僕はもう何十回とこの人の中に入って泳いでは消えた。
あったかいけれど、なにか違和感がいつもある。
知らないいろんな男の人の匂い。
いろんな男の人の混じった匂い。
外に(中で)出されたあと泳ぐんだけど、いつもとっても気持ち悪くて
はやく奥にいってきれいな卵の中に入りたいって思ってた。

今日、とうとうその時がやってきた。
「M・・の中にM・・のセ・・出してください」
この人の声が聞こえた
いつになく奥のほうで僕は出された。
いつものように他の汚いかけらをかきわけて、
でも今日はいつもより早くその入り口にたどりつけた。

キレイな卵が待っていてくれた。
僕はその中に入っていった。
僕と君が一緒になってものすごいスピードで分かれていった

そして心がしっかり芽生えたときに、
もう絶対にあの入っていったときの汚く臭いところは通りたくないって強く思った。

出たいけれど出たくない。
もがいていると、ちがうところから誰かが抱っこしてくれた。
よかった。
あのいろんなしらない男の人たちのかけら、汚くて臭いところを通らなくて
外にでられたんだ。
僕は(私は)汚されなくて済んだ。