10年前から俺が考えてたガンダムを語ってく [転載禁止]©2ch.net
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数年前に旧シャアで建てたが内容が大分変わったからこっちで新たに作った 「そうだ。俺たちは放置されていたが監視官に管理されていた」
ジョオはヒスイの顔を見る
「監視官は私たちが外に出るのを妨害していた。けど最終的には私たちは彼らの裏をかいた」
テンリンは少し自慢するかのようにしゃべる
「監視官とのだましあいになったの」
「それができたのは上位ランカーだけだけどな」
二人は懐かしそうにしゃべる
環境は劣悪だったのかもしれないが彼らはそのなかで懸命に生きたのだろう
「あれ?」ふとシン隊長の方に振り替えるが隊長は姿を消していた
え?この後私どうしたらいいんですか?
ヒスイは困惑したなかシンのいた席に誰が座ってくる
その顔を見たテンリンとジョオの顔色が変わった
「久し振り」
二人の顔色で判る 「久し振りに来たらまさか再会するとはな」
座ってきた男はニヤリと笑う
「露骨な嘘をどうも」
ジョオが笑いもせずその男の目を見る
間違いないこの男はテンリンたちの話に出てきた「監察官」だ
既に私たちは彼の監視下にあったというの?
ヒスイは彼の手足に意識を集中した
武器はないようだが暗器は持っているかも…
テンリンは突然うどんをすすり始めた
「なるほど積もる話もあるようですし」
監察官もうどんをすすり始める
テンリンは殺伐とした顔でうどんをすすっていた テンリンとジョオ、監視官がうどんを食べ終わるのはほぼ同時だった
「これ勘定ね」
とテンリンがカウンターに置くと二人は脱兎のごとくかけていき監視官がそれを追って出ていった
ヒスイだけが残される
机の上を見るとそこにあったのは紙切れだった
紙には地図みたいなのがかかれている
「ここに行けということ?再会できるの?」
ヒスイは三人分の勘定を払うと店を出た
携帯端末の地図と見比べて目的地にたどり着く
そこは回りからお化け屋敷地いわれているところであった
入ろうとするヒスイの後ろから声がする
「早いな。さすがだと思うが少し落ち着けよ」
そこにはシン隊長がたっていた 人のいない町にテンリンが回りにきを配りなから歩いていく
少し離れた建物から狙撃手が彼女を狙っていた
狙撃しようとした瞬間何者かが狙撃手を襲う
ジョオだ
瞬く間に狙撃手を鎮圧すると彼の銃を奪った
「管理官だけじゃないとは思っていたが」
ジョオがテンリンを見ると彼女も別の工作員を押さえつけていた
「やはり組織はまだ残っていたんだ」
目的が達成後も彼らはここで何かをしている
もしかしてバミューダ連合もぐるか?
いや、そう短絡的な考えない方がいいのか?
