるものなのか
非常に不安ですw
0259ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/03/24(木) 21:48:43.91ID:lxJGMb380
投下開始

この時、ザフト軍に対して逆襲に出たのは、ディエゴ曹長率いるゴライアス2個小隊を主力とする機械化歩兵部隊だった。
彼らは、都市郊外へと繋がる下水道の一つから進軍してきたのであった。

まず陣地構築の際に用いられる瞬間硬化剤と瓦礫でコーティングすることで封鎖し、
ザフト側の歩兵部隊が侵入できない様にした。

そして自分達が利用する際に備え、予め内部に工兵用爆薬をセットし、
通路を開削できる様にしていた。
無論その際の爆発音は、ザフト側のセンサーにも感知された。

だが、近くで戦闘が行われている状況では、機械は感知しても人間の側は、
問題なし、と判断してしまっていた。

「野郎ども!つっこむぞ!!」
ディエゴ曹長は、ゴライアスの右手に保持した20mmチェーンガンを掃射した。

その攻撃は、ザフト軍のトラックの荷台に命中、直後中に搭載されていた弾薬かバッテリーが爆発し、
トラックごと周囲にいたザフト兵を吹き飛ばした。

「敵襲!」
ザフト歩兵部隊も自動小銃で反撃するが、それらの銃弾は、殆どが、
地球連合歩兵部隊を殺傷する前に前衛に立つ機甲兵の着用するゴライアスの装甲に弾き返された。

逆にゴライアスの装備する火器は、20mmチェーンガンや14.5mm重機関銃であり、機甲歩兵や装甲車にもダメージを与えることが可能な火器であった。
満足に反撃することも出来ずザフト歩兵は、鋼鉄の驟雨を受けて引き裂かれていった。
0260ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/03/24(木) 21:51:23.39ID:lxJGMb380
ザフトの車両部隊の周囲にいた歩兵部隊を全滅させたゴライアス6機と連合歩兵部隊は、側面を曝すザフト車両部隊に襲い掛かった。

「敵!どこからっ!」
メイは、突如自身がいる場所が前線となったことをまだ理解しきれていなかった。

「メイ!機銃を撃て!」
車長を務める長身の白人男性、レイモンド・ホワイトの命令が狭い車内に木霊する。
同時に索敵車両の隣の地面にグレネード弾が着弾し、土砂を巻き上げる。

恐怖に体を震わせつつもメイは、索敵車両の車体上部に装備された20mm機銃の遠隔操作用銃座に座った。
モニター上には、周囲に展開するザフト歩兵を蹴散らす、パワードスーツ ゴライアスが表示されていた。

照準をろくに見ずに、彼女はトリガーを引いた。

索敵車両が車体上面の旋回機銃を掃射した。
20mm弾の連打を受けたゴライアスは装着者ごと蜂の巣にされ、肉片と金属片を撒き散らして爆発した。

「やっ、やった!」
次の瞬間別のゴライアスの放ったグレネード弾が索敵車両に命中、車体側面に穴をあけた。

「アルベルティっ 糞宇宙人が!」
ディエゴ曹長は、戦友が砕ける瞬間を見た。


そしてそれは彼の両足がこの大陸の大地を踏みしめて以降、何度も経験したことであった。
0261ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/03/24(木) 22:07:10.90ID:lxJGMb380
地球連合の機甲兵と歩兵部隊の攻撃を受けて、ザフトの装甲車両部隊は、まるで的の
様に撃破されていった。
突然の予期せぬ攻撃にザフト側は、戦力差もあって効果的な反撃が出来ず、付近のザフト
部隊にモビルスーツの支援を要求し、モビルスーツが到着するのを待つことしかできなかったのである。

「曹長!敵が!」
ディエゴ曹長の部下の一人が、指差す。
「ちっ」
指差した方向には、ザフトのトラックがあった。
そして荷台に搭載されたカタパルト、その上には、UAV(無人航空機)が乗せられていた。
黒い鳥の様なUAVの胴体上部に搭載された樽状の物体…ジェットエンジンの後部噴射口が、
青白い炎を吹き上げているのが見えた。

UAVが発進しようとしていた。

それは、制空権を持たないこの都市の地球連合軍にとって憂慮すべき事態だった。
携帯式の対空ミサイルは、なるべくディンやげた履きのモビルスーツ用に温存しておきたかったし、
命中率の問題もあったからである。

「行かせん!」
ゴライアスの20mmチェーンガンがそこに浴びせられた。

UAVは、銃撃が降り注ぐ寸前でカタパルトから発進した…かに見えたが、数発の銃弾が、ジェットエンジンを貫いていた。
推進器を破壊されたUAVは地面に激突し、爆発した。

胴体に搭載されていた燃料と爆弾が炸裂する轟音と共に、弾けとんだ左右の翼がそれぞれベニヤ板の様に回転しながら、吹き飛んだ。
0262ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/03/24(木) 22:09:26.70ID:lxJGMb380
「ジンが接近してきます!」
「よし、ここまでだ!全員撤収!」
5機のゴライアスが、前方に向けてグレネードを一斉に発射した。

グレネードは地面に着弾すると同時に白い煙を撒き散らした。
煙の壁が形成され、ディエゴ以下、地球連合軍部隊の姿を追い隠した。

「貴様らよくも!」怒りに燃えるジンのパイロットは、白い煙の向こうへと重突撃機銃を乱射した。

だが、それらの攻撃は、煙の中の地球連合軍部隊を傷つけることなく、
空しく爆炎を吹き上げただけに終わった。

煙が晴れた後、そこに残されていたのは、燃え盛る装甲車両の残骸と、人形の様に転がる
両軍の兵士…多くがザフト側…の遺体だけだった。

「…」
撃破された車両からはい出た若い女性のザフト兵は、眼の前に飛び込んできた
凄惨な光景とそこからあふれ出る肉やプラスチック、金属が燃える異常な臭いに
絶句し、茫然としていた。
今までも、実戦は何度も経験した。だがそれは、狭い車内のモニターから経験していたことであり、
その全ては、自分達の勝利という結果で終るものであった…そう、これまでは…

彼女を含め、突然の襲撃を生き延びることが出来たザフト兵達は、同じ様な気分になっていた。


連合兵戦記 廃墟の宴 終
0263通常の名無しさんの3倍
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2016/03/24(木) 22:12:06.73ID:lxJGMb380
今日は此処までです。
感想、アドバイスお願いします

>>258
弐国氏乙です
新作ですか、続き楽しみにしています。
0264弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/27(日) 23:59:48.56ID:G7sn46QH0
水平線の彼方

着任挨拶(1/8)

「海と言うのはすごいものだな。この広さときたら……」
 民間の貨客船を改修したと思われるプラントとザフトの旗を掲げた船の甲板の上。
略装服の兵士たちに囲まれながら、詰め襟の襟元をくつろげつつドノヴァンはそう言った。
「隊長は地球(した)は初めてですかい? 海だけはプラントじゃあ物足りねーや」
 ――もっとも俺たちゃこの海の中に潜るのが商売ですがね。略装服の胸元を大きく
開け、したり顔で笑う潮風に焼けたヒゲ面は、彼の配下になる予定の艦長である。
「ちょっと怖いね、この辺だって水深300mとかあるのだろう?」
「マリアナ海溝ならその十倍はありますぜ? クロムウェル隊長。 もっとも、こんだぁ
水圧で船が持たねってなもんで、そこまで潜ったこたぁもちろん無ぇんですけどね」

「しかし、艦長自ら出迎えに来て貰って良い物なのか? そもそも……」
「堅いこたぁ言いっこ無しで。もう一隊が動いてる以上、今は待機で動けねーんですし」
 オペレーションスピットブレイク。まだ攻撃目標さえ通達されないその作戦の為に
ザフトは地上の各前線基地へ戦力を集中させつつあった。その状況からおそらくは
パナマへの総力戦。そして地上軍の増強の為、人材もまた宇宙(そら)から各地へと
配備されつつあった。今海風に吹かれているドノヴァンもその一人である。
 辺境の基地にシャトルが降りるような空港など無い。だから近隣の大きな島から船で
移動する事になっていた。

「隊長用のMSはまだ来てねぇ様ですが、ゾノがウチにも配備になるんで?」
「済まないな、艦長。水中戦はどうにも苦手でね。結局俺の機体はディンになる」
 既に一度実機での演習は済ませた。意外に重力下での空中戦は上手く立ち回れそうだ。
もっとも素養が無ければ下に下ろされたりはしないか、とこれは半ば自嘲気味に思う。
「ゾノはグーンと規格が違うんでさ。船の改修がいらんのはむしろありがてぇ限りで」
 配下はボスゴロフ級が4隻とディンとグーン半々。まともな指揮など執れるのか。
――取りあえず旗艦艦長は協力的で良かった。その部分で胸をなで下ろす彼である。

「一つ気になる事がある。まぁこれは俺の立場で気にしても仕方が無いのだが」
「ウチの連中はみんな気の良いヤツばかりですぜ? 俺も含めてね。……はっははは」
 ――そこは艦長の言を全面的に信じるさ、そうでは無く。そこで彼の声はいささか小さくなる。
「ザフト領ではあっても基地の島は、……住民はナチュラルが主だろう? プラントや
ザフト、いや有り体にコーディネーターに対する対感情はどうだろうと。そう思ってな」
「圧政も隷属もしいちゃいませんがね。――ただし、占領した事実は変わらん、とすれば」
 そこまで言うとさすがに艦長も声のトーンを落とす。
「そう。関係は良くも悪くも普通、ですがね。――面白く思っちゃあいないでしょうな」
0265弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/28(月) 00:02:08.34ID:TpMGeB110
着任挨拶(2/8)

