X



新人職人がSSを書いてみる 35ページ目
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001通常の名無しさんの3倍 (ワッチョイ 1bd2-BQKd)
垢版 |
2018/06/19(火) 19:16:43.69ID:O8vHynnR0
新人職人さん及び投下先に困っている職人さんがSS・ネタを投下するスレです。
好きな内容で、短編・長編問わず投下できます。

分割投下中の割込み、雑談は控えてください。
面白いものには素直にGJ! を。
投下作品には「つまらん」と言わず一行でも良いのでアドバイスや感想レスを付けて下さい。

現在当板の常駐荒らし「モリーゾ」の粘着被害に遭っております。
テンプレ無視や偽スレ立て、自演による自賛行為、職人さんのなりすまし、投下作を恣意的に改ざん、
外部作のコピペ、無関係なレスなど、更なる迷惑行為が続いております。

よって職人氏には荒らしのなりすまし回避のため、コテ及びトリップをつけることをお勧めします。
(成りすました場合 本物は コテ◆トリップ であるのが コテ◇トリップとなり一目瞭然です)

SS作者には敬意を忘れずに、煽り荒らしはスルー。
本編および外伝、SS作者の叩きは厳禁。
スレ違いの話はほどほどに。
容量が450KBを越えたのに気付いたら、告知の上スレ立てをお願いします。
本編と外伝、両方のファンが楽しめるより良い作品、スレ作りに取り組みましょう。

前スレ
新人職人がSSを書いてみる 34ページ目
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/shar/1499781545/l50

まとめサイト
ガンダムクロスオーバーSS倉庫 Wiki
http://arte.wikiwiki.jp/

新人スレアップローダー
http://ux.getuploader.com/shinjin/ 👀
VIPQ2_EXTDAT: default:vvvvv:1000:512:----: EXT was configured 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:669e095291445c5e5f700f06dfd84fd2)
0213通常の名無しさんの3倍 (ワッチョイ 1af7-GpIZ)
垢版 |
2018/11/05(月) 19:27:08.09ID:YJT0goo60
気持ち悪wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
お前がエイズになっただけじゃねーかwwwwwwwwwwwwwwwwww
0214通常の名無しさんの3倍 (ワッチョイW 9a24-n0hs)
垢版 |
2018/11/05(月) 19:42:41.66ID:HDF9vehs0
>>212
エイズ野郎は二度と書き込むなスレが汚れるんだよ
0218ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 16:40:34.00ID:T/pq6Qnt0
はい、残念ながら埼玉県人の私です。
今回は当SSを構成するオリジナル設定を集めた資料集を投下させて頂きたく。

テンプレには、
設定資料、人物紹介、クロス元の作品紹介は出来うる限り作品中で描写した方が良いです。
とありますが、
私が作中で紹介し損なったものや、紹介すると話が逸れると判断したもの、そもそも描写する必要がないものを、キャラが台本形式で解説したり感想を言ったりする形式で纏めさせてもらいたと思います。
まったくもって必読ではありませんが、ウィキペディア等で機体データとか技術設定とかを読むのが好きな人には楽しめる出来にはなっている・・・・・・といいなぁ。

主に新型デスティニーの為だけの設定集です。分量がいつもの1.5倍近くになっていますが、もし宜しければおつきあいください。
0219ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 16:43:02.58ID:T/pq6Qnt0
キラ
「こんにちは。なんか主人公をやらせてもらってるキラ・ヤマト改め、キラ・ヒビキです。
台本形式はこういう時のお約束? みたいなものらしくて、いつもとは勝手が違うけど・・・・・・付き合ってもらえたら嬉しい、かな。
えぇと、当SS【艦これSEED 響応の星海】は『ぼくのかんがえたさいきょーの劇場版ガンダムSEED』×『艦隊これくしょん』のクロスオーバー二次創作になりますが、今回はガンダム側のオリジナル設定を、
こんなノリで茶番と解説を交えつつ幾つかの設定を資料集として公開することになりました。第一弾なんだって」


「なお注意点というか、前提として。
この設定集で紹介するモノはあくまでバックグランドを構成するもので、必読ではない。これを読まずとも普通に楽しめるSSを書くことを作者は心掛けている・・・・・・らしい。
つまり知ってたらちょっと本編が楽しくなる、程度のものでしかないわけさ。例えるならWikiみたいなデータベースだね。ここで初出の用語なんかも沢山登場するみたいだけど、別に知る必要も覚える必要もないから、
適当に読んでほしいそうだ。・・・・・・の割に、14話は露骨に設定集に誘導しようとする書き方だったように思えたけど。
あと公式外伝アストレイの設定全般は意図的に無視してるので、そこんところも宜しくだそうだ。
あ、紹介が遅れたね。特三型駆逐艦二番艦の響だよ。我ながらしち面倒くさい性格の私も、何故だか主人公ってことになってるんだけど・・・・・・しかもヒロインも兼ねてとか正直こなせてる自信はないな。
巷で流行ったフリーダム響が羨ましいよ」

キ「大丈夫だよ、きっとちゃんと出来てるって。・・・・・・少なくとも僕よりはマトモに出来てると思うよ」
響「ああ・・・・・・原作におけるキラの扱いについては、シン・アスカの扱い共々未だに尾を引いてるみたいだね。でも、近年はネタに昇華されつつあると聞くけど」
キ「だと良いけどさ。その主人公云々とかヒロインとの関係云々とか、僕というキャラにあんまり良い印象持ってない人が結構多いってイメージが僕自身の中にあるよ・・・・・・」
響「そこはほら、そういう時代だったって割り切るしかないだろう。とやかく言っても仕方ないさ。
・・・・・・っていうかさ、今更だけど私がヒロイン役だって? ならそのうちキラとくっついたりするの? ・・・・・・愛とか恋とか、教えてくれるのかい?」
キ「じゃあ作者憧れのメタ会話を軽くこなしたところでね、早速いってみよう。お品書きは以下の通り」
響「見事なまでにスルーしたね」

1章・シンの機体について
2章・C.E.74〜78の軍事技術等について
3章・本編に登場予定はないけどC.E.では重要なポジションに就いていたとある機体について

響「計3章だね。この第一弾では12話で触れたプランやシステムについての再掲とか、新型MSとそれに使われた技術についての詳細とかを語っていくよ。それと、1と2と3の内容は結構絡み合ってるから、
行ったり来たりして見比べないとわかりにくいかもって。データベースとしてそれはどうなんだい・・・・・・?」
キ「作者さんの力量不足としか言えないんじゃないかな・・・・・・。文章力とか構成力とか。そうそう、艦これ世界側の設定は第二弾で扱う予定だから、今回の艦これ要素は限りなく0に近いみたい。
まぁそれはそれとして、とりあえずはデスティニーについて見てみよう」
0220ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 16:46:02.18ID:T/pq6Qnt0
1章・シンの機体について

GRMF-EX13F Riot-Destiny
ライオット‐デスティニー
全高:17.99m
重量:72.68t

シン・アスカを専属パイロットとして開発された、GRMFシリーズ全領域対応型換装機系統13号機。
元来シン・アスカに合わせて調整されていた【ZGMF-X42S デスティニー】の特性を継承しつつも更に踏み込み、パイロットの変則的かつ特殊な要求にも最大限応えられるよう建造された機体である。

本機は万能性と拡張性を極限まで高めた機体が、状況に応じて複数開発された『特定のコンセプトに沿って多数の兵装を1つのフレームに集約させた専用複合兵装』を組み合わせて装備することで戦場を「能動的」に
支配するという、従来の換装機の形をより簡易化・洗練化させた『完全掌握戦闘』を設計思想としている。
これまでの換装機はその祖である【GAT-X105 ストライク】に倣い、汎用性に秀でた素朴な機体をベースとし、敵の数やその特性、地形等といった要素から最適な戦術を選択、僚機や基地の全面支援を前提として戦場へ
向かうという「受動的」な形態がポピュラーであった。一見あらゆる状況に対してフレキシブルに立ち回れるとされがちな換装機だが、その実情は常に状況に対して電撃戦を仕掛けるか後手に回るかの二択であり、
巨大なバックパック型のユニットの換装に必要な手間も含め、刻一刻と変化していく戦場に換装機能のみで対応しようとするほど泥沼に嵌まってしまう一面も持っている。
これはあらゆる選択肢を持っているからこそ陥りやすい運用面での罠であり、これを完全に克服するにはバックアップが充実した大部隊で運用するか、【ZGMF-X56S インパルス】のように専用設備を有した母艦や基地と
連携するしかなく、そのどちらにせよ戦場での換装の際には絶対的な隙を数秒間晒す必要があった。

単騎での戦場制圧を望まれるGRMF-EXナンバーに名を連ねる本機は、それら換装機の負の要素を総て逆転。単体で先代機を超える戦闘能力を備えた万能機を、手軽に換装できる【専用複合兵装】によって
連続的に特化機に仕立てる上げることで、真の意味であらゆる状況に対してフレキシブルに立ち回り、且つコントロールできるMSとして完成した。
それを実現可能としたのが本機最大の特徴でもある、機体各所に連結可能な全12基の【マルチアーマメント・バインダー】、
第四世代式ドラグーン‐システムで運用される無人大型飛行武器庫【シルエットフライヤーMk‐V】、
機体の状況に応じて機体環境を随時能動的に最適化させる【対話型火器管制支援AIユニット】、そして四肢にそれぞれ搭載された小型高出力ジェネレーターユニットと超高伝導強制冷却装置による
過剰なまでの大出力であり、これらはシン自身の戦闘データやアーサー・トラインら元ミネルバクルーの助言を参考にして搭載されたという経緯をもつ。

敵の反撃を許さない超攻撃的な戦闘能力を持ちながらも、その機体構造自体はシンプルであるが故に堅牢性と信頼性は非常に高く、本機はMSとしての常識を覆す多角的かつ高度な戦術を瞬時に採択できる
史上最もタフでクリエイティブな機体なのである。
0222ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 16:48:53.01ID:T/pq6Qnt0
【基本装備】

[AMI-CGU09S 20mmチェーンガン]×2
両側頭部に搭載された小型電磁駆動式小口径高初速機関砲モジュール。


[PE-EC/RD510A『エストレーモ・フィオキーナ』高エネルギー多用途拳部ビーム砲]×2
両AMI-SS/RD013G先端部に装備された、高出力オープンバレル型小型ビームキャノン。
ABS徹甲炸裂式高エネルギービームスパイクの形成と、短射程収束型ビームの射出が可能。また、可変式オープンバレルを構成するクラスタ型ECC形成機構は、接触したビームシールドやサーベル等を形成する
特殊電磁場そのものに干渉可能であり、更に徹甲炸裂式スパイクを打ち込むことで敵機のビームデバイス自体に直接ダメージを与えることができる。


[PE-EC/RD500L『カヴィッリア・マルテーロ』高エネルギー多用途踝部ビーム砲]×2
両アンクルガード外側部に搭載された、高出力旋回式小型ビームキャノン。
ABS超高反発式高エネルギービームスパイクの形成と、短射程速射型ビームの高速射出が可能。超高反発式スパイクは扱いが難しいものの、極めればデストロイ級MSですら弾き飛ばすことができるポテンシャルを持つ。


[DMI-QB05『ヴォーパル・エッジ』ビームブーメラン]×4
両ショルダーガード末端部と両サイドスカート前部にマウントされた第三世代式ビームブーメラン。
二枚刃型のビームブーメラン、ロングビームサーベル、対装甲大型実体ナイフとして機能する。


[EAAWU-VF/RD10 機動兵装ウイング]
背部メインスラスター基両脇に備えた左右5対の計10枚から成る、PE-SW/RD02S『アーレ・スパーダ』高エネルギー収束ビームウイング発生装置を内蔵したSRCPSスラスター搭載型大型複合可変翼。
四肢のジェネレーターを最大稼動させた「エクシード‐シフト」時では、その莫大な出力でもって瞬間移動と見紛うほどの凄まじい瞬発力と加速力を発揮しつつ、
長大なビームサーベルと化した光の翼によって敵機をすれ違いざまに切り刻むことが可能となる。


[EAAWU-VF/RD10S 機動補助ウイング]
両サイドスカート後部に備えた左右3対の計6枚から成る、ミラージュコロイド散布・制御装置一体型のSRCPSスラスター搭載型小型複合可変翼。
「エクシード‐シフト」時では、周囲半径10km以内の敵機のセンサー・レーダーシステムを麻痺させる強力なジャミングフィールドを展開することができる。
0223ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 16:51:30.08ID:T/pq6Qnt0
[PE-BSE014『ベルフェクト・フルゴール』ビームシールドジェネレーター]×2
両PE-EC/RD510A上部に装備されたECC型高出力ビームシールド発生装置。
機動兵器が持ち得るデバイスとしては最高峰の防御性能を発揮する装備であり、ABSバレットを除くあらゆる攻撃を完全にシャットアウト可能。


[AMI-SS/RD013G 強化型ラミネート・アンチビームシールド]×2
両前腕部に装着された可動式ガントレット型ELABシールド。
小型ながら旧式のMS用大型ラミネート・アンチビームシールドと同等程度の防御力を有する。また、ELラジエーターユニットとしての機能も最大限利用する為に、先端部に搭載されたPE-EC/RD510Aと
PE-BSE014をサポートする役割も担っている。


【DMI-DF/RD10E シルエットフライヤーMk‐V搭載装備】

[DMI-DO/RD07B マルチアーマメント・バインダー]×12
専用複合兵装の運搬と機体制御補助に特化した、【対話型火器管制支援AIユニット】によって管理・制御される簡易型第四世代式ドラグーンユニット。
機体制御補助コンピュータユニットと小型ジェネレーターを有するバインダーは、1基につき専用兵装を1基懸架可能であり、底部に装備されたフレキシブルアームを介して他バインダーや機体各所に設けられた
ハードポイントと接続できる。懸架された各種専用兵装はAIを通じて独自に展開・使用が可能であり、採択できる戦術の拡大に貢献している。


[PE-R21『イザナミ』ビームライフル]×3
フライヤーの主武装としても運用される、衝撃力と速射性に優れた高出力ビームライフル。
MA-BAR78Fに類似した形状を持ち、ストック部にはECC型高エネルギービーム刃を形成するPE-SE05『イザナギ』ビームサーベルを1基マウントしている。


[PE-GS/RD25F『レーヴァテイン』ハイデンシティ大型ビームソード]×2
オーバードライブ‐システムを搭載した、MPS製の芯とEVPS製の外装を有する全長23mの片刃型中折れ式専用斬艦刀。
ビーム発振器部に導入された複列位相式高エネルギー体共振制御システムにより、同世代機のものとすら一線を画する程の、桁違いの出力のビーム刃を形成可能。
荷電式超高周波振動刃にECC型高エネルギービーム刃を纏わせる特殊複合刃を採用しており、刃渡り16mの大型実体剣、最大で1000mにも達する超大出力ビームソード、二刀の柄同士を連結した双刃型の薙刀、
高出力中射程ビーム砲としての機能を備える。
非使用時はDMI-DO/RD07Bだけでなく、本体のハードポイントにも直接マウントが可能。また、鍔部にはPE-GS/RD24D『ミストルティン』ビームダガーをマウントしている。
0224ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 16:54:19.01ID:T/pq6Qnt0
[PE-GC/RD07M『ティフォーン』ハイデンシティ多用途プラズマビーム砲]×2
オーバードライブ‐システムを搭載した、通常のビームシールドであれば確実に突破することができる性能を有する全長21mの大出力中折れ式専用プラズマビームランチャー。
可変式ロングバレルの形態によりその破壊力を維持したまま、狙撃・照射に適した長射程の「ブラスター‐シフト」と、速射・拡散に適した短射程の「ブレイカー‐シフト」との使い分けができる。
更にESFバレルを展開する対艦用の「デストロイ‐シフト」では、掠めるだけでMSを撃墜してしまう強力なプラズマの奔流を広範囲に撒き散らす性質を有した、
新鋭戦艦の陽電子砲クラスの超高威力ビームを射出可能となる。
また、ストック部にはPE-LC/RD05H『エキドーナ』ヘビーレーザーキャノンを内蔵している。


[FMA -PUC24C『ミトラス』中距離多目的複合重砲ユニット]×2
フレーム上部に200mm径14連装中距離誘導ミサイル発射管と110mm径8連装短距離高機動誘導ミサイル発射管2基と36mmショートレールガン2基を、
下部に240mmレールキャノンと3銃身80mmガトリングガンを懸架した実弾兵器特化の重砲撃戦用装備。


[FMA -PUC28C『ヴァルナ』中距離多目的複合重砲ユニット]×2
 フレーム上部にオープンバレル型伸縮式ビームショットガンと3連装ビームマシンガン2基と6連装回転式大容量エネルギーパックユニットを、
下部に2連装高エネルギー収束ビーム砲と3銃身ビームガトリングガンを懸架したビーム兵器特化の重砲撃戦用装備。


[FMA-PUS32A『ブリューナク』高機動戦闘補助モジュール]×2
フレーム上部に短射程2連装高エネルギーパルスレーザーガン一体型プラズマチャージャーポッドと旋回式ハイブーストスラスター基を、
下部にELラジエーターユニット一体型三次元複合空間認識センサーユニットと格闘戦用トライデント型ロケットアンカー射出機構を搭載した近接高速戦用装備。


[FMA-PUS35A『アインヴァル』局地戦攻略補助モジュール]×2
フレーム上部に16mmチェーンガン搭載型2連装300mm多目的リニアランチャーと70mmマインニードルガンを、
下部にゲシュマイディッヒ・パンツァー展開機構と高エネルギーフォノンメーザー砲内蔵型格闘戦用ハンマークロー型ロケットアンカー射出機構を搭載した水中・施設内戦用装備。
0226ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 16:58:49.87ID:T/pq6Qnt0
[FMA-PUS54S『ヤグルシュ』拠点防衛戦闘支援モジュール]×2
 フレーム上部に5連装回転式マガジンユニット搭載型350mmマルチプルロケットランチャーとデルタ型有線式リパルシブフィールド発生装置3基を、
下部に長射程ヘビーレーザーキャノンと95mm径18連装対MS中距離高速誘導ミサイル発射管2基と三次元複合空間認識センサーユニットを搭載した後方支援・防衛戦用装備。


[FMA-PUS55S『アイムール』広域戦術管制支援モジュール]×2
フレーム上部に広域超分解能多次元量子レーダーユニットと旋回式マルチブレードアンテナとデュートリオンフィールド展開機構を、
下部に高指向性NJウェーブ照射ユニットと300mm二段加速式超長距離精密狙撃用ロングライフルと230mm径10連装対艦長距離高速誘導ミサイル発射管を搭載した後方支援・電子戦用装備。

【特殊装備】

積層式EVPS装甲
VPS / MPS複合骨格
SRCPS推進機構
ヴァルキュリア‐システム
ブリュンヒルデ‐システム
ミラージュコロイド散布機構
RD専用対話型火器管制支援AIユニット「デスティニー」
自己修復型マイクロマシナリーテクノロジー

響「Это ужасно(これはひどい)。なんかのっけから専門用語のオンパレードが・・・・・・」
キ「専門用語というより、造語の嵐だね。これは2と3と併せて読まないとチンプンカンプンだ。あくまで、C.E.78後期にロールアウトした機体のデータでしかないから。
それと作者としては設定画も描きたかったらしいけど新型フリーダムだけで力尽きたそうだよ」
響「フィーリングが伝わればいい・・・・・・のかな? とにかく、こんな機体にシンが乗ってるんだぞって。
私達の世界に転移した時点で武装の大半を喪っていて、エンジンその他諸々も機能不全になってたんだってさ。よく稼働可能レベルまで持ち直したもんだよ。
・・・・・・設定画については、物好きな誰かに描いてもらうのをほんのり期待しよう」
キ「えー、SSでの初出はシンと天津風のラッキースケベを描いた短編だね。
あれの日付は11月26日って設定で、この設定集投稿時点での最新話は、デスティニー初出撃を描写した14話――つまり11月11日なわけだから、短編が若干ネタバレになっちゃってるのか」
響「あんなに仰々しく出撃して、後にみんな無事に帰還し、ゆっくり整備に没頭できる状況になっていると。
現在進行形で渦中にいる私達にとっては、朗報なのか拍子抜けなのか・・・・・・」
キ「といってもまだまだ序盤らしいからね、僕達の物語。作者さんの構想だと先はまだまだ遠いみたい。これぐらいネタバレでもなんでもないのかも。ゼノブレイド2のPVにヒカリがいたようなものだよ」
響「私達の鎮守府、苦戦しかしてないんだけど・・・・・・これまだ続くの?」
キ「頑張るしかないよね。じゃあ次は、こんなデスティニーの形作るC.E.の技術についてかな」
響「・・・・・・うわぁ。これまた無駄に拘ってる上に、無駄に長い・・・・・・読むのも一苦労だ」
0227ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:02:44.56ID:T/pq6Qnt0
2章・C.E.74〜78の軍事技術等について