とにかくあの建物に行くべきだなとテンリンもジョオも考えた
そろそろヒスイもあの建物に来ているはずだ
おそらくはシン隊長も 「しかし勝手に屋敷に入り込んで…」
ヒスイは半ば廃墟となった建物のなかにいた
「相手は招待してくれたのだから受け取らないのは礼儀に反するよ」
シンは回りの資料を調べている
重要な資料があったのか大切に扱っている
「保存状態はいいな?」
シンが叫んだ方向から人が現れた
ヒスイがさっき見た管理官だ
「プレゼント、というより自己紹介か?」
シンの言葉に管理官がニッと笑う
「私たちは自分達を定義できない。故に誰かにさらす必要があるのです」
「暗躍のしすぎなんだよ、あんた」
シンは相手にプレッシャーをかけるのを忘れない
ロゴス崩壊後、その直属の秘密結社は独自に行動していた
彼らもまたそうした組織だろう 「暗躍したいから寄生できる相手を探すなんて本末転倒だな」
シンは銃を構えていた
「多すぎる技術を管理するにはなりふりは構うわけにはいかないのですよ」
「ならお前たちの名前をつけてやるよ。テックプリズナーはどうだ?」
管理者は笑い出す
「いい名前ですね。でもそんな名前を言い出すのはお前だけで終わりだ」
言葉と同時にMSの腕が天井からシンを襲う
建物のそとに逃げるシンとヒスイ
彼らの前に大型のトレーラーがやって来た
ドライバーはジャンク協会のリキである
「シン、こっちも持ってきたぞ!」
トレーラーからアストレイM1が現れる 屋敷のそとに出たシンたちが見たのは敵のMSのジャウトだった
付近の川から現れたのか全身が濡れている
シンはアストレイM1に乗り戦闘態勢にはいる
ヒスイはリキと安全地帯に逃げている
「最初言われたときはビックリしたよ。修理中のM1貸してくれだからな」
バミューダ連合のMSの修理をジャンク協会は行っているのをシンは知っていたのだ
「ジョオをつれてこいとかも言うし、シンのダンナは注文が激しいな」
ヒスイはリキの言葉に驚いた
ジョオの合流はシンの指示だったのだ
テンリンとジョオもM1の見える距離にいた
「多分シンが乗っているはず」
はっきりしないがテンリンには確信を持っていた
私たちはシンの手のひらに乗っている ジャウトは重武装や変形機構を加えた結果MSホンライのしなやかさを持っていない機体になった
シンのM1は相手の懐に飛び込んでいく
ジャウトは右手のビーム砲を向けようとするがM1が瞬く間に切断した
シンはすかさずビームサーベルを切り返してジャウトの左腕も切り落とした
M1はバーニアを全開にして上昇する
遅れてジャウトも上昇体当たりを仕掛ける
テンリンは敵の行動が読めていた
「敵は自爆するつもりか」
M1は敵の体当たりを寸前で避けビームサーベルをジャウトの腹に突き立てた
ジャウトはM1より90m上空で爆発する 翌日
ザフトによる屋敷探索で多くの資料が発見された
地下には多くのDNAサンプルが見つかり
先行してゲノムがプラント本国に送られた
バミューダ連合に彼らとの関係を問いただそうとしたが多くの閣僚が行方不明になっていた
恐らく多くの隠蔽が行われたのだろう
ザフトが困惑したのはDNAサンプルの数である
テンリンやジョオは小さな村の出身であった
他の被験者たちもそうだった
村の人口とサンプルの数を比較すると人口の5%以上の人間が未知の遺伝子を持っていた事になる
そしてそれは地球レベルで起こっている事になる
それだとデスティニープランは正常に機能しない
なら今地球上にあるデスティニー国家は何なのか
機能しない物を中心に置いた国がなぜあるのか
シンたちはこの星の異変に立ち向かうことになる 大西洋連邦はディスティニープラン導入時に混乱が起こりCE79ではいくつかの地域が特立している