「大丈夫だ、あとは歩いて行けるさ。出迎えご苦労。……では明日の朝、オフィスで」
 港に出迎えに来ていた数人の軍服と敬礼を交わし、船に戻る艦長から宿舎の場所を
聞いたドノヴァンはコーヒーでも飲もうと町を歩いていた。荷物は別便で既に送ってある。
「俺のパンツは昨日のうちに宿舎に着いているんだろうな? 裏返して明日も履く、
なんてのは勘弁して欲しいモンだが」
 もっとも荷物が着いてないとしても着替えや身の回りの物。全て現地調達が可能な
物ばかりだ。それに下着の類なら総務にねじ込めば何とでもなる。無くて困る物など
何も無い。それに大事な物など、そもそも初めから持ってさえ居なかった。
「意外に大きい町なんだな。ランニングだけでも当面退屈しないで済みそ……。ん?」
 偶々周りを見渡した彼の目には、少し入り組んだ路地の奥。ロゥティーンと見える
銀色の髪の少女と、それを路地に押し込めているザフトの略装制服3人分が映る。

「あ、あたしは用があるんです! 解放して下さい、もう時間が!」
「別にどこに行こうとかまいはしねぇよ。ただその前にちょっとだけ、俺らとお茶でも
飲もうぜってそう言う話じゃねぇか」
 ドノヴァンの娘、と言っても年齢的にはおかしくない少女は、しかし口ぶりに反し
あっさりと壁際に追い詰められる。華奢なシルエットは軍人の男3人に対抗するには
パワーが足りなかった。ショートにまとめた髪が流れ、正装と見えるスカートがなびく。
「時間的にはお茶を飛ばした方が効率良いんだけどな? 俺らが紳士的なうちにさぁ」
「ザフト、ひいてはプラントに逆らってこの先。どうやって生きてくつもりだ? 
なぁ、お前一人の話じゃ、もちろんねぇんだぜ? ……俺らと揉めると代表さんが
迷惑する事になる。子供じゃねぇんだ、わかるだろ?」
 その台詞を聞いた少女は大きな目を更に見開いて絶句する。
 感じているのは怒りか絶望か、日に焼けた健康的な小麦色の顔から血の気が失せていく。
「…………っ!」
「理解して貰えたようだな、賢いじゃねぇか……」

「キミらがどこの部隊で何屋をやってる誰なのか、俺は今現状知らんし、他人様の
ロリコン趣味をとやかく言う程、清廉潔白な人間のつもりも無い。……だがな」
 路地の入り口、ドノヴァンが立つ。
「いったい何者のつもりだ。コーディネーターと言う言葉の意味を、ここで今一度
考えてみる事を進めるぞ。ザフトとしての矜持なんかよりよほど重要な気がするが?」
「てめぇ、なんのつもりだ。格好付けてると痛い目見るぜ?」
「あのオヤジ、ザフトの詰め襟? 見たことねぇが基地の事務屋か……?」
 ドノヴァンは口元に笑みを浮かべ、ポケットから手を出すと腰を落とす。
「ヤルってんなら受けて立とう。遺伝子をいじくろうが男は気高く美しいレディのために
戦うものとDNAに書き込まれてる。宿命ってヤツだな。今やおっさんになろうとも、
そこは絶対に曲げられん。三対一か、……ふふん、久々に燃える展開ってとこだな」
0266弐国 ◆lywiuYaB8LyX
垢版 |
2016/03/28(月) 00:05:25.79ID:TpMGeB110
着任挨拶(3/8)

「止めて下さい! あたしのために怪我をするとか、そんなの間違ってますよ!」
「怪我をするつもりは無い。それと間違いかどうか、決めるのはキミじゃ無い。……俺だ。
――さぁ、おっぱじめようぜ、初めは何奴だ? それとも三人、まとめてくるか?」

 夕方やや早く。オープンカフェのテーブルに金髪を短く刈り込んだ私服姿の
ドノヴァンと。その向かいに彼が昼に助けたロゥカットと名乗ったロゥティーンの少女、
その隣に長身で細身、長い黒髪を綺麗に編み込んだ女性の姿があった。
「クロムウェルさんと仰るんですね。……あなたも、この娘も。何も無くて本当に、
良かったです。――ロゥカット、こういう時は改めてキチンとお礼するんだろうがっ!
いつまで子供のつもりだい! ほら、もたもたすんじゃ無いよっ!」
「あ、あの。……ありがとうございました」
「あぁ、良いよ良いよ。かたっ苦しいのは俺ぁ苦手でね。何も無いも何も、あいつら
そのまま居なくなっちまったじゃねーか、だよな? ロゥカット。――俺のことは
ドノヴァンで良い。……えーと、パプリカ=ジェーン・メラサイトさん、で良いのか?
素敵な響きの名前だな、とても似合ってる」
「ありがとうございます。ではドノヴァン、私のこともパプリカと呼んで下さい」

 ドノヴァンが啖呵を切った直後、少女ロゥカットにつきまとっていた三人は
捨て台詞さえ無しにその場から姿を消した。あっけにとられたドノヴァンではあったが、
すぐに制服の胸のバッジが見えたのだろうと思い直す。
 部隊指揮者章。そのバッジが付いている以上、何処かの『隊長』である事だけは
間違い無い。ザフト内で隊長の肩書きは言葉以上に重い。
 建前上階級の無いザフトではあるが、組織である以上序列はある。どこの部隊なのか
お互い知るよしも無いが、自分より序列が上の者に正面切って刃向かうのは、ましてや
『隊長』相手にそれをやるなど、ザフトの人間として頭の良いやり方では無い。
 顔をじっくり覚えられる前に逃げるのはむしろ当然だ。

「……ドノヴァンのおかげで会合に遅れずに済みました。遅れたら来月の食糧の
配給が半分になっちゃうトコでした」 
 ――この娘が居ないとその場での計算が出来なくて。見た目と違って優秀なんですよ。
そう言うとパプリカは、健康的に日に焼けた少女を見つめていかにも楽しそうに
笑みを浮かべ、一方のロゥカットはほおを膨らます。
 見た目。いかにも元気で可愛いティーンエイジャーであるロゥカットと、長い髪を
編み込んで民族衣装を身に纏った、誰が見ても美人のカテゴリに入るだろうパプリカ。
「ちょっとパプリカ! あたしの見た目がどんなだって言いたいわけっ!?」
「明らかに一本足んないだろぅ? あんたはサ。だからいっつも変なのに絡まれンだよ!」
 見目麗しい美女と、一緒に居るだけで眩しくなるような少女。いかにもいかつい
おっさんの自分とテーブルを挟むにはそぐわないな。ドノヴァンはちょっと肩をすくめる。
0267弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/28(月) 00:08:15.40ID:TpMGeB110
着任挨拶(4/8)

 ドノヴァンが族を撃退した後。用事はあるのだがどうしても礼をしたい、という
ロウカットと名乗った少女からこのカフェでの待ち合わせを約束させられ、彼女の
用事の終わった今。こうして3人でコーヒーを啜っている。と言う事だ。
 当然、ザフトと現地人の軋轢のようなものを警戒したドノヴァンは宿舎へと向かって
私服に着替えてきている。当初から一番の心配事である。

「パプリカは村の代表様だったんだな、色々失礼があったら済まない。何しろ俺は
黄道同盟設立以来この歳まで、ずっと宇宙(そら)で実行部隊に居たもんだから、
なんだ、その。礼儀とかそう言うモノとは無縁なもんでな」
「あた……、いえ私も人の道はともかくマナーのようなモノはさっぱりなんです。
漁師の家の娘ですから、その、お作法のようなモノはもう。……私もこの娘も全然で」
「おっさんに遠慮することは無いさ。俺に対して礼を失する様なことがあっても
食糧の配給が減ったりは絶対しない。何故なら、俺が気付かないからだ」
「あははは、ドノヴァンさんホントに気が付かなそう!」
「これっ、ロゥカット! ――本当にごめんなさいね、ドノヴァン」
「はっはっは……。いいさ、ほんとうの事を言われて怒る程狭量じゃ無いつもりだ。
パプリカも普通に喋ってくれて良いんだぜ。気を使うなら別のことに使えよ」
「いえ。でも……」
「せっかく友達になったんだ。――どうせキミらの待遇に口出しできる立場でも無い」
 パプリカの笑顔を視るに付け、むしろこのことを悔しく思うドノヴァンである
「私も、……いやあたいも。がさつって言うならその辺の男衆には負けてないんで、その」
「むしろ村ではパプリカが一番非道いよね!」
「このっ、ションベンたれの分際で、調子ん乗って余計なこと言ってンじゃあないよっ!」
 真っ赤になってロゥカットにくってかかるパプリカ。――見た目と言動のギャップが
イカすなぁ。ただ口に出すと絶対に好意を示す言葉だと思ってもらえない、なので
思うだけ。その程度の常識はドノヴァンも持ち合わせていた。