【ユグドラシル‐プラン】

C.E.75Marに新地球統合政府が打ち出した外宇宙開拓を主眼とした全国家参加前提の世界復興計画。
ユニウス戦役において故ギルバート・デュランダルが【デスティニー‐プラン】導入の前準備として行ったロゴス解体とそれ伴う既存の経済システムの破壊は、それにとってかわる筈だったプランが結果的に
導入されなかったことで、世界を史上最悪の混乱状態に陥らせた。ロゴス壊滅による経済破綻・インフラ崩壊、二度の大戦によって減少しすぎた総人口、加速的に悪化していく自然環境、自らの行為に恐怖し疲弊した心、
暗躍するテロ組織等といった数多の問題は混乱を更に拡大させ、戦後の復興活動に対する大きな壁として立ち塞がった。
それらへの対処こそが、新地球統合政府の役目である。
政府は問題に対応する為に、複数の巨大な公共事業計画を提示・主導し、全人類に自主的に従事させることによりインフラの整備と雇用問題の解決、人類の活性化、世界の復興を並行して達成させようと画策した。
それは、まず目の前の派手なパフォーマンスに取り込ませることで、細々とした精神的な問題を先送りにしたい政府の苦肉の策であり、時間稼ぎの一手でもある。手法や目的としては再構築戦争後の宇宙開拓ブーム、
第二次世界大戦直前のアメリカやドイツでみられた経済政策の再現であり、それを指摘・批判する声も少なくない。
そうした状況下で立案・実行された【ユグドラシル‐プラン】は、以下9つの要素から構成される。

1・地球主要都市及び宇宙国家プラントの復興。
2・新経済システムの構築とそれに伴う法の整備。
3・オービタルリング型自律型惑星防衛機構『ノルン』の建造。
4・第一軌道エレベーター『ウルズ』、第二軌道エレベーター『ヴェルザンディ』、第三軌道エレベーター『スクルド』の建造。
5・ヴァルキュリア‐システムによるバブル型亜光速航法理論とゲート型超光速航法理論の確立。
6・非回転型自律巡航式宇宙コロニー『ニダヴェリール』シリーズの建造、それによる火星圏と木星圏の探査及び開拓。
7・超巨大外宇宙探査・移民用環境宇宙船『ヴァナヘイム』シリーズの建造、それによる外宇宙の開拓。
8・地球環境の回復。
9・外宇宙進出による、総人類ネクスト・ステージ移行の促進。

これらを最大の目標としているが、実際に総てをクリアするには技術と時間と資源がいくらあっても全く足りず、超巨大外宇宙探査用環境宇宙船の建造とゲート型超光速航法理論の確立を抜きにしても
100年以上の歳月は必要不可欠と考えられている。その為、この遠大で夢物語に等しい計画は、途中であってもある程度復興が進み、世界情勢が鎮静化した時点で目的は達成されたと判断される。
その一方でオービタルリングと軌道エレベーター、バブル型亜光速航法理論、人工重力制御技術による非回転型自律巡航式宇宙コロニーはC.E.80 apr時点で実用化寸前の段階まで漕ぎ着けており、
これは当初の予測を大きく上回る快挙であった。皮肉にも戦争によって高められた工業力と技術力の産物ではあったが、これにより宇宙開発と地球復興の速度は大きく向上するだろうと見込まれている。
0228ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:06:01.72ID:T/pq6Qnt0
【ユグドラシル‐プラン】はその名の通り、北欧神話をモチーフとしている。
北欧神話では、宇宙を形作る9つ世界における神々の闘争が主題とされており、全てはやがて訪れる最終戦争で滅び消え去り、より良き新しい世界が誕生するのだという。 ならば今のこの世界は最終戦争を終えたばかりの、
いずれ消えゆく世界なのではないだろうか。そして未来に芽生えるより良き新世界の礎ではないだろうか。そうした想いから新地球統合政府は闘争の終焉を願い、
一連のプロジェクトやシステム名に北欧神話由来の名を与えることにした。
それは【デスティニー‐プラン】とは対極に位置する、不確かな未来に希望を託す行為であるといえる。


響「これは12話でシンが語ってたヤツの再掲かな。世界樹計画ってだけあって、今のC.E.世界の根底を支えているものなんだよね?」
キラ「そうだよ。ガンダム側の設定のほとんどがこのプランと何かしらの関わりがあるから、抑えておきたいところだよ。
というのも、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のその後である『劇場版』を妄想する時に、真っ先に考えるべきは地球圏の復興がどれくらい進んでるかっていう舞台設定だから。あんまり荒廃したままだと、
そもそも新型MSなんて造ってる余裕なんかないだろうし、かといってその逆はあまりにもリアリティーがない。復興活動をしようにもロゴスと運命計画がないから、結局立ち往生しちゃうんじゃないかなって思う。
そこで考えたのが・・・・・・まぁ誰でも思いつくであろうこの世界樹計画と新地球統合政府なんだよね。
この二つについての批評は12話でシンがやってくれてるから、そっちも参照してほしいな」
0230ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:10:13.83ID:T/pq6Qnt0
【GRMFシリーズ】

Gamut
Repress
Maneuver
Fighter
「全領域制圧可機動戦闘兵装」

GRMFシリーズとは旧地球連合とプラントの統合を経てC.E.75 Janに成立・発足した、新たな全地球規模の国際組織である「新地球統合政府」直属の設計局が開発したMS群に使用される機体系統の形式記号の一つであり、
主に旧ザフトのZGMFシリーズに相当するような汎用性の高い有人式人型戦闘機種に用いられる。
なかでもGRMF-EXナンバーは、それの上位機体として元プラント統合設計局所属メンバーが主導で開発する、専属のエースパイロットにのみ搭乗を許された所謂「ガンダム‐タイプ」の高性能MS群である。

その存在意義は「健全な抑止力」である。統合政府とそれに付き従う国家を敵視し、テロ行為を散発的に繰り返す小規模組織が少数といえども存在する情勢、彼らが奪取・運用する前大戦の機動兵器を無力化し
効果的に戦意を喪失させるにはやはり、圧倒的であり尚且つ長距離高精密誘導高速ミサイルや大量破壊兵器に頼らない、明確な「個」を備えるプロパガンダも必要であった。
もとより新時代を担う新地球統合政府が運用する機動兵器として、いかに高性能であろうとZGMFシリーズやGATシリーズといった「前大戦の遺物」は相応しくないという世論があり、
そこにUltra Compact型デュートリオン核融合炉やMPSマテリアルをはじめとした新型相転移金属各種といった革命的新技術が次々と登場したことが後押しとなって、新たなMSの規格を開発しようとする流れが
生まれたのだった。そこには複雑化・細分化の一途を辿っていったMSの構造及び系統を一旦簡易化・統一化する狙いも含まれている。
なお、表立った活動こそ制限されているもののZGMFシリーズやGATシリーズもいまだ現役であり、まだまだ成熟しきっていないGRMFシリーズをサポートする形で運用され続けている。

試験機である【GRMF-X01A セカンド‐ストライク】の働きや、ノルン条約締結によって定められた核駆動炉搭載機動兵器保有制限、敵対勢力に奪取・鹵獲される可能性等を鑑みた結果、
MPSマテリアル以外の新型相転移金属各種やUC型デュートリオン核融合炉といった最先端技術はEXナンバーにのみ採用されることが決定。
通常のGRMFシリーズは改良型デュートリオンエンジンやELABシールド、VPS / MPS複合骨格、標準化の進むビームシールドに対抗する為のABSバレット射出兵装、
全天周囲モニター対応型自由回転式球状コクピットモジュール等といった準先端技術を標準装備とすることと相成った。

GRMFシリーズの型式番号は、機体の特性やコンセプトに最も適合した系統記号と、その系統内での実験機・試作機等もカウントした通しの開発ナンバーとを組み合わせたものが贈られる。なおC.E.80Apr時点で
計26種がロールアウト、内14種が量産機として少数生産・実戦配備するに至っている。
その主な任務は、新地球統合政府が打ち出した【ユグドラシル‐プラン】によって建造される外宇宙開拓拠点や深宇宙探査任務用無人MS群GSXシリーズの警護、
反統合政府勢力やテロ組織といった敵対勢力への牽制・制圧である。
0232ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:13:53.41ID:T/pq6Qnt0
【GRMFシリーズの系統記号】

汎用機系統
A・全戦域対応型汎用機
B・格闘戦重視型汎用機
C・射撃戦重視型汎用機
D・機動戦重視型汎用機
E・電子戦重視型汎用機


換装機系統
F・全領域対応型換装機
G・装甲増設型換装機
H・機構分割型換装機
I・装甲換装型換装機
J・局地戦特化型換装機


可変機系統
K・戦術増強型可変機
L・戦略変更型可変機
M・戦域変更型可変機
N・局地戦特化型可変機
O・電子戦重視型可変機


戦術特化機系統
P・高機動遊撃特化機
Q・重兵装強襲特化機
R・重装甲防御特化機
S・特装単独任務特化機
T・広域戦術管制特化機


局地戦特化機系統
U・陸上戦闘特化機
V・空中戦闘特化機
W・水中戦闘特化機
X・施設内戦闘特化機
Y・高重力戦闘特化機
Z・無重力戦闘特化機
0233ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:18:08.07ID:T/pq6Qnt0
試作実証機
GRMF-X01A セカンド‐ストライク ・・・ 各種最新技術の情報収集と試験評価を目的とした試験機
GRMF-X01F ジャベリン ・・・ 「クラスタジャケット‐システム」の試験評価を目的とした試験機
GRMF-X01S ロプト ・・・ ロキス・ローランがテストパイロットを務めた、隠密任務を主とした試験機
GRMF-Y07A イレイザー ・・・ 量産型ジャスティスをコンセプトに開発された、エース用の高性能汎用機
GRMF-Y05C ケイオス ・・・量産型フリーダムをコンセプトに開発された、エース用の砲撃戦用汎用機
GRMF-Y03H アウェイク ・・・ 量産型インパルスをコンセプトに開発された、エース用の高性能換装機
GRMF-Y05K アイギス ・・・ イージスの変形機構を継承した高機動近接戦用可変機

制式量産機
GRMF-02A ヴァン ・・・ 旧ザフト系MSの流れを汲む、新地球統合政府の主力汎用機
GRMF-04A ヴァルク ・・・ ヴァンの上位機として開発された、熟練者向けの汎用機
GRMF-03B オーガ ・・・ 前衛としての近接格闘戦に長けた白兵戦用汎用機
GRMF-02C ユーゼス ・・・ 中衛としての火力支援に長けた射撃戦用汎用機
GRMF-03F セガール ・・・ 旧連合系MSの流れを汲む、新地球統合政府の主力換装機
GRMF-09F セルージュ ・・・ セガールの上位機として開発された、熟練者向けの換装機
GRMF-07K メサイア ・・・ セイバーの変形機構を継承した高機動射撃戦用可変機
GRMF-03M シュドナー ・・・ ガイアとアビスの特性を併せ持った、陸上戦と水中戦をこなす可変機
GRMF-04O ディスターブ ・・・ 情報撹乱や妨害工作に長けた電子戦用可変機
GRMF-02R パラディア ・・・ 集団による拠点防衛戦・迎撃戦を得意とする防御特化機
GRMF-01T ソロモン ・・・ 最新鋭のレーダー・センサーを多数搭載した指揮管制機
GRMF-01W レイス ・・・ 高い防御力と近接格闘能力を有する水中戦闘特化機
GRMF-03X マフィラ ・・・ 施設内・市街地での制圧戦・防衛戦を本領とするCQB / CQC特化機

専用機
GRMF-EX02G ???・・・ イザーク・ジュール専用の重装甲高速強襲型換装機
GRMF-EX03Q ???・・・ ディアッカ・エルスマン専用の中遠距離砲撃戦特化機
GRMF-EX04H ???・・・ ルナマリア・A・ホーク専用の重武装広域遊撃型換装機
GRMF-EX09L ??? ・・・ アスラン・ザラ専用の高機動白兵戦特化型可変機
GRMF-EX10A ??? ・・・ キラ・ヤマト専用の万能汎用機
GRMF-EX13F ライオット‐デスティニー ・・・ シン・アスカ専用の万能換装機


響「これも再掲・・・・・・、・・・・・・いや、自重しようよ。二次創作なのにこんなのまで考えてなんになるの」
キ「これでもまだ氷山の一角だから・・・・・・暇な大学生時代っておっかないよねって話だよホント」
響「で、これSSに登場するの?」
キ「ほとんど出ないんじゃない? 地球圏で主力になってるセガールは何度か名前だけ紹介されてたけど」
響「専用機のところ、ほとんどブランクになってるんだけど」
キ「そこはほら、状況が進んだ時の設定集第三弾用ということで。因みに試作実証機の【GRMF-X01A セカンド‐ストライク】についての説明が3章の内容なんだって」
響「そろそろ理解が追いつかなくなってきた」
キ「頑張って。今、援軍を要請したから」
0234ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:22:39.01ID:T/pq6Qnt0
【新型相転移金属各種】

相転移金属、通称PSマテリアルは一定のエネルギーを通す(通電する)事で「表面の分子配列を相転移し、ある一種の純エネルギー体に変換する」性質と
「電圧を上げる事で保有するエネルギー量が上昇する」性質を有する特殊金属である。
その性質を利用したPS装甲は「接触した運動エネルギーや熱エネルギー等を、自らの有するエネルギーで相殺・無効化する」特性をもって、破格の防御性能を誇る装甲としてその名を馳せた。
PSマテリアルの本質は「エネルギーを得ることで金属の性質を変換させる」ことにある。その考えをより押し進めて研究した結果、今までの常識では考えられなかった多様性と性質を有したPSマテリアルが
C.E.74からC.E.78にかけて次々と開発された。それは戦争によって蓄積されたデータから開発されたものもあれば、全くの偶然の産物として誕生したものも存在する。

EVPS ・・・ エネルギー容量と剛性を大幅に強化した、ナノサイズの空洞を有する可変相転移金属。
     主に機動兵器の外部装甲として使用される。
MPS ・・・ 硬度・耐久力そのままに形状をフレキシブルに変化させる変形式相転移金属。
     主に機動兵器のフレームとして使用される。
LPS ・・・ PSマテリアル特有の、発光による負荷排出効果を強化した相転移金属。
     主に機動兵器や戦艦のラジエーターとして使用される。
RCPS ・・・ 特殊な負荷とエネルギーを与えることによって強力な斥力を放射する斥力生成型相転移金属。
     斥力を用いた推進装置や重力制御システム、リパルシブフィールド形成等、軍事分野だけでもその使用用途は多岐にわたる。ヴォワチュール・リュミエールに並ぶ、C.E.最大の発明の一つ。
0235ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:27:06.48ID:T/pq6Qnt0
【EVPS装甲】

Enhanced Variable Phase Shift ・ Armor
「強化型可変相転移装甲」

エネルギー容量と剛性が大幅に強化された、ナノサイズの空洞を有する可変相転移金属製外部装甲。
VPS装甲と比べ非常に軽量で対衝撃性に優れる上に、一定以上の出力なら18m級MSでも1〜2発の高出力荷電粒子ビームを弾く程の圧倒的防御力を発揮する。

だが、その驚異的な性能に比例して駆動・維持に必要なエネルギー量は恐ろしく膨大であり、ハイパーデュートリオンエンジンでも供給量が足りず、実戦で使用するにはUC型デュートリオン核融合炉の登場を
待たねばならなかった。しかし、それでも常時ビームを無効化する程のエネルギーを全身に掛けた場合では、UC型デュートリオン核融合炉のエネルギー供給量すら大幅に上回り、
機体の最大連続稼働時間が10時間を下回ってしまうという結果が報告されている。

その為、EVPS装甲搭載機はかつてのNJC非搭載型PS装甲搭載機の二の轍を踏むことにならぬよう、装甲制御システムとブリュンヒルデ‐システムを連動させた。
具体的には、機体を破損させる可能性を有する脅威に対して、パイロットが回避・防御が間に合わないと知覚した上で、被弾する瞬間・部位をある程度のレベルで予測・認識することによって
システムが自動的に出力リミッターを解除、通常時は事前に設定された通りのエネルギーで展開している装甲の出力を、数秒の間だけ上限まで引き上げるよう設定している。



【VPS / MPS複合骨格】

Variable Phase Shift / Metamorphosis Phase Shift ・ Compound-Frame
「可変相転移 / 変形式相転移複合骨格」

特定の電圧と信号を与えることによって硬度・耐久力そのままに形状を連続的に変化させる変形式相転移マテリアルと、
機体環境に連動してフレキシブルに剛化・軟化する可変相転移マテリアルを組み合わせて構成された複合骨格に、新式のMPS相互連動型低電力高トルク関節駆動装置を搭載した新世代フレーム。

【ZGMF-X20A ストライク‐フリーダム】と【ZGMF-X42S デスティニー】に各々採用された関節駆動システムを統合・発展させた性質をも有しており、
従来のものに比べシンプルでスリムな構造であるにも関わらず高いパワーを発揮可能で、更に柔軟性と堅牢性・敏捷性と耐久性をそれぞれ高い次元で両立させている。

EXナンバーと可変機系統、一部換装機系統を除くGRMFシリーズの機体は、同規格の「マルチスタンダード・フレーム」と呼ばれる最低限の機能のみを備えた基礎骨格を中核としており、
それぞれの機体系統の特性に合わせて調整・強化を施したものを使用している。
0236ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:30:39.47ID:T/pq6Qnt0
【ECC形成機構】

Energy Complete Closure-Field ・ Formation-Mechanism
「エネルギー完全閉鎖フィールド生成機構」

ヴォワチュール・リュミエールの量子膜と強力な特殊電磁場を用いて、生成された荷電粒子やプラズマといったエネルギーを内部に封じ込める「完全閉鎖型高エネルギーフィールド」を形成・制御する機構。
このフィールドは封じ込めたエネルギーの特性を殺さずに、内部で循環・蓄積・圧縮させ、拡散を防ぎ外界と隔絶させる役割を持つ。その為フィールドに満たされたエネルギーは、

大気やアンチビームフィールド等に減衰されることなく、その増幅された破壊力の全てを対象に伝達させることが可能となる。フィールドを用いて生成されたECC型高エネルギー体の表面は擬似的に半物質化しており、
例えばこの機構を導入したビームサーベルは実体剣とエネルギー剣双方の性質を有する半結晶状の刀身を形成する。
このフィールドを弾殻のように扱い様々な性質や属性を与えてやることで、対防御兵装に特化した特殊複相エネルギー弾「Anti Beam Shieldバレット」を形成・射出することができる。

一射毎に莫大なエネルギー消費と相応のチャージタイムが必要となるが、普及が進む高出力ビームシールドや磁場偏向式電磁防御壁の他、依然ビームに対しては無敵に近い防御力を誇る特殊鏡面装甲「ヤタノカガミ」を突破することが可能となる。

徹甲式・・・貫徹力特化   反発式・・・衝撃力特化   反応炸裂式・・・空間攻撃特化
榴弾式・・・破壊力特化   旋回式・・・掘削力特化   徹甲炸裂式・・・内部破壊特化


【ELABシールド】

Enhanced Laminate Anti Beam ・ Shield
「強化型ラミネート・アンチビームシールド」

排熱機構とビーム拡散機構を大幅に強化したラミネート・アンチビームシールド。
PSマテリアルにおける発光による負荷排出効果を強化したLPSマテリアルをラミネート装甲内部に組み込むことで、装甲全体に蓄積させた負荷を光子の形で一度に大量に排出することが可能となり、
排熱効率を飛躍的に上昇させることに成功した。更に、表面を超高周波振動型電磁場拡散マテリアル「マフツノカガミ」でコーティングすることにより、実体盾でありながら高出力ビームシールドを凌駕する程の
対ビーム性能を獲得している。ただし、実体弾に対する防御力は従来の実体盾と同等程度である為、依然ミサイルやレールガンといった高威力質量兵器を無効化させることはできない。

ビームシールドや磁場偏向式電磁防御壁の突破・破壊を目的としたABSバレットに対しても優秀な防御力を発揮し、ガントレットサイズまで小型化しても旧式のMS用大型ラミネート・アンチビームシールドと
同等程度の防御力を維持できることから、基本的にECC型ビームシールド発生装置とセットで運用される。
なお、その負荷を蓄積・放出する特性を転用し、高性能放射排熱装置としても活用できる。
0237ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:35:01.64ID:T/pq6Qnt0
【SRCPS推進機構(サーシファス・スラスター)】

Suspected Repulsion-Field Create Phase Shift ・ Thruster
「擬似斥力場生成式相転移推進機構」

特殊な負荷とエネルギーを与えることによって強力な斥力を放射する、斥力生成型相転移マテリアル(RCPSマテリアル)とECC形成機構を組み合わせた新世代スラスター。
RCPSマテリアルが放射した斥力を「完全閉鎖型高エネルギーフィールド」に封じ込めることで限定的な時空歪曲場を生成し、ヴォワチュール・リュミエールを介して特殊光圧推進エネルギーと同調させつつ
任意方向へ噴出することで推進力とする。

単体での単純な瞬間最大推力こそ従来型の超伝導電磁推進機関(イオンバースト・スラスター)に劣るものの、光波翼を纏った半結晶状のエネルギーウイングから得られる爆発的な加速力と即応性、
推進器の位置や向き等といった物理的制約に縛られない自由な機動能力、無限の加速すら可能とする圧倒的な持続性は、それを補って余りある利点となっている。
その特性上、SRCPS推進機構は姿勢制御用スラスターとしての性格が強い為、現状は主推進機構たるイオンバースト・スラスターとセットでの運用を前提としている。

また、複数のSRCPS推進機構を三次元的に配置して擬似斥力場を膜状に展開すれば、接触した物体の運動エネルギーを増進・減退させるリパルシブフィールドを形成可能。
ゲート状のフィールドを介することで、複数の粒子ビームを纏めて単体の高エネルギー収束ビームとして射出したり、大質量実体弾の軌道を偏向したりすることができる。


