では薄暮以降・黎明以前までの時間での【夜間】水平爆撃を選択した場合はどうか?
夜間雷撃同様、照明弾(1分×6コ)を装備した照明機を、1コ中隊につき最低2機用意する必要がある。
昭和14年における、夜間「急降下」爆撃訓練の様子は、以下リンク先で窺える。
照明弾を積んだ97艦攻×2機で、1コ小隊となり、1コ小隊は照明弾を投下、もう1コ小隊は予備隊、となる。
96艦爆は、同じく2機で1コ小隊を編成し、3コ小隊6機で空母一隻を追い回す訓練である。
http://navgunschl.sblo.jp/article/33675742.html

この時期の天山だと、レーダー装備機も準備できる。
敵艦隊誘導(兼)照明隊予備に、レーダー装備天山1コ小隊2機、
照明隊本隊に、天山1コ小隊2機、
水平爆撃用に、天山4コ小隊8機、合計12機編成で1コ中隊を編成、
1コ中隊で、敵(正規)空母1隻の撃破を目指す、という目論見である。
照明の元、30%の命中率が期待できるなら、8機で全て外す確率は5.8%程度(命中確率94.2%)。

マリアナ沖の時代になると、正規空母にF6F-Nが4機ほど配備されるが、
電探欺瞞紙をバラ巻いて、レーダーが錯乱すると、夜間戦闘機を飛ばすわけにもいかない。
F6FやFM-2で夜間戦闘行うのも、非常に困難。
夜間、かつレーダーがまともに使えない環境で、高角砲や機銃がいくらあったとしても、
高度3000mあたりを飛行する編隊を狙い撃ちできる神業を持った砲手、米軍にどれだけ存在しただろう?

照明隊の偵察員は、夜間の天測のスペシャリストを宛がわないといけないし、
水平爆撃隊は、爆撃嚮導員を徹底的に鍛え上げる必要があるし
先行して電探欺瞞紙をばら撒く彩雲なのか彗星なのか、こちらにも、夜間天測のスペシャリストと熟練パイロットを宛がう必要ある。
決して日本側の難易度は低くはないにせよ、昼間水平爆撃よりも夜間水平爆撃の方が、
敵の防空システムの穴は小さくないだけに、それなりに成功する確率は上がるのでは、と思う。

601空(1航戦)は、昭和19年2月から、「油が潤沢な」シンガポール沖で、訓練期間を最低3ヶ月取れる。
油不足における訓練、というハンデを背負った芙蓉部隊よりは、訓練環境は整ってたハズである。
なお、夜間水平爆撃を主力にするなら、601空の定数は、艦攻54→60、艦爆81→72に変更になるだろう。