「……ドノヴァン。隊長さんだから忙しいとは思うんだけど、お願いが。あるんだ」
 別れ際、何かを言いたそうにしていたパプリカがやっと口を開く。
「今度、あたいんトコに遊びに来てくんないかぃ?」
 パプリカに招かれて喜ばない男は居ない。但し、今のドノヴァンは素直に喜べない。
さっきの騒ぎを見ても分かる通り、ザフトと現地人の間には明らかに軋轢がある。
 そして。――当然、俺みたいなおっさんを招くからには何かしら理由もあるだろうな。
ザフト上位のものとパイプを作りたい。彼女が今、相対しているのはザフトの隊長。
それが透けて見えてしまっても、村のために必死で誤魔化そうとしているパプリカ。
 彼女があまりに頭が切れて凜として居るせいで、かえって哀れに思えた。――だから。
「あぁ、そのうちに行ってみようか。その時はガイドを頼むよ」
 とだけ言って二人と別れた。
0268弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/28(月) 00:09:39.85ID:TpMGeB110
着任挨拶(5/8)

 ボズゴロフ級が4隻、MSはグーンが5機、ディンが自らを含め4機。彼が要望した
電子戦仕様ディンの代わりとしてAWACS仕様に改装されたインフェストゥスが3機。
その他哨戒用のヘリやアジャイル、地上スタッフ。クロムウェル隊に係わる兵士は当然
二〇〇人を軽く超える。想像以上に大きな部隊を率いることになったドノヴァンである。
「……具体的な指示が方面軍から通達されない以上、我々は現状で待機となるが
全ての事態に即応出来るよう各員普段の準備を怠らないよう。……それと」
 赴任して1週間。詰め襟の緑の服から黒い略装服に見た目の変わったドノヴァンは
自らが率いることになる部隊全員を集め、演壇上に立ってブリーフィングをしていた。
 ――もっとも、何も話すことなど無いのだけれどな。と小さくため息を吐く。

 目下の行動目標はオペレーションスピットブレイク。但し、作戦詳細はおろか
決行日時も作戦目標さえも通達が無い。極秘作戦にも程があるだろうと思いつつ
極秘で入ってきた情報を考えれば、それも然もありなん。納得せざるを得ないか。
と、彼が思わざるを得ない事情はあった。
 戦況が日々緊迫する中、あの砂漠の虎が部隊ごと墜ちた。との情報が入ってきている。
駐屯地内でも現状上位10人前後しか知らない情報ではあるが、カリスマと一騎当千の
部隊を失ったアフリカ戦線の状況は情報とほぼ時を同じくして、みる間に悪化していた。
 その情報がガセかどうかなど、この辺境の島でさえ疑う余地が無い程に。

 オペレーションスピットブレイクは、地上に展開するほぼ全ての部隊を投入する為、
決行時はアフリカ、アジア戦線の維持を放棄するのだとさえ言われている。その噂が
本当であればザフト地上軍の命運を決するような大作戦である。
 それ故に目標はパナマでは無く連合軍本部では無いか、と言う噂も立っている。確かに
成功すれば軍としての地球連合の指揮系統を分断し、戦況を一気にひっくり返せるだろう。
 但し、いくらMSが優れた兵器だとは言え物量差までをひっくり返すには至らないのだ。
もし仮に、地上に展開するザフト地上部隊全軍を完全に投入出来たとしても戦力差は歴然、
相打ちにさえならず連合軍圧勝。そんな自殺のような作戦はあり得ないだろう。

 いずれにしろ。だからドノヴァンは部下に語るような事の持ち合わせが無い。
「……特に質問のある者が無ければこれで終わるが、パイロットは全員残ってくれ。
――先だって通達した通り、各艦艦長、副長、各科長は1500に第二会議室に集合。以上だ」
「きをーつけぇ! 敬礼!」
 大きな講堂の中、姿勢を正し敬礼をする衣擦れの音だけが、静かに硬く響いた。

「確かに資料は見ているし、シミュレータもだいぶ回したが実際の運用はどうして
居るのか、その辺を直接聞きたいんだよ」
 演壇の近くに用意された長机に集まった十数人。主に話を進めるのは自らも
かつてディンでスピアヘッドを追い回し、今はグーンを駆る現MS隊の統括である。
0269弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/28(月) 00:11:10.43ID:TpMGeB110
着任挨拶(6/8)

「隊長はディンでしょう? 宇宙(うえ)でシグーだったなら操縦系はほぼ同じ、ただ
銃を持った時のモーメントバランスに注意しておけばそれで良いかと。ただショットガン、
M1001は重いしマウントしてる場所の関係上、基本左で持ちますから、そこで
だいたいバランス崩すんですよ。意識しておけば失速前に立て直せますけどね」

 宇宙と違って地上では当然重力がある。重心が移動すれば当然その分重力に引かれ、
バランスが崩れる。コンマ数秒。それで対処出来なければただの落ちていく的になる。
「まぁ釈迦に説法の部類でしょうけど、シェルの有る無しでもガラッと運動性が
変わるんで出来る限り慣れておいた方が良いでしょうね。あと羽を一、二枚飛ばされ
ても基本、空力制御が難しくなるだけってのを覚えとけば慌てないで済む、かな」
「ありがとうジェイムスン、だったな。実機の方でもやっておいた方が良さそうな話だ」
 彼の機体は漸く昨日使用可能になったばかりだ。

「グーンはどうなんだ。未だ格納庫でしか見ていないが」
「明日の午前、予定通り全機演習で回しますんで見て下さい。まぁ資料の通りで
陸(おか)に上がっちまえばMSというよりはデカいトーチカになっちまいますけどね」
「やはり揚陸部隊のジンを上陸させるための支援がメインになる、か……」
「火力はあるんですがねぇ。なにしろアレで格闘戦やらかすのは例のモラシム隊くらいで。
俺も正面から戦車を潰して廻れと言われたら三両も落とせずにやられます。連合に
MSが居ないんでそう言う意味での格闘戦も無いし。だから小回りが効いて揚陸も
水中運用も出来る移動高射砲くらいの考えで良いのでは無いかと」

 モラシム隊長の話は彼も聞いている。砂漠の虎がバクゥの性能を最大限に使い切る
砂漠戦のオーソリティなら、彼はグーンの持ち味を引き出す水陸両用作戦の達人で
事実、正面切っての揚陸作戦さえグーン2個小隊のみで成功させた実績を持っている。
 これに並ぶような運用をしろ、と言う方が指揮官としてはどうかしている。

「逆に揚陸部隊との連携が取れなきゃ的になっちまうと言う事か。相手がいくら
リニアガンタンクだろうとまともに直撃を喰らえば、MSとは言えひとたまりも無いよな」
「その辺は期待してますよ、隊長。正直、ウチには今までキチンとMSの戦術論を
語れる人間が居なかったもんですから。……辺境の部隊とは言え俺達もザフトのため、
ひいてはプラントのため、役に立ちたいんです。役に立てるように指導して下さい!」
 特に誰もなにも言わないのに彼のその言葉に合わせて全員すく、と立ち上がると
姿勢を正して敬礼する。それに対してドノヴァンは、は右手を挙げて片目をつむって
みせるに留まる。
「まぁ全員座れ。――買いかぶりすぎだよジェイ、キミらもだ。だがその期待に
応えられんでは隊長のバッジなんぞ、外した方が良いんだろうな」
「それをサラッと言える人が隊長になってくれるんだから、願ったり叶ったりですよ」
0270弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/28(月) 00:13:27.29ID:TpMGeB110
着任挨拶(7/8)

「ジェイ、おだてたって何も出ないぞ? ――君らの期待は受け取った。重力下での
経験は無いが出来る限りの努力をするから全員協力してくれ。今日はこれで解散とするが」
 そしてパイロットだけを集めた時に気が付いた、隅に座る三人に目を向ける。
「そこの三人、乗機は俺と同じくディンだったな? ――なら、格納庫まで付き合え」
 何故かそこで彼は。――はぁ。ため息を吐く。
「ちょっと、……話がある」

「逆光で俺の顔は見えなかったと思うが、こっちからは完全に顔、見えてたぜ。
俺は一応、黄道同盟を離れりゃ本職はホテルマンだ。人の顔を覚えるのは得意でね」
 彼ら四人の他誰も居ない格納庫。巨大なイカを思わせるグーンとエアロシェルを
降ろして騎士のように直立するディンの他人影は無い。メカニック達も今は打ち合わせ
の最中のはずだ。ドノヴァンはそれを確認した上であえてここに彼ら三人を連れてきた。

「なんの話しか、なんてとぼけた答えは要らねぇぞ。俺の声は覚えているだろうし、
部隊指揮者章は見えたはずだ。先週、現地の少女を強引にナンパしようとしていたな?」
「隊長はあのときの……」
「俺達は、しかし……」
「別に女性に興味を持つなとは言わないし、交流も大いに結構。ザフトが掌握して居る
以上MPに目を付けられない程度であれば、何をしたってかまいはしないのだろうが」
 あえてドノヴァンは距離を取って立つ三人に近寄る。
「相手の都合も多少は考えてやれ。コーディネーター(調整者)だろう?」
「イヤ、でも」

「彼女と少し話をして、わかった事実だけ教えてやるからそのまま黙って聞け。先ず
第一に、彼女は第二世代のコーディネーターだ」
 ……三人全員が息をのむ。
「そもそもこの島自体がそうだったようだが、コーディネーターに対する差別があまり
ない地域だったようでな。それに長く中立地帯だった関係でハーフコーディも多い。
その中でも、彼女は村長の懐刀として子供の頃から代表者会議に同席するのが常だった」
 ――もっとも戦争さえ無ければ。ザフトにおいては存在しないはずの職業軍人。自分は
まさにそうなのだと思うとこの台詞は吐きづらい。その戦争を飯のタネにする彼である。
「戦争さえ無ければプラントへ留学する予定だったと聞いた。……こないだの続きをここ
でやっても良いが、彼女に手を出さなかったことに免じて俺からぶん殴ったりはしないでおく」

