0.7パーセントの天然ウランから90パーセント以上の軍用グレードに濃縮するための遠心分離機を回す電力が
無いというオチ。その遠心分離機自体が高精度の加工が必要な高度な工業製品であるという現実。

そしてマンハッタン計画は遠心分離法のさらに10倍から30倍の電力と大規模な施設が必要なガス拡散法どこ
ろか、それよりも電力を食うカルトロンで濃縮ウランを調達したが、これの開発費は1億1960万ドル。P-51が5万
ドルで買えたから、戦闘機なら2400機分。建設でが別途、銅が4500トン必要で、それがないからと財務省から
銀を借りて代用したがそれが10億ドル分。44年6月から45年9月までに出荷した平均濃度84.5パーセントの濃縮
ウランが88キロ。軍用グレードの入手だけで、6億7300万ドルの費用がかかったが、リトルボーイでは64キロを
使っている。ちなアイオワ級の値段が1億ドルで戦艦大和の2〜3倍。年産1発とか北朝鮮も笑えないが、当時、
手元にある技術で濃縮ウランを入手しようとすると、そうなる。

>原爆製造に関してはウラン濃縮だけが問題ではないからな。

濃縮ウランの問題を解決できる見込みが無いから、そのあとを論じるのも虚しいがな。

>金さえあれば、大学生でも原爆は容易に製造できると荒巻義雄は「紺碧の艦隊」で言っているけど、
>1945年当時でさえ、日本の原爆製造は科学者のレベル的に無理だった、と私は想う。

科学者のレベルではなく、発想を現実的な値段で現物に変えるための工業基盤と、それがあったとしても「超特
急で! 戦争に間に合うように!」という注文における割増価格を賄う金の問題。原爆製造ができなかった原因を
「科学者のレベルが低い」と断じるようでは、大学生でも原爆が作れるというトンチキの鏡像でしかない。