バミューダ連合もCE75に独立するも多くの大西洋連邦の資本が入っていたため本国では設置できな
い非合法の実験施設が極秘に設置された
多くのエージェントがバミューダ連合に送られ
得たデータは大西洋連邦に転送されている 大西洋連邦フロリダ地区
ここは世界遺産に指定されたNASAの施設があった
この施設はザフトの攻撃を免れている
その一角にテントが張られていた
中のディスプレイにバミューダ連合から送られたデータが表示されていた
見ている人たちは裕福な服装で大企業の社長のように見える
彼らに混じってアルフィルクがいた アルフィルクの後ろにはエビデンス01の複製が飾られている
技術を信仰する彼らにとって拠り所なんだろう
「彼ら」はBBQをしていた
天然色材が集まらない現代では豪華な食事である
彼らは政財界や科学者の大物だが知らない人間から見れば普通の人にしか見えなかった
本当の黒幕は他にいるなとアルフィルクは思った 「あなたの友達は戦っていないようね」
アルフィルクのとなりに女性がよってきた
アルフィルクと同じぐらいの年齢らしい
正面のディスプレイではアストレイM1とジャウトが戦っていた
「M1のパイロットは相当な手練れだろう」
「でも勝てるのでしょ?」
「ああ」
アルフィルクはそういうしかない
ここでは自分は最強のパイロットを演じなければならないのだ
M1のパイロットは恐らくシン
彼の乗るD2ガンダムはハイナチュラルの自分にとっても驚異である 恐らく組織のメンバーは彼女一人だろう
他の人間はロゴスの残党といったところか
彼らはロゴスに忠誠を誓ったわけではない
ロゴスと組むことにメリットを感じただけだ
そして今この組織にメリットを見いだしている
アルフィルクは自身も彼らの「商品」であることをさらに強く意識した
この女の気に入られなければならない
さらに上を目指すのなら 「組織の人間のなかにはハイナチュラルに否定的な人がいるわ」
女性は明らかにアルフィルクを値踏みしている
「また明日私たちはゲイラホズを襲います。今度はブーステッドマンを使う予定です」
…つまり彼と俺とで比較実験をすると
アルフィルクは自分の評価が低いことを実感した
確かに格下のはずのテンリンたちを倒せないのでは仕方ないことだとは思うが
「始めまして私はニッケルマン中尉と申します」
明かな軍人が挨拶する
アルフィルクは女性の方を見る
「ええ、彼が最新鋭のブーステッドマンです」
女性は口許に笑みを浮かべていた 同時刻ハノイのうどん屋にシンとリキはいた
テンリンたちは既にゲイラホズに帰艦している
シンはリキに謝礼を渡していた
「コーディネーターなのに珍しいな」
リキは謝礼をポケットにいれながら言う
コーディネイターとジャンク協会はCE79年時点では折り合いが悪くなっている
「あんたのお陰でジョオを奪われなくてすんだ」
シンとリキは以前から親交があった
リキから地球圏の情報を貰いその謝礼でザフトの友好国のMSのメンテナンスを提供する
ギブアンドテイクの関係である
「ダンナこれはおまけですが…」
リキはうどんをすすりながら言った
「明日また奴らは攻めてきますぜ」
シンは黙って聞いている 翌日
大西洋連邦の空母上にアルフィルクはいた
彼が見上げる先にはデストロイガンダムがある
隣のニッケルマン中尉は煙草を吸っていた
「もうOSが進化した今ではナチュラルもコーディネーターもありませんよ」
ニッケルマンは煙草を指差す
「ブーステッドマンも同じです。我々はこの薬で少し耐Gが増しただけの人間ですよ」
アルフィルクはニッケルマンが強化人間に見られる精神の不安定さが無いことに納得した
しかしそれはハイナチュラルの自分の存在を否定するのではないかと不安になる
「しかし上層部はそれでは納得しない」
ニッケルマンは再び煙草を吸う
