これ
は、一ミリメートルほどの細かい網でできている四角い
テントのようなもので、部屋の中で四方から吊り下げる
ようになっています。網目が細かいので、蚊は中に入れ
ませんが、涼しい風は通すことができます。昔の日本人
は、蚊の多い暑い夏の夜を、蚊帳の中で風鈴の音を聞き
ながら涼しく過ごしたのです。しかし、昭和の後期にな
ると、殺虫剤や下水道が普及した結果、蚊自体が少なく
なり、蚊帳は次第に使われなくなっていきました。とこ
ろが、今、この蚊帳が再び注目されています。蚊帳は、
電気も薬品も使わない点で、人間にも地球にももちろん
蚊にも優しい道具だと考えられるようになってきたので
す。日本は、マラリヤの被害に悩まされるアフリカ諸国
にたくさんの蚊帳を送っています。これによって多くの
子供たちの命が助かっているそうです。日本ではほとん
ど使われることのなくなった蚊帳も、世界では大活躍を
しているのです。日本人のこれからの役割は、より安く
より安全な蚊帳を世界中に広めることではないでしょう
カ。「ブーン。」「あ、蚊や。蚊帳に入ろう。」