 地球上でのコーディネーターは基本的に日常では抑圧されて生きている。だから
ナチュラルに対しては何をしても良い。と言う暴論に達するわけだが、その根拠が
崩れてしまった三人は既に顔色を無くしている。
「そしてもう一つ、これは俺が議事録を見て知ったことだが彼女が出席しなかった場合」
0271弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/28(月) 00:15:37.26ID:TpMGeB110
着任挨拶(8/8)

「彼の村の食糧配給は今週分は無しになった公算が強い。彼女、ロゥカットが未就学児と
高齢者の人数、漁の上がり、備蓄食糧の関係性を即座に計算して抗議していなければ、な」
 ――ナチュラルもコーディネーターも関係ない。お前らは、我らザフトが掌握する
土地で民間人を85人。間接的にだが、殺そうとした。ドノヴァンは姿勢を崩して
ポケットに手を突っ込む。
「おっと、呼び出しの本筋を忘れるとこだったな。……俺を恨むならそれで良い。
おんなじ空の上だ、実弾演習でいくらでも背中を打つ機会もあるだろう。だが例の
スピットブレイク。こいつがコケりゃプラント、いやコーディネーターの未来は。無い」
 三人に背を向けると出口へと向かう。
「だから、そこ以外ならいつでも撃て。撃墜数25のエース様だ、堕とせるってんなら
堕としてみせろ。演習で無様に部下の誤射を喰らって撃墜。中々笑えるじゃねぇか」
「それでは逆恨みだ! だいたい我々がそんな安い理由でフレンドリファイヤなど……」
「逆恨みって言葉はな、間違ってると俺は思うぜ。他の人間がどう言おうが恨み自体は
成立してんだ。逆恨みなんて言葉は無ぇ、みんな誰かに死ぬ程恨まれて生きてんだよ。
お前らもロゥカットには殺しても飽き足らないくらいに恨まれてる、……かもな」
 ドノヴァンは背中越しに手を挙げると、それ以上はなにも言わずに格納庫を出ていった。

「これだけ規模のでかい部隊の隊長サマってのは、何処もこんなに忙しいもんなのか?」
 海沿いを走るザフトのマークが付いたジープ。その助手席に座るドノヴァンに
事務局の腕章を付けた若い運転手が答える。
「打ち合わせと会議だけでも一日3回以上、まぁ普通だとは思います。思いますが……」
「はは……。俺がそこまでマジめだとは思っていなかった。ってか?」
「い、いえ。僕はそんな事は決して……!」
 俺だってただのMS乗りの方が良かったよ。……と、これはしかし口には出さない。

「その、意外と言えば。現地の人間との交流に結構な時間を割いていらっしゃるのが……」
「何処に行こうと帰るところは今んトコここだからな。帰ってきて石を投げられるよりか、
嘘でもお帰ンなさいって言ってもらった方が良いさ。島の娘さんは綺麗な子ばかりだしな」
 ――おっさんはどうせ見るだけなんだが、それにしたって嫌われちまったら見ることも
ままなんねぇだろ。軽口を叩きながら海岸線を見やると少女が波打ち際に立っていた。
「ストップだ、止めてくれ。――どうせ駐屯地について今日は上がりだ。少々早いが
今日はこれで終わりにするぜ。30分早退、司令に伝えといてくれ」
「ちょっと待って下さい、隊長! どちらへ!?」
 既に車を飛び降りたドノヴァンは海岸へと向かって歩き出す。
「おっさんってぇのは娘くらいの可愛い子を見かけたら、お話ししたくなるもんなのさ。
……キミもおっさんになったらわかる。――車の回送、返却伝票と伝言、頼んだぜ?」
「あぁ、司令と装備室に怒られるの僕じゃ無いですか! 聞いてるんですか隊長!」
 ――あの人はこの程度で怒りゃしねぇさ。言いながらドノヴァンは海岸へと向かった。
0272弐国 ◆lywiuYaB8LyX
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2016/03/28(月) 00:16:41.63ID:TpMGeB110
予告
 あたしの村に、わざわざ制服のまま遊びに来てくれたあたしの大恩人ドノヴァンさん。
 さすがあたしの憧れドノヴァンさん、わかってるよね!
 お友達にザフトの黒服が居るってみんなわかれば、パプリカ村長も安泰ですよっ!

次回、「水平線の彼方」第2話、【状況把握】 
あれ? 失礼な。あたし、こう見えてお料理は大得意ですよ!?
0273弐国 ◆lywiuYaB8LyX
垢版 |
2016/03/28(月) 00:25:34.46ID:TpMGeB110
今回分以上です、ではまた。


今回は趣向を変えて妄想OVAでは無くて
イメージとしてはプラモやグッズの妄想インストみたいな感じです。
【海兵隊仕様ディン:主なパイロットはドノヴァン・クロムウェル、他】
のパイロットの説明書き。みたいなのをまとめて小冊子にした感じですね。

危うくMSが出てこないとこでした。取りあえず今回はセーフ。
流れ的に次回もかなり危うい……。

>>263
ありがとうございます。
むしろこちらの方こそ、自分に人間ドラマ的な物がかけるのか?
みたいなモチベーションを頂いておりますです。
0274通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/04/03(日) 17:27:25.80ID:No/2kAPn0
ちょっと感想と批評めいたことを書いてみようかと思います
なにぶん素人なので職人諸氏はただの保守だと思って気にしないで下さい

時期は違えど二氏とも地上に戸惑うザフト兵を書いてんだね
そしてなんだか両方とも台詞回しが洋画の字幕版みたいw

>>ユーラシア兵氏
投下乙です

ザフト優勢ではあっても圧倒は出来ない、そういう感じな流れなんだな
MS戦記物にありがちな「MSより歩兵様の方がつえーぜ!hahaha!」的な表現を押さえているのが好印象
むしろキチンとMSとの交戦を避けようとしてるのが良い
MS=最強兵器、で無いと世界観が壊れてしまう気がするので

あと、素人ながら思ったことちょっとだけ
三人称の神視点である。と言うのはわかった上で、視点をもう少し絞った方が良いと思う
戦闘のバタバタ感は出るけども、一方感情移入する相手が見つからない感じ

>>弐国氏
投下乙です

弐国氏なのに美少女が出てこないなんて・・・
MSも盗まれないし、巻き込まれるのも普通のケンカ
プラモのインストって言うのはわかったようなわかんないようなww
いずれロウカットが活躍してくれるのを期待w
でもきっとヒロインはこの流れならパプリカさん・・・

無理してMS出さなくても、人物描写をじっくりやっても良いと思う
モブでも入れる! と言う心意気は評価されるべきw
0277通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/04/05(火) 18:43:50.68ID:UTG2uGR90
>>276
新スレ乙です。
早速SS投下しておきました。
0278弐国 ◆lywiuYaB8LyX
垢版 |
2016/04/07(木) 20:15:14.03ID:SjelvcUn0
>>276
新スレ建て乙です。
すいません、自分の
環境ではまだ大丈夫な数字だったもので……。

>>274
MSは意地でも何処かに出しますw
但し次回も多分背景ですけどww
0279通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/04/08(金) 09:23:39.53ID:ivu7cJtl0
ユーラシア兵氏の作品中に
強化プラスチックの車が出てたけど実現性ってどれだけ有るの?
0280通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/04/08(金) 18:08:21.57ID:loYWY7Df0
ガンダムという作品に
ガンダリウムという装甲が出てたけど実現性ってどれだけ有るの?

(SF作品の架空テクノロジーに実現性を問う滑稽を理解してますのでツッコミ不要です)
0281通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/04/08(金) 18:51:02.86ID:KTOm9s/00
そもガンダリウム合金はルナチタニウム合金がガンダムに使われたことによって付けられた名前
チタン系の合金なので現実的には個別の名前が与えられることは滅多に無い
合金化する時に用いられた物質の名前を無機化合物命名法に則って付けられるだけ
所謂俗称としてなら付けられるけどそれも滅多にない

あとはジャポニウムで一時期盛り上がったけどあれは新しい元素を見つけたから
誰かが115番目の元素を見つけた時にガンダリウムと名付ければガンダリウムになるけどこの辺の元素は存在してられる時間が1秒以下なので装甲には使えんわな
0282通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/04/08(金) 20:06:23.14ID:vTcxx4L00
>>279
強化プラスチックは現代でも「FRP」という名で実在する。
つーか結構古いスポーツカーでこのFRPボディが使われてるのあるよ。
アメリカのシボレーコルベットC3が有名。
0283通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/04/08(金) 21:02:58.93ID:KTOm9s/00
ボケがスルーされるのは辛いぜ
すぐに書かずに飯作って風呂洗ってた俺が悪いけど
FRPは>>282が書いてくれた通りふっつうに車に使われてる
最たるものはF1マシンはフレームに至るまでFRPが使われている

金属並に強靭で金属より軽いのに成形は簡単で金属溶接と違って熟練した技術も必要としないと夢の様な素材だった
冷戦当時の各国軍とバブルに沸く各自動車メーカーが目をつけて60年代末から急速に発展しだした
70年代の所謂スポーツカーは世界中どこのメーカーでもFRPを使ってる
80年代になると普通車でもバンパーやエンジンの吸気系といった熱が来なくて強度が必要だけど軽くしたいパーツの殆どがRPPになっていく
また金属と違って加工技術不足によるデザインの制約が殆ど無く最終的にボディ全体をFRPにしたかったメーカーやデザイナーも結構居た