「彼らはナチュラルがコーディネーターに勝つ神話を必要にしている」
アルフィルクはニッケルマンの顔を見る
もしかしたら彼も組織の人間かもしれない
「コーディネーターの存在価値を失わせることがこの戦いの本当の意味だ」 ゲイラホズ側でもMS発艦の準備が行われていた
シンのD2ガンダム、ヒスイのガイアインパルス、テンリンのカラミティタスクは準備が完了し後は
ジョオのレイダータスクは整備が完了していない
ジャンク協会が備品を提供するのが遅れたためだ
もっともザフトの関係との仲の悪さからジャンク側が一方的に悪いと言う事では無いだろう
「フロリダから無国籍のMS接近中」
ブリッジからの声が響く
「直ちに反撃に向かう、ジョオは準備完了次第発艦してくれ」
シンはジョオを残して出撃することを命令した
テンリンはにやにやした顔でジョオを見る
「ここに来てからついてねえなあ」
ジョオがぼやいた 「編隊はベルデルタとジャウト、フォビトンタスク、後方の空母上にギザカノンを確認」
同時にD2ガンダムのディスプレイに衛星写真が表示されていた
静止軌道上ではザフトの戦艦が待機している
この海域ならフロリダから奴らに監視されている
この戦いはザフトとテックプリズナー、両陣営において大一番になるだろう
敵部隊から一機機体が突出してきた
「今さらそれかよ」
シンは半ばあきれている
デストロイガンダムが接近していた
あんな骨董品を…
「俺が一騎討ちで倒す!」
シンはそう言うとD2ガンダムを加速させた
「ふん来るがいいコーディネイター!」
通信で聞こえた声にテンリンは表情を変える
それはハノイで聞いた管制官の声と同じだったのだ 「ニッケルマン…」
テンリンたちは何度も彼に記憶を操作されて、仲間と延々と戦わされた
彼女の遺伝子が洗脳操作に対応しなければ未だに彼女は管理者の実験道具だっただろう
恐らくアルフィルクは記憶をまた操作されてしまったのかもしれない
南極基地の反乱は彼が主導したものだ
アルフィルクこそニッケルマン管理者を一番憎んでいる人間のはずなのだ
D2ガンダムに続いて敵軍に突入しようとしたテンリンをヒスイは止めた
「隊長の一騎討ちが終わるまで待って」
既にD2ガンダムはデストロイの間合いにいた
デストロイは人形に変形する
しかしニッケルマンは仕掛ける様子を見せない 目の前にはD2ガンダムがいる
「かつて人は宇宙に対応するために自信を改造した、それがコーディネイター」
ニッケルマンはたばこを吸っている
「しかし宇宙は人には過酷すぎた、改造した人では限界が来た」
ニッケルマンはAIを起動させる
「人は機械の時代が来たことを認めるべきだ、そのためにコーディネイターを潰す」
デストロイは全ての砲塔をD2ガンダムに向けると一斉に発射する
シンは反射神経で全てを避けた
同時にビームライフルで攻撃するがバリアーで防がれる
「さあ、シン・アスカ、みせろ、お前のSEEDを」
デストロイはその巨体に似合わない高機動のマニューバでD2ガンダムを翻弄し始めた コクピットの中でニッケルマンは腕を組んでいる
「集積装置の発達は人の全てを機械のなかに記録することができた」
彼の操るデストロイはシンのD2ガンダムと互角の戦いをする
「つまり操らなくてもパイロットの望む機動をマシンは行う事が出来るのだ」
ニッケルマンはMSを操りザフトと戦ってきた
その記録が全てデストロイにセットされている
「そしてこうする事で人は限界を超える!」 デストロイには大気圏内用の複数装備されていたガンバレルを展開する
「空間認識もマシンがサポートしてくれる!私の力は無限に増殖されるのだ!」
ニッケルマンは腕組を解かない
ガンバレルはD2ガンダムの行く手を塞ぐ
「これじゃシンが!」
