福崎文吾九段、達人戦で「1局だけと思い」帰宅して不戦敗に…相手の阿部九段に「申し訳ない」
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 将棋の福崎文吾九段(63)が、12日に大阪市の関西将棋会館で行われた達人戦の予選で、午前の対局に勝利した後、午後に同所で対局があることを失念して帰宅し、2局目の阿部隆九段戦は不戦敗となった。

 取材に応じた福崎九段は「対戦相手の阿部九段、棋戦を主催してくださっている立飛ホールディングスさん、将棋ファンのみなさまにご迷惑をおかけして、申し訳ありません」と話した。阿部九段戦は本戦入りが懸かっていた対局であり、福崎九段にとって痛恨の黒星となった。

 本日、午前10時から行われた達人戦予選で増田裕司六段に勝利した福崎九段。予選4ブロックの決勝に駒を進め、午後2時から阿部九段と対局する予定だった。福崎九段は、本日の対局が1局のみと勘違いしており、正午過ぎに関西将棋会館を後にして、帰宅した。午後2時過ぎに、自宅に着いてスマホを確認すると、午後2時から阿部九段との対局が入っていることに気づき、既に対局開始時刻を過ぎていて青ざめたという。

 福崎九段は日本将棋連盟関西本部に電話をして「午後の対局を失念していました。家から関西将棋会館まで1時間かかるので間に合いません。申し訳ありませんが、不戦敗でお願いします」と告げた。達人戦の持ち時間は1時間で、阿部九段は午後2時から盤の前で待っていたという。規定の1時間が過ぎ、正式に福崎九段の不戦敗となった。「今日は1局だけだと思い込んでいました。盤の前で待たせてしまった阿部さんには申し訳なく思っています。対局通知を確認し、今後は同じミスがないようにします」と語った。

 病気やけが以外での将棋の公式戦での不戦敗は、今年2月の竜王戦6組で、東京の将棋会館で行われる予定だった一戦に、対局者の藤本渚四段が大阪市の関西将棋会館へ顔を出してしまい、場所の間違いで不戦敗となった例がある。