から少女は予測した。
きっとこれから先、身のうちに渦巻く衝動を制御しようと精一杯になると。身体が勝手に動きそうになる度に、木曾の言葉を、夕立の存在を、ここで無理しても何にもならないという現実を思い出して、
心にブレーキを掛けなければと。
悪癖に振り回されるのは、もう懲りたのだ。これからはちゃんと制御しなくちゃいけないと、これまで以上に心を殺して凍らせて、強くあらねばと覚悟した。


「なにも為し得ないまま死に損なった者」の責任として義務として、護れねばと。


でも結果的にそうはならなかった。いっそ呆気ないぐらいに、どこまでも冷静でいられた。

(情けないけど、こんなの初めてだ。理由はなんだろう・・・・・・どこかに取っかかりが、ある筈なんだ)

少女は初めて、その意図とは異なる要因で、己の暴走を制御できていた。
恐怖は紛れもなく本物であったのに。心を殺すまでもなく、己が身に代えてでもと思うまでもなく、受け止められていた。
それがとても、響にとっては不思議だった。いつの間にか心の有り様が、少し変わっている。イヤな気分ではなかった。

「――響ッ! ボーッとしない!!」

突然の叱咤に、思考を中断させる。
気付けば一発の魚雷が目前にまで迫っており、響は慌てて両肩部25mm連装機銃で迎撃した。

「ッ!? ・・・・・・あ、Извините。ちょっと考え事、してた」
「もう。そろそろ免許皆伝してもいいかなって思ってたのに。これじゃあまだまだ卒業には遠いっぽい?」
「え、そうなの?」
「だって実際、戦闘技術で教えられるコトってもう殆どないっぽいし。でも仕方ないから、もうちょっとだけ師匠役を