鏡をつかっておもしろいことをしてみましょう。あなた
の顔が正面から大きく写っている写真を用意します。そ
れから、目のまんなか、鼻、口を通る顔の中心線の上に
鏡を立てます。写真の半分と鏡に映ったその半分とを合
わせると、片方の側だけからできた左右対称の顔になり
ます。鏡の向きを変えると、もう片方の側でも同じこと
ができます。右側だけでできた顔と左側だけでできた顔
とでは、かなりちがった印象を受けます。目の大きさや
ほっぺたの形など、右と左では意外に大きく異なってい
るのです。顔だけではありません。人の体は、左右対称
に思えますが、実は少しちがっていて、手足の長さや筋
肉のつきかたなども同じではないのです。人がまっすぐ
に歩くのは当たり前のようですが、実は目で周りの景色
を確かめながら体の向きをコントロールしています。そ
のため、視界のきかない吹雪のときなど、ただやみくも
に進んでいくと、弱い足の方に少しずつ曲がっていって
しまいます。そして、長い時間歩いたあげく、結局最初
と同じ地点にもどってしまうこともあるのです。内臓で
は、右と左はもっとちがいます。たとえば心臓は体の少
し左側にあります。赤ちゃんを抱くときに、お母さんは
自然と赤ちゃんの頭が心臓の近くにくるように抱きます