瑞鳳「お待たせしました瑞鳳です♪ キラさんと響のためなら私、頑張っちゃうわよ! ・・・・・・ナニコレイミワカンナイもぅ帰りゅぅ・・・・・・」
響「なんで彼女を巻き込んだ! 言え、なんでだ!! 明石先生とかシンとか、適任は他にいただろう!」
キ「いや、響が楽になるかなって。・・・・・・二人には忙しいからって断られたし、他に空いてるのって夕立ちゃんぐらいだったし」
響「消去法か・・・・・・、・・・・・・仕方ない、やっと仲直り(?)できたんだ。瑞鳳は私が護る」
づ「響・・・・・・! うぅん、私も頑張る! 一気に感想と解説いっちゃうわよ!!」
キ「あ・・・・・・ここそんなに重要なとこじゃないから、さっさと流して次にいこうとしてたんだけど」
づ「・・・・・・」
響「呼び出すタイミング最悪すぎないか・・・・・・。うん、やっぱりキラは基本鬼畜なのでは?」
0239ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:39:55.15ID:T/pq6Qnt0
【ヴァルキュリア‐システム】

Voiture・lumiere
All dimension
Linked
Kinetic repulsion energy
Yield element
Removal & compress
Jet & distortion
Active control

SYSTEM
「ヴォワチュール・リュミエールを全次元へ連結、斥力エネルギーから生じる要素の転移・圧縮と噴出・歪曲を能動統制するシステム」

【ユグドラシル‐プラン】の根幹を成すVALKYRJA理論によって完成した、人類初のバブル型亜光速航法システムである。これはSRCPS推進機構が出力した時空歪曲場を、
機体全体を包み込むよう球状に展開して周辺時空間そのものに干渉しつつ、球内部を亜空間化させる事によって成立するものである。

システムによって全方位に張り巡らされたバリアは、通常であれば全ての物質に万遍無く影響する慣性や抗力、重力波といったエネルギーを量子膜で吸収、膜内の時空歪曲場で統合・圧縮しつつ反らし、
膜外へ噴出する特性を有しており、その一部を自らの運動エネルギーとして利用することができる。
これにより、直進を続けることで蓄積する慣性や抗力、宇宙塵等との衝突エネルギーを更に加速力にシフトさせていくというプロセスを経ることで、有人機を短時間で亜光速にまで達せさせることが可能となった。
また、システムを起動したマシンは運動量保存則や万有引力といった物理法則から擬似的に隔絶されることから、作用反作用の原理に依存した従来の推進機構とは一線を画する、
新次元機動とも言うべき圧倒的マニューバを実現することができる。

元々は亜光速航行に求められる役割や、莫大な消費エネルギー等といった観点からデフレクター兼推進支援システムとして自律巡航式宇宙コロニーや艦船にのみ搭載される予定だったが、重力・慣性制御能力という
未知で魅力的な機能を惜しんだ一部研究者達が機動兵器用に機能縮小・省電力化したものを開発。限定的でありながらもMSの戦闘能力を飛躍的に増強させる切り札としてGRMFシリーズの極一部の機体に搭載された。
機能縮小版といえどもヴァルキュリア‐システムを起動したMSは、パイロットと機体に負荷を与えずに高速度を維持したまま連続で鋭角に旋回する、接触した弾丸のベクトルを操作する、機体に掛かる作用反作用を
軽減・加重する等といった非現実的な芸当すら可能とし、その戦闘能力は正に別次元の一言が相応しい。
0240ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:44:07.09ID:T/pq6Qnt0
全機能を解放した「フルドライブ‐モード」で最長3分、機能を慣性緩和能力と抵抗軽減能力のみに絞った「クルーザー‐モード」でも40分までという稼働限界があるとはいえ、
これに対抗できるものは同じくシステムを起動したMSしか存在し得ない。また、そのあまりの機動性能と球状量子膜自体の防御性能が故に、通常の射撃兵器は決定打となり得なくなる為、
必然的にシステム搭載機同士の戦闘は近接格闘能力が重要視される。
勿論、システム自体が吸収・捌けるエネルギー量は有限であり、その制御にも非常に高い技術とセンス、そして「ブリュンヒルデ‐システム」の利用が必要不可欠である。
通常であれば専門の教育を受けたプロフェッショナルが、多人数でオペレーションして初めて十全に扱うことができるという点だけをとっても、このシステムに求められる条件の厳しさの一端が伺えるだろう。

ヴァルキュリア‐システムは単なる亜光速航法の制御システムではなく、その先にある超光速航法を実現させる可能性を唯一有する人類の希望である。その為システムの稼働データは大きな価値を持ち、今後の世界の行く末を握るファクターとなっていく。


づ「シンさん曰く、時空間転移の元凶になったヤツね」
響「でもこう言っちゃなんだけど、おかげで私達はキラと出逢えたんだよね。状況は最悪だけど悪いことばかりじゃないって思うな」
づ「そうね。転移がないまま、ずっと平穏なままでいたら私も響も疎遠なままであったわけだし。吊り橋効果みたいなものかもだけど、それでも私、今響と一緒にいられて幸せだもん」
響「その件は、ほんとごめん。疎遠になってたこと自体、全然気づけてなかったから・・・・・・。・・・・・・ところでさっきからブリュンヒルデって名前が時々出てくるけど、これってなんだい? 14話じゃ手動制御思考制御複合式MS操縦システムってあったけれど」
キ「丁度、次の項目がそれだね。・・・・・・僕も君達二人といられて、幸せだって感じてるよ」
0241ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:48:06.53ID:T/pq6Qnt0
【ブリュンヒルデ‐システム】

Brain-Multi layered
Rapid & plural construct
Unsubdued
Network
Hybrid
Independent-Operation
Linking-Control
Drive

SYSTEM
「頭脳多層化によって高速に複数構築された、非抑圧的ハイブリット型ネットワーク群の独立稼働と連結制御を駆動するシステム」

GRMF-EXナンバーの機体に導入された、手動制御思考制御複合式MS操縦システム。
ヘッドレストに内蔵された無線電子接続端末によって延髄部から傍受したパイロットの思考波と、パイロットの遺伝子情報を組み込んだ専用AIとを同調させ、
人工的に並行思考処理能力を形成することで機体制御を行う「新式思考操縦技術」をサブに回し、メインを従来通りの手動操縦とすることでMS操縦システムの簡易化と高水準化を図ったシステムである。

パイロットの掌部末梢神経から傍受した電気信号を姿勢制御のサポートに使用する、従来の「神経接続型操縦補助システム」とは根本的に異なる思想によって構築された「新式思考操縦技術」は、
パイロットが思い描く動作イメージそのものを同調した専用AIが翻訳・データ化し、機体全体の制御に使用するという方式を採用している。
並行思考処理能力を得ることによって初めて制御可能となるこの方式は、機体を乗り物ではなく己の身体の延長として直感的・無意識的に動かすことができるようになる他、動物が身体を動かす際に重要な役割を果たす、
今までではモニターやアラートという限定的な形で視覚・聴覚に訴えることでしか再現できなかった「痛覚」や機体情報を「整理されたデータ」としてパイロットの視聴覚野に直接伝達することも可能となり、
機体の追従性を飛躍的に向上させることができる。

なお、これ単体のみで機体を制御する「完全思考操縦」も技術的には可能であり、開発初期には並行して実用化に向けた研究が行われたが、その試みは失敗に終わっている。
思念波を傍受するだけでは情報量に限界があるとし、脳から身体に向けて送られる電気信号を延髄部で電子的に遮断・回収して機体と意識を一体化させる方式が、
試行錯誤の末もっとも信頼性の高い完全思考操縦技術として開発されたが、しかしそれはパイロットの適正に依る極めて不安定な代物であった。しかも、不適合者が無理にシステムを使えばAIによるコンバートを挟んでも
尚襲いかかる圧倒的な情報量に耐えられず暴走するか、自身が機体になるという独特な感覚を受け入れられず動けなくなるかという状態に陥いてしまい、またそれを受け入れられる適合者であっても、
機体が負ったダメージをパイロット自身のものとして痛みを感じてしまう明確な欠点を抱えてしまっていた。結果、これは実用に耐えうるレベルにないと判断され、完全思考操縦の研究は凍結された。
0243ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:53:24.44ID:T/pq6Qnt0
そういった経緯を経て開発されたブリュンヒルデ‐システムは、火器管制・出力制御・基本機体制御を手動操縦が司り、それを軸として思考操縦でダイレクトに補正・強化しつつ、
無意識下で姿勢制御全般をコントロールする複合式MS操縦システムとして完成。
完全思考操縦のそれに劣らない追従性を実現し、更にシステムとの連動を前提に同時開発された専用の思念制御式全天周囲モニターと組み合わせることによって、
コクピットコンソールの省略化、操縦の高速化と負担の軽減に成功した。
更に、搭乗者が完全空間認識能力者又は完全思考操縦適合者である場合は思考操縦システムのリミッターが解除され、仮想多次元処理によって四肢の動作と思考とを切り離しそれぞれ別の動作を同時に行わせることで、
一人で一度に複数の操作を高次元で遂行することも可能となり、究極的な戦闘能力を発揮することができる。


キ「元ネタは『蒼穹のファフナー』のニーベルング・システムと、『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』のジュリアシステム、そして『ギャラクシーエンジェル』のH.A.L.O.システムだね」
響「平井繋がりかと思ったらなんか最後にマニアックなのブチ込んできた」
づ「今時の若者は知らないんじゃないの・・・・・・? ちなみに作者がガンダムシリーズを視聴するようになったキッカケのうち、最も直接的な要因だったのがこの『ギャラクシーエンジェル』らしいわよ」
響「どんな経緯があったんだ・・・・・・」
キ「まぁそれは置いといて。とりあえずこのブリュンヒルデは、どうやったら新型MSがストフリを超えられるかってのを考えた結果の産物みたいだね。
ストフリは確かに高性能だけど、それって僕じゃなきゃ処理できないほど煩雑な制御システムがあってのものなんだ。ストフリを超えたいけど、これ以上操縦を難しくできない。なら簡易化してしまおうって」
づ「至って普通の発想ね。世の中は複雑化と簡易化を繰り返しているもの」
響「作者曰く、一番大変だったのはバクロニム設定だって。ヴァルキュリアもだけど無駄な拘りを感じるところだね」
キ「ガンダムSEEDの醍醐味だから仕方ないよ。さて、これで2章はお終い。次でラストだ」
0244ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 17:58:17.28ID:T/pq6Qnt0
3章・本編に登場予定はないけどC.E.では重要なポジションに就いていたとある機体について

GRMF-X01A Second-Strike
セカンド‐ストライク
全高:18.25m
重量:68.20t

ZGMFシリーズとGATシリーズに代わる新たなMSの規格の一つとして開発される、GRMFシリーズのスタンダード・モデルとなるべく開発された全戦域対応型汎用機系統試作1号機。

人類初の巨大人型有人兵器であり、その有効性と汎用性を世界に見せつけた【ZGMF-1017 ジン】と並び、その後のMSの在り方を決定づけた名機たる【GAT-X105 ストライク】の名を受け継いだ機体。
ストライクの名を冠してはいるものの、その最大の特徴であった装備換装機能は搭載しておらず、その設計思想は寧ろ【GAT-X102 デュエル】のものに近い。
主にVPS / MPS複合骨格と試作型SRCPS推進機構、ECC形成機構搭載兵器といった最新技術の情報収集と試験評価を目的とした機体であり、本機が得た情報と設計図を元にGRMFシリーズは展開していく。

スペック自体はいまだ一線を張る旧ザフトのセカンド・ステージシリーズと同等程度であり、総合戦闘能力でも【ZGMF-X42S デスティニー】や【ZGMF-X20A ストライク‐フリーダム】といった
スペシャルメイドMSには遠く及ばないものの、複雑化・細分化していったMSの構造・規格の簡易化・統一化も目的として設計された経緯から、新技術の塊でありながらも非常に高い耐久性と整備性を誇る。

実戦への投入は想定されていなかったが、後の第二軌道エレベーター『ヴェルザンディ』防衛戦やアルカディア火星開拓基地制圧戦では文字通り常識外の機動性と火力を発揮し、
新時代を担う者の名に恥じない多大な戦果を挙げた。


【基本装備】

[AMI-CGU02S 25mmチェーンガン]×2
両側頭部に搭載された小型電磁駆動式小口径高初速機関砲。
従来のガトリング式の頭部近接防御機関砲に比べ速射性は劣るものの、威力と安定性に優れている。


[PE-R01 ビームライフル]
MA-BAR73/Sと同等以上の性能を有する、量産性に優れた新規格のビームライフル。
非使用時は右サイドスカートにマウントされる。


[PE-S01 ビームサーベル]×2
MA-M941と同等以上の性能を有する、量産性に優れた新規格のビームサーベル。
非使用時は背部メインスラスター基両脇にマウントされる。
0245ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 18:02:29.78ID:T/pq6Qnt0
[AMI-M03『ドラコ』200mm径2連装中距離誘導ミサイルランチャー]
PE -GAU04Dとの選択式で、AMI-SS04X裏面にマウントされる小型ミサイルランチャー。
オプションマガジン込みで装弾数は最大12発であり、手持ち式携帯兵装としても使用可能。


[PE -GAU04D『インベル』2連装4銃身ビームガトリングガン]
AMI-M03との選択式で、AMI-SS04X裏面にマウントされる2連装4銃身高出力ビームガトリングガン。
駆動・発砲用のエネルギーは着脱式大容量エネルギーパックユニットから供給される為、機体本体のエネルギーを消費しない。また、手持ち式携帯兵装としても使用可能。



【機能検証用試作実験装備】

[PE-SE03X『ティルフィング』ビームサーベル]
ECC型高エネルギービーム刃形成システムの実証機として開発された試作ビームサーベル。
ECC形成機構によって生成される「完全閉鎖型高エネルギーフィールド」を用いて構成された、実体剣とエネルギー剣双方の性質を備えた鋭利なエッジを有する半結晶状の刀身を形成する
最新型のビームサーベルであり、長く平たい形状の柄とECC制御用のブレード状の鍔を持つ。
円錐状に形成したビーム刃で単純に敵を焼き切る従来のビームサーベルとは異なり、完全閉鎖型高エネルギービーム刃は実体剣のようにしっかりと刃を立てる必要があるものの、
正しく扱えば一振りで複数のMSを高級対ビームシールドごと両断することも可能とする高い切断力と溶解力を併せ持つ。
刀身の形状はECC制御システムを調整することで変更可能であり、パイロットの戦闘スタイルや好みに合わせて諸刃や片刃、曲刀や細剣といった刀身を選択できる。


[PE-GS04X『ダーインスレイヴ』高エネルギービームソード]
PE-SE03Xによってその有効性と威力が実証された完全閉鎖型高エネルギービーム刃を、通電することで表面にプラズマフィールドを帯びる特殊合金製の荷電式超高周波振動刃に纏わせる新方式を採用した、
試作大型対艦刀。
高出力PS装甲を除くほぼ全ての装甲を貫徹することができる全長13mの両刃の実体剣をベースとしており、最大出力時には最長30mにも達する半結晶状のビーム刃を形成可能。
その刀身の大質量とも相俟って通常型の高出力ビームシールド程度であれば、要塞・戦艦クラスのものでさえ熱したバターのように易々切り裂く圧倒的切断力を発揮する。
また、鍔部にはデュートリオン‐システムを応用して開発された専用のエネルギーコンデンサを内蔵している。余剰エネルギーを常時圧縮充填し、
一気に開放することで一時的に機体出力を大幅に上回るエネルギーを生み出すこの機構は後に、二つ以上のコンデンサを相互補完させて運用するオーバードライブ‐システムへと発展していった。
0247ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 18:06:30.50ID:T/pq6Qnt0
[PE-GC02X『カイルス』対シールド高エネルギービーム砲]
対防御兵装に特化した特殊複相エネルギー弾を形成できるABSバレット射出機構を搭載した、全長15mの大出力特装試作ビームランチャー。
第一期GAT-Xシリーズの登場を皮切りに急速に発展・多様化し、C.E.73時点で実弾・ビーム問わず射撃兵装が決定打になり得なくなってしまう程にまで高まった対射撃兵装用防御技術が、
一般的な量産型MSにも普及しつつある現状を打開する為に開発された新機軸のビーム兵器である。
半結晶状の高エネルギー体を形成する「完全閉鎖型高エネルギーフィールド」に、莫大なエネルギーとチャージタイムを引き替えに様々な性質や属性を与えることで、
あらゆる対射撃兵装用防御壁の突破・破壊を可能とした特殊複相エネルギー弾「Anti Beam Shieldバレット」を射出することができる。
単純に貫通力を高めることでビームシールドやヤタノカガミを強引に突破する徹甲式や、強烈なインパクトで防御した相手を弾き飛ばす反発式、
空間攻撃によって磁場偏向式電磁防御壁出力装置そのものにダメージを与える反応炸裂式の他、対シールドに留まらず榴弾式や旋回式といった様々な効果を持つ弾種を生成できることが判明し、
ビーム兵器を用いた戦術の幅を大きく広げることに成功した。これにより盾と矛のパワーバランスは再び均衡状態になり、ビームシールド万能論を覆すことに成功した。
ただし、ABSバレットの弾種の切り替えにはバレットの形成・射出以上のエネルギーとリキャストタイムを必要とする為、実戦で一つのデバイスが複数の弾種を使用することは事実上不可能であることも判明した。
その結果、ABSバレットはエネルギー消費率も鑑みMS一機につき二種までという制約が定められ、特殊複相エネルギー弾運用装備は無計画に使用できない「切り札」としての性格を持つことになる。


[PE-R06X『ヴェスパ』ビームライフル]
PE-GC02Xによってその威力と有効性が実証されたABSバレット射出機構の難点であった、
実戦で使用するにはあまりにも莫大で非効率的すぎる使用エネルギーとチャージタイムという問題点をある程度軽減し、更に小型化を施した射出機構BU型を搭載した試作ビームライフル。
最後の機能検証用試作実験装備であり、かつ最も稼働時間が長いこのデバイスが有するデータと蓄積された研究データによって、実戦レベルでの使用に耐えられる程に問題点を克服したD型が完成。
このD型を基点とし、特殊複相エネルギー弾運用装備は登場から約1年の歳月を経て、遂に本格的な開発がスタートされることとなる。


[PE-GC03X『タルタロス』高エネルギープラズマ収束ビーム砲]
ECC形成機構から派生して開発されたエネルギー強化フィールドバレル(ESFバレル)展開機構を搭載した、全長17mの大出力試作プラズマビームランチャー。
ESFバレルとは、砲口外部に球状の完全閉鎖型高エネルギーフィールドを形成、砲内部で生成したエネルギーを風船のように溜め込んでいき、
臨界にまで達したところでフィールドを円筒状に変形させつつエネルギー収束・加速の性質を付与、満ちに満ちたエネルギーに指向性を持たせて一気に放出する非実体型の高指向性エネルギー投射バレルである。
チャージに時間こそかかるものの、通常18m級MSでは到底扱えない要塞・戦艦用大型ビーム砲のものに匹敵する程の射程・弾速・貫徹力を有するビームを射出することが可能となり、
対艦・対要塞戦において特に威力を発揮する。
0248ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 18:10:23.89ID:T/pq6Qnt0
[PE-BSE002X『ドゥールム・フルゴール』ビームシールドジェネレーター]
AMI-SS003X中央部に装備された試作型の完全閉鎖型高出力ビームシールド発生装置。
実体盾とエネルギー盾双方の性質を有する半結晶状のエネルギー盾を形成する新型のビームシールドであり、
通常の高出力ビームシールドの数倍に値する防御性能を誇るだけでなく、対ビームコーティングを施した大質量砲弾や実体剣すらも弾くことが可能である。
ビーム発振方式の違いから従来のモノフェーズ式ビームシールドのように内側からの攻撃を素通りさせることはできないが、優秀な展開速度・持続時間によって形成されるエネルギー盾は、
その従来機の利点をまったく問題にしない程の戦闘力をMSに与える。
機動兵器が持ち得るデバイスとしては規格外の防御性能を発揮するが、
ECC形成機構によって形成される対防御兵装に特化した、こちらのECCに一方的に干渉・破壊する性質を有する特殊複相エネルギー弾「ABSバレット」にはその防御性能を発揮することが不可能となる。
まともに受け止めればデバイスがオーバーロードしてしまうどころか、簡単に貫徹されてしまう危険性もある為、
対策としてABSバレットに対しても有効的な防御力を発揮するELABシールドと併用して装備することを推奨されている。


[AMI-SS003X 強化型ラミネート・アンチビームシールド]
左腕に装備される手持ち・前腕装着両用の試作大型ELABシールド。
要塞・戦艦用大型ビーム砲から射出される高出力収束ビームは勿論のこと、表面にコーティングされた「マフツノカガミ」の効力によってABSバレットすらも完全に防御し得る、
現状最高峰の対ビーム性能を有する新型の実体盾である。
通常の攻撃にはビームシールドを、咄嗟の防御行動や対ABSバレットにはELABシールドを使用するという使い分けと、
シールド中央部に装備されたPE-BSE002Xを安定して稼働させるラジエーターとしての役割を期待され、ビームシールドと併用して装備することを前提に開発された。
それに加え、先端部には二又状の荷電式超高周波振動刃とウェポンバインダーを備えており、実体盾特有の高い拡張性と汎用性を最大限活用するべくデザインされている。
このデバイスの活躍により、ビームシールドの普及によって表舞台から消えつつあった実体盾の有効性が再度見直され、次期主力量産機の標準装備として実体盾が採用されるまでに至った。


