受信機のスーパーへテロダイン化

本作戦には水上射撃用電探は不可欠であったが実用的31号の開発は進まず、このため、電波研究部は応急対策として、
22号電探の受信機を、霜田学生が開発した鉱石検波器を使用してスーパーへテロダイン方式に改造を行い、
これに増力式空中線操縦装置及び精密測距装置を付加した準射撃用電探の速成を模索した。
8月末、技術研究所三鷹分室で現用のオートダイン式受信機を、第1検波に鉱石を使用したスーパーヘテロダイン式に改修する実験が行われ、
結果、きわめて安定した受信機に改造出来ることが確認された。
22号のオートダイン式受信機は受信用磁電管M-60が検波・局部発振を兼任し、検波出力を14MHzの中間周波で4段増幅する構造であったが、
従来の検波・発振回路に鉱石検波回路を付加すると、第1検波が鉱石検波、局部発振がM-60のスーパーヘテロダイン式受信機に簡単に改造することが出来る。
このため、早速既存受信機のスーパーヘテロダイン化が決定され、改修作業が始められた。
改造は高周波部に鉱石検波回路を付加し、中間周波増幅段のゲイン不足を補うため、M-60付近に中間周波増幅初段回路を追加する簡易なものであった。
この時期、艦隊力は捷1号作戦に備えシンガポール方面に集結していたが、電波研究部は要員と資材を急派し、現地工廠職員と共に22号電探の改修を行った。
本工事により艦隊は最後の洋上決戦を目前に、漸く実用的な水上監視用電探を装備し、遅きに失したが、戦艦・巡洋艦群はレイテ沖海戦で、電探による本格的な対艦射撃を行うことが出来た。

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