何人かの男性スタッフは涼しげな綺麗さに表情を綻ばせている。

「いやー、凄かったね。今日も。あんなに素早い機体を乗りこなせるなんて。」

スタッフの一人が誉めると彼女は自分の頭に手を当てて

「いえ、皆がいい機体を作ってくれたからよ。
それにチューンナップもバッチリだったし。」

他のスタッフやテストパイロット達にも挨拶して帰ろうとするが、こんな声が聞こえてきた。

「腕は凄いし美人だけどさ、何かデカいじゃん?男並みだし。」

「しっ!聞こえるぞ!」

「…………」

それは彼女が気にしていることだった。
何しろ身長182センチ。
体型は女性らしいスレンダーさがあるが、彼女にメロメロな男でも気後れしてしまうかもしれない。
これでも男装の麗人的なムードがあるらしく、女性からの告白も何度かあったが全て丁寧に断っている。
麗人よろしく澄まし顔で格納庫を後にする。

(あいつ……なんてことを……)
「…………あー、私だってもっと普通の背丈になりたかったよ!」

「おいおい、どうしたんだい?」

「…………え?」