島尾敏雄
今週の本棚・この3冊:島尾敏雄=梯久美子・選
毎日新聞 2013年08月11日 東京朝刊
<1>出孤島記(講談社文芸文庫『その夏の今は・夢の中での日常』所収/998円)
<2>死の棘(新潮文庫/882円)
<3>日の移ろい(中公文庫/品切れ)
出孤島記ってその夏の今はまで含むんかな 敏雄さん死後のミホさんの生活ぶりが知りたい。
日の移ろいでは畑仕事してたみたいけど 「死の棘」日記、読み終わって...
久しぶりに「死の棘」再読し始めた。
何年ぶりかな、しんどいけど読まねばならんなw 島尾ミホ伝はまだ単行本にならんのかねえ。
あそこで書かれてるような事が事実とすれば
島尾敏雄はとんでも無い人でなしなんだがな。
ま、小説家なんざ人非人でOKではあるが。
「死の棘」の読まれ方も変わるはずだな。
期待しとるよ、単行本化を。 >>306
305だが。
情報サンクス。
楽しみだ。 305だが。
梯久美子の「狂うひと 死の棘の妻・島尾ミホ」
を買って読み始めた。
素晴らしいね。
女性らしい容赦のなさ、残酷さ、で
吉本隆明や奥野健男のロマンティックで観念的な
島尾夫妻のイメージを斬って捨ててる。
とても論理的で、遺された日記、作品、発言を
丁寧に検証した上での記述だから説得力が違う。
先入観で語られ論じられる島尾敏雄、ミホとは
かなり違う。
島尾敏雄の研究は、新しい次元に入ったね、これで。
吉本隆明、奥野健男の論考で思考停止させられてた
世界が変わらざるを得ない、な。 305だがね。
読んでいて、自分が書いた言葉を意識的に
女性に読ませてその反応を探りまた書いて
ある種の共犯関係に縺れ込ませる……って方法論、
誰かに似てる、と気になってる。
太宰治かなぁ…
島尾が異様なほど記録に拘り、数種の日記を
欠かさず毎日書き、それがかなり事実のまま
手を変え品を変え、小説化されていく。
書いたものは、メモですら廃棄せず
ぜんぶ残してある。
自らが「業が足りない」「小説化してを描く必然的な立場が無い」「もっと犠牲が必要だ」
という島尾の発言はゾッとする怖さがある。
もともと不安定なミホを狂気に追いやるのは簡単だ、
と。それは、小説のネタになる。
ミホも無意識的に島尾と「言葉」によって関係性を保ち、
無意識に求められる女性像を演じて共犯関係に
なってる。
確かに「死の棘」でも、実生活でもやたらと
ミホは島尾に誓約書を書かせる。書かれた「言葉」に
異常に固執しているな。
とにかく、かなり変わった夫婦というか、
ある種の共同作業みたいに見える。
実に面白い本だよ。 たしか相手女性は自殺したと思うが
小倉千加子・上野千鶴子・富岡多恵子は
「男流文学論」で「死の棘」中の島尾の苦悩はポーズに過ぎない
と断言しているが、じっさいのところそうだろう
芥川なら「老獪な偽善者」となじるのかも知れない
この人の女性観はたとえば短篇の「春の日のかげり」でも明らかなように
自分の屈折した心理の対象でしかない、つまり「像」であり「作品」ね
だから倫理的な対象とはなり得ない
ようするに「自分」のプライドが大切なの
で、妻であるミホも海軍大尉島尾敏雄として神格化された「像」をあがめているだけ
そういう悪辣な部分だけが文学として読み応えのあるところかな
まあ、そこら辺の勤め人はそんな事では悩まないし
それを自尊心の根拠とはしない
非常に幼稚だからね >>308
私もその本を読み始めた。
死の棘は火宅の人に似てるなって思ってたら、
島尾さんの愛人は檀一雄が文学を志してる女性が居てるからって
島尾に紹介したらしい。檀一雄も罪な奴だな。
島尾は嫁さんにばれてすぐ別れたけど嫁さん気がふれてしまって、
檀一雄や吉行淳之介の嫁さんは毅然としてるよね。
精神病棟の木の格子から外を見てる島尾と妻の写真が凄みが有って怖いと思った。 吉行淳之介・島尾敏雄・開高健の三人は
親密で仲が良かった。
実はこの三人には共通点がある。
戦争末期/終戦直後の混乱期に
知り合った女と結婚して終生悩まされた点だ。
吉行は遊び上手のイメージがあるが、
結局、死ぬまでの40年間、最初の妻は
離婚に応じなかった。実は不器用な人なんだよ。
開高も一人で杉並の自宅を飛び出して
湘南に別宅を建てたが、妻と娘が追いかけて来て、
風呂トイレ台所付きの書斎を増築して引きこもった。
