その時、自由院の扉が開きました。
山々様は外に出られないはずなので来客でしょうか。

「こんにちは!お久しぶりですね博士」
「これは獅子緒様。西の国にいらしていたのですね」
「うんちょっとね!西洋合わせ札の大会があったんだ!せっかくだから博士に会いたいなって思って」
「光栄ですね。獅子緒様は都竜と仲がいいのに私のところに来て下さるとは」
「あぁ、都竜くんは結婚しちゃったし〜。幸せの絶頂期にいる男は弱いものでしょう?僕は弱い男は好きじゃないの」
「おお!おお!!」

私は獅子緒様の手をガッチリと掴みました。
まさに!同じ高みを見つめる同胞!同志と言える人間に出会えました!
西暴頭が何やら微妙な目で見つめていますがそんなことはどうでもいいです。

「獅子緒様、どうか我が隊で一緒に戦っていただきたい。我が隊には足りないものがありました……」
「え?何足りないものって。現金?」
「おお!おお!!」

今度は西暴頭が感激の声をあげています。
まさか獅子緒様が西暴頭と同じギャグセンスを持っているとは思いませんでしたが、心なしか西暴頭も嬉しそうです。
そう、獅子緒様といえば東の国きっての振り筒の使い手なのでした。
これは我が隊、現金以上のものを得られたのかもしれません。

「獅子緒様!我が隊に入っていただければ火の熱さも滝の勢いも跳ね除けることが出来ましょう!」
「そーかなー?でもまぁ嫌ではないかも。いいよ!頑張ろっか!」
「おぉ獅子緒様!!この西暴頭、今日から獅子緒様が推しですぞ!」

伸るか反るか、我が隊の賽子は投げられたようです。