しかしながらFRP製のパーツが日光に弱く10年も経たずに脆くなるというのが分かり始めて殆どのメーカーが手を引いた
他にもFRPは再利用不可な上に環境負荷が高くて廃止の方向に向かってる

前者は今はまぁまぁ解決してるし後者を解決できれば使うメーカーは現れると思う
0284通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/04/09(土) 15:52:11.87ID:sr0CBJiw0
>>283
後SF作品だと高い城の男って作品で大戦に勝利したナチスの車にプラスチック製の車
があるって描写があったよ


ユーラシア氏
投稿乙です。
視点がコロコロ変わるのは、分かりにくいけど、その視点単体は楽しめるんで
其処がいいなって思う
ザフト側と地球連合側、双方の視点の違いっていうのも楽しめる
0286通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/05(木) 19:47:14.57ID:bw8Fv8xg0
FRPといっても、心材によってピンキリなんよねw
一般にFRPと呼ばれるのがガラス繊維を心材にしたものだけど、
下はボール紙(有名なのがトラバント)から、上はカーボンやボロン繊維(釣竿やゴルフクラブのシャフト)まで

これが和紙+糊になると、それこそ張子の虎だw
0287通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/05(木) 23:42:33.18ID:ZlST9UBY0
>>285
一生荒らしまくりそう
0289新人スレ住人 ◆tOSpv3Q.fqF6
垢版 |
2016/05/06(金) 01:18:25.86ID:YNHv4PJD0
474kbに達したとの報告があったので立てましたが、
自分のPCで見るとまだ空きがあるようです。
環境によって容量が違って見えるのかはわかりません。

とりあえずですが、どちらに投下されても編集上は問題ありません。
ただし新スレに既に続編を投下された職人さんは、スレ保守の必要と掲載順序の都合上
新スレに続きを掲載されたほうがよいかと思われます。

職人の皆さん、作品の掲載が大幅に遅れており申し訳ありません。
今月半ばくらいには進めたいと考えております。
0291通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/20(金) 21:32:30.99ID:+J6bLt470
埋まりそうにねえなここ
0293通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/22(日) 20:53:11.60ID:TF9Mmqav0
>>288
自分には483KBに見えるんだが…
0296通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/22(日) 21:28:50.46ID:Ivj4OH0W0
>>295
他のブラウザ入れてないし2chの仕様にも詳しくないのでどこに問題があるかは分からない
Chrome、火狐、その他専ブラでの見え方が分かれば原因の位置は特定できそうだが
0297通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/22(日) 21:32:58.25ID:TF9Mmqav0
>>296
マジか
これからは複数のスレ民がKBチェックする必要があるな
0298新人スレ住人 ◆tOSpv3Q.fqF6
垢版 |
2016/05/23(月) 08:39:34.64ID:CRqXxCuY0
33ページ目>>100

実際IPを出そうがワッチョイを導入しようが、その場所での荒らし行為がなくなっているわけではありません。
(と言ってワッチョイ導入を反対するわけでもありません。即時自演防止の効果は多少あると考えます)

このスレに関して言えば、文章を見れば明らかなので、SSを投下してくださる職人さんに
IPを出していただいたところで、荒らしは従来通りIPを出さずに荒らし行為を行えばいいだけのことなので
(スレの基本ルールすら守れない荒らしが、決めたところでIPを出してレスをするとも思えません)
職人さんにIPを出して頂く意義は正直見出せません。

しかしながら荒らし本人がIPを晒されるのを嫌うというご意見はごもっともなので、
交流掲示板などで荒らし行為が行われた際には、当該IPを全て公開します。
(交流掲示板は基本、IPの一部を投稿時に公開する仕様になっています)

以後の議論はこのスレでお願いします。
0299通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/23(月) 15:22:26.64ID:+XIpEs570
ガンダムまとめ速報の管理人に記事を頼めというID:u1AIAo4z0や
荒らしSSを褒めたたえるID:kVrphaE/0が異様なまでに導入に反対しているので導入賛成
0300通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/23(月) 16:09:27.77ID:gPfHe9K30
>>298
シベリア移転の時や一時期の酷かった時期に関しては荒らし以上に荒らしに構う人達も
厄介だったと思う
荒らしへの対策だけでなく、荒らしを無視する、構わないって姿勢が重要だと思う
レス見る限り、何かしら反応してくることを荒らしは求めているみたいだから、
構うのは餌をやるようなものだよ
0301通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/24(火) 00:41:50.55ID:gCkKKZsb0
埋め
ここまでくれば荒しに構うフリをしたホンモノの荒しだろう
さもなくばモノホンの狂人だよ
0303通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/28(土) 07:58:00.84ID:CAFOzcyb0
>>302
ワッチョイなんかガン無視でIP出しでも荒らしが常駐してる板、スレなんかいくつでもあるよ
連投、コピペ何でもあり。全然前と変わってない
むしろスリップ導入でその辺はあまり意味が無いのはよくわかった

ワッチョイが一週間くらい有効だからNGネームで消せる利点はあるけどね
なんで彼らはコピペを連投しても目玉が出ないんだろ
0305通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/28(土) 08:37:55.97ID:CAFOzcyb0
>>304
あぁ、それで回避できたねそう言えば
複数持っていそうだし、ならば運営にとっては上客
何もしてくれないわけだ

ワッチョイは良いけれどSS系スレについてはIP出しは反対
基本関係ないけれど、人によっては非常に不都合な場合もあるだろうし
職人さん各位を遠ざけることにしかならない
0306通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/28(土) 15:40:34.90ID:OUDsTBq80
>>305
ID:y30/icyc0君のお仲間か本人かな?
0307p374208-ipngn12701marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp
垢版 |
2016/05/28(土) 16:18:01.92ID:CAFOzcyb0
>>306
新シャアに関しては今日はここにしか書いてない
IPでも何でも掘れば良い

荒らしの仲間だと言われるのは心外だね
スリップもIPもあぼーんの役にしか立たない
と言いたかっただけなんだけど

もし俺をそう思うならレスアンカ−付けてる事自体
荒らしに餌を与える行為でしょうよ

そうやって最悪と他の板を行き来して荒らし本人と相乗効果でスレが潰れる
特に新シャアではネタスレや考察スレがそうやって何本も潰れた

ヲチ先のスレは書き込まないでヲチを徹底
ヲチャーの基本もわからんヤツがノコノコ出てくるな
キミの書き込み自体がこの場では無意味であり荒らしそのものなんだよ
0311通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/28(土) 18:20:42.47ID:pzLMJBDe0
埋め
今の本スレが雑談に使われレスが消費されるこの悲しさよ
同じ消費ならSSの批評に使われてほしいもの
0312通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/05/29(日) 13:38:49.22ID:61mJ4J1n0
ワッチョイは賛成します、IPはスレ立て時の状況によっては賛成
職人さん方はどうですか?

>>309
気持ちはわかるけどヤリ過ぎです

>>311
なんで周期的に変なの湧くんだろうね

アンカー付けてからかう人達まで含めて
双方ともここのSSなんか1ミリも関係ないのに
人が楽しく遊んでるのは見るだけで許せないのかな
0313通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/02(木) 22:48:49.40ID:18gaSUyq0
本日湧いた変なの
ID:AaaKc2zd0
ID:hn7aKjZo0
ID:lK76Ktei0
ID:0wq0kL4c0
ID:r7C2j+In0
ID:tXHzT1vg0
今の時点で七名
荒しに構う奴は荒し以上の荒し
ハッキリわかんだね
0314通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/03(金) 03:48:44.98ID:v3GNO3Xv0
やめなされ…やめなされ…
こちらにも矛先が向くような煽りはやめなされ
0315通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/03(金) 23:08:45.90ID:nRJITyPJ0
>>313
吊し上げみたいなことをしなきゃ気がすまないんだったら、しばらくROMって頭冷やしてくれよ頼むから。
冗談抜きでそんなことされても君の溜飲が下がるだけで、そのほかの人はだれも得しないから。
0317通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/11(土) 09:10:30.22ID:5cgCgh4K0
全て最悪板のバカ共が悪い
0320通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/15(水) 06:39:29.55ID:10My+5wS0
俺の名前はイオリ・タケシ
妻と子を持つ普通のお父さん
職業は模型屋店主だが、今はガンプラバトルの審判として各地を飛び回っている
そんな俺は過去の第二回ガンプラバトル世界大会で準優勝を果たしてるんだぜ
そして俺の息子イオリ・セイも、今やガンプラバトル世界大会の決勝トーナメントにまで勝ち登った
こうなりゃ俺が果たせなかった優勝を、息子に託そう
息子の応援と仕事にやってた俺は愛しのリンちゃんとの再開を果たす
しかしリンちゃんときたら俺を放置してセイの同級生と、アイラという少女と寝るという
未だ若々しく、年齢不詳のリンちゃんとの再開に、俺のメガバズーカランチャーのチャージがどんどん溜まっていく
が…
「ああ〜リンちゃぁん!」
俺はしょうがなくセイとレイジ君が泊まってる部屋に、泊まっている
セイは疲れているのか、既に熟睡
レイジ君はお腹がすいたと夜の街に出かけた
「もぉレイジぃ……またシールド壊してくれて、僕が何度シールドなおしたことか…すやすや…」
セイの寝言、そして寝顔…。
セイのやつ、ほんとにリンちゃんに似てきたな。
若いころのリンちゃんにそっくりだ……。ゴクリ……。
って、イカンイカン、セイは俺の子供で、男の子なんだ。
何欲情してんだ?俺……落ち着け……
「俺……父さんみたいなファイターに……」
セイ……。
「くそ…キスくらい、いいよな?」
目を閉じ、セイの柔らかい唇に、俺の唇が重なった。
「ふぅ…」
長い沈黙を終え、目を開けると……まるで怪獣でも見たかのような顔で、俺を見つめるセイの顔があった
0321通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/15(水) 06:39:47.39ID:10My+5wS0
「ななななななな何やってるんだよ父さん!」
「あ…いやこれはその…」
「いくら母さんとイチャイチャできないからって僕となんて!駄目だよ!」
あー最悪だ……
だが、だとしても!
「セイ、これは俺の、、、せめてもの罪滅ぼしなんだ」
「うるさい!最悪だよこんなの!ずっと尊敬していたのに…こんな……」
セイの目から涙が溢れる
「聞いてくれセイ」
「聞きたくないよ!出てってよもう」
涙が溢れ、目を手でこするセイ
俺は…俺は…
「すまないセイ」
「もういいよ早く出てって!」
「聞くんだ!」
俺の出せる限界の声量で叫ぶと、ジタバタするセイは静止した。
「俺は今まで世界を飛び回り…、お前のことはリンちゃんに任せっきりで、何もしてやれなかった
 父親らしいことも、愛でることも、叱ることも、一緒に笑い合うことも…
 だからこれは、申し訳ないと感じた俺の愛情表現、そしてこれまでの罪滅ぼしなんだ」
「父さん……?」
「セイ……わかってくれるか?」
「僕の方こそごめん。でも、やる前に言ってよね」
「それは悪かった」
「父さん、大好きだ……」
目を背け、照れながら気持ちをぶつけてくるセイ
「俺も、好きだよ」
その日、俺とセイは、一つになった
もう離さない、誰にも渡さない。
セイは、俺だけのものだ