[AAWU-VF/SS05X 機動制御ウイング]
背部メインスラスター基両脇に備えた左右2対の計4枚から成る、SRCPSスラスターを搭載したELラジエータープレート兼用の試作大型可変空力推進翼。
光波翼を纏った半結晶状のエネルギーウイングとして形成される擬似斥力場を展開することで、MSに斥力制御による自由自在な飛行を可能とさせる。
エネルギー消費が激しいという点を除けばヴォワチュール・リュミエールの上位互換とも言える推進システムであり、【ユグドラシル‐プラン】の要となる新機軸の飛行ユニットである。
0249ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 18:14:57.91ID:T/pq6Qnt0
[DMI-DO/SS02X『グローリア・ドラグーン』思念制御式独立機動砲塔]×6
各々のパイロットの資質・要望に応えるべく拡張性と汎用性を向上させた第三世代式ドラグーン‐システムに、
ブリュンヒルデ‐システム対応演算ユニットとSRCPSスラスターを組み込むことでより高い追従性と1G下での自律浮遊能力及び斥力制御能力を得た、計6基の試作第四世代式ドラグーンユニット。
速射性と安定性に秀でたPE-G03『クラルス』ビームガンとPE-S02B『イグニス』ビームブレイド発生装置を備え、距離・状況を問わず高い攻撃力を発揮する。
非独立機動時には、本機の主翼であるSRCPSスラスター搭載型大型可変空力推進翼下面部に左右3基ずつマウントされ、6連装高出力ビームガン兼追加スラスター基として機能する。


[DMI-QB02X『リパルサー・エッジ』ビームブーメラン]×2
両サイドアーマー前部にマウントされる試作第三世代式ビームブーメラン。
広い殺傷範囲を有しつつ変則的な軌道で敵機に突撃するビームブーメランは、軌道制御にビーム場を形成する力場と空間との相互作用を用いた、強襲・幻惑用装備として近接格闘戦時に威力を発揮する補助兵装である。
だが、その立ち位置はビームスパイク又はビームブレイドを搭載したドラグーンに徐々に取って代わられており、そもそもの扱いづらさとも相まって
ブーメラン系兵器はエースパイロットや物好きが使用するに留まっていた需要を更に低減させていた。
しかしビームブーメラン特有の独特で先読みしづらい軌道や、アンチビームフィールドをものともせず回転飛翔する実体・ビーム複合刃の破壊力は今日の戦場においても依然有効的であり、
それらは近接戦闘用にチューンされたドラグーンを上回るものであることも事実だった。
そういった事情も踏まえ一部のパイロットの根強い要望で開発された第三世代式ビームブーメランは、従来型のものに第四世代式ドラグーン‐システムの量子通信誘導技術とSRCPSスラスターを組み込むことで、
ビームブーメランとしての機能に特化したドラグーンとして完成した。
一見本末転倒のように思えるが、ブーメランの特性とドラグーンの追従性双方のいいとこ取りに成功した第三世代式ビームブーメランは、
汎用性・多様性を増しつつより高度で複雑な軌道制御を実現しており、強力な強襲・幻惑用格闘装備としての立ち位置を確実なものとするまでに至った。



【特殊装備】

EVPS装甲
VPS / MPS複合骨格
試作型SRCPS推進機構
試作型ヴァルキュリア‐システム
試作型ブリュンヒルデ‐システム
試作型対話型火器管制支援AIユニット「ストライク」
試作型自己修復型マイクロマシナリーテクノロジー
0251ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 18:17:02.36ID:T/pq6Qnt0
キ「2章で紹介された技術がこのストライクで試されて、巡って1章のデスティニーとかが設計されたって流れなんだ。だから本当ならこの機体の紹介を1章か2章にすべきなんだろうけど、本編に登場予定ないし。
それってどうなのってことで最後に持ってきたんだって。
2と3はデスティニーの為だけに存在すると考えれば理解しやすいかもね」
響「それでこんな構成に・・・・・・。なんにせよ、設定厨の末路がどんなものかは解った」
づ「これもストライクなのね。キラさんのストライクとは違うの?」
キ「僕が何故だか乗ってたストライクは正真正銘【GAT-X105 ストライク】だね。エンジンを始めとした主要パーツが最新式のものに換装されて近代化改修が施されてたけど、E型でもルージュでもない、
非常にレアな初期型みたい。まったく、どこから引っ張り出してきたんだろう?」
響「シンが言及してた、時空間転移直前の戦闘がどんなものだったのかが気になるね。そこは全然覚えてないんでしょ?」
キ「全然覚えてない」
づ「機体紹介文にあったヴェルザンディ防衛戦やアルカディア火星開拓基地制圧戦も?」
キ「うん。ってか、ヴェルザンディはともかくアルカディア火星開拓基地ってまだ計画段階の筈だし、もっと未来の話なのかもね。因みにアルカディアは火星の平原の名前なんだ」
響「アルカディア平原。地表近くに氷が存在してるかもって言われてる地名か。・・・・・・ところで、当SSは現実のものに基づいた地名をそのまま使ってるけど、一つだけ完全に架空の地名が登場してたね」
づ「え、そうなの?」
響「現実世界にも、ガンダム世界にも、艦これ世界にも存在していない地名。それがこのSSの特異点であるのかもしれないね。・・・・・・っと、脱線してしまったね」
キ「いや、このストライクについて言及すべきところは他にないし、読者の皆さんに考察を促すのもいいんじゃないかな」
づ「いつも考察しか促してない気がするけど? 毎回の如く謎がどうこうって引っ張ってるし、推理小説じゃあるまいし」
キ「それは僕も思ってた。風呂敷を広げすぎだと思うケド、登場人物の僕らとしては後半に一気に伏線回収してくれるのを祈るしかないね」



瑞鳳「それじゃぁ、そろそろお開きね。・・・・・・私、ほとんど雑談しかしてなかったんだけど、良かったのかなぁ?」
響 「私だけじゃ挫けてたから、来てくれて助かったよ」
キラ「第一弾はこれにて終了みたいです。第二弾、第三弾はそのうち、物語が進んだら。今のところ投稿頻度が2ヶ月に1回に落ちてるから気が遠くなりそうだけど、待っていてくれると幸いです」
瑞鳳「今回だけで分量が本編SSの1.5倍なんだけど・・・・・・次もこれ位に?」
キラ「いや、だいぶ少なくなる筈。それに解説の人も総入れ替えだから、ある意味では僕ら貧乏くじだったね」
響 「苦労人ポジションだし、これはどうしようもないのかな」
瑞鳳「それじゃ、今回はこの辺で。ここまで見てくれてありがとうございました♪」
響 「Спасибо тебе всегда。до свидания」
0252ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 1ad2-OMPP)
垢版 |
2018/11/06(火) 18:23:59.76ID:T/pq6Qnt0
今回は以上です。
予想以上に長々と、そしてゴチャついた投下になってしまった・・・・・・

冒頭で述べた通り、これらは作中内で紹介しきれない、バックグラウンドを構成するものであって必読ではありません。
ただ、せっかく新型のデスティニーやらフリーダムやらを考えたのですから、それらの諸元を知って貰いたいと思い、このような形で設定集を投下させて頂ました。
こんな設定の羅列でも楽しんでいただける方がいれば幸いです。
0254ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 22:40:20.37ID:MT8pB/3O0
――艦これSEED 響応の星海――


『ビームキャノン! 鈴谷はビームキャノン希望しまーす! ズバーッて照射できるやつ!! あと勿論レールガンも外せないしカタパルトもリニア式とか超ロマンだよねーあでもそれは空母級に譲らなきゃかー
そうそうゴテゴテな追加装甲もイカすよねあとは――』
『ワタシ達金剛型戦艦には超長射程なRail GunをPleaseネ!! 高性能なRadarもお願いしマース!!!!』
『ミサイルだ。ありったけのミサイルを寄越せ。重雷装巡洋艦にはミサイルが必要だ』
『――それだぁ! 鈴谷の強風改にもぜひ空対空ミサイルを!!!!』
『鈴谷さんったら欲張りすぎっぽい。・・・・・・夕立にはビームサーベルが似合うっぽい?』
『いやウチに訊かれても』
『私と瑞鶴は装甲甲板をフェイズシフト製にしてもらえたらって思ってるの。長所を伸ばす方向で』
『ドッペルホルン連装無反動砲か・・・・・・。いいね。ボク、あれが気に入ったよ』
『ガトリングくれ!! この摩耶様にもガトリング!! マシマシで!!!!』

あれは音の洪水、欲の洪水だった。

『えぇと・・・・・・まぁその、追々に、順番にね?』
『はいはい要望はこの用紙に書いて提出してくださいねー。一度に言われたって無理ですからねー』

圧倒的圧力。明石が助け船を出してくれていなかったら、そのまま呑み込まれていたキラであった。
11月12日のお昼過ぎの、福江基地工廠でのこと。
佐世保からのストライクの移送をつつがなく終え、350mm大型レールキャノン・ゲイボルグ縮小化等の兵装コンバート実験を成功させ、呉のシン・アスカが西太平洋戦線の窮地を覆したとの速報が入り、
ビスマルクら出向防衛組の残留が確定すると、満を持してキラの艤装強化アンケートは実施された。
実施されて、お祭り騒ぎとなった。
例えその実現が遠かろうと、そんな事は些細なもので。
同時に行われた、特装試作型改式艤装Ver.1.2の響によるデモンストレーションの効果も絶大であったのだろう。百聞は一見にしかずとはよく言ったもので、
次々と艦娘用にコンバートされたC.E.製兵器を操っていく少女の姿が皆の闘争心に火をつけた。
MSのパーツを取り込み再構築した特装型改式艤装なら、誰でもC.E.製兵器が使用可能となる。この日々の延長線上にその日が在る。その事実だけでテンションがうなぎ登りになってしまうのも、致し方の無いことなのだ。

『あともう一回言っとくけど、あくまで優先すべきは艦隊の防衛能力の強化なんですからね。今回のアンケート結果が実現されるのはかーなり先の事だかんね』
『僕らとしては、とりあえず当面は響にいろんな装備を実験してもらって、それから実装プランを考えようかと』
『えー、響ばっかりずるいっぽい』
『そうだそうだー』
『エコヒーキだー』

なにせここ最近、良いニュースが殆どなかった佐世保艦隊である。
ちょっと振り返ってみよう。
0255ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 22:43:15.42ID:MT8pB/3O0
まず、例の隕石落下と電波障害と【Titan】のせいで鎮守府陥落寸前まで追い詰められた。最終的にキラと響が囮となってくれたおかげでなんとか持ちこたえられたが、
何かが少し違えば九州地方壊滅一直線となっていた地獄の一週間があった。
その後は一週間かけての鎮守府復旧作業に従事して、慣れない肉体労働に悪戦苦闘。打ち上げとして食事会を開催したが、全体会議も兼ねていたので実はあんまりハメを外せなかった少女らである。
そして突然降りかかった、痛み分けで終わったナスカ級防衛戦と、偵察衛星撃墜事件。再びの復旧作業と孤立の危機。敵は依然として目と鼻の先にいて、しかも【軽巡棲姫】をはじめとする強敵が数多く控えている。
それでいて状況の根本的解決は、程遠く。持てる全てを発揮して、辛うじて破滅を先送りにしているような。
客観的に大局的に見れば、よくもまぁ意地と根性だけで諦めずに戦ってこれたものだと感心するしかない悪夢的な日々だった。
主観的に局所的に見れば、響のちょっとしたパワーアップだとか仲間の絆が深まったとかあったが、だからどうした言ってしまえばそれまでのことで。

『いや、それはなし崩しというか、もうフォーマット出来てるから組み込みやすいってだけで。けっしてエコヒーキとかじゃ』
『愛ゆえに、だよね?』
『鈴谷さん茶化さないでキメ顔しないで。・・・・・・響、しばらく戦闘に主計課に僕らの手伝いにって大変だと思うけど・・・・・・よろしくね』
『大丈夫、問題ないさ。私なんかでもみんなの役に立てるのなら嬉しいよ。・・・・・・、・・・・・・例えなし崩しでも、ね?』
『・・・・・・え、あ。ち、違うよ響? 変な意味じゃなくてね・・・・・・?』
『Я это знаю。冗談だよ』

それがここにきて、艦隊全体の戦闘力強化の告知。
反撃の術はまだこの手の中にあると、確定した未来として皆に伝えられた。しかも強化内容は自分で選べるというオマケつきで。
朗報に継ぐ朗報。お祭り騒ぎにならないわけが無かった。

『二人から感じるこの波動・・・・・・! やっぱ鈴谷の勘に間違いなしじゃーん。ぜったい愛だよねー?』
『ねー?』
『ああもう鈴谷さん勘弁してくださいって。榛名さんも、ねーじゃなくて』
『よぉーしお前ら、オレ達もいつまでも三人ばっかりに甘えられてはいられないよなァ? 佐世保艦隊の総力を挙げて明石達をサポートするぞ!!』
『おー!!!!』
『みんなー、お昼ごはんおまちどーさまさまでーす! 雷特製カレー、たーんと召し上がれっ!』
『イヤッフゥーーーー!!!!!!!!』

この空気感は大凡、2日間も持続した。
というのも、時折デュエルのセンサーが接近する敵航空戦力を捕捉、スクランブルで迎撃戦が勃発こそしたものの、この日と翌13日は珍しく全体的に平和そのものだったからだ。
0256ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 22:46:06.89ID:MT8pB/3O0
余裕のある戦力と万全になりつつある索敵システムのおかげで、かなり効率的に敵小規模偵察部隊の撃退が可能となったのだ。
受動的な専守防衛などもう真っ平御免で、全戦力のローテーションで積極的能動的に平和を勝ち取るという強気な方針が功を成した。忙しいことに変わりはないが、
ここ最近ではもっとも物質的にも精神的にも余裕のある2日間だった。
ただ、だからこそのちょっとした波乱があったりもしたが。
例えば。
幾つかの偶然が重なり合って小一時間程、キラと響と瑞鳳がストライクのコクピットに閉じ込められたり。
荒れ放題だった宿舎の大掃除をしている最中に何故だか、瑞鳳と木曾がメイド服を着るハメになったり。
それを激写した鈴谷が基地敷地内を逃げ回った末にキラと衝突して、ちょっとオトナな下着を晒しちゃったのにキラの反応があんまりにも薄いものだから逆ギレしたり。
金剛主催のお茶会に招待された暁型姉妹が、洋酒入りチョコ菓子で面白愉快なことになったり。
とか、なんとか、その他色々諸々と。こんな感じの姦しくも穏やかなイベントがあった。「恥ずかしかったり怒ったりもしましたケド、割と楽しかったです」とは後の榛名の談。


そして迎えた11月14日。その早朝、運命の分岐点。


「よぉーし調整完了、我ながら素晴らしい仕上がり・・・・・・! さぁて響、キラ、今日は模擬弾使用の演習で最終テスト。いつものトコでデータ取りよろしく! 瑞鳳は立会人引き受けてくれてありがとねー」
「現場での索敵は私の艦載機が引き受けるから心配しないでねっ」

とある少女にとって、最も過酷な戦いが始まる。

「響、了解。まさか師匠と戦う前にキラと戦うことになるとは思ってなかったけど・・・・・・やるからには全力全開でいくよ」
「僕はデュエルに乗るから被害ないけどさ、ペイント弾かぁ。これ目とか口に入ったら痛いんじゃ? 髪も服も汚れちゃうし」
「昔っから艦娘同士の演習で使われてるモノだから問題ないよ」

平和な時間をフル活用してようやっと完成に漕ぎ着けた数々の試作兵装を実戦形式でテストすべく、響と瑞鳳、そしてデュエルを駆るキラが福江基地から出撃した。



《第15話:値価の来未たげ繋》
0259ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 22:51:10.33ID:MT8pB/3O0
福江基地西方3マイル先の、彼女ら三人にはすっかりお馴染みになった演習用海域。
朝焼け滲む空の下、演習を始めようと体勢を整えたその矢先。
瑞鳳の艦載機が、突然の乱入者を捕捉した。少女の叫びが、異常事態の始まりを告げた。

「演習中止、演習中止! 方位2-4-7、距離10に敵影を視認! 艦種わからないけど数10、水雷戦隊!!」

響は瞬時に緊急事態を意味する信号弾を打ち上げると、急ぎ模擬弾から実弾に換装しつつ、偵察機で得た情報を分析する瑞鳳の元に駆けつける。
同時に、デュエルがスラスターを噴かして跳躍、デュアルアイを煌めかせて周辺海域をスキャン。数秒の滞空を経て着水すると、少女の情報を裏付ける報告を水柱と共に上げるなり腰部からビームライフルを取り出した。

<こっちでも捉えたよ。でもこの時間にこの位置・・・・・・なんでこんなに接近されて・・・・・・いや違う、誰か追われてる人がいる!>
「追われてるって、どういうこと?」
「あれって利根隊じゃない! 負傷してる子が複数、航行速度もだいぶ落ちてるみたい。このままじゃ・・・・・・!」
「加勢しよう。ほっとけないよ、そんなの!」
<うん! 行こう二人とも!!>

結論から言えば。
その戦闘自体は特に特筆することなく終わった。
敵の戦力はまずまずのもので、哨戒活動中に不意打ちの長距離雷撃を喰らってしまった利根隊は負傷者を多数抱えての防戦に徹するしかなく、なんとか福江基地周辺まで後退してきて今に至るとのことだった。
敵小規模偵察部隊としてはなかなかにデキるヤツとは、瑞鳳に促されて海域を離脱した利根の評。

『我輩としたことが面目ない・・・・・・。すまぬ、ここは任せたぞ!』
『任せて。送り狼は一匹も通しやしない』

しかしいざ響達が両艦隊の中心に割り込むと、敵水雷戦隊は何故か反転して逃走開始、その2分後には全滅した。逃げに専念する敵艦相手に少々骨が折れたが、三人の圧勝であった。
何かがおかしいと感じた。

「・・・・・・・妙だったね」
「うん。勝つには勝ったけど・・・・・・ちょっと裏があるかも。追加で偵察機を発艦してみるわ」
<やっぱりそうだよね。こっちも全センサー、レーダー最大出力で調べてみるよ>
「キラ、瑞鳳、データリンク機能を試してみたい。情報をこっちにまわして」

手応えがなさ過ぎる。
鹿屋の精鋭部隊の一つである利根隊をここまで追い立てたというのに何故連中は逃げ出したのだろう。まともに戦っても結果は同じだったが、それにしたって。
有象無象のイロハ級が死を恐れるわけがない。
深海棲艦は通り一辺倒の突撃だけが脳のイノシシではないが、総じてその行動原理は人類への凄まじい敵意だ。
0260ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 22:54:07.69ID:MT8pB/3O0
この2日間で、連中はモビルスーツの巨体と対峙しても畏れず、あらゆる戦術を以てして果敢にデュエルへ挑んできたこともあった。ソレほどまでの攻撃衝動の塊が、深海棲艦という存在だ。
なのに。
まるで攻撃の意志を感じられない水雷戦隊の動きに、三人は戸惑った。
これは普通じゃない。
何か見落としている。
敵が予想外の行動を採ったとなると、作戦の一環と考えればしっくりきた。

(データリンク起動、システムオールグリーン・・・・・・、・・・・・・対水上電探、対空電探、ソナー共に反応なし、大口径砲射程圏内に敵影なし。機雷の可能性もない。デュエルと瑞鳳でも見つけられないなら、他に何が?)

これが榛名や木曾だったらすぐ論理的に敵の狙いを看破できるのだろうが。生憎と響にそんな頭脳は無く、キラと瑞鳳にも適性があるとは言い難く、僅かに得た直感を足がかりに一つ一つ推察していくしかない。
考える。
見渡す。
見渡して、ようやっと気付いたことがあった。

(だいぶ基地から離れてしまってる。意識してなかったけど、かなり南下してたみたい・・・・・・、・・・・・・まさか?)

まさか、誘い込まれた?
遅まきにして、自分達が初歩的なミスを犯してしまったと気付く。慢心していたつもりはないが、一時的にでも己の現在位置を見失っていたとは。今敵に襲われたら救援は期待できない。
ならば先の水雷戦隊は罠か囮か。狙いは自分達三人か。だが・・・・・・その先は?
少なくとも今現在、周辺に響達に干渉できる動体反応は存在していないと、少女が新たに装備するヘッドギアが教えてくれている。観測できる範囲では、三人の安全は保証されていると言っていい。
ならば尚のこと、狙いがわからない。
いや、そもそも。

(希望的観測は厳禁だけど、ただの考えすぎ・・・・・・なのか?)

