昨今の北朝鮮情勢、とりわけ弾道ミサイル発射の警報に伴い、
首都圏大手鉄道会社が運転を見合わせた事例が出た、となると、
某田舎私鉄でも「弾道ミサイルの着弾に備えた対処要領」を検討することになった。

下敷きになったのは、東日本大震災に見舞われたJR東日本が残した教訓だった。

列車無線指令所が津波に流され、指令員も避難したあとでは、走行中の列車に無線で指令することもできない。
無線や鉄道電話での指令が届かない可能性があるのは駅も同じで、
そんなときに、どれだけ立派な文章の分厚いマニュアルを用意していても、いちいち繰っていたのでは間に合わない。

「警報が出たら走行中の列車はその場で停止し、たとえ警報が誤報であっても乗客の避難誘導を最優先せよ」
「警報が出たら駅務員は乗客の避難誘導を最優先せよ」
「乗務員、駅務員、ともに、乗客の避難誘導が完了したら自らも避難せよ、安全が確認されるまで列車、駅に戻るな」
「ここまでを簡潔にまとめた要領を配布するものとする」

で、現場では、

「刈り上げデブがどんだけアレでもウチを狙ってなんか撃たんだろ」
「いや、何せあそこのミサイルだから、東京狙ってウチに当たるかもわからん」
「で、なあ、乗務員が田んぼの真ん中に列車ほったらかして逃げたとか、
駅務員が駅ほったらかして逃げたとかになったら、後日、問題にならんか?」

「核ミサイルがガチで当たったら、列車でも駅でも即座に成仏だろけどさ。
ヘンに生き残って『鉄道員たるもの輸送のために一命を投げ出す覚悟はどうしたコラ』って、
生き残ったひとから後知恵で叩かれたら、つらいだろうなあ。
東日本大震災のとき、JR東日本の乗客も乗務員も駅員も誰一人死ななかったってのは奇跡なんだよ」と、職員氏。