米軍レーダー網を突破する思考実験として。
小沢長官は、昼間強硬策を選択した。まともに飛行にしたら、レーダー網にひっかかるから、
パイロット達に、(無理を承知で)低空飛行を指示し、凡そ10分前の時点で高度を取るマスタープランだった。
ただし、パイロット達には、長官が期待する練度はなく、10分前地点まで編隊飛行を維持する力量はなかった。

江草隊長は、夕暮れ〜薄暮の時間帯を狙った、低空飛行+雷撃を選択した。
昼間に急降下爆撃したくても、レーダー網やF6Fの大編隊を振り切ることは非現実的、との思考だった。
さて、自分が昭和19年1月、1AFの首席参謀または航空甲参謀だったら、
小沢長官にどんな意見具申を行うか?

■昼間攻撃に賭けるなら
1942年から1943年にかけてのガダルカナル島戦で、
日本の航空部隊が米軍のレーダーを撹乱するため、スズ箔を細長く切ったものを、電探欺瞞紙または妨害片と呼んで使っていた、
という「話し」を聞いたことがある。
このネタが真実だとして、自分が昭和18年年末にこのネタを知り得たなら、
軍令部と交渉して、彩雲1コ中隊を確保するか、彗星を使うかはともかくとして、
第一波は「電探欺瞞紙上空バラ巻き隊」で編成することを念頭におくだろう。
小沢中将の構想通り、低空飛行を強いて、10分前15分前に全力上昇し、敵艦隊上空で電探欺瞞紙をバラ巻く。
こうして、レーダーを攪乱させたうえで、天山隊または艦爆隊を、第2波として投入。

搭乗員たちの力量が落ちてから、艦爆隊や雷撃隊の育成には、かなり時間がかかる。
そういう意味では、水平爆撃に賭ける考え方は成立すると思う。
嚮導員を数カ月単位で特訓する必要はあるものの、その他の偵察員(爆撃手兼務)の力量がイマイチでも、威力はある。
真珠湾時点、高度3000mから「動的」狙って35〜45%の命中率だとか。嚮導員の特訓の成果である。
1コ中隊9機編隊で、命中率30%なら、編隊での命中率は96%相当となる。
80番が空母に命中すれば、飛行甲板をブチ抜き、格納庫や機関室で爆発、勢い余って艦底に穴を開けることもありえる。
601空の艦攻の定数は54機、TF58.1や58.2の正規空母4隻を撃破する可能性は、ある。

正規空母7+軽空母8の敵主力の稼働空母が、正規3+軽空母8になるなら、
打撃能力の低下は著しくなるが…