統合失調症
抗精神病薬を使わずに漢方薬だけで治療することは、ほぼ不可能です。しかし、一部の生薬には中枢抑制作用があり、

急性期の興奮や幻覚妄想に対して多少の効果を持つ可能性があるので、補助的に使用する意義はあるかもしれません。

例えば、残遺期(安定期)の無気力状態には、抗精神病薬に「補中益気湯」(虚)や「十全大補湯」(虚)を併用することが有用だと考えられています。

また、興奮の強い人には「大柴胡湯」(実)、「黄連解毒湯」(実〜中間)、「三黄瀉心湯」(実)などを。

イライラの強い人には「柴胡加竜骨牡蠣湯」(実)、「甘麦大棗湯」(虚)、「抑肝散」(中間〜虚)、「抑肝散加陳皮半夏」(虚)などを併用することもできます。

気分障害
気分障害にはうつ病性障害と双極性障害が含まれます。

このうち、双極性障害と中等度以上のうつ病性障害は向精神薬による治療が中心で、漢方薬は統合失調症と同様に補助的な役割にとどまります。

しかし、軽症のうつ症状や気分変調症に対しては、漢方薬だけ、もしくは少量の抗うつ薬と漢方薬の併用で治療できる可能性があります。

以下は、オープンスタディ(非盲検討験;被験者が何の薬を飲んだか医師・被験者ともに知っている試験)によって抗うつ効果が確認されている漢方薬です。

「柴胡加竜骨牡蠣湯」「柴胡桂枝乾姜湯」「半夏厚朴湯」「抑肝散加陳皮半夏」「加味帰脾湯」「柴朴湯」

胸脇苦満(胸の苦しさ、圧痛など)のある人には、「柴胡加竜骨牡蠣湯」(実)、「柴胡桂枝湯」(中間〜虚)、「柴胡桂枝乾姜湯」(虚)などを用います。

焦燥感が著しく、眼瞼の痙攣や手足の震え、チック症状などが見られる人には「抑肝散加陳皮半夏」(虚)、皮膚の乾燥や貧血傾向が著しい人には「加味帰脾湯」(虚)を用います。

https://www.heartclinic-yokohama.com/sp/kokoro/psyc_kanpo.html