陸上イージス、レーダー月内選定へ 防衛省、米2社製で綱引き (産経 7/16)

防衛省が2023年に運用開始を目指す地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」に搭載する高性能レーダーを月内にも正式決定
することが15日、分かった。
米ロッキード・マーチン社製「SSR」が選定される見込みだが、米レイセオン社製「SPY(スパイ)6」を推す声も省内には根強い。
水面下の激しい綱引きは決定直前まで続く見通しだ。
防衛省は北朝鮮の弾道ミサイルの脅威などに備えるため、イージス・アショアを秋田と山口に1基ずつ配備する方針で、今春から選定作業を
本格化させた。

SSRとSPY6はともにミサイル探知距離1千キロを上回り、海上自衛隊のイージス艦などが搭載する現行レーダー「SPY1」の2倍の能力を持つ。
価格はいずれも1基約1千億円とされ、政府関係者は「能力や価格には決定的な差は見当たらない」と話す。

米海軍は次世代イージス艦のレーダーにSPY6を選定し、小野寺五典防衛相が1月に米ハワイのSPY6の試験施設を視察したことから、当初は
SPY6の採用が有力視されていた。 ただ、防衛省内の選定作業はSSRに傾いている。 要因の一つは運用開始時期の違いだ。
SPY6を搭載する米イージス艦の就航は早くても23年以降。日本向けの対応はその後となり、目標とする23年の導入に間に合わないとの
指摘がある。

SSRは米本土防衛のため20年にアラスカで運用を始める長距離識別レーダーを基に開発する。
付随するデッキハウスなども採用実績があり、ロッキード側は「早期の運用開始が可能」と売り込む。
SSRには富士通、SPY6には三菱電機などが協力するが、生産過程で日本側が関与できる余地はSSRの方が大きいとの評価もある。

SPY6にこだわる海自幹部は「SPY6は米海軍が採用し、部品調達や整備などの面でメリットがある」と強調する。
日本企業関係者も「SSRはまだ開発段階だが、SPY6は生産段階に入っている。 能力は実証済みだ」と説明する。
小野寺氏は「公平性、公正性を担保し選定作業を行っている」としている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180716-00000027-san-pol