前進しようとするテンリンをヒスイは止めた
「これからよシン隊長の本当の力は」
突然D2ガンダムの光の翼が大きくなると見違えるような動きでガンバレルを圧倒する
ニッケルマンは目を見開いた
「来たかSEEDの発現が」 D2ガンダムは次々とガンバレルを撃墜していく
その華麗な操縦テクニックに敵だけでなく味方のヒスイやテンリンたちも魅了された
ニッケルマンは不敵に笑う
「シン、あなたを倒すのは私ではありません」
そういうとデストロイガンダムは後退した
追撃するシンの前にアルフィルクのフォビトンタスクが接近する
「お前のシードと我がブロッサム、どちらが優れているか見るがいい」
フォビトンはこれまでにない加速でD2ガンダムに襲いかかった MSにはパイロット保護のためリミッターを設置することが義務つけられている
機体もいざというときは自損しパイロットには過剰な衝撃が伝わらない様になっている
しかしタスクシリーズは機体の強度が極限にまで高められていた
機体の機動性は上がったが反面パイロットへの負担は大きいのだ
しかしある能力者は負担に耐えることができた
その力こそがハイナチュラルの正体であり解放した状態をブロッサムと言う
赤い肌とうす水色の目に染まったアルフィルクがシンを追う SEEDは五感を研ぎ澄まし空間認識を高めて
最適な対応策をとるものと考えられている
しかしブロッサムに空間認識の拡張はない
その代わり加速された神経速度がMSに人を越えた神速を与えるのだ
シンはアルフィルクのスピードに困惑する
空間認識が彼の速度に追い付かないのだ
D2ガンダムは受けに徹した
アルフィルクの太刀筋を見極めようとしたのだ
ニッケルマンもシンの作戦に気がついた
「アルフィルク急げ、シンをすぐ倒せ!」 シンはアルフィルクの太刀筋独学で手に入れたものでそれゆえに癖があることを見抜いていた
反射神経だけで打ち込んでいるのだろう
攻撃が片寄っている
タイミングもワンパターンでしかない
かつてシンは空極のコーディネーターと戦ったことがあった
彼のスピードに比べれば…
シンはD2ガンダムの肩のブーメランを投げた
アルフィルクはとっさに避けてD2ガンダムの背後に回る
しかし背後に気配を感じたアルフィルクは後ろを向くと躱した筈のブーメランが目の前にあった
「ちいっ」
あわててフォビトォンタスクの鎌で弾き飛ばす
恥をかかされたと言う顔でアルフィルクはシンを睨む
「その顔が見たかったんだ。感情を剥き出したその顔を」
アルフィルクをどこかでわかり合いたい事に気がついたシンは苦笑した シンはアルフィルクの中に功名心がある事に気がついていた
彼はD2ガンダムを華麗に倒しナチュラルの勝利を世界中に見せつけたいのだ
その奢りがフォビトォンの歪んだ攻撃に繋がっているのだろう
彼はこれ以上強くならない
ここで落とそうか?シンはそう思ったが後ろにテンリンとジョオがいるのを思い出した
「うおおおおお」
アルフィルクが勝負をかける
「まだ鍛練が足りないな!」
そういうとシンはフォビトォンのバックパックを切り落とした
「俺も甘いな」
落ちていくフォビトォンを見てシンは苦笑する >724
昨日も盗み食いでボッコボコにされた富信オムツブタエモンちーす
プークスクス >>723 続き
「テンリン、アルフィルクを拾いにいけ」
シンは一言言うと敵陣に突っ込んだ
ヒスイはメド隊に追従するように命令するが
「必要ない俺一人で充分だ」
敵陣ではニッケルマンがデストロイで迎撃しようとするが
「必要ありません、全機帰還しなさい」
若い女性の声が響く
「あの人を怒らせるわけには」
ニッケルマンは命令を出すと敵軍は撤収を始める
シンのD2ガンダムはなにもせず撤収する敵軍を眺めている 敵は撤退しアルフィルクだけが残された