0322通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/15(水) 10:30:36.35ID:lPWSYcrt0
345 名前:通常の名無しさんの3倍 :2016/06/15(水) 06:37:35.48 ID:10My+5wS0
まとめ管理人のSS読んだがすっげぇガンプラやガンダムに詳しいな
こっちをBFシリーズの設定任せたほうがよさげなくらいにすごい

糞スレに自画自賛乙
0323通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/15(水) 10:42:34.25ID:HAIJdQbP0
荒らしに使った駄文はSSとは呼ばないんだよ
マトモに評価されたいならマトモな事をやれ
やれないなら巣に帰れ
0324通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/16(木) 19:33:44.43ID:9YVdAepc0
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とノ    彡⌒ミ.  |│\____\
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   (⌒::::::::::;;;;;:-=*=┃-=*=)←https://twitter.com/marikun444
   };::::::::::::;:.::(;;*:.*::;):.:)←孤独死するだけの虚しい人生なのに他人に迷惑を掛け続ける最低最悪の生き物
   (~;;;;('';:;;;:∴;;)3(;;:∴::)<あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
   \;;;;;ヽ:::::::::;;;;;;;;;;;;;;;:::;;ノ←いい歳して親のスネかじりの社会不適合者
    \;;;;;ヽ;;::;;,;;,,,.;;::;,;ノー、←都市伝説レベルの屑
  r―‐~こここここここ)' 々i←結婚どころか女も出来たことない生まれついての負け犬
  ! メ   ̄`. ´  ̄`    .ノ←親からも粗大ゴミ扱いのうんこ製造機
  .'- .ィ 吹上食糞豚 「 ,←他人に迷惑を掛け続ける最低最悪の生き物
  .   | :。::   メ :。:: ! i←誰にも共感されないし必要ともされてない価値の無いリアルでもネットでも負け犬の社会のゴミ未満の存在
    ノ #    メ   ヽ、←無能だから働けない発達障害者
   , '   ヽ :::;;;;;;:::: , '   ヽ←触れる全てのものを不幸にする全ての元凶
(( .{ _.ト、   Y;;;;;Y  # ,イ .} ))
   '、 .>ト.   ':;*;;. '  イノ ノ
   ' .,,_ ___ ノ-^-`、 ___.... - '
        ,l゙:.:.'i ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!
    __. ,-'''"::;::;;:‘----,,,,、ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!
   ,i´ :.:o。;゚;ё;゚;.:.:.:.:.:。゚。.:.`'.<ジョビジョバー パパパヤー
   ゙''¬---――''''''゙゙゙''―-┘ ttp://i.imgur.com/b65WwrE.jpg(グロ注意)
( ^ω^)テメエが潰れとけ(小並感)
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0325通常の名無しさんの3倍
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2016/06/16(木) 21:12:06.44ID:9YVdAepc0
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  r―‐~こここここここ)' 々i←結婚どころか女も出来たことない生まれついての負け犬
  ! メ   ̄`. ´  ̄`    .ノ←親からも粗大ゴミ扱いのうんこ製造機
  .'- .ィ 吹上食糞豚 「 ,←他人に迷惑を掛け続ける最低最悪の生き物
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    ノ #    メ   ヽ、←無能だから働けない発達障害者
   , '   ヽ :::;;;;;;:::: , '   ヽ←触れる全てのものを不幸にする全ての元凶
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   ゙''¬---――''''''゙゙゙''―-┘ ttp://i.imgur.com/b65WwrE.jpg(グロ注意)
( ^ω^)テメエが潰れとけ(小並感)
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0326通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/17(金) 02:49:50.17ID:l+M+KHXI0
もうだめだぁ・・・おしまいだぁ
新人SSスレは壊滅じゃぁ
0327通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/17(金) 15:03:43.53ID:8amtJErc0
>>326
荒らしを無視できない人がいまだにいるのはどうしてなのか?
24スレの頃にも同じ様な事になってたよ
0328通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/17(金) 15:12:12.13ID:MfM88Xto0
何だかな…
派手に暴れてる特定の奴がいるらしくて
そいつを追う形で荒らしに構う奴が来るみたい
バカバカしいからかまっちゃダメよ
0330通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/17(金) 15:37:10.42ID:y1FbcvJm0
>>328
触らないで構ってる連中もあぼーんリストに次々追加していくしかない
実は使う言葉はどっちも決まってるから、構ってるヤツ含めてNGワードでだいたい綺麗に消える

>>329
他のスレや板を見ててもほぼ間違いなくやるよ
複数回線でIDコロコロ、ワッチョイクルクルは普通。浪人で素性全消し、コピペ連投も当たり前
シビアな板では浪人のアカウント焼かれたりするんだけど、新規に購入してまた復活
0332通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/17(金) 16:59:47.28ID:8amtJErc0
>>331
何がそこまでやらせるんだろう?
荒らしはスルーすればその内消えるって考えてるんで理解できない
0333通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/17(金) 18:10:22.10ID:l+M+KHXI0
VSスレや潰すスレがIP表示になって荒らせなくなった奴がここで暴れているような
0334通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/17(金) 18:23:39.54ID:y1FbcvJm0
ちょっと気がひける気もするが
新スレもあるしこっちは雑談でも良いか

>>332
みんなが自分の知らないルールで楽しく遊んでるのが許せない、って言う感じだろうか
それをかまいに来る連中はどうせひとんチの庭だから荒れようが知ったこっちゃ無い。みたいな
新シャアでも浪人アカを焼けとまでは言わないが、何かしら対処をして欲しいところ
運営が変わっても懲罰鯖扱いは一切変わりなし

>>333
ここに限らず、色んな板でワッチョイ導入時に自演がバレてる連中が居たのは事実だな
0335通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/17(金) 19:12:58.99ID:l+M+KHXI0
>>334
まあとっとと使いきっちまった方がいいでしょうな

しかしいまだに懲罰板とは種放送時のシャア専用板分割事件はまだ終わってないのか…
0336通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/17(金) 21:22:19.50ID:MfM88Xto0
まだ終わってないんじゃなくて
終わったのを引っ張り出してきてかき乱そうとしてる奴がいる
そいつがiPとかで自演バレとかしてる
0337通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/18(土) 02:29:50.94ID:rXO9V0jw0
そういや33ページ目の82が何故か名前挙げたガンダムまとめ速報の管理人がシャア板分割事件の経緯を捏造してたな
0338通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/18(土) 19:00:45.25ID:EibGbJhx0
>>335
使い切るにはまだ、だいぶ容量があるんだけどね
現状俺の環境から見ると361KB

過去スレまで含めた感想大会でもやろうか
住人が何人残って居るものやら見当も付かないが
0342通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/22(水) 20:33:04.88ID:645LU5XE0
>>341
気に入ってるならなんでも良いんだろうと思うよ



なら俺は超初期1〜5ページ目あたりから個人的なお気に入りを拾っていこうか
当時はオリジナルはほぼ無くて本編改変ものが主だったね
まとめはないけど、浪人がなくて過去ログがロダから落とせるから興味があれば

むしろ今過去ログを読み返すと投下前後のやりとりで
スレが 『新人スレ』 として上手く機能しているのが見える

SEED†
本編全面書き直しの超巨大作で、結局完結には至らなかったが当時の新人スレの看板作でもあった
とは良いながら良い意味でのキャラ改変でTVシリーズのキャラを壊すことはせず
本編ではほぼモブ扱いの名無し達が個性を与えられ、雑魚メカ扱いのMS達も大活躍する

