水島インタ
―― 「場作り」とは?
みんなが仲良く共存できる場、ですね。
皆が1人ひとり、隣の人間と向き合って、相互に理解し合って距離を置くことも含めて付き合えるようになれば、
それぞれの繋がりが“大きなひとまとまり”になる。皆がゆるやかにひとつにまとまれば、
大きな諍(いさか)いは生まれないんじゃないかと。

―― “大きなひとまとまり”というのは、一種のコミュニティでしょうか。
そうですね。「ダブルオー」では、それをわかりやすく「地球」というふうに描いているんですけれども。
皆が「地球」という1つのコミュニティを共有していると考えて、その「場」を大事にすれば、
所属の違い、立場の違いで大きく対立することもなくなると思うんですよね。
「ダブルオー」で描いている国家間、勢力間の対立は、僕たちのいる世界、
職場や学校や近所なんかで起きている諍いと似ています。イコールではないけれど、それらを反映しているのも確かです。
「所属と立場の違い」は、それだけ諍いに発展しやすいという。
作品ではここをゴールにしようという着地点も決めているのですが、登場人物それぞれが、
どうしたら自分たちが住む世界の争いをなくせるかと考えて、動いていくような形にしたいと思っています。
どうしたらこの世界がみんなが繋がって、豊かな、平和なものになっていけるか。
国や宗教や人種という「所属」以外のところで、人は1つになっていかなきゃいけない、なろうよ、というふうに持っていこうと。
ひとりひとりが、所属や立場を超えて隣の人と手を繋ぐことができれば、争いはなくなる、
世界平和でさえ夢ではないと、僕は結構本気で信じているんですよ。