その妻の悪妻ぶりは有名だが。
島尾敏雄の怖さは、逃げずに妻に向った事だが、
梯久美子の本を読めば、それが島尾の創作と
結び付いてる事が良く分かる。
酷い言い方だが、小説を書くために不倫をし、
妻を狂気に追いやり、ずっと暮らした、とも言える。 吉行淳之介はそれが分かってるから、
島尾について書いたエッセイで
それとなく言及してるね。
「島尾は昔から、奇妙なものにひかれて
近づく傾向があった」云々。
小説を書くためなら、虚構のストーリーを書くのではなくて、むしろ現実を虚構化してネタを生み出す。
太宰治のやり口に近いと思う。
いくら小説の為とは言え、ワザと自分の不倫日記を
精神的に不安定な妻に読ませる、それをネタにする、
ってのはな…
まさしく、小説家だよ、島尾は。 >>315
戦前の私小説作家じゃないんだからw
太宰についてだって、作品のために私生活を云々なんて、いまどき誰も言わないよ。 島尾ミホには離婚する自由があったが、それを行使するには、島尾敏雄の妻という名誉は余りにも?大きかった。
文学かぶれの虚栄心の強い女と、ブサメン作家は似合いの?カップルだからしょうがない。 島尾敏雄は軍人として沖縄に赴任して植民地の女と図らずも結婚した戦後被占領国日本の作家という観点から見なければ。
武田泰淳は埴谷雄高と吉本隆明をinstigateして花田清輝をおとしいれた陰険な男。 武田と花田の敵対関係は割と底深いとおもうんだよな。
昔、新日本文学の座談会でほんの些細な武田の軽いからかいに花田が怒ったことがあったが。 孫のマホの文章もなかなか味があると思う
小説を書ける能力を持ったタイプではないとは思うけど
やっぱいい感性してる 信田さよ子
トークイベント島尾伸三✖梯久美子「『死の棘』の家で起こっていたことー息子の目・作家の目」@ラカグに滑り込みセーフ。
期待通りの内容は両親が生きていたら殴り殺してやりたい読むと腹が立つの
で島尾敏雄・ミホの書いたものは読まない、芸術もいいけど周囲の者の迷惑は計りしれないと。
どな Sunshine(プロトタイプ)
新潮社出版部中瀬部長も10年に一冊出るか…と推していました。
高山正樹
「もし殺人が罪でないなら、あのふたり(両親)をなぶり殺しにしたかった。その気持ちは今も変わりません」
語りたいことはいくらでもあるが、残念ながら時間がない。
ただ島尾伸三という人は、ああ言えばこう言う人。「僕、蝙蝠人間」と、顔の四分の一で笑う伸三さんを思い出した。
ひとつ言い忘れた。
つまりさ、熱心な島尾敏雄ファンを前にして、最も彼らに喜んでもらえる役回りを、伸三さんは演じ切ったのではないか、
そんな気がするのだ。
島尾伸三嫌いを相手にしたら、全く違う話をしたのではないか。だからといってウソではない。真実とは、そんな単純なものではない。
7 Dec 2016 満島ひかり「私自身の本性を自らあばいてやろうと」4年ぶり映画単独主演
スポーツ報知 1/29(日) 5:04
女優の満島ひかり(31)が、映画「海辺の生と死」(越川道夫監督、7月公開)で4年ぶりに単独主演することが28日、分かった。
豊かな表現力を武器に、これまでもさまざまな役を演じてきた満島が、人生観を揺るがすほどの大役にめぐり会った。撮影はすでにクランクアップ。
満島は「この脚本とともに、私自身の本性を自らあばいてやろうと思いました。なんにせよ、一生抱えていかなきゃいけない作品になったと思います」と語る。
満島が演じたのは、戦後文学の一翼を担った島尾敏雄(86年死去、享年69)の妻で、鹿児島・奄美出身の作家・島尾ミホ(07年死去、享年87)。敏雄の私小説「死の棘」では、浮気した夫への情念を狂おしいほどに燃やしていく妻として描かれているが、今作は「死―」
の前日譚(たん)的なストーリー。終戦直前の奄美で出会った2人が恋に落ち、激しい思いをぶつけていくさまが描かれる。「海辺の生と死」というタイトルはミホの随筆から名付けた 最近聖地巡礼というのが流行ってるらしいな
「死の棘」で小岩が詳しく出てきてるから江戸川区も巡礼マップとか作って宣伝すればいいのに
江戸川区が舞台の小説ってそんなにないだろ? ロケ地なんかの聖地巡礼やってるのって
