大木の戦い

欧州で「戦勝国史観」の修正議論 「ソ連=正義」のニュルンベルク裁判は間違い 国家の流儀

 日本では全く報じられていないが、ヨーロッパで歴史観の逆転が始まっている。

 第二次世界大戦で戦勝国となったソ連は戦後も、ナチス・ドイツを打ち破った「正義」の側だと見なされてきた。
だが、「そろそろ、旧ソ連、共産主義体制の戦争犯罪を正面から取り上げるべきだ」という議論がヨーロッパで起こっているのだ。

 第二次世界大戦勃発80年にあたる2019年9月19日、欧州連合(EU)の一組織である欧州議会が、次のような「欧州の未来に向けた重要な欧州の記憶」と題する決議を可決した。

 《第二次世界大戦は、前例のないレベルの人的苦痛と欧州諸国の占領とを、その後数十年にわたってもたらしたが、今年はその勃発から80周年にあたる。
80年前の8月23日、共産主義のソ連とナチス・ドイツがモロトフ・リッベントロップ協定と呼ばれる不可侵条約を締結し、
その秘密議定書で、欧州とこれら2つの全体主義体制に挟まれた独立諸国の領土とを分割して、彼らの権益圏内に組み込み、第二次世界大戦勃発への道を開いた》

 ソ連は第二次世界大戦を始めた「侵略国家」ではないか。そのソ連を「正義」の側に位置付けた「ニュルンベルク裁判」は間違いだとして事実上、戦勝国史観を修正しているのだ。
  
 しかも第二次世界大戦後、ソ連に占領された、これらの国々ではソ連の武力を背景に共産党政権が樹立され、ソ連の衛星国にされたが、その責任は追及されてこなかった。よって欧州議会はこう指摘する。

 《ナチスの犯罪はニュルンベルク裁判で審査され罰せられたものの、スターリニズムや他の独裁体制の犯罪への認識を高め、教訓的評価を行い、法的調査を行う喫緊の必要性が依然としてある》

 ソ連を「正義」の側と見做した戦勝国史観を見直し、旧ソ連と共産主義体制の責任を追及せよ。こう欧州議会は提案しているのだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191115-00000003-ykf-int