仮に敵の策に嵌まっていたとして、こんな都合良く展開が進むのか?
考えすぎなだけじゃないか?
だって自分達は演習の為に出撃して、利根達を助けるべく勃発した戦闘は偶然の産物だ。
【軽巡棲姫】は、そこまで読めるものなのか。読めるとしたら、今の自分達の状況に説明がつかない。だって空母とモビルスーツの索敵能力を欺ける存在など、
聞いた話では、この世にシン・アスカのデスティニーだけしか居ないのだ。
そう考え込んでいると、瞳を閉じて意識をいっそう集中させていた瑞鳳が声を上げた。

「・・・・・・ッ!? 方位0-9-6に大型の機影1! あれはヴァルファウ!! 距離は――」
<来たんだね。そろそろ来る頃合いだって木曾さん言ってたけれど、本当に・・・・・・>

回答は予想外のベクトルから割り込んできた。
0261ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 22:56:47.27ID:MT8pB/3O0
大気圏内用大型輸送機・ヴァルファウの襲来である。
基地の南西に位置する響達から遠く離れた、南東からのルートで基地に向かっている模様。この時間にあの位置と高度であれば、哨戒中の【阿賀野組】が既に捕捉している筈だとキラが付け加えた。
福江基地は今頃てんやわんやだろう。

「急いで戻らなきゃ!」
「だね。私達が遅刻したせいで準備が台無しになっちゃ・・・・・・、・・・・・・いや。それが狙い、だったのか?」
<可能性はあるよ。現に僕達はこうして、敵から一番遠いところにいる>

目的は、デュエルの隔離か。
佐世保艦隊がこうも後手に回ってしまっている原因の一つが、あの輸送機だ。
過去に二度決行した空挺降下によって、二度も辛酸を舐めさせられた。しかも、此方はヤツに掠り傷の一つすらも負わせられなかったのだ。
戦艦の砲は長射程といえど高高度を高速かつフラフラ飛ぶものを狙撃できるようには造られておらず、ヴァルファウも長きにわたる戦いで此方の射程圏を把握している深海棲艦が操っているだろうから、
必然の結果だったのかもしれないが。
逆に言えば、敵はそれだけの実績と確信を持っているということだ。空母級だろうが戦艦級だろうが、艦娘はヴァルファウに攻撃できないと。
けれどその実績と確信は、キラの操るモビルスーツには通用しない事は明らかだ。
ビーム兵器やレールガンの射程と威力なら、届く。今までとは逆に、一方的に輸送機への攻撃ができる。この事実は【Titan】を運用している深海棲艦達も重々承知だろう。
だからこそ、こうして水雷戦隊を囮にして三人を誘い出したのかもと、響は悟った。
偵察機によって確認できた敵戦力は、深海棲艦をしこたま積載しているであろうヴァルファウが1機と、ナスカ級争奪戦時の3倍に値する規模の水上打撃部隊と空母機動部隊、そして【Titan】5体を含む水雷戦隊。
加えて十中八九、更に【Titan】数体と潜水艦部隊、そしてスカイグラスパーを伏せていると見るべきか。
遂に敵の本気、様子見も出し惜しみも一切無しの侵攻部隊が、真っ正面から堂々とお出ましというわけだ。
デュエルさえいなければ、障害は存在しないと。

(・・・・・・いや、でも・・・・・・?)

対ヴァルファウ戦自体は、これから起こりうる大きな危機の中でも、特に高い確率で発生するだろうと考えられていた。むしろ、艦隊首脳陣はそろそろ【軽巡棲姫】が痺れを切らす頃合いだと踏んでさえいた。
佐世保艦隊はこれを待っていたと言ってもいい。
既に対抗策は編み出している。実施したアンケートとは別途に、全員で準備を進めた仕掛けがあるのだ。まだまだ完全とは言えないが、厄介な輸送機や巨人を撃退する計画が。
その計画の主役は、デュエルではない。
計画の要点は、別の存在が担っている。
とはいえ三人が不在では、事が想定通りに進まなくなる。それぞれに別の、重要な役割があるのだから、響達が参加しなければならない事に変わりはない。
こんなところで油を売っている暇はない。
急いで艦隊に合流しなければ。
0263ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 22:58:22.11ID:MT8pB/3O0
<二人とも手に乗って。開戦には間に合わないかもだけど、デュエルの速力ならまだなんとか・・・・・・>
「あ、ちょっと待って。先に天山と烈風改を発艦しちゃうから。少しでもみんなのフォローしなきゃ!」

デュエルが腰を屈めて、二人の少女に両手を差し出した。
エールストライク程ではないが、キラ仕様に装備を整えたこの機体なら艦娘の航行速度よりもずっと速い。ロスは幾らか軽減できるだろう。
なんとしても計画の歪みは最小限に抑える。

(違う。違う感じがする。本当にこれで、敵の作戦が・・・・・・?)

無数の艦載機を発艦させる瑞鳳の傍らで、響は違和感を覚えた。
確かに【軽巡棲姫】からしてみれば、キラとデュエルの存在は特別視すべきものだ。艦隊から隔離させようとしたのは順当と言えるし、実際のところ効果的だ。
でも、と思う。
でも、これだけなのか?
0264ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 23:01:19.91ID:MT8pB/3O0
これでは片手落ちではないか。策に疎い響でさえ、自分だったらここで戦力を投入すべしと思うのだ。あの奸計に秀でた敵が、こんな各個撃破のチャンスを見逃す筈がない。
隔離するだけで済ませる理由がない。
違和感。
敵は、来る。
来なくてはおかしい。
ここは、危ない。
再び周囲を見渡す。
何もない。
けれど絶対に、ここは危ない。


だってほら、こんなにも殺気を感じるんだ。


ゾワリと首筋に冷たいものを感じて、響は咄嗟に叫ぼうとした。
だが遅かった。
本当に遅かった。
何故ならば、少女らは海に出た時点で敵に漁(すなど)られていたからだ。

「ッ、ソナーに感! ――真下!?」
<レーダーに反応! ――真上!?>

同時に響く、真逆の声。
真下からは、一つの影。
真上からは、一つの光。
そして真下から二つの光が生まれて。
そして真上から二つの影が落ちてきた。



0265ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 23:03:36.86ID:MT8pB/3O0
「――この感じ、もしかして・・・・・・? でもこのイヤらしいプレッシャー・・・・・・アイツ、本当にしつこいっぽい!!」



0266ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 23:06:11.82ID:MT8pB/3O0
<二人とも避け――くぅッ!?>
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!??」
「ッぐ、あぁぁぁぁああぁぁ!!!!」

軽空母瑞鳳、右舷艦尾に被雷、右舷スクリュー喪失、大破。
駆逐艦響、左舷中央部に被弾、増設装甲及び第一装甲貫徹、中破。
艦娘である少女達だが、通常艦艇に例えると被害はこのようになる。
では現実はどうか。
二人の少女と、彼女達の傍らに待機していたモビルスーツは、どのようなダメージを負ったのか。


瑞鳳は、真下から突然出現した魚雷をまともに喰らい、右脚の膝から先を持っていかれ。
響は、天から降り注いだ荷電粒子ビームによってPS製大型シールドごと左腕を貫かれ、喪った。
そしてデュエルは、海中から飛び出してきた無数のミサイルで吹き飛ばされ、背部スラスターユニットを大きく損傷していた。


完全な、完璧な奇襲。
艤装のダメージ分散処理能力を超過した一撃に、実害以上の致命傷をもらった。
ほんの一瞬の出来事で、頭が追いつかない。けれど染みついた戦士としての本能は、殆ど自動的に傷ついた躰を振り回して少女に倒れるだけの余裕を与えなかった。響が意識を取り戻した時には、
既にその身はうずくまる瑞鳳へ肩を貸そうとしていた。
全身を支配しようとする喪失への恐怖は、必死に押し殺す。

「瑞鳳! 大丈夫!? 返事をしてくれ!!!!」
「な、なんとか・・・・・・痛ぅ! ・・・・・・でもちょっと、無理っぽいかも。航行できないよ・・・・・・」
「ダメージコントロール、応急処置を・・・・・・! 私が曳航する、走るよ!!」

脚部スラスターのみで跳躍したデュエルを傍目に、響は常備している特殊な包帯を取り出し、右手と口だけで素早く止血を行う。
これまでの戦争で、艦艇であった第二次世界大戦期と同じように大破と出撃を繰り返してきた【不死鳥】にとっては、久々だが手慣れたものだ。
それにしたって四肢の一部欠損なんて本当に久しぶりで、大口径砲の直撃クラスのダメージでもなければ滅多に起こることではない。それがこうも、容易く。己の勘の悪さを反吐が出る。
が、一撃で轟沈しなかっただけマシだ。
自分の左肩と瑞鳳の右膝への処置を終えると、続けていつもの大型錨の鎖を瑞鳳のお腹に巻き付けていく。

「曳航って、どうやって・・・・・・――駄目!! そんなことしたらっ」
「質量制御でギリギリまで重量抑えて。キラが時間を稼いでくれている内に、早く!」

瑞鳳の極常識的な指摘を一蹴し、響は青ざめた顔のまま必要な作業を全てこなした。
0268ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 23:08:31.45ID:MT8pB/3O0
通常、駆逐艦単艦で空母を曳航なんて不可能だが、そこは不思議存在たる艦娘、少女としての重さと艦艇としての重さを使い分けることなど朝飯前だ。勿論、響にはかなりの負担が掛かるが一刻の猶予もない。
機関全開、最大出力で航行開始。鎖がピンと張り詰めて、艤装がギギギッと悲鳴を上げて、響は片足だけの瑞鳳を曳航する。自身も隻腕であるのでバランスは悪く、速度は常の半分程度まで落ち込んでいた。
それでも一緒に動かなければ。逃げなくては。
響は、一体何が起こったのかを全て理解していた。全ては敵の策、【軽巡棲姫】の罠にまんまと嵌まってしまったのだと。
敵は少なくとも3体存在し、すぐ近くにまで迫っている。響がビームに灼かれる寸前に見えたモノが、見間違えでなければ――

<響、瑞鳳!! 早く逃げるんだ! デュエルじゃ抑えきれない・・・・・・!!>

切羽詰まった青年の叫びと、海が裂ける音。
振り返れば、海上に叩き落とされたデュエル目がけて空中から6発のミサイル、海中から4発の魚雷が疾る様が見えた。幾つかは頭部近接防御機関砲で撃ち落とすが仕留めきれず、3発被弾。
爆炎に包まれ蹌踉けたデュエルは、間髪入れず飛び込んだ【軽巡棲姫】の膝蹴りで弾き飛ばされる。
勿論、そこに他2体の追撃も殺到する。

「キラッ!!!!」
<ちぃ! やらせてたまるかァ!!>

ビームサーベルを抜いたデュエルに襲いかかる、見慣れぬ漆黒の機械人形――全体的に直線で構成された、スラッとした四肢に、複雑な面構成のボディ、アンテナとゴーグル付きの頭部を有した、約18mの鋼鉄の巨人。
背に大型水平翼を装備したそのシルエットは、エールストライカー装備型ストライクと酷似していた。
同じくビームサーベルを抜き、水平翼からミサイルを放って突撃するソイツに対してキラはあえて前進、懐に潜り込みシールドバッシュで突き飛ばすと反転、振り向きざまの横凪一閃でダーツ状の砲弾を切り払う。
更にもう一回転、体勢を崩した漆黒の巨人に回し蹴りを喰らわせようとしたところ【軽巡棲姫】の牽制射撃で断念し、代わりに左手の115mmレールガン・シヴァで海中に潜むもう一機を狙撃するが、それも避けられた。
ギリギリのところで海上に飛び出して砲弾を躱したソレは、全体的に曲線で構成された約20mの鋼鉄の巨人。漆黒で彩られた非人型な流線型のフォルムには、まるでイカのような愛嬌があった。

「【姫】と、モビルスーツ!!」
「二機もいる・・・・・・! それにアレ、もしかして水中用なの!?」
<ウィンダムに、グーンなんて! なんでこんな機体がッ>

【GAT-04 ウィンダム】と【UMF-4A グーン】。
片や旧地球連合がC.E.73に製造した、カタログスペック上では【GAT-X105 ストライク】と同等の性能を持つ汎用主力量産機。ジェットストライカーを装備したウィンダムの戦闘力はエールストライクを完全に凌駕する。
片や旧ザフトがC.E.70に製造した、その水中での高い機動性を活かした対水上艦戦と対潜水艦戦を得意とする水陸両用量産機。水中巡航速度50ノット以上と通常水上駆逐艦よりも遙かに高速で、攻撃能力も潜水艦以上だ。
どちらもこの世界の、この時代の兵器では勝負にならない程の性能を持っている。
0269ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 23:11:09.17ID:MT8pB/3O0
その上、深海棲艦に侵蝕されたことで基本スペックが断然向上しているようだった。
例えば本来ウィンダムの装甲は【ZGMF-X56S インパルス】の20mm機関砲で貫通できる程度だったというのに、今ではデュエルの75mm機関砲の直撃もノーダメージである。
そして【軽巡棲姫】。
腰部に大型スラスターユニットを増設し、機動性を大幅に強化した【姫】が、二機の漆黒のモビルスーツを従えていた。

「そんな・・・・・・どこから・・・・・・? あんなの全然、見つけられなかった・・・・・・」

数で言えば3対3。
ただし、今の響達が三人がかりで戦ったとしても、たった1体相手に生き残れるか否かといったところか。
もう一度確認しよう。
響は左腕を喪い、瑞鳳は右膝から先を喪い、デュエルは背部スラスターユニットに損傷を負った。
戦闘続行困難なレベルの損傷だ。
対するウィンダムはコーディネイターのエースが操っているのかと錯覚する程に機敏に飛び回り、機動性を喪ったデュエルにビームの嵐を浴びせかけていく。
とんでもないスピードで水中を泳ぐグーンは常にデュエルの背後をマークし、両腕の対潜・対空両用ミサイルとフォノンメーザー砲でもって三次元的な攻撃を仕掛けてきてきた。
追加装備で水上艦最速となった【軽巡棲姫】は、人間大という小柄な体躯を活かして悠々と懐に飛び込んでは次々と拳や蹴りを繰り出している。
馬鹿げてる。
絶望の文字がそのまま具現化したようだった。これまでの戦いが全て茶番に思えるような、圧倒的戦力差。
響は右手の13.5cmライフル型単装砲を構えると、呆然と呟いた瑞鳳に力なく応えた。

「迂闊だった・・・・・・伏せられてた、網を張られてたんだよ」
「え?」
「狙いは私達だったんだ。さっきの水雷戦隊もヴァルファウも囮で、向こうはずっとこの機会を伺っていた」

殆どのケースで、絶望的な状況というものは突然やって来るものだ。
しかし予兆はあったのだ。あったのに見落とした。響達は、三つのミスを犯した。
一つはこの2日間で、テストの為とはいえお馴染みと言える程に演習用海域へ出撃したこと。敵が観測してない筈が無かったと、今なら解る。此方の索敵範囲まで見抜かれていたのだ。
二つ。期は熟したと言わんばかりに利根隊を襲った水雷戦隊の不審な動きを、早々に見抜けなかったこと。
三つ。自分達の索敵能力を過信したこと。敵は透明化していたわけでも、ワープしてきたのでも無い。ウィンダムと【姫】はずっと索敵範囲外の高高度で待機していて、
グーンはソナーに反応しないようにずっと水中で息を潜めてたのだ。此方の死角を突くカタチで、完全かつ完璧な奇襲を成功させる為に。
忘れてはいけなかった。
時間は万物に平等であるという、普遍的で絶対的な事実を。
3日間で艦隊全体の強化を図った佐世保と、極端な一人狙いを謀った深海棲艦との差がこれだ。
結果、福江基地から遠く離れたこの海域で。今更信号弾を打ち上げたところで援軍の到着までは軽く30分かかる距離で、連中と相まみえることになった。
0270ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 23:14:11.43ID:MT8pB/3O0
そもそも全員が対ヴァルファウ戦に集中している筈だから、三人の危機に気付いていない可能性が高い。

「でもだからって、はいそうですかってやらせるものか・・・・・・!」

現状はよくわかった。
冷静に考えるまでもなく勝算は皆無で、詰んでいる。逆転は万が一にも有り得ない。
認めなければならない。響達は戦略でも戦術でもまた敗北を重ねたのだ。しかも今度は、本当に致命的な。
自分達はここで沈むかもしれない。少なくとも、背を見せたら一瞬だ。
巫山戯るな。
だとしても最後まで抗ってやると、響は拳を握る。
キラが危ない。
瑞鳳が危ない。
やっとちゃんと二人と仲良くなれたのに、自分だけなら兎も角、大切な人達までも死なせてしまうなんてことは到底我慢ならない。

「このままじゃ逃げられない。瑞鳳、飛んでるヤツを牽制してくれ!!」
「う、うんっ! やってみる!!」
「キラは海のヤツを抑えて! 私達じゃ無理だ!」
<響と瑞鳳だけでウィンダムと【姫】を!? 無茶だ!!>
「やらなきゃならないだろう!!!!」

戦え。
逆転は万が一にも有り得ないが、億に一つになら在るかもしれない。言葉遊びでしかないが、ソレを戦って掴み取らねば生存は有り得ない。
信じろ。
自分達三人なら絶対に大丈夫。いつだって祈りは届かない、こんな無情な世界だけど、強い祈りは今を生きる糧となる。
想いを糧に、今を生き抜く為に戦え。抗え。
0271ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 23:17:14.65ID:MT8pB/3O0
そうでなきゃきっと、生きてる意味なんてない。

「ここを切り抜けて、ヴァルファウ戦にも合流する。そして勝つ。それ以外の未来はいらない」

3分も持ちこたえれば勲章モノ。
かくしてここに誰も認知し得ない、三人だけの、絶望との戦いが始まった。


「――夕立、参上っぽい!!!! 状況はよくわかんないケド、あのオンナの相手は任せて!!」
「し、師匠!!??」
「ヘェ・・・・・・キタノネェ・・・・・・、・・・・・・ユーゥーダァ・・・・・・チィーーーー!!!!!!」


訂正。
頼もしい味方が一人、雰囲気をブチ壊しにして【軽巡棲姫】にドロップキックをかました。

「だから師匠呼びはやめ・・・・・・、・・・・・・どーやらふざけてる余裕はないっぽい?」
「うん」
「ぽいー・・・・・・あと15分耐えれば榛名さんの射程に入る。それまでアイツは抑えるから、なんとか生き延びて。・・・・・・夕立の弟子に手を出したこと、死ぬ程後悔させてやる」

構図は三つに分かれた。
キラVSグーン。夕立VS強化型【軽巡棲姫】。響&瑞鳳VSウィンダム。
目指すは15分の生存。ただし援軍が来ても状況は好転するとは限らず、むしろ被害が拡大する可能性も大いにあり得ることを重々留意されたし。
そして最後一つ、忘れてはならない事が、もう一つ。


絶望は、少しだって薄まってはいないという目の前の事実を、現実を、忘れてはならない。
先に断言しておこう。この戦いに、奇跡は有り得ない。
0272ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 5aad-AIgs)
垢版 |
2019/01/01(火) 23:20:12.77ID:MT8pB/3O0
今回はいつもより短めですが、以上です。
いつまでも成長してませんが、今年もよろしくお願いいたします。



ところで三流氏や彰悟氏はいずこに・・・・・・
0273三流ry (ワッチョイW b34b-Oc2E)
垢版 |
2019/01/03(木) 08:20:00.12ID:8NW52usn0
あけまして乙です。
私は完全にネタ切れですよ、構想が浮かぶと一気に完結まで持っていくスタイルですから。

読んでる最中は「木曽が偽物(スパイ)じゃ?」とか勘ぐってましたが
外れましたね(笑)
降ってわいた絶体絶命、さぁどうなるやら。
冒頭の武器争奪戦、さすが女性はバーゲンセールに強い。
この分だと立派なオバサンに、おや誰か来たようだ。
0275通常の名無しさんの3倍 (ワッチョイW 13ad-5YLt)
垢版 |
2019/01/03(木) 21:03:49.88ID:leY65Acf0
艦娘の誕生日が史実の艦艇の進水式と同じとすれば、登場人物のほとんどがオバ……ゲフンゲフン

誘き出し作戦はそれこそ偽物や戦果誤認ネタとかでスマートに演出したかったのですけど、実力と想像力不足で今回のような感じになりました。
0277ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:01:21.09ID:aWXdpYKm0
――艦これSEED 響応の星海――


第二次世界大戦期の潜水艦、つまり原子力エンジン等の非大気依存推進機関を採用していなかった潜水艦の実態は、未だ可潜艦であった。
潜れるだけの艦艇。短い潜行持続時間、遅い水中航行速度。基本的に水上を移動し、必要とあらば潜って隠れたり攻撃したり。
一般に想像されるような潜水艦同士の水中雷撃戦なんて不可能で、まだまだ発展途上で未成熟な艦種。
それでも潜水艦は、水上艦艇の天敵だった。
戦後の原子力潜水艦よりずっと低スペックだとしても、艦砲よりも魚雷よりも航空機よりもずっとずっと脅威だった。
その特徴と関係性は当然、艦娘と深海棲艦にも引継がれている。それぞれ独自の改修により欠点を補いつつ長所を伸ばした潜水級は常に、両陣営にとっても最大警戒目標の一つとして認識されている。
最大警戒目標の一つだからこそ、見敵必殺。発見すれば真っ先に対抗戦力を投入し、見失う前に魚雷を放たれる前に無力化すべし。
当然これまでの佐世保艦隊の戦いでも、防衛戦でも争奪戦でも、スポットライトが当たらなかっただけで対潜戦闘は行われていた。
故に艦娘達は大規模な敵水上戦力に対抗できたし、響やキラも目前の戦闘に集中できたのだ。対潜戦闘員もまた戦場の主役なのである。
つまり可潜艦レベルであっても昔も今も、潜水艦はそれだけの戦略的価値がある存在ということだ。
だというのに、この漆黒のグーンときたらどうだ。

「速い! このスピード・・・・・・やっぱり後期型!!」

水中を自由自在に、鋭角も鋭角に機動する【UMF-4A グーン】のスピードはまさしく戦闘機級。
コイツに比べれば水上の艦娘達は勿論、水中に潜ったデュエルも止まっているようなもので、コクピットにて操縦桿を握るキラが呻く。彼が操る機体はアサルトシュラウドの追加装甲を殆どパージし、
デフォルトよりも運動性と機動性を向上させた現地改修機なのだが、それでもまったく追い切れない。

