実際問題として攻める側からすれば、日本がいくら金を節約しようがどうでもいい
その節約した分の金が、除去したい手段への危害を困難にするのでなければ、敵にとってこれほど有難い選択は無い
敵の立場に立てば、日本が洋上BMDアセットではなく陸上固定BMDアセットを選択し追加的に主たる手段として大方針を打ち出したことは、総合的にみて僥倖でしかない

そもそも論として、軍をはじめとした武力・戦力はすべて相対的なものであり、昨日より明日なにかを付加すれば確実に前進するというものではない
アショアの導入と、それに伴うBMD戦力主体の洋上から陸上への転換は、日本という国の内側だけで見れば戦力の拡充とみなすことができるし、予算がいくらか浮くというアドバンテージがあるようにも見える
しかし安全保障の本質は日々歩みを進めることには無く、常に敵や敵の戦術に対する相対的な価値の差をいかに縮め、或いは拡大していくかというところにこそ本質が存在する

現実的に敵の工作員や非正規戦部隊の動向を完全に察知し追跡し対応することは不可能である
ならばそれらによる武力攻撃は、現実的には起こり得るものとして考えねばならない
通常の侵攻作戦や戦略攻撃ならば、それが起きてからの対処で充分に間に合う
であるから、一般論においては>>500の指摘も一定程度の合理性がある
しかしアショアサイトは我が国において唯一の高高度迎撃用アセットであり、これを失えば我が国は丸裸同然になる
たとえ数分間で復旧できる程度の被害だったとしても、その間に敵の弾道弾攻撃が実施されれば全くの無意味である
備える為にどうすべきか?
イージスシステム搭載艦を引き続き日本周辺の適当な火点に配置しつづけるのか?
現状ではそれが最も妥当だと考えられる
しかしその場合、アショア導入の利点として語られてきた「DDG艦隊をBMDのために釘付けにしておかなくて済む」という議論は全くの誤りだったということになる
数分間の間に火点に適した範囲に急行できる艦船など、存在し得ないからだ
アショアを導入しようがしまいが、BMD能力を持った護衛艦とその艦隊は、引き続きBMDのためにその行動範囲を大きく制約され続ける
詰まるところ、アショアの問題点はここにある