最後の疑問は勝局の悪手率では棋士による有意差はでないのではないか?ということだろう
その心配は無用だ
将棋は多くの局面で最善の手はハッキリしていて一定の技量のある者ならプロでなくともその手を指す
チェスの巨匠のカスパロフも
マスターレベルの技量なら経験と読みの技術が要求される指し手は10%〜15%で
グランドマスターでもミスをする可能性がある難解な指し手は1%〜2%にすぎないと言っている
将棋も似たようなものだ
優れた棋士というのは1局で60手指すなかに悪手(ミス)が0手か1手しかない棋士のことだと理解できる
同じ勝局でもそのように悪手が少ない棋士は限られていて、多い棋士とハッキリと峻別できる
現役棋士で優れた棋士を年齢順であげると、羽生、丸山、三浦、久保、広瀬、豊島、永瀬、菅井、近藤、藤井
ちょうど10名しかいない
2017年ソフトによる勝局に限定した解析が如何に有効かを示している
2013年ソフトではこのような精度の高い峻別は不可能だ
また、2017年ソフトはプロより十分に強くなったので、これ以上強いソフトは解析時間のスピードアップ以外に必要としない
優れた棋士がわかれば、傑出した棋士はこの中から選べばよい
勝率が悪ければ、強さが安定しておらずミスで負けることが多いことを意味しているから、傑出した棋士とはいえない
傑出しているのなら勝率がよい(7割以上)だけでなく、少なくともタイトルの半分は制覇しているはずだ
もちろん悪手率、勝率、タイトル数の3条件に合致した現役棋士は過去羽生以外に存在しないが、その羽生も現在は2条件で外れていて傑出した棋士ではなくなっている
過去に遡れば、大山15世名人が全盛期において3条件に合致する傑出した棋士だった
木村14世名人については最新ソフトで悪手率を調べれば傑出した棋士と断定できるかもしれない
関心ある方はテストしてみたらいかがだろうか