「どうする。どうすればコイツを止められる!?」

戦闘機並の機動力に、戦車並の装甲、戦艦並の火力、そして人間並の汎用性を求めた有人対艦兵器。それがC.E.におけるモビルスーツの開発コンセプトだ。
祖たる【ZGMF-1017 ジン】から始まったMSの進化と細分化は、あらゆる特化機や万能機を多数世に生み出したが、地上特化でも宇宙特化でも対MS特化でも、
いずれもその根底には当初のコンセプトが変わらず息づいている。
なかでもとりわけ、グーンはその血が色濃く出ている機体だった。
後にロールアウトされたゾノやアッシュ、アビス等が対MS格闘戦を想定して設計されている反面、グーンは純粋な対艦兵器として完成していると、陣営問わずモビルスーツ開発者は口を揃えて言う。
0278ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:03:47.47ID:aWXdpYKm0
戦闘機並の機動力に、攻撃手段が限られる水中という環境下での分厚い装甲、対潜と対空を両立させた戦艦並の火力を、
人間並の汎用性をある程度捨てて採用されたイカのようなシルエットによって存分に発揮する初代水陸両用量産機。
それがグーン。
【軽巡棲姫】は少々過小評価してしまったようだが、デュエル撃破に拘ったあまりに冷静な分析ができなかったようだが、単騎で佐世保艦隊を壊滅できる程のスペックを持つ機体なのだ。
第二次世界大戦期の水上艦艇――日本最速の駆逐艦島風ですら最大40ノット前後――と、C.E.70の水陸両用対艦機動兵器――巡航速度で50ノット以上――なんて、相性最悪なんてものじゃない。


逆説的に【姫】がデュエルを狙ってくれたおかげで、佐世保は命拾いしたとも言える。もしも優先順位が逆だったらと考えるだけで背筋が震えた。


少女達に対抗手段は無い。
コイツを放置すれば、キラが敗退すれば間違いなく艦娘達は全員、何が起こったか知る事もないまま。直上で奮戦する三人は真っ先に狙われる。
最悪の未来を回避するには、キラがグーンを無力化し、かつ今も空中を飛び回るウィンダム――【GAT-04 ウィンダム】も対MSを重視しているが立派な対艦兵器の一端だ――を墜とすしかない。
夕立が【姫】を抑えている間に、負傷した響と瑞鳳がやられてしまう前に。
しかし、このままでは。

「このままじゃ、僕が一人目だ・・・・・・!」

デュエルに搭載されたソナーが新たな突発音を拾い、コンソールに無数の光点が灯される――グーンの両腕から射出された対潜・対空両用高誘導ミサイルだ。
予期していた攻撃パターンに応じてキラは素早く正確にフットペダルを蹴り込み、スロットルを目一杯上げる。遅れてモニター一杯に迫る、無数の弾頭。
――やはり躱しきれない!
全身いたる所に搭載された高出力スラスターを全開で噴かしても、強大な水の抵抗に機動性を殺されては射線から逃れられない。最初の対MS用MSとして開発されたデュエルも人型である以上――仮に万全の
フリーダムを駆っていたとしても同じだったろう――どうしようもない現実だった。
被弾。
水中での1対1に持ち込んでから、4発目の直撃。ただでさえ水圧のストレスに晒されているPS装甲が、遠慮容赦なくバッテリーからエネルギーを吸い上げていく。

「!」

防御。
確信をもって構えたアンチビームシールドが、ギリギリのところで直上からのフォノンメーザー砲を遮る。当たればビーム兵器同様、一撃でPS装甲は貫かれてしまう。これだけはなんとしても防がねばならない。
0279ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:06:12.96ID:aWXdpYKm0
だから、ミサイル相手にシールドは使えないのだ。衝撃がモロに伝わる水中では数発防いだだけで壊れてしまう。
敵もそれを理解しているのだろう。防御した一瞬の硬直をついて更に背後に回り込んだグーンが、更に立て続けにミサイルとフォノンメーザーを放つ。

「仕方ない!」

やむを得ず、アサルトシュラウド装備として左肩に残していた220mm径5連装ミサイルポッドを解放、メーザーは防御しつつ敵ミサイルを相殺した。
これで遂にデュエルの射撃装備が底をつく。
C.E.で普及している対潜自己推進弾頭でも命中率は低いというのに、そもそも通常弾頭しか装填してない頭部機関砲とレールガンは使い物にならず、ビームライフルは論外。
ライフル下部に装備していた175mmグレネードはとっくに海の藻屑になっている。350mm大型レールキャノン・ゲイボルグがあればと歯噛みするが、あれらは手元に無い。
グーンを倒すには、もうレールガン・シヴァを接射するしか道が無い。
しかし。
どうすればいい。
勘違いしてはならないが、グーンは、水中での機動射撃戦に限定すれば対MS戦でも有用であることだ。
かつてキラはストライクの格闘装備でグーン2機とゾノ1機を墜としたことがあるが、あれは敵パイロットに対MS戦の経験がなかったからこそのビギナーズラックだった。
水中用MSの格闘能力はあくまで同じ水中用MSとの戦闘を想定したもので、本来デュエルやストライクのような汎用型相手には無用の長物なのである。水中用の機体はただ、相手の攻撃圏外から撃つだけでいい。
現にグーンはこれまでずっと距離を保って射撃戦に徹している。背部メインスラスターを損傷したデュエルでは近づけず、回避も儘ならぬままいたずらに装備とエネルギーを消耗して今に至る。
敵は機体のスペックと、採るべき戦術を熟知しているのだ。
今の装備とコンディションでは、到底太刀打ちできない。
このままでは真っ先に自分が死ぬと、キラは改めて悟る。
どうすればいい。
なんとしても状況を変えなければならない。
なんとしても生きて、響達を助けてみせる。
その為に、具体的にどうすればいい?
諦めないと口で言うだけなら容易い。けれど、力の伴わない想いは現実を変えられない。

「だけど、手間取ってる場合じゃないんだ!! 僕が・・・・・・護るんだ!」

ソナーが再び、新たな突発音を拾ってコンソールに光点を灯した。その数8発。
フェイズシフトダウンまで、あと5発。
0280ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:10:02.92ID:aWXdpYKm0
《第16話:ちいさなてのひら》



海中でキラが苦戦している頃、海上で【軽巡棲姫】を相手取る夕立も、かつてない逆境に見舞われていた。
奇しくも二人の状況は、とても似通っていた。

「ユウダチィ! キョウコソ・・・・・・オトス!!」

通常の三倍のスピード。腰部に増設した大型スラスターユニットから青白い炎を吐き出して、非常識な勢いで滑走する仮面の美女の拳が、轟と大気を切り裂いて夕立の頬を掠める。
刹那の、三重のフェイントの末に放たれた右ストレート。
対して、五重の誘いを織り込んだバックスピンターンで応じていなければ顔面を潰されていたかもしれない一撃、それが掠めただけで、たったそれだけで少女の小さな身体は弾き飛ばされた。ピカピカと視界に星が舞う。
単純な物理学、重量差と速度差の暴力だ。
強引に後方宙返りをうって体勢を立て直し、着水してはサイドステップで砲弾と魚雷の射線から逃れる夕立だが、しかし。軽巡洋艦程度の質量にとって、
一度は沈んだナスカ級両弦スラスターのパワーはオーバースペック。瞬時にして【姫】は滞空中の少女の懐まで、それこそ砲弾のように突撃してきた。

「このッ・・・・・・調子にのんなァ!!!!」

今更言うまでもなく艦娘は空を飛べない。
ならばと渾身のミドルキックを相手の肩口に叩き込む。人間の日常生活で例えれば、高速走行中の大型トラックか電車を蹴るようなものだ。ヒットしたそばから靴が破れ、皮が裂け、
骨が軋むがお構いなしに一瞬の接点を支点とし、むしろ重量差を活かし自ら横方向へ弾き飛ばされるようにして正面からの激突を回避。
生き延びる。
代償は右脚の激痛と、再びの滞空時間。
紙一重で九死に一生を得たが、未だ渦中。再び体勢を崩した獲物めがけて、口端を吊り上げた【軽巡棲姫】は再び執拗な突撃を仕掛ける。

(流石にこれはヤバいっぽい。パターン単純だから躱せるケド、先に夕立の船体に限界がきちゃう)

これが幾度も、幾度も。
先程から夕立は、まともに動くことができずいた。
オカルトじみた完全回避能力を持つ彼女ですら見切れなかった初撃で宙に浮かされてからというものの、あらゆる角度から変則的に繰り出される【姫】の攻撃に、戦技の要たるフットワークを、機動性を封じられているのだ。
全てのスペックが己より高く、しかも徹底的に此方のスタイルを研究してきている敵相手に本領を発揮できない。
【姫】は夕立になにもさせないまま勝負を決める腹積もりだ。少女が出来ることといえばせめて、空高く打ち上げられないよう自ら浅い角度で跳ぶぐらいしか。高高度で無防備になったら本当にお終いだ。
反撃の隙はなく、直撃を叩き込まれて死ぬか、それとも、追い立てられ自由を奪われるかの二択。
0282ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:11:15.76ID:aWXdpYKm0
そんな展開がずっと続いている。
なんとか対処できているのも、体力に余裕のある今だけのこと。

(でも)

そもそも続ける気は毛頭もない。
もう間合いは見切ったっぽいと、金髪黒衣の【狂犬】は犬歯をむき出しにして嗤った。まだまだ戦闘は始まったばかりで雌雄を決するには早過ぎる。
そもそも夕立は響達を助けに来たのであって、さっさとコイツを倒して死ぬ程後悔させて、空飛ぶウィンダムとやらも撃退しなければならないというのに。
タイムリミットは近い。
ちらりと一瞬、高速で流れる視界の中、ぐんと引き延ばされ速度を落とした時間の中で、護るべき愛弟子達の戦いぶりを確認する。
鎖で繋がった二人は健在。
響は装備していたアンチビーム爆雷と大型斬機刀グランドスラム改で、瑞鳳は残り少なくなった艦載機でなんとか漆黒のウィンダムを退けている。

(まだ粘ってる。安定してる。でもやっぱりアレじゃ保って1分が限度。キラさんもなんか大変そうだし、ここは夕立が切り拓くしかないっぽい)

しかし爆雷は持続も弾数も有限で、敵ビームライフルの連射力に対応仕切れていない。刀身に施された対ビームコーティングも過信できないと聞いた。
そして残念ながら「烈風改」は機銃とビームで七面鳥撃ち(ターキー・ショット)の如くだ。
思い知る。
艦隊の弾幕と連携を用いてようやく対抗できる【Titan】は所詮、間に合わせの戦力でしかなかったと。巨人よりも格段に動きも性能も良い機械人形相手に、負傷した響達が勝てる道理はない。
そこをわきまえている響は堅実な防御に徹しているがそもそもの地力が違いすぎる。無理だ。
海中のキラ含め、ここには苦戦と絶望しかない。
一番マシなのは自分。
早く駆けつけねば。ならここいらで一つ、賭けにでることにしよう。
先の争奪戦で仕掛けた奇襲攻撃は、結果としては失敗に終わったもののタネはまだ割れていない筈。あれを再現して今度こそ成功させて、決着をつける。

「シズメッ!!!!」
「芸が、なさ過ぎるっぽい!! いつまでもそうやって――」

一世一代の大博打。
スペックで負けても夕立には、彼女と共に技を研鑽した川内と江風、そして響には、とっておきがあった。
勝利を確信して突っ込んでくる敵に叫び返し、トレードマークの白いマフラーをしゅるりと解いては投げ捨て、

「――やれると思うなァ!!!!」
0283ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:14:08.83ID:aWXdpYKm0
着水間際、迫る足裏をあえて、右腕に装備していた連装砲で受け止める。
鋼鉄の砲塔がひしゃげ、砕ける。装填済みの弾薬が飛び散る。右腕の中から、バキりと嫌な音がする。けれど腕が完全に壊れてしまう前に、質量制御。限界まで重量を抑えた夕立の身体は【姫】の想定よりもずっと遠くまで、
それこそホームランボールのように飛ばされた。
驚愕の気配が、仮面越しに伝わってきた。さぞ予想外、不可解だろう。殺すつもりでいたが、回避されることも見据えていたが、まさか真っ正面から防御してくるとは思わなかったとか、そんなところか。
そんなんだから川内や神通、そして自分達に遅れをとったのだと内心で罵る。
ともあれ。
その硬直が、この距離が欲しかった。でもまだ足りない。
我に返った【姫】が放った砲弾を左の連装砲で撃ち落としつつ、続けて連射。砲身をオーバーヒートさせる勢いで連射。12.7cm砲故に有効打になり得ないが足止めも兼ねて、反動で更に距離を稼ぐ。
ここでようやく、遅まきにして両腰部スラスターでロケットダッシュする【軽巡棲姫】。しかし、この時点で非我の距離は、一瞬で詰められない程にまで開いていた。
ここからだ。

(間に合えッ)

夕立自身が着水するまで1秒。【姫】に追いつかれるまで3秒。その間こそが勝負の分かれ目。
空中にて両大腿部の61cm四連装酸素魚雷発射管から3本ずつ、計6本を引き抜いて全力投擲。狙いは突っ込んでくる敵の鼻先で、当然、【姫】は迎撃すべく直ぐさま魚雷全てに弾丸を叩き込んだ。
爆発。
計4.680 kgの炸薬が、弾ける。
海面が大きく波立ち、大気が震える。灼熱の爆炎が黒々と世界を覆い尽くす。
しかし、直撃ではない。
流石の【軽巡棲姫】も圧されて速度を緩めたが、ノーダメージのまま黒の世界へと突き進む。奇しくも先日、彼女の水雷戦隊に大損害を与えた銀髪の駆逐艦と同じような恰好で。
――この世界を超えた先に、夕立がいる・・・・・・!
意趣返しのように仮面の美女は嗤った。
決死の反撃は失敗に終わった。あの駆逐艦は爆圧に吹っ飛ばされて、無防備で無様な姿を晒しているに違いない。勝利は目前だ。
これまでの借りを倍にして返してやる。
そう思考を流して、遂に黒の世界を抜けた【姫】が見たものは。


実に穏やかな、なにもない大海原。


なにもない。誰もいない。
夕立は、忽然と姿を消していた。

「・・・・・・!?」
0284ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:17:27.73ID:aWXdpYKm0
どこに、いった?
ビクリと動きを止めてしまった【軽巡棲姫】は周囲を、上空含めて慎重に見渡す。
重ね重ね、艦娘は空を飛べない。
爆発が起こった時は丁度、夕立は着水した瞬間で回避など出来る筈がない。【姫】の船体すら揺らがした爆圧に、駆逐艦が耐えられる筈がない。消し炭になったのでなければ、何処かにいなければ。
まるであの時の再現だ。
いない。
銀髪の駆逐艦に気を取られてまんまと背後からの奇襲を許してしまった、あの時のように。
どこへ消えた?
そうだ。そもそもあの時だって、夕立はどのようにして消えて、現れたのだ。あの大胆不敵な駆逐艦はこれぐらいの事ならサラリとやってのけるだろうと深く詮索しなかったのが仇となった。二度目は無いと思っていたから。
直感する。
これは、あの時の再現だ。
なら考えられる可能性は。
その思考が結論を導く前に。

「――」

突如海面より現れた、ちいさなてのひら。
それが、愚かにも静止してしまった【軽巡棲姫】の足首をむんずと掴んだ。
奇しくも先程、響達に奇襲を仕掛けたグーンと同じような手口で。

「――・・・・・・ナ、ニッ!?」

少女の手。
爆発に呑み込まれてボロボロになった、けれども賭けに勝って獰猛な笑みを浮かべる、夕立の左手。

「捕まえ、たァ!!!!」

とっておきとはつまり、なんてことはない。ただの体術である。
今を生きる己のカタチ、人型として全てを利用することである。
単純な格闘技能だけの話ではない。
身のこなし、所作。ただただ艦艇の感覚のまま航行し砲撃し雷撃するだけの者には決して到達できない、鍛えに鍛えた体幹だけが制御できる『動』の境地。
極めるべきは全身の重心及び慣性の制御を意識し、体裁きに反映させる技術。あらゆる環境下で、あらゆる手段で敵に肉薄し、必中の一撃を叩き込むための技術。
他の艦娘達が一辺倒に重視する艦艇として能力と、人型としての汎用性の融合。
夕立や響が得意とする格闘技能とはつまり、結局のところ、その技術の副産物でしかない。彼女達にとっても接近戦は護身用、最後の手段だと言われている理由だ。
0285ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:20:08.36ID:aWXdpYKm0
サーベルを持つ木曾が良い例で、ただの接近戦自体は特別なことでもなんでもなく、普通の艦娘でもやるときはやるものだ。


神髄は、身体制御と質量制御を積極的に用いた体術に依る、絶対回避と必中必殺。
人型として全てを、利用すること。
人型としての汎用性は、万能性だ。


そこへ川内が初めて踏み込み、先天的に相手の意識外へと切り込める夕立が極め、その二人に命を救われ憧れた響が受け継いだ。会得できた者は未だ少なく、だからこそ彼女達は特別になった。

「アリエ、ナイ・・・・・・ッ!!??」
「ありえないなんてこと、ありえないっぽい!!」

駆逐艦夕立は、可潜艦ではない。
しかし少女としての夕立は、海に潜ることができた。人間は泳ぎ、潜ることができるから。それに少女達は毎日お風呂にだって入るのだから、艦娘全員は本来、基礎能力として水への浮き沈みをコントロールできるのだ。
ただそれを戦場で行おうとする発想自体が、自殺行為に等しいのだが。
しかし通常でも尋常でもない【狂犬】は、勝つ為なら自殺行為でもなんでもやる。
故に、艤装を一時機能不全として決行した二度目の秘奥義、隠れ身の術。水中の艦は、水上艦艇の天敵だ。
これを起点に。
掴み取った、敵の足首を支点に。
両足を蹴上げて倒立した夕立の全身が、蛇のように鋭く複雑に【軽巡棲姫】に絡みつく!

(川内さんは言った。人型は万能だけど、決して完璧なんかじゃないって。艦艇よりもずっと歴史のある人体の限界を知ってこそだって!)

勢いそのまま敵を腹から海面に叩きつけ海老反りにし、4の字に固定した敵両脚の中空に敵右腕を通して極めれば、完成するはアドリブ複合関節技・逆結び目固め。
人型である以上その関節は共通。体格と体重に差があっても、スペックに差があっても、極めてしまえば動きを封じつつ目標を破壊できる関節技(サブミッション)こそ王者の技!

「コンナ・・・・・・コンナモノデェッ!!!!」
「無駄よ、貴女に抜けられる道理はないの。これで終わり」

関節技という概念自体を知らない深海棲艦相手には、特に有効だ。生きる世界の情報量の差がモロに出る。
あっという間の、あっけない逆転劇。
屈辱的な恰好で四肢を封じられた【姫】を見下し、夕立は両大腿部の61cm四連装酸素魚雷発射管を駆動させた。
0286ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:23:18.80ID:aWXdpYKm0
安全装置を解除した九三式魚雷三型。これを全力で、艦艇としての質量全てを注ぎ込んだこの魚雷を喰らわせれば。
遠慮容赦無く、効率的に。
淡々と素早く、後悔させる暇も無く。
終わらせる。


そうするつもりで、そうなる筈だった。


突然、海が大きく、不自然に傾いだ。
波ではない。海中で大きな爆発があったのだと悟る。

「なっ!?」
「!!」

悟ったところで手遅れだった。体勢が崩れ、束縛が緩む。無理な負荷を掛け痛んだ手足が、意志を裏切った。
その後。
たった数コンマだけの差で。
夕立の魚雷が届くよりも先に、【軽巡棲姫】の砲弾が少女の身を貫いた。



0287通常の名無しさんの3倍 (ワッチョイW 82ad-ME8i)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:23:45.62ID:aWXdpYKm0
回避
0288ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:24:21.74ID:aWXdpYKm0
「師匠!?」

出来の悪いアニメーションフィルムのような光景だと、響は思った。
間延びしていて、脈絡がなくて、全然現実感がない。
絶対無敵だと思っていた夕立が、被弾して、血塊を吐いて、爆炎の中へと消えた。たった2発の魚雷が、いつもよりも無駄に巨大で鮮やかな爆発を生んで、縺れあう二人の身体を完膚なきまでに覆い尽くしてしまった。
その瞬間が、見えてしまった。見てしまった。偶然にも、運悪く。
出来の悪いアニメーションフィルムで、あって欲しかった。

「――響!? まえッ!!!!」
「・・・・・・え」

茫然自失としていた響の身体が、どん、と突き飛ばされた。
瑞鳳に突き飛ばされた。
普段の彼女にはありえない暴挙だが、その表情と状況を考えれば、否、考えなくても理由は解る。でもそれじゃ足りないと、響は二人を繋ぐ鎖を思いっきり引っ張ろうとする。しかし、それでも足りなかった。遅すぎた。


迫る。
大凡10mに及ぶ灼熱の光刃。
ビームサーベル。


強力な電磁場を用いて荷電粒子を刃状に固定した必殺兵器。威力はかつて隣で戦ったキラが散々証明している。戦艦の装甲さえ熱したバターを切るかのようにして、容易く貫徹してしまう光の剣。
ウィンダムの握るそれが、迫る。
なんの抵抗もできないまま、響の左脚と、鎖と、瑞鳳の両腕を斬り落とされた。続けてサーベルが海面に触れて大規模な水蒸気爆発を引き起こし、二人は襤褸切れのように吹っ飛んだ。
別々の方向へ。四肢の大半を喪って。
あのままボーッとしていたら間違いなく二人は死んでいただろう。しかしそもそも爆発に気を取られていなければ、こんなことには。
痛恨のミス。普段なら絶対にありえない、己の精神性を疑うミス。
チェックメイト。
あっという間に均衡を崩されて、あっけない幕引きだ。

「嘘だ」

こんなのってない。
這いつくばって血と涙を流しながら、無意味に呟く。
絶対に護ってみせると誓った瑞鳳に護られて、彼女にはもう左脚と数少ない艦載機しか残っていない。
【軽巡棲姫】と相打ちになった夕立の安否は、不明。
海中でグーンと戦っている筈のキラも同じく、不明。
0289ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:27:44.74ID:aWXdpYKm0
救援は来ない。夕立が告げた時間まで10分以上ある。
右脚だけでは、まともな航行なんてできない。
右手に握った大太刀では、自らの身を守ることしかできない。
ライフルはついぞ一発も当てられないまま破壊された。
空飛ぶ相手に魚雷なんか当りっこない。
他の試作兵装はシールドと共に海へ消えた。
両肩の機銃が、アンチビーム爆雷しか装填していないグレネードランチャーが、錨を喪ったただの鎖があって、なんになる。
どうしようもない。
人型の万能性が聞いて呆れる。しかし本当にどうしようもないのだ。なにもできない。なにもかもを無駄にしてしまった。
冷静に考えるまでもなく勝算は皆無で、詰んでいる。逆転は億が一にも有り得なかったのだ。開戦時に発した精一杯の強がりも、こうなっては笑い話にもできやしない。
これでは瑞鳳を、護れない。
自分の喉から今まで聞いたことのない、ひび割れしゃがれた音が絞り出された。

「うそだ・・・・・・」

白濁にぼやける視界の中、空中に留まる漆黒のウィンダムが悠々とビームライフルを少女に向けた。
死ぬ。
殺される。大切な人が殺される。
これまで幾度も、響が見てきた光景と同じように。
開戦当初の佐世保の海で、一時的に所属した横須賀の海で、あの戦争で幾度も目にした命の果てと、同じように。
どうしてこうなったと、響は自問した。
強くなれたはずだ。
皆で研鑽し作り上げた、力を手に入れたはずだ。
喪失への恐怖を超える、福音を手に入れたのだ。
諦めないし、無理をする覚悟だってあったんだ。
なのに。
なのにどうして。
自分が死んではもう誰も護れなくなる。瑞鳳が、まだ生きているはずの夕立が、キラが、死んでしまう。
どうしてこうなった・・・・・・!!

