>>854
 遅れましたが貴重な実例をありがとうございます。
 液層防御でも1層しか液層が無い日本海軍型の場合、
例えば大鳳だと吉田隆氏(海軍で戦時中被害の分析報告をまとめていた)の資料で、
防御用の液層は松本氏資料と同じく重油タンク兼海水タンクとされ、
しかも(常時満)と注釈付きとなっています。
 先に触れた造船少将八代準氏の資料でも重油が減少した液層タンクへの海水注入することを比重の違いを上げて言及していますが、
戦闘が予想される海域では海水を注入して防御力を維持するよう指示されていた様子が伺えます。

 海水と重油を攪拌するとエマルジョンを生じ流動性が低下して問題となりますが、
このエマルジョンは海水と殆ど比重が同じで他の物質と反応して海水中でも容易に沈殿します。重油中なら尚更です。

もともと艦艇用重油はそのままでもエマルジョン状の物質が沈殿しやすく、
その為かわざわざ缶への送油管ではタンクの底まで汲み切れず重油が残るように設備していますから、
比較的少量の重油から生じるエマルジョンにそう神経質になる必要はなかった様子です。
 もちろんずっとそのまま繰り返していたら、溜まりすぎて送油管まで達していずれ詰まらせてしまうことでしょう。

尚、タンクの底に残る重油沈殿物を回収処理して重油として再利用する研究も海軍では成功していたそうです。量的には誤差の範囲でしょうけれど。