彼の乗るフォビトォンタスクはザフト戦艦ゲイラホズに収容される
フォビトォンのコクピットの前でテンリンとジョオは銃を構えてきた
ザフト兵は彼女たちの後方で待機している
テンリンが恐る恐るコクピットを開ける
「うくうくうく…」
中でアルフィルクは泣いていた
「ちょっとなんで泣いてるのよ」
意表を突かれたテンリンは姿勢を崩す
ジョオはむしろ警戒した
このポーズはアルフィルクのワナと感じたからだ
「テンリン、彼を下ろすんだ」
なんで?といいたそうなジョオにシンは言った
「アルフィルクはもう心が折れている」 アルフィルクは南極の施設でトップの成績をあげていたがジョオやテンリンが持つ遺伝子を
持っていなかった為管理者に操作されてしまった
記憶や性格まで操作されたアルフィルクはもとのおとなしい性格とは全く別の
野心溢れる人間に設定されている
シンに敗北することで元々あったおとなしい性格が復活したのだろう
野心家の性格が残っていたらテンリンは彼をどうしていたたか解らない
でもテンリンは今の彼を責める気にはとてもなれなかった フォビトォンタスクから降りたアルフィルクは武装解除され床に座っている
「うくうくうくうく」
「元々あなたは泣き虫だったからね」
テンリンはアルフィルクの頬をハンカチで拭う
「南極の反乱も管理者のシナリオでしょ」
アルフィルクはテンリンの顔も見ないまま頷く
「貴方がこんな行動する時は裏に必ず彼奴がいるんだよね」
ジョオもアルフィルクの顔を覗き込む
彼も南極基地での彼との因縁なんかどうでもよくなっていた
「じゃ彼奴らの事喋ってくれよ、其で許されるって事はないだろうけど」 ttps://nanos.jp/result5026mtshm/ アルフィルクから提供された情報からザフトが退治する敵のアウトラインがある程度判明した
敵の呼称はテックプリズナー
彼らには本当の組織名がないためにコードネームとしてシンに命名された
元々はロゴスに技術投与した科学者の集団らしい
しかしロゴスが崩壊すると彼らは所属する世界中の国家に働きかけデステニー国家を乱立させたという
そしてコーディネーターに対抗するためのナチュラルの遺伝子研究を行い
その中からブロッサムという遺伝子集団を見つけ出すことに成功した
世界中から南極の施設に集められテストが繰り返されていたが一部が反乱を起こし施設は崩壊し成績トップのアルフィルクは彼らに
調整されたという 「つまりあの反乱はアルフィルク主導じゃなかったってわけ?」
テンリンとジョオは顔を見合わせる
彼女達はアルフィルクが反乱を起こしたとばかり考えていたからだ
実際アルフィルクはMSで南極の施設を攻撃した
あれも既に洗脳されて、ということだろうか?
南極基地でもテンリン達はMSで極寒のなか数十時間行軍させられたりと過酷な訓練を受けていた
多くの脱落者が出ていたのだ
アルフィルクはその惨状をやめさせるために戦いを始めたと二人は考えていた
しかし違っていた
あの戦いはテックプリズナーに賛同できなかった科学者を狙って仕組まれたものだったのだ 「ヒューストンで俺は彼らの一人に接触した」
アルフィルクは淡々と語る
「彼処にいたほとんどの人間はスポンサーだった、その中に一人だけメンバーがいた」
一人の女性がモニターに映し出される
「彼女は管制官より立場は上に見えた」
「ニッケルマンよりもなの」
「スポンサーは彼女に平伏していた」
「彼らは軍需産業か」
「それだけではないだろう、医療メーカー関係者もいるように見えた」
「様々な国の人間がいた」
今の世界は国家間の交流がなくなっている
余程の力がなければこうはならない
「ブルーコスモス残党と言う規模ではないと言うことか」
強力な権力を彼らテックプリズナーはもっている