(私が、不甲斐ないせいで・・・・・・)

己への絶望に、少女は打ちひしがれる。
これまでずっと諦めずに戦ってきて、諦めないと強がりを口にして、戦ったぶんだけ何かが変われたような気がして、その終着点がコレだ。何も変わっていない。全てが幻、無駄だったのだ。
仮に生き残れたとして、私はもう戦えないだろうなと、自嘲する。
0290ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:30:37.28ID:aWXdpYKm0
すると不意にウィンダムが、何故か手にしたライフルを在らぬ方向へ向けた。少女らが蹲る下方向ではなく、同高度のものを狙うように。
発射。
二発、三発と放たれた光の矢が東北東へと迸り、ナニかを灼いた。ここからでは見えなかったが、きっと佐世保の誰かが飛ばした偵察機かなにかだろう。目撃者は消すということか。
次は自分達があのビームに灼かれる番だ。
ほんの僅かな執行猶予。先延ばしにされたトドメの一撃。
これを最後の好機と動く者がいた。

「――諦めないで、ひびきーーーー!!!!」
「ッ、瑞鳳!? なにを・・・・・・!」
「私には、瑞鳳にはまだ・・・・・・翼があるんだからぁ!!」

ウィンダムが背負っているジェットストライカーがいきなり火を噴いた。
響からは見えなかったが、ずっと上空に待機していた最後の「烈風改」がエンジンを停止させ、重力に引かれるまま特攻したのだ。動きを止めたウィンダムのセンサーの死角を突いた、見事な奇襲だった。
あんなズタボロになっても、目を覆いたくなるほど悲惨な姿になっても瑞鳳には、まだ闘志がある。かつて日本国最後の機動部隊の一員として戦った末に、ただの囮としてエンガノ岬沖に沈んだ彼女には、まだ。
執念と言うべき胆力でもって、最初で最後の好機をモノにした。

「っく、この・・・・・・動け! 動けぇ!!」

敵は体勢を崩し、海面に不時着しようとしている。
ここで攻撃しなければならない。急げ。彼女がせっかく繋いでくれたのに、護ると誓った己が勝手に萎えていてどうする!
動け、この躰。
攻撃を。
左腕と左脚を失い、残るは右手に握った大太刀のみ。これだけでどうにか、攻撃を!

「う、おおおぉあッッ!!」

投げる。
投擲する。
慣れ親しんだ動作だ。これまで幾つもの危機を打破してきた、響の最も信頼する技。
キラから預かった、これまで身を守るためだけに振るってきたグランドスラムを、投げる。
しかし流石に分が悪い。バランスが充分に取れず、焦りから狙いもブレた。乾坤一擲の一撃はウィンダムのシールドを断ち割り、左肩部装甲に弾かれ宙に舞った。
――まだだ!
歯を食いしばって内心で絶叫。
今度は冷静に、錨を喪った鎖を同じように投擲する。先端に重りがない分不安定で速度が出ないが、今度こそ神懸かった力加減で鎖の軌道をコントロールし、見事グランドスラムの特徴的な柄に絡みつかせた。
0291ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:33:18.40ID:aWXdpYKm0
即席の大型鎖鎌である。
これで、本当に今度こそ。一旦鎖をブン回して遠心力をため込んで、胴体を真っ二つにしてやる。
そう気合いを込めた少女の瞳が、見開かされた。
まずい。
敵のビームライフルが、瑞鳳を狙っている。
否。
もう、狙った後だった。

「やめろ」

ヴァシュウッ! と、特徴的な擦過音が、最近は毎日のように聞き、今日だけで何十回と聞いたソレが耳を打つ。
一条の閃光が、煌々とまっすぐに。動けない瑞鳳に向かってまっすぐに。

「やめてぇ!!!!」

超高熱のビームは海面に着弾すると同時に、水蒸気爆発を引き起こす。
遅れて、加速したグランドスラムがウィンダムの胴体を目論見通り、真っ二つにした。
だが少女の瞳は、意識は、既にそちらには向いていない。
散々響達を苦しめた機械人形の爆発が、海面を赤々と煌々と照らす。残酷なまでに真実を、現実を照らす。思わず伸ばした少女の腕の先を、照らす。
底意地の悪い、最後の抵抗であるかのように。

「あ・・・・・・ぁあ・・・・・・うああああぁッ・・・・・・」

轟沈。
響の目前で、あっという間に、あっけなく今、沈んだ。
嘘だ。
嘘だ。
嘘だ。
嫌だ。

「瑞鳳ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

目一杯伸ばした、ちいさなてのひら。
その先にはもう、誰もいなかった。
0292通常の名無しさんの3倍 (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/08(金) 20:37:19.62ID:aWXdpYKm0
今回は以上です。
普通に考えて汎用型が水中型に勝てるわけないし、艦艇が機動兵器に勝てるわけないんですよね。
0294通常の名無しさんの3倍 (ワッチョイ 82fb-WZHJ)
垢版 |
2019/02/10(日) 00:30:04.93ID:Rd7O3K3L0
ちいさなてのひら、だんご大家z、うっ、頭が・・・

投稿乙でした。苦戦継続中ですな。
ここからどう巻き返すかも見物ですが、気になった点が一つ。

仲間の心配もいいけど、戦いという割に相手を見てないのが気になります。
「姫」の「夕立」に対する「想い」みたいなのが、艦娘達の深海側に対して
希薄なことが不利な状況を生んでるような印象です。

実際にミートさんがそのつもりで書かれてるのかも知れませんね。
0295通常の名無しさんの3倍 (ワッチョイ 82ad-Ctdi)
垢版 |
2019/02/10(日) 05:32:39.22ID:YAoZtYtQ0
お二方感想ありがとうございます。
>>294
>仲間の心配もいいけど、戦いという割に相手を見てないのが気になります。
「姫」の「夕立」に対する「想い」みたいなのが、艦娘達の深海側に対して
希薄なことが不利な状況を生んでるような印象です。
流石に鋭いですね。
そこは実は仕様です。そこを語れるのはこのペースだとマジで何年後になるか自分でもわからないですが、彼女達の【起源】に直結することなので・・・・・・
長い目で見ていただければと。「あの」ガンダムSEEDのパロディとして、自分がこれから書くことも含め、でお願いしますハイ
0296ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 22:43:46.80ID:mgTOe+I+0
平成最後の投稿になります。
今回は溜め回ですので物語は進みませんが、これで世界観や技術等の説明はしばらく打ち止めになってくれると思います。てかそうしたいです。
0297ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 22:45:58.00ID:mgTOe+I+0
――艦これSEED 響応の星海――


そういえば、前にも似たようなシチュエーションがあったと瑞鳳は思い出した。
あれは戦争が始まった年の晩夏。軍令部の命により、やむを得ず嵐の海に出撃した艦娘達が行方不明になった事件でのこと。当時まだまだ弱っちかった瑞鳳と響が編入された捜索隊は艦娘を見つけることができず、
代わりに難破した深海棲艦群と、それを救助しに来たであろう深海棲艦水雷戦隊とかち合ったのだ。
今なら鎧袖一触で撃退できる雑魚もとんでもない強敵で、追い詰められていくうちにパニックを起こした二人は捜索隊とはぐれて孤立した。いつも暁達の後ろに隠れていた響が、
泣きべそかきながらも全艦載機を喪った瑞鳳を庇うように前にでて連装砲を構える響の姿が、とても印象的だった。
夕立に助けられたのはその時だった。行方不明になっていたはずの横須賀の夕立と川内に、逆に助けられたのだ。
そっくりだ。とてもよく似ている。
響が横須賀へ行くキッカケとなったあの時の自分達と、今ウィンダムにやられそうになっている自分達は、ほとんど同質だった。
でもあの時とは決定的に違っているものがある。
夕立に助けに来てもらってもなお、絶体絶命であること。そして、瑞鳳にはまだ一機だけ艦載機「烈風改」が残っていることだ。

「私には、瑞鳳にはまだ・・・・・・翼があるんだからぁ!!」

わざと大きな声で叫んで、雲に隠していた最後の機体で特攻をかける。
その本懐を果たせず自由落下する「烈風改」には、申し訳ないけれど、贅沢を言えばウィンダム本体に当たってほしかったけれど、ちゃんと役目を果たして敵の飛行能力を奪ってくれた。
目論見通り、敵の意識を瑞鳳へと向けてくれた。
これでいい。
最後の最後に囮として、響が反撃できる隙をつくれたのだから上出来だ。彼女なら絶対に見逃さないし、ちゃんと生き延びてくれる。あの娘だけでも絶対に、生きて帰してみせる。
無力なりにできることは、最善は尽くした。
そういえば、と、そこでまた思い出す。
かつて日本国最後の機動部隊の一員として戦った末にエンガノ岬沖に沈んだ時も、艦載機を全て喪い、囮として振舞ったのだったなと。どうやら瑞鳳という存在は、そういう星の下に生まれたらしい。
そして少女の意識は一度、一瞬、暗転した。

『瑞鳳ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!』

本来なら聞こえるはずのない、そのあまりにも悲痛に過ぎる叫びを聞いて、意識が再起動する。うっすらと金糸雀色の瞳をあけて、自分がどうなってしまったのか自覚する。
ならあの、ゆらゆら揺らめいている綺麗な光は、海面だろうか。
ならこの、ぷかぷか昇っていく大小様々な泡は、己の身から出ているものだろうか。
0298ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 22:48:58.91ID:mgTOe+I+0
何故かそれらが、命の鼓動そのもののように思えた。不安定で、揺蕩っていて、でも美しく高みを目指している、命そのものに見えた。
どんどんそれらが、遠ざかっていく。冷たくて動かない自分は、真逆、昏くて揺るぎのない闇へと墜ちていっている。
ここは碧色の世界。
つまり海中で、つまり沈んでいる。順当といえば順当な、当たり前の結果。

(ああ、しまったなぁ)

こうなってしまったらもう、どうしようもない。
左脚しかない躰はまるで全神経が抜き取られてしまったかのように、身動ぎ一つすらできやしない。
泳ぎ方なんて知らないけれど、平時であれば、十中八九徒労に終わるものだとしても脚一本でほんのちょっと未来を先延ばししようとする意志を見せたことだろう。しかし、
そもそも轟沈するほどのダメージを受けた艦娘は、たとえ五体満足であろうとも浮上することは叶わないのだ。
マッチングエラー。艤装が完全に破壊されて魂と躰のリンクが途切れ、全身不随になってしまっては技法も意志もなんの力にもならない。
加えて、艦艇としての質量が文字通り重石になり、少女としての、人間としてのなけなしの浮力さえ殺してしまっている。
開戦してからの通算で、決して少なくない数の艦娘が犠牲になったが、その原因の大半がこの現象に依るものではないかという推測を聞いたことがあった。そして、
艦種問わず轟沈した艦娘のサルベージは、未だ成功例が無いことも。
どうしようもない。今日だけで一体何回このフレーズが脳裏を過ぎったか。きっとこれが運命というやつなのかもしれない。
どうしようもない。即死を免れたこの身は、意識のあるままジワジワと死に侵蝕されていき、深海にて朽ち果て消えるのだ。

(これから、どうなるんだろう)

恐怖はない。
代わりに後悔と懸念、そして未練と罪悪感に満ちていた。
無力なりにできることは、最善は尽くしたけれど。逃れられないことだったけれど、他に選択肢がなかったけれど。それでもこんなのは絶対に、絶対に、最善なんかじゃない。
ああ、そうだ、そうだとも。彼女に――響に、悪いことをしてしまった。
よりにもよって私は、響の目の前で。

(・・・・・・どうして、こんなことになっちゃったんだろう)

キラと夕立の安否もわからず、目前で己が沈んだのでは。まるであの戦争の再現のよう。
船の【響】の経歴を、あの娘の過去を、あの娘の想いを知っている瑞鳳としては、この状況こそなんとしても避けねばならなかったというのに。
0299ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 22:51:33.46ID:mgTOe+I+0
なのに彼女を癒やしたいと願った己が、先日ようやく念願叶って彼女と仲直りできた己が、よりにもよって最後の最後にこんなので、いたずらにあの娘の心を傷つけただけじゃないか。トラウマを抉っただけじゃないか。


今度こそ彼女は、壊れてしまうかもしれない。


こんな酷な仕打ちはない。馬鹿な話じゃないか。
前よりもずっと近くなって、一緒にいるようになって、実験に居合わせるようになって、結局足手まといになって。当初の予定通りに響とキラだけで出撃していれば、
この戦いに自分が居なければ、身軽で自由に戦える響ならもっと上手くやれてたはずなのに。
だから瑞鳳の心は後悔に染まった。
結局やることなすこと全てが裏目に出て、逆効果にしかならなかったじゃないか。
これが運命だとしたら、神様はどこまでいじわるなのか。再び閉ざされていく意識の中で少女は、せめてもの抵抗として、最後まで瞳は閉じずにいようと決めた。

(・・・・・・響、祥鳳、キラさん、みんな・・・・・・ごめんね・・・・・・――)

その時だった。
見上げた光の天井から、一つの影が落ちてきたのは。

(――なんで。ダメだよ響、こんなところに来ちゃ)

響だ。
落ちてくるというよりかは、突き進んでくる。残った右腕と右脚を懸命に動かして、酷く苦しそうな貌をして、瑞鳳を目指して一直線に潜水してくる。
追ってくる。まさか、サルベージしようと?
不可能だ。自殺そのものだ。夕立の弟子として泳法をマスターしていたとしても、負傷した躰で海に入ってしまえば、響単独でも戻れなくなってしまう。
師匠に似て通常でも尋常でもなくなったあの娘も、目的の為なら自殺行為でもなんでもやるが、はなから出来ないことを考え無しにやる馬鹿ではないと瑞鳳は知っている。
贖罪の為に生きて、最前線で戦い続けて、わざと命をすり減らすような戦い方をする彼女なら絶対に、自殺なんて選ばないことを瑞鳳は知っている。
なのに、追ってきた。心中するかのように、自ら死地へやって来た。
つまり、響の心はもう壊れてしまって、自暴自棄になってありもしない救いを求めて、死を選んだのかもしれない。少女にとってそれは悪夢だった。

(なんで、なんでなのよぅ・・・・・・。・・・・・・やだ。こんなのぜったいやだぁ・・・・・・!)

遂に響が瑞鳳の元へと辿り着く。
0300ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 22:56:46.50ID:mgTOe+I+0
その時にはもう瑞鳳の瞳はなにも映していなかったが、動かない身体は水の冷たささえ感じなかったが、か細い右腕だけで抱きしめられる感覚だけは、心で感じることができた。
海に溶けて消えるはずの、大粒の涙が頬に当たったような気がした。なにか暖かいものが流れ込んでくるような気がした。
この感覚を最後に、意識は途絶える。
そして海中で抱き合う二人の少女は、大きな黒い影に包み込まれ、消えた。
0302ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 22:58:05.76ID:mgTOe+I+0
《第17話:事象の水平線に阻まれて》



デュエルをピンポイントで狙った【軽巡棲姫】とウィンダム、グーンとの戦い。運命の分岐点。
その戦いで何があったのかを、佐世保艦隊が知ることはなかった。一方的な虐殺のような戦いがあったことを、当事者以外はただただ推測することしかできなかった。
何故ならつい先頃に、当事者達――響、瑞鳳、夕立、キラ――の四人が揃ってMIAに認定されたからだ。
Missing In Action(戦闘中行方不明)。事実上の戦死を意味しているその文字列は、漆黒のモビルスーツに撃墜された偵察機の情報を元に、榛名と木曾と鈴谷がヴァルファウ迫る戦場を放棄してまで懸命に、必死に、
約束した期限ギリギリまで周辺海域を捜索した末に導かれたものだった。
経過も詳細も一切不明で、ただ四人の行方が知れないという現実と、敵がモビルスーツを使役しているという事実だけが、残された佐世保艦隊の知る全てだった。鈴谷がたった5秒だけ垣間見た視覚情報だけが、全てだった。

「・・・・・・もっと早く、夕立さんを追いかけていれば・・・・・・もっと早く榛名が決断できていれば・・・・・・」
「死体が増えただけでしょ」
「・・・・・・ッ鈴谷!」
「事実でしょ、あんなん相手に鈴谷達が敵うわけないじゃん。・・・・・・今は戦闘に集中してもらわないと、今度はこっちが瑞鳳達の後を追うことになるんですけど」
「そんなの言われなくたって!!」

11月14日の、11時16分。
らしくなく辛辣な鈴谷の態度と言葉に、目元を真っ赤に泣きはらした榛名は恥も外聞もなく怒鳴った。だが、それでも視線と砲塔は敵に向けたままだから、彼女はまだまだ正気だと木曾は判断する。
むしろ、唯一敵の姿を知る鈴谷のほうが重症だ。付き合いは短いが、こんな風にすげなく当たり散らす少女ではないと知っている。この二人の精神状態をどうにかしなければ、それこそ本当に後追いになりかねない。
響達三人のいない第二艦隊一番隊に、戦闘中に後悔や感傷に耽っていられる余裕なんてない。
これより開始される戦闘も言うまでもなく、熾烈を極めることになる。
感情論抜きで単純な戦力だけで考えても、佐世保鎮守府最強クラスがごっそりと居なくなった損害は大きく、仲間を喪ったからと腑抜けてはいられないのだ。
艦娘というヒトデナシな存在にとって人類を護るという行為は、求められたものであり、求めたものであり、存在意義だから。自分達で選んで繋げたこの道こそが世界の応えなら、どうあっても止まることはできなかった。

「お前らそこまでだ。敵の射程に入るぞ、切り替えろ! 生き残れなきゃ弔うことだってできないんだぞ!!」
「!」
「オレが前に出るから支援任せるぞ鈴谷! 榛名は狙撃に専念してくれ」

エンゲージ。
対ヴァルファウ迎撃戦を経て、再び機能不全に陥った福江前線基地を守る為でなく、討ち損ねた敵を追撃する為の戦場に、木曾達は雰囲気最悪なまま足を踏み入れる。
0303ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 23:00:17.22ID:mgTOe+I+0
「・・・・・・すみません木曾、榛名がしっかりしないといけないのに・・・・・・」
「言うな、オレも大概情けねぇよ。だが・・・・・・鈴谷も、わかってるな?」
「っ――オーケー。舐めた態度とったのは後で謝るとして、鈴谷もやることやるよ」
「よし。響達の想いも連れて、行くぞ」

踏み入れて、突破して、更にその先へ。
目指すは沖縄。
仇敵を討つべく、自らの活路を拓くべく、第三艦隊三番隊【阿賀野組】を除く佐世保全艦隊は南へと舵を取る。



0304ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 23:03:13.01ID:mgTOe+I+0
ここまで時系列を整理しよう。
ことの始まりは早朝、響達が特別演習に出撃してしばらく経った頃だった。
夜間哨戒から戻ってきたばかりの夕立が突然「響達が危ないっぽい!」と言って再出撃したのだ。確証もなにもなく勘だけで、丁度その場でミーティングをしようとしていた榛名達に「手伝ってほしい」とも言い残して。
夕立の勘は未来予知染みたところもあって信用に足るものであり、ならば駆けつけるべきと急いで榛名達は艤装を準備したが、その直後に問題が発生した。
哨戒に出ていた【阿賀野組】からヴァルファウ接近の報が上がったのだ。
対ヴァルファウ戦自体は、これから起こりうる大きな危機の中でも、特に高い確率で発生するだろうと考えていた。むしろ、提督と木曾に至ってはそろそろ【軽巡棲姫】が痺れを切らす頃合いだと踏んでさえいた。
まだまだ完全とは言えないが、既に厄介な輸送機や巨人を撃退する策は編み出して、虎視眈々と準備を進めていたのだ。
しかし。
第二艦隊一番隊【榛名組】全員と夕立を欠いた艦隊では、作戦決行は難しいと言わざるを得なかった。
しかし。
危機に直面している響を、瑞鳳を、キラを放っておくことはできない。夕立が危ないと言ったからには、手伝ってほしいと言ったからには、真実なのだ。誰かが助けにいかねばならない。
だから。
若干の作戦の変更を、決断した。ほんの数分だけ、貴重な時間を割いて、彼女達は金剛達と協議した。【榛名組】不在という陣容でも致命的な問題が発生せぬよう、作戦を修正した。
戦場で阿吽の呼吸の如く意志疎通できる彼女達でも、若干の犠牲を強いるこの修正内容で本当にいいのかと逡巡した。
だから。
間に合わなかった。ほんの数分だけ、貴重な時間を割いたから、間に合わなかった。救うべき者達がそこにいたという痕跡さえ、見つけることができなかった。
仲間の行方はおろか、敵の行方までも。