パワースポット巡りやってたスイーツと同じレベルだから 2017年に生誕100年を迎えた作家・島尾敏雄と彼の妻・島尾ミホによる小説をもとにした映画「海辺の生と死」で主演を務めた満島。巻頭を飾る詩のタイトルは「いちばんだけのしりとり」で、
映画の世界観を表現した文章が紡がれている。なお満島が文芸誌に登場するのは今回が初めて。 第39回講談社ノンフィクション賞は20日、梯(かけはし)久美子さんの「狂うひと――『死の棘(とげ)』の妻・島尾ミホ」(新潮社)と、中村計さんの「勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇」(集英社)に決まった。
第33回講談社エッセイ賞は小泉今日子さんの「黄色いマンション 黒い猫」(スイッチ・パブリッシング)と穂村弘さんの「鳥肌が」(PHP研究所)、
第33回講談社科学出版賞は中川毅さんの「人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか」(講談社)が選ばれた。副賞は各100万円 新幹線の小島容疑者の本棚に島尾敏雄・井上光晴集があった ネットで島尾敏雄に言及してる人を継続観察していても人間的な面白みや才能がありそうな人はホントいないね WOWOWから録画しておいた映画「海辺の生と死」をやっと観た。
越川さん一流の至誠の抑制や島のリアリティ、満島のすぐれて憑依型の芝居は楽しんだが
トシオとミホを知らない今の若い客は、予備知識なく観た場合、満足できる映画作品になっていたか疑問。
どこまでも緻密に、純粋に、愚直に誠実に撮られ、編集された映画なので越川さん思惑通りの産物かもしれないが、
河瀬直美がストーリー映画を撮ったときのような下手さも感じてしまった。
文学作品の映画化について、越川さんは「映画作家から作品へのラブレター」だと常日頃語っていたが
その子孫たちとも親しい彼に皮膜のような軛がなかったと言えようか。 島尾ミホの『海辺の生と死』を読んだ。たいへん良い読書になった。
それとは関係ないのだが、これまでなぜか読むことのなかった『はまべのうた』が密林から届けば
それも疾く読み上げるつもりだ。
その後に、ここに幾つかのことを書き記していきたい。 戦記物に較べて、「死の棘」がどうにもかったるくて、文体に美点も感ぜず、まだ第二章を終えたところだが
島尾敏雄は軍記物か夢ものだけ書いてたほうが当たりだったのでは?
死の棘のどこが妙なのか、価値なのか、文章の魅力など、読んだ人の感想が聞きたい もうすぐミホさん生誕100年ですね
彼女の作品はもっと読みたかった >>340
細密描写とミホのお説教が恐ろしいながらも滑稽なところだな、ぼくは 「ちっぽけなアヴァンチュール」は実話を元にしてるんだろうか… >>344
最初は「魚雷艇学生」が引き締まってて読みやすく、次に読むものを導いてくれるよ 彼に先導をあずけた私は探険者の不安を背負わなければならない。川の流れ
の浮流物が突然渦巻の中にまきこまれるように道が急に下の方に分れて行く
ところにやって来、私は自分が奇妙な行為の当事者になろうとしていることに
気がつくと、軽い戦慄に襲われた。すると、外部の世界では絶対に弁解のつ
かないあの内部の論理との境界での戦いから生ずるためらいが、醗酵して私を
酔わせはじめるのだ。
島尾敏雄『出孤島記』
戦後世代はその声を、どのように聴くであろうか。以上に見てきたものとは
傾向を異にして、戦争とはある距離を保ち、その中にまきこまれまいと努力
した青年学徒の事例も、もとより少なくないが、その実態はいくつかの行き方
に分けることができるように思う。第一は、あたえられた現実を達観しよう
とする態度である。
吉田満『戦中派の死生観』
重なり過ぎた日は、一つの目的のために準備され、生きてもどることの考えら
れない突入が、その最後の目的として与えられていた。それがまぬかれぬ運
命と思い、その状態に合わせて行くための試みが日々を支えていたにはちがい
ないが、でも心の奥では、その遂行の日が、割けた海の壁のように目の前に
黒々と立ちふさがり、近い日にその海の底に必ずのみこまれ、おそろしい虚無
の中にまきこまれてしまうのだと思わぬ日とてなかった。でも今私を取りま
くすべてのものの運行は、はたとその動きを止めてしまったように見える。
島尾敏雄『出発は遂に訪れず』