もしかしたら今の世界は彼らがデザインしたものかもしれないとヒスイは思った 翌日ゲイラホズはバミューダ連合を離れオーブへの帰途についた
資料を多く確保したがその真贋を調べる必要があったのだ
既にザフトは次のミネルバ級を大気圏に突入させている
これはゲイラホズをザフト本国に召喚する可能性があることを示唆していた
ブロッサムであるテンリンたち三人をオーブに運ぶことでもある
テンリンたちは祖国に帰ることはできない
祖国はデステニー国家に変わってしまい
ザフトのパイロットになった彼らは犯罪者扱いされる可能性があるのだ
「いいの?故郷によらなくても?」
ヒスイの問いにテンリンは力なく笑った
「もう地球に居場所がなくなったみたいに思えるのよ」 コズミックイラになってから人類の遺伝子に変化が見られるようになった
それは人類に様々な病症を引き起こし人類は遺伝子治療を発展させていった
その技術を応用して開発されたのがコーディネーターである
しかしコーディネーターは子供の発生率が低下する現象が起きた
遺伝子に異常がないのにむしろナチュラルより子供が生まれないのだ
コズミックイラも半世紀が過ぎてから人類はなぜ遺伝子が異常化したかの研究を始めた
結論として異常に見えたのは人類が新たな存在になり始めた予兆であると結論された
新たな存在になればまた発生率も回復すると予想された
しかしその結論は握りつぶされ表に出ることはなかった
潰したのは後にテックプリズナーと呼ばれる集団である テックプリズナーは地球上を隅々まで調べ遂にブロッサムという遺伝子集団を見つけ出した
部分的であるがコーディネーターに対抗できる新人類の目覚めとも言える存在
しかし当時の地球を実質支配していたブルーコスモスは彼らをも排除する危険性があった
彼らは人類の進化も敵視していたからだ
テックプリズナーは実験と偽ってブロッサムを保護施設に回収し始めた
しかしそこはブロッサムの楽園ではなかった
ブロッサムの可能性を調べるために様々な実験が行われたのだ
南極にいたテンリンたちはその実験の生き残りである オーブに到着したゲイラホズは打ち上げのための準備に入っていた
シンは艦長と打ち合わせをしている
「これがテンリンたちのDNAのデータです」
ファイルをチェックする艦長がふと漏らす
「今の地球にとれぐらいのブロッサムがいると思いますか?」
「テンリンたちは世界中から集められたらしいんだよ」
シンはジャンク協会からも情報を仕入れている
「たぶんブロッサムは世界中で同時発生しているから予想より多いんじゃないか?」
もっとも世界中の国家の多くがデステニー国家になった今では実数はわからないのだろうが 「もしブロッサムが人の正当な進化だとしたら?」
シンの問いかけに艦長は言葉を失った
「それだとコーディネーターは人の進化の傍流となり存在価値がなくなります」
「俺はそう思っていない」
シンはやんわりと否定した
「俺たちは生きている、その記憶は失われることはないよ」
「しかし、種としては存続できなくなるのでは」
「そういう考えは敵を作るだけなんだよ」
人という種を守ろうとしたデステニープランはその短絡的な考えで全ての人を敵に回した
シンにはその二の舞を繰り返したくない思いがある 「アルフィルク」
ジョオが声をかけたのは夕食が過ぎてからの事である
「俺はこの船から抜けようと思っている」
「どうするつもりだ、いく当てなどないだろう」
ザフトの加護がなければ自分たちブロッサムはまたテックプリズナーに捕まってしまう
アルフィルクはジョオが甘い考えをしていると考えた
こいつは南極基地のときもそうだった
「大丈夫だ、ジャンク組合にいけば身元は保護してくれる」
やっぱり甘い考えだった
シン隊長のバックがなければ誰がお前みたいなのを雇うんだ?