なんの成果も得られなかった榛名達が、金剛ら佐世保艦隊本隊と合流した頃には既に、戦況は小康状態となっていた。


艦隊に損害はなく、逆にヴァルファウと【Titan】数体を墜としていた。
少し前までは想像もできなかった驚異的な戦果だが、カラクリは至って単純。壊れたナスカ級を陸上砲台に改造し、元々船体中央部に装備されていたビーム砲とレールガンを使用しただけだ。
艦首120cm単装高エネルギー収束火線砲と艦橋下両舷66cm連装レールガンなら、一方的に攻撃できる。
最大攻撃目標であった輸送機は初撃で右翼を貫かれ、沖縄近海へ不時着。巨人達も続け様に狙撃されてはその戦闘力を発揮できず、撃墜。突然の大損害で出鼻を挫かれた敵艦隊は浮き足立った。
本来であれば完封勝利を見込めた迎撃作戦の序盤は、ほぼ完全に艦娘達の思惑通りに進行したのだ。これでナスカ級は敵の最大攻撃目標になるだろうから、
すかさず響と夕立とキラを突撃させ、アンチビーム爆雷と戦艦級の弾幕で護りを固め、瑞鳳ら空母級が制空権を獲ればそのまま勝てると考えていた作戦の、序盤は。
しかし現実の佐世保艦隊には要となる少女らがいない。防御と攻撃の両立ができない。守勢に回れば負ける。
0305ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 23:06:15.17ID:mgTOe+I+0
ならば致し方ないと、【榛名組】不在という陣容でも致命的な問題が発生せぬよう修正した作戦は、ナスカ級および福江基地の損害を前提として組み込んでいた。
結果として、10時頃になると敵残存勢力は沖縄方面へ撤退し、迎撃戦は終わった。


残されたものは、完全に破壊されたナスカ級と、大半が更地になった基地、そして響達がMIAに認定された現実と重苦しい空気。真っ白な顔で蹲る暁達。


考え決断しなければならない事が、たくさんありすぎる。
木曾と金剛は一度基地内で唯一無事だった工廠に戻り、二人だけでこれからについて話し合うことにした。他の者達には頭を働かせられる余裕はなさそうで、せっかく復旧した有線通信もまたダメになってしまっていた。
今はこの二人しか、気丈に振舞ってその実当たり前のように憔悴している二人しか、決断できる者はいなかった。

『・・・・・・木曾。榛名の様子は?』
『完全にふさぎ込んじまってる。その内立ち直るだろうが・・・・・・時間が必要だな。榛名だけでなく、皆』
『Sorry。本当は木曾も、辛いでしょうに』
『お互い様だろう。それにオレ達までダメになったら誰が艦隊を支えるんだ。これまで艦隊の方針を決めてきて、こうも後手にしてしまったオレ達だからこそ、最後まで諸々の責任を果たさなきゃな』

ヴァルファウを放置すればまた復活するだろう。
沖縄周辺まで、ヴァルファウを追撃するか否か。
追撃するとして、傷ついた基地はどうするのか。
響達を探し出すべく、捜索隊も結成しなければ。
キラがいないのなら、強化計画はどうするのか。
そもそも、今の佐世保に敵を倒す力があるのか。
また、再び長崎に接近してきているらしい嵐のことも考えなければならない。嵐が来れば艦娘も深海棲艦も身動きできなくなる。どうすればいい。もう後がない。
状況は完全に、金剛達のキャパシティを超えていた。しかし提督の判断を待ってはいられない。
工廠が沈黙に呑まれる中、やがて木曾は凜として告げた。

『追撃しよう。福江基地には最低限の守備隊を残し、全戦力で徹底的にヤツを潰す。今攻勢に出なければ死を待つだけだ』

もう後がないなら、進めるところまで進め。生か死かという二択を背負い、進め。
この時期に珍しい二度目の嵐がくるのなら、まだ神様には見捨てられていないと木曾は言う。
艦娘も深海棲艦も等しく身動きできなくなるのだから、いっそ嵐に基地と鎮守府を守ってもらうのだ。
その間に佐世保全艦隊は南進、鹿児島の鹿屋基地にも再度協力を要請し、嵐が五島列島を抜けるまでに不時着したヴァルファウを破壊して帰投する。
ハードな強行軍になるが、これをクリアできなければそもそも佐世保鎮守府に未来はないし、今にも精神的に完全崩壊しそうな佐世保艦隊には進撃(仇討)という麻薬が必要でもあった。
0306ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 23:10:03.10ID:mgTOe+I+0
また、響達の捜索については、完全に人間達に任せることにした。生きていればきっと福江島周辺にいるはずで、彼女らを探すなら哨戒艦や鎮守府陸上部隊のほうが適任だ。艦娘は完全に戦力として運用する。

『夕立達が戦ったっていうMobile Suitsはどうするつもりデス? 真相不明のまま放置したらまた同じことがRepeatヨ』
『そうだな。オレ達は響達も、響達を襲った敵も、見つけられなかったからな。正直判断に困るってのが本音だが』

もっともな指摘に木曾は一度大きく頷くと、無人となった工廠を見渡した。
痛いほど静かな、ごちゃついた空間だ。奥には主不在のストライクが鎮座していて、喪った存在の大きさを改めて突きつけられているような気分になる。
今になって思えば、一瞬で過ぎ去った福江基地での生活は常にこの工廠が中心だった。
ここに少し前まで、キラと響と瑞鳳と明石は入り浸っていた。他の仕事の合間に、戦闘の合間に顔を出し、意見を交わしながらあれよこれよと楽しそうに作業していた。
己も含めて他の少女達も時折手伝いに来ていたが、ここはやはり彼女らの居場所になっていた。
しかし今、ここには誰もいない。
皆の修理に奔走している明石以外の、ここの主と化していた四人のうち三人は、夕立と共に何処かへ消えてしまった。客観的に、死んだと見るべきだろう。
いなくなったとわかって木曾は改めて、ここ最近はずっと戦闘も日常も、彼女らに頼りっぱなしだったことに気付く。

『・・・・・・しかし実際問題、響達が本当に死んでいて敵も健在だったのなら、艦娘が束になったところで勝ち目はないだろう。
モビルスーツの力はお前も把握してるだろ? 佐世保鎮守府どころか、全人類そのものの危機だ。その可能性は考えるだけ無駄だ。だからオレは――』

あの防衛戦以来、戦闘の度に「これしか手はない。やるしかない」と何度も何度もそう思い、己に言い聞かせ決断してきた。
他の者達は気付いていなかったようだが、あの小さな駆逐艦娘とその相方の技量をアテにした強攻策で以て苦難を退けてきたのだ。
参謀役が聞いて呆れる。酷いザマだ。戦闘の度に恩や借りを感じて、返そうと思って、しかし次の戦闘でまた頼って。
この基地で過ごした短い日々でだって、響とキラの仕事量は増える一方だった。積極的に手伝っていた瑞鳳だって相当根を詰めていた筈だ。でも彼女達なら大丈夫だろうと、その行動を容認してきた。
結果がこれだ。
試作兵装実験の為の演習だからって、自分達は他にやるべきことがあるからって、あの三人に単独行動させなければこんなことには。せめて目の届くところでと制限していれば。
恩や借りを返すべき相手を失った。頼りきりだったから失った。
だからこそか。

『――オレは響達が生きていて、敵も退けてるって都合の良すぎる可能性を信じる。今までアイツらに頼りきりだったからこそ、最後までそう信じる。信じてるから、オレ達は進むんだ』
0308ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 23:11:13.58ID:mgTOe+I+0
最後まで信じてやらなければ嘘だ。
結局ただの考え無しで無責任なだけかもしれないが、己が信じたアイツらが生きている前提で動く。そう言い切った。また会えたら今度こそアイツらの助けになるのだと誓って、金剛も静かに頷いた。
方針は定まった。
だから無茶でもなんでも、やってみせる。
響達の分まで自分が艦隊を支えてみせる。
今までのように受け身でいればこの果てない逆境と絶望の連鎖は断ち切れない。だから断ち切る為に、木曾達は自ら敵地へ攻め込む道を採択したのだ。

『今度こそ本当に、もう深海棲艦どもの好きにはさせない。オレがさせない』
『DEAD or ALIVE and GO デスカ・・・・・・OK、久々の殴り込みネ。これでFinishって気概で、ケド続いていくワタシ達の未来の為に』
『責を果たすぞ、金剛』

最後に木曾は、ストライクを一瞥して工廠を出た。
まだ修理の終わっていない人型機動兵器、その瞳が一瞬おぼろげに煌めいたような気がしたが、錯覚だと切り伏せた。



0309ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 23:15:44.71ID:mgTOe+I+0
そして佐世保艦隊は沖縄へと向かった。
同時刻、呉鎮守府。
シン・アスカはまだ、キラ達がどうなっているのか知らなかった。というのも、今現時点で佐世保の二階堂提督と呉の提督とで情報整理をしている真っ最中なのだから、
シンのみならず所属艦娘全員がその現状を知るまで、まだ幾ばくかの時間が必要だった。
ウェーク島救援作戦を成功させた支援部隊が昨夜ようやく凱旋したことも相俟って、まだまだ呉の雰囲気は平穏そのものだ。

「あれま、シンじゃん。一人でご飯とか珍しいね〜」
「・・・・・・なんだ北上か。なんか用かよ?」
「ぼっちメシでふて腐れてる英雄様の為に、このハイパー北上さまが昼食をご一緒させてしんぜよう」
「ふて腐れてねーよ。つーかその英雄様ってのヤメロ」

工廠の隅っこで一人、デスティニー修理部隊御用達の円卓にてわざわざ食堂から持ち込んだ肉うどんを啜っていると、どういうわけか北上と同席することになったシンがいた。
お気楽マイペースな球磨型重雷装巡洋艦三番艦の北上。佐世保所属の木曾の、姉妹艦の一人。
ナイーブでつんけんしてる彼にとっては少々苦手なタイプであるところの三つ編み少女が何故か、トレイに特盛ミックスフライ定食を載っけて工廠にやって来た。

「ねー、天津風とプリンツは?」
「艤装修理中だよ。あんたこそなんでここに・・・・・・大井と阿武隈は一緒じゃないのか?」
「大井っちも同じく修理中で阿武隈は出撃中ー。私の艤装修理はもうちょい先なわけだから、少し寂しいよね。とりあえず隣を失礼しますよ〜っと」
「ちょ、おまっ、結構強引なのな」

いつも大井か阿武隈と一緒にいるこの少女は、イヤな相手ではないのだが、話をしているとどうにも調子が狂ってしまう。
そう、例えるなら掴所のないクラゲ。のほほんとしたクラゲが同意も得ずに隣に座ってきて、どこか居心地悪そうに身動ぎするシン。
そんな青年とは対照的に、弛緩しきった北上は早速とばかりに揚げたてコロッケに箸を伸ばす。
かと思えば。

「ほいコレあげる」

食べかけのうどんへ、ポンっと無造作にIN。
哀れ、さくさく衣が売りのコロッケはみるみるうちにスープの海に沈んでヘニョヘニョになっていく。なんということだ。いとも容易く行われた取り返しのつかない行為に、思わず真顔になった。

「・・・・・・なんのつもりだ?」
「テレビで知ったんだけど関東のほうにゃコロッケ蕎麦なる文化があるみたいでさー。汁吸ってぐずぐずになったコロッケもまた美味しいらしいねぇ。・・・・・・うどんで代用できるかは知らないけど」
「そうなのか。いや、そうでなく」
0310ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 23:18:02.51ID:mgTOe+I+0
「お近づきの印と、お疲れさま&ありがとうの第一弾ってことで。おかげで無事に帰ってこれたわけだからね、私は」

なるほどそれが本題か。いきなりなんだコイツと思ったものだが。
よかった、無駄に犠牲になったコロッケはなかったんだ。

「ああ、そうか。あん時ウェーク島にいたんだっけか、あんたは」
「呉艦隊主力の、ミッドウェー包囲網の一員として丁度ね。いやーマジでもうダメかと思ったわ。そしたらあのロボット・・・・・・ディスティニーだっけかがカッ飛んできて? そりゃ英雄様と言いたくなるもんですよ」
「デスティニーな。俺はアイツらを運んだだけだぞ」
「まさか。【姫】級と【要塞】級を炭にしといて」

先日11月11日に決行したウェーク島救援作戦での顛末を思い出す。
この世界でのシンの初陣は、実に単純なミッションだった。馬車役となったデスティニーで天津風ら支援部隊を詰め込んだコンテナを運搬し、後退中の西太平洋戦線を支援するだけ。
その際に邪魔になりそうな深海棲艦を何体かビームライフルで焼き払ったりしたが、それがまた効果覿面で、艦娘達はあっという間に勢いを取り戻して戦況を拮抗させた。
すると横須賀からの援軍も間に合い、墜とされた偵察衛星の代わりに大量の水上偵察機を動員させて、辛うじてウェーク島は陥落の危機から脱する。
翌日になると事態を把握したアメリカとロシアが動き出し、他の戦線を後退させてでも援軍を出してくれたおかげで逆襲に転じ、肝心要のミッドウェー包囲網維持を実現したのだった。
それを見届けたシン達が小笠原諸島沖に待機していた輸送船と合流し、呉へと帰還したのが昨夜のこと。
懸案事項としては、デスティニーを目撃した他鎮守府の艦娘が上へと報告しないでくれるかだが、そこはもう口約束と義理人情を信じる他ないだろう。

「【姫】級と【要塞】級? ・・・・・・妙に目立つのがいたけどアイツらってやっぱ、かなりの強敵だったのか?」
「ラスボス並。おかげで【姫】のほうはこの元祖重雷装巡洋艦北上さまが魚雷全弾命中させて、大和と共同で撃沈した扱いになってましてねー。【要塞】はビックセブンズと一航戦の戦果になったんだっけか。
あれでライフルの威力とか、じゃあキャノンを使ったらどうなるんだって私としては興味津々なわけですよっと」
「・・・・・・正直言うけど、もし万全だったら単騎で制圧できてたんじゃねーか」
「次元が違うわー。対艦兵器モビルスーツの最新型たるデスティニーさんは超戦略級機動兵器(ワン・マン・フォース)でございますか。ウチの提督が隠したがるわけだねぇ」

それほどのパワーを秘めているからこそ、デスティニーの存在は未だ呉鎮守府関係者しか知り得ない最高機密となっている。
なにせ、兵器なのだ。異世界の地球人類が純然たる科学のみで建造した、個人用の機動兵器なのだ。それはつまり、ボタン一つで誰でもコントロールできることを意味する。
正確に言えば【GRMF-EX13F ライオット・デスティニー】はシン・アスカの生体認証がなければ戦えないのだが、雑に動かすだけなら遺伝子操作を施していないナチュラルでも可能だ。
そんな物騒なものを、まだこの世界に広く開示するわけにはいかない。
何故なら。
0311ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 23:21:09.59ID:mgTOe+I+0
「そりゃ隠さないとマズいことになるって俺でもわかるさ。戦力を艦娘に依存しきっているこの世界の軍にとって、モビルスーツなんて喉から手が出るほどだろうしな。
正直なとこ、ここに保護されてなかったらと思うとゾッとするよ」

この国の上層部にも勿論、艦娘を私的に利用しようとする者がいるからだ。
単純に私兵として己が権力を絶対のものにしようと目論む者、逆に支援の名目で媚びへつらい己のイメージアップを狙う者、或いは唯オンナとして欲望の捌け口にしようとする者など。そして誰もが口を揃えてこう嘯くのだ。
「君達の苦労は理解している。だがこれは未来の為に必要なことなのだ」と――
人間社会として実に当たり前のことで、揺るぎようのない現実。どんなに真面目で潔白な者が頑張ろうと、これだけは絶対に防ぎようのない現実。不逞の徒の暗躍は古今東西、実在する。


故に、シンとデスティニーは呉鎮守府で活動していても、公式には「いない者」として扱われている。


おかげで愛機から遠く離れないよう行動範囲を制限され、常に艦娘の護衛がつくようになったが、そうでもしないとシンの身が危ないからと呉の提督が計らってくれた経緯があった。
実際、シンに対する軍令部からのちょっかいは提督が防いでくれているのだ。もしもウェーク島で会った艦娘達との口約束を反故されて、デスティニーの存在が正式に他鎮守府提督ひいては軍令部の耳に入れば、
間違いなく面倒なことになるだろう。
単純であったシンの初陣にも実は、そのようなリスクがあったのだ。
余談だが、11月21日に予定していた佐世保行きの件にもこの問題が深く関わっている。訳ありVIPのシン・アスカが呉から離れるには愛機と一緒でなければならず、となると輸送船で海路を進まねばならず、
どの道護衛が必要になるからこそビスマルクら出向防衛組と入れ替わりでという面倒な条件が出されたのだ。尤も、状況がこうも混乱しては予定なんぞとっくに白紙に戻っているが。
更に余談だが、呉のデスティニーと違って、佐世保の【GAT-X105 ストライク】と【GAT-X102 デュエル】の存在は既に軍令部へ報告されている。
鎮守府の一戦力として運用しているからそもそも隠しようがなく、またキラ自身が艦娘と同じようなヒトデナシになっていることもあって、いっそ公式に艦娘と同一なる存在として登録しているらしい。
こうなると逆に、艦娘に戦ってもらうことを第一としている軍令部は手出しできなくなるから安全なのだとか。だからこの世界では、異世界からの漂流者はキラ唯一人だけということになっているのだ。

「人類から艦娘を護るのが提督の仕事って言ってたな、あの人は」
「いつの時代も、この混迷する今を切り抜けた先にある輝かしい未来ってヤツを独占したがる野郎はいるもんだからねー。度し難いですよホント・・・・・・ほいご馳走様でしたっと」

纏めるようにそう言ってから北上は定食を平らげたが、席を立つ様子はない。まだ聞きたいことがあると真っ黒な瞳が物語っており、シンもぐずぐずになったコロッケを咀嚼しながら、観念して付き合うことにした。
さて、と青年は思う。
これまであまり接点があったとは言いづらいノンビリのほほんとした風情の少女は、己に何を求めているのだろう。いや、改まって考えるまでもないのだ。
柄ではないが彼女の言動を元に、次に彼女が切り出すであろう話題を予測してみる。
0312ミート ◆ylCNb/NVSE (ワッチョイ 9fad-twBZ)
垢版 |
2019/03/31(日) 23:24:21.98ID:mgTOe+I+0
「でさぁシン、私的にはこれが一番訊きたかったんだけどさ――」
「先に言っとくけど、デスティニーはもうホントに動かないぞ。どうやったって完全修復は無理だ」
「――あら、見え見えだったのね。・・・・・・うひー。まぁ、しゃあないのはわかってますけどさぁ」

その質問が間違いなく来るだろうなと予測して、というかそれしか思い当たらなくて、
間髪入れずに現実を突きつけてやると北上はぐんにゃりと円卓に伏した。「もうちょっとぐらい夢見させてくれてもいーじゃなーい」と小さくぶーたれる。
気持ちはよく分かる。立場が反対ならシンだって同じ楽観的希望を持つことだろう。

「あのな北上。俺だってデスティニーが直らないと困るんだっての。つーか死活問題だ」
「あーなんだっけワルキューレだかなんだか、シンは元の世界に帰らなきゃいけないんだもんねぇ。・・・・・・そーいやもうすぐ佐世保からモビルスーツ届くじゃない。それ使ってニコイチとかは?」
「無理。インチとセンチみたいなもんで規格が全然違うからな・・・・・・そもそも研究と増産の為に送られてくるんだから勝手に使えねぇよ」
「世知辛ーい」

たとえ「いないもの」扱いでも、現実問題として、デスティニーが艦娘達と戦線に与えた影響は絶大極まりない。
たった一機の、その一端だけであろうとも戦局を一変させる力が実在するのだとしたら、誰だってそれに縋りたくなるものだ。
それが「もう壊れました無理です」と言われて素直に納得できるかと言われれば、難しいと答えるしかない。
けれど本当に直しようが無いのである。
デスティニーは単騎での戦場制圧を望まれるGRMF-EXナンバーの最新型で、故郷のC.E.ですら規格外の存在だった。使用しているパーツも技術も旧世代機のものとは一線を画し、当然互換性は一切無い。
現状、心臓部たるUC型デュートリオン核融合炉が完全にダウンしてしまった愛機が復活する可能性は、殆どゼロである。
この世界に来た時点でかなりガタついていたが、ウェーク島救援作戦での戦闘いよいよ力尽きてしまった。それに見合う戦果は挙げたし後悔もしてないが、これからのことを考えると気が重くなってしまうシンである。
仮にデスティニーを完全に稼働させるには、絶対条件として、他のGRMF-EXナンバーからパーツを拝借しなければ。そんなものは考えるまでもなく、そんじょそこらに転がっているものではない。

「・・・・・・ニコイチ、か」
「? どったのシン?」

GRMF-EXナンバーはそんじょそこらに転がっているものではない。
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況