大人びた難しい言葉、場にそぐわないほどの丁寧語を使う

 子どもなのに「ちなみに」「ところで」「逆にいえば」「おそらくは」などといった
大人びた言葉を使うことがあります。今日の昼ごはんは何を食べましたか?と聞かれて
「米飯と魚肉それと緑黄色野菜」と答えたり、手伝って欲しいという意味で
「援助が必要です」と言う子どももいました。クラスで配布されたプリントを集めるときに
「没収します」と言うなど間違った言葉の使い方もみられます。家族や同級生に対しても
「ですます調」の丁寧語や文章体で話したり、テレビのアナウンサーのように正確すぎる
話し方をすることもあります。丁寧語の中に不自然なほど乱暴な若者言葉が交じりこむ
小学生もいました。兄の影響で乱暴な言葉を覚えたのですが、全体は丁寧語でしゃべるので
非常な違和感があります。本人はあまり違和感を感じていないのです。
基本的にアスペルガー症候群の子どもは友人同士の会話よりも、テレビや本などから
会話を学ぶことの方が得意のようです。そのために、こういった現象が生じるのだと
考えられます。辞典で覚えた難しい熟語やことわざを不自然なほど頻繁に使うこともあります。
「やめて」という意味で「それは言語道断だから断固拒否します」とか
「せいてはことを仕損ずると言いますから、そんなことをしたら弱り目にたたり目です」
といった具合です。男の子なのに女の子のようなしゃべり方をしてからかわれる子どももいます。
先生に指されて答えられず「あら、私こまっちゃったわ」といったようにです。
母親と一緒にいることが多いため、母の言い方をそのまま模倣しているのかもしれません。
大抵の子どもは男女の言葉の相違を理解してそれぞれの性別にあった言葉使いをするのですが、
アスペルガー症候群の子どもはそういった使い分けが苦手です。