アルフィルクははっきり言う
「お前は身を守りたいならザフトに残れよ」 ジョオはイライラしている
「俺はなあ拘束されるのが嫌いなんだ」
南極基地で人体実験に近いことをされていたから
ジョオの言うことは分かる
でも身の振り方がわからない今は最優先されるのはより良い環境を選ぶことだ
ジョオを牽制しつつアルフィルクは言葉を選んだ
「今の俺たちは南極基地での恵まれた環境にはない、多分これからもないだろう」
「だからザフトに下れと?」
「下るんじゃない、売り込むんだ」
「?」
「俺たちがコーディネーターの後継者であることを証明するんだ」 ジョオも今のコーディネーターの出生率が低いことを知っている
原因不明のその現象は未だに解明されない
かつてデュランダル議長は事実上コーディネーター中心の世を作ろうとした
ナチュラルが自発的にコーディネーターを産み出す社会を作って数を増やそうとした
しかしそのプランはナチュラルだけでなくコーディネーターからも否定された
人の多様性を失う独裁国家の発生が懸念された
今のデステニー国家はその危惧が実現さてしまったものと言うことも出きる
その懸念を解決する方法としてブロッサムというナチュラルの進化体がコーディネーターの意思を
継承することができたなら
ジョオは自分の居場所を見つけたような気がした 博物館に一組の男女がたっている
彼女たちは巨大なロケットの展示物の前にいた
かつてこのロケットで人は月に行ったと言う
「ニッケルマン」
女は男の名を呼ぶと言葉を続けた
「悔いることはない、あの戦いでブロッサムの価値は世界に知られることになった」
ニッケルマンと呼ばれた男は女を見る
「私は負け、アルフィルクはシンに負け捕虜になったとしてもですか」
予想された反論だなといった目で女はニッケルマンを見る
「人は可能性にすがっていきる者だ、ナチュラルはブロッサムと言う可能性を見る事ができた」
「長期的視野での勝利と言う事ですか」
「既にデステニー国家群ではブロッサム遺伝子を持つ人間の捜索が始まっている」
「しかし、メタファイア様」
メタファイアと呼ばれた女は笑顔を見せる
「自然に産み出されたものだけが地球圏にあればいい」 モニターに地球の地図が表示される
「今の戦況は?」
「はっ、この三週間で新たにデステニー主義を宣言した国家は3つになります」
「これで地球の主要国でオーブ以外は全て押さえたことになるな」
メタファイアは半分以上群青に染まった地図を見ても安堵しない
ブルーコスモスの思想を一部引き継ぐ彼女たちは自分達のイメージカラーを群青に決めていた
群青は深海の海の色
深海こそ地球の生物の原点であるとテックプリズナーは考えている
壁の一部には深海で発見された宇宙生物の化石が展示されている
それは木星で発見された宇宙クジラのそれと全く同じものであった 博物館に数人の男女が入室してくる
「彼らがその国で徴収されたブロッサムです」
軍人としてはあどけない表情をした若者たち
多分彼等は自身にどんな力があるかも知らないだろう
メタファイアは彼等の一人の少年の前に立つ
少年はおどおどしていた
突然メタファイアはその少年とキスをする
唇を離すと少年はその場で膝をついた
「まだ軍人としてはいまいちの様だな」
「今から訓練を行います」
「まあいい、彼等をすぐ使うつもりはない」
メタファイアは少年を引き起こす
「重要なのはコーディネーターに未来がなくなった事をはっきり見せつけることだ」
「それは」
「私たちナチュラルがコーディネーターと相討ちになれば良い」 オノゴロで打ち上げの準備に入っていたザフト戦闘艦ケイラホズに一報が入ったのは
打ち上げ3時間前の事である
「デステニー国家から次々と戦艦らしき物体が打ち上げられています」
第二次連合プラント大戦以降地球側は宇宙空間に戦力を増強する事はなかった
これは地球側が戦略を変更したことを意味する
恐らくケイラホズが軌道上に出たときには地球連合艦隊は布陣されることになるだろう
「テックプリズナーが裏で糸をひいている…か」
宇宙に展開しているザフト艦隊はプラントに結集し始めていた
これでは第三次連合プラント大戦が起きてしまう
しかしシンは知らなかった
南太平洋中心部の海底に巨大な人工物が建設されていることに 南太平洋の中心部は海流もなく酸素がないためわざわざ寄ってくる生物はいない
その深海では巨大なレンズ状の物体が建設されていた
直径は20キロを越える
レンズの下の海底部には10を越える核融合炉が建造され既に運転されていた
融合炉のそばではもと連合のMSディープフォビトンが警護している
「この深海ではザフトの軌道上からのチェックで見つけることはできない」
男はこの仕事の後宇宙に上がることになっている
海底でこのMSのOSの改良を行っていた
今のOSならザフト相手に後塵を拝することはないだろう
コクピットには写真が飾られていた
男の尊敬する科学者だ
男はその写真に誓う
「コーディネーターを産み出した先人の過ちは我々が訂正する」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています