マハンとコーベットの思想の違いは前提条件の違いから発生するものですが、そのあたりをすっ飛ばした議論が主流化しており、嘆かわしい限り。

マハンとコーベットは、それぞれの母国の状況に関する分析を行っている事を忘れてはいけないt思います。
すなわち、マハンが「当時の」米国の状況、コーベットは「英国の状況に依っているのです。
なので、そこを無視して海軍戦略として同列に考えてはダメなものと考えます。

マハン=発展途上海軍が拡大するにあたってとるべき戦略方針
コーベット=海上優勢を既に掌握した海軍が、地位を維持する為の戦略方針

その意味で、現在の中国は、マハンを指向するのは、そう間違ったものではなく注意を持ってみるべきだと思います。

(その意味で、旧海軍がマハンを指向したのも、そう悪いものではない)
(そして太平洋の半分を旧軍に奪われた米海軍がマハンを指向したのもそう悪いものではない)
(間違ったのは、太平洋の半分を制した旧海軍が、防勢に入ってもコーベットに転換できず、マハンを追及したところ)

両者をどんな情勢でも通用する万能の海軍戦略と考えてはいけないと思う。
状況に合わせて選択すべきものと考えます。
(なお、マハンは海上権力史論ではなく、その後にまとめられた海軍戦略を参照すべし)