清涼な声を珍しく荒げていると、反対に落ち着いた男性の声が聞こえたので振り返ると……
そこにいたのは茶髪の同年代の男性だった。
普段は余裕のある凛とした顔を赤らめて、蒼い目を左右にキョロキョロするレイナ。
薄い唇は微妙な三日月型を作って引きっている。

「え、あの……私ついついおっきな声だしちゃって……
あの……確かあなたは……」

「最近赴任したジラード・フォーネル。因みに少佐だよ。
君は確か……レイナ・スプリガン少尉だっけ?」

「しょ、少佐です……」
(あ、いけないまたキツい言い方になっちゃった……)

軍隊なので階級は重要だが、今の訂正の仕方はどこか子供っぽい不機嫌さがあるのに気付いて恥ずかしくなるレイナ。

「ああ、これは失礼。同格だね。
さっきの奴の言葉は気にすることないさ。
それじゃあ。」

爽やかに笑って去って行くジラードを私はポツンと見ているだけだった。