タイトル総数比較は、谷川以降羽生を経て、渡辺の世代まででしか使えない
渡辺より若い世代はまだ、タイトル獲得チャンスが少なすぎるので、しばらく時間的猶予を与えて実績待ちすることになる
渡辺は30代半ばにさしかかってきたので、ある程度生涯実績の予測がついてきた

タイトル総数比較は谷川、羽生、渡辺といった名棋士での比較でしか使えないが
この比較で注目すべきは「渡辺は谷川を超えることができるかどうか」
実はこの点なのである
この30年ちょっとの間に活躍し出した棋士で、羽生に次ぐナンバー2はいったいどちらなのか?という議論ができる
この2人は年齢差が22あるが、ともに「7大タイトル時代を生きた」という点で共通している
渡辺はこれから8大タイトル時代を生きるが、棋聖がかつて年2回開催であったことを考えると
谷川と渡辺の比較ってそれほど大きな調整は必要ないように思える

谷川のタイトルが27、渡辺が19、その差は8
渡辺が8以上タイトルを積み重ねれば、渡辺はとりあえず「谷川を越えた」と言えるだろう
ただその時点で重要な名人獲得数で差がある場合は、議論が続くことになる
谷川派が「谷川は名人5期で永世名人、渡辺くんは名人○期(名人を取ったことがない)」などと主張すれば
「渡辺は名人と並ぶ現代の最高峰竜王で9連覇11期達成したから十分だ」などと反論がなされ議論が深まるだろう
もちろん渡辺が名人を5期以上取り谷川を追い抜けば問題ない

谷川のかわりに今度は米長に登場してもらうと
数字上、渡辺の19は米長の19と並んでいるが、米長がプロ入りした頃はまだ5タイトル時代であるから、
実は公平な比較ではないということになる
細かいようだが時代背景はしっかり頭の片隅においた上で比較しないといけない
渡辺20、米長19となった時点で「渡辺が上」と言い切ることはできない
渡辺が米長より上だとする根拠を「竜王という大タイトルを9連覇11期取ったこと」とするのは悪くないが、
「20>19だから」では決してない こういう比較は調整が必要となる
棋王や王座が米長プロ入り時からタイトルならば、米長はここで稼げた可能性があるためである
米長は羽生と同タイプなので1日制の軽いタイトルでは羽生同様に稼げる可能性が高い