何でも屋ドミニオン
登場人物をガッチリ掴んだ安定のキャラ立ちと直前の雑談まで本編に反映するアドリブが凄い
そしてキャラ達の個性をギャグにしながら、当時流行だったヘイト臭を感じないのが○

森の娘の見た光
2ページ目から登場の弐国氏第一作。2ちゃんに不慣れで、本気でSSとか書いたこと無い人だと丸わかりの文章
でも既にこの時点でオリジナルで有りながら本編に干渉しないシナリオと美少女、その二つがちゃんとある
いまやスレの職人さんでは最古参


そして昔の新人スレのトレードマークと言えば3ページ目から登場のこの人

編集長
当時かなりの投稿数があったにもかかわらず、週末にその週に投降された全てのSSを読み込んで
毎週、週間新人スレの名前で雑誌の目次風に1行煽りを付けて読みやすいようにアンカーを打ってくれる人
他のスレ住人にもその存在がうらやましがられ、その為に投稿先を新人スレにした、と言う職人さんまで居た
0343通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/22(水) 23:06:14.29ID:JIN0Nwcn0
今やってるのだとユーラシア氏の連合兵戦記がお気に入りかな
昔のだとつい最近完結したのを含めた弐国氏の作品
どっちも種本編の設定をうまくアレンジしてていい
0344339
垢版 |
2016/06/23(木) 21:03:12.84ID:F9evLZU60
>>340
3話まで読みました。アムロの無双っぷりが痛快でかつ相手が気の毒だ・・・
こういうのがクロスオーバーの醍醐味でしょうね。
>>341
作者ですw推奨あざーっすm(_)m
>>342
すごい歴史のあるスレなのね・・・新参にはこういうレポ貴重です。
間を見つけて過去ログ漁ってみます。
0345ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
垢版 |
2016/06/24(金) 21:41:11.40ID:moAwnMSl0
>>294
自分のパソコンだけ、450KBを超えていた様に見えていたらしく、それで実際は
450を超えていないにも関わらず次スレが必要だと判断してしまいましたすみません
以後は気をつけます。
0346新人スレ住人 ◆tOSpv3Q.fqF6
垢版 |
2016/06/24(金) 22:40:43.61ID:qYvX20+T0
>>345
続編投下乙です。
環境によって見え方だけでなく容量も違う、ということが今回の件で分かって良かったと思います。
自分もよく調べずに立ててしまい、皆さんにご面倒をおかけしました。

>>342
話は変わりますが、氏のように過去スレの旧まとめに編集されていた作品を読みたい、という声を
最近しばしばあちこちで目にするようになりました。
旧まとめサイトのサービスが終了してしまったために消えてしまったもので、
失われた作業の膨大さと偉大さを思うと惜しくてなりません。
作品そのものはアップローダーに残っており、投下時の雰囲気を楽しむには
これも良いのですが、通読に関してはややしにくく感じます。

そこでいつ完成するものか分かりませんが、ぼちぼちと過去スレ(20スレくらいまでだったか?)の作品を
「旧新人スレまとめ」(仮)という項目で、ガンクロに編集してゆこうかと考えております。
自分が直接旧まとめの作品収納庫を見たのは数回ほどなので、
とめさんと全く同じようにはいかないかもしれませんが、長い目でお待ちいただけると嬉しく思います。
ただ今1ページ目の編集作業中です。
0347通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/27(月) 23:32:03.85ID:LbnowKBU0
NGワードに何か引っ掛かったな
うっとうしい限り

>>345
仕様がおかしくなってるから気にしなくて良いのだろう
むしろ住人間でオカシイ部分が分かっていれば大丈夫

>>346
過去スレも、実は編集長が居る時代はアンカーでまとまるからそれなりに読みやすいが
やはり普通にまとまっている方が良いな
0348通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/06/29(水) 00:25:32.97ID:nauDdVGk0
現367k

新人スレ昔話の2
6〜10でやろうと思ったが、今日は6ページ目単独
このスレの最期の方でテンプレートのひな形が登場する

それまで作品毎に基本的に読みやすい書き方を住人が指南する、と言う形を取っていたが
基本的な部分はまとめてしまったが方が良いだろう、と言う事でうめ草の雑談として登場
既に、この時点でほぼ現在の形通りのものが出てきているのは、流石というかなんと言うか
その後幾度かもまれて現在の姿になっているがキチンと原形をとどめている

即死判定を避ける為に、テンプレートにもある程度の容量があった方が良い
と言うところから出発している辺りが当時の状況を思わせる部分だな

一応気をつけないといけないのは、あくまで2ちゃんねると言う媒体上で
新シャア板で投降することが基本になっていると言う事
そこでみたときに読みやすいかどうか、なのであって実際の小説等の“お作法”とは少し違う
新人スレに投降したときに読みやすいかどうか、が基準になっていると言う事

とは言えSSに限らず、横書きでずらずらと文章を書くときはテンプレに則って書いた方が
あとで自分でも読みやすい
なんだかんだでよく出来ていると思う
0349通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/07/08(金) 22:56:40.71ID:Nh64XSvq0
すいません質問ですがよろしいでしょうか
専用ブラウザのNG設定のやり方をどなたかご教示いただけないでしょうか
最近ブラウザを導入して うっとしい限りのアレ をスッパリあぼーんしたいものでして
0350通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2016/07/10(日) 01:42:55.49ID:z6b4OUcO0
>>349
JaneStyieだったら

本文の単語を範囲指定して右クリック→NG処理→NGWordに追加
若しくは
IDの上で右クリック→NGIDに追加

でお終い

オプションから連鎖あぼーんの設定をすれば
消えたレスにアンカーを打った書き込みも一緒に消える

だいたいその手の連中は必ず使う単語が決まってるから
NGワードを三つかそこら設定して連鎖あぼーんも使えば不快なレスはほぼ全部消える
0352リ・ストラ ◆J93SgHm3vo
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2016/08/19(金) 00:27:46.64ID:PSmMDuR20
コテチェックもかねておひさしぶりです
約2000字のものを投下予定なのですがこのスレで大丈夫ですか?
レイと一緒に投下予定だったギルバート・デュランダルを投下し忘れていたようです
0354リ・ストラ ◆J93SgHm3vo
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2016/08/19(金) 22:25:51.42ID:PSmMDuR20
SEED RESTRUCTURERS
「ギルバート・デュランダル」  1/4

整然とした部屋に男の声が響いていた。
部屋の中央にはチェス盤が載ったテーブルが置かれ、それを挟む形で2対のソファが配されている。
そして、窓辺には背を向けるようにして事務机が置かれている。

「君はまだインパルスの必要性を疑っているようだね」
「疑いたくもなるさ。
 機体を損傷してもコアパーツさえ生きていれば即座に再出撃可能?
 馬鹿げている。そんな機能は、優秀な人材の少ない勢力が必要とするものだ。
 それに、同じようにパーツごとに換装できるグフイグナイテッドは、コンペに負けたのだろう。

 テロリストの発想だよ。
 多くの人員を先の大戦で失ったとはいえ、これほどまでにコストの高い機体など必要ない。
 その技術、もっと別の使い方があったろうに。まるで彼のために拵えたようだ。
 しかし、その彼だがね、君の考えに賛同しはしないさ。
 いや、理解すら示さないだろうね。
 わたしの問いにすら答えることができなかった彼にはね。
 当然、彼は候補の内の一人に過ぎないのだろう」

視線はチェス盤に向けられる。最後に駒を動かしてから、いったいどれだけの時間が経っただろう。

「ああ、わたしも彼が手を貸してくれる望みは薄いと思っているからね。
 彼ほどの適任はいないとわたしは思うのだがね」
「しかしそれは能力面でのことだろう。決意が無ければその能力を活かすこともできない」
「もちろんそうさ」

男はソファから立ち上がる。

「彼には力がある。コーディネイターの中で、つまりは全人類の中で、一番だ。
 しかし彼はその使い道を知らないし、知ることすら拒否しているように思う。
 知らなければ選択の余地などないというのにね」

男は窓からプラント――アーモリーワンを見下ろしながら言う。
0355リ・ストラ ◆J93SgHm3vo
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2016/08/19(金) 22:27:51.00ID:PSmMDuR20
SEED RESTRUCTURERS
「ギルバート・デュランダル」  2/4

「厄介な存在だよ、彼は。
 人の命を対価に生まれ、我が隊の邪魔をし、戦争を長引かせ、多くの命を奪った。

 もっともそれはわたしにとって都合が良かったがね。
 しかし最後は彼に全てを防がれた。
 せめてアスランだけでも殺してくれれば、ザラももっと早くジェネシスを使っただろうに」

「もしそうなっていたら、君の選択が正しかったことのなによりの証拠になった」

「しかし、実際にはわたしは完全に敗北した。
 彼に敗れ、ジェネシスは地上を焼かず、ナチュラルもコーディネイターも生き残った」

「その点においては、わたしは彼に感謝しなければならない」

「感謝、か。
 彼が災いの種のうち、その最たるものであるということは、君もわかっていると思っていたがね」

「もちろんその上で、だよ。

 君を止めることはわたしにはできなかった。
 君を止める権利を私は持っていなかった。
 それは彼の役目で、私の担うべき役割ではなかった。
 やはり人それぞれに決められた役割というものが存在するらしい」

「わたしは君という救世主を生み出すために世界を混乱に陥れる悪だったというわけか。
 ひどい皮肉を言うものだな。
 人を滅ぼそうとした結果が、人を生きさせることを目的とした君に役立つとはね。

 しかしこれは君に対してもあてはまるだろう。
 世界に平和をもたらす秩序を創るために、秩序を崩壊させる戦争が必要なのだろう?」

「そんな風にとられると、少し困る。
 まあ、君のおかげで予定より早くこの舞台に立つことができたのは事実だ。
 まだ何人かの役者がそろっていないがね。
 君風に言えば、もうすぐ最後の扉が開く、といったところかな」

そう言った後、男はしばらくの間、顔を伏せていた。
こみ上げてくる笑いを最小限に抑えていたようだ。
0356リ・ストラ ◆J93SgHm3vo
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2016/08/19(金) 22:29:08.51ID:PSmMDuR20
SEED RESTRUCTURERS
「ギルバート・デュランダル」  3/4

笑い終わったのか、男は顔を上げると会話を再開した。
「話を中断して悪かった。
 もう一人の君に出会ったときのことが頭に浮かんでね。
 君にも話しただろう。もうひとりのキラ・ヤマトのことを。

 彼の目的は自由になることだった。
 しかしそれがかなってしまえば、彼にはもう生きる目的がなかった。
 世界に対する復讐も彼には無価値なものだった」

「そこで君が提案した。本物になれば良い、と」

「そうだ。彼はその一言で変わったよ。

 彼は解答を望んでいたからね。
 たとえそれが偽者の答えであったとしても、彼には答えが必要だった。
 目的も無く生きることは苦痛としかいいようが無いからね」

「彼は幸福に暮らしているだろう。それが偽りだとしても生きる目的があるのだから」

男の視線は、宙をさまよう。
0357リ・ストラ ◆J93SgHm3vo
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2016/08/19(金) 22:31:49.67ID:PSmMDuR20
SEED RESTRUCTURERS
「ギルバート・デュランダル」  4/4

「わたしには本物になるチャンスすら与えられなかった」

「しかし君にはレイがいただろう。もう一人の君がね。
 そのおかげで、生か死かという状況において、その両方の選択をとることが可能だった。
 人は普通、その両者の狭間で悩み、苦しむ。
 二つの生を得られた君は幸福だよ」

「たとえ人より短い生だとしても?」
「もちろんだとも、人生はやり直しが効かない。
 複数の選択ができるだけで、君は十分なほど幸福さ」
「このわたしが幸福であると、君は言うのか。
 本来の役目を果たせず、短い生しか望めぬそんな者にも希望が残されていたとそう言うのかい」
「生きる目的。
 人生の意味。
 担うべき役。

 そういったものを求めたのなら、たしかに君の生は不幸であったかもしれない。
 しかし少なくとも、君の生はひとつの経験として、わたしの人生に大いに役に立つだろう」

その言葉の後、部屋は長い沈黙に包まれた。
その間、男は死んでしまったように動かず、まるでその空間だけ時が止まってしまったかのようであった。
ただし、窓から見える景色は確実に時を刻んでいた。

 やがて男は立ち上がり、つぶやくように言った。

「我々は、世界の導き手にはなれても、担い手にはなれないのだよ」

数分後、その部屋に来客があった。
客人を迎え入れたのは黒い長髪を持つ男――プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダル。
一方客人はというと、長身の女性――ジャーナリスト、ベルナデット・ルルーであった。
0358ユーラシア兵 ◆fhWVlI7Zkg
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2016/08/20(土) 21:44:24.19ID:9NDEZKLo0
投下乙です
インパルスの分離合体システムに関しては、アストレイで、最終的には1機体とエース1人で
戦場を支配するような機体を作るみたいなことをザフトの技術者が言ってたのが印象的です
恐らく、インパルスは、条約で連合の物量が制限され、同時に自軍もMSの台数を増やせないという状況で
MSの戦力としての単価、汎用性を拡大することも設計思想に盛り込まれていたのでしょう
またユニウス条約後は、しばらくMSの投入数も少ない限定戦争になる、と踏んでいたのかもしれません
個人的にはインパルスは、種のMSとしては本格的にコアスプレンダーという形で脱出
システムを盛り込んだ機体でもあるというのも気になる点です。
続きの話、期待しています。
0359通常の名無しさんの3倍
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2016/08/23(火) 01:25:51.66ID:qeg12CKU0
これもういつ使いきれるのか分かんねえな
0360通常の名無しさんの3倍
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2016/09/09(金) 10:08:28.74ID:JAzpXHVP0
明日は地球で友人の送別会。ソレスタルビーイングから独立し、プトレマイオスからの自立を目指す俺は自分で交通費を出す。俺は節約も兼ねて長距離バスを利用して行くことにした。
長距離バスの利用は初めてだったのでバス乗り場がわからず大遅刻、搭乗するさいにみんなから冷ややかな目で見られてしまった。
冷ややかな視線にテロリスト時代を思い出す。「自分はイノベイダーの刹那・F・セイエイだ、こいつらとは違う」とそう思いこみ、嫌な気分をかき消した。
俺が乗る長距離バスは4列だ。値段で選んだのは失敗だった。狭いシートに尻が痛む。 到着するまで寝ようと思ったが隣がマリーダさんだったということもあり緊張して寝られなかった。
そこで僕は小腹を満たすためにバス乗る前に買ったマックを食べることにした。 ガサゴソと包装紙からメガマックを取り出し口いっぱいにほおばる。
たまらない。 ポテトの塩が濃かったのと車内が乾燥してるせいもあってLサイズのコーラはあっという間に空になった。 腹を満たしてしばらくするとバスはSAで休憩についた。
地球のSAにはいろんな店があり俺は時間を忘れて食べ歩きした。 再びバスに乗り、バスは目的地へ向けバスは出発したのも束の間、当職に凄まじい便意とかつてない尿意に降りかかった。

刹那「もぉダメェ!!我慢できないナリ!!漏れちゃうナリィィィィィ!!(ブリブリブリドバドビュパッブブブブゥ!!!!!ジョボボボボジョボボボ!!!!!!!ブバッババブッチッパッパッパパ!!!!!!」

齢二十にもなるガンダムパイロットの奇声が地球のバスの中でこだました。
0362通常の名無しさんの3倍
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2017/08/02(水) 01:04:22.41ID:6XOR+7WB0
10 名前:三流(ry[sage] 投稿日:2017/07/29(土) 21:58:34.60 ID:zpY24ern0 [1/3]
0363通常の名無しさんの3倍
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2017/08/03(木) 21:14:33.27ID:d+aYsiUL0
肥料を探したけど全部使い切って無くなってる。
肥料が無い以上農作物が収穫できない」
小型獣型ハンターが私たちの元へと駆け寄ってそう告げる。
その言葉に大型肉食恐竜型ハンターは溜め息を吐いた。
「はぁ・・・低レベル過ぎる」
「何が低レベルだ! 殴らずにどうやって勝つ気だ!」
「いえ、ここには椅子やテーブルが見掛けないようなので疑問に思いまして」
 「イス? テーブル? そんな言葉、聞いたことがありませんが……」
 理論家の小型獣型ハンターでさえ、気付いて無い様だ。
「とりあえずこの植物で試してみるか」
大型肉食恐竜型ハンターは適当な草を選んで茎を切った。
 ビュッ、ビュッ、ビュッ、ビュッ、ビュッ―――。
すると草は溶けてオレンジのようにどろりとオレンジボールになった。
 「なんだ……コレ?」
 「知っているかい? 今、オレンジボールが一個、金貨200億枚の値段なんだ。これ小学生レベルの知識だよ」
「…は?」
 ふむ、やはり知らんか。もっともそれは仕方のない話なのかもしれない。
「あのー、少し聞くけど、いい?」
 大型肉食恐竜型ハンターはなるべく失礼のない話し方で言った。
「何かな?」とマサツグ。
 「えっとだね……土に金貨を撒くのはどうだろうか」 「金貨……ですか? アレが肥料になると……!」
 「大型肉食恐竜型ハンターの案は悪くない。だが、一つ肝心な事を忘れている」
 「金貨を撒けばミヤモトとマツオ(蛆虫)が集まりおまけの中身が荒らされてしまう」
 自分の意見の欠点を指摘され頷く大型肉食恐竜型ハンター。だが、その可能性も考慮していたのか、打開策を明示する。
 「それなら疾風戦術を取ろうと思う。みんな甲冑を脱ぎ捨ててくれ」
 「勝算は?」
「僕の読みどおりに戦局が動いてくれれば、九割ほどで」
 「彼我の戦力差、出ました! 人間軍、およそ300。魔物軍、およそ5000! 
5秒後に接触。敵戦力分析と指示をくれ!」
「あの子も抱いてあげて」
正論だった。
0364通常の名無しさんの3倍
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2017/08/16(水) 23:51:58.02ID:XRRxXmHZ0
あげげ
0365通常の名無しさんの3倍
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2017/08/19(土) 00:26:52.10ID:Sz3bv8QC0
8月19日
0366通常の名無しさんの3倍
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2017/09/15(金) 03:39:49.74ID:SEa9Tbdy0
0368通常の名無しさんの3倍
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2017/11/14(火) 05:17:35.38ID:WqG1uTX40
あげ
0369通常の名無しさんの3倍
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2018/03/08(木) 04:49:08.10ID:thRtNbin0
アップ
0370通常の名無しさんの3倍
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2018/03/12(月) 17:41:27.50ID